ビューティダンガンロンパ女学園 咲き誇る花園と這い寄る絶望   作:カセットコンロォで焼いた豚

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《注意》この小説は以下の要素を含みます。

・超高校級のネタバレ
・女性主人公
・残酷な描写

この要素が苦手だという方はブラウザバックを推奨します。
それでも読みたいという方は――絶望に染まることを、心から歓迎いたします。


ようこそ絶望女学園5

「……えっとね。まず1つ目はここが希望ヶ峰女学園じゃなくて、ホンモノの学園は占拠してない可能性。校舎と同じ広さの敷地と建設費さえあれば出来るだろうけど……可能性は低めだね。準備にお金も時間もかかるしそんな大規模なことしたら足がつくからね。

 

 次にこれがレクリエーションの可能性。無いとは言い切れないけどこれも可能性は0に近いだろうね。でもさっきの可能性よりもは可能性が高い……かも。正直わかんないや。

 

 そしてもう一つ。"私達が自らここに閉じこもった可能性"」

 

 そんな突拍子も無い可能性に全員が動揺する。彼女の腰に抱きつきうずくまっていた松風さんすらもだ。

 

 

「ちょっと待ちなさい。それはどういう意味意味かしら」

 

「……答えるね、伽前ナコトさん。えっとね、ホントに仮説でしか無いんだけど。

 

 まずモノクマは私達が記憶喪失って言ってたけど、どれくらいの期間記憶喪失になっているのかは明言してなかったよね」

 

「……」

 

「……その記憶が抜け落ちている期間の間になにかがあって私達はここに閉じこもる。そこにモノクマがやってきて私達から記憶を奪ったっていうシナリオ。

 

  正直これも突拍子も無い話だね。そもそもなんで私達がここに籠もる必要があるのって感じだし。

 

 もちろん、これ以外の可能性も無限にあると思うよ。私は未だにこの状況を受け止める事ができてないし……ただの戯言だと思ってくれて良いよ」

 

「どちらにせよ今の段階では情報が少なすぎますね。ここから逃げ出すことができないとなると……」

 

 ファングスタさんがそこまで言うと空気が一段と重くなる。

 

 全員がその言葉の続きを想像することができた。

 

 

『ここで一生を終えるか、誰かを殺して出ていくか』

 

 

 非日常と無縁な私にとっては殺人というのは想像もできなかった。もちろん、こんな異常事態の最中でもだ。

 

 結局、警察の助けを待つという結論に至り、その場は各自解散となった。

 

 私は体育館を離れる前に、まだ自己紹介をしていない人に対して自己紹介をすることしにした。

 

 まずはファングスタさんからだ。ファングスタさんに挨拶をし、そのまま自分の名前を伝える。

 

「霧ヶ原さんですか……名前は覚えておきましょう。もし殺されたりでもした時、誰が誰か判断をつけなければいけませんからね」

 

「なっ……こ、殺されるだなんて……!」

 

 何を言っているんだこの人は!

 

「わたくし、なにかおかしいこと言いましたか?もはやこれは警察が必ず来るとも言い難い状況ですよ。5日も経てばしびれを切らしたヒトが血迷って……」

 

「ちょっと、そーゆーのやめてくれる?」

 

 西田さんが怒気を含んだ声で会話に混ざってきた。耳まで真っ赤にしなからそのままファングスタさんに詰め寄る。

 

「おっと、恐い恐い。冗談ですよ冗談。そもそも人というのはいつ死んでもおかしくないんですから、わざわざカリカリすることでも無いでしょうに……」

 

「あのさ、マジでそういうの言うなって」

 

「……ふふっ、肝に銘じておきますね」

 

 仮面で顔が隠れていた為表情まではわからなかったが、声色からは反省の色が見えなかった。

 

 ファングスタさんは今やるべきことを思い出したかのように「そういえば」と話を切り出す。

 

「私は"超高校級の商人"です。私が持っている情報が欲しいという際は話しかけてください。まぁこの状況では金銭になんの価値もありませんので等価交換で物品または情報との交換になりますけどね。

 

 では、私はこれで……ふふふふ」

 

 不気味な笑い声をあげながら去っていった。

 

 完全に去ったのを確認した西田さんは呆れた顔で私に忠告をしてきた。

 

「アンタ、キリガハラ……だっけ。あんなキモい仮面してるヤツなんて無視しとけばいーのよ。どーせ懲りずに同じよーなこと言ってくるだろーし」

 

 西田さん、見た目はギャルなのに中身が男前過ぎる……!

 

「心配してくださってありがとうございます。優しいんですね」

 

「カリンは自分がヤなことがヤなだけ!まぁ優しくないわけでもないけど」

 

 それってつまりはわがままということでは……。

 

「んでさキリガハラ。アンタはこれからどーするつもりよ」

 

「どうするとは……?」

 

「決まってんじゃん!脱出よ脱出!

 

 こんなきゅーくつなところにいたらもーテンションダダ下がりっしょ!

 

 てかカリンにはやり残してることいっぱいあるからこんなところに長居できねーの!」

 

 やり残したこと。確かに私も無くはない。

 

 好きな恋愛漫画の最新刊も買いたいし、新しい靴も買いたい。美味しい料理も食べたいし。何より、お母さん達に会いたい……。

 

 寂しさを押し殺し、気を紛らわせるためにも西田さんに質問をする。

 

「例えばどういうのがあるんですか?」

 

「ん?そーね……映えるとこ全然行けてないし、渋谷とかで服とか買いたいしー……えとね、他にはー」

 

 その後も西田さんはやり残した事を連ねていった。

 

「……あと、1週間後のコンサートに出なきゃ」

 

「そう言えば西田さんって指揮者なんでしたっけ」

 

「カリンの事は果凛って呼んでいーよ。そうそう、カリンはこー見えて指揮者やってんの。

 

 あ、でも指揮者やるときは黒のウィッグで纏めてるしネイルも鬼盛りしてないよ。やるときは真面目にやらなきゃっしょ」

 

 ニカッ、と明るい笑顔を見せる西田さん。

 

 西田さんと話して分かったのだが、彼女は好きなものがたくさんあって、その好きなものに対して真面目なようだ。

 

 嫌いなものもとことん嫌いで、その嫌いなものに対しても真面目なようだ。

 

 まぁそれぞれ真面目の方向性が違うけどね……。

 

 

「てかみんなここでの生活を受け入れてそうだったけど、アンタもそんな感じなの?」

 

 

「えっ……?」

 

 

 突然疑問を投げかけられた。西田さんの顔には不満が見えていた。どうやら今すぐにでも出たいらしい。

 

 もちろん私だって今すぐにここから出て帰りたい。けど……。

 

「……この状況を打開するためにはこの場の全員の協力があっても難しいと思います。なので助けを持つほうがまだ死なないと思いました」

 

「ふーん。変なこと聞いてごめんね。そんでさぁ……」

 

 その後も西田さんと雑談をした。

 

 こんな状況でのん気だとは思う。

 

 でも、これは気が抜けてるだとか危機感がないだとかそういうのじゃなくて。

 

 こうでもしないと、現実に押しつぶされてしまうと感じてしまったから。不安と恐怖が見えないように、無理やり蓋をした。

 

 西田さんも私と同じなようで、最初の問いかけ以降現状について一切触れてこなかった。

 

 

 

 本当に、生きて帰れるのかな……。




次回から第一章です。
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