魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得   作:くろしゅー

28 / 63

(ついに実況パートが無くなったので)初投稿です。



Record3 DAY.16~DAY.17 Side HA / MA

 

 

 

 

 DAY.16 HA

 

 

 

「はあっ、はあっ……!」

 

 夜の街を、私は駆ける。

 

 何かから逃げるように、がむしゃらに走った。

 

 

(こんなこと、私だって望んでいるわけないじゃない! けど、これ以上巴マミを放置して誰かを犠牲にしたくない……! それなら、いっそ私の手で巴マミを……)

 

 

 私には想像する最悪の未来があった。

 

 それは、巴マミに味方の魔法少女を殺されること。

 そして、その状態でまどかが契約をせずに、ワルプルギスの夜を越えてしまうこと。

 

 そうなれば、例え誰が犠牲になっても私は時を戻すことはしないだろう。

 だって、それが私の望みであり、ゴールだから。

 

(その犠牲がもし、まばゆか凜だったら、私は……)

 

 

 正気を保てるだろうか?

 

 怖い。

 正気を保てなくなることが。

 

 怖い。

 まどかを希望に、あの二人の死にすら正気を保ててしまうことが。

 

 

 そんな未来を回避する最善択は、巴マミを排除することだ。

 

 巴マミには悪いが、彼女の排除が一番、仕方なかった、と言い訳ができそうだから。

 

(そう……。だから、これは正しくはなくとも最善手……。仕方ないこと……)

 

 

 自分に言い聞かせるように、心の中で何度も呟く。

 

 しかし、巴マミを追う足はどんどん重くなり、ついには止まってしまう。

 

 

 

 

 上がる息を整えつつ、私は行き場の無い感情を拳に乗せ、ビルの壁に叩きつける。

 

「……くっ!」

 

 私は何がしたいんだろう。

 

 引き止めるまばゆを傷つけ、強引に出てきたのに、ここまで来ても私は巴マミを始末することを躊躇っている。

 

 

 ああ……、私は弱くなった。

 まどかと約束をした時は、誰にも頼らないと決めたのに。

 

 まばゆが側にいて、凜が手を引いてくれるこの状況に慣れすぎてしまった。

 

 私は、仲間を手にかける選択が選べなくなってしまった。

 

 

(一体、どうしたらいいのよ……!)

 

 

 

 

 

 

 そんな時だ。

 

 私の携帯が着信を知らせる音を出す。

 

「……?」

 

 

 私が画面を見ると、まどかからだった。

 

(どうしてあの子が……)

 

 疑問に思いながら、私は電話に出る。

 

「もしもし?」

『もしもし、ほむらちゃん!?』

 

 電話ごしの彼女の声は、切羽詰まっているような声だった。

 

「まどか? どうしたの?」

「あのね! 仁美ちゃんが、魔女の、魔女の口づけを受けちゃってて……! 他にもいっぱい人がいて、混ぜると危ない薬品を混ぜようとしてるの!」

 

 

(しまった!)

 

 私は今日の日付を確認する。

 日付は、美樹さやかが契約する日。そしてその日は、同時に志筑仁美が魔女の口づけを受け、集団自殺を図る日でもある。

 そして、それにまどかは出くわしてしまうのだ。

 

(マズい! ここのところ、魔女を先回りして倒していたから、凜の件で完全に頭から外れていた……!)

 

『私、魔法少女で連絡先知ってるの、凜さんとほむらちゃんだけで……! でも、凜さんは電話出ないし……。どうしよう、ほむらちゃん……!』

「事情は分かったわ! あなたはそこを動かないで! 私がすぐに向かう!」

『で、でも! 仁美ちゃんたち、もう……!』

 

 まどかの声が少し遠くなった後、まどかは一言、こう言った。

 

『ごめん、ほむらちゃん! 私、仁美ちゃんたち止めなきゃ! お願い、すぐに来て!』

「まどか? まどか!?」

 

 私は急いで呼びかけるが、すでに電話は切れた後。

 

 大方、志筑仁美たちの集団自殺が始まりそうだったのだろう。

 

 止めたい気持ちは分かるが、それはあまりに無謀だ。

 もしそうなれば、彼女はきっとあの獣に願ってしまうだろう。

 

(そんなこと、絶対にさせない!!)

