魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得 作:くろしゅー
(いつの間にか廻天の新PVが発表されてたので)初投稿です。
仲間を増やしていく実況、はーじまーるーよー。
前回はついにさなちゃんを仲間に迎えることができました。
今回はその続きから。
DAY.6
今日は工場見学で行った工場で、牛の魔女が現れる日です。
ここは前周と同じように、マミさんにほむらちゃんたちが時間遡行者であることを証明します。
あ、実況ではサラッとカットしてしまいましたが、マミさんとほむらちゃんたちとの顔合わせも前周と同じように、神浜に行く前にやっておきましょう。挨拶が遅れると、それだけでマミさんの警戒度が上がってしまいます。
アイサツは大事。古事記にもそう書かれている。
それじゃ、マミさんと一緒に結界に入っていきましょう。イキますよ~、イクイク!
「ほ、本当に魔女の結界が……。これは、確かに暁美さんたちの話を信じるしかなさそうね……」
お、そうだな。(適当)
あれれ~?(平成のホームズ並感)
あんなところに迷い込んだ見滝原生徒がいるよ~。
「え? あ、本当ね。助けに行きましょう!」
かしこまり!
というわけで迷い込んだ生徒を助けに行くわけですが、どうもあの二人、なんか見覚えがありますねぇ。(すっとぼけ)
そこの二人、オッスオッス! (怪我とか)大丈夫か大丈夫か?
「うわあああビックリした! って、人か……。驚かさないでくださいよー」
「あ、あの、ここがどこだか分かりますか? その、私もさやかちゃんも迷子になっちゃって……」
はい、皆さんお馴染みのまどさやコンビです。
今回は前回ほどのんびりしていられないので、前周より予定を早めて、ここでまどかたちには魔法少女のことを知ってもらいます。
ここで面識作っとかないと、さやかちゃんが説得できないからね。しょうがないね。
ほむらちゃんは嫌そうでしたが、実はこっちのほうが安定してまどかたちを魔法少女と会わせられるのです。
本当は前周もここでやりたかったのですが、あの時はユリちゃんの持ってる情報が少ないこと、まばゆちゃんがいないことでフラグが立たず、ここでの選択肢が出てこないんです。
と、そんな話をしていたら、牛の魔女が出てきました。餌をとられてブチギレなようで、お太い斧を取り出してきました。ご立派ァ!
「っ! 魔女が……! 夕凪さん、やるわよ!」
大丈夫だってマミさん。その必要は……。
「その必要はないわ」
「ここは私たちが!」
……。
セリフは取られましたが、ここの魔女はほむらちゃんとまばゆちゃんが倒してくれるので、ユリちゃんたちはまどさやコンビを守っておきましょう。
にしても、調整屋で調整をしているだけあって、二人とも牛の魔女を圧倒していますね。牛の魔女に歯が立たなかったまばゆちゃんや、触手に縛られてグヘヘ展開になっていたほむらちゃんとは思えない成長っぷり。
いくら前の時間軸の記憶があるとはいえ、やはり若者の成長速度を見くびってはいけませんね。
ほむらちゃんもまばゆちゃんも、立派になっちゃって……。(感涙)
「決めるわよ! まばゆ、コネクト!」
「はい!」
そのまま、まばゆちゃんとコネクトしたほむらちゃんでフィニッシュ! 強い、強くない……?
やっぱ、まばほむを、最高やな!
「あなたたち、怪我はない?」
「あ、うん。大丈夫だよ」
「助かったの? あたしたち……」
「ええ、安心してください。あの化け物は私たちがバッチリ倒しましたから」
ということで、ここからマミさんがいつも通り、遠回しにまどかたちを魔法少女へ勧誘するため、まどかたちとの交流イベントが発生します。
が、ここは前周とほぼ変わらないのでカット。
それでは日付を進めましょう。
DAY.8
今日はやちよさんが見滝原に来る日ですが、ここも前周と同じなのでカットします。
今日見せたいのは、やちよさんと一緒にやって来るフェリシアさんとさなちゃんとの交流です。
といっても、ユリちゃんは既にある程度の好感度を持たれているので、どちらかというと、マミさんとほむらちゃんの好感度ですね。
「おーい! 来てやったぞー!」
「お久しぶり、というほどでもないですね。凜さん」
フェリシアちゃんにさなちゃん! オッスオッス。
さて、ここでマミさんたちとの交流ですが、まあここは問題ありません。二人とも、誰かを犠牲にするような戦い方ではないので、マミさんと考え方の違いで衝突することもありません。むしろ魔法少女の先輩として、マミさんは一生懸命先輩風を吹かせようとするので、普通に仲良くなれます。
何度も言いますが、マギレコの本編が特殊すぎただけです。突然失礼……。(神浜聖女)
さて、今回はまばゆちゃんに気を使う必要もないので、普通にレコンパンスで楽しくお喋りです。
最初は、用事だけ済ませたら帰るわよ、と言っていたやちよさんも、咲笑さんのケーキに無事陥落してくれました。
落ちろ! 堕ちたな。(確信)
では、お話も盛り上がってきたところで、ここから選択肢が出てくるのでそこを紹介しましょう。
「あ、あの……」
来ましたね。
どうしたんだい、さなちゃん?
「そ、その、私、何かお手伝い出来ないでしょうか? 私、透明だから出来ることも少ないんですけど、皆さんの役に立ちたいんです。でも、何をすれば皆さんの役に立てるのか分からなくて……。凜さん、なにか私に出来ること、ありませんか?」
これです。このさなちゃんとの会話。
これはさなちゃんに限らず、色んなキャラで時折発生するイベントなのですが、プレイヤーがそのキャラの行動指針を決めるイベントです。このように、そのキャラにやってほしいことをある程度選択することが出来ます。
今回は、さなちゃんに何の役割も与えていないので、このタイミングで発生しました。
そして、選択肢がいくつかあるのですが、今回選ぶのは下から二番目の選択肢。『ほむらのお手伝いなんてどうかな?』ですね。
「ほむらさんの、お手伝いですか?」
「私のって……。どういうこと、凜」
いや、ほむらちゃんってワルプルギスの夜用の武器、色んなところから盗……、ゲフンゲフン、調達してきてるじゃん?
