魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得   作:くろしゅー

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(まどドラの生放送が楽しみなので)初投稿です。



Record2 DAY.16

 

 

 

 

 恋する女の子の願いを叶える実況、はーじまーるよー。

 

 

 

 前回はフェリシアさんのレコンパンスでの就職が決まり、お菓子の魔女も犠牲無しで倒せたところまででした。

 

 今回はその続き。こちらも運命の分岐点、16日目からです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.16

 

 

 

 今日はさやかちゃんの契約日です。

 今日、さやかちゃんは上条くんのお見舞いに行ったところで、腕の回復が絶望的だと知った上条くんの荒れた姿を目の当たりにしたことで、契約を決意してしまいます。

 

 ですが、さやかちゃんが契約した後の末路は、まどマギファンの視聴者兄貴ならお分かりの通りです。

 

 さやかちゃんをワルプルギスの夜まで生き残らせるのには、多大な労力が必要です。

 そのため、以前から言っていた通り、本攻略ではさやかちゃんの契約を阻止します。

 

 でも、まばゆちゃんの記憶切除を使わずにどうするの? と思った視聴者兄貴もいると思います。

 ですが、安心してください。ちゃんと方法は考えてあります。

 

 あ、ちなみにフェリシアちゃんの魔法で代用することはしません。

 フェリシアちゃんの『忘却』の魔法はまばゆちゃんの魔法と違い、一時的な効果しかありません。なので魔法が切れると、さやかちゃんに魔法で無理やり忘れさせようとした、と思われて、敵対してしまいます。

 それに、忘れさせないで乗り越えさせたほうが、間接的にまどかに契約を思いとどまらせる可能性を少しでも上げることができます。

 

 

 

 さて、では学校に行きましょう。

 今回は学校でもやることがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オッハー!(クソデカボイス)

 

 さあ、学校に着いたら、さっそくマミさんに話しかけましょう。

 

「あら、夕凪さん。どうかした?」

 

 実はマミさんに頼み事があって……。

 

「何かしら? あたしにできることなら、なんでも力になるわ」

 

 ん? 今、何でもするって言ったよね?

 

 それじゃあ、マミさんにはワルプルギスの夜討伐に参加してくれそうな魔法少女を探してほしいゾ。魔法少女歴長いマミさんなら、知り合いの魔法少女くらいいるでしょ? その子たちの中で、できれば強い子がいれば紹介してほしいんですけど……。

 

「う~ん……、そうねぇ。心当たりがないわけではないけど……」

 

 けど?

 

「あたしたちに協力してくれるかは怪しいわ。以前はあたしと一緒に組んでいたんだけど、方向性の違いから袖を分かってからは、ほとんど会ってもいないから……」

 

 ダメ元でいいから、連絡取ってクレメンス。正直、今の戦力でもワルプルギスの夜には足りないと思うゾ。なんで、オナシャス! センセンシャル!

 

「……分かったわ。今日の放課後、その子に会いに行ってみるから、明日まで待ってもらえるかしら?」

 

 全然待ちますよ~。ありがとナス!

 

 

 

 

 はい、これで杏子ちゃん加入フラグが立ちましたね。これにより、マミさんが死んでいなくても、杏子ちゃんは見滝原を訪れるようになります。

 

 

 さて、次はほむらちゃんに会いに行きましょう。

 

 

 

 

 

 ほむらちゃん、オッスオッス。

 

「凜? なにか用かしら?」

 

 今日って、さやかちゃんが契約する日だよね?

