ノリと勢いです、ハイ。
暖かい目で見てください。
満足感は達成の中ではなく努力の中にある。
全力を尽くすことは完全な勝利だ。
インド独立の父───
◇◇◇◇◇
四月初旬。桜並木を横目に青年はバスに揺られていた。高校入学という一大イベントの前にも関わらず、整ったその顔からは緊張や楽しみという感情は読み取れない。
膝の上に置いていた鞄から、一冊の本を取り出し、読書を始める。ページを進めるごとに物語に引き込まれていく様子が見て取れた。そんな彼を見て、隣の座席に座っていた銀髪の少女が堪らずといった様子で声をかける。
「あ、あのっ!そちらの本……江戸川乱歩の屋根裏の散歩者でしょうか?」
声をかけられた青年は顔を上げて、目線を本から隣席の少女へと移す。艶のある銀髪に、
「んー、確かにこれは屋根裏の散歩者なんだけど……君は?」
「あっ、失礼しました。私は椎名ひよりと言います」
青年の反応を受けて、慌てて自己紹介をする椎名と名乗る少女。
「ひよりちゃんね、俺は
軽々しく下の名前で呼び、手を差し出す青年に対して、不快感どころか喜びを滲ませた表情で手を握る椎名。
「はい、よろしくお願いしますね、北条さん! ところで屋根裏の散歩者……下宿の屋根裏で思いついた殺人を実行する下宿人ですが、明智小吾郎が見事なまでにトリックを見破る。そのやりとりが爽快で、サクサクと読み進めることが出来る名作ですよね!」
そんな熱弁を振るう彼女だったが、ふと我に帰ると急に恥ずかしくなったのか頬を赤らめる。そんな彼女の様子を見た彼は微笑みながら言葉を紡ぐ。
「はは、ひよりちゃんはミステリー小説が大好きなんだな。今度、オススメを紹介してくれよ」
「っ!! はい…喜んで!」
その言葉に目を輝かせて喜ぶ椎名。そんなやり取りをしている内に目的の停留所に到着する二人であった。バスを降りて張り出されているクラス分け表を目ざして歩く道中では会話を続ける。
「この学校は何クラス編成なんですかね……、私友達を作るのが苦手なので不安です……」
「ダイジョーブ、ひよりちゃんみたいな美少女。誰もほっとかないさ」
「そ、そうですか……?」
顔を赤らめながら上目遣いで見つめてくる彼女にドキッとするも平静を装って言葉を続ける。
「そうなの、それに俺だって同中いなくて一人だし、心配しなくても大丈夫だって……ほら、もう着くぜ」
そう言って優しく微笑む彼につられて彼女も笑顔を浮かべるのだった。そうして二人で並んで歩いているうちに目的地へと辿り着く。そこには既に多くの新入生が集まっており、自分たちのクラスを確認しようと躍起になっていた。その中で一際異彩を放つ人物がいた。
「ハッハッハ!フム!Dクラス……私の美しい名前は高円寺六助だ、皆覚えておきたまえ!!」
(へー……どっかで見たことあると思えば、高円寺コンツェルンの跡取りじゃねえか)
大声で宣言するその人物は金髪の髪をオールバックにした美丈夫である。制服こそ着崩しているものの、それすらもファッションとして成り立たせてしまうほどの圧倒的なカリスマ性を感じさせる男だった。
しかし、当の本人は周りのことなどお構いなしに、自身の名前を発表するだけすると満足したようにその場を後にする。彼が去った後に残された生徒たちの間には何とも言えない空気が漂っていた。
だが、一連の出来事に気をとめずにクラス分け表をじっと見つめてなまえを探していた椎名がパッと明るい表情を浮かべて声を上げる。
「北条さん! 私たち二人ともCクラスですよ!良かったです!」
嬉しそうに語りかけてくる椎名に対し、彼も気を取り直して笑顔で答える。
「そうだな。俺もひよりちゃんと同じクラスで嬉しいぜ」
そうして二人は新たな学び舎となる場所へと足を踏み入れるのであった。
(そこら中に監視カメラが設置されてるな………刺激的な学校生活の予感がするぜ)
◇◇◇◇◇
「さて諸君、これから私が言うことをよく聞きたまえ」
Cクラスの担任となった坂上先生が教壇に立って話し始める。生徒は男女合わせて40人ほどであり、その中でも特に目立つ生徒が数人いる。
「今から1時間後に入学式が行われるが、その前にこの学校の特殊なルールについて書かれた資料を配らせてもらう」
「特殊ってどんなだよ?面白そうじゃん!」
男子生徒の一人が茶化すように言うと、周りからも同様の声が上がる。それに対して先生は淡々と説明を続ける。
