ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話 作:葛城
『土地を買いたいの?』
「買いたいという程ではないけど、買ってとお願いされまして」
『……誰に?』
「神様に。今も現在進行形で、頭を撫でられています」
『そ、そう……とりあえず、お爺ちゃんから話を通してみるから、売ってくれるかどうかは私にも分からないわよ』
「それでも十分だよ、ありがとう」
とりあえず、明美の方から話を通してくれるとの事なので、後は連絡待ちになった。
それから、せっかく電話しているのだしと、雑談をすること、いくしばらく。
それで、分かった事がいくつかある。
まず、明美曰く、『うちは古くからある家だけど、特に地元の名士ってわけでもないし、お偉いさんが訪ねて来たこともない』とのこと。
詳しく話を聞けば、爺ちゃんを含めて、爺ちゃんたちの世代が土地(というか、山)を持っているという話は明美も爺ちゃんや両親から聞いた覚えはあるらしい。
ただ、特に金になるような場所ではなく、手入れなんてほとんどしていないし、誰も彼もがそういえば持っていたなという程度の認識らしい。
なんでも、元は他所と揉め事が起こらないよう共同で金を出し合って買った土地らしいのだが、色々あって分割する形になり、今に至っているとのこと。
なので、全体を見れば山一つ二つにも匹敵するぐらいに広いらしいが、今はパズルのように分けられているので、一つ二つ買っても使い物にならないかも……とのことだ。
……とまあ、そんな感じで、電話を切った後。
(う~ん、なんか大事になっているような……私としては、売るか売らないかをパパッと電話口で言ってくれるだけでいいんだけど……)
なんだか、お手数をお掛けしてしまって申し訳ないなあ……と、千賀子は思うのであった。
……。
……。
…………で、日程が決まって集まったのは、ちょうどそれから一週間後の事であった
──そうして、当日。
「思い返せば、前世以来初かもしれない……」
待ち合わせ場所は、地域に唯一のお寺。
名を、『願草寺《がんそうじ》』。
地域密着と聞こえは良いけど、時期と時間の関係から人の気配が皆無なそこを、千賀子は目を細めて見つめる。
このお寺を訪れたのは、千賀子が小さい頃……七五三のお祝いに一度だけ連れて来てもらった時だ。
ちなみに、中に入った事は無い。
千賀子はあまり覚えていないが、親からは、寺に入る前に熱を出しちゃったからそのままUターン、それっきり行きそびれちゃって……との事らしい。
そういえば、熱を出した日の翌日は祖父が気持ちだけでもと金太郎飴を買ってきてくれていたような……まあいい。
それ以外では、来た覚えが無い。小学生になった後でも、来た覚えはない。
どうしてかって、こういう場所はだいたい男子たちの遊び場になっていたし、時々だが中学生とかもたむろしている事があるとかで、必要でない限りは行くなと親から厳命されていたからだ。
まあ、それが無くとも当時の千賀子は、わざわざ行こうとは思わなかっただろう。
と、いうのも、だ。
寺の中は広さこそあるけど、何かをするには少しばかり手狭だ。千賀子たち3人だけなら十分だが、他所のグループが入れば途端に窮屈だ。
互いが範囲を決めて遊ぶならともかく、その年頃の子供にとって、ルールなど有って無いも同然。ある意味、守らないのが当たり前なのだ。
学校内なら教師の目もあるからそこまで酷くはならないが、大人の目の届かないここだとそうはいかない。
……住職はどうしているのかって?
この頃はまだ、近代における檀家制度が右肩下がりに成り始める直前。つまり、住職は檀家へのアイサツまわりや法事などで忙しかった。
寺に人は居たけど、奥の方でお経を行ったり打ち合わせをしたりと忙しく、よほど子供が騒がしくしたり悪戯などをしていなければ、見て見ぬふりな対応が当たり前であった。
なので、それは子供たちとて察していたので、なにか事が起これば、即座に喧嘩が始まってしまうのだ。
明美は男子相手にも真っ向から言い返す(どころか、3倍返し)ぐらいに気が強かったけど、道子はどちらかと言えば内気で、そういう場合は一歩引いてから退いてしまうような子であった。
……千賀子はどうかって?
千賀子は、ほら……前世の記憶があるので、男子から何か言われても、『元気な子だけど、怖がらせては駄目だよ』と、生暖かい年上目線で見てしまうから。
なので、傍から見れば、だ。
1人が鼻息荒く言い返し、1人は友人の袖を引いて帰ろうとし、1人は『おほほほ、こやつめ(笑)』という、なんとも協調性の無い3人組に見えて……話が逸れた。
(……ん~、しかし、お寺でやることになるとは……え~っと、あっちかな?)
