なかなか更新できずにすみません。最近私生活がゴタゴタしてました。
皆さんは学校の行事に苦手なものはありましたか?私はマラソン大会でした。
五月 この月には二つの大きな行事がある。一つは中間テストだ。入学して早々中間テストがある事に新入生の大半は驚いていたが、二週間前に発表された試験範囲は新しい範囲の問題というよりも入学試験の延長線上のものと考えてもいいような内容だったので安心していた。
そしてもう一つの行事。中間テストの一週間後にあるイベント―――合唱祭だ。
体育祭もそうだが、人によってはそれ以上に好みが分かれる行事だろう。しかし体育祭では運動が苦手な奴は得点が低い競技や運任せの競技に出れば良いのだが、合唱祭は歌う以外の選択肢が無い。おまけにこの学校では原則アカペラなので、伴奏に回る事も許されず歌わない者は指揮者に限定される。もっとも、指揮者は音楽に造詣が深い者しかなれないだろうが。
そういうわけなので、俺達1-8は試験期間中に合唱の練習をしていた。
「おいテノール!またずれてるぞ!」
指揮者であるクラスメートが全員のメロディーを聴きながら随時指摘をしているがあまり芳しくない。どうやらうちのクラスはあまり歌が得意ではないらしい。
「おい、また注意されたぞ俺ら」
「何他人事のように言ってるんだよ。お前が無駄に声を出してるからじゃねぇか、原田よ。」
「俺から言わしてもらえば、二人とも音が外れてるような気がしたよ。」
西川は呆れた感じで俺達を見ていた。原田はともかく、俺はあまり音楽が得意ではない。昔から楽器などが身近になかったせいか音程という概念が俺の頭には無い。
それに反して(?)西川はかなり歌が上手い。本人曰く楽器などは弾いたことは無いが、歌は好きだとのことだ。西川の真面目で几帳面な性格もあいまってか周りの音程のズレも気にしている。
「なら俺達口パクでよくね?ニッシ―みたいに上手い訳じゃねーし、音量も十分だろ?」
「でも、ばれたら減点対象だろ?だったら小声でもいいから歌った方がいいだろ」
「どちらにせよ練習しなければ上手くはならないよ、二人とも」
そんな事を話しながら、俺達は再び合唱練習に戻った。
__________
Side 岸
ここ最近の生徒会室では合唱祭の事で話が持ち切りだ。
別に仕事が増えたわけじゃ無い。合唱祭自体には生徒会はほとんど関わってなくもっぱら合唱祭実行委員に任せっきりなんだが、先生やその他生徒会に関わる人たちの中で例年合唱祭に対してのみ行われる事があるのだ。それは・・・
―――ずばり、勝敗予測だ。
2・3年生のクラス分けは芸術選択であるため、1・2組の大半が音楽選択だ。だからこそ予測することがかなり楽である。おまけに去年までのデータがしっかり残っているから当たる確率はグンと高くなる。
それに反して1年生は受験の成績順で並んでいるので予測も何もない。できる事と言えば練習風景を見て決めるぐらいだ。
何故こんなにも真剣に勝敗の結果を考えているか。理由は単純で、生徒会内で賭けをしているから。といっても金銭以外の物なんだけど。例えば仕事の順番や比重、今度買ってくる菓子など様々。賭ける物を人によって変えているため、基本的にはサシでの賭け事となっている。唯一みんなで予測しあうのは表向き―――すなわち先生と考える時のみだ。先生も結構ノリノリで予測しており、何故かそれぞれの学年通信に自分たちが考えた下馬評を載せている。
…何故先生方もノッテいるのかが微妙に気にはなるんだが、この行事『のみ』ってところも。
とにかく、俺は何としても勝たなければならない。
「というわけでハゲ。俺は自分のクラスが勝つことに3ヶ月分の菓子代賭けるからお前も賭けろ」
「はぁ!?オヤジ息子から金を巻き上げる気かよ!」
こいつ(原田)から金を得るために。
「とりあえず黙ろうか?お前の『本当の意味での)オヤジじゃねぇし、貸した金を『返して』もらう事に何ら不思議な事はねぇだろうがよ」
そう、こいつとは長い間の腐れ縁だが何かと俺を頼ってくる傾向がある。主に金銭的な意味で。毎度毎度「金をくれ」と言っているわけではないが、ねだるタイミングが絶妙というか、とにかく物や金を借りるのが上手い。おかげで気付いたら結構な金額を貸している結果になっている。おまけにコイツは金を返すのがメチャクチャ遅い。いつになるかわかったもんじゃない。
「うぐぅ…」
「お前がうめいても何も萌えねぇよ。っつーかムカつく」
「しょうがない…ここはオヤジの顔を立ててやるか。けど俺が勝った場合はどーするよ?勿論なんかあるんだよな?」
「ん?」
・・・?