資料の内容の要点をまとめると
①学生は施設内の寮での生活を義務付けられる
②在学中は特例を除き外部との連絡は一切禁止
③許可なく学外に出ることの禁止
④現金は使用出来ず、Sシステムによるポイントを仮想通貨として使用する
(ここまでは、入学前に届けられた資料通りの内容だな)
「最後に、今から配る学生証カードについて説明します。これを使えば、施設内にある全ての施設の利用、売店での商品購入が可能です。ただ、使うたびに所持ポイントを使うから使い過ぎに注意してくださいね。簡単に言えば電子マネー、クレジットカードのようなものです」
先生の説明を聞きながら、渡された学生証カードをまじまじと見つめる生徒達。
「学校内ではこのポイントを使って買えないものはありません。学校の敷地内にあるものなら、何でも購入可能です。ポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっているから計画的に使うように、また1ポイントにつき1円の価値があります。このクラス全員、既に10万ポイントの支給がされています……当校に入学を果たしたあなた達に見合った額です」
「す、すげえ、マジで使っていいのかよ……」
「最高ね!この学校!」
「よっしゃー!これで金の心配せずに買い物が出来るぞ!」
そんな歓喜の声があちこちで聞こえてくる中で将人は、周りを気にせず思考に耽る。
(何でも購入可能、ポイントは毎月一日に振込、入学を果たした俺たちの価値は10万ポイント。そして、資料に書かれていた“生徒の実力を測る学校”って謳い文句…………間違いなく何かあるぜ、この学校)
喜び勇んでいる周りとは違い、将人は怪しげな点が多々あるように思えた。
「センセー!質問いいですか?」
挙手して先生に発言の許可を求める。それに対し、先生は快く応じる姿勢を見せる。
「どうしましたか、北条君?」
「先程、何でも購入できると言っていましたが……そーだなァ、例えば、休日なんかは購入可能なのでしょうか?」
将人の質問に、思わずと言った様子でニヤッとした笑みを一瞬浮かべた坂上先生だが、直ぐに元通りの表情に戻ると滞りなく質問に答える。
「ええ、もちろん購入できますよ。ただし、その場合はそこそこの料金が発生しますし、ある程度は制限させてもらいますけどね。学生の本分は勉学ですからね」
「なるほど……分かりました、ありがとうございます」
「おー、そんなのも買えんのか!」
「スゲー!」
「本当に自由なんだね!」
将人の質問に丁寧に答える先生に対して礼を言って座る彼だったが、その顔にはニヤリと笑みを浮かべていた。
(なるほどなぁ、つまりポイントさえ払えば物以外でも、権利の様なモノさえ買えるってわけか……こりゃあ、面白いことになりそうだぜ)
「…………」
そんな彼に、3人の生徒が熱視線を送っていた。
ヒロインについてはとりあえずCクラスの2人は確定って感じです。
一応言っとくと龍園は嫌いじゃないし、寧ろ好きな方。
内定している椎名・伊吹以外でヒロインを増やすなら? ※参考にさせてもらいますが、実際結果が反映されるかは分かりません。
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堀北鈴音
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櫛田桔梗
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松下千秋
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一之瀬帆波
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姫野ユキ
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坂柳有栖
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神室真澄
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朝比奈なずな
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鬼龍院楓花