有職転生〜異世界行ったら…え?三歳で剣を振るんですか?〜   作:KEN・JACK

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皆様感想にてメッセージありがとうございます。
本当はもう皆様の目につく所に小説を置いておくつもりは無く、自分で見返す用に保存だけしておくつもりで執筆していたのですが、長文で惜しんでくれる方や残念だと仰ってくれる皆様に勇気を頂き、また感謝を伝えたく思い、ここを小説の保存場所に致しました。

愚かな私の事です、またおかしな事を書いて不快な思いをさせるかも知れませんが…まぁ私のスマホで私しか見返さないよりは良いかなと思った次第ですので閲覧には注意頂きたく思います

以前までの分は本当に消したので途中からです。修正はしましたがアスラに来るまでの話はそのままです。

14話までの分は…気が向いたらもう1回書くと思います


入国

「…貴様、ジノ・ブリッツか?」

 

トリネゴが首都へと入る手続きを後ろで待機していると、奥にいた初老の兵士が俺の方を向いて語りかけてくる

 

「そうですけど…どうかしましたか?」

 

「間違いないな?」

 

いや…間違いは無いけどさ、何でそんな食い気味なんだよこのおっちゃん。俺別に悪いことしてない…よな?

 

「ジノ…貴方何やらかしましたの?関所で名指しだなんてよっぽどの犯罪者でないと有り得ませんわよ」

 

「いやいや…僕この国初めてですからね?聖地に出てからはずっと居たじゃないですか」

 

それで指名手配クラスの悪名を作れるなら俺は今すぐ剣を捨てて悪のカリスマとして生きていくよ。

 

若干引き気味に耳元で囁くエリナリーゼの言葉を慌てて否定すれば、剣を鞘ごと腰から外す

 

「剣神七本剣が1つの玉響に、北帝オーベールの弟子の証の指輪です。これで証明になるかと」

 

そのまま初老の兵士に見せれば、周りの兵士達の雰囲気も変わる。そんな珍しい動物見た時みたいな顔されたら流石に傷付くな

 

「…確かにそれを持っていて勘違いという事は無さそうだ」

 

「分かって頂けたようで何よりです。それで…何でわざわざ僕だけ名前を?」

 

エリナリーゼや他の護衛は勿論、前にいた商隊も護衛には冒険者カードを確認するくらいしかしていなかった筈だが…剣王は入れないとか?

 

「…水神様が貴殿に用があると仰っている。ご同行願いたい」

 

「す…水神様ですか?」

 

水神と言えばガルと並ぶ神級の剣士だ、そんな大物がわざわざ王国の兵士を使ってまで俺を探している…正直怖い

 

「ちなみに…用件の内容は…?」

 

「私には分からん」

 

「お断りするとどうなりますか?」

 

「精々上級の私に貴殿をどうこうする事は出来ん。だがこの国には水王や水帝も数多く籍を置いている…水神様に恩義を感じている方々だ、その願いは叶えて差し上げたいと思うだろう」

 

ふーむ…つまりここは何てないけど水神に会えという水王や水帝がやってくるという事か…それ実質拒否権無くない?

 

「故郷に何か言い残したい事はありますの?」

 

「勝手に殺さないでくださいよ…」

 

心配そうに遺言を預かろうとするエリナリーゼに突っ込みを入れれば、今一度兵士のおっちゃんの顔を見る。

 

流石というべきか感情の読取りにくい顔だ、真面目な話なのかジョークなのか本当に分からん…

 

「…わかりました、お会いしましょう。ただお力になれる事は無いと思いますよ?」

 

「それを決めるのは我々では無い。ご協力感謝する」

 

抑揚の無い声で礼を言うと、おっちゃんは軽く頭を下げる。予定とは違うがまぁ良いだろう…どうせ水神流には寄ろうと思ってたんだ

 

「なんだジノ、逮捕されるのか?」

 

「まぁそんなとこです。また本取りに行きますから」

 

茶化すように言うトリネゴにそれだけ言い残すと、俺は商隊と別れて兵士に付いて関所を後にした

 

〜〜〜

 

案内されたのは近くの水神流の道場だった。

 

