え、龍園? いやCクラスの王は別人です   作:キノピオ隊長

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あの子が出ます。




No.8「出会い」

 

 

とにかく、恋のときめきがなかったら、ただ生きている昆虫と変わらないわ。

 

舞台界の伝説的女優───Jeanne Moreau(ジャンヌ・モロー)

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

「マサさん……因数って、なんすか?」

「ん〜、まず、そのヤクザの兄貴分みたいな呼び方やめてね。ぶっ飛ばすよ石崎」

「ククッ、お似合いじゃねえか……なァ、アルベルト」

It suits you very well(とても似合ってる)

I'll blow you away too(お前も、ぶっ飛ばすぞ☆)

 

5月1日から数日程、過ぎた頃。

来る中間テストに向けて、図書室の一角で石崎・龍園・アルベルトの不良強面3人衆に、将人は勉強を教えている最中だった。

 

上級生からの情報提供で、中間テストの攻略法(過去問)は知っているし、物も手に入れて、クラスメイト全員に配ってはいるが、基礎学力向上の為にはこうしてテスト期間くらいは勉強会を開く必要があった。

 

勉強会を開くにあたり、この不良感漂う3人を誰が受け持つかという話になると……将人が適任者だったのだ。

 

「はぁ……今日は、ここまでにしようぜ。後、とりあえず石崎は渡した過去問を死ぬ気で覚えとけ、因数はまた今度だ」

「えっ!折角の機会なんですから、俺達に、もっと勉強教えてくださいよっ!」

 

ある程度まで進んだところで切り上げる将人に対し、不満げな様子を見せるのは石崎だ。彼はまだ教えてもらいたいことが山ほどあるのだろう。根はいい奴な彼は、なるべく勉強で足を引っ張りたく無いのだろう。

 

「おいおい、これ以上は勘弁しろよ……俺は帰るぜ」

「…me too(俺も)

「龍園さん!?……じゃあ俺も帰ります!!」

 

そそくさと荷物をまとめ立ち去る龍園とアルベルトに続いて、慌てて教科書を片付けて追いかける石崎の姿がそこにはあった。そんな彼らの様子に苦笑しつつ、帰り支度を済ませた将人も席を立つことにした。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、北条くん……だよね」

 

席を立つ時、背後から声を掛けられ振り返ると、そこに立っていた人物に見覚えはなかった。

 

──しかし、知っている……。

 

ストロベリーブロンドの綺麗な長髪

大人顔負けな抜群のプロポーション

明るく正義感が強い──現Cクラスのリーダー

 

「うん、俺が北条で間違えないよ……一之瀬帆波さん」

「あ!私の事、知ってくれてるんだ。嬉しいな」

 

ニコッと明るい笑顔を見せながら喜ぶ彼女に対して、将人は静かに頷くことで肯定の意を示す。すると、彼女は更に嬉しそうな表情を見せた。

 

(可愛い子だなぁ…パッと見、今までで1番かも)

 

思わず見惚れそうになるが、それをグッと堪える。

そして、不自然にならないよう気をつけながら、彼女の姿を上から下へと流し見るように眺める。

 

制服の上からでも分かる豊満な胸や、キュッと引き締まったウエストなど、女性らしさを感じさせる身体つきをしているのが分かる。それでいて、手足はスラリと長く伸びており、非常にバランスが良いと言えるだろう。顔立ちも整っており、くりっとした大きな瞳と整った鼻筋も特徴的である。

 

さて、そんな彼女が現Bクラスのリーダーとして有名な自分に声をかけてきた理由は何か?という疑問が浮かぶのは当然のことと言える。

 

「えっと、俺に用がある感じ?」

「そうだね。ちょっと話したいことがあるんだけどいいかな?」

 

(クラス入れ替え? いや、4月の賭博場についてか?)