 

「ええ、そうね。最初に話した通り、美樹さやかは今日、幼馴染みの上条恭介の腕を治すために契約するわ」

 

 その辺りの話、もう少し詳しく聞かせてくれない? ほむらちゃんが知ってる範囲でいいからさ。

 

「……構わないけど。これは必要なことなの?」

 

 当たり前だよなぁ? 今日、ユリちゃんがバッチリさやかちゃんを説得するから、見とけよ見とけよ~。

 

「それなら、話しておくけど……」

 

 

 

 

 

 とまあ、こんな感じでさやかちゃんが契約に至る事情をほむらちゃんから事前に引き出しておきましょう。

 こうすることで、さやかちゃんとの会話のときに選べる選択肢を増やすことが出来ます。

 というか、選択肢を増やさないと絶対に説得できないので、このイベントは必ずこなすようにしましょう。

 

 

 

 

 

 

「こんなところかしら。あたしが知っている情報はこれで全てよ。これで大丈夫だったかしら」

 

 もちろんさ。(DNLD並感)

 じゃあ、さやかちゃんは何とかするから、魔女のほうはお願いね。ユリちゃんはさやかちゃんの説得で行けないから。

 

「ええ。巴マミに深月フェリシアもいるなら問題ないわ。まどかの安全を確保したら、速攻で始末する。あなたこそ、頼んだわよ」

 

 かしこまり!

 

 

 

 

 それでは、やることも終わったので、放課後までカットです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい、放課後になりました。

 

 それでは早速、上条くんの入院している病院に向かいましょう。

 

 あ、あと、移動中にフェリシアちゃんに今日の魔女が現れる場所と時間を教えておきましょう。

 ほむらちゃんと合流して向かってほしいとメッセージを送れば、『OK!』と牛のスタンプが返ってきました。可愛い。(迫真)

 

 あまりにも警戒心が無さ過ぎる。まだ会って一週間も経ってないユリちゃんをそんな簡単に信用しちゃうの、ちょっと心配になりますね。

 まあそれはそれとして、その純粋さは骨の髄まで利用させてもらいますが。(ゲス)

 

 

 では引き続き、病院に向かいましょう。

 

 

 

 

 魔法少女移動中……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 到着しました。昨日ぶりの病院です。

 

 ここの庭園らしきスペースで待機していましょう。しばらくすれば、さやかちゃんがやって来るはずです。

 一番いいのは、契約前にさやかちゃんからユリちゃんに、魔法少女の契約の相談をしたいという連絡がくることですが、さすがに今回は好感度が足りない可能性のほうが高いです。なので、ここで待機しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 魔法少女待機中……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 zzz……。

 

 んはっ!

 ど、どうやら、時間になったようですね。そろそろさやかちゃんが来るでしょう。

 

 

 

 

 

「あれ? 凜センパイ?」

 

 さやかちゃん、オッスオッス。

 

「どうしてここに……」

 

 ほむらちゃんに聞いたら、ここにいるって聞いたらね。

 

 って、キュゥべえもいんじゃーん。害獣はとっとと帰って、どうぞ。

 

「そういうわけにもいかない。これから美樹さやかは、ボクと契約するからね」

「ちょ、キュゥべえ!」

 

 ファッ!?

 あれだけ魔法少女なんて碌でもないって言ったのに?

 

「それでも、やっぱり叶えたい願いがあるんです」

 

 お、そうだな。(適当)

 

 でも、それを見逃すわけにはいかないゾ。ちょっと向こうでお茶しながら話さない? 魔法少女の先輩として話聞いてあげるからさ。

 

「……分かりました」

 

 ありがとナス!

 

 

 

 誘導、ヨシ!

 

 それじゃあ、ユリちゃんたちは向こうでお話(意味深)するからさ、害獣は帰った帰った。シッシッ!