中では木剣を持って模擬戦を行う水神流剣士達の姿は勿論、鎧の兵士たちが休憩している所も見かける…あれか、詰所としても機能している感じか

 

「水神様がいらっしゃるまでここで待っていてくれ、飲み物を用意しよう」

 

「あ、お気づかいなく」

 

通された部屋は椅子と机しかない簡素な所であった。けど流石はアスラ王国…聖地よりも高そうだ

 

おっちゃんはお茶を持ってきてくれたっきり戻ってこなかった。そうなると問題が出てくる

 

暇なのだ、今の身長では持て余す椅子に座って足をプラプラさせるしかする事が無い

 

にしても…剣王って凄いんだな、龍神は俺に会いに来てたっぽいし、水神はアスラに来たら会いたいとか言い出してるし

 

まぁでもそれだけこの歳の剣王がバグっているという事なのだろう…思いの外この身体チートなのかも、ガルも言ってたしな

 

「そりゃおめぇがおかしいだけだ」

 

ふっ…決まったな、声変わり前だから凄みってやつが足りないけど…我ながらいい再現度のモノマネじゃないか?

 

聖地なら大ウケ間違いなしだろう。ニナとか数分は息が出来まい

 

「…お取り込み中申し訳ありません」

 

「…………」

 

おい、部屋に入る時はもっと勢い良く来てくれよ…誰もいないと思って渾身の持ちネタを披露したじゃないか

 

「あの…出来れば今のは忘れて貰えると助かります…ホントに暇だったんです…」

 

「まぁ…善処しておきます」

 

入ってきていたのは、歳若い少女であった。

 

歳はニナと同じくらい。ニナほどでは無いが少し青みがかった美しい黒髪ロングの少女だ

 

顔は…かわいい。将来はきっと清楚系の美人になる事は間違いないな…この世界ほんと美形多いな

 

少女は赤面する俺など意に返さぬと言ったように俺の前まで来ると、恭しく頭を下げる

 

「お初にお目にかかります、剣王ジノ・ブリッツ殿…私は【水聖】イゾルテ・クルーエルと申します」

 

「あ、これはどうもご丁寧に…剣王ジノ・ブリッツです」

 

慌ててこちらも剣神流の礼で自己紹介をするが、イゾルテは不思議そうに首を傾げる

 

「おやめ下さい、貴殿は王級…聖級の私に頭を下げる事はございません」

 

そうか…そんな感じなんだなこの世界は。けど日本人たるもの礼儀は忘れたくないんだよね

 

「いえ、称号だけで威張るのは良くありませんので。相応の礼節は守らせて頂きたい」

 

「…驚きました、剣神流の剣士とは思えない謙虚な方のようですね」

 

いや…剣神流のイメージどんなやねん。まぁでもトップがあんな感じだし、野獣のような印象持たれてもおかしないか

 

「それで…どうされましたか?水神様が来るというお話だったと思うのですが…」

 

「はい、お呼び立てしたのはお師匠様…水神です。私はお手隙の剣王殿のお相手をするように仰せつかっております」

 

なるほど…つまりアレか、水神としてはレアなヤツを捕まえたから弟子に経験値を積ませておこう的なやつなのかもしれない

 

「こちらへ…聖級が相手では物足りないかもしれませんが、退屈はさせませんので」

 

俺は感じていた…この穏やかに見える少女の瞳の奥に…

 

凄まじい闘志が宿っているのを

 

〜〜〜

 

「申し訳ありません、何せ道場ですから…見物人も増えてしまいまして」

 

「いえいえ、それはお気になさらず…逆に邪魔をしてしまって忍びないですよ」

 

イゾルテに付いて行けば、先程騎士たちが修練していた場所へと戻ってくる。

 

中央には既に木剣が用意されており、周りにはどこからか噂を聞き付けたのか多くの見物人が居た。

 

 

「流石…この程度では動じないという訳ですか」

 

何か勝手に過大評価されてるけど…割と緊張してるんだよな実は。道場って言うのが良かったな、これが闘技場とかだったら多分隠しきれてない

 

