魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得   作:くろしゅー

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(廻天が公開延期することになったので)初投稿です。



Record2 DAY.26~DAY.32

 

 

 

 希望を繋げる実況、はーじまーるよー。

 

 

 

 前回はやちよさんが見滝原に来て、合同特訓を始めたところまででしたね。今回はその続きから最終日まで行きます。

 長かった2周目の世界線も今回で終わりです。最後まで気を抜かずにやっていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DAY.26

 

 

 今日は神浜市に向かいます。

 

 というのも、今日はワルプル戦前にある最後の休日なので、その前に神浜でとあることをやっておきたいんですよね。

 

 あ、フェリシアちゃんも一緒に行くかい?

 

「おう。特訓とかだりぃしな」

 

 そんなこと言わないの。

 

 それに神浜で挨拶しておきたい子がいるなら、今のうちにしておいたほうがいいゾ。

 ワルプルギスの夜で何があるか分からないからね。

 

「大げさな気もすっけどなぁ。それにオレ、そんなことするような相手なんていないし」

 

 友達とかいないの?

 

「あー、かことかあやめとかいるけど……」

 

 それならその子たちと遊んでおけば? 後悔とか残させないほうがいいゾ。その子たちに。

 

「んー、そんなもんか? まあいいや。ちょっと聞いてみる」

 

 ん、おかのした。

 

 

 

 さて、なんでフェリシアちゃんにここまで二人に会うように言ったかというと、二人を仲間にしたい……、わけではありません。

 

 先ほどフェリシアちゃんが挙げた、夏目かこちゃんと三栗あやめちゃんの二人はどちらも、神浜でチームで戦っている子たちです。

 特にかこちゃんは、マギレコRTAでは攻略に必須レベルの常磐ななかちゃん率いるチームに属しており、お世話になった先駆者兄貴たちも大勢います。

 

 そのため、彼女たちを味方にできれば心強いのですが、残念ながら一ヶ月では厳しいんですよね。

 そもそも、ななか組は原作マギレコでも第1部、第2部と自分たちに害が及ぶまで、静観を決めていたので、メインストーリーでもあまり出てきていません。

 しかも、フェリシアちゃんが仕事でしくじったのが彼女たちと組んでいたときなので、フェリシアちゃんがチームにいると、それだけで彼女たちからの好感度も下がります。

 

 なので今の状況ですと、彼女たちは協力してくれません。

 ユリちゃんに交流があれば可能ですが、残念ながらユリちゃんの交友関係に彼女たちの名前がないので、恐らく会ったこともない、もしくは会っていてもそれほど交流がなかったのでしょう。

 

 あやめちゃんのほうも同じような感じです。

 彼女は元々、孤児院「つつじの家」で過ごす少女で、同じ施設出身の遊佐葉月ちゃん、静海このはちゃんと共にチームを組んで魔女退治をしています。

 

 彼女たちは彼女たちで色々事情を抱えていますが、ここでは割愛させていただきます。詳しく知りたい方はイベント『そしてアザレアの花咲く』をお調べください。彼女たちのチームがアザレア組と呼ばれたり、有名な「あち死」のネタの元になったイベントです。

 

 ともかく、今の彼女たちに関係もない地域の魔法少女を助けるほどの余裕はないんですね。

 そのため、こちらも助けにはなってくれません。

 

 

 

 

 今解説していて思いましたが、よく考えれば『混沌』事件をユリちゃんも経験しているはずなので、ななか組やアザレア組とも会ってそうですがね。

 

 

 

 まあそれはともかく。

 それでは、なんでフェリシアちゃんを誘ったかというと、とある本をゲットするためにかこちゃんの実家、古書店『夏目書房』に行く必要があるんです。

 

 

 

「おーい、凜。かことあやめも遊べるって言うからよ、オレも一緒に行っていいか?」

 

 当たり前だよなぁ?

 

 

 

 ということで、いざ神浜。

 

 

 

 

 

 

 

 魔法少女移動中……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい、到着です。

 

 ここが目的地にして待ち合わせの場所、夏目書房です。

 

「ん? あー! フェリシアやっときたー!」

「フェリシアちゃん久しぶり」

「おお、久しぶり」

 

 お、いましたね。

 

 右にいるピンクの髪をツインテールにした元気そうな子が三栗あやめちゃん。左の緑髪をボブカットにした内気そうな子が夏目かこちゃんです。

 

「フェリシアちゃん、隣の人は?」

「コイツ? オレの……、保護者?の凜だ」

 

 夕凪凜、15歳、学生です。

 

「保護者……? あ、えっと、どうも。私、夏目かこって言います」

「あちしは三栗あやめ。よろしく!」

 

 よろしくナス!

 

 それじゃあ、フェリシアちゃんはごゆっくり。

 

「え? 凜も一緒に遊ばねえの?」

 

(遊ば)ないです。

 せっかくなんだから、部外者なしで遊んできなよ。それに、ユリちゃんにはやることもあるしね。

 

「……分かった。いくぞ、あやめ、かこ」

「あ、ちょっと、置いてくなよフェリシアー!」

「す、すみません! 待ってよフェリシアちゃん!」

 

 

 フェリシアちゃんたち、仲いいですね~。13歳組は癒しやで、ホンマ。

 

 

 さて、フェリシアちゃんも遊びにいったところで、ユリちゃんは夏目書房に入りましょう。

 

 ここで何が欲しいかというと、著者:里見太助の『魔法少女 その希望と絶望(上)』です。

 

 なにそれ? となる視聴者兄貴もいると思いますので簡単に説明しますと、とある民俗学者の人が書いた魔法少女に関する伝承をまとめた本です。

 

 超絶ネタバレにはなりますが、この本がマギアレコードのお話を始めたと言っても過言ではないくらい、実はすごい本なんです。

 

 ちなみに、この本は夏目書房でしか買えません。なんで夏目書房なのかと言うと、原作でも言われていましたが、あまりにも売れないので既に絶版になってます、この本。

 

 そのため、古書店である夏目書房でないと売ってないんですね。売り出してまだ数年なのに、古本扱いされててカワイソ……。

 

 

 

 

 内容としては、この本の著者、里見太助が世界各地を巡って見つけた、魔法少女の伝承や逸話などをまとめた本となります。

 なので、ジャンヌ・ダルクの英雄譚やクレオパトラの逸話、チベットのラクシャーシー伝説などが記載されています。

 

 

 ゲームシステム的には、過去に生きた魔法少女たち、例としては『魔法少女たると☆マギカ』の魔法少女たちやマギレコのイベント『ピュエラ・ヒストリア』の魔法少女たちに関係するイベントを進める際に使われるアイテムとなります。

 

 

 

 ですが、今回は過去の魔法少女たちの情報が欲しいわけではありません。

 

 

 

 お、あったあった。

 では、この本を購入したら、早速中身を読んでいきましょう。

 

 

 

 歴史上の魔法少女についてのページをめくり終えると、次は日本に根付く魔法少女に関する内容になっていきます。

 

 

 そして、ここ! 

