ビューティダンガンロンパ女学園 咲き誇る花園と這い寄る絶望   作:カセットコンロォで焼いた豚

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第一章③

「……暇、ですね」

 

 朝食後自室に戻ったものの、全くやることがない。

 

 当然だがネット環境なんて無いし(あっても機械がないけど)暇を潰せるゲーム機だとかも無い。

 

「誰かに話しかけて……でも殺されるかも……でもぉ……」

 

 暇をつぶす方法は限られている。身体を動かしたりするか、誰かと交流するか。

 

 身体を動かすこと自体は嫌いではないが、こんな状況だとやる気も起きない。

 

 かと言って人と関わるのはトラブル……この場だと『コロシアイ』の切っ掛けになる可能性だってある。

 

「でもでも暇ですぅ……」

 

 堂々巡り。そう表現するしかない状況で私はかれこれ30分同じことを繰り返していた。

 

「……よしっ!いい加減動きましょう!」

 

 気乗りはしないが、このまま何もしないよりもはマシだろう。

 

 私は扉を開き誰かに話しかけることにした。

 

 

「誰かいませんかねー……あっ!」

 

 どうやら食堂前の広場で伽前さんと佐藤さん、久岡さんの3人が話し込んでいるようだ。

 

 久岡さんは打ち解ける事が上手っぽいし、佐藤さんも表情は無いけれど面白い人だ。だけど伽前さんにはそういうイメージが無かった。

 

 ちょっとぐらい聞き耳立てても怒られないよね……?

 

 私は女子トイレとは反対側の壁に隠れて様子をうかがった。

 

「だーかーら!私は参加しないって言ってるでしょ!」

 

「なんでっすかー!やりましょうよー!」

 

「私としてはどっちでも良いけど、憂鬱な気分で過ごすよりはこっちの方が良いんじゃないかと思った。だから、今回は久岡の味方になることにした」

 

「別にやるなと言ってるわけではないわ。私はアンタ達の邪魔をしないからアンタ達も私の邪魔をしないでほしいってだけよ。私が関与しない場所でやって頂戴」

 

「こういう時はみんな揃ってないとダメなんっすよー!顔出すだけでも良いんでお願いっす!!」

 

「小島も、珍しく参加したいって言ってくれた。実は人見知りなだけで仲良くした無いのかも。超高校級の引きこもりですら参加するのに伽前ったら……はぁ」

 

「……あ゛ーもう!!わかった、わかったわ!

 

 今回だけよ!でも顔出すだけだから!」

 

「イエーイ!やったっすー!」

 

「いえーい。やったね」

 

 ……?最初から聞いて無かったからよくわからないが、何かをしようとしていて、それに伽前さんも参加させようとしたのかな?

 

 なんだろう……気になる……。

 

「んじゃあ後はファングスタだけだ」

 

「あれ、まだララちゃんには言ってないっすよ?」

 

「……」

 

 ヒタヒタと足音が近づいてくる。まさか壁に隠れて聞いてたのがバレてた!?

 

「霧ヶ原からは、参加するって聞いてる。さっきあったから聞いといた」

 

「そうだったんすね!じゃあシュシュちゃんの部屋に突撃っすー!あ、ナコトちゃんも一緒に行くっすか?」

 

「なんで私がいかなきゃなんないのよ!」

 

「わー怒ってる。こっわー。久岡、行こう」

 

「そっすね」

 

「私が空気読めないやつみたいな扱いしないでもらえるかしら!!」

 

 久岡さんと佐藤さんは笑い声を出しながらファングスタさんの部屋へと走っていった。良かった、向こう側に隠れていたら久岡さんにもバレてたかもしれない。

 

 佐藤さんが角を曲がる際にこちらをチラリと見ていたことで確信した。佐藤さんは私が聞いていたのを知ってて嘘をついていたのだ。絶対に不参加にできないように。

 

 そんな事しなくても伽前さんや久岡さん、三山先生とかが参加するようなイベントにはむしろこちらから参加させてほしいと頭を下げるレベルだというのに……。

 

「はぁ……」

 

 伽前さんは去っていく二人を見送りため息をつく。しかしその顔はどこか笑っているようにも見えた。

 

「そこにいるんでしょ、霧ヶ原ララ」

 

「……バレてましたか?」

 