「この国には水神流の剣士は多く居ますが…剣神流の剣士と戦う機会は多くありません。学ばせて頂きます」

 

それだけ言うとイゾルテは中央の木剣を拾い上げ、こちらを見る…拾って位置につけという事だろう

 

「私としても水神流と手合わせするのは初めてなので…お手柔らかにお願いします」

 

こちらも木剣を拾って決められた位置へと立つ。何かこういう稽古も2ヶ月ぶりだなぁ

 

「…いつでもどうぞ?」

 

イゾルテは余裕綽々と言ったように構えたまま動かない。剣神流の剣士の隙を伺って絶対先に殺すというような前に出る気持ちは微塵もない

 

まさに静の剣…剣神流との相性が良いと言われるだけあってその在り方は対極だ

 

対して俺は足を縦に開き、いつもの居合の型を取る…俺が最も光の太刀を放ちやすい慣れ親しんだ物だ

 

その時、俺の頭にはガルの言葉がフラッシュバックする

 

【水神流への対処だぁ?んなもん簡単だ、反応出来ねぇスピードで斬れ】

 

…因みに北神流への対処はなんかする前に斬れ、魔術師に対しては魔術を使う前に斬れだった…この脳筋め…

 

「来ないのですか?臆病なのですね、剣王の称号をお持ちなのに」

 

隙を伺うように動かなかった俺に、イゾルテはそんな挑発を投げかけてくる。水神流の手口だ…言葉で、態度で先に仕掛けさせ、それをカウンターで刈る

 

剣神流である俺に対しては非常に有効な手口だ、攻める剣神に守る水神…順当に行けば守る方が勝つ…だが

 

順当に行く程度では埋まらない差が…俺と彼女にはある

 

「…え?」

 

イゾルテは何が起こったのか分からないというように目をぱちくりとさせていた

 

イゾルテだけでなく、試合を見ていた周りの剣士達も…何が起こったのか分からないという表情を浮かべていた

 

俺の放った光の太刀は初太刀でイゾルテの木剣を弾き飛ばし、返す太刀でピタリと首筋に当てる

 

「…ありがとうございました」

 

正直隙だらけにすら思えた。わざわざ初太刀で剣を弾かずとも寸止めで決着を付ける事も出来たのだが…

 

ちょっとカッコつけた。剣神流が舐められても困るし…仮にも剣王だ、威厳は見せていこう

 

「な…何が…何をしたのですか?」

 

「光の太刀です、剣神流の奥義とも呼べる技…見るのは初めてですか?」

 

剣聖でも使えるから水聖ともなれば対処はしたことあると思ったが…そうでも無いのか?

 

「い…今のが光の太刀…?速度も桁違い…殺気も無い今のが…?」

 

ここでようやく周りがざわざわと騒ぎ始める。見えたかを確認する声や、あのイゾルテが何も出来なかったのかという声もある。

 

まぁこの歳で水聖なら一番の有望株だろう。聖地にもニナくらいの歳での剣聖は居なかったからな

 

「あたし抜きで随分と盛り上がってるねぇ…もっと大々的にやりたかったのに…そんなに気になったのかえ?イゾルテ」

 

ふとその喧騒に割って入るかのように老婆の声が道場に響く。その瞬間あれだけ騒がしかった剣士達は一斉に口を閉じて頭を下げる

 

「お…お祖母様…」

 

イゾルテのおばあちゃんが来たのか、そう思って声の方を見れば…そこには何とも穏やかそうな老人が居た

 

その姿に似つかわしくない戦闘力を感じさせる立ち姿でだ

 

「噂通り…それで7歳とは凄まじいねぇ。聖地に生まれたのが勿体ないくらいだよ」

 

老婆はゆっくりとこちらに歩み寄れば、こちらを見ながらそんな事を言う。

 

聞くまでも無いが、聞かざるを得ないだろう。万が一のことも有り得る

 

「…失礼ですが、貴女は?」

 

「レイダ・リィアだよ…アスラへようこそ」

 

レイダ・リィア…その名が示す称号はただ一つ。剣の道に生きる物ならば誰もが知る神の領域

 

「剣王ジノ…歓迎するよ」

 

水神だ

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