青春珍道中   作:安部礼司

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 もう三月も終わりますね。今後益々更新が不定期になるような気がします。今回間に合ったのは案外奇跡的でした。 

追記:少し改訂しました。気付かない程度かもしれませんが。


第八話

 「さて次は…後夜祭?そんなのあったっけ?」

 「ここ十年くらいの記録には載ってなかったが、昔から後夜祭の復活要望はあったようだぞ」

 

 俺の質問に対し、岸は返答しながら整理していた書類の一部を引っ張り出した。そこにはちょうど10年前の意見箱に投函された要望の一覧があり、『文化祭最終日の後夜祭を復活させてほしい』という一文が確かに残されていた。

 …しかし、全く同じ要望を10年前にも出していたとは。後夜祭がよほど魅力的なのか、もしくは高校生の意識が昔から変化していないのか。周りの顔を見てみると皆考えている事は大体同じなのだろう、複雑な顔をしている。

 若干気まずい雰囲気になりかけたところで、唐突に西川が呟いた。

 

 「そもそも、後夜祭では何やってたんだろう?というか、『復活』ってことは一応その内容とかも知らなきゃダメなんじゃない?」

 「確かにそうなんだが…さっきまで整理していた書類の中には後夜祭について詳しい事が書いてある書類は無かったぞ。そもそも、文化祭に関しての事なら生徒会執行部じゃなくて文化祭実行委員会の活動範囲なんじゃないのか?」

 

 戸羽の返答に対して皆であれこれ考えた結果、『生徒会執行部の意見箱に投函された』事と『委員会は、生徒会執行部の元にある』という事から、とりあえず生徒会で一回考える事を決めた。

 文化祭実行委員の資料を漁り後夜祭の内容を見てみると、30年くらい前まではあった恒例行事だったらしく、大体は校庭の真ん中でキャンプファイアーを焚きながらレクリエーションを行っていたようだ。しかし、校舎の近くに様々なビルが建つようになり近所の住人から騒音を指摘され中止となった。

 これまでが表向きの理由らしい。実際はレクリエーションの際どうやら酒が入ってしまったらしく、酔ったお馬鹿な高校生が近くの公園で暴力問題を起こしかけたようだ。その生徒に対しての処罰やなんやらは具体的に残されてはいなかったが、本当の原因として後夜祭中止のお知らせの原本にはそう記されていた。たった一枚だけ残しているあたり、誰かが意図的に書いたのだろう。

 

 「当時の中止の理由を知ると、後夜祭を復活させるのは難しそうだな」

 「でも公式にはこれが理由じゃないんだよ?面白そうだからボクは復活させたいんだけど」

 「バカ。表向きの理由は『近所の皆さんへの配慮』だろ。それを撤回するわけにはいかないだろ。加えて今のご時世に高校生が酒を飲んだらどうなる?先生の責任とか学校の責任とか色々ヤバいだろ」

 

 最後の最後まで木ノ原は賛成を推していたが他の生徒会執行部員が反対したため、この要望は取り消されることになった。

 

 

__________

 「最後、文化祭のミスコンらしいんだが…」

 「そもそもミスコンってあったのかよ」

 「あ、ミスコン自体はあったみたいだよ。後夜祭で発表するのが習慣だったとか」

 

 岸が若干うんざりしたような口調でもらした疑念に答えたのは、意外にも木ノ原だった。

 

 「てことは、ミスコンは後夜祭が無くなったことで自然消滅したわけか」

 「そういうことだね。これならミスコン復活させることは大丈夫なんじゃないかな?」

 「けどさ、仮にミスコンをやったところで、それに参加する女子なんて今時いるのかな?」

 「そうだな。仮にミスコンを復活させても自由参加だろうからな。『クラスから必ず一人出す事』なんて但し書きを加えても喜ぶのは男子位だろ。ましてや諍いや揉め事が起こっても困るし、ネタなんかにされた時は女子が可哀想だ」

 「そもそも三次元の女がミスコンをやったところで興味が無い」

 

 ・・・誰が何を言ったかはこの際放置するが、分かっているのは木ノ原が興味津々で、西川、戸羽が反対。岸が興味なしという事だな。

 

 「「「お邪魔しまーす」」」

 「ん?あぁ、先輩方。どうも」

 「何話してたの?なんか面白い事なら聞くよー」

 

 相変わらずな川島先輩に苦笑いしながら、ちょうど女性の意見も取り入れられるチャンスだと思いミスコンの話をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・後から思えば、これがフラグだったんだよな。相談するべき人は、選んだ方が良かったのに。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 「これは一体どういう状況なんだろう・・・」

 

 俺は今ほど生徒会に関して現実逃避をしたいと思った事はこれまで無いだろう。目の前には腹を抱え、地面に横になりながら爆笑している男子と女子が1名ずつ。必死に、必死に笑いを堪えようとしている男子が2名と女子1名。『顔から火が出る』を体現化している女性が1名と気持ち悪いほどニコニコしている男の娘1名。そして・・・