それをさなちゃんの能力使えば、もっと楽にできるんじゃないかって思ったんだゾ。あと単純に人手も増えるからね。
「な、なるほど。けど、この子に出来る?」
多分大丈夫だゾ。意外と度胸あるからな、さなちゃん。
「武器集め、ですか……?」
「ええ。私には固有の武器がない。正確に言うと、盾だけなの。だから、私は他から武器を調達してきて戦っているわ。ただ、ワルプルギスの夜と戦うには、普通の武器だけでは足りないわ。爆弾とかロケットランチャーみたいな、重火器を集めているのよ」
「……ちなみに、どこから?」
「そうね……。ヤのつく反社組織とか、自衛隊や米軍の基地から集められるだけのものを集めているの」
「そ、それって、ど、どろ……」
「そうね。けど、私が戦うにはこれしかない。こうでもしないと、あの子を守れないの。とはいえ、私のやってることは犯罪よ。あなたに抵抗感あるなら止めておくことをお勧めするわ」
そう言ってさなちゃんを脅すほむらちゃん。ワルプルギスの夜を倒すためといえ、他人に犯罪行為を強要させたくないんでしょう。持ち前の善性が隠しきれてないゾ!
「……いえ。手伝わせてください。私、あまり出来ることないけど、これなら役に立てます。私は凜さんに救ってもらいました。凜さんが切り開いてくれた運命を、私も誰かの役に立てたいんです」
さっきまでオドオドしていたのが嘘のように、ハッキリと答えるさなちゃん。
「……そう。それなら、お願いするわ」
ほむらちゃん、顔を背けちゃいましたね。あまりにも純粋な善意に弱すぎない?
「そんなわけないでしょ」
またまたぁ。とぼけちゃってぇ。(ダル絡み)
「撃つわよ」
ファ!? ウーン……。
とまあ、こんな感じでさなちゃんにほむらちゃんを手伝わせることで、最終決戦までにほむらちゃんが集める火力を上げることができます。あと、魔力の節約にもなりますね。
意外とこの火力も馬鹿に出来ないので、地味に大切な仕事です。
さて、次はフェリシアちゃんです。
フェリシアちゃんには、杏子ちゃんに会いに行ってもらうゾ。
「キョーコ? 誰だよそれ」
味方になってくれそうな子の一人だゾ。だよね、ほむらちゃん?
「ええ。佐倉杏子。彼女もワルプルギスの夜を倒すには貴重な戦力よ」
「ちょっと待って」
ん? どうしたマミさん。
「佐倉さんを知っているのは……、まあ時間を繰り返しているから納得できるわ。けど、佐倉さんが私たちに協力してくれるとは思えないわ。あの子は……」
「大丈夫よ、巴マミ」
「え?」
「彼女の説得も、私たちに考えがある」
そう。
ほむらちゃんの言うとおり、今回はちゃんと作戦があります。
それがフェリシアちゃんです。
前周でも言いましたが、フェリシアちゃんは杏子ちゃんと非常に相性が良いです。そのため、説得に連れて行くと高確率で説得を成功させてくれます。
前回は、ユリちゃんが地雷原となってしまったため失敗しましたが、今回はほむらちゃんとフェリシアちゃんで組ませて行かせるので大丈夫です。
不安なら、マミさんも行って、どうぞ。
「そう……。なら行かせてもらおうかしら。もちろん、暁美さんたちを信じてないわけじゃないけど……。でも、今の佐倉さんはちょっと危ないところもあるから。私も説得に行くわ」
よろしくナス!
こっちは任せてくれよ~。
「ええ。お願いするわ」
さて、ということで後は結果を待ちましょう。
ちなみにやちよさんですが、基本は前周と同じような予定で動いてもらいます。
フェリシアちゃんとさなちゃんはやちよさんが鍛えてくれるので、こちらが何かをしなくても勝手にレベルアップしてくれます。ま、とりあえずお願いはしておきましょう。
「もちろん、言われなくても鍛えるわよ。仲間じゃなくても、ワルプルギスの夜で死なれたら私の夢見が悪いし」
なんて古典的なツンデレ。
これで重い過去がないなら笑えるのになあ。(死んだ目)
さて、そろそろ杏子ちゃん説得組が帰ってくるころですが……。
「帰ったわよ」
お、ほむらちゃん、お帰り。
で? どうだった? (結果を聞くのが)待ちきれないよ、早く聞かせてくれ。
「問題ないわ。上手くいったわよ」
や っ た ぜ。
ほむらちゃんもどことなく嬉しそうですね。
こんな感じで上手くいっちゃうんですね。
これで杏子ちゃん問題も解決です。
あとは……。
DAY.10
今日は薔薇園の魔女が現れる日。
今回の周では特に大きなイベントはありません。
この日は魔女が同時に2体現れますが、こっちは魔法少女4人もいるので負けもしません。
なので、この日は丸々カット……、と思ったのですが、ちょっと面白いイベントが起きたので紹介します。
薔薇園の魔女を瞬殺した後。
なんとまどかが話しかけてきました。
「あの……、凜さん」
まどっち? 大丈夫か大丈夫か?
「その、ほむらちゃんのことで……」
ほむらちゃん?
なんかあったかな……?(小声)
ママエアロ。
いくらでも話を聞いてやりますよ~!
「ありがとうございます!」
そして話をすることになったのですが……。
「今日、学校でほむらちゃんと話しました」
あ、そっかぁ。(池沼)
そういえば、今日ってほむらちゃんの転校日でしたね。
我々はループ初日から会っているので忘れそうになりますが、原作の開始日はDAY.10からなんですよね。
今回はほむらちゃんの転校日前にまどかたちとほむらちゃんを会わせていますが、ちゃんと会話したのは、今日が初めてでしょう。
それでこんなイベントが起きたんですかね。
「それで、改めてほむらちゃんが戦っている理由も聞きました。ワルプルギスの夜のこととか、この1ヶ月を何度もやり直してること。あと、ほむらちゃんが私のために戦っていることも、二人きりのときに教えてくれました」
ファ!?
まさかのほむらちゃん、もう戦う理由を伝えてました。
ユリちゃんのほうから発破でもかけようと思っていたのですが、意外とほむらちゃんが積極的ですね。
それとも、この後のユリちゃんのフォローを信じて言ってくれたのでしょうか。
ああ、フォローというのは……。
「それを聞いて思ったんです。やっぱり私も魔法少女に……」
ダメです。(即答)
「な、なんで……」
だから、ほむらちゃんの目的はキミを魔法少女にしないことなんだって。ほむらちゃんも言ってたでしょう?