 またまたため息をつく伽前さん。しかし今度は表情が呆れ顔だった。目線が痛い……。

 

 

「盗み聞きだなんていい趣味してるわね……」

 

「あは、あははー……すみませんでした」

 

「別に聞かれて困るような話じゃないわ。それで、貴女も参加するのね」

 

「あ、はい……佐藤さんにも気付かれていたらしくいつの間にか……。それで、なんの話だったんですか?最初の方聞いて無くて……」

 

 観測した中では本日3度目のため息。しかも今回のは前に比べて大きい。

 

「もしもこのまま救助が来ないようであれば、コロシアイなんかが起きないように交流パーティを開こうって事よ。具体的な日程は明後日……コロシアイ生活の4日目ね」

 

「そういうことでしたか」

 

 救助が来ればそれで終わり。もし来なかったとしてもパーティで陰鬱な気分を和らげる事ができる。なるほど、4日目というのは丁度いい日だ。

 

「あの……伽前さんはどう思いますか。救助が来ると、思いますか?」

 

「別に私はなんでもわかるってわけじゃ無いのだけれど。

 

 ……そうね、救助に来て欲しいという希望的観測を持っているわ。でも、現実問題こんな大規模な事をするような人間は一筋縄ではいかないはずよ。少なくとも明後日に救助が来るとは思えないわ。

 

 それに、モノクマの証言や気がついたら体育館にいたという事実から見て一部の記憶が無くなっているのは一目瞭然。三山春百も言ってたけど、どのくらいの記憶が喪失しているのか、外の世界がどうなっているのか……これらがわからないのも難点ね」

 

「……」

 

「流石に行政機関が壊滅だとかは無いでしょうけど……例えば私達の時代には無かったテクノロジーがあるという可能性も無きにしもあらずだわ。モノクマだってただのぬいぐるみとは思えない動きだし。

 

 はぁ……いくらなんでも情報が少なすぎるわ……」

 

 またもやため息。どうやら相当参っているようだ。

 

「あの……伽前さんって超高校級の幸運……クジで選ばれたんですよね?もしかしたら奇跡的に逃げ出すとかはできないんですか?」

 

「幸運だったらそもそもここに閉じ込められて無いわよ。それに……私の幸運は"呪い"だから」

 

「呪い……?」

 

「……色々とあったってだけよ」

 

 伽前さんは遠くを見つめながら苦悶の表情を浮かべる。

 

 どうやらあまり触れないほうがいい類の話のようだ。

 

 伽前さんはほぼ初対面の人間なんかにそう安々と過去を語るような人物ではない。私もそのほぼ初対面の人間の一人だが、それぐらいは理解している。

 

 厳しいが優しい、どこか大人びていて強い女の子。それが、今の私から見た伽前さん。

 

 そんな伽前さんに、(話の流れを変えるためといえ理由もあったが)ぽつりと疑問を零してしまった。

 

「どうやったら、伽前さんのみたいな人になれますかね」

 

「……私なんかに憧れてる時点でその理想には届かないでしょうね。それじゃあ私は部屋に戻るわ」

 

「え、あ……は、はい」

 

 しまった。

 

 後悔先に立たず。 過去に何かがあった人間に憧れの気持ちを伝えたらどうなるか。そんなものわかりきっていたじゃないか。国語の問題なら小学生レベルだ。

 

 伽前さんからは怒りを感じた。だがそれは私に対してというよりもは、伽前さん自身に対してのものに見えた。

 

 結局私は伽前さんに気を使ったつもりで、自分のことしか考えていなかった。

 

 

「はぁ……」

 

 今度は私がため息をつく番。自分に嫌気が差す。

 

 優しい伽前さんを……私を手助けしてくれた伽前さんを、傷つけてしまった。

 

 今すぐにでも謝りたい。そう思って伽前さんの部屋の前まで来たのだが、今行っても向こうもこちらも心の整理が出来ていない。少なくとも一晩は待ったほうがいいのかもしれない。

 

 でもすぐ謝らないのも失礼な気が……!

