稀代の火影にオレはならない   作:ナルトスは私の青春そのもの

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皆殺しと半殺しどっちが好き?

丹精込めて作った温泉の開会式を行なった。おめでと〜ありがと〜!色んな国の大名を呼んで温泉にぶち込んだ。温泉上がった後に飲むのは牛乳か、コーヒー牛乳か、フルーツ牛乳かで喧嘩になりかけたが概ね好評。ここから更に宿建てたり、風呂のバリエーション増やしたり、卓球できるようにしたり、マッサージ得意な人育成したり、岩盤浴にサウナにエトエトセトラエトセトラ……。

やることが、やることが多すぎる……!

働くことが大好きな社畜体質の志村一味にやることリストをぶん投げときゃ良いのでオレは楽なもんだ。いつも助かってる。って口では言わないけどね。へへっ。

 

藁人形に釘を刺すモーニングルーティンを済ませ良い汗をかいたところで吉報が入ってきた。

うちはイズナ討死!!おっそーい!

待ってたぜこの時をよォ!俺は即座に『同盟ま〜ぜて♡』の書簡を送り出した。こうゆうのはスピードが命だからね。猿飛に負けてられねぇ。『1に志村、2に猿飛の書状が届いたゾ!』と柱間ァ!に言わせてみせる。セリフ改変も辞さない構え。

 

顔パスで湯の国に入れるオレは試作段階の温泉に入りに来た。毎日温泉に浸かれる幸せ。温泉最高!死体のない快適な温泉だぁ!真っ昼間から雲ひとつない青空の下で温泉にぼっちで浸かる贅沢。たまらん。

ボケーっとしていたら唐突な爆発音の後、快晴の筈なのに影がかかる。そしてドボンと上から何か落ちてきた。

水飛沫が目に入った。イダイ!目を擦ってびっくりした。手が真っ赤だ。万華鏡写輪眼を開眼した訳ではない。

親方!空から血肉が!ってことだった。

地雷札にぶっ飛ばされてきたんだね。

ちょっと男子〜!?殺し合うのやめなさいっていつも言ってるでしょ〜!?

全く血の気が多いヤツはこれだから……。頭が血塗れになったので洗い直しである。血脂は落ちにくいってご存知ない??人の迷惑を考えない人ってワタシ、嫌い!

ここら辺はまだまだ忍が這い寄っている。火の国より狭いけど、それでも全然広いこの土地に。邪魔なので湯の国在住の忍を日々駆逐している。当然だよな?温泉に忍はフヨウラ!温泉に入りたいなら正規ルートで入ってください。お代はいただきますがねぬふふふ。

また爆発音。静かになるのも時間の問題。一人見つけたらそこから根切りにするから野蛮な浮浪者はいずれいなくなるさ。

血も肉も浮かんでいない温泉に浸かりなおしてさっぱりしたオレは千手から書状が届いたという報告に笑顔で答えた。

なになに、ずいぶん遅かったじゃないか。うんうんなるほどなるほど。要約すると……。

 

『返事は待ってクレメンス……』

 

???

内容がないよぅ……?同盟のことが全然書いてなぃ……。

隠されし暗号がないか、頭文字だけ読んだり、逆さに読んだり、斜め読みしたり、解読得意な志村さんを呼んで一緒に頭を悩ませた。そして解読の結果『ちょい待ち!』以外の解釈ができないという。

じゃ、温泉事業で忙しいんで……って勝手に帰って行った。オレは一人で更に頭を悩ませた。

オレの灰色の脳細胞がティンと閃いた。火で炙ったら文字が浮かび上がるタイプ?と蝋燭の火にチョンって付けたら全部燃えた。

は?は?は?は?

 

「どぅゆぅコト!?マジ意味分かんなぃ!」

「どうしたのじゃダンゾウ」

「爺ちゃん聞いてよォ!千手がさァァ!」

 

サウナから出てきた爺ちゃんが駆けつけてくれた。

緑色の畳に落ちた書状の燃えカスを擦り付けて深緑色になった畳の上に座布団を敷く。俺は愚痴った。同盟組んだんだから俺も混ぜてくれたらいいじゃん。なんで即答で『OK!』って言ってくれないの〜!?と。爺はうむうむわかるわかると相槌を打ってくれた。必要なのは良き理解者だ。

思う存分吐き出して落ち着きを取り戻す。

そうだ。先生を呼ぼう。

その為の契約だ。

 

 

「と言う訳で、どうゆう事なんですか先生!何が不満なんですか!?俺達ってタケウマの仲でしょお!?」

「竹馬の友のことか?」

「流っ石先生!博識だな〜なんでも知ってるんだから!超絶リスペクトですよぉ〜!