「確かに、『賭け』とは双方大体同じ価値の物を担保とするな」
思考停止状態の俺に代わりソファの端っこで本を読んでいた戸羽が視線を変えずに返答した。
「だろ?だから俺だけが損をするのはおかしいと思うぜ。そこんとこはちゃんと考えてるんだろな、オヤジ?」
・・・・・・・・・は?
「いや待て、俺はお前の借金返済の手っ取り早い手段として今回の賭けをだな…」
「じゃあ、俺が勝ったら借金チャラで」
「ふ ざ け ん な。それ絶対同じ価値じゃねぇだろ!」
ふざけたことを言い放つこのハゲに拳骨をくらわした俺は、きっと悪くないはずだ。
Side 岸 end
Side 戸羽
ここ最近クラス然り生徒会室然り、普段感じる事のない雰囲気が漂っている。入学、そしてクラス替え早々に行事がある為であることは疑いようもない事だが、きっとそれだけではないだろう。教師の方々もそうだが、『合唱祭』というのは事前の練習を無くして語る事はできない。新たな集団の中で様々な葛藤や協力がある中でクラスの一体感を早めに作る事こそ本来の狙いなのではないかと個人的には思う。
しかし…
「いつまでも返さねぇのが悪いんだろこのハゲ!」
「それとこれとは話が別だろ!?それとも自分が負けるのが怖いのかなぁ~?え?」
「つべこべ言わずにさっさと返せ!」
学級の和を目的とした事が、こんな醜い争いを生むことになるとは恐らく誰も想像していなかっただろう。よくもまぁそこまで熱心に言い合えるものだ。なんだかんだ言って仲が良いのだなと感心しながらも、そろそろ止めた方が良いだろうと推測する。ただでさえ会計の相方が最近神経質になっているのだ。任せている自分も自分だが彼の方が恐らく要領が良く適任であり、且つ毎日此処にいる。俺はそこまで頻繁に来ない上にその事務作業を完璧に覚えていない。
だから
「まぁ二人とも落ち着け」
このくらいは俺がやろう。
「たしかに原田が言っているように利益が無いのはおかしい。「だr」が、だからと言って、借金をチャラにする事も平等ではないだろう」
二人共言いたい事はここまで単純なのに、売り言葉に買い言葉と下らな…もとい実りのない話を延々としているからここまでこじれるのだ。
「ならば、現状維持。すなわち『すぐに返さなくても良い』ぐらいが妥当だろう。ただし、例えば半年までなら特に愚痴も言わずに受け取る事や、利子をつけずとも良いとか条件を若干原田に有利にすれば良い。それならば岸が勝てば直ぐに借金はなくなり、原田が勝てば負い目が無くなるのと少し負担が減るだろう」
「でも、それだと俺は結局損するじゃねーか…」
岸が納得した表情になる一方で、原田はやや不満そうに言った。
「そもそも借金をしたのなら返すのが道理だ。そこに疑問を挟む余地は無い」
「…わぁったよ。それで良いなオヤジ」
「…良いだろう。絶対忘れんなよ」
納得した様子の二人を見つつ少し視線をずらすと、若干呆れながらも眉間の皺が取れた相澤が見えた。その様子を視認しながら俺は視線を再び下に戻した。
Side 戸羽 end
そろそろキャラの個性が出せているかな?また更新が遅くなるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。
年内にもう一回、できれば更新したいです。