有職転生〜異世界行ったら…え?三歳で剣を振るんですか?〜   作:KEN・JACK

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剣皇の読み方はけんこうです。イントネーションは剣王と似たようなもんです。書き忘れです、申し訳ないです


ターニングポイント

 

「気を付けてくださいね、ジノが魔物程度に遅れをとる事は無いと思いますが…万一という事も有り得ます」

 

翌朝、準備を終えて旅立つ前にイゾルテが見送りに来てくれていた。

前の旅立ちは両親だったし、やはり女の子に見送りに来てもらうのはやる気が出るな

 

「ありがとう、でも中央大陸の魔物ならそんな危険なやつはいないし。油断でもしない限りは問題無いと思う」

 

「そ、そうですよね…差し出がましい事を言いました、すみません」

 

そうは言ったがイゾルテはやはり不安そう…というか寂しそうな感じだ。よくよく考えれば俺は旅人だし、帰ってくるか心配なのかもしれない

 

「大丈夫、ちゃんと帰ってくるよ。帰ってきたらまた遊びに行こう」

 

そう言ってイゾルテの頭を優しく撫でる。髪は女の命、崩れないように慎重に手を動かせば…少し恥ずかしそうにするが満更でもないように大人しくなる

 

ここ最近は背も同じくらいになった。あと一年もすれば抜かしてしまうだろう…やっぱ男としては女の子にヒールを履かせられるくらい無くてはな

 

「ジノはいつも私の欲しい言葉をくれますね…分かりました。好きそうなお店を探しておきます」

 

彼女は嬉しそうに微笑むと、そんな事を言ってくれる。不安そうな表情もだいぶマシになったようだ。それを確認して頭から手を離せば馬へと飛び乗り

 

「じゃあ行ってくる。見送りありがとう」

 

「待ってください、行く前にこれを渡そうと思っていたんです」

 

出発しようとした時イゾルテが差し出したのは、鞘に収まった一振の短剣であった。誕生日プレゼントと言っていた物が出来上がっていたらしい

 

「完成してたんだね、ありがとう…大切にするよ」

 

その短剣には海竜の紋章が刻まれており、美しい白銀色の刀身は上物である事が伺えた。これは水神の伝承に出てくる海竜王だろう

 

「何かあった時、この剣がジノを守ってくれる筈です。そういう想いを込めました」

 

なんとよく出来た子だろうか…是非嫁に欲しい。なんて言ってみたが、まだ9歳なんだよな俺って。前世入れたら三十路だから変な感じだ

 

「帰ってきたら何かお礼しなくちゃね」

 

「もう貰っていますよ」

 

そう言うイゾルテの耳には、デートの時にあげた耳飾りが着けてあった。あの日以来彼女が修行以外で外してるところを見た事がない

 

「ならなるべく早く帰ってくる事にしようかな」

 

「そうですね、それが1番嬉しいです」

 

はよ付き合えや!という声が聞こえてきそうなやり取りを終えれば、馬を反転させる

 

「行ってきます」

 

「はい、お気をつけて」

 

最後に短く言葉を交わせば、俺はアスラ王国を後にした

 

〜〜〜

 

ミルボッツ領の村までは片道2週間ほど。北方大地と違って道も整えられてるし魔物も弱いし気候も安定している…長閑な道を旅する事になりそうだ

 

確か赤ワインの名産地なんだったな…レイダや水帝にお土産を買っていくのも良いかもしれない。焼いた肉に合うワイン!最高じゃないか

 

とはいえ思ったよりも長閑な旅路にはならなかった

 

「剣皇ジノ・ブリッツ殿とお見受けする。某は剣聖シド…アスラまで行く手間が省けた、手合わせ願おう」

 

というような武者修行者に絡まれたり

 

「いや〜助かったよ坊主!凄い強いんだな!」

 

「子供のような姿に異常な強さ…まさか剣皇様か!?」

 

魔物に襲われてる商隊を助けたら冒険者が俺の事を知ってて異常な量のお礼を渡されそうになったりと…イベントには事欠かなかった

 

ていうか剣皇の話広がりすぎだろ…冒険者間での情報網みたいなのがあるのだろうか?まぁアスラ国内じゃ幼剣王時代もあるしな

 

