ビューティダンガンロンパ女学園 咲き誇る花園と這い寄る絶望   作:カセットコンロォで焼いた豚

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《注意》この小説は以下の要素を含みます。

・超高校級のネタバレ
・女性主人公
・残酷な描写

この要素が苦手だという方はブラウザバックを推奨します。
それでも読みたいという方は――絶望に染まることを、心から歓迎いたします。


ようこそ絶望女学園4

 体育館の扉の先には体育館前のホールがあり、そこには数々のトロフィーや賞状が飾られているショーケースが設置されていた。希望ヶ峰学園の姉妹校だし、飾られていない物も含めると山のようにあるのだろう。

 

 天井には監視カメラとモニターが付いていた。伽前さんはそちらの方を一瞥し呟く。

 

「あのカメラで監視されているみたいね。モニターは……体育館にもあったし今後使われるのかしら」

 

「凄いですね伽前さん。そんなに予想がつくなんて」

 

「……これまでの人生で色々と経験を積んだだけよ。それに、これぐらいの事は誰でも出来るわ」

 

 どこか遠い目をした伽前さんは答えた後にホールの扉を開け先へと進む。

 

「廊下のようね。そしてこれは……2階への階段。封鎖されてるしこれは無視ね」

 

「えっ、調べないんですか?」

 

「はぁ?私にこの鉄格子を撤去する手段は無いわよ。それとも、貴女はこの鉄格子をどうにかできるの?」

 

「あ、いや、そういうわけでは無いんですけど……調べたら手がかりとか無いのかなー……なんて」

 

 呆れたと言わんばかりの顔で大きくため息をつかれた。そこまで変なこと言ったかなぁ。

 

「鉄格子を調べてわかることはこの先へ行く手段はない。それぐらいよ。だいたい、ここまで用意周到に私達を誘拐、そして軟禁したということはそんな簡単なヘマはしていないはず。

 

 校則を確認しても監視カメラと鍵のついたドアの破壊だけしか禁止してないわ。これは鉄格子や打ち付けられた鉄板を壊せないと思ってるからというのもあるはずよ」

 

「そっか……言われてみれば確かにそうかもしれません」

 

 わざわざ監視カメラと鍵のついた扉だけに限定しているからにはなにか理由がある。そんな着眼点が無かったのでまた驚いた。今日で何度目の驚愕なのだろうか。

 

「ま、誰かを殺す時に取っ組み合いになって壊したら校則違反でつまらない展開になる!みたいな理由もあると思うけど」

 

『うぷぷ……伽前さん、大正解だよ!!当たり過ぎてむしろ怖いぐらいだよ!!まさか伽前さんって……エスパーだったりするのかな?はわわ!』

 

「わっ!」

 

 突然どこからともなくモノクマが現れた。先程は演台に隠れていたと思っていたが、この様子だと閉鎖空間中に何匹も待機しているのだろう。

 

 モノクマを見ていると腹が立ってくる。私達を閉じ込めてコロシアイを仕向けている張本人なのに、呑気な声を出してふざけ倒す。初めこそ爆発などで恐怖を感じていたがこの状況に慣れてきた今では怒りの方が恐怖より強くなっていた。

 

『冗談だよ、冗談!!え、反応がなかったけどもしかして本当にエスパーだったのかな?ボクの心丸見え……!?そんな、は、破廉恥だよ!破廉恥過ぎるよ伽前さん!!』

 

 伽前さんも同じように頭に来ているらしく、あからさまに嫌そうな顔をしていた。

 

「破廉恥破廉恥言うのはいいけど、それ言うなら私の方じゃない?」

 

 不穏な空気を感じてやってきたのか、佐藤さんがモノクマの肩に手を乗せ乱入してきた。その表情は自己紹介をしたときと変わらず無表情。相変わらず何を考えているのか分かりづらい人だ。

 

『あれ?佐藤さんいたの?でもさ、佐藤さんの場合は超高校級の痴女として世間に認められた破廉恥だけど、伽前さんは認められてないんだよ!!ムッツリなんですよムッツリ!!ツインテールにムッツリだなんて……カタツムリと間違われてもおかしくないね!!ぶひゃひゃひゃひゃ!!』

 

 モノクマは笑いながら消えていった。今後も同じように邪魔をしてくると思うと気が滅入る。

 

「大丈夫だった?二人共」

 

「ありがとうございました。正直対処に困ってたので……」

 

「ふん、感謝してあげなくもないわ」

 

「伽前さんなんでツンデレみたいな反応してるんですか……?」

 

 もしかして伽前さんはツンデレ?