そのキミが自ら魔法少女になりにいくとか、こんなんじゃ、話になんないよ。
「それは、そうですけど……。でも、ほむらちゃんが頑張ってくれてるのに、私だけ何もしないのは……」
まどかはさあ……。(呆れ)
と、このように、まどかはほむらちゃんの戦う理由を知ると、自分も何かしてあげたいと魔法少女になろうとします。
は?(猫ミーム)
と、お思いの視聴者兄貴たちたちも多いでしょうが、まどかというのはこういう少女なんです。
周りの人が辛そうにしていれば、例えその人が望んでいなくても助けようとしてしまいます。もちろん、その精神性で全宇宙の魔法少女を救うことが出来るようになるのですが、このルートでは称号が獲得出来なくなってしまうので、絶対に阻止しなければなりません。
それにこの時のまどかはまだ、ただの中学生。視野が狭いため、どうしても後先考えずに契約しちゃうんですよね。
それでその後、絶対に魔法少女になったことを後悔しないのが彼女のスゴいところなのですが、今回はその精神性でいてもらっては困ります。
ということで、まどかの考えが間違っていることを優しく諭してあげましょう。
でも、ほむらちゃんはあなたを魔法少女にしないように戦っているんだから、あなたが契約したら本末転倒でしょう。
「そ、それは……」
余計なことしなくていいから……。(良心)
ユリちゃんもイライラしてきたのか、段々選択肢も突き放した言い方になってきましたね。優しくっつったろ。
ほら、次の選択肢なんか『役に立ちたいと思うなら、何もしないで』ですよ?
なんとかゲリオン新劇場版のMSTさんみたいなこと言い出してしまいました。
「……ごめんなさい、凜さん」
と、こんな感じのイベントが発生しました。
……前々から頭の片隅では思ってたのですが、さてはユリちゃん、まどかのこと苦手だな?
これまでの時間軸でもまどかと交流する選択肢が少なかったのですが、今回のイベントでの選択肢がどれ選んでも辛辣だったところを見るに、恐らくそうだと思います。
性格的にまどかとは仲良くできるはずなんやけどなあ……。
あれーおかしいね、好感度が低いね。
まあ、この攻略ではまどかの好感度なんてあって無いようなものですから、別にいいですけどね。それに、まどかは作中屈指の聖人なので、キュゥべえくらいゲスいことしなければ、嫌われることもありません。
なので、このままで大丈夫です。
どうせユリちゃんだけじゃフォローしきれないのは分かっていましたから。そのための策はちゃんと考えてあります。
一応、ほむらちゃんにまどかが契約しないよう、気にかけておくよう言っておけば、事故の可能性も無くせます。
ということで、今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
DAY.8 Side HA
私と巴マミ、そして深月フェリシアの三人は、風見野市のとある場所に向かっていた。
巴マミ曰く、彼女がいるならあそこが一番確率が高い、と。
そうして巴マミの言う、風見野の景色を一望でき、そして彼女の生家である教会近くの丘で待つこと数分。
「随分とお仲間を連れてきたな、マミ。ソイツだろ、キュゥべえの言ってたイレギュラーってのは」
聞きなじみのある声に振り返れば、彼女、佐倉杏子が私たちの後ろに立っていた。
フェリシアは驚いているようだったけど、巴マミに動揺する素振りは見られなかった。
「久しぶりね、佐倉さん」
「何しにきた。まさか、ただ遊びに来たとか言わねえよな? ここがアタシの縄張りだと分かった上で、その人数連れてきたんだろ?」
「ええ、その通りよ。ただ、話があるのは私じゃなくて暁美さんのほう」
その言葉に、彼女は私のほうを見る。
「暁美ほむらよ」
「聞いてるよ。お前、時間遡行者なんだろ。なら、自己紹介は不要そうだな」
「あら、耳が早いのね」
「そりゃな。お前とそのお仲間が自分で言ってんだろ。キュゥべえ通じて聞いた」
「そう。なら、話が早いわね。佐倉杏子、私と一緒にワルプルギスの夜と戦ってくれないかしら」
「断る」
即答だった。
一切迷いの無い返事で、杏子は私の提案を切り捨てる。
「……なぜ?」
「アタシに利が無い」
「グリーフシードのこと? ワルプルギスの夜のグリーフシードなら、あなたの好きに……」
「バーカ。グリーフシード如きで動けるか。相手が普通の魔女ならそれでもいいけどな。ワルプルギスの夜が相手なら、その程度じゃ割に合わねえ」
杏子は持っていたスティック菓子を指示棒のように振りながら言葉を続ける。
「ワルプルギスの夜を相手するってことは、こっちの命も懸けなきゃなんねえ。となりゃ、マミの縄張りくらいもらわねえと割に合わないんだよ。見滝原に魔法少女がいないんなら、お前の提案でも悪くはねえ。けど、今の見滝原は魔法少女が減るどころか増えてんじゃねえか」
「それは……」
「アタシはそんな仲良しこよしのお友達ごっこはごめんだね。時間を繰り返してんなら、知ってるだろ。アタシはマミのやり方が気に入らないから、一緒に戦うのを止めたんだ。それなのに、またマミと肩を並べろってか? 冗談じゃない」
杏子は鼻で笑うように言う。
分かっていたことだが、やはり彼女の説得は難しいようだ。
いつもは真っ先に頼りにする彼女だが、仲間にしづらい時間軸もあった。そして、それは決まって仲間が多いとき。
彼女の価値観からして、今の私たちの戦い方は気にくわないだろう。
(さて、どうしたものかしらね)
私が彼女を説得するための次の言葉を考えていると、不意に私の隣にいたフェリシアが口を開いた。
「んじゃ、お前は何のために戦ってんだ?」
「あん? 誰だお前」
「オレ? オレは深月フェリシア。魔法少女の傭兵やってて、コイツらに雇われたんだ」
「傭兵ねえ……」
「で? お前、何のために魔女と戦ってんの?」
「そんなもん決まってるだろ? 自分のためだよ、自分のため。アタシはこの力を自分のために使うって決めてる。そのために魔女狩ってグリーフシード集めてるんだ。傭兵やってるなら、アタシの言ってること分かるよね?」
杏子のその問いに、フェリシアはすんなり頷いた。
「そうだな」
「ちょっと、深月さん!?」
巴マミは焦ったような声を出すが、続くフェリシアの言葉に遮られる。
「ただ、ねーちゃんと違うのは、オレはオレの目的のために魔女を倒してるってことだ」
「目的? どんな?」
「復讐だよ。とーちゃんとかーちゃんの」
その言葉で、杏子に動揺の色が見えた。
「……お前、両親殺されたのか」
「ああ。魔女に襲われて、そん時の火事でとーちゃんとかーちゃんは黒コゲになっちまった。だから復讐するんだ」
「ちなみに、お前の両親を殺った魔女ってのは……」