って、そうじゃなくて!質問に答えてください!今日という今日は誤魔化されてやりませんよ!」

 

コイツと竹馬の友と思った事はない。誤魔化しも何も勝手に勘違いしまくるのにどうしろと。いつものふざけた態度に千手扉間は苛立ちを面に出すことなく努めて冷静に振る舞う。

 

「暫しお待ちいただきたいと書状を送った筈だ。見ていないのか」

「見ましたよ!だから呼んだんですって!」

「いちいち呼び出されては書状の意味がないだろう!」

「飛雷神の術があるから別に大変じゃないでしょ先生は。あ、ここにマーキングしてっていいですよ。もっと楽になるでしょう?」

 

少年は包帯の巻かれた右手で机を撫でる。『源泉に手を入れたら火傷しちゃったんですよぉ〜;;』と言っていたが眉唾物だ。以前は『鏡で怪我しちゃったんですよぉ〜;;』とも言っていた。包帯を外したところを見たことがない。

 

「どうです?使えないとかなしですよ。うちはイズナに食らわしたんでしょ?『ギャハハ食らえ卑劣切り!』」

「は?」

「アッ、ナンデモナイデス……へへっ。

……そ、そうだ、先生どうぞ、おはぎですよ。オレのばっちゃが作ってくれたんです!美味しいですよぉ。こっちが『半殺し』でそっちが『皆殺し』です!先生はどっちが好きですか?オレは断然、皆殺し派です。つぶあんよりこしあんが好きでもあります」

 

そっと目を逸らして聞いてもいないことをペラペラと話す少年。

勧められるままに皿に乗ったぼた餅を一つ取る。半殺しの方だ。

 

「ワシはつぶあん派だ」

「奇遇ですね!オレも実はそうなんです!こんな偶然があるなんて〜奇跡ですよぉコレ!嬉しいなぁ」

「……そうか」

 

舌の根も乾かぬ内に意見を翻し、当然の如く半殺しのぼた餅を齧り始めた少年。食べながら手で「どうぞどうぞ」と示される。

ぼた餅を嫌々ながら口にする。もち米がちょうどよくすり潰され食感が良い。味もほのかな甘みで食べやすい。そして今回は毒は入っていなかった。

針が入っていた。

 

「美味しいですか?」

「……ああ」

「よかった〜!ばっちゃも喜びます!」

 

そう言って口からペロリと針を取り出しては笑みを浮かべる少年。

本当に嬉しそうに見えるのが悍ましい。

 

「喜ぶと言えば……この度はうちは一族との大戦に大勝利を収めたこと、お喜び申し上げます!先生の手によって勝敗が決したと言うのはおめでたいことです!」

「まだ決着がついたわけではない」

「ついてますよ。うちはイズナが死んだんですから。じゃあ勿論同盟組みますよね?オレら志村一族も入れてください」

「なぜそうなる?うちはイズナが死んだとは聞いていない。同盟という話はどこから出てきた。千手とうちはは組んでいない。存在しない同盟に加えることは不可能だ」

「え?……え??」

 

目を見開いて困惑を浮かべている。何言ってんのこの人……という顔に、オレの方がそう言いたかった。ふざけた書簡を本気で送ってきていたようだ。

とんでもなく突拍子のない思考を更に飛躍させていたらしい。

うちはイズナが死んだと断言するのは何故だ。確かに数日前、うちはイズナに深手を負わせた。しかしその傷が命を奪うに足りたのかは分かっていない。死んだとしてうちは一族が早々に情報を漏らすだろうか。うちは一族に内通者がいるのか?あの一族に内通者?どんな手を使ったのか。どうせロクなことはしていまい。

同盟については、……兄者は同盟を結びたいとは考えている。だが、あくまでそこ止まり。実際に同盟まで持っていく目処は立っていない。停戦を促す書状の返答は、届いていない。

少年はまじまじとこちらを見て、ゆっくりと、言葉を発した。

 

「うちはイズナが死んだと、ご存知ない??」

「ああ」

「はあ……なぁんだ。そういうことか……同盟はもうちょっと先ですね。ちょっと勇み足でした。へへっ」

 

勝手に納得したらしい。何がもうちょい先なのか。同盟が組まれる事は揺るがぬ決定事項だと。未来を知っているかのように断言する。一体何が見えている?