 

 

 私は盾を回し、時を止める。

 

 全てが止まった景色を横目に、私は再び走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が廃工場に着くと、窓ガラスが割れており、その下にはバケツが転がっていた。

 

 

 私が割れた窓から中の様子を窺えば、操られた人たちが一カ所に集まっていた。

 

 

 

 その先にいたのはまどかと、あの白い悪魔。

 

 

 私は即座に銃を取り出し、その悪魔に弾丸を何発か放つ。

 銃弾は停止した時間に捕まり、キュゥべえの当たる寸前で止まった。

 

 

 

 

 私は時間停止を解除する。

 

 

「私、魔法少女に……!」

 

 まどかがそこまで言ったと同時に、キュゥべえの体は穴だらけになり吹き飛んだ。

 

 

「……えっ!?」

 

 まどかは事情が飲み込めていないようだが、説明している時間はない。

 

「まどか、ここにいたのね」

「ほ、ほむらちゃん!? わあ!?」

 

 私はまどかに声をかけると同時に、彼女を抱きかかえ、魔女の結界から離れた場所まで走りだす。

 

 

 すると、まどかが私に言う。

 

「待ってほむらちゃん! 他の人たちは!?」

「そんな余裕はないわ。あなたを助けるのが最優先よ」

「そんな……! 他の人たちを置いていけないよ! お願いほむらちゃん! 他の人たちも助けて!」

 

 私の服を掴み、そう懇願するまどか。

 

 私としてはまどかを守ることを優先したかったが、それではまどかが納得しない。

 そうすれば、結局まどかの契約に繋がってしまうだろう。

 

 

 私はため息を一つつくと、時間停止を解除してまどかを降ろす。

 

「あなたはこのまま出口まで走りなさい。あの人たちは私が何とかするわ」

「……! ありがとう、ほむらちゃん!」

 

 私はまどかが走り出したのを確認し、魔女に操られた人たちの前に出る。

 

 魔女に操られた人たちは私の姿を認識すると、取り押さえようとゾンビのように襲いかかってきた。

 それを避け、私は魔女の結界から反対方向に走り出す。こうすれば、彼らは私を追ってきて、魔女の結界から引き剥がせるからだ。

 

 

 私の読み通り、彼らは真っ直ぐ私を追ってきている。

 

(もう少し……。あと、少し……)

 

 

 そして、彼らが大体一まとまりになったところで、私は盾からネットランチャーを取り出す。

 そして全員が収まるようにして、それを放った。

 

「ふっ!」

 

 ランチャーのネットは確実に彼らを捉え、その全員に覆い被さった。

 

 

(これでひとまずの時間稼ぎは出来たわね)

 

 この人数だ。ネットなどすぐに抜け出してしまうだろうが、魔女を始末する分の時間は稼いでくれるはずだ。

 

(何が役に立つか分からないものね。さなには感謝しないと)

 

 ネットランチャーを仕舞いながら、私は武器調達の相方を思い出す。

 

 このネットランチャーは本来、私が回収するつもりの武器ではなかった。

 この前、自衛隊基地に侵入したとき、さながグレネードランチャーと勘違いして持ってきてしまったのだ。戻すのも一苦労だったので成り行きで回収しただけだったのだが、まさかこんなところで役に立つとは。

 

 

 

(ともかく、これで魔女に集中できる)

 

 私は魔女を始末しようと、結界のあったほうに足を向けた。だが……。

 

(魔女の反応が、ない……? まさか、逃げられた……?)