観光名所や、特別な日でもなければ、お寺というのはだいたい静かなものだ。
既にセミの声が途絶えて久しく、残暑の熱を伴う風が、ひゅうっと眼前の山門(さんもん:入口の門)から吹き付けられる。
構造上の理由か、あるいは立地の関係からなのかは分からないが、時期も相まって蒸し暑い。思わず、手で顔を隠してしまうぐらいだ。
……いや、というか、マジで熱い。暑いではなく、熱い。
春や秋なら涼しく感じるのだろうが、この時期はまだ辛い。せめて、あと一ヶ月の猶予が欲しいと、しょうもない事を千賀子は考える。
(そりゃあ、こんだけ風が吹くなら子供も集まらんわ……まあ、現代の体感40℃の熱気に比べたらはるかにマシだけど……)
用事が無かったら、即座に回れ右しているところだが……残念ながら、今日の千賀子は用事がある。
帰りたいなあと思いつつ、また、前世以来だから久しぶり過ぎて戸惑いつつも、山門から中へ──ん!?
「うぉ!? びっくりした……」
足を踏み入れた瞬間、ビシッと門が鳴った。いや、というか、軋んだ。
あまりに突然過ぎて肩が跳ねる千賀子を他所に、ビシッ、ビシッ、と何度か軋んだ後……ベキリ、と何かが折れる音がした。
……。
……。
…………?????
(え? 地震かナニカ?)
首を傾げながら、恐る恐る中へと進み……すぐに、千賀子は先ほどの異音の原因を知った。
それは、腰からへし折れた、全長80cm程度の金剛力士像《こんごうりきしぞう》の残骸であった。
……経年劣化もそうだが、これは腐食だろう。
露わになった像の内部は空洞で、そこから大量のシロアリらしき虫がゾロゾロと出てきている。雨水でも入り込んでいるのか、腐った臭いが内部から立ち昇っている。
近づいて見やれば、身体の輪郭が雨風によってか削れていて、どことなく全体的に丸っこいフォルムになっている。
元は、さぞ御立派な金剛力士像だったのだろうが……千賀子の目には、気付いてもらえなくて泣いて……いや、もっと酷い。
光の加減や角度のせいで、顔をひきつらせているように見える。まるで、大口を開けた恐竜の前に立った、犠牲者のような顔だ。
(うわぁ、なんか不吉……でもまあ、熱風が中から外に出ていたぐらいだし、腐食しやすい環境だったのかな?)
中に入った今は、熱風も止んでいる。
どうやら、風は出入り口付近に強く吹き荒れるようだ……数メートルでも場所が違ったら……いや、止めよう、もう後の祭りだ。
とりあえず、さっさと中へ行こう。
本堂とは別の、おそらくはお寺の人達が使うであろう離れの建物へ──と、思ったら。
「……ん? なんか焦げ臭い?」
気のせいかと思ったが、すぐにナニカが焼ける臭いだと判断した千賀子は、キョロキョロと当たりを見回す。
境内の裏手の方で、落ち葉でも焼いているのか……と思っていると、入口よりすぐの、千賀子から見て右側にある小さな塔より、黒い煙がモクモクと……って、えぇぇ!!?!??
「──水よ!」
心底驚いた千賀子だが、巫女は伊達ではない。
すぐさま神通力にて、直径十数メートルにも達する水球を生み出すと、それを塔の頭上よりゆっくりと下ろした。
言うなれば、水球で全体を包み込むように……内部はビシャビシャになるだろうが、それでも炎上して周囲に火の粉をまき散らすよりはマシだ。
そんな千賀子の的確な判断によって、内部で燃え上がっていた火は一瞬で鎮火されてゆく。
どれだけ燃え広がろうが、水という壁で物理的に酸素の供給を遮断してしまえば、火は消える。
そこに加えて、水分によって発火以下の温度に下げてしまえば完全鎮火……ものの30秒程で、事なきを得たのであった。
まあ、その結果、その塔を中心に何故か水浸し(それも、尋常ではない濡れ方)になっているという不可思議な状態になってしまったが……仕方がない。
「……なにこれ、この神社は罠でも張り巡らされているのか?」
まあ、そんな事よりも、だ。
幸いにも、塔の中に人はいなかった。
神通力的な超感覚にて、燃えたのが書物や仏具(たぶん、そんな感じ?)の類なのは確認出来た……ん?