 

「えと、助けてもらってなんですけど……ペアの方はどちらに?」

 

 尋ねると佐藤さんは無言で指を指す。指した方向を見てみるとそこは少し広いスペースがあり、そこの壁からこちらを見る影が見えた。

 

「あれ、さっき知り合った小島(こじま)和歌子(わかこ)って子。滅多に人と話さないから緊張してるらしいけど優しい子だった。まぁ時間が経てば慣れてみんなとも話すと思うけど……私に対しても自己紹介が限界っぽかったし、まだ先の話かも」

 

 どうやら小島さんと呼ばれたあの人はコミュ障のようだ。こういう時は距離を詰めすぎても警戒されるだけなので向こうからやってくるのを待つのが正解だよね。

 

 なんて思っていたら佐藤さんが話しかけてきた。私達のところへ来たのもなにか用事があったからなのかもしれないと思い、耳を傾ける。

 

「あのさ」

 

「ん?」

 

「ラッシュガードとズボン脱いでいい?」

 

「はい!?」

 

 突拍子も恥じらいも無い発言に耳を疑う。伽前さんの顔がより嫌そうな顔へと変貌するのが見えた。

 

「アンタ、女子なんだから少しは恥じらいというものをね――」

 

「でも脱いでも温かいよここ。体育館もだったけどこの空間自体が適温になってる。しかも肌触りがいいし匂いもそこまで酷くない空気。閉鎖空間だとしたら空調と空気清浄機がどこかにあるとは思うけど、空調しか見つからない」

 

「今が適温ならそのままでいいじゃない!」

 

「適温過ぎて開放感が足りない」

 

「何言ってるか全然わかんないんだけど?」

 

「服を着たら布が肌に当たる。開放感が無い。脱いだら肌で世界を感じることが出来る。脱ぎたい。アンダースタン?」

 

「ノーに決まってるでしょ!!」

 

 きっぱりと断られたのが堪えたのかしょんぼりしながら小島さんの方へと帰っていった。

 

「愉快犯といい露出狂といい、ここには安全のあの字も無いようね、全く……」

 

「あ、あはは……」

 

 私は苦笑いするしか出来なかった。

 

 その後も調べ回った結果わかったことがいくつかあった。

 

 見覚えのある玄関ホールがあったが、出口は巨大な鉄の塊で閉じられていたこと。教室が1-Aと1-Bの2つあること。その先には寄宿舎があること。

 

 寄宿舎には全員分の部屋とトラッシュルーム、コインランドリー、そして食堂があった。他にも大浴場らしきものも見えたがそこは封鎖されていた。

 

 ちなみに寄宿舎の散策中にまたもやモノクマが現れ、『希望ヶ峰学園旧校舎 1F』と書かれた地図を渡して去っていった。地図を元に再度散策し直した所、地図とほぼ一致していることがわかった。

 

 しかし、地図にはある男子トイレが無く女子トイレのみになっていることから伽前さんは「ここはもしかすると本当に希望ヶ峰女学園かもしれないわね」と言っていた。

 

 女学園だとするならば女子トイレしか無いのは当然として、希望ヶ峰学園の旧校舎と間取りが一致してもおかしくはない。女学園の生徒数は各学年良くて2,30人ぐらいだから旧校舎程の広さが丁度いいのだ。

 

 その事実にたどり着いたタイミングで1時間が経過した為、散策の結果を伝えに体育館へと向かった。

 

「なんやえらい遅かったやないか!心配したで!!」

 

 猫耳の人が関西弁で話しかけてくる。距離感も近いしフレンドリーだけど……関西だとこれが普通なのかな。

 

「あ、そういやあんたら二人には自己紹介してなかったな。オレは園神(そのがみ)もえ、超高校級の大食いや!!

 

 この関西弁でわかるかもしれやんけど、オレは大阪出身や。せやけど、別にたこ焼きばっか食ぅとるわけじゃないんやで」

 

「あ、お好み焼きもありますもんね!」

 

「ん?あー……そういうことやのうて、オレが毎日のように食べてたら全部なく無くなってまうだけの話や」

 

「……あっそういうことでしたか」

 

「おうおう……オレの話がオモロないのは重々承知やけど、ここまで反応悪ぅたら流石にテンション下がってまうわ……ま、こんなとこに閉じ込められた時点でテンションも何も無いけどな!」

 

 手を腰に当て豪快に笑う。とにかく元気な子なのだけは分かった。

 

 と、そこで改めて園神さんを見てみる。黒のスカジャンに黒のカッターシャツ、そして黒のズボンと全身真っ黒な服だった。

 

 猫耳と全身真っ黒コーデも気になるが、今は報告が先だ。私は「これからよろしく」とだけ伝えて久岡さんへ目を向ける。

 

「みんな揃ったっすね!それじゃあ早速結果報告っす!

 

 私と咲ちゃんはとにかくモノクマを呼びまくって入れる場所と入れない場所を聞いたっす!基本的にKEEP OUTの所とかあきらか〜に封鎖されてるような所以外ならどこに行ってもOKってことがわかったっす!そういうところを壊したら校則違反とも言ってたっすね!」

 

「じゃあ次は私ね〜。映画に出てくる金庫の扉みたいな、もうそれはとてつもないくらい怪しい大きな扉があったのよ。それがね、黄楊ちゃんに確認したら……」

 

「あれはね、うん。無理。爆発でもビクともしないだろうし……化学薬品で溶かそうにも無いし、あったとしても大量に必要だね」

 

「……らしいわ〜。つまり、あの扉を正攻法で開けるしか無いみたいね」

 

 黄楊というという名前と白衣、そして目立つ紫色の髪で思い出した。彼女は"超高校級の科学者"としてスカウトされた天才児、黄楊陽子(ようこ)