「分かんねえ」
「……は?」
理解できないという顔をする杏子。
無理もない。私も最初聞いたときは愕然とした。
「あん時、オレ慌てて……。覚えてねえんだ。どんな魔女だったか」
「じゃあ復讐もなにも……」
「だから。全部の魔女をぶっ倒すんだ。もしかしたら、とーちゃんとかーちゃん殺した魔女は別の誰かにもうやられてるかもしれねえ。けど、生きてる可能性だってある。だったらよ、この世界にいる魔女全部殺せば、必ず復讐は成し遂げたことになるだろ?」
その小さな背中に彼女が背負う、重い覚悟と仄暗い憎しみの炎に。
「これがオレの戦う理由だ。ワルプルギスの夜だって魔女なんだろ? だったら、いつかオレが戦わなきゃいけない相手だ。それなら、協力してくれるヤツがいっぱいいる今がチャンスってワケだ。どうだ、けっこーオレも考えてるだろ!」
笑う彼女につられて笑う人間は、この場にはいなかった。
「深月さん……、それは……」
「ん? なんだよ?」
巴マミは何かを言いかけて、口を噤んだ。
そうだろう。彼女の生き方に口を出す覚悟は、そう簡単に決められるものじゃない。
彼女以外は。
「なんだよ、それ。つまりそれって、死んだヤツのために戦い続けるってことじゃんか」
「そうだよ。でも、これはオレがやりたいことだ! 魔女はオレが全部……」
「お前さ。自分でも分かってるだろ。そんなの無理だって」
「無理なんかじゃねえ! オレは魔女を、魔女を……!」
「じゃあ聞くけど。お前のとーちゃんとかーちゃんは、お前が復讐を続けながら生きてほしいって言ったのか? 自分の人生を捨ててでも魔女を殺してくれって言ったのか?」
「言われて、ない……。ない、けど……。それじゃあ、とーちゃんとかーちゃんが、報われねえだろ……! それに、オレの怒りも収まらねえ!」
「だから、自分の全て投げうってでも、魔女を殺すってか?」
杏子は首を振る。
「んなことしても、両親は蘇るわけじゃない。いいか。今、この時を生きてるのはお前なんだよ。アタシたち魔法少女はどう足掻いたって、生きるためには命張らなきゃなんねえ。だからさ、そん時くらい自分のために生きていいんだよ。誰かのためとか、復讐とか、そんなに縛られてたら、いつか動けなくなるぞ」
フェリシアに近づいた杏子は諭すように言う。
「命の張り時は間違えんなよ。誰かのためとか、そんなのは余裕のあるヤツが勝手にやってりゃいいんだ。お前はもっと自分のために生きることを考えろ」
そうして、杏子は手に持っていた菓子の箱からスティック菓子を一本取りだし、フェリシアに差し出した。
「食うかい?」
「……食う!」
フェリシアがお菓子を美味しそうに頬張っているのを見た杏子は、私のほうを見て言う。
「ワルプルギスの夜の件だけどな、やっぱアタシも参加するわ」
「えっ」
杏子の言葉に私は目を丸くする。
「なんだよ? 人手が欲しかったんだろ?」
「それは、そうだけど……。私はてっきり協力してくれないかと」
「気が変わったんだ」
杏子はぶっきらぼうに答える。
「佐倉さん……、ありがとう」
巴マミは嬉しそうに言うが、杏子は巴マミの言葉を遮るように、持っていたスティック菓子を巴マミに向ける。
「勘違いすんな、マミ。別にアタシはアンタらと戦いたいわけじゃない。ただ、アイツに魔法少女として生きるってどういうことか教えるだけだ。アイツ、あのままじゃいつか死ぬぞ」
杏子はフェリシアを見ながら呟いた。
「は? オレが死ぬわけねーだろ!」
フェリシアは不満そうに頬を膨らませるが、杏子は呆れたように返す。
「そういうところだっつーの。それにお前、魔法少女の傭兵としてやっていくんだろ? それなら、もっと実力つけねえとやっていけねえぞ」
杏子は口角を上げる。
「アタシが直々に鍛えてやる。お前が生きていけるようにな。どうだ?」
杏子がフェリシアに手を差し出す。
フェリシアは差し出された手を見て、笑う。
そして、その手に自分の手を叩きつけ、ハイタッチした。
「よし! 乗った! よろしくな、赤いねーちゃん!」
「佐倉杏子って名前があるんだけど……。まあいいや。よろしく、フェリシア」
その時、杏子が見せた笑顔を見て、私は凜がフェリシアを付いてこさせた理由がなんとなく分かった。
そういえば、と、私はフェリシアに声をかける。
「それにしても驚きね。今の提案、あなたなら、余計なお世話だ、って断るかと思ったわ」
私の言葉に、フェリシアは頷く。
「そうだな。多分、少し前までのオレならそう言ってたと思う」
「じゃあ、どうして?」
その問いに、フェリシアはすぐに答える。
「凜のおかげだよ。凜が、自分のことを大事にしろって言ったんだ。オレのことを心配してくれる言葉に耳を傾けてもいいって。そう、言ってくれたからな」
フェリシアは少し恥ずかしそうにして、頬を掻く。
「だから、乗ることにしたんだ。凜が、赤いねーちゃんの優しさは分かりづれえ、って言ってたけど、本当だったな」
「はあ!? 別に優しくしたわけじゃねえ!」
「うわっ、怒った!」
「待て、コラ!」
二人はそのまま追いかけっこを始めてしまったが、二人ともどこか楽しそうだった。
DAY.10 Side MA
「という感じで、杏子を仲間に引き入れられた、というわけよ」
「はえ~、そうだったんですね」
暁美さんの家で、私は佐倉さんが仲間になった経緯を暁美さんから聞いていました。
「とりあえず、これで大体共有できたかしらね」
「そうですね。にしても、ここ数日で状況がかなり変わりましたね。まさかこの短期間で、協力してくれる人が4人も増えるとは……」
「そうね。そういえば、明日も凜は出かけるのよね?」
「ええ。この前神浜で買った本に書いてあった、霧峰村の時女集落ってとこに行ってくるらしいです」
相変わらず、凜さんの行動力には驚かされます。
「それ、信用できるの? 私としては、胡散臭い民俗学本にしか思えないのだけど……」
「凜さん曰く、信用度は高いみたいですよ。そこに書かれていた魔法少女の性質は、魔女との関係を含めて、かなり正確に書かれていたみたいですから」
「そうなの……。魔法少女を研究する人がいるなんて驚きだわ。その本を書いた人に会ってみたいわね」
たしかに。
魔法少女のことを研究しているなんて、どんな人なんでしょう。魔法少女の研究をしている大学教授、なんて、字面だけだととんでもないことになっていますが……。
「あ、そうだ。そういえば、二葉さんのほうはどうでした? 昨日、一緒に武器の回収に行ってきたんですよね?」
私はふと思い出したことを聞いてみます。
二葉さんが暁美さんを手伝うと決まって、昨日さっそく連れて行くと暁美さんは言っていましたが……。