 

『魔法少女が根付く村 時女の集落』

 

 

 ここの情報が欲しかったんです。

 

 内容自体は大したことは書いてありませんが、ここにバッチリ時女集落の場所が記載されています。

 

 時女ってなんぞや? と思う視聴者兄貴もいると思いますが、これに関しては時女一族が出てきたときに改めて解説します。

 とりあえず、代々魔法少女を生み出している一族であり、集落だと思っていただければ問題ありません。

 

 この情報の取得が、この時間軸でやる最後のマストイベントです。

 

 これで、とりあえず欲しい情報は出揃いました。時女の情報をどう使うかは、次の周で解説します。

 

 

 

 

 

 

 さて、後は調整屋で調整をしてもらったら、ユリちゃんが神浜でやることは全て終了です。

 

 

 とりあえず、調整屋での調整の様子は倍速で流しておきます。

 

 今回の調整は、ワルプルギスの夜との戦いを考えて、マギアの威力と、魔力効率を上げましょう。今回の戦闘では、前回以上に火力が求められるので。

 

 

 

 

 

 よし、調整も終わりましたね。みたまさん、ありがとナス!

 

 

 

 ん?

 

 ど う し て 等 速 に 戻 す 必 要 が あ る ん で す か ?

 

 

「ねえ、凜ちゃん」

 

 みたまさん? どうしたんだゾ?

 

「……ううん。何でもないわ~。頑張ってね」

 

 任せとけって安心しろよ~。

 

「また、来てね。いつでも待ってるわ」

 

 おう考えてやるよ。(行けるとは言っていない)

 

 

 

 ……なんだったんでしょう、今の会話。

 いや、こういう会話イベントがあるのは知っていましたが、フラグを立てたつもりはないんですがね。

 

 今のはみたまさんからの好感度が一定以上だと起こる会話イベントです。

 まあ、このイベントが起こったからといって、特に何かが起こるわけではありません。みたまさん攻略ルートだと、好感度が上がったことを確認できるイベントなので。

 

 ただ、今回ユリちゃんにみたまさんの攻略をしてもらうつもりはないので、この会話をしたところで、これ以上のアクションを起こすつもりもありません。

 

 どうせユリちゃんもあと6日の命だしね。(外道)

 

 

 

 

 さて、それでは日付を進めましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.30

 

 

 はい、今日はショッピングモールにやって来ました。

 

 前周の攻略を覚えている人なら分かると思いますが、今回もアレを書く日がやって来ました。

 

 はい、ユリちゃんの遺書ですね。

 

 

 これでほむらちゃんへ次周のユリちゃんへの情報を託せますが、今回託す情報は以下のものとなります。

 

 まず、やちよさんの勧誘のこと。これはマストでやるべきことなので、これは選択するようにしましょう。

 

 次に選ぶのは、フェリシアちゃんのこと。ユリちゃんが保護したこと、その結果、杏子ちゃんとの衝突が起こったこと、でも杏子ちゃんとの相性は良かったことなどの情報を伝えられます。

 

 その次は、さやかちゃんの契約阻止について。これも絶対にやらなくてはいけないイベントなので、これは選ぶようにしましょう。

 

 最後に、太助の『魔法少女 その希望と絶望(上)』という本のこと、そしてその中に書かれていた時女一族のことについてを選択します。これで、今回のように何か理由をつけて夏目書房に行く手間を省けます。

 

 

 

 

 選択した内容に間違いがなければ、OKボタンを押して、ユリちゃんの遺書の完成です。

 

 そしてこれをほむらちゃんに渡せば、ユリちゃんの仕事はほとんど終わりです。

 

 あとは、ワルプルギスの夜と全力で戦うだけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.32

 

 

 ついにループ最終日。

 

 今回の討伐メンバーは、ユリちゃんとほむらちゃんに加え、マミさん、杏子ちゃん、まばゆちゃん、やちよさん、フェリシアちゃんの7人です。

 前回がユリちゃんとほむらちゃんの二人だったことを考えると、かなり人数が増えましたね。

 

 もちろんその分、ワルプルギスの夜も強くなりますが、それでも前回のような蹂躙にはならないと思います。

 

 

 

 

 各自が前日の作戦会議で考えた配置についたところで、ほむらちゃんに話しかけてワルプルギスの夜戦を始めましょう。

 

 

 5

 

 

 いつも通りのカウントダウン演出が入って、バトルスタートです。

 

 

 4

 

 

 3

 

 

 2

 

 

「今度こそ……」

 

 

 1

 

 

「決着をつけてやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 開幕、まずはほむらちゃんの携行火器の一斉掃射による、弾幕がワルプルギスの夜を襲います。

 

 まずは、原作でもやっていたような、ほむらちゃんが調達してきた武器による攻撃が続きます。そのため、ユリちゃんたちはほむらちゃんを妨害しようとする使い魔たちを倒す、露払いに徹しましょう。

 

 

 

 

 

 そして、ここでほむらちゃんによる対艦ミサイルがワルプルギスの夜に直撃しました。吹っ飛んでいくワルプルギスの夜。そして、落ちた場所には大量の地雷とC4が。

 

 

 

 

 眩い閃光と轟音が街を駆け抜けます。

 

 

「やったか!?」

 

 

 バカ! フェリシアちゃん! そんなコテコテのフラグを立てるんじゃないよ!

 

 

 

「っ!? きゃあ!」

「暁美さん!!」

 

 案の定、ほぼ無傷で現れたワルプルギスの反撃で吹っ飛ばされるほむらちゃん。体力ゲージも2%くらいしか減ってませんね。

 さて、ほむらちゃんはまばゆちゃんに任せ、ここからはやちよさんたちと共に前線を張りましょう。

 

「凜! フェリシア! いくわよ!」

 

 かしこまり!

 

 三人に勝てるわけないだろ!

 

 

 

 お、さっそくやちよさんがマギア『アブソリュート・レイン』を発動。効果のほどは……。

 

 

 

 

 ファッ!? マギア一発で5%くらい削ってる!

 

 強すぎィ!