そして聞いていた通り、ミルボッツ領では異常な量の魔物が発生していた。

 

補給で立ち寄った村でも魔物が多すぎて駐在騎士が負傷してしまったと、俺が剣皇と分かるや否や村長まで来て俺に討伐をお願いしに来る始末だ

 

時間はかかるが容易な事だ…人命が絡んでいるのなら手の届く範囲は見過ごせない。俺は立ち寄った村の依頼は全てこなした

 

お礼で村で1番若い娘を差し出されそうになったりしたが、流石に遊んで到着が遅れる訳には行かない。というかまだ9歳に何させようとしてんだよ

 

帰りにワインを貰えればそれでいいと村には伝えて、目的地へと急いだ。どうしても寝なくてはならない所では宿を借りたが、それでもやはり到着は3日ほど遅れる形になった

 

「この辺かな?随分と森の中にあるんだな…」

 

地図で見るよりも大分奥の方にあるようで、少し道に迷った。確かに端の方だし、領主としてもコストをかけて騎士団を派遣したくないのも頷けるかもしれない

 

「ぎゃあああああ!!!!」

 

すると奥の方から、悲痛な叫び声が聞こえてくる。間違いなく人間の声だ…俺は慌てて馬を走らせた

 

「なんだこれ…!」

 

村へ到着すると、そこには見るも無惨な光景が広がっていた

 

二頭のターミネートボアに、大量のアサルトドッグが…村の人間を襲っていたのだ。この数なら間違いなくB級の危険度…ましてや二頭。A級と言っても差し支えない数だ、こんなの…村の騎士じゃどうにもならない!

 

俺は慌てて玉響を抜き、ターミネートボアに斬りかかった。奴らは野生の勘で俺の戦闘力を見抜いたのか背を向け逃げようとしたが、光の太刀を使い一刀で2体とも真っ二つにする

 

統制を失ったアサルトドッグは人肉を貪るのを止めて逃げ出す物もいたが…知性が低いのか俺に向かってくる奴もいた

 

「あぁああああぁ!!」

 

俺は無我夢中で剣を振った、剣神流も、水神流も、北神流も全て使い…村にいた大量のアサルトドッグを皆殺しにした

 

「はぁ…はぁ…」

 

気付けば、俺は村の中央に立っていた。アサルトドッグの返り血の匂いが不快だ…普通にやればこんな雑な動きはしないのに、俺は冷静で居られなかったのだ

 

周りを見渡せば、誰もが顔を顰める光景が広がっていた。

 

崩れ去った家からは生活の一部である道具が散乱し、逃げ惑っていた人達は1つとして綺麗な状態を保たずに死んでいた。ターミネートボアに頭を潰されたもの、子を守るように覆いかぶさったまま、アサルトドッグに食い漁られたもの

 

それは先程まで俺と同じように生きていたのだ、それが今ではものでしかない。肉塊になった…村の未来を案ずる長も、明日に希望を抱いていた幼子も、帰りを待つ若い女も…平等にだ

 

「うっ…」

 

そう考えた時、腹の底から重い何かがせり上がってきて…その場で吐いた。俺は…このレイダからの依頼を甘く見ていたのだ

 

メインクエストをクリアするまでにサブクエストをクリアするように、途中で人助けをして気持ちよくなっていた…ゲームのように俺が到着するまで時間が進まないなんてことは無い

 

この異世界はきちんと現実で、きっかけさえあれば…本当に些細なきっかけで人が死ぬのだ

 

「誰か…誰かいませんか!スクロールを持っています!怪我なら直せます!」

 

俺は必死に叫んだ、人の気配は無い…全員死んだのだ。俺の甘い考えのせいで…力を持ったのに、この歳で異常な程に強くなったのに…助けられらなかったのだ

 

ふらふらと村の奥に行けば…すすり泣くような声が聞こえる。俺は慌ててそちらの方に走っていけば、そこには死体に突っ伏して泣く金色の髪の少女の姿があった

 

「大丈夫ですか!?怪我は…直ぐに治療を…!」

 

俺は慌ててスクロールを取り出して使おうとしたが、少女の手によって弾かれた。

 

「…今更何?村が無くなったのを確認でもしに来た訳?」

 