「ああ、その件ね。結果から言えば、大成功よ」
「そうだったんですか?」
「ええ。彼女の魔法のおかげで時間を停止する場面をかなり減らすことが出来たわ」
「ああー、たしかに。昨日は、時間が止まっている時間が短かった気がしますし、頻度も少なかったような……」
これはかなり良い結果といえるでしょう。
暁美さんが戦うには、どうしても他から武器を調達してくる必要があります。
しかし、多くの武器を集めれば集めるほど時間の魔力を消費します。使える時間が1ヶ月しかないのですから、できるだけその時間は有効活用しなければなりません。
その点、二葉さんの魔法を使えば、使う魔力を減らしつつ、大量の武器を確保できます。
透明でどうにもならないときは、時間停止で突破する。
これにより、私たちだけでは出来なかった、対ワルプルギスの夜用の武器を今まで以上に集めることが叶いそうです。
どうやら凜さんの読みは正しかったみたいです。
「それにしても彼女、意外と肝が据わっているわね」
「彼女って、二葉さんのことですか?」
「ええ。米軍基地に入る前はあんなオドオドしていたのに、しっかりと私の動きに付いてきてたし、透明化で動いているときは結構大胆に動いてたわよ?」
「マジですか……」
どうやら二葉さんは、意外と覚悟が決められるタイプみたいです。
私と同類だと思った過去の私を、平手打ちしたいですね。
私たちがそんな雑談をしているときでした。
「話の途中に悪いけど、失礼させてもらうよ」
「っ!?」
「その声……」
私と暁美さんが声のした方向を向けば、そこには忌々しい『アイツ』がいました。
「やあ。こうして会うのは初めてだね、暁美ほむら、愛生まばゆ」
「げっ」
「キュゥべえ……!」
暁美さんは即座に変身し、嫌悪感を隠しもせずにキュゥべえを睨み付けます。
かういう私も、そんな顔をしていると思いますが。
「暁美さん。さすがに銃はマズいです。撃ちたい気持ちはすごーく分かりますが、抑えて抑えて、ね?」
「……」
私も変身し、銃を構える暁美さんの腕にそっと手を添えます。
暁美さんは渋々といった様子で、拳銃を下ろしました。
あまりにも速い構え。私じゃなきゃ見逃してましたよ。
ノータイムで安全装置を外す辺り、暁美さんの殺意が窺えますね。
「助かったよ、まばゆ」
「あなたを助けたかったわけじゃありませんよ。暁美さんの家で銃声を鳴らさせないためです。というか、あなたは死んでも次が出てくるでしょう」
「そこまで知っているのか。それなら、キミたちが時間遡行者だということも本当みたいだね」
キュゥべえは感情のない目で私たちを見てきます。
「それを確認しにわざわざ来たんですか? 暇で羨ましいかぎりです。というか、この前はよくもやってくれましたね、キュゥべえ」
「なんのことだい? ボクにはよく分からないな」
「このっ……!」
わざとらしくとぼけるキュゥべえ。
ですがあの時、あのタイミングでの妨害が意図してなかったはずありません。
すっとぼけた顔も相まって今すぐにコイツをぶん殴りたくなりましたが、ここで激情に駆られては、ヤツに会話の主導権を渡してしまいます。
私は大きく深呼吸をして、努めて冷静に言葉を紡ぎます。
「それで? 私たちが時間遡行者だということを確認しに来たんですよね? それなら、もう用事は済んだでしょう。ほら帰った帰った。シッシッ!」
「もちろんその確認も目的の一つだよ。ボクが契約した覚えのない魔法少女。そんなイレギュラーであるキミたちと話がしたかったんだ。でも、目的はもう一つある。むしろ、そっちが本命と言ってもいい」
「もう一つ?」
私はキュゥべえに尋ねます。
コイツらがただ雑談するために接触するなんて非合理なこと、するわけがありません。必ず何か裏があるはず。
それを聞き出すために、暁美さんから庇ってやったんですから。
「もう一つは凜についてだ」
「凜さん、ですか?」
「ああ。最近、彼女と親しくしているキミたちに話が聞きたくてね」
「もしかして、凜さんも私たちと同じ、イレギュラーとでも言うつもりですか?」
「いや。彼女と契約した記録はちゃんと残っている。叶えた願い事も、その状況にも不審な点はない」
私は首をかしげます。
てっきり、凜さんにも契約時に不審な点があるとか、そういう話だと思っていました。
……凜さんのそんな話なら、むしろこっちが聞きたいくらいですが。
「それなら、何が知りたいんですか」
ともかく、凜さんが私たちのようなイレギュラーでなければ、一体コイツは凜さんの何を知りたいのでしょう。
そう思い発した問いかけに、キュゥべえは尻尾を揺らしながら答えました。
「そうだね。彼女の強さの理由が知りたい、という表現が一番適切かな」
「強さ?」
(また随分と抽象的な表現がきましたね)
確かに凜さんは魔法少女としてすごく強いです。
彼女の魔女退治の様子は何度も見てきましたし、特訓で直に味わいましたから。それに、暁美さんが言うには、あの佐倉さんにもタイマンで勝ったらしいですし。
ただ、彼女の強さの理由なんて……。
「ただ普通に鍛えただけなんじゃないですか。凜さん、毎日特訓の時間を設けているみたいですし。鶴乃さんから離れた後もずっと」
いつかどこかの特訓の時に聞かせてもらった話です。
もちろん魔法少女としてのセンスもいいのかもしれませんが、彼女の強さの秘密なんて日々の鍛錬が全てではないでしょうか。
しかし、キュゥべえが知りたいのはそこではないようで。
「いや、そうじゃないんだ。彼女が特訓しているのはボクも知っている。実際それで強くなった子もたくさんいる。だから、彼女が強くなっていくのは理解できるんだ」
ただ、とキュゥべえは続けます。
「彼女をボクが初めて見かけたとき、彼女はそんな魔法少女の才能があるような子ではなかったんだ」
キュゥべえの言いたいことがイマイチ理解できず、私は再度首をかしげます。暁美さんも話の全容が見えてこないからか、静かに続きを促します。
その催促は予想していたのか、キュゥべえは家具を飛び移りながら説明を始めます。
「魔法少女の才能は背負った因果の量で決まる。一国の王族や貴族の生まれであったり、国を救うような英雄であったり、もしくは天才として幼少から世界で活躍することが期待されるような子。そんな子たちはいずれも人類史のターニングポイントになるような願いを叶える子が多い。そして、魔法少女としても強力な魔法を扱えることがほとんどだ」
キュゥべえから語られるのは、キュゥべえがこれまで契約をしてきた少女たちの話。
国を滅亡から救い、英雄となった少女。友達と故郷を敵国から守るために、その身を犠牲にして争いを鎮めた少女。愛した人たちを山の火から救うために歴史を改変した少女。