 

そう考えたものの断る理由も、大して無いので美少女との時間を優先するため、承諾することにした。

 

「実はね、CクラスとBクラスでちょっと揉め事が頻発してるんだ」

 

そう言って話し始める一之瀬の話を要約すると、こうだった。

 

現Cクラスは先日のクラス降格に不満を持つ生徒が一部いるようで、現Bクラスへの敵対心が燻っているようだ。

 

対するBクラスは基本的に馬鹿な真似をする奴は居ないが、一部の阿呆が将人や龍園の目の届かない場所でCクラスを煽っているらしい………10対90位で現Bが悪いな。うん。

 

「あー、おっけ、分かった。クラスの連中には、よく言っておくから……今後、馬鹿な真似はさせない」

「そっか、良かったぁ……ごめんね?面倒なこと頼んじゃって」

「いーや、別に良いって、気にしないでよ……寧ろ、帆波ちゃんみたいな美人に頼られるのは男冥利に尽きるってもんよ」

「ほ、帆波ちゃん!!? え……えぇっと……」

 

予想外の呼ばれ方に動揺したのか、顔を赤くする彼女に将人は畳み掛けるようにして言葉を続ける。

 

「あれ、ダメだったかな?俺的には呼びやすいし、親しみやすくて好きなんだけどねー……嫌なら止めるよ?」

「……う、ううん、大丈夫だよっ! あっ、じゃあ私も北条くんのこと、将人くんって呼ぶからね!? いいの?」

「了解。むしろ歓迎、ばっちこい」

「え!?じゃ、じゃあ、うん……将人くんって呼ぶね?」

 

顔を赤らめながらも上目遣いでこちらを見つめてくる彼女からはあざとい仕草の中にも可愛げがあり、将人のハートを掴むには充分すぎる威力を持っていた。

 

だが将人はそれに惑わされることなく冷静に対処し、爽やかな笑みを返したのだった。

 

「ん、末永くよろしくね…帆波ちゃん」

「もぅ!!またそうやってからかうんだからっ!」

 

そう言いながらも嬉しそうな様子の彼女を他所に、将人は頭の中で状況を整理していた。

 

「それじゃ、俺はこの辺で失礼するよ」

「え、もう帰っちゃうの? 折角だし、一緒に勉強しない?」

「んー、また今度ゆっくり時間取ってお喋りしようぜ……連絡先交換しない?」

「…そうだね!!それも良いかも!」

 

端末を取り出し起動させる。

お互いのIDを交換し終えると満足げに微笑む。その笑顔は年相応の少女のものでとても可愛らしいものだった。

 

「ありがとーっ!」

 

そんなお礼の言葉を背に受けつつ図書室を後にする。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

(買い溜めしといたのに、あっという間にストック切らしたな……飲む量減らすか?)

 

日も沈み、辺りも暗くなった頃。

北条は、缶コーヒーを買いに自販機に向かっていた。

 

(それにしても、まさかCクラスのスター、帆波ちゃんが接触してくるとは……しかし、可愛かったな)

 

 

そんなことを思いつつ目的地に到着する。すると既に先客がおり、どうやら揉めているようだ。

 

「兄さん、私は…Aクラスに上がってみせます!」

 

()()、か……成長していないようだな鈴音」

 

(確か入学式で見た生徒会長の堀北学? そんでもって、会話から察するに妹の鈴音ちゃん……綺麗な子だなぁ、今日は美人によく遭遇する日だ)

 

Aクラスを目指すと宣言した妹に対し、兄は冷淡な反応を見せる。それはまるで、期待外れだと言わんばかりの態度であり、それに対して、震えている妹の姿もあった。

 

(さてさて、どうするかな)

 

本来ならここでスルーして立ち去るのが無難な選択肢と言えるだろう。下手に関わって面倒なことに巻き込まれるのはごめん被りたいところだからだ。

 

しかし、ここはあえてこのまま観察することにした。というのも、目の前の美少女に興味が湧いたからである。可愛いは正義。

 

……ついでに、生徒会長がどんな人間なのかを知りたいのだ。だから、この場から立ち去ることはしない。

 

 

 

 






何となくヒロインは決まってきたけど、誰と恋人になるかとか、結ばれるのか…とかはストーリーに沿って決めようと思うので、作者もどうなるか未知数です。

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