 

「やれやれ、ワケが分からないよ」

 

 

 

 

 

 ということで、これからさやかちゃんの説得パートですが、今回はノーカットでお送りしたいと思います。

 

 普段ならカットや倍速をするところですが、今回は結構選択肢も多い割に、重要な会話も多いのでノーカットで流したいと思います。

 さやかちゃんの出番も、これがほとんど最後みたいなもんだしね。

 

 

 

 

 

 というわけで、今回は短いですが、説得パートを流して終わりにしたいと思います。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.16 Side SM

 

 

 

 あたしは凜センパイに連れられて、病院の休憩スペースでテーブルを挟む形で座る。

 

「それじゃあ、さっそくで悪いけど、なんでさやかちゃんが契約しようとしているか教えてくれる?」

「いいですけど……、凜センパイ、もう知ってるんじゃないですか? あたしの場所、ほむらに聞いたってことは、ほむらが経験してきた時間にこれと同じことがあったってことですよね? それなら、ほむらからあたしの願い事も聞いてるんじゃないんですか?」

「……さやかちゃんは賢いね。そうだよ。ほむらからある程度の事情は聞いてる」

「だったら……」

「けど。私は聞いただけ。私はほむらの経験してきた時間を知らない。だから、直接さやかちゃんの口から聞きたいんだ。例え、得られる情報は同じでも、本人から直接聞くほうが絶対に意味があるから」

 

 ほむらを信じてないわけじゃないけどね、と笑う凜センパイ。

 でも、目は真っ直ぐあたしを見ていて、あたしとちゃんと向き合おうって思っていることは伝わってきた。

 だから、あたしも自然と口を開いていた。

 

「あたしは……、恭介の、あたしの幼馴染みの腕を治してって願おうと思ったんです」

「うん」

 

 何か特別なことを言うでもなく、凜センパイは静かに、そして優しく頷く。それはまるで、あたしを受け止めるような感覚で、あたしは自然と次の言葉を紡ぎ出す。

 

「恭介って昔からすごいバイオリンが上手で、本人もバイオリン弾くのが大好きなヤツだったんです。一にも二にもバイオリンって感じで、あたしと話しててもバイオリンの話ばっかり。ホント、もうちょっと女の子との接し方も覚えろって話ですよね」

 

 あたしの脳裏に浮かぶのは、昔の記憶。まだ、あたしの胸の奥の思いが肥大化する前の、幼い記憶。

 

「けど、あたしはそんな恭介が、好きだった。いつでも真っ直ぐで、一生懸命で、優しくて……。でも今、恭介は苦しんでいるんです。事故で腕が動かなくなって、好きだったバイオリンが弾けなくなって……。いつも穏やかで優しいアイツが、人が変わったみたいに荒んで……。あの怪我が恭介を変えてしまったんだとしたら、あたしは恭介を救いたい。あんな風になってるアイツを放っとけない。だから、あたしは契約するんです」

「ちなみに、腕が治る見込みは?」

「ないそうです。医者に諦めろって言われたって、アイツは言ってました」

「そっか……」

 

 あたしの答えに、凜センパイはゆっくりと頷く。

 

「アイツのバイオリンは、皆を笑顔にできる力がある。それをなんとかできる力があたしにあるなら、あたしは迷わず選びます。別に感謝されなくたって構わない。アイツに笑顔が戻るなら、あたしは……」

 

 あたしはそこでゆっくりと息をする。ちょっと熱くなりすぎたかもしれない。何とかいつもの調子に戻ろうと、おどけた表情を作る。

 

「それに前も言いましたけど、今この街には強い魔法少女が沢山いますし、そこでなら安全に経験を積めるかな~って。アハハハ……」

 

 しかし、凜センパイは笑うことなく、あたしに問いかける。

 

「ねえ、さやかちゃん。本当に感謝されなくても大丈夫? あなたの願いがどんな結末にたどり着いても、あなたは後悔しない? 見返りを求めない?」

「あ、当たり前です! 恭介がまた元気になるなら、あたしは……」

「そう言うんだよ、みんな。最初はね」

「え?」

 

 凜センパイの声が少し低くなる。いつもムードメーカーな凜センパイからは考えられない雰囲気だった。

 