 

 己の好奇心に忠実で悩む暇もなく行動を開始するという噂があるほどに個性の強い人間らしい。

 

 たしか中学の頃から頭角を現し、数々の賞を総ナメしたのだとか。

 

 そんな彼女が言うのだから扉の破壊は困難極まりないのは事実なのだろう。

 

「次、私ね。多分2F以上にとてもデカい空気清浄機がある。

 

 私、いわゆる裸族ってやつで。人よりも触覚が敏感なの。だから空気に関して色々とわかって。

 

 それで、この空気は閉鎖空間にしてはおかしくてさ。外の風が入りこまないのなら空気清浄機があるんじゃないかって。

 

 見つけたものは特に……あ、同じ根拠だけど今行ける場所に隙間は無かった。窓も全部確認したけど鉄板が打ち付けられてたし、風の流れも感じなかったから……少なくとも、出れないと思う」

 

 どうやら佐藤さんはその触覚で風の流れや淀み具合などがわかるらしい。凄い特技だなぁ。

 

 佐藤さんが話し終わると園神さんが話し始めた。

 

「次はオレやな。オレんとこも途中でモノクマにあったんやけど、そこで……えっと……なんて言うとったけな」

 

「たしか夜時間は食堂を封鎖するって言っとったばい!」

 

「あと部屋のシャワーも出ないってさ。22時とか早すぎね?」

 

「おお!それやそれ!サンキューな、恋雪(こゆき)果凛(かりん)!」

 

 恋雪と果凛という名前と私の記憶を照らし合わせ、二人のことを思い出そうとする。果凛さんの方はすぐに思い出すことができた。

 

 西田(にしだ)果凛、超高校級の指揮者。オフの際は青色のメッシュが入ったサイドテールが特徴的な現役ギャルで性格もギャルそのもの。だが、オシャレと指揮に対する気持ちだけはホンモノで一切の妥協を許さない。(超高校級の指揮者 西田果凛スレより)

 

 西田さんのスレッドには指揮者としての姿とオフの姿が貼られており、全く違う見た目だったで驚いたのは記憶に新しい。

 

 オフの際は前述の通りサイドテールを作っておりメイクもバッチリ、付け爪もしている。今もその見た目だ。

 

 対して指揮者を担当する際は黒のウィッグでその長い金髪を全て隠しており、メイクも必要最低限のものに見えた。

 

 探索の際はオフの姿なのが理由なのかぎこちなく探し回る姿を見かけた。何もしていない訳では無いので悪い人では無さそうだ。

 

 対して恋雪さん。思い出そうとしても思い出せない。

 

 名前もわからなければ見た目も見覚えがない。そもそもあの雪のように透き通った白のボブカットを見たことがあったら即座に思い出せていただろう。

 

 こういう場合は私や伽前さんのような才能が世に知れ渡るようなタイプのものではないか、佐藤さんのように隠さなければいけない才能なのか、あるいは狭い分野の才能でその界隈での有名人か……。

 

「どれにせよ、本人に聞いたほうが早いか……」

 

「ん?何か言ったかしら」

 

「あ、いえ。独り言です」

 

「……あっそう。ならいいわ。次は……そこの仮面の人の番かしら」

 

「ええ、私達も調べてまいりました。厨房には新鮮な食材が大量に保存されていました。さらにモノクマの情報が確かなのであれば毎日補充されるのだとか。

 

 それと、私の名前はシュシュ・ファングスタです。自己紹介が遅れてしまいましたね」

 

「あ、私は入蠱(いりこ)陀子(だし)って言います!え、えとですね……見た感じだとこ、この人数でも1日で食べ切れないほどの量の食材があったので……ちょっと勿体ない気もしますね……はは……」

 

 仮面を付けたファングスタとボロボロのチャイナドレスの入蠱さん。どちらも聞き覚えも見覚えもない人たちだった。

 

「じゃあ最後に私達ね」

 

 伽前さんは知りうる情報を全て話していった。

 

 話が進むに連れ周囲の顔も先程より更に深刻な顔になっていた。

 

「てことはつまり、モノクマを操ってるやつ……面倒だからモノクマって呼ぶけど。アイツは学園を1つ占拠できるほどの力を持ってるってことになるってことだよね。いやあ大変だ」

 

「他人事っぽく言ってるっすけど、詩織ちゃんもそのモノクマに捕らえられてるんすからね」

 

「でもこの学園って希望ヶ峰学園の姉妹校で、超高校級の才能が集まるのよね。そんな学園を占拠してたら大ニュースになるはずなんだけど……記憶喪失になるぐらいの時間が空いているとして、流石に対応が遅すぎるわ」

 

 車田さんが頬に手を当て困った顔をしている。ホントに特攻服さえ見なければただの母性溢れる優しいお姉さんだ。特攻服さえ見なければ。

 

「……考えられる可能性はいくつかあるね」

 

 黒パーカーの人が呟いた。

 

  可能性……?確かにこの状況から少しは推測することも出来るのか……。

 

 私達は全員、その黒パーカーの人を向いた。それを確認するや否や、少女は語りだした。

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