中には私たちと同じようなイレギュラーの魔法少女もいたとかいないとか。
「けど、凜はそのような子ではなかったんだ。日本の一般家庭に生まれたただの少女。魔法少女の才能が無くてもおかしくないような、普通の少女。そんな彼女だから、ボクも契約するまではそこまでの力を持たないだろうと思ったんだ」
「だけど、いざ契約したらキュゥべえの想定よりも強力な魔法少女になった、と。そういうことですか?」
私の問いにキュゥべえは頷きます。
「その最たる例が彼女の魔法だ。あの魔法をあのレベルで使うには、彼女の因果では不可能だ。仮に使えたとしても、因果が足りなければ魔法が暴走してしまう可能性も高かった。けれど、そうはならなかった。彼女の『巻き戻し』の力は、ソウルジェムにすら干渉でき、魔力を回復させることもできる。もしかしたら、キミたちも見てるんじゃないかい?」
キュゥべえの言葉に、私は自分の記憶を取り戻した直後のことを思い出します。
あの時、急速に濁っていく私のソウルジェムの穢れを食い止めたのは、凜さんの魔法でした。私が落ち着くまでずっと、凜さんは私のソウルジェムを浄化し続けてくれたんです。
たしかに今思えば、グリーフシードを使わずにソウルジェムを浄化できるなんて、とんでもない力ではないでしょうか。
しかし、暁美さんは何か思いついたようで、キュゥべえに尋ねます。
「ちょっと待って。あなた、叶えられる願いや扱える魔法は因果の量で決まると言ったけど、それなら私とまばゆはどうなるの? 私は時間を巻き戻し、まばゆは未来を視ることができる。けれど、私たちはさっきあなたが挙げたような例には当てはまらないけど……」
その質問に、私もハッとしました。
暁美さんは時間を操ることができ、私も未来視に記憶の切除、暁美さんの時間に介入できるなど、ハッキリ言ってチート染みた魔法を持っています。
しかし、私たちがキュゥべえの挙げたような、特別な少女の例に当てはまってるとは思えません。
私たちの疑問に納得したのか、キュゥべえはサラリと答えます。
「その理由は簡単だよ。キミたちは魔法にその才能を全て使っているからだ」
「魔法に?」
暁美さんが怪訝そうにキュゥべえの言葉を繰り返します。
「そうさ。暁美ほむら、キミの願い事が何かは知る由もないが、おおかた未来を変えるため過去に戻りたいというような願いを叶えたのだろう。そして時間操作の魔法を手に入れた。けど、魔法少女としてのキミはどうだい?」
「魔法少女としての、私?」
「普通、魔法少女は自分の武器を持っているだろう? けど、キミにはそれが無い。キミの武器はその盾だけだ。時間操作の魔法がなければ、魔女と戦うことすら厳しい。それが願いと強い魔法の代償というわけだよ」
すると、キュゥべえは私のほうに首を向けます。
「キミもそうだ、愛生まばゆ。キミがどんな願い事をしたかは分からないけど、キミも魔法少女としては弱い部類に入る。それはキミが魔法少女としての才能を扱う魔法に全て注ぎ込んだからだとボクは考えている。ほむらの時間に干渉できるのは魔法の力というより、キミの魔法の性質が上手く作用しただけだろうけどね。それに、未来視を使える魔法少女は今までもそれなりにいたしね」
つまり、とキュゥべえは話をまとめる。
「夕凪凜は、彼女が持っていた因果では両立しえない魔法の強さと魔法少女としての強さ。それが両立しているという点では、彼女もまたイレギュラーといえるだろう。だからキミたちがその秘密について知らないかと思ったんだけどね。どうやら、キミたちも何も知らないみたいだね」
キュゥべえは前脚で顔を洗いながら、私たちに言う。
「話は終わりですか? ならとっとと……」
考えたいことはいくつもありましたが、とりあえずコイツがいると気が散ります。そのため、私はキュゥべえに、帰れ、と言うつもりだったのですが……。
「あともう一つ。これは警告だ。キミたちが凜の強さの秘密を知らないなら、彼女に頼るのは危険だとボクは思うな」
「……どういう意味です?」
「そのままの意味さ。彼女は魔法少女としてかなり強さを身につけつつある。だけど、彼女の戦う理由はどこか不安定だ。キミたちはその力を自分たちに向けられたら、対処出来るのかい?」
「バカなこと言わないで。凜がそんなことするわけ……」
「本当にそう言い切れるかい? キミたちも神浜市で彼女の昔の仲間には会っているはずだ。人間というのは、合理性よりも感情で動く生き物だ。そして、付き合いが長いほどキミたち人間は相手に情というものが湧いてしまう。凜はキミたちより、やちよや鶴乃たちを優先する可能性は十分考えられるだろう?」
「何が言いたいんですか……?」
「凜に頼り切りになるのは危険だというだけの話だよ。キミたちの作戦は全て凜が考えたんだろう? そして、凜がここのところ様々な動きをしているのはボクも見ている。きっとあれも、キミたちと考えた計画の実行のためだろう。そうなると、作戦の要である凜の行動次第で全てが崩壊する計画は、リスクが高いんじゃないかと思っただけだよ」
その言葉に、私は何となく気味悪さを感じて、吐き捨てるように言います。
「それはご親切にどうも。あなたに心配されるとは思ってもみませんでしたよ」
「そうかい? ボクとしてもワルプルギスの夜との戦いで魔法少女が大勢死ぬのは避けたい事態だからね。ちゃんと魔女になってもらってエネルギーを回収できないと、勿体ないじゃないか」
その瞬間、暁美さんが私のハサミをひったくって、その害獣クソタヌキの顔面に突き刺しました。
力なく崩れる害獣。
ざまあみろ、です。
「やれやれ。いきなり突き刺すなんて止めてくれないかい? その身体を生み出すのだってタダじゃないんだ。勿体ないだろう?」
しかし、当然のことながら、キュゥべえは何事もなかったように再び姿を現します。
「黙りなさい。これ以上話すことなんてないわ。とっとと消えてちょうだい」
「分かったよ。このまま無闇に個体を潰されるのはボクとしても不本意だしね」
そう言って、キュゥべえは影へと消えていきました。
「はあ~~……」
なんだかドッと疲れが来て、私はソファに座り込みました。
「まったく……。油断も隙もないわね、あの害獣」
「同意です」
その言葉を交わしてから、私と暁美さんの間には沈黙が流れました。
何分くらい黙っていたでしょうか。不意に暁美さんが口を開きました。
「……ねえ、まばゆ」
「……? なんですか?」
「凜に頼るのは、正解なのかしら?」
その言葉に、私は思わず言葉を詰まらせてしまう。
「なっ……。そ、そうに決まってるじゃないですか! キュゥべえの言ったことなんて気にしなくてもいいですって」