 

 

 前回の戦いでユリちゃんのマギアが2%くらいしか削れなかったことを考えると、やちよさんの火力がいかに凄まじいか分かってもらえると思います。前周のワルプルは今回の個体より体力が低かったことを考えると、前回の戦いにいれば、体力を1割くらい削ってくれたかもしれませんね。

 

 ワルプルの体力バーが目に見えて減らせるやちよさん、マジ最強。

 

 

 

「おっしゃー! オレも!」

 

 続いてフェリシアちゃんも仕掛けるみたいので、ユリちゃんも合わせていきましょう。

 

 

「食らえーーーー!!!」

 

 フェリシアちゃんもマギア『ウルトラグレートビッグハンマー』を発動。ユリちゃんもマギア『ルーチェ・フトゥーロ』を使って同時攻撃です。

 

 

 おお~、ええやん!

 

 

 やちよさんには及びませんが、そこそこの火力は出せましたね。

 

「佐倉さん! 私たちも!」

「言われなくっても!」

 

 お、杏子ちゃんもマギア『盟神快槍』を、マミさんは言わずとしれた『ティロ・フィナーレ』を使うようです。

 

「ティロ・フィナーレ!!」

 

 

 ド派手ー!

 さすがにこの人数の魔法少女が戦うと戦場も派手になりますね~。

 

 さあ、全員で囲んで叩くんや!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、先ほどのマギア連発祭りから少し経ちましたが、ようやくワルプルの体力も6割くらいまで削れましたね。

 

 

 

 対してこちらはというと、既にほぼ全員満身創痍です。

 

 うせやろ? あんな勝ち確みたいな流れで?

 

 と思った視聴者兄貴もいると思いますが、実はこれ、別に不思議なことじゃありません。

 

 ソシャゲ版では何発も撃てたマギアですが、消費魔力の概念があるこのゲームではそうもいきません。マギアは魔力を大幅に消費するので連発できないんですね。

 

 

 そのため、倒そうとしてもこちらが先に魔力切れになります。これがワルプル戦の難易度の高さに直結しているわけですね。

 

 

 

 ん? それじゃあ、やちよさんだけ連れてきて少人数で撃破すればいいだけでは? とお思いの人もいるでしょう。

 

 

 しかし、それも中々難しいのです。

 

 というのも、ワルプルギスの夜は体力が4割まで減ると第二形態に移行します。

 魔女の説明にもある、かの有名な上下逆転の姿ですね。

 

 こうなると、向こうの火力がえげつないことになり、少人数だとヘイトの分散が足りなくなって、ワルプルの体力を削り切る前にこっちがやられてしまいます。(最悪、ユリちゃんだけはプレイヤーのプレイで生き残らせることは可能ですが)

 

 このように、人数が多くても少なくてもこちら側が負けるような仕組みになっている、つまり負けイベのようになっているのが、このゲームのワルプル戦です。頭にきますよ!

 

 とはいえ、勝てないわけでもありません。でなければ、ワルプル討伐をしなければ獲得できないトロフィーがいくつもあるわけないですからね。

 

 そして、その第二形態をなんとかする方法に、頭数がある程度必要なのです。それと、戦略。

 

 頭数のほうは次の時間軸でなんとかするとして、ワルプルの体力を効率的に削る方法は、この時間軸で突破口を作らなければいけません。

 

 

 

 

 ということで、その情報を得るために……。

 

 

 

 

 凜ちゃんには、その命を燃やしてもらいましょう。

 

 

 

 

 

 スキル選択画面のマギアのところ。

 ここを長押ししていると……。

 

 

 

『自爆』という選択肢が出てきましたね。これを使います。

 

 一応、間違えて押してしまったときのために、「この技を使うと操作キャラクターは死亡します。本当に使いますか?」と警告の文書が出てくるので、これを「OK」しましょう。

 

 

 

 すると、ユリちゃんの体が光りだしましたね。これで自爆に向けて魔力がチャージされるので、あとはチャージが完了すればボタンを押すだけで大爆発を引き起こせます。

 

 

 威力に関しては、まどマギの人魚の魔女と杏子ちゃんの戦いを見ればお分かりでしょう。

 

 

「凜さん……? なに、してるんですか?」

 

 お、まばゆちゃんじゃん。ほむらちゃんは大丈夫そう?

 

「凜さん、何しようとしてるんですか? 答えてください」

 

 んまあ、そう、希望を繋ぐための攻撃?

 

「答えになってないです! ……失礼します!」

 

 ファッ!? 距離縮めてきた! 

 そんなガチ恋距離で見つめられると恥ずかしい……。

 

 というのは冗談で、まばゆちゃんの固有魔法『未来視』を使われましたね。

 まばゆちゃんの固有魔法は相手の目を覗き込まなければ発動しませんからね。なので、こうやって顔を近づけてくるんです。

 

「っ!? そ、んな……。凜さん、バカな真似は止めてください! 今ならまだ……」

 

 これで自爆を阻止されると厄介なのですが……、まばゆちゃんの慌てぶりを見ると、どうやら止められない未来を視てしまったっぽいですね。

 

 悪いけど、これしか方法はないゾ。これも葦名のため……。

 

「待って、待ってください! いや、いやです凜さん!」

 

 ん? うわっ、ワルプルのやつ、攻撃してきやがった! 今際の百合の会話に挟まるとか、死ゾ?

 もう許さねえからな?

 

 

「凜さぁぁぁぁん!!」

 

 あばよ、まばゆちゃん。

 

 

 

 さあ、飛んでくるワルプルの攻撃を避けて距離を詰めましょう。

 

 ここで、ジャンプ!

 

 浮いてる瓦礫の上に飛び乗ったら、全力ダッシュ! そして、この右斜めにある瓦礫に飛び移ったら、さらにここで二段ジャンプ。これで、ワルプルに続く道のショートカットができます。

 

 

 あとはここでタイミング良くジャンプしたら、ワルプルが巻き起こした竜巻のような風に乗ってワルプルギスの上を取ります。多少ダメージは受けますが、問題ありません。

 

 

 あとは、空中に生み出した二段ジャンプの魔方陣を蹴り、ワルプルギスの歯車目掛けて突っ込みます。そして、ぶつかるタイミングで……。

 

 

 

 

 

 ここ!