「魔法少女の願いってね。必ずしも自分の思ったとおりに叶うとは限らないんだよ」

「どういうことですか……? だって、キュゥべえは何でも願った通りに叶うって……」

「確かに、願い自体は叶うよ。その人の願った通りに。でも、その願いの中には、必ずどこかに未来への期待も混じってるの」

「未来への、期待?」

「うん。この願いが叶って、こうなればいいな。あんな未来に繋がるだろうな。そんな期待がどこかしらに含まれてる。さやかちゃんだって、恭介くんの笑顔って期待を持ってる」

「でも、恭介は腕が治れば、バイオリンを弾けるようになるんだから、笑顔に、元気になるはずで……」

「そうだね。そうなるかもしれない。私は恭介くんのこと知らないから、さやかちゃんが言うのなら正しいのかも。じゃあ、その次は?」

「次?」

「恭介くんが元気になった、次。彼はバイオリンの道を再び進むだろうね。でも、いつまで? 彼がその道を挫折する可能性は? 彼がバイオリンを弾くのを止めたら、あなたの願いは? 自分が魔法少女の宿命を背負ってまで切り開いた道を彼が諦めたら、あなたは後悔せずに魔法少女を続けられる?」

「そ、それは……。だ、第一、恭介はバイオリンを止めたりしません!」

 

 あたしは思わず声を荒げるが、凜センパイは冷静に言葉を返してくる。

 

「じゃあ、その未来で話そうか」

「え?」

「彼がバイオリンで世界に羽ばたいたとしよう。きっと彼は世界中の人気者になる。彼を好きになって、結婚しようと思う人だって大勢出てくるよ。その人と恭介くんが幸せになったとき、その幸せのための犠牲になったあなたは、その幸せに嫉妬せずにいられる?」

「犠牲って……、あたしはそんな風に考えたりは……」

 

 あたしの言葉は尻すぼみになっていく。

 今まで、自分の正義感と彼をなんとかしたい情動で喋っていたが、凜センパイの落ち着いた声で、考えられる未来を挙げられる度、心のどこかが冷静になっていく。

 そして、その未来を思うと、あたしは反対の言葉を言い切ることはできなかった。

 

 すると、凜センパイは先ほどの表情から変わり、申し訳なさそうな顔をする。

 

「ちょっと意地悪な言い方だったかな。ごめんね」

 

 そう謝りながらも、でも、と続ける。

 

「願ったときに思い描いた未来にならないことは本当にあるの。私の師匠だって……」

「師匠?」

「うん。私の魔法少女の師匠。いつも元気で、それでいて人をよく見ていて、誰かに寄り添ったり、他人のために怒れる、優しい人なんだよ」

 

 窓の外に目を向けながら話す凜センパイの顔は、昔を懐かしむような儚い笑顔だった。

 

「師匠の家は中華料理屋さんなんだけどね。昔はすごい名家だったらしいんだよ。師匠のおじいさんが経営してた頃は、お店も繁盛していて。でも、師匠のお父さんが店を継いでからは「味が落ちた」なんて言われるようになっちゃって、お店も繁盛することは少なくなっちゃってね。師匠はおじいさんもお父さんも、家族が大好きだったから、それに耐えられなかったみたい。そこで、キュゥべえに願ったんだって。『宝くじで一等が当たりますように』って」

「宝くじ、ですか?」

「うん。お金が手に入れば、また家を再興出来るって思ったみたい」

「それで、どうなったんですか……?」

「もちろん願いは叶って、師匠の家は宝くじで8億円を手に入れた。それだけの大金があれば、きっとお店もなんとかなっただろうね」

 

 凜センパイの言葉に、あたしは嫌な汗が背中を伝う。

 

「でも、師匠のお母さんとおばあさんはお店の再興に興味なかったみたいでね。お店に拘るお父さんたちとは反りが合わなかったみたい。結果、師匠のお母さんとおばあさんはそのお金を持って、豪華客船の旅に行っちゃったんだって」