 

 「あ、ありのままに起こったことを話すぜ!?生徒会室にいつも通り入ろうとしたら、メイド服を来たお方が俺に近づいてきて『ヒャッハー!!』とか『俺にも春がキター!!』とか思っていたがその一人をよく見てみると『娘』は娘でも『男』が一人混ざっててしかもそつが俺の方に近くて頭が真っ白になっててテテ」

 

壊れている男子、原田がいた。ホントどうしてこうなったのだろうかと呆れと困惑が半々になりながら、彼が壊れる直前までを思い返した。

 

 

 

 

 

――――――――――

 「ふ~ん、ミスコンねぇー」

 「面白そうだねー」

 「たしかに面白そうだけど…参加してくれる子いるのかな?それに男子は楽しむだけだけど、女子は大変そうだよ?」

 

 一通りこれまでの経緯を話し終えると、三者三様の返事が返ってきた。もはや誰がどのセリフを話しているのかを確かめなくとも分かるようなコメントだ。

 

 「確かに、女子の負担は重そうですよね。男子は…主催側に回るって方向で良いのかな」

 

 生真面目に返答する西川は、この個性的かつ様々な方向に尖っている生徒会では貴重な人材であると俺は思う。

 そんなこんなと既にミスコンをやる事を前提とした話し合い(押し問答?)を先輩方も含めかれこれ30分ほどたった時だった。

 

 「あ~もうめんどくさい!だったらここに居るメンバーで実際にミスコンやれば良いじゃない!」

 

 色々と話すのが面倒になった川島先輩が、これまでの鬱憤を晴らすように声を張り上げた。『これ以上文句は言わせないゾ♪』と殺気を込めた視線に中てられた俺たちは、『各学年一人ずつ』ミスコンメンバーを決める事になったのだが、当然俺たち5人に女子は居なかった。

 

 

 

 

 

  そこで当然の様に選ばれたのは我らが男の娘生徒会長様な訳で…

 

 

 

  先輩方の方はこれまた当然のごとく被害者、もとい犠牲となったのは新垣先輩な訳で…

 

 

 

  二人共最初は嫌がっていたものの、変なスイッチが入ったのかノリノリになってしまい…

 

 

 

  結果として、二人ともメイド服を着る事になったのだ(キリッ)

 

 

 

 

 

 いや、本当に成り行きだったんだよ。そもそも何でここにメイド服が置いてあったのかとか疑問に思わないレベルでなんか雰囲気に流されたんだよ。それで結局田辺先輩と川島先輩が暴走して『扉に向かってお客様にご奉仕する』という無茶振りを強要(?)してノリにノったまま二人ともウィンク付きで扉に向かってご奉仕したら、何の因果か偶然原田がベストタイミングで扉を開けて迎えられてしまった。

 

 

 

―目の前には何故かメイド服の少女(?)が二人

 

――ウィンクしながら『お帰りなさいませ!ご主人様!!』

 

 

 

 その場に居た全員、時が止まったかのように感じた。だがしばらくするとまず新垣先輩が恥ずかしさのあまり絶叫。原田は滅茶苦茶鼻を伸ばした状態でもう一人のメイドに近づくまでは良かったが、それが木ノ原と分かった途端にコワレてしまった。

 

 まぁ、原田の気持ちは十分理解できる。何故か男のくせにくびれがあり、ミニスカ状態でありながらその姿に違和感がない。先輩と並ぶと褐色の肌が余計に目立ちお互いの身長もさほど変わらないからか、よく映えている。

 そのくらいに、メイド服姿の木ノ原は周りが驚くほどスレンダーな女子に見えた。原田からすれば予期せず天国に上がったと思い、迫ってみれば男だったという地獄を味わったのだからやってられないだろう。このカオス状態は時間でしか解決できないのかと半ば諦めた上でぐったりと椅子に座った。

 

 

 

 結果として、新しい人物が加わった事により暴走は急停止したわけだが、現実と暴走時のギャップに全員が悶絶してしまった。というか、原田に至っては今回に限っては被害者…というより役得に近い立場だ。あれ?という事は、彼は損をしてないのか?

 

 結局全員が落ち着いたのはそれから10分後の事であり、ミスコンに関しては『さっきのようなカオス状態になったら、誰も止められなくなる』恐れがあったため、全員一致で否決された。なお、メイド服に関しては『生徒会の備品』の一つであったことを学習した。

 

 

 

 まだまだ、俺はこの生徒会に関して知らない事は多いらしい…。

 




今後もよろしくお願いします。

kyou_chan_007様 少し改訂しました。今後ともこちらも努力しますので、よろしくお願いします。
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