 

 ウ○トラ、ダイナマイト!(No.6並感)

 

 

 

 

 よし! キレイに決まりました。

 

 

 見てください、このダメージ量。こんだけあるワルプルギスの体力を1割近く削りましたよ。

 

 で、何が伝えたかったかというと、ワルプルギスの歯車はダメージが通りやすい、ということです。

 一応、ワルプルギスの夜は多くの魔女が集まってできた魔女です。そのため、元となった魔女が当然いるわけですが、その元の魔女の部分がこの歯車なのです。

 そのため、ここの部位だけ他の場所より、若干ダメージが入るように設定されています。

 

 ですが、普通の攻撃だと、ワルプルの防御やダメージカットが強すぎて、あまり実感が湧かないんですよね。

 

 なので、一撃が強力な技でないと、弱点だということを証明できないんです。

 だから、ユリちゃんに自爆してもらう必要があったんですね。(メガトン構文)

 

 

 ただ、ユリちゃんはこれで死んでしまうので、ここが弱点だと気づくかはほむらちゃんとまばゆちゃんに託すことになってしまいます。

 

 ちょっと運ゲー要素は挟まりますが、まあリカバリー案は考えてあるので、最悪気づかれなくてもなんとかします。

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで、ユリちゃんが死んでしまったのでプレイヤーがこの時間軸でできることはここまで。

 

 あとはナレーションでワルプルギスの夜に負けたことが語られて、ほむらちゃんが時間を巻き戻す演出が入って、2周目の時間軸もおしまいです。

 

 このあっさり感が、余計に絶望を煽りますね。私も初見のときは、頑張って戦った後にこの演出をされて、心が折れかけました。

 

 

 

 ですが、安心してください。ワルプルにボコられるのはこれで最後です。

 

 既にピースは出揃いました。あとは完成させるだけです

 

 

 ワルプルギスの野郎(野郎じゃない)、散々いたぶってくれやがって。もう許さねえからな?(マジギレ)

 

 

 

 

 

 ということで、今回はここまで。次回、3周目の時間軸でお会いしましょう。ご視聴、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.31 Side MA

 

 

 

「はい、これ。ほむらに渡しておくね。中身の説明は……」

「前のあなたに聞いたから大丈夫よ」

「ん。それなら大丈夫だね」

 

 ワルプルギスの夜襲来の前日。私たちは暁美さんの家で作戦会議を行っていました。

 そしてそれが終わった後、皆が帰ったところで、凜さんが暁美さんに封筒を渡していたのです。

 

「それ、なんです? 手紙?」

 

 私が暁美さんと凜さんに聞くと、暁美さんはあっさりと答えました。

 

「これ? 凜の遺書よ」

「へ~、遺書。……遺書!?」

 

 私は思わず大声を上げます。

 暁美さんがあまりにあっさり言うので、一瞬そのまま受け入れそうになりました。

 

「え、え? 凜さん! ダメです、早まっちゃ! えと、えと……」

「ちょ、落ち着いてまばゆ。別に自殺しようと思ってるわけじゃないから」

「そういえば、まばゆには説明してなかったわね。これね、前の時間軸でも凜が書いてくれたのよ。次の時間で必要な情報を書いた手紙」

「ふえ? ど、どういうこと、です?」

 

 そして、私は暁美さんからその封筒の中身の説明を受けました。

 この手紙は、凜さんがもしものときのためにしたためたものであること。書いてある内容は、この時間軸での反省点や次の時間軸に持ち越したい情報などであること。そして、記憶を持ち越せる暁美さんに託していること。

 

「そ、そういうことだったんですね。びっくりした……」

「驚かせてごめんね。でも、こうしておけば、例え時を巻き戻しても私がどんなことをしたか分かるから、無駄な労力を省けるんだ。それに、またほむらが協力する理由になるしね。もちろん負ける気はないけど、念のために、ね。実際、この時間軸でここまで動けたのは、ほむらに託した前の私の情報があったからだし」

 

 凜さんは補足するように言います。

 

「それじゃ、ほむら、まばゆ。明日はよろしくね」

「ええ。凜こそ、明日は頼むわよ」

「ふふん。任せといて!」

 

 そう言って、自分の荷物をまとめ、帰ろうとする凜さん。

 

「あの!」

 

 その凜さんを、私は咄嗟に呼び止めました。

 

 凜さんに拒絶されたあの日から、私たちはあまり話せないでいました。といっても、私が気まずくて話せていないだけなんですけど。

 あの話題に触れるのはタブーであるような空気があって、私はそれに言及できませんでした。

 

 でも、このまま明日を迎えてしまうのは、何だか良くない気がして。私は、勇気を振り絞ってあの話題に触れることにしました。

 

「凜さん、やっぱりどこか辛いんじゃないですか? 昨日も、フェリシアさんに相談されました。凜さんの様子がおかしいって」

「ちょっと、まばゆ」

 

 暁美さんが止めるような視線を送ってきますが、ここで引くわけにはいきません。行動しないで後悔することは、したくありませんから。

 

「フェリシアさんから聞きました。凜さん、ここ最近ずっとうなされているんですよね、寝てる時。その隈、寝られてないんじゃないですか? だから、この前の魔女との戦いでも、集中力が落ちてた」

「……」

 

 凜さんは背を向けたまま、何も答えません。

 

「気にかけなくていいって凜さんは言ってましたけど、やっぱり私には無理です。友達がそんなに苦しんでいるのを、見て見ぬ振りはできません。ねえ凜さん。どうして何も言ってくれないんですか? そんなに私は、私たちは頼りないですか? 私たちじゃ、あなたの隣に立つことはできませんか?」

 

 私は必死に呼びかける。

 なぜ凜さんは心を閉ざしたままなのか。人付き合いが嫌いなわけじゃないはず。嫌いなら、あんなに話しかけてこないだろう。

 きっと理由があるはずです。その理由を、私は知りたい。

 

 すると、凜さんが振り返って私のほうを見ます。

 

「まばゆってさぁ、コミュ障って言う割には、人のことよく見てるよね。人の心の動きに、意外と敏感」

「え?」

「けど、どこまで踏み込んでいいか分からないから、踏み込んでほしくないところまで土足で踏み込んでくる。だってコミュ障だもんね」

「り、りんさ……」

 

 私の言葉を遮るように、凜さんは続けます。

 

「まばゆはさ、放っておく優しさって分からない? 気にかけられる辛さって分からない? 分からないか。まばゆ、色んな人に愛されてそうだもんね」

 

 怖い。

 

 私の思考を支配したのは、そんな気持ちでした。

 凜さんが喋るたび、呼吸が浅くなるような感じで。思わず後ずさりしてしまうほど、凜さんの雰囲気は怖いものでした。

 

「理解できないなら言ってあげようか? 迷惑なの、あなたのその優しさが。鬱陶しくて、邪魔」

「あ、え……」

 

 私が何も言えませんでした。

 人が変わったように冷たい凜さんが、怖くて、どうしたらいいか分からなくて。

 

 それでも凜さんの力になりたくて、私は必死に言葉を絞りだして……。

 