「そんな……。ヒドすぎます! なんですか、それ! 娘の願いをそんなくだらないことで無駄にして……! そんなこと、許されるんですか!」

「だよね。私もそう思って、この話を聞いたときは怒ったよ。でも、師匠は……」

 

 

 

 

 

 

「そんなこと、到底許せません! そんな親、いていいはずないでしょう!」

「凜、落ち着いて。私はもう怒ってないから。それに私、お母さんのことも好きだから。凜にそんな風に言われるのは悲しいし、ちょっと腹も立っちゃうかも」

「あ……。ご、ごめんなさい! 私、私……」

「うぇ!? こ、こっちこそごめんね! 凜が分かってくれれば十分だから。脅かしちゃってごめんね」

「大丈夫です……。でも、師匠は悔しくないんですか……? 憎くないんですか? 自分の願いが、自分の思ってたことと別のことに使われて」

「あー……。まあ、確かにお母さんたちが旅行に行っちゃったときは、怒りたい気持ちもあったかな。けど、それより悲しかった。私の気持ちはお母さんに伝わらなかったんだなって、それは悲しかった」

「それだけですか? 憎んだりとか……」

「それはないよ。お母さんを恨んだって解決する問題じゃないし。それに、魔法少女になったから会えた人たちだって、沢山いる。やちよだって、もちろん凜だって」

「師匠……」

「それにね、私が最強を目指すきっかけはこれなんだ。私が最強になれば、このお店だって守れる。そう思って目指している最強だけど、こんなに良い出会いに恵まれたんだから、恨みはないかな」

 

「それに……」

「それに?」

「いつまでも恨んでいるのは、自分も相手も苦しいだけだから。いつかは許してあげないと。私の願いは失敗に終わっちゃったけど、それでも私はお母さんを好きでいたいんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そう言ってたんだ」

 

 凜センパイは微笑む。

 

「まあ、つまり何が言いたいかと言うとね。自分の願い通りの未来にならないことだってある。その時、自分の願いが無駄になる、もしくは願いを叶える前より悪化しても、どうすることもできないってこと。師匠はそれでも前を向いたけど、さやかちゃんはどう? 自分は魔女退治で日常を棄てざるを得なくなった一方で、恭介くんがどんな未来に進もうと、恨みも後悔もなく生きていける?」

 

 凜センパイの静かで、それでいて重い言葉があたしにのしかかる。

 

 恭介にまた笑顔になってほしい。

 その気持ちは嘘じゃない。そのために、自分の人生を捧げるのだって構わない。

 

 けど、それで恭介が誰か、他の女の人と仲良くなったら、あたしはその人に嫉妬せずにいられるだろうか。その人を傷つけずにいられるだろうか。

 魔法少女になるということは、普通の人をいとも容易く傷つけられる力を持つことだ。それを使わずにいられるだろうか。

 

(なんだ、あたしもほむらのこと言えないじゃん。人々を守る正義の味方って息巻いてたのに、誰かを傷つける自分がちょっとでも想像できちゃった)

 

 自分の発言がこんなところで自分に返ってくるとは思わなかった。

 

 けれど……。

 

「……やっぱり、見て見ぬ振りはできません。恭介を助けたいって気持ちはちゃんとあるんです。自分にそれが出来るのに、恭介を見捨てるなんてことはあたしには無理です……」

「……そっか」

 

 あたしの言葉に、凜センパイはゆっくり頷く。

 

「さやかちゃんの気持ちは分かった」

「それじゃあ……」

「でも、魔法少女にはさせられない」

 

 え、とあたしは言葉を漏らす。

 

「な、なんで……。さっき分かったって」

「うん。けど、魔法少女にはさせられない」

「なんでそこまで……。確かに魔法少女は危ないのは分かりますけど……」

「いや、そうじゃないの。魔女退治が危険だってのは、表向きの理由。本当の理由は別にあるの」

「別の、理由? な、なんなんですか、それ」

「魔法少女はいずれ魔女になる運命にある。それが理由」

「……は?」

 