身を乗り出して楽し気に口を開く。

 

「じゃ、次はアレですね?『そのゾクッとするのオレもやりたい』ですね!」

 

言葉の裏という物があるがコイツの言葉は難解過ぎる。理解の範疇を超えることばかりほざく。うんうんと、したり顔で頷く姿は子供そのものなのが不気味で得体が知れない。

気味の悪い言葉の続きはやはり気味が悪かった。

 

「柱間様が先生を殺すとは思いませんが……死んじゃ嫌ですよ。あの名言を聞くまでオレ、死ぬに死ねないんで」

「待て、なぜ兄者にオレが殺されなければならん」

 

流石に看過できない言葉に反応し、しまったと思うが遅い。爛々と輝く瞳はせせら笑いに歪んだ。

 

「さあ。その時になったら、そうなるだけです。運命が変わらないなら、ですけど。

運命が変わるなら、先生は死ぬんです」

 

どうなるんですかね。そう言って今度は皆殺しのぼた餅を齧り始める。

 

「……運命があると思うのか」

「ないと思いたいものです。じゃないと頑張り甲斐がないじゃないですかぁ。

あ、でも本当に先生には死んで欲しくないんです。悩ましいなぁ」

 

頭を抱え始めて悩んでいますよと態とらしく振る舞う少年に吐き気を覚える。

 

「先生、なるはやで頼みますよ。飛雷神よりも素早く!」

 

ぼた餅を茶で流し込んだ彼はまた口から針を取り出す。二本目の針を爪楊枝のように皆殺しに突き刺した。

 

「俺が元服するまでには間に合わせてください。ドーメー」

「……間に合わなかったらどうなる」

「オレが元服するだけですけど?」

 

針を弄ぶ指。包帯に包まれた指はぼた餅のあんが付いている。

 

「先生がモタモタするせいでもっとたくさん人が死にますね」

 

 

先生は帰った。光の速さで——いや、雷の速さで。このオレの目を持ってして見切れない速さ。オレ以外でも見逃しちゃうね。

人が死ぬのは日常茶飯事。脅しにもならない。ちょっとカッコつけたけただけ。

オレも、先生も、知らない人が死んでも別にどうだっていいってのは前世の価値観とそう変わらないだろう。親近感を覚えてくれたら嬉しいな。

運命がどうたかね。ちょっと歴史がズレていなくもないが、正史の年代は細かく記載されてなかったからさぁ。まだまだ歴史の強制力がどんなもんか確信できない。ネームドをやっちまうのが一番手っ取り早いけど。そんなことしたら未来分かんなくなっちゃうジャン?知識チートが使えなくなるのは困るんだわ。という建前ね。既にやらかしてるけど誤差だよ誤差。ちょっとしたミスは歴史の修正力に期待したい。良い感じの改変と史実通りの塩梅をくぐり抜けたい。都合よくあってくれ。

オレの人生まだまだこれから長いんだから。

 

……今回のやらかしについて言い訳させてほしい。

NARUTOの内容を忘れないように紙に書き起こしたりしてないからたまにポロッと抜けが生じる。そういえばこんなイベントあったなぁと。先生に指摘されるまですっかり忘れていた。オレの頭の中身は黒ゼツに知られたらマズイ事柄が多い。だからNARUTOの内容をメモに残せないし、暗号にしたところで解読される可能性があるから絶対にできない。色々やらかしている時点で今更な気もするが、未来のネタバレをあえて晒し上げる必要もないだろう。

とまあ……とにかく。ド忘れすることも問題だったが、今回みたいな思い込みの食い違いで先生を困らせるのは大変よろしくなかった。

反省しよう。……よし反省おわり!クヨクヨしてても仕方ない!次がんばろ!次々ぃ!