「で、でも、私は、友達で……、友達の凜さんを……」

「あのさぁ、止めてって言ってることをやるのが友達なの? 結局、まばゆのそれってさ、こうしたら喜ぶだろうって自分の中で考えてるだけで、相手のことを何も考えてないよね。だから、誰にも相談しないで皆の記憶からまばゆを消すなんてできるんだよ。それが正しい結末なんだって思い込んでさ」

 

 その言葉は、凜さんに握りつぶされました。

 

「私の力になりたいって言うなら、もうこれ以上、私の力になろうなんて考えないで」

 

 そう凜さんに言い切られ、私はもう何も言えませんでした。

 

「……ごめん、なさい」

 

 結局、私が言えたのは謝罪の一言だけ。

 そして、それを言ったと同時に、私の視界はどんどんぼやけていきます。

 

「もういい? 泣いてるまばゆ見てる趣味はないし」

 

 凜さんにそう言われ、私は初めて泣いていることを自覚しました。

 

 

 

 

 その直後、ガチャ、という音が聞こえました。その音は私にも聞きなじみのある、拳銃を動かしたときに鳴る特有のもので。

 私が目元を拭いながら顔を上げれば、暁美さんが凜さんに銃を突きつけていました。

 

「黙って聞いていたけど、さすがに我慢の限界よ。凜、さすがに言っていいことと悪いことがあるわ。まばゆに謝罪しなさい」

「……嫌なことに嫌って言って何が悪いの? まばゆがしつこいんだから、強く言うしかないじゃん」

「謝りなさい、凜。さもないと……」

「撃つ?」

「っ!」

 

 凜さんの言葉に、暁美さんは怯んだような顔を一瞬した後、銃のセーフティを即座に外します。

 しかし、凜さんは全く動じる様子もなく、手を広げて言います。

 

「いいよ、撃てば? あ、でも私の魔法の関係上、普通に撃つだけだと効果ないから、狙うなら……」

 

 そう言って、凜さんは暁美さんの銃身を掴むと、そのまま銃口を自身のソウルジェムに向けます。

 

「ここ狙ってね。じゃないと意味ないよ」

「あなたっ……」

 

 ある意味、私たち魔法少女にとっては脳や心臓よりも急所のソウルジェムに、銃口が向けられているとは思えないほど、凜さんは落ち着いていました。けれど、その落ち着きは暁美さんが撃たないと信じているというより、撃たれても構わないと投げやりな雰囲気が強く、凜さんの微笑みは不気味さすらありました。

 

 

 暁美さんが引き金に指をかけたまま動かないのを確認したら凜さんは、少し残念そうな顔をして、暁美さんの横を通り過ぎて玄関へと向かいました。

 

「じゃあ明日はよろしくね、二人とも。お邪魔しました」

 

 その言葉を残して、凜さんは帰っていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(眠れない……)

 

 私は布団を抱きかかえるようにしながら、寝返りを打ちます。

 

 結局、先ほどの凜さんの言葉が頭を離れず、ずっとモヤモヤした状態です。その状態で到底眠れるわけもなく、私は無駄に寝返りだけを繰り返していました。

 

(間違えて、しまいましたね……。ハハ……)

 

 凜さんの、こちらを拒絶する顔は私の記憶にしっかりと焼き付いていて、フラッシュバックを繰り返します。

 

(コミュ障のくせに調子に乗るからですよ……。ちょっと優しくされただけで、つけ上がって。私だって凜さんの支えになれるって勝手に決めつけて、先走って)

 

 凜さんの言葉が、私の中で何度もリフレインします。

 

(笑えますね……。なにが誰かの力になりたいですか。凜さんの言うとおりです。私は自分勝手な考えで動いて、それを押しつけて……)

 

 思えば、暁美さんから記憶を奪ったときも、暁美さんの気持ちをちゃんと考えてなかったかもしれません。

 暁美さんの心が折れないようにすればいいと、あの時の私は思っていました。けど、再会した暁美さんが怒っていたのはそこじゃなくて、私が相談もなく勝手に全てを抱えて進めてしまったこと。

 

(あの時から私、何も成長していませんね……)

 

 もはや笑えてくるレベルの滑稽さです。

 けれど、私から零れるのは笑いではなく、涙。

 

(なんで私なんですか……! 凜さんのほうに行ってくださいよ! 今泣きたいのは、きっと凜さんのほうなのに……!)

 

 

 それでも私の目からは涙が止まらず、私が強く布団を抱きしめた時でした。

 

 

 

 

 

 ピロン。

 

 

 私の携帯から音がしました。

 確認する気力は起きませんでしたが、どうせ眠れるわけもないので、私はノソリと起き上がって携帯の画面を確認しました。

 

『まばゆへ』

 

 そんな書き出しで送られてきたメッセージの送り主は、凜さんでした。

 

「りんさっ……!」

 

 私は急いで画面のロックを解除し、メッセージを開きます。

 

 そこには、凜さんから私に向けたメッセージが綴られていました。

 

 

『まばゆへ

 

 さっきはごめんね。

 

 ついカッとなって、酷いことたくさん言った。多分、まばゆをすごく傷つけたと思う。反省してる。

 

 もちろん、これで許してもらおうなんて考えてない。

 ちゃんとワルプルギスの夜を越えて、時間の迷路から救い出してみせる。

 

 

 

 私ね、まばゆが大好きだよ。

 見滝原に引っ越してきて、友達がいなかった私の見滝原での初めての友達が、まばゆだったんだよ。

 映画が好きって私と同じだったから嬉しかった。私が知らない映画の知識をまばゆはいっぱい知っていて、まばゆの話を聞いているのはすごい楽しかった。

 

 だから、まばゆには私のために何かをしてほしくなかった。

 私に優しくする人は皆不幸になっていくから。これ以上、近づいてほしくなかった。まばゆが苦しい思いをするのを、見たくなかった。

 

 それでまばゆを傷つけてるんだから、私ってどうしようもないよね。

 

 でも、これだけは伝えておきたかったんだ。

 

 

 

 まばゆ、大好きだよ。

 

 例え何度時間が戻っても、あなたは私の大切な友達だし、私はあなたの力になりたい。

 

 だから、もし次の時間軸があったら、頼ってほしいんだ。

 それが私にとっても、救いになるから。

 

 

 

 今日は本当にごめんなさい。

 

 これに返信は不要だから。

 明日は、よろしくね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.32 Side MA

 

 

 

 ワルプルギスの夜との決戦当日。

 

 

 昨日の作戦会議で立てた作戦通り、見滝原に集まった魔法少女たちが、各々の配置につきます。

 

 

 

 私の位置は暁美さんの隣。

 

 凜さんはここから800メートル離れた公園に七海さんとフェリシアさんと一緒にいます。

 

 

 