 あたしの思考は停止する。凜センパイの言葉をゆっくりと咀嚼し、そして衝撃が後からくる。

 

「え? は、え、いや、いやいや、そんな……。魔法少女が魔女って……」

「信じられないかもしれないけど、本当のこと」

「……キュゥべえは知ってるんですか?」

「もちろん。というか、初めからそうなるように仕組まれてる。他ならぬ、キュゥべえの手によって」

「そんな……。他の人は知ってるんですか?」

「さやかちゃんが知ってる人だと、ほむらは知ってる。他の人たちは知らない」

「なんで言わないんですか! そんな大事なこと、すぐ教えてあげないと!」

「さやかちゃんは、今まで自分が倒してきた化け物が自分のなれの果てで、それを回避する方法はないって言われて、冷静でいられる?」

「……ごめんなさい」

 

 凜センパイの言葉で、さすがにあたしの想像力が足りなかったと気づく。

 

「別にいいよ。あたしも伝えること自体には肯定的だから。いずれ知るなら、直に見るより、仲間がいるところで聞いたほうが絶対いいだろうし。ただ、タイミングはあるからね。そこは気をつけないと」

 

 とにかく、と凜センパイはあたしを見る。

 

「魔法少女は魔女になる。これは変えられない絶対の運命。そしてこれが、私が魔法少女になったら二度と日常には戻れないって言う理由。けど、魔法少女にならなければ、その運命に囚われなくて済むんだよ」

 

 だから、と凜センパイはあたしの手を握った。

 

「さやかちゃんは魔法少女にならないで。その大切な日常を絶対に捨てようとしないで」

「……でも、恭介は……」

「うん、分かってる。だから、恭介くんの腕は私がなんとかするよ」

「え?」

 

 思いがけない言葉に、あたしは前のめりになる。

 

「なんとかって……。凜センパイ、恭介の腕を治せるんですか!?」

「うん。魔法少女は、それぞれ自分固有の魔法を持ってるの。私も同じで、私の固有魔法は『巻き戻し』。あらゆる物質の時間を巻き戻せる。例えば……」

 

 そう言って、凜センパイは近くにあった紙ナプキンを二つに破る。

 

「こうやって破れちゃったものだって……、ほら」

「おお~……」

 

 凜センパイが破れた紙ナプキンにソウルジェムをかざせば、紙ナプキンは逆再生の映像のように、元の一枚に戻った。

 

「これは人体にも有効でね。いつもはこれで傷を治してるんだけど、これを恭介くんにも使うの。この魔法なら、恭介くんの腕くらい十分治せるよ。どうかな?」

 

 凜センパイはあたしに問いかけてくる。

 

 どうもなにも、とっても良い条件だ。

 これなら、恭介の腕は治る。あたしだって魔法少女にならなくて済む。何かを捨てることも、犠牲にすることもなく、あたしの願いは叶うことになる。

 誰がどう考えても、破格の条件だ。ただ、「お願いします」と言えば終わりだ。凜センパイのことだから、これをネタに色々要求してくることもないだろう。

 

 けれど、あたしは喉から出そうになる、あたしの欲望を飲み込んで言葉を紡ぐ。

 

「……せっかくの提案ですけど、やっぱりあたしはいいです」

「……どうして?」

「たしかに、凜センパイが治してくれれば、あたしは魔法少女にならずに恭介も助かります。日常を諦める必要もなくなります」

「そうだよ。あ、このことを引き合いに出して、さやかちゃんを使いっ走りにすると思ってるなら、そんなことは考えてないから……」

「いやいや、大丈夫です。凜センパイがそんなことする人じゃないのは、もう分かってます」

「じゃあ、どうして?」

「……あたしの心の問題です。あたしは魔法少女にならなくて済むけど、それってたまたまですよね。こうして凜センパイと出会ってなかったら、あたしは契約してたと思います。他の子だってそうです。自分の願いを叶えてくれる存在はキュゥべえしかいなかった。だから、契約した子たちばかりだと思います。そんな中、あたしだけ凜センパイに全て押しつけるのは、なんか違うかなって」