 

 すでに魔力の反応はなく、魔女の結界はどこにもなかった。

 

 

 恐らく私にけしかけてきた彼らが囮だったのだろう。私が彼らを放っておかない選択を取ったから、魔女はそれを逆手に取ったのだ。

 

(やられたわね……。 まさかここで魔女を逃がすなんて……)

 

 この魔女を逃がすのは、今までの周回でも殆どなかった。これが今回のフローチャートにどれほどの影響を及ぼすか想像できない。

 

 ただでさえ、凜が行動不能で巴マミも暴走状態なのに、さらに悪い状況はたたみかけてくる。

 

 一応、魔女が去ったことで口づけを受けていた人たちが解放されたのは、不幸中の幸いだろう。

 

 

 

 私が外に出ると、まどかが駆け寄ってくる。

 

「ほむらちゃん! 大丈夫だった? その、仁美ちゃんや他の人たちは……?」

 

 不安そうに尋ねるまどかを安心させるように、私は口を開く。

 

「全員無事よ。ただ、魔女は逃がしてしまったけれど」

「あ……。ご、ごめんなさい……」

 

 魔女を逃がした、という言葉に、あからさまに落ち込むまどか。恐らく、自分が他の人を助けてと言わなければ、とでも思っているのだろう。

 

「別にあなたが謝ることじゃないわ。口づけを受けた人たちは無事だったし、魔女を逃がしたのは私の詰めが甘かったからよ。あなたが気に病む必要はない」

 

 だが、まどかの顔は曇ったままだ。

 何かあったのかと聞こうとすれば、先にまどかが口を開いた。

 

「あのさ、ほむらちゃん。凜さんが怪我して倒れたって本当?」

「っ!?」

 

 私は思わず動揺する。

 凜の襲撃から、まだ数時間前も経っていない。

 

 こんなに早くまどかの耳に入るなんてこと、普通はあり得ない。

 

「……キュゥべえから聞いたのね」

「うん……」

 

 やっぱりだ。

 アイツのことだ。凜が危ない状態だとか言って、契約を迫ったのだろう。

 

 私はこめかみを押さえながら、まどかに言う。

 

「それもあなたが気にするようなことじゃないわ。この問題は、私たちが解決する」

「で、でも……! マミさんも、いつもと様子が違うんでしょ……? 聞いたよ、凜さんを襲ったのが、マミさんだって」

「だとしても、これは魔法少女の問題よ。あなたがクビを突っ込んでいい問題じゃない」

「でも、放っておけないよ」

 

 中々引き下がらないまどかに少しの苛つきを覚えつつ、私はまどかに問いかける。

 

「どうして? あなたは魔法少女でも何でもない。危険なことにわざわざ首を突っ込む必要なんてないのよ」

「だって私、凜さんの友達だから……。厳しいことも言われたけど、凜さん、私のことすごく心配してくれてたもん。放っておけないよ」

 

 ああ、この子は本当に……。

 

 今回の周じゃ、まどかと凜はあまり関わっていなかったはず。

 

(それでもあなたは、彼女を助けることに何の迷いも抱かないのね)

 

 

 

 私の心にさざ波が立つ。

 

 理由はきっといっぱいある。

 まどかが魔法少女になろうとすること、チャート通りに事が運ばないこと、凜が倒れたこと、まばゆと言い争ったこと、そして……、まどかが凜に優しさを向けたこと。

 

 まどかの性格を考えれば当たり前のことだ。

 けれど、あまり話していない凜にすら、まどかはその優しさを向ける。それにどうしても羨ましく、嫉妬してしまう自分がいた。

 

 捨てたはずの自分勝手な感情が、私の心に顔を覗かせていた。

 

 だからだろう。私の言葉は冷たくなってしまった。

 

「余計なお世話よ。私たちなら心配いらないわ。凜だって、そのうち起きるわよ。だから、大丈夫なの」

 

 

 心配してくれた彼女に、あんまりな言い方だ。

 けど、これ以上まどかといると、もっと酷いことを言ってしまいそうで、私は背を向けて立ち去ろうとした。

 

 

 その時だった。

 

「ウソ、だよ……。ほむらちゃん、全然、大丈夫そうに見えないよ……」

 

 私を呼び止めるまどかの声に、私は思わず振り向いて言ってしまう。

 

「なんであなたは……」

「え?」

「なんであなたはそうなのよ! どうして、私の言うことを聞いてくれないの! どうしてそんなに命を粗末にするの!」

 

 言ってしまった。

 久しく顔を見せていなかった感情が、吹きこぼれる。

 

「あなたが死んだら悲しむ人がいっぱいいるのに……! どうしてあなたは、あなたたちは、そんなに簡単に誰かのために命を投げ出すの!!」

 

 私の奥でずっと溜めていた思い。

 まどかも、まばゆも、凜も。

 

 どうしてあなたたちは……!