 結局、昨日のメッセージについて凜さんとはほとんど話せませんでした。

 

 どんな顔で会えばいいかオドオドしている私に、凜さんはいつも通りのテンションで話しかけてきて、「ごめん」と一言謝られました。

 

 私も、謝罪や言いたいことは山ほどありましたが、凜さんはそれを望んでいないのか、ほとんど話すことはできませんでした。

 

 

 それと暁美さんに聞いた話ですが、どうやら昨日、暁美さんにも私へのメッセージと同様のものが、凜さんから送られてきていたそうです。

 

 そんなに私たちのことを考えている凜さんが、あそこまで私たちを拒絶するなんて何かあるとしか思えません。

 けど、それを考えるには、時間があまりにも足りませんでした。

 

 

 

 

 暁美さんが時計を確認し、全員にテレパシーで伝えます。

 

『ワルプルギスの夜到達まであと1分。みんな、頼むわよ』

『『ええ!』』

『『おう!』』

『うん!』

 

 全員の返事が返ってきます。私も武器を構え、ワルプルギスの夜がやって来る方向を見つめます。

 

「まばゆ」

「なんです? 暁美さん」

 

 暁美さんは盾を構えながら、こちらを向いて言います。

 

「未来視無しでも、いけるわね?」

 

 

 

 そう。今回の戦い、私は事前に未来視をしていません。

 

 昨日の作戦会議で凜さんが言ったんです。

 

 

「今回の戦いだけど、まばゆは極力未来視を使わないようにね」

「え? なんでです? 使ったほうが絶対有利に……」

「まばゆの魔法で見る未来は絶対。ある意味で未来の可能性を潰して確定させてしまう魔法でもある。それでもし負ける未来が見えてしまったら、皆の心から希望がなくなっちゃうでしょ?」

「あっ……」

「魔法少女は希望が原動力なんだから。そんな未来を見るくらいなら、全員で理想の未来を信じようよ。まばゆも含めてさ」

 

 

 

 そう言われ、私は未来視を使いませんでした。

 

 だからこの後、敵がどんな攻撃をしてくるのか、私はどう動くのが正解か、私も知りません。

 私はずっと、この戦いでは未来視を使って戦ってきましたから、暁美さんはそこを心配したのでしょう。

 

 

 けど、大丈夫です。

 

「ええ、もちろんです! 私も凜さんに鍛えられましたからね」

 

 凜さんが私を鍛えたのは、きっとこの時のためだったのでしょう。

 私が未来視を使わなくても、不安にならないように。

 

 

 それだったら、私も期待に応えるとしましょう。

 それにこれだけの人数が揃ったんです。

 

「きっと、勝てます!」

「……! ええ、そうね」

 

 

 風が一層強く吹き、地上を使い魔たちのパレードが進行してきます。

 

 どうやら、奴さんのお出ましのようです。

 

 暁美さんが盾から無数の重火器を取り出します。

 

「皆、いくわよ!」

 

「今度こそ……、決着をつけてやる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果から言えば、私たちはワルプルギスの夜に届きませんでした。

 

 

 最初こそ、一方的とも言える攻撃をしていた私たちですが、こちらの手持ちのグリーフシードが減った辺りから戦況は逆転しました。

 

 向こうの苛烈な攻撃に、私たちは何度も吹き飛ばされ、叩き付けられ、皆消耗していきました。未だ犠牲者ゼロなのが奇跡なくらいです。

 

 

 

 とはいえ、こちらも余力はほとんどありません。

 

(何か、何か打開策を見つけないと……。このままじゃ、全滅です!)

 

 

 私は何か良い案を出してくれるかもしれないと、藁にも縋る気持ちで凜さんの元に向かいました。

 

 

 

 そこで私が見たのは、魔力を1カ所に集中して圧縮する凜さんの姿でした。

 

 なぜだかすごく嫌な予感のした私は凜さんに声をかけます。

 

「凜さん……? なに、してるんですか?」

 

 すると、私の声に気づいた凜さんは少し驚いた表情をした後、笑って言いました。

 

「ああ、まばゆ。今からこの戦況を変えようと思ってね。危ないから離れてて」

 

 その答えに、私の嫌な予感は更に膨れ上がります。

 

「凜さん、何しようとしてるんですか? 答えてください!」

「え、えーと、こう、ドカーンと、すごい攻撃?」

「答えになってないです! ……失礼します!」

 

 凜さんの答えに業を煮やした私は、未来視を使うことにしました。

 これで、凜さんがやろうとしていることを知れれば、そしてあわよくば止められれば、という淡い期待を抱いて。

 

 そして私が視たのは、ある意味私の予想通りで、絶対に外れてほしい未来でした。

 

「っ!? そ、んな……。凜さん、バカな真似は止めてください! 今ならまだ……」

 

 なぜなら、私が視た未来は……。

 

「あ、未来視たね? まばゆも悪い子だなぁ」

 

 必死に止めようとする私のところに、ワルプルギスの夜の攻撃が飛んできて……。

 

「ごめんね、まばゆ。でも、これしかないんだ」

 

 ワルプルギスの夜の攻撃から私を守るために、凜さんは私を突き飛ばして……。

 

「ごめんね、気にかけてくれたのに。でも、私にとっては……」

 

 炎と瓦礫で私と凜さんは分断されて、私の手はどうしても届かなくて……。

 

「待って、待ってください! いや、いやです凜さん!」

 

「私にとっては、これ以上生き続けることが絶望なんだ。だから、希望はまばゆに託すね」

 

 凜さんは安心したような、嬉しそうな笑顔で。私が見たことないようなとびっきりの笑顔で……。

 

「やちよ先輩のこと、よろしくね。あの人、すっごい寂しがり屋だから」

 

 そう言って、凜さんは強く地面を蹴り、ワルプルギスの夜へと向かっていき……。

 

「凜さぁぁぁぁん!!」

 

 

 

 

 

 自爆してしまう未来だったのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 そこから、戦線は完全に崩壊しました。

 

 犠牲者が一人出たことで、全員の動きが悪くなり……。

 

「くそ! くそくそくそ! よくも、よくも凜をーーー!!!」

「待ってフェリシア! 前に出すぎないで!」

 

 七海さんの警告を無視したフェリシアさんが無謀にも前に出たことで、その隙を突かれ……。

 

「あっ……」

 

 

 次に、それに動揺したマミさんの動きが悪くなり、それを庇った佐倉さんが……。

 

 

 

 

 それで完全に動きが止まってしまったマミさんが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は動けませんでした。

 

 ワルプルギスの夜に突っ込み、散っていく凜さんの姿が頭から離れなかったから。

 

 