 

「お、何悩んでんのー?」

 

「西田さん!?」

 

 校舎の方から西田さんがやってきた。話を聞いた所自分なりに再調査していたとの事だ。

 

「にしても、文字通り頭抱えてる子なんて初めて見たかも」

 

「あはは……実は先程失言してしまいまして。相手を怒らせてしまったんです……」

 

「あーね。そーゆー時は素直に謝ったほうが良いんじゃないの?」

 

「今すぐ……でしょうか。それとも心の整理をしてからのほうが良いんでしょうか……」

 

「そんなの簡単じゃん。どっちのほうが正しいとかわかんないんだから思った時に行動あるのみっしょ!

 

 行動せずに後悔するよりも、行動して後悔する方がダンゼン良いって!

 

 てか謝るのは何回でもできるし、何回も謝ればいいっしょ。私も昔やらかした時はそうしたよ。ほいじゃーねー」

 

「……!ありがとうございます!」

 

 西田さんの言葉に背中を押さた私は、今朝と同じようにインターホンを鳴らした。

 

「……何」

 

 言葉と表情は怒気を含んだものだった。そりゃそうだ。無神経な発言をしたのは重々承知。というかそれを謝りに来たのだから。

 

 しかし改めて見て確信したが、やはり私に対してよりも自分に対して怒っているようだ。

 

 責められ拒絶されてもおかしくないのに要件を聞こうとしてくれて、睨んでもおかしくないのに視線を地へと落としている。怒りを我慢していたのか唇に噛み傷も見えた。

 

 けど、どんな事情があったとしても、私の罪が消えるというわけではない。

 

 私は頭を思いっきり下げた。

 

「先程はすみませんでした!」

 

「……」

 

「伽前さんの事何も知らないのに、何も考えずに伽前さんみたいになりたいだなんて言ってしまいました。

 

 本当にすみませんでした!!」

 

「……いえ、別に貴女だけが悪い話でもないわ」

 

 顔を上げると伽前さんは「やれやれ」とどこか呆れつつも優しくて可愛らしい言葉を呟いた。

 

「私も、貴女を突き放すような事を言った件について謝るわ。ごめんなさい。ここから出るためには全員の協力は必要不可欠だものね。

 

 でも勘違いしでくれるかしら!別にここから出るためってわけじゃなくて、ただの友達として仲良くなりたいって思っただけだから!」

 

 どこか落ち着いている雰囲気のせいで忘れていたが、そういや伽前さんはツンデレ口調だったっけ。

 

 でもたたの友達として……ってことは。

 

 私は興奮しながら顔を上げ、伽前さんに詰め寄る。

 

「あ、あの……私なんかの友達になってくれるんですか!?」

 

「ふぇ?……あっ!!いや、えと……ち、近いから離れなさい!……コホン」

 

「あ、す、すみません」

 

 赤面して慌てる姿はなんだか新鮮で、ただただ可愛いなぁと思った。

 

「出会って2日と言えど、貴女と過ごした時間は短いとも言えないわ。それで情が移っただけよ」

 

「そうでしたか」

 

 まぁ伽前さんみたいな人が私なんかと仲良くするわけ無いもんね……。怒らせるような事も言ったんだし。

 

「だから……」

 

「?」

 

 眼の前に右手が差し出された。

 

「これから、私の友達になってくれるかしら」

 

「っ!」

 

 私はそれを両手で掴んだ。もしかしたらちょっと強く掴みすぎたかもしれないし、顔も赤かったかもしれない。

 

「よ、よろしくお願いします!!」

 

 こうして。

 

 私に人生で"初めて"の友達ができた。

 

生き残りメンバー予想(超高校級の才能については本編のプロローグ時点で判明しているものを、名前は判明していないものも含めて記載されています。)

  • 入蠱陀子  超高校級の???
  • 戛戛担々  超高校級の???
  • 霧ヶ原ララ  超高校級のそれなり
  • 車田亜矢  超高校級のスケバン
  • 小島和歌子  超高校級のスネカジリ
  • 佐藤詩織  超高校級の痴女
  • 秋文字咲  超高校級の???
  • 園神もえ  超高校級の大食い
  • 黄楊陽子  超高校級の科学者
  • 伽前ナコト  超高校級の幸運
  • 中谷恋雪  超高校級の???
  • 西田果凛  超高校級の指揮者
  • 久岡優月  超高校級のダンサー
  • シュシュ・ファングスタ  超高校級の商人
  • 松風耀  超高校級の見様見真似
  • 三山春百  超高校級の???
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