 

 

「もう、止めてよ……。私にそんな心配される価値なんてない……。あなたたちを何度も何度も犠牲にして、その度に時間を繰り返して……! あなたたちが死ぬのを見る度に、心が引き裂かれるような気持ちになる……! でも、元を辿れば私のせいになるから。これは私のワガママだから……。今まで言わないようにしてきたの……! でも、でも……!」

 

 私は今日だけで何度泣くのだろう。

 

 こんなこと言ったって、まどかを困らせるだけだ。

 でも、一度吐き出し始めた思いは、止まる気配を見せない。

 

「もう、耐えられない……! いっそのこと、私なんて嫌ってくれたら……。そしたら、もっと楽だったのに……」

 

 そこまで言ったところで、不意に私は抱きしめられる。

 まどかの腕が後ろに回る。

 

「そんなこと、言っちゃダメだよ、ほむらちゃん」

「まど、か……」

「嫌ってくれたら、なんて、そんな悲しいこと言わないでよ。一人になるなんて、寂しいよ」

 

 まどかは優しく、それでいて少しだけ抱きしめる腕に力を込める。

 

「私ね、思うんだ。ほむらちゃんのことを、凜さんが、まばゆさんが、皆が放っておかない理由」

「理由?」

「うん。きっと皆、ほむらちゃんを見ると、助けたいと思うからだよ。ほむらちゃん、何だかずっと無理をしている感じがしているもん」

「そ、それじゃあ、私が頼りないから、見ていられないくらい情けないから、皆を巻き込んでしまっている、ということ……?」

 

 もしそうなら、私は昔の私から何も変われていない、ということだ。

 まどかを守れるような自分になりたいと誓ったあの日から、私が変われていないということ。そのせいで、多くの命を私のために……。

 

(それじゃあ、それじゃあ……、結局、私自身が、犠牲を増やしていた……?)

 

 しかし、そんな私の考えを否定するように、まどかは優しく語りかけてくる。

 

「違うよ、ほむらちゃん。ほむらちゃんのせいじゃない。むしろ、ほむらちゃんが頑張ってるから、助けたくなるんだよ」

 

 まどかは少しだけ私から体を離して、私の顔を真っ直ぐに見つめると、だってさ、と続ける。

 

「必死に頑張って、足掻いた子が救われないなんて、そんなの間違ってるよ。必死に頑張った子は救われる、報われるって。そんな希望を、皆が信じてるから。だから、助けたくなるんじゃないかな」

 

 まどかは、私に優しく笑いかける。

 

「だからほむらちゃん。自分のせいだなんて思わないで。ほむらちゃんは、きっと皆の希望なんだよ。頑張るほむらちゃんに、皆勇気づけられてる。だから、助けたくなる。ほむらちゃんが救われた、助けられたと思うのと同じくらい、ほむらちゃんの周りの人もきっと、ほむらちゃんに救われてる」

「私が、希望……?」

「うん。私はそう思うな。ちょっと恥ずかしいけど、私もその一人なんだよ」

「え……」

「私ね、こんな自分なんかに何か出来るのかなってずっと思ってた。けど、ほむらちゃんを見てたら、私にも何か出来そうな気がしてね、すごく勇気づけられた。それに、ほむらちゃんが転校してきてくれて、もっと学校が楽しくなったんだよ。だから私、ほむらちゃんにすごく感謝してる。ありがとう、ほむらちゃん」

「まど、か……。まどかぁ……!」

「よしよし、ほむらちゃん。よく頑張ったね」

 

 堪えのきかなくなった私は、みっともなくまどかに泣きつく。

 昔の私と同じように。

 

 まどかは、私を受け止めながら語る。

 

「だからほむらちゃん。自分から一人になろうとしないで。ほむらちゃんを一人にしたくない、ほむらちゃんの側にいたいって人はいるんだから。ほむらちゃんも、勇気を出して受け入れてあげてくれないかな?」