しかし、暁美さんの顔は晴れない。
「私ね、ずっと思ってたのよ。なんで凜は私を助けてくれるんだろうって。あなたは知らないでしょうけど、凜と初めて出会った時間軸から、彼女はあんな感じなのよ。凜のことをある程度知った今なら分かる。私はあの周で彼女に辛い経験を何度もさせた。それでも、彼女は私の力になることを止めなかったし、私のことを疑うことすらしなかった」
暁美さんから語られる私の知らない時間軸の凜さん。
けど、その姿は私でも容易に想像出来るもので。
「そのおかげで私は、もう一度誰かに頼ろうと思えるようになった。けど、それと同時に、凜は私を助けてくれるのが当たり前だと思うようになってしまった」
暁美さんは俯き、その表情は髪で隠れて分かりませんでした。
「凜に助けてもらえる前提条件を疑うことをしなくなっていた。……まばゆの言うとおりよ。私はキュゥべえの話を聞いていて、私は凜が信じられなくなってしまった。なんで凜が私を助けてくれるのか、その理由が分からないのよ。私はそこまで優しくされるような存在じゃ……」
私は暁美さんに近づき、その手を握りました。
暁美さんは驚いて言葉を止め、顔を上げます。
ああ、やっとこっちを向いてくれましたね。
「それが理由じゃないですか?」
「それ……?」
「優しくされるような存在じゃない。暁美さんのその気持ちに、凜さんは寄り添ってあげたいんじゃないかって、私は思います」
私は暁美さんの手をしっかりと握ります。
「正直、私も凜さんの考えていることは分からないことが多いです。でも、凜さんを知ろうとしたことで分かったこともあります。それは、凜さんの優しさにそんな大層な理由なんてないことです。誰かが辛そうにしてたら側で寄り添う。それはきっと、凜さんが持っている優しさの本質なんじゃないでしょうか」
少し冷たかった暁美さんの手は、私の体温と混ざり、少しずつ温かくなっていました。
「もし理由があるとしたら、辛そうな誰かがいたから、じゃないですか? 私はその純粋な優しさに救われました。裏なんてない、ただただ私を心配して側にいてくれる、その温もりに」
前の周では喧嘩して、ヒドいことも言われたけど。
それは凜さんのたった一面でしかなく。私にくれた優しさだって、間違いなく凜さんを構成する一部であるわけで。
「大事なのは、理由じゃないと思います。キュゥべえも言ってたでしょ? 人間は感情で動く生き物だって。全ての行動に理由があるわけじゃありません。私が暁美さんの力になりたいと思ったのも、打算があったわけじゃありません。私が、暁美さんの力になりたいって思ったから、一緒に戦うことにしたんです」
暁美さんの指に私の指を絡ませる。
こうすれば、しっかりと握れる。あなたから離れないって伝えられる。
「だから、暁美さんはもっと信じてください。周りの人だけじゃなくて、自分のことも。自分は愛されてるって、愛される資格があるって、信じてあげてください」
凜さんなら、きっとこう言ったでしょう。
そして、この言葉は私にも向けてです。
いつかお母さんが言ってました。
人は、お話という鏡を通して自分の姿を見ている、と。
凜さんのお話を聞いて、私も自分と改めて向き合いました。
私だって、迷ってばかりです。
こんな私に優しくされる資格が、愛される資格があるのかって。
辛い記憶としてお母さんを記憶の隅に追いやった私に、そんな資格あるのかって。
けど、凜さんはそんな悩みを忘れそうになるくらい親身になって寄り添ってくれて。その優しさはただ単純に、私を心配して、私の辛さを和らげるために向けられたものだったから。
私はその優しさに救われました。
私は私を許せました。
笑って生きてもいいって思えました。
「まばゆ……」
ポツリと呟いた暁美さんはどこか泣きそうで。
「ありがとう」
それでも少し上がった口角は嬉しそうでした。
「はい。どういたしまして」
そう言って、私は暁美さんをそっと抱きしめました。
「……うあああああああ……! くううううう……!」
「いつまで悶えているのよ。さっきまではあんなに頼りがいがあったのに」
暁美さんの言葉に何も返せず、私はクッションを抱いてゴロゴロと悶えていました。
理由はただ一つ。
「は、恥ずかしいー……! なにやってるんですか私! いくらなんでもキャラ違いすぎますって! あ、ああー! 思い出したらまた恥ずかしくなってきた! 死ぬー! 羞恥心で焼け死ぬー!」
「今の姿のほうがよっぽど恥ずかしいと思うのだけど。というか、心の声全部口から出てない?」
暁美さんが何か言ってますが、聞きたくありません。
何自然と抱きついているんですか、私! キモい、キモいです私!
あのコミュニケーションは凜さんがやるから自然なのであって、私がやってもイタいだけですって!
「あああぁぁぁ……!」
「うるさい」
暁美さんにチョップされたことで、ようやく私のうめき声は止まりました。
「……別に、そんなに恥ずかしがることじゃないでしょ。少なくとも、私は嬉しかったわよ」
「え、暁美さん……」
暁美さんが、デレた……!?
まさか、こんな直球の返しが来るなんて……!? あのメガネを外したばかりのツンツンしたころとは……。
「あなた、今失礼なこと考えてない?」
「へ? い、いやいやいやいや! 考えてないですよ、そんなこと!」
「はあ、まあいいけど。それにしても、ここに来てキュゥべえのヤツ、急に接触してきたわね。もっと警戒しないとダメかしら」
「……警戒には賛同ですが、キュゥべえの干渉は必ずしも悪いことと捉える必要はないと思いますよ」
私の言葉に暁美さんは怪訝な表情を浮かべます。
「どういうこと、まばゆ」
「アイツは合理性の塊みたいなヤツです。ですから、私たちに接触してきた以上、何かしらの目的があるはず。そしてアイツらの目的なんて大体想像がつきます」
「魔法少女が魔女になるようにする、よね?」
「ええ。キュゥべえはエネルギー回収のためなら人の心を誘導することだってあります。となると、今回接触してきたのだって、アイツらに利があるから接触してきたってワケです」
ですが、と私は人差し指を立てて得意げに言います。
「こうも考えられませんか? 私たちに干渉しないとエネルギーが回収出来なくなってしまうから、キュゥべえは接触してきた、と」
「え、それってつまり……」
「そうです。私たちの計画は順調ってことですよ。少なくとも、このまま行けばワルプルギスの夜を越えられてしまうと、キュゥべえが危ぶむほどには」
ふふん、と私は鼻を鳴らします。
暁美さんも、珍しく私に感心したような目線を向けてきます。
(き、決まったー! 私の人生史上、類を見ないくらいカッコよく決まった!)