(……じゃあ、どっから火が点いたの?)
自然発火と呼ばれる要因は色々あるが、お寺の境内にある塔の中でそんな事が起こるのだろうか。
誰かが、塔の傍にペットボトルや虫眼鏡を置いたのならばともかく……いやいや、あり得なくないか?
……あんまり長居しない方が良いかも。
どうにも不信感を覚えずにはいられなかった千賀子は、とにかく用件をさっさと済ませよう──と、思った直後。
──ドーン、と。
唐突に響く、腹の奥底まで響く異音。と、同時に伝わってくる、重たい空気の振動。「──ひぃ!?」と千賀子が思わず飛び上がってしまうのも、致し方ないだろう。
……。
……。
…………振動というか、異音は、十数秒ほど続いた。
だが、それっきり。
まるで、今しがたの事が全て夢だったかのように、お寺の中は静まり返っていた。普通ならば、異常に気付いた周辺の人達が駆けつけてもおかしくないのに。
いちおう……何か問題が生じているのかもと思い、離れに向かうよりも前に、本堂をグルリと回って裏へ……そこで、千賀子は堪らず絶句した。
何故なら……鐘が、無残にも落ちていたからだ。
そう、鐘だ。お寺とかに設置されている、大きな鐘。
それを吊り下げている塔……いわゆる鐘楼《しょうろう》から獲れた大鐘が、バッタリと地面に横たわっていたのだ。
「…………は、え?」
あんまりな光景に、千賀子はしばし言葉が出なかった。
そりゃあ、そうだろう。なんか凄い音がしたかと思って覗いてみたら、重さが三桁kgはあるだろう、大きくて分厚くて重い鐘が、デーンと横たわっているのだ。
これは……鐘を吊り下げる装置が故障したのだろうか。
鐘が落ちた拍子に柱などにぶつかって破損した個所がチラホラ見られるが、鐘楼自体は原形を保っている。
どのような装置になっているかは知らないが……ある意味、お寺と言えば、みたいな象徴の一つですらコレって……えぇ???
(……ここ、本当に待ち合わせ場所なんだろうか?)
脳裏を過る不安。それは、千賀子としては当然の事である。
出入り口傍の金剛力士像が、経年劣化らしき腐食で折れたことから始まり、書物などが収められていた塔は謎の自然発火。
さらには、鐘楼の大鐘の自然落下。これがホラー映画の類ならば、『あ、これ幽霊出てくるフラグだ』と思う要素が満載である。
加えて、千賀子を不可解な気持ちにさせることが一つある。
それは、そのうえで、誰も様子を見に姿を見せないということだ。
いくら建物の中に居るとはいえ、金剛力士像が折れたり、塔が燃えて鎮火させたり、加えて、大鐘まで音を立てて落ちたのだ。
離れている千賀子ですら、おもわず飛び上がってしまうような衝撃。
そんな異常が起こってもなお、本堂から……いや、近隣住民が様子を見にも来ないというのが、あまりにも不可解過ぎた。
(これ……もしや、ナニカが起こっているのでは)
だから、というのも考え過ぎなのかもしれないが……千賀子は、すぐさま巫女的なシックスセンスにて、寺の中を探知する。
……別に、これで幽霊とか……いや、見付けられるが、千賀子は何も、それだけを探しているわけではない。
千賀子が探しているのは、人為的な行為の結果、その足跡である。
そう、『巫女』として、または『サラスヴァティー』や『ククノチ』、山のヌシに成っている千賀子は、霊的な存在を感知する事が出来るが、千賀子が目を向けるのはそこではない。
千賀子にとって、幽霊よりも恐ろしいのは人間である。
幽霊なんて、ぶっちゃけてしまえば何の力も無い。なんなら、『破ッ!』と気合を入れるだけで昇天させる自信がある。
だが、生きている人間は違う。
どこまでも美しく成れるが、どこまでも醜く成れるのもまた人間。
若い頃に5人の女をレイプしたのを、『あの頃はヤンチャしたな』と昔の思い出として処理し、何食わぬ顔で善良な爺さんを気取っているやつ。
何食わぬ顔で仲睦まじい夫婦を演じながら、裏では昔から不倫関係にある男と繋がったままで、子供は全てソイツの子、旦那は金づるとしか見ていないやつ。
それに比べたら、幽霊なんぞ……だいたい、幽霊はアレだぞ。
人の干している下着に精液塗り込んでこないし、リコーダーをすり替えたりしないし、体操着をすり替えて来ないし、階段下から覗き込もうとして来ないし。
体操着のやつにいたっては、同性だからと大胆極まりない手口だったんだぞ。持った瞬間、分かったんだぞ。
いくらなんでもサイズでバレるって、バストだけでも10cm以上の差があるというのに……話が逸れたので、戻そう。
……。
……。
…………とにかく、しばし探った千賀子だが。
「離れの建物には誰も居ない、本堂には全員……? 本堂で集まるって話だったっけ?」
何も無かったが、また変な事が分かったので……素直に、頭上を見上げた。
(女神様、貴女また何かやりましたか?)