「……うん。うん……!」

「ありがとう、約束だよ?」

 

 

 泣きすがる私を、まどかは優しく撫で続けてくれた。

 

 泣きやむまで、ずっと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「取り乱して、ごめんなさい……。情けない姿を見せたわ」

「そ、そんなことないよ。こっちこそ、事情もよく知らないのに、知ったようなこと言っちゃってごめんね」

 

 そう言って恥ずかしそうに笑うまどか。

 

「謝らなくていいわ。あなたの言葉に、私は救われた。ありがとう。私も、もう少し自分を信じてみることにするわ」

「そうだよ。ほむらちゃんは格好いいんだから、もっと自信持って」

「ふふっ」

「え? わ、私、変なこと言ったかな?」

「いいえ。ただ、あなたと初めて会ったときも似たようなことを言われたなって。あの時は名前を褒められたわ。燃え上がれ~みたいで格好いいって」

「うえええ? 私、そんな恥ずかしいこと言ったの? うう、褒め方が下手くそすぎるよ、私……」

 

 恥ずかしがるまどかを見て、また笑う私。

 

 そんな私を見て、まどかも安心したように笑った。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、私は行くけど、くれぐれもキュゥべえの言葉に惑わされてはダメよ」

「うん、気をつける。ほむらちゃんも、気をつけてね」

「ええ」

「それじゃあ、また明日」

 

 まどかはそう言うと、手を振って家へと帰っていった。

 

 

(さてと……)

 

 

 私はスマホを取り出すと、検索エンジンを開いて文字を打ち込んでいく。

 

(諦めない、か……。そうね、諦めたら良い結果なんて期待できるはずもないものね)

 

 調べた結果を見て、次の行動の予定を組んでいく。

 

(まばゆと凜にあんなに言われていたのに、今さらになって気づくなんてね。まばゆには後で謝っておかないと。けど、今は……)

 

 予定を組み合げた私は、早速バス停に向かう。

 この時間なら、まだ風見野市へのバスは出ているはずだ。

 

(この状況を切り抜けるのが先ね。まどか、まばゆ、凜。私は諦めないわよ。誰一人、絶対に)

 

 

 

 

 バス停への道のり。私は走りながら、そう覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.17 Side MA

 

 

 

 ピピピピピ!

 

「…………朝、ですか」

 

 いつもと違う目覚ましの音を聞きながら、私は目をこする。

 

「朝、ですね……」

 

 横に置いたスマホを手探りで探す。

 お目当てのモノはすぐに見つかり、私はそこから流れるアラームを止めた。

 

「それじゃあ、おやすみなさ~い……」

 

 

 

 ……。

 

 

 

 

「……って気分にはなれませんねぇ」

 

 よっこいしょ、と私は体勢を起こす。

 

「さすがにソファだと、体がちょっと凝りますね」

 

 自分の体にかけていた毛布を畳み、ソファに置く。

 

 

「こういうとき、『知らない天井だ』とか言ってみたかったんですけどね。生憎、この天井を見るのは二回目ですから」

 

 そんな独り言を呟きながら、私は隣の部屋のドアを開ける。

 

「凜さん、おはようございます」

 

 返事はない。

 凜さんの目は相変わらず閉じられたまま。

 

 

 

 なんで凜さんがいるのかって?

 

 当然ですよ。

 なんせ私は昨日、凜さんの家に泊ったんですから。

 

 

 

 

 

 

 昨日、鶴乃さんからの電話を終えた後、私は凜さんの家に泊まることを決めました。

 

『じゃあ頼まれたこと、やっておくね!』

「すみません、鶴乃さん。お願いします」

『いいっていいって! この鶴乃お姉さんに任せといて!』

「ありがとうございます」

『そうだ、まばゆちゃん。一つだけお願いしていい?』

「あ、はい。なんでしょう?」

『凜のこと……、お願いね』

「……ええ、もちろんです」

『うん、ありがとう。それじゃあ、進展があったらすぐ連絡するよ! またね』

「はい、また」

 

 電話を切った私は、横で寝ている凜さんを見ました。

 少しマシになってきましたが、それでも顔色は悪いまま。

 

