ビューティダンガンロンパ女学園 咲き誇る花園と這い寄る絶望   作:カセットコンロォで焼いた豚

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《注意》この小説は以下の要素を含みます。

・超高校級のネタバレ
・女性主人公
・残酷な描写
・執筆者の性癖が詰まったキャラ(追加)

この要素が苦手だという方はブラウザバックを推奨します。
それでも読みたいという方は――絶望に染まることを、心から歓迎いたします。


ようこそ絶望女学園2

「あれ……ここって……」

 

 辺りを見渡す。部屋にしてはやけに広く、中学の頃にも見覚えのある形状だったので体育館ということはすぐに分かった。

 

 また、体育館全体に緑のシートが敷かれており、ステージの前には16人分のパイプ椅子が並べてあった。

 

 そして、倒れている人と見た感じ起きたばかりの人がまばらにいた。身体を起こしている人の中には先程の金髪の少女もいた。

 

「何なんすかね、これ」

 

 始めに立ち上がったのは銀髪の少女だった。長い髪は2つの赤いリボンで結び、ローツインテールにさらている。私はその髪色と髪型に見覚えがあった。

 

「もしかして本物のAZ(あず)様!?」

 

 興奮で私まで立ち上がってしまった。銀髪の少女は一瞬驚いた後に、気が抜ける笑みを浮かべた。

 

「あー、私のファンっすかね?気付いたらここにいたんすけど……なんか知ってるっすか?」

 

「あ、いえ、私も同じでして……」

 

 緊張でたどたどしい返事になってしまった。

 

 銀髪のその少女は"超高校級のダンサー"の久岡(ひさおか)優月(ゆずき)AZ(あず)という名前で活動している。

 

 現代に生きる若い女性の間で熱狂的な人気を誇るダンサーで、動画投稿サイトにダンス動画がアップされて1日経たずに数万回再生される程。物によっては1日で軽く10万を超えているものもあるらしい。

 

 小学生の頃からダンス大会で何度も優勝をしているらしく、アイドル等のスカウトも引く手あまたと聞く。

 

 私も若い女性の1人なのでもちろん大好きだ。興奮が収まらない。

 

「ファンなら知ってるとは思うっすけど、私は久岡優月っす!気軽にゆずと呼んで欲しいっす!」

 

「き、霧ヶ原ララです」

 

「ララさんですか!いい名前っすね!」

 

 笑顔がとても眩しくて、私は思わず顔を背けてしまった。

 

 そのタイミングで見えたのだが、私達が会話をしている間にどうやら他の人もようやく現状を理解したようで、私達の下へ続々と歩いて来ていた。

 

 そのうちの1人、長身でギラギラとした金髪の人が軽く会釈して自己紹介を始めた。

 

「私も自己紹介させていただくわね。私は車田(くるまだ)亜矢(あや)。私の才能は……その……"超高校級のスケバン"よ」

 

「えっ」

 

 思わず声が出るほどに驚いた。確かに染めたような金髪と制服の上に羽織った特攻服から予想はついていたが、本人の口調と表情が優しすぎてギャップが激しい。

 

 よく見ると髪も染めてはいるけどキレイにウェーブかけてるし、制服もきれいに着こなしてるし……。少し脳がおかしくなりそうです。

 

「おい!お前らワタシ様よりも目立つんじゃねぇ!」

 

「へ?」

 

 少し緑っぽい黒髪の少女が私達を見上げながら怒る。

 

「えっと、ごめんなさい?」

 

 今朝の金髪少女にも理不尽に怒られたので、対応の仕方がだんだんとわかってきた。

 

「いいか、一度しか言わないから良く聞けよ!ワタシ様の名前は松風(まつかぜ)耀(ひかり)だ!何があってもこの松風耀様の名前は忘れるなよ!」

 

 ……2回言ってるけどツッコまないでおこう。ツッコんだら面倒くさそうだし。

 

「あー!耀ちゃんといえば"自称・超高校級の見様見真似"でテレビに出てたっすよね!でもここにいるってことは本当に"超高校級の見様見真似"としてスカウトされたんすか?」

 

「当たり前でしょ!なんてったってワタシ様だからな!なーはっはっは!」

 

 久岡さんの問に愚問だと言わんばかりに答える。二人の発言で、私も完全に思い出した。

 

 松風耀。一度見たものを完全に再現する天才児としてテレビで紹介されていた。たしか、元超高校級の人と勝負するみたいな内容だったっけ。

 

 その勝負では五分五分の戦いを繰り広げていたのだが、どうやら頭はそこまで賢くないらしく見てから時間が経つと忘れてしまうらしい。天才肌というやつなのだろうか。

 

「それ、おでこ大丈夫なの?」

 

 後ろから声がした。振り返るとそこにはラッシュガードと短パンを履いたアブナイ格好の人がいた。水色の髪をオレンジのヘアバンドで上げており、シミ一つ無い綺麗なおでこがキラキラと光を反射している。

 

「ん?ワタシ様のおでこガーゼのことか?安心しなさい、これは邪神の力を封印しているだけだ。これが壊れる日は4世紀後になるだろうさ……」

 

 どうやら松風さんはただの厨二病だったらしい。右腕の包帯も厨二病グッズなのかな……。

 