「私は別にそんなこと、気にしな」

「分かってます!」

 

 あたしはちょっと強引に凜センパイの言葉を遮る。けれど、ここでその言葉を聞いたら、あたしの覚悟が揺らいでしまいそうだった。

 

「でも、あたしが嫌なんです。でも、凜センパイにだって、きっと叶えたい願いがあったんですよね。抱いた希望があったんですよね。なのに、魔女になるなんて運命を背負わされた。あたしも背負うはずだったその運命を、センパイ一人に押しつけてあたし一人のうのうと生きるのは、あたし自身が許せないんです。だって、そうやってセンパイが助けてばかりなら、センパイのことは誰が助けてくれるんですか?」

「それは……」

「あたしが魔法少女になっても、センパイの足を引っ張るのは分かってます。けど、センパイに一人で背負わせたくもないんです」

 

 あたしは胸の中の言葉を全て吐き出す。

 凜センパイからしたら、ありがた迷惑かもしれない。あたしのことを思って、色々と言ってくれているのに、あたしは魔法少女になると言って聞かないのだから。

 

 だけど、あたしは凜センパイに全てを押しつけたくない。だって、センパイの言い草だと、まるで辛いことは全部自分が背負えばいい、と言っているみたいだ。

 

 センパイにそんな悲しいことは言ってほしくなかった。

 あたしの話をこんなに真剣に聞いて、向き合ってくれたんだから。

 

 

 

 センパイはあたしの言葉に下を向く。

 やっぱり怒らせちゃったかな。

 

「……やっぱり、思ってたとおりの子なんだね」

「え?」

「ふふふ、その言葉を待っていた!」

 

 今までの真剣な雰囲気はどこかに行って、芝居がかった口調で凜センパイは顔を上げる。その顔は、笑っていた。

 

「えっと……」

「さやかちゃんの気持ちと覚悟は受け取った! 私のことまで考えてくれてありがとう。本当に優しい子だね、さやかちゃんは。ほむらの言ってた通りだ」

「え、ほむらがそんなことを……?」

「まあ、本人は自覚ないだろうけどね。けど、さやかちゃんのこと、嫌いなわけじゃないと思うよ。私もさやかちゃんのこと、今のでより好きになったし」

 

 だからこそ、と凜センパイは続ける。

 

「やっぱり、そんな良い子を魔法少女にはさせられない。だけど、さやかちゃんの願いも覚悟も叶えてあげたい。だから……」

 

 凜センパイは微笑みながら、あたしに小指を差し出す。

 

「契約しよう。私と」

 

 あたしは、彼女の言ったことがよく分からなくて、オウムのように言葉を返す。

 

「契、約?」

「そう、契約。キュゥべえの代わりに私とするの。私がさやかちゃんに与えるのは、恭介くんの腕を治すという奇跡。そして、その代わりにさやかちゃんが差し出すのは……」

 

 少しもったいぶるように言葉を溜める凜センパイに、あたしは息をのんで次の言葉を待つ。

 

「さやかちゃんが差し出すのは、魔法少女になる権利だよ」

「……え。魔法少女に、なる権利?」

「そう。考え方の問題ではあるけど、さやかちゃんは奇跡を起こす権利を私に渡して、私が奇跡を起こす。これは本来、魔法少女に契約するときの一度しかないもの。それをキュゥべえではなく、私に渡すわけ。そうなれば、その後にキュゥべえと契約して別の願い事を叶えるのはルール違反だよね。だから、私との契約の代償は、この先なにがあっても魔法少女の契約ができなくなること」

 

 そこまで言うと、凜センパイは眉をハの字にして、困ったように笑う。

 