確実にイベントは発生している。先生の飛雷神斬りもそうだし、うちはイズナが死ぬのも予定通りだ。このまま順調に里を作って〜なんやかんやしてもらわねば。

CPHは……今は丁度、目の移植の真っ最中?この時代の衛生環境で上手くいくのは奇跡的だなぁ。オレん家に頼ってくれたら確実に成功させる自信あり。他の一族は誰もそんなこと知らないので宝の持ち腐れだった。そもそも他の一族って言うと大体全部敵扱いになるこの時代。敵を治療するとかドMか?オレはドMではないのでぇ。早く里を作って医療無双したい……したくない?

 

右手を見る。普通に右手でおはぎを食っていたから汚れてしまっていた。包帯を取っ払えば傷ひとつない手。カガミのヤロー……じゃなくて鏡によって負傷した傷も、源泉で負った火傷もすっかり治っている。真っ白白な右手に、健康的な肌色の左手を並べて見る。

全然色が違う……。

志村ダンゾウコスプレの一環でずっと包帯を巻いていた。気付いた時には差は歴然。右腕だけ日焼けそびれている。これを見られたら『なんであの人両手で色が違うの?』『右腕に柱間細胞移植したんじゃね』『きも……』とか言われちゃうに決まっているのだ。恥ずかしい。絶対に人前で外せない……。でも日に当てないと差は開くばかり……。日焼けマシンを作るか……?実は顔の右半分も若干やばい。包帯巻くんじゃなかった。

 

顔半分といえば、オレの右目……。そろそろこの目は破棄しないと。右目には白眼が収まっている。

タンスの角に小指を百回はぶつけて流石にオレも嫌気がさした。適当な死体から目玉をもらってもよかったが、折角なら三大瞳術を入れたいジャン?ほら、オレってダンゾウだから。

白眼を手に入れるのは苦労した。日向一族の大量の白眼と柔拳を潜り抜けて持ち帰るのが大変だから。体術のエキスパートでスペシャリストな日向に真っ向から立ち向かうとか絶対無理。オレは困ったので先生を頼った。どうやったのか教えてくれなかったけど、先生は華麗に日向をお持ち帰りしてくれた。しかも、死体じゃなくて生きたまま。やはり天才か……?

日向はこの時代、宗家以外全員呪印額につけててヤベェですよ。絶対に盗まれたくないという意志を感じる。

しかし呪印の最先端を突っ走る志村一族に隙はない。カゴの鳥呪印とかお茶の子さいさいで解除できるから。刺青は消せないと思ってる?頑張れば消せるんだわ。これ、未来の常識ね。

呪印を解除され驚きに白目が大きくなった某日向氏。いい勉強になったな。勉強代はお前の目玉でいいぜ。とサクッと剥ぎ取った。

右目に白眼をぶち込んで、余った左目は顕微鏡の繋ぎに使っている。これが便利なんだな〜捗る〜!でもナマモノだから早くちゃんとしたものに変えたい。そろそろ腐る。

 

で、今後のことを考えて、日向も同盟に加わるのにつけっぱのまま透視されてバレたら気まずいよね。

史実の志村ダンゾウは右目に写輪眼持ってんのバレなかったのかな?モラルの問題?無闇矢鱈に白眼を使わない?じゃあ入れっぱでもバレんか?いやぁどうかな……。

安全牌を選ぼう。転生体二人の三日三晩の大怪獣バトルを観戦したら供養。お焚き上げだ。

 

残っていたおはぎを食べる。そして口からぺっと針を吐き出した。先生は普通に食べてたけど……まさか飲み込んじゃった?今回の小ネタの1つだったんだけど……。

ツッコミが無いボケはひたすら虚しい。ばっちゃが作ってくれたんですよ!とも言ったのに、『お前の婆死んでるやないかーい!千手に殺されとるやないかーい!』ぐらい言ってもらいたかった。ま、まあ先生が言ったらキャラ崩壊……?むしろ清々しいまでのスルースキルに賞賛の嵐ッ!!

 

先生は本当にカッコイイ。オレにはもう『卑劣様』とか茶化せないよ。

どうかこのまま尊敬させ続けさせてくれ。大人のカッコよくて頼りになる背中を、見せてほしいな〜。




うちはイズナ
土に還りかけ。

ばっちゃ
土に還ってる。

日向某氏
土に還らせた。
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