「ならいいけど。私は佐藤(さとう)詩織(しおり)。服が窮屈だから着てなかっただけなのに何故か"超高校級の痴女"として学園にスカウトされた。せっかくだからこの学園で3年間過ごして悠々自適な人生を送ることにしたの。よろしく」

 

「ちっ……痴女!?」

 

 女子高生、しかもスカウトされた当時は女子中学生だったはずなのにその時点で痴女と呼ばれるほどの人間なのか……。あまり近付きたくないなぁ。

 

「あ、安心してね。別に人に見せる趣味はないから。ただ服を着たくないだけだから」

 

「どっちも現代じゃ駄目だけどね……」

 

 流石の車田さんもこれには苦笑いだ。

 

 ここに集まった人たちとの自己紹介は終わったものの残りの人たちは辺りを警戒しているのか動く気配がない。

 

「うーん……他のみんなはこっち来る様子無いっすね。私達の方から向かうっす!じゃあ私はこっちを睨んでるポニーテールのお姉さんのところに行ってくるっす!」

 

「え、ちょっ!」

 

 しびれを切らしたのか久岡さんが一人でポニーテールの人のところへ行ってしまった。

 

「そうよね、折角ですし各自分かれて自己紹介していきましょう。では私は先程からこの体育館を動き回っている白衣の方に話しかけてくるわ」

 

「ワタシ様は自分からなんて行かないぞ!わざわざ行ってあげる義理も無いからな!」

 

「じゃあ私は部屋の隅で縮こまってるあの子に会いに行ってくる」

 

 それぞれが分かれて行動し始めた。これ私も行く流れだよね……。

 

 誰の元に行くかと考えていると、ふと金髪が目に入った。

 

「そういえば……あの子、さっきの子ですよね」

 

 名前を聞いていなかったので金髪のあの子と話すことにした。

 

「さっきの会話を聞いてる限りだと貴女も気付いたらここにいたみたいね」

 

「そうなんですよ。あ、私の名前は霧ヶ原ララです。"超高校級のそれなり"としてスカウトされまして……」

 

 自分でも微妙な才能だと思う。自己紹介をしながら、ふとこれまでの半生を思い返していた。

 

 地域の神童も中学に上がればただの人。私はあくまでそれなりにしか出来なかった。どの分野の大会に出たとしても3位や入賞が関の山。

 

 もちろん、周りの人間は褒めてくれし、褒められて嬉しかった。しかし、それと同時に悩むこともあった。

 

 何でもそれなりにできるからこそ一つの事に熱中でき ず、一番にはなれない。その事実に絶望しかけた時もあった。極めつけにスカウトの内容が"超高校級のそれなり"。

 

 反抗期も中学の頃に終わりそこまで深く悩んではいないが、今は一切悩んでいないと言えば嘘になる。

 

 "それなり"なんて肩書だから、同じように超高校級の才能を持つ人はバカにするのだろうと身構えていたのだが……。

 

「ふーん、なんでもそれなりにね。凄いじゃないの。『あらゆる才能を備えた天才』……の一歩手前ってことね。人類の傑作じゃないのかしらそれって」

 

「え?」

 

  予想外の反応、しかも褒められたので戸惑った。

 

「あの、馬鹿にとかしないんですか?」

 

「?なんで馬鹿にする必要があるのよ」

 

「い、いやだってなんでもそれなりにしかできないし、突出した才能も無い訳だし……」

 

「全部が平均以上なわけだし、突出してるってことじゃないの?私と貴女を比べたら貴女の方が才能のある人間と答える人も多いはずよ。

 

 何でもできるってのはこの世でも珍しい……最高の才能よ」

 

 出会ったばかりなのにべた褒めされたからなのか、それとも超高校級の才能を持つ人に褒められたからなのかはわからないが、胸がスッとしたような気がた。

 

 少女は私の気も知らず思い出したかのように話を変える。

 

「私は伽前(とぎまえ)ナコト。肩書は"超高校級の幸運"よ。……ってなんで泣いてるのよ!」

 

「え……」

 

 言われて頬を触ると涙が垂れていた。

 

「あーもう私のティッシュ使いなさい!ほら!」

 

「す、すみません……」

 

 私は涙を拭き、ポケットティッシュを返す。

 

「さ、落ち着いたんなら自己紹介はこれくらいにして、ここがどこなのかをちゃんと調べなきゃいけないわね。

 

 まずここは体育館っぽいけど、問題はどこの学校の体育館かよね。もしかしたら体育館じゃない可能性もあるし……。

 

 あれ、窓が全部鉄板で防がれてるんだけど」

 

 言われて見ると確かに窓は全て防がれていた。鉄板が打ち付けられている。私の力だと取れないだろう。

 

「出入り口は防がれて無いみたいね。一旦外に出てみましょう」

 

「勝手に出てもいいんですかね……」

 

「目が覚めたら知らない場所にいるのよ?出るべきよ普通」

 

 そう言って伽前さんが扉に手を伸ばした瞬間に"それ"は現れた。

 

『全員起きたかな〜!?それじゃあ、そろそろ始めよっか!!』

 

 この閉鎖空間には似合わない陽気で気味の悪い声が体育館に響く。

 

 それと同時に、演台の後ろから白黒のクマのぬいぐるみが飛び出した。

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