──(=^ω^=)ナニモシテナイヨーキョウモカワイイヤッター
そこには、ニマニマ笑いながら見下ろす女神様の姿が。
先ほどまで居なかったのだが、この女神様は地獄耳というか、何処に居ても何をしていても、呼べばすぐに姿を見せるのだ
(本当ですか? 本当に、何もしていないんですね?)
──(=^ω^=)シテナイヨーイトシゴカワイイヤッター
(ちょっかい掛けたとか、そういうこともしてませんね?)
──(=^ω^=)ミテイタダケダヨーモウホントカワイイヤッター
「う~ん、女神様は何もしていないのか……」
──(=^ω^=)カワイイネホントカワイイネチュッチュッチュ
ナデナデナデ、と。
他の人には見えないし気付けないが、グリグリと頭を撫でられながら、千賀子は今度こそと勇気を出して離れの建物へ……でも、やっぱり。
「……念のためだけど、やっぱり居ないな」
中は、応接用として使われているのだろう。上り框《かまち》の先には、大きな和室が一つ。
そこにはこれまた大きな机が置かれていて……いちおう声をかけてみたが、やはり、誰も居ない。
ただ、不思議なことがある。
それは、まるで今しがたまでそこで集まっていたかのように、その痕跡がいくつも残されていたからだ。
たとえば、机の上に置かれた湯呑。
飲み掛け、手付かず、空っぽ、バラバラなそれらには、例外なく水滴が湯呑に張り付いている。
たとえば、灰皿の上に置かれた、大量の吸い殻。
普段使いしていなくとも、これだけの吸殻を放置したままはないだろう。それに、気になるのはもう一つ。
「……点けっぱなしの煙草?」
それは、机の上に転がっている、火の点いたタバコだ。
幸いにも机が燃えにくい材質だったのか、それとも消えかけていたからなのかは不明だが、千賀子は靴を脱ぐ時間も惜しんで、お茶を掛けて鎮火した。
……いくらなんでも、火が点いた煙草を放置して離れたりするだろうか?
強烈な違和感と警戒心を覚えつつも、他に危ない点が無いかを確認してから本堂へと向かい、中へと入り──えっ?
(え? え? え? あの御坊さん、なんか様子がおかしくない?)
思わず、千賀子は絶句した。
それは、本堂の奥にある仏像へと向かって正座をし、黙々と読経をしているお坊さんの姿があったからだ。
そう、先ほどまで外で色々と騒ぎがあったというのに、お坊さんは欠片も気にした様子もなく、黙々と……数珠をジャラジャラと鳴らしながら、お経を唱え続けている。
「…………ぉ、おじゃま、しま~……す」
入って良いのか分からないが、他に人が居ないので……いちおう、音を立てないようそーっと入って……また、千賀子は絶句した。
(なにこれ、仏像が……一番大きな仏像以外、全部背中を向けているの?)
これまた、異様な光景であった。
大小様々な仏像……如来や菩薩もそうだが、よく見れば不動明王らしき仏像の背中も……ずいぶんと多種多様な組み合わせかもと千賀子は思う。
……寺といえば前世の記憶しかない千賀子だが、この世界では、仏像は背中を見せた状態で安置するのだろうか?
首を傾げつつも、千賀子はそーっと移動し……ふと、一番大きな如来像の陰に隠れるようにして身を縮ませている、お爺さんたちの存在に気付き、ビクッと肩を震わせた。
そう、おそらくは今日の話し合いに出席してくれるはずの、人たちだ。
その人たちが、まるで魂が震え上がってしまうような恐ろしいナニカを目撃してしまったかのように、傍目にも分かるぐらいに全身をブルブルと痙攣させていた。
……。
……。
…………え、これ、何があったの?
まるで意味が分からない状況に目を瞬かせていると、彼らの内の1人が千賀子に気付き……くわっと、これ以上ないぐらいに大きく目を見開くと──死にかけたゴキブリのような忙しない動きで仏像から離れると、千賀子へ向かって深々と土下座をした。
──???