震えた声で、少女は俺にそう言い放つ。自分の呼吸が止まるのを感じる

 

「お父さんは言ってた…もうちょっとしたら領主様が応援をくれるって…でも来なかった!見放したんでしょ!?私達の事を!こんな辺境の村はあってもなくても変わんないから!」

 

こちらに向き直り、俺は胸ぐらを掴まれる…言葉が出ない。少女の顔が、声が、あまりにも悲痛だったからだ

 

「そうじゃないなら返して!お父さんを、お母さんを…!村の皆を返してよ!何で…!何でもっと早く…来てくれなかったのよ…」

 

そのまま少女は力なくその場にへたれこむと、静かに涙を流し続けた

 

俺は…何も出来なかった

 

〜〜〜

 

「さっきは…ごめんなさい。貴方、騎士じゃなくて冒険者でしょ?気付かなくて。助けてくれてありがとう…強いんだね、私と同じくらいの歳なのに」

 

1時間ほどした後だろうか、彼女は立ち上がって頭を下げた。立ち直っているはずは無い。顔には深い絶望が張り付いている…だが生きるのを諦めている様子は無い

 

「いえ…事実ですから。僕がもっと早く来ていれば」

 

「…言っても仕方ないよ、そんな事」

 

彼女はきっと強い子なのだろう、こんな状況であっても…前を向かんとしているのだ。

 

とりあえず彼女の怪我を治療し、魔物の血が付いた衣服を捨てた。その後は魔物の死体の処理だ。少女は村の人々を埋葬していた

 

その日はまだ比較的壊されていない家のベッドを使わせて貰った

 

 

「私はサラ…貴方の名前は?」

 

「ジノ・ブリッツです」

 

そして、翌朝ようやく自己紹介を済ませる。彼女はサラというらしい

 

 

苗字がないのかと思ったが、この世界では苗字はまぁまぁ高級品という事を思い出した。村育ちの人間が名前だけというのは珍しくないのだ

 

「サラさんは…これからどうするんですか?」

 

「…どうしようもない、かな。村はこんなだし、近くの村に行っても受け入れてもらえる程の余裕は無いだろうし…てかサラで良いよ?」

 

少し無神経だっただろうか、だが人の繋がりが見つかれば…そこまで送り届ける事は可能なはずだ

 

「親戚とかは居ないんですか?」

 

「敬語もやめて、歳近いんだし…命の恩人に使われたら申し訳ないよ。叔母さんがフィットア領にいるって聞いたことあるけど…あったことも無いし、私一人じゃそこまで行けないし」

 

近くには居ないか…だが血縁が居るなら望みはある。送り届けよう

 

「俺がフィットア領まで連れていくよ…取り敢えずはそれから考えよう」

 

そう提案すると、サラは慌てて手を振る。

 

「無理だよ…ジノ貴方、物凄い剣士でしょ?あの量の魔物を退治して傷一つ無いっておかしいもん。そんな剣士を雇うお金は無い…けど、多分ジノに頼るしかないよね」

 

この村はかなり奥地だ、人も滅多に通らないし、次いつ商人が来るかも分からない…サラも話してる途中で気が付いたらしい

 

「気にしなくて良いよ、俺はレイダ・リィアの依頼で来てるんだ…お金は要らない」

 

「レイダ・リィアって…水神の?モロ婆ちゃん…ホントに友達だったんだ…」

 

モロ婆ちゃんというのがレイダの友達だろう。助けられなかったのが悔やまれる…なんと謝れば良いか

 

「でも…ホントに良いの?そこまでは依頼じゃないでしょ?」

 

「それくらいしないと、俺もやりきれないから」

 

助けられなかったですはいさようなら、と出来るほど俺は薄情でも仕事人でも無い。そうした所で気が楽になるとも思わないが…せめてもの罪滅ぼしだ

 

「そっか…じゃあよろしくね」

 

相変わらず元気は無いが、サラの表情がほんの少し明るくなった気がした

 

〜〜〜

 

フィットア領までは馬を走らせれば1週間程だ。宛は無いが、ギルドを当たれば何らかの情報を得られる可能性だってある

 

「ジノは…どうしてそこまで強くなったの?」

 