暁美さんも私を褒めるように呟きます。
「その考え方は思いつかなかったわ。そうね、私たちに接触してくる理由までは考えなかったわ。さすがね、まばゆ」
「ほ、褒めすぎですよ」
「いいえ。私一人だったら、確実にアイツの言葉で疑心暗鬼になってたわ。ありがとう」
しかし、あまりに褒められるので、私は段々申し訳なくなって……。
「いやー、まあ全部凜さんの受け売りなんですけど……」
真実を正直に話すことにしました。
「なんだ」
「なんだってなんですか! 一瞬でテンション下がりすぎじゃないですか!?」
「あなたが珍しく冴えたこと言うから、あなたも成長したと思ったのに」
「すいませんね、成長しなくって」
実のところ、先ほどの考え方は前の時間軸での特訓中に凜さんに教わったものでした。
「計画が上手くいくか不安?」
「ええ……。この時間軸は今までにないほど上手くいっています。けど、今回もやっぱりダメなんじゃないかって、不安になることもあって」
特訓中のある日。私は凜さんにそう相談しました。
自分たちの作戦が上手くいくのか不安に思っていた私。すると凜さんは、こう言ったんです。
「そういうときはね、あえてキュゥべえを指標にするのもアリかもね」
「キュゥべえを……?」
「うん。キュゥべえは魔法少女を魔女にしてエネルギーを回収することが目的。ワルプルギスの夜との戦いなんて、魔法少女側が負ければたくさんのエネルギーが回収できるチャンスでもある。つまり、キュゥべえとしては絶対にワルプルギスの夜を越えさせたくないわけ」
「ということは……?」
「キュゥべえがまばゆたちに接触してきたら、それはむしろ吉兆。だって、それってキュゥべえが干渉しないとワルプルギスの夜を越えられてしまうって、暗に言ってるようなものじゃない? だから、もしキュゥべえが直接接触してきたら、むしろ自信持っていいと思うよ」
(ありがとうございます、凜さん。あなたの言葉、さっそく役に立ちましたよ)
彼女の言葉に感謝していると、暁美さんは思い出したように質問してきます。
「そういえば、まばゆ。その凜の件はどうなったの? 鶴乃さんに話聞きに行ってから、何か進展はあったのかしら」
唐突に突きつけられた現実に、私は何とか取り繕ろうとして……。
「うぇ!? あ、あー、それは……」
「進んでないのね」
「はい……」
見事に暁美さんに看破されました。
「だってしょうがないじゃないですか~。凜さん、いつ話しても元気ですし。正直、どうアプローチしていいか……」
そう。凜さんの心の闇を何とかしようと思って行動してきましたが、ここに来て暗礁に乗り上げてしまいました。
というのも……。
(凜さんの気持ちが分かりそうで、分からないんですよねー……)
鶴乃さんを始め、これまで凜さんの話は聞いてきたつもりですが、肝心の凜さんの気持ちが全く見えてきません。
表面に出ているのが全てと信じたいですが、前の時間軸のことを考えるとそれはあり得ないでしょう。
心の中に何かを抱えているのは分かっても、その何かが分からない。
そんな状態では、アプローチのしようがありませんでした。
一応、凜さん本人にもそれとなく情報を引き出そうとしているのですが……。
(まあ、私のコミュ力で上手くいくわけもなく……)
なんだか軽く流されてしまっているようで、彼女の闇が見えることはありませんでした。
というか凜さんも、今のところ普通に楽しそうにしていますし、相談に乗るという空気でも無いんですよね。
悩みも何もないときに、「相談に乗るよ」なんて言われても、疑問符がついて終わりです。
(このまま何事もなければ、それが一番いいんですけどね……)
凜さんと向き合う覚悟はしましたが、それでも凜さんとぶつかり合うことはしたくありません。せっかくできた友達と喧嘩したい人間なんて普通いません。
私が若干の逃避思考に走っていると、暁美さんが尋ねてきます。
「今分かっていることはないの?」
「そうですね……。さっきも言いましたが、凜さんの自己犠牲とも言えるあの奉仕精神は、彼女元々の気質の可能性が高いってくらいですかね。恐らく色々と辛い経験をして、その側面が強化されてしまった感じはありますが、あの性格自体は彼女本来のものだと思いますよ。ただ……」
「ただ?」
「それであそこまで溜め込むようになりますかね? 頼れる人がいなかったなら分かるんですけど、凜さんは七海さんや鶴乃さんたちと一緒にいたわけですし……。あの人たちが凜さんを気にかけていた以上、誰かを頼るって経験もしているはずなのに……。どうして、あそこまで自分を助けられることを拒むのか、そこが見えてこないんです。恐らくそれが分かれば、何かの取っ掛かりに……」
私がそこまで話した時でした。
私のスマホから着信音が鳴ります。
普段、咲笑さんからの電話でしか鳴らないので、ビックリしながらも画面を見ると、相手はまさかの鶴乃さんでした。
「誰から?」
「鶴乃さんです……。何かあったんでしょうか?」
とにかく私は彼女からの電話に出ることにしました。
「はい、もしもし」
『あ、もしもしー? 久しぶりだね、まばゆちゃん! 私のこと、覚えてる?』
「あ、もちろんです、鶴乃さん。というか、まだ1週間経ってないですよ?」
『あ、そっかそっか。なんだか随分前に感じちゃって』
「あ、あの、何かありましたか? わざわざ私に電話してくるなんて……」
『あー、えーっと、実はね……』
鶴乃さんはなぜか少し言い淀んでから、ゆっくりと用件を語り出しました。
『その、この前さ。凜のこと、聞きに来てくれたじゃん? それでさ……。その、実はまだ二人に話してないことがあって……』
「話してないこと?」
『うん……。本当は前に話せれば良かったんだけど、なかなか決心つかなくて……』
鶴乃さんは少し無理をしているような声で笑っていました。
「そ、その……、もし辛いようでしたら、無理にとは……」
『ううん』
私の言葉を断る鶴乃さんの声は、今までよりトーンの低い、真面目な声で。
『二人に知っておいてほしいから。凜と私の心の距離が離れた理由。あれね、私、ちょっと心当たりあるんだ』
「ほ、ホントですか!?」
予想外の情報に、私は思わず大声を上げてしまいます。
しかし、鶴乃さん気にする様子もなく、話してくれました。
『うん。私の想像にはなっちゃうんだけど……』
そうして語られた鶴乃さんの予測は、私の中で埋まっていなかったピースが一つ、埋まる感覚がしました。
読者の皆様、お久しぶりです。
そして、長い間お待たせしまい申し訳ありませんでした。
とりあえず今日からまた、頑張って連載していこうと思います。
(と言っても、ペースがゆっくりなのはそのままにはなってしまいますが)
そしてもう一つご報告が。
もう気づいていらっしゃい方がほとんどだと思いますが、私の友人がこの小説の挿絵を描いてくれました。
本作のオリキャラ、夕凪凜のイラストを描いてくれたので、許可をもらってあらすじに載せさせていただきました。
作者の脳内の凜のイメージにかなり近いもの、というかそれを上回る解像度で描いてくれたので、もし良ければ一度ご覧になってみてください。
それでは、次回もよろしければ読んでいってください。