 

 すると、今度は七海さんが狙われました。

 

 七海さんは使い魔を制圧していて気づいていません。

 

 

 

 ―― やちよ先輩のこと、よろしくね。

 

 

 

 

 凜さんのその言葉が頭をよぎった瞬間、私は走り出していました。

 

 未来視を使わなくても、正解の動きを体が勝手に選べます。凜さんがつけてくれた特訓に感謝ですね。

 

 

「七海さん!!」

 

 

 そうして、私は七海さんを突き飛ばし、ワルプルギスの夜の攻撃をハサミで受け流そうとして……。

 

「かはっ」

 

 

 

 ソウルジェムを、砕かれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.32 Side HA

 

 

 

 

 私の前には、地獄が広がっていた。

 

 

 ワルプルギスの夜を倒すために集まってくれた魔法少女たちは、そのほとんどが屍となって、地面に転がっている。

 

 

 生き残っていた七海さんとまばゆも、まばゆが七海さんを庇ったことで、まばゆが死んでしまい、七海さんも動けなくなってしまった。

 

 七海さんは、物理的な怪我というより、何かトラウマを抉られたような、そんな感じだった。

 

 

 

 しかし、ワルプルギスの夜は待ってはくれない。

 私が設定した、避難所への最終防衛ラインに近づいていた。

 

 

(もう、私しか……!)

 

 

 私は軽機関銃で使い魔たちを蹴散らし、ワルプルギスへと突っ込む。

 

 

 

 

 しかし、ワルプルギスの夜は私の接近に気づいていたのか、浮いていたビルの瓦礫を私に向かって放ってくる。

 

 

 私は時を止めて回避しようと盾に手をかけ……。

 

 

 

 盾の砂が落ちきっていることに気づいた。

 

「そんな……! っ!?」

 

 

 

 大質量のコンクリートの塊が私を押しつぶすように叩き付けられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ……」

 

 次に目を開ければ、ワルプルギスの夜は進撃を続けており、私の足は瓦礫に潰されていた。

 

 

 

 

(ああ、もうダメだ……)

 

 

 そこで、私は諦めてしまった。

 

 もうどう足掻いても勝てない。それが分かってしまったから。

 

 

 

 そうして私は、時を戻すために盾を身体の前まで持ってこようとして……。

 

「……? えっ……!」

 

 

 

 

 盾の付いている腕が瓦礫に挟まっていることに気づいた。

 

 

 

 

「そんな、どうしてこんなときに……!」

 

 そうしていると、ワルプルギスが再度こちらを向く。そして、攻撃の予備動作へと移っていた。

 

「待って、嘘でしょ……!」

 

 防御もできないこの状況で攻撃を食らえば、結果は分かりきっている。

 

「いや……、やめて! 私は、こんなところで……!」

 

 しかし、無情にも攻撃のチャージを完了したワルプルギスは、私に向かって炎を放ってくる。

 

 

(そんな……。まだ、まどかを救えていないのに……。私は、ここで……)

 

 

「いや、だれか……」

 

 私は目の前の現実に耐えられなくて、目をギュッと閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やらせない!!!」

 

 

 

 私がキツく閉じた目を開けると、炎は何かに遮られていた。

 

 誰が遮ったかは、すぐに分かった。

 

「七海さん!!」

「くっ!」

 

 七海さんは自身の武器であるハルバードの槍を大量に生み出し、防壁のようにしていた。

 

 

 攻撃を防がれたワルプルギスは、使い魔たちを集中させ、自身もまた攻撃してくる。

 

 

 

 それを七海さんは全て捌ききっていく。

 私を庇いながら。

 

 

 

 それでも、動けない人間を庇うなんて簡単なことではなくて。

 

 七海さんの身体には、次々と傷がついていく。

 

 

「七海さん! 逃げてください! そんなことしてたら、あなたまで……!」

「逃げるわけないでしょ! 凜の友達を死なせたら、私はあの子になんて言えばいいのよ! 絶対に死なせない! 私はもう、誰も犠牲になんか選ばない!」

 

 

 そうして、七海さんとワルプルギスの攻防はしばらく続き……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあっ……、はあっ……、これで、打ち止めかしらね……」

 

 全身に多くの傷を作った七海さんはそう呟いて、倒れ込んだ。

 

 あれからどれくらい経っただろう。数十分は経ったような気もするが、もしかしたら、数分だったかもしれない。

 

 結果として、七海さんはやって来た使い魔を全て倒し、ワルプルギスの攻撃も全て防ぎきって、私に攻撃を届かせることはなかった。

 

 

 そして、ワルプルギスの夜にできた一瞬の隙を逃さず、渾身の魔力を込めた槍の一撃は、ワルプルギスの歯車のような部分に直撃した。

 

 その攻撃に怯んだのか、それとも単に私たちへの興味を失ったのか、ワルプルギスの夜は追撃を止め、避難所へと向かった。

 

 

 

 

 そこからは早かった。

 キュゥべえと契約したまどかが一撃でワルプルギスの夜を倒し、そして……。

 

 これ以上は語るまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 世界を滅ぼすために動きはじめたまどかを、私は見ていることしかできない。

 

 動きたくても、今のままじゃ動けない。

 

 

 

(まどか……)

 

 今回も失敗だった。

 あれだけ仲間を集めても、ワルプルギスの夜を越えることはできなかった。

 

 考えたくなくとも、私の頭はとある可能性を考えてしまう。

 

(もしかしたら、私がワルプルギスの夜に勝つことなんて……)

 

 

 

 

 その考えが頭をよぎったとき、ふと左腕に感じていた重さが消える。

 

 目を向けてみれば、満身創痍の七海さんが私の腕に乗っていた瓦礫をどかしていた。

 

「七海さん!」

「ごめんなさい……。どかすのが、遅くなったわね……。足も、どけるから、ちょっとまってて……」

 

 そう言って、七海さんは私の足を潰していた瓦礫をどかす。

 

 それと同時に、近くの瓦礫にもたれかかるように座り込む七海さん。

 私は上手く動かない身体を動かし、七海さんの側に駆け寄る。

 

「七海さん……!」

「暁美さんはぶじ……、みたいね。よかった……」

「どうして、私を……」

 

 思わず私は聞いた。

 確かに七海さんとはそれなりに話したが、それでも私に彼女が命を懸けるほどの存在だったとは思えなかった。

 

 だが、七海さんは優しい声色で話した。

 

「そんなの……、あなたを死なせたくなかったからに、決まってるじゃない。凜の友達だもの。それに、魔法少女としても、後輩だし……」

 

 ふわり、と笑う七海さん。

 