「でも、私の契約に強制力はないから、魔法少女の契約はしようと思えばできちゃうけどね。だから、この契約を守るかはさやかちゃんの気持ち次第にはなっちゃう」

 

 でも、と凜センパイはあたしを真っ直ぐ見つめる。

 

「さっきの会話で、さやかちゃんはそこら辺守ってくれる強い子だって思ったから。だから、私はさやかちゃんを信じることにするよ」

「……さすがに買い被りすぎですよ」

「そうかな?」

「まったく……。そこまで言われちゃったら、このさやかちゃんも応えないわけにはいかないでしょ!」

 

 あたしはそう言って、凜センパイの小指に自分の小指を引っかける。

 

「します、契約。これで恭介の腕が治るなら」

「ん、分かった」

 

 そうしてあたしたちは指切りをした。子どもみたいな簡単な方法だけど、そもそもあたしの良心に全て委ねられている、穴だらけの契約だ。こっちのほうがそれっぽい。

 

 

 

 

 すると、凜センパイは思い出したように口を開く。

 

「あ、そうだ。もう一つ、さやかちゃんにお願いすることがあるんだった」

「ええ!? このタイミングで!?」

「大丈夫! 契約の対価に追加することはないから。これは単純に私からのお願い」

「それでしたら、まあ。あたしのできる範囲なら……」

「ありがとう。それでお願いなんだけど、もしさやかちゃんの周りで魔法少女になろうとしている子がいたら、止めてあげてほしいんだ」

「……それって、まどかもですか?」

「うん。こういうこと頼める子って中々いないから。魔法少女なんて、望んでなるようなものじゃない。そのことを、教えてあげてほしいんだ。一人でも、こんな運命を背負わなくていいように」

 

 そう語る凜センパイの顔は、再び真面目な顔に戻っていた。

 

「分かりました。それも、さやかちゃんが引き受けましょう。親友として、まどかにもそんな運命背負わせられませんからね!」

「ホント!? やったー! ありがとう!」

 

 あたしの答えに、凜センパイはいつもの明るい顔に戻る。表情や雰囲気のよく変わる人だ。

 

「それじゃ、凜センパイ。恭介の腕は……」

「うん、さっそく明日から治そうか。といっても、一瞬で治しちゃうと色々疑われちゃうからね。一週間くらいで治るような魔法をかけておくよ」

「ありがとうございます、凜センパイ!」

「どういたしまして」

 

 

 

 

 その後、あたしたちは明日の待ち合わせ場所と時間を約束して別れた。

 

(本当に、ありがとうございます。凜センパイ)

 

 彼女の後ろ姿を見ながら、心の中でそう呟く。

 魔法少女の真実と、契約の対価。それを知らなければ、きっと自分は迷わず魔法少女の契約をしていただろう。そして、いずれ深く後悔することにもなっていただろう。もしかしたら、一般人を傷つけるようなことをしていたかもしれない。

 

 そんな自分を止めてくれたのだから、彼女には感謝してもしきれない。

 彼女のおかげで、あたしは前に進める。

 

 

 

 きっとこれから先、魔法少女の契約をしたくなるタイミングなんて何度でも訪れるだろう。でも、彼女との契約があれば、きっとその迷いだって何度でも振り切れる。

 

 あとは……。

 

(魔法少女になろうとする子を止める、か……)

 

 先ほどの話でも出したが、自分の周りの人間だと、真っ先にまどかが思い浮かぶ。あの子も、自分に何かできるなら、という理由で魔法少女になることを考えていた。

 

 まずは彼女を止めるのが、ひとまずの仕事だろう。

 

 

「さーてと。頼まれたからには、このさやかちゃん、頑張っちゃいますか!」

 

 病室から見えた夕焼けは、今はその姿をほとんど地平線に隠しており、空はすでに夜の色だ。

 けれど、あたしの心はまるで生まれ変わったみたいに明るかった。

 

 

 

 

 




ようやく2周目の世界線も折り返しです。
中々話が進まない……。
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