馬上で俺の背に掴まるサラがふとそんな事を尋ねてくる。彼女の目には俺がどんな風に写っているのだろうか…強さがあっても、肝心な時に役に立たないのでは意味が無いのに

 

「親孝行しようと思ったんだ。俺の故郷は剣の聖地って呼ばれてる所で…」

 

することも無い移動の時間、俺達は今までの経緯を話しあった

 

俺は剣帝の子として生まれ、剣王になり、旅に出て、水神の弟子になり、そして剣皇と呼ばれるまでになった事を

 

サラはそんな凄い経歴の後に話したくは無いと言ったが、渋々話してくれた

 

両親は狩人で、サラにも良く弓や狩のイロハを教えてくれていたらしい。村の位置は良くないが、その分皆で助け合って暮らしていたと…決して裕福では無かったが、幸せだったと

 

話の途中で泣いてしまう事もあったが、俺は黙って背中を貸した。前を向くためには今を見ないと行けない…辛いと思うけど、今は頑張ってもらうしかないのだ

 

1週間後、フィットア領に入った。

 

道中何度か魔物に襲われはしたが、問題にする程ではなかった。

明日にも城塞都市ロアへと到着する予定だが…その後の事も考えなくてはならない

 

焚き火を見ながら、サラをどうするべきかを考える。彼女の弓の実力は一級品だった、依頼で一緒に戦った事のある魔術師よりも速く撃てるし、外すこともない…問題は威力だが、スノードラゴンみたいな怪物と戦わなければ十分に戦力になり得る

 

今までも何度か考えては見たが…やはり冒険者にして信頼出来るパーティに入れるのが1番の安定策な気がする。顔の知らない親戚を探すよりは、確実性も高い

 

「お母さん…」

 

傍らで眠るサラが身動ぎし、そんな寝言を呟く。その頭を撫でながら、それで良いのかと今一度考える。この1週間で彼女はかなり俺に懐いてくれたと思う

 

魔物に村を襲われて全てを失い。心を許した命の恩人は新しい居場所を作ってすぐに居なくなる…俺が彼女ならきっと心細いと思うはずだ

 

かと言ってずっとサラと居る訳にも行かない。イゾルテにはすぐに帰ると言ったし、レイダにだって報告しなくてはならない

 

とはいえ今考えても仕方ないという結論に至り、俺は玉響を抱えて座ったまま眠りについた…いつの間にか寝たまま警戒出来るようになっていた

 

翌日、俺達はロアに到着した。首都ほどではないが、かなり大きいな…ここなら冒険者も多いし、人探しが得意な奴も居るかもしれない

 

「ねぇジノ…私って、ジノと居たら迷惑なのかな?」

 

都市に入る直前、サラがそんな事を言い始める。急にどうしたんだ?

 

「迷惑じゃないけど…どうしたの?」

 

サラは少し言いにくそうに間を開けたあと、意を決したように話し始める

 

「…私、今から新しい村で暮らす自信…正直無くてさ。会ったこともない人の家で住んだり、ルールを覚えたりとか…ほら、私って気が強いでしょ?馴染めないと思うんだ」

 

話しながら、腰に回された手に力が込められる。良く考えれば、前の世界と今の世界の血縁の扱いはかなり違う…サラはそれを望んでいなかったのか

 

「ジノさ…私が寝てる時、頭撫でてくれてたでしょ?寝言で何か言った時だと思うんだけど…凄く安心した。村の皆を助けられ無かった時も、ジノは何も悪くないのに、凄く辛そうだったし」

 

気付いてたのか…何となく楽になれば良いと思ってやったけど、バレてるとなれば恥ずかしさが勝つな

 

「1週間だけだけど、ジノが強くて優しい人なの…よく分かった。だからね、私は…ジノと一緒に居たい。迷惑じゃないって言うのがこういう意味じゃないのは分かるけど…それでも、知らない村で暮らすくらいなら、私はジノと冒険者になる方が良い」

 

何と答えるのが正解なのだろうか、俺は元は冒険者である事は間違いない。けれど、今はアスラから出ることは全く考えていなかった…サラと行動を共にするなら、レイダの家は出ないと行けないだろう

 

剣皇にまでなったのだ、冒険を再開しても構わない…とはいえすぐには無理だ、やはり俺が面倒を見る訳には行かない

 