困惑するしかない千賀子を他所に、1人、また1人、千賀子に気付いた者たちが、似たような動きで千賀子の前に来ると、土下座をし始める。
正直、滅茶苦茶怖い。身に覚えが無いから、余計に。
しかも、だ。
その状態で彼らが何をし始めたかと言うと……簡潔にまとめるならば、罪の告白であり、悪事の告白であった。
声が震え、鼻水と嗚咽が邪魔をしているせいで、非常に聞き取り辛かったが、その内容は……けっこうシャレにならないレベルが多かった。
本来ならば色々と許可を取ったり申請しなければならない行為を無断でやっていたり、処理施設に持って行くようにみせかけて、所有している山の中に廃棄したり。
あとは、ヤクザに頼まれて何度か使わせたり、違法な葉っぱの栽培に使ったりと……それはもう、ドン引きの所業であった。
……ちなみに。
千賀子の所有している山にゴミを廃棄したのは、本来はおやっさんを巻き込んでやるつもりだったのが、その前に小便臭い娘に売り払った事への嫌がらせの意味もあったのだとか。
どういうこっちゃと思ったが、彼らの言い分では、『元々、1人だけ成功して山一つ持てているのが気に食わなかった』から、らしい。
なお、詳しくは知らないが、お坊さんも関与していたらしい。おいおい昭和って魔境かよと思ったが、その間、ずっと読経を続ける姿を見て、あえて触れようとはしなかった。
いや、だって、怖いじゃん?
お坊さん、自分が加担している悪事がバラされているのに、一心不乱に、本当にずーっと黙々と読経しているのだ。
こんなの、千賀子でなくともビビッて当たり前である。ぶっちゃけ、千賀子もそっちには目を向けないようにしていたぐらいであった。
──で、それからしばらくして。
一通りの懺悔というか、そんな内容の告白を一通りされた千賀子に渡された(というか、進呈?)のは、大量の書類が入った封筒が5つ。
中身は、土地の権利書。なんと、彼らはタダで千賀子に譲ったのである。
もちろん、彼らなりの理由はあった。
まず、おっちゃんが所有していた山と同じく、色々と使ってはいるが、まともに整備らしい整備はしていないとのこと。
あと、ゴミとか色々と埋まっているから、既に土地の価値はマイナスであり、新たに開発して使おうと思ったら、余計にお金が掛かるとのこと。
……え、いらない。
率直に断ろうと思ったが、今後何時でも声を掛けてくれたら全力で手を貸すので、どうか、どうか、どうか……と、お願いにお願いにお願いされまくった結果、こうなってしまったわけだ。
(……ま、まあ、山のヌシとしての権能で、綺麗にすることは出来るけど……い、いったい何があったんだろうか?)
正直、聞くのが怖かったので聞かなかったが……これで良かったのだろうかと、千賀子は帰路に着きながら首を傾げるのであった。
※もしも、違法投棄に対して女神様が『めっ!』をした場合。
ゴミを捨てた者たちと、その周囲の者たち(範囲、関係性、含めて)は『ゴミ』になります
はい、『ゴミ』です
血液も脳も心臓も手足すらありませんが、『ゴミ』と呼ばれる様々な物体に魂が移され固定され、以降は『ゴミ』としての日常を送ります
『ゴミ』なので死にません。千切れたティッシュというゴミを新たに千切っても『ゴミ』が無くならないように、『ゴミ』は『ゴミ』のままです。
なお、『ゴミ』になっても感覚は元のままです。
つまり、千切れたり破れたり粉々になる際には、人間だった時に合わせて、全身が千切れたり破れたり粉々になるのと相当する激痛を、意識を失う事ことなく体感し続けます。
そう、肉体があれば失神するレベルの苦痛も、『ゴミ』なのだから一秒とて意識を失わずに鮮明に体感し続けるのです。
『ゴミ』が無くなるのは、分解されたりリサイクルされたり別の物体や物質になった時ですが、その時は空気を読んだ女神様の手で、別の『ゴミ』に魂が移動し、再び『ゴミ』の生涯を送ります。
いちおう、不法投棄されたゴミの回数だけ繰り返せば、正常に転生して生物に生まれ変わる事が可能となります。
なお、参考として、大型トラック一回分のゴミで、おおよそ5万~30万ぐらいの転生となり、これまでの違法投棄分となりますので、最悪億単位の転生となります
女神様ですので、インガ・オホーです