「あなたといるときの凜、楽しそうだった。最初は、鶴乃の真似をしてるだけだと、思ったけど……、それだけじゃなかった。この一週間、見てて分かったわ。あなたと愛生さんの前だと、ときどき昔の凜の表情に、戻るときがあった。きっと、あなたたちに心を許してる証拠よ」

「……そんなこと、ありません」

 

 私は昨日のことを思い出し、七海さんの言葉を否定する。

 

「私は、あの子のこと、何も理解してあげられなかった。皆と生きる時間が違う私じゃ、あの子の苦しみに寄り添うことなんて……」

「それでいいんじゃないかしら」

 

 七海さんの言葉に、私は下がりかかった視線を上げる。

 

「あの子は、暁美さんにそういうのを求めてた気がするの。別に苦しみを理解してくれなくていい。ただ、側にいてほしい存在を求めてた気が、私にはするの」

 

 七海さんは空を見上げ、呟く。

 

「あの子が、私と同じ悩みを持っているとしたら、だけど」

 

 

 さて、と七海さんは話を切り替えるように声を上げる。

 

「暁美さん。二つほど、お願いしてもいいかしら」

「……はい。私にできることなら」

「ありがとう。まず1つ目は、凜のことよ」

「凜、ですか?」

 

 私の聞き返しに、七海さんは頷く。

 

「あの子のこと、お願いできないかしら。もちろん、あなたが鹿目さんを守りたいことは知ってる。だから、それを優先してもらって構わないわ。けど……、けど、もし少しだけでも余裕があるなら、あの子のこと、気にかけてもらえないかしら。私じゃ、あの子の心を癒やせない」

「私にも、できるとは思えません」

「大丈夫よ。愛生さんとあなたのこと、凜はすごい信頼していたから。それにもう一度言うけど、これは私のわがまま。強制はしないわ」

 

 七海さんは一息つくと、再び口を開く。

 

「もう一つのお願いは、暁美さん、拳銃持ってないかしら?」

「一丁だけありますけど、これを何に……」

 

 言い切る前に私は察した。

 七海さんが自分のソウルジェムを触っていたからだ。その色を絶望に染め上げた宝石を。

 

「……分かりました」

「ありがとう。渡してくれるだけでいいわ。あなたに撃たせるわけにもいかないし」

 

 そう言って、七海さんは私から拳銃を受け取ります。

 

「ごめんなさい、暁美さん」

「どうして七海さんが謝るんですか?」

「あなたに全ての希望を託すことよ。すごく重い役を背負わせてしまう」

 

 そう申し訳なさそうにする七海さん。それを聞いて、私は首を横に振った。

 

「いいえ。あなたが繋いでくれた希望、忘れません。あなたの希望も必ず、未来に連れていきます」

 

 そうだ。

 七海さんが守ってくれたから、私はまだ戦える。彼女が希望を繋いでくれたから、また未来を変える可能性は残った。

 だから……。

 

「ありがとう、七海さん」

「……ふふっ。どういたしまして」

 

 七海さんは、ゆっくりと腕を上げて私の頭を撫でる。

 

「暁美さん。あなたに託す私が言えたことじゃないかもしれないけど、誰かを頼ることを忘れないでね。一人で戦っても良いことなんてないわよ」

 

 七海さんの言葉は柔らかいけど、どこか重いもので。きっと、それは彼女の経験からくる言葉なのだとは何となく理解できた。

 

「そうですね。凜に気づかせてもらいましたから」

 

 私は盾から凜の手紙を取り出し、書かれている内容を覚える。

 凜が繋いでくれた希望もある。私はまだ、戦える。

 

「暁美さん」

 

 私が時間を巻き戻そうとしたところで、七海さんから声をかけられる。

 

「がんばってね」

 

 そう言う七海さんの顔は、今までの印象を忘れるほど優しい、ともすれば子供っぽいような可愛らしい笑顔だった。

 だから、私も精一杯の笑顔で返した。

 

「はい。さようなら、七海さん」

 

 不器用な笑顔だったし、我慢できなかった雫が一粒零れてしまった。

 けど、心の底から安心したような七海さんの顔を見たら、私は彼女の希望になることはできただろう。

 

 

 

 

(私の戦場はここじゃない)

 

 私は盾を回し、それに合わせて意識も回転するように闇に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.32 Side YN

 

 

 

 暁美さんが無事に次の時間軸に飛んだことを確認した私は、重たい頭を瓦礫の壁に預ける。

 

 服からソウルジェムを外し、渡された拳銃の銃口を突きつける。

 丁寧にセーフティの外された拳銃は、暁美さんなりの気遣いが感じられ、こんな状況なのに微笑ましく感じた。

 

「かなえ、メル、みふゆ。私、がんばったわよね? 希望を、繋げられたわよね?」

 

 返事なんて聞けるわけもないけど、私はどうしても彼女たちに聞いてみたくなった。

 

 

 

「うん。やちよはよくやったよ」

「頑張りましたね、やっちゃん」

「すごいです、七海せんぱい!」

 

「かな、え? みふゆ? メル?」

 

 幻覚? 幻聴?

 いいや、何でもいい。私の目にはかなえもメルも、そしてみふゆも。声を聞きたかった、顔を見たかった三人が目の前にいた。

 

 三人は私に寄り添うようにしゃがむ。

 

「「「おつかれさま」」」

「皆……! うん、うん……!」

 

 

 視界が滲む。

 これからソウルジェムを狙わないといけないのに、上手く見えない。

 

 でも、久しぶりに流した涙は、記憶にあるよりずっと嬉しいものだった。

 

「暁美さん、あとは任せたわよ」

 

 私は目を強くこすって涙を拭うと、拳銃の引き金に指をかけ、再度ソウルジェムに銃口をつける。

 

 死ぬ寸前だけれど、不思議と恐怖はなかった。

 それはきっと、三人がずっと側にいてくれるからだろう。

 

 

 

 そして、私は笑顔で引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瓦礫の街に響いた乾いた音は雨に触れ、静かに湿気ていった。

 

 

 

 

 




ワルプルギスの廻天、公開延期になってしまいましたね。
ある意味、予定調和ではありますが、公開日はいつになるんでしょうね。
できれば、2025年の1月か2月には公開してほしいですが、厳しいでしょうね。
MAGIA DAYなどでの発表を待ちましょう。

2周目の世界線もついに終わりです。
個人的にすごく長く感じました。
特に今回の話は、自分で読んでて辛くなりました。
誰だこんな展開にしたのは。

次からは3周目の世界線。物語も佳境に突入です。
廻天も延期になったので、ゆっくり投稿していこうと思います。なので、時間があれば引き続きお付き合いください。
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