「…ごめんサラ、今すぐに冒険者に戻ることは出来ないんだ。水神流の事もあるしー」

 

そこで俺は言葉を切る…別に切ろうとした訳では無いが…空の色が異様だったのだ。水神流の技として魔術を受け流してきた経験から言えば…凄まじい魔力だ、あんなもの見た事がない

 

赤い球体は以前からあったが、あれが直接的に何かした訳では無い。だが違和感がある…まるで爆発寸前の爆弾を見ているような焦燥感を覚える

 

「なにあれ…?」

 

サラは言葉を切った俺を訝しげに見ていたが、すぐに異変に気付いて空を見上げる…次の瞬間赤い球体が消え、爆発的な魔力が青白い光となって放出された

 

それは森や山だけでなく、ロアをも飲み込みながらこちらに迫ってきている…このままでは俺達も命は無い

 

「っ…サラ!捕まって!」

 

「えっ?きゃあっ!」

 

俺は一瞬受け流そうと剣に手を伸ばしたが、その考えを即座に消した。そのレベルでは無い。天災に武を示しても何の意味もないのだ

 

サラを抱え、闘気を全て足に込めて駆け出す…馬よりスタミナは無いが速さは俺の方が上だ。だが青白い魔力の柱は見てわかる程に圧倒的なスピードで…逃げられるような物では無かった

 

俺とサラは、そのまま光に飲み込まれた

 

〜〜〜

 

目を開けた瞬間、

真っ白い空間に俺はいた。

何もない空間だ。

すぐに夢だとわかった。

明晰夢というやつだろうか。

 

 

それにしても身体が重い。

 

「あれ?」

 

見下ろせば、懐かしい体がそこにあった。

 

剣皇にまでなったジノ・ブリッツの逞しい身体ではなく…太っても無ければ痩せてもいない標準体型の男の身体が

 

前世の記憶がフラッシュバックするが…相変わらずなんてない人生だ。夢だったのだろうか?でも今なら現実世界でももっと頑張れそうな気がする

 

気がかりなのはニナとイゾルテ…そしてサラの事だろうか、あのまま行けばあの3人の中の誰かと結婚しそうな感じだったし。俺が居なくなったらまぁまぁ悲しむだろうしな

 

ふと気づくと、変なやつがいた。

 

のっぺりとした白い顔で、にこやかに笑っている。

特徴は無い。

こういう顔の部位だと認識すると、

すぐに記憶から抜けていった。

覚えることが出来ないのだ。

 

そのせいか、まるで彼全体にモザイクが掛かっているような印象を受ける。ただ、穏やかそうな人物だと思った。

 

 

「やあ、初めましてかな。こんにちわ。ジノ君」

 

そいつは男とも女とも取れる中性的な声で話しかけてくる…モザイクの印象もあってか何一つ特徴を捉えることが出来ない。不気味だ

 

「聞こえているよね?」

 

あ、はい。ご丁寧にどうも…ジノ・ブリッツです

 

「あはは、面白いねキミ…適応力あるよ」

 

声は出ないが通じるらしい…何だか不思議な感覚だ。念話ってこんな感じなんだろうか

 

「念話はちょっと違うかなぁ、まぁミグルド族に会えば聞いてみるといいよ」

 

心の声も聞こえるのか…隠し事出来ないな

 

失礼ですが、あなたは?それとここはどこでしょうか?

 

「ここは夢の世界だよ、キミのね。そこを通じて精神に直接話しかけてるんだ…ここまで精神と肉体が違うのは【初めて】見たけど。凄いもんだねぇ」

 

こいつ…脳内に直接…!?ってことか、でもまぁそうだろうな。ジノとしての人生は九年、こっちは二十数年物だしな

 

「何のネタか分かんないけど、まぁそんな所だよ」

 

雑ですね…それで貴方は誰なのですか?

 

俺が最も気になっていることを尋ねると…そいつは笑って答えた

 

「僕は神様だよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人神だ」




二章はここまでとなります。1章の内容を保存してくださって居た方が居たので、ここから暫くはそれの文字起こし兼構想で更新が止まりますのでよろしくお願いします

お名前は出しませんが保存しており、それを提供してくださった方にこの場を借りて特別な感謝をお伝え致します

ありがとうございました
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