 何より、私たち以外誰もいないこの家はとても寂しい雰囲気で……。

 

(置いては、いけませんよね……)

 

 

 それから私は咲笑さんに電話して、凜さんの家に泊まることにしました。

 

 咲笑さんの説得は大変でした。

 

 まあ、当たり前といえば当たり前ですが、いくら友達のためとはいえ、泊まり込みで介抱なんて普通に考えればやり過ぎですからね。

 とはいえ、凜さんのご両親の連絡先なんて知りませんし、病院にも連れていけない。暁美さんも出ていってしまった状況では、凜さんの面倒を見られるのは私だけでした。

 

 この家で一人で目覚める凜さんの気持ちを思うと、私は凜さんが目を覚ますまで側にいてあげたかったんです。

 

 一応、咲笑さんがお店を休んで面倒を見ようかとも提案してくれましたが、それは断らせてもらいました。

 お店を休んでもらうのは気が引けたのと、塞がったとはいえ、凜さんの体は治癒が不完全でまだ銃創が残ってます。それを見られるわけにもいきませんから。

 

 

 咲笑さんも悩んだようですが、最後は

 

「分かったわ。後で事情をちゃんと説明することと、お勉強を頑張るなら、明日学校をお休みするのも含めて認めるわ」

 

 と、言ってくれました。

 

 

 

(ほんっとうに、咲笑さんには頭が上がりませんし、足向けて寝られませんね)

 

 兎にも角にも、そのような経緯で私は凜さんの家に泊まって、凜さんの介抱をしました。

 

 

 

 といっても、あまり大したことはできてません。

 

 やったことといえば、凜さんの体を拭いて着替えさせた程度ですかね。

 

 凜さん、巴さんにソウルジェムを砕かれそうになった時に変身を解除してしまったので、服がボロボロになってしまったんです。

 体のほうも、傷口は塞がっていますが、流れ出た血はそのままで、あちこち乾いた血が張り付いていました。

 

 さすがにそのままにはしておけなかったので、お風呂場で温水で温めたタオルで凜さんに付いた血と汗を拭き取り、新しい服を着させてあげました。

 

 

(勝手に裸見ちゃいましたけど、き、緊急事態でしたし、女子同士ですし、いい、ですよね……?)

 

 仕方なかったとはいえ、そこはちょっと気になります。

 凜さんはそういうことを気にしなさそうなタイプですが……。

 

(にしても、凜さんの肌、キレイでしたねー……。羨ましい……)

 

 と、そんなことを考えて、ハッと我に返ります。

 

(って、何考えてるんですか私! これじゃホントに変態魔法少女ですよ! 言い逃れできませんって!)

 

 

(うう、なんか変に気を回さなかったほうがよかったかも……)

 

 別にプールとか公衆浴場とかでも裸見るんですから、気にする必要無かった気が……。それに、下着類にはあまり手を付けてませんし。

 私だって、そこまでデリカシーない人間じゃありません。

 

 

 

(ああ、もう! 別のことしましょう! 朝ご飯もまだですし、ちょっと冷蔵庫の中を拝借させてもらって……)

 

 私は凜さんに謝りながら、冷蔵庫を開けさせてもらいました。

 コンビニに買いに行こうかとも思いましたが、冷蔵庫に作り置きのものが入っていたので、腐らせる前に頂きました。

 

 

 

(くっ……! すごく美味しい……! 前の周でも食べさせてもらいましたが、凜さん料理も上手ですね……。なんか私、すごく人間的に負けているような気がしてきました)

 

 そんな謎の敗北を感じながら、凜さんの料理を美味しく頂きました。

 あとで私も何かお返ししたほうがいいかな、なんて考えながら食器を片付け、再びリビングに戻ってきたときでした。

 

 

 ふと、私の視界に伏せられた写真立てが入りました。

 少し迷いましたが、好奇心は抑えられず、私は伏せられた写真立てに手を伸ばしました。

 

(あっ……)

 

 手に取った写真立てに入っていた写真は、凜さんたちの集合写真でした。

 

 写っているのは凜さんの他に、七海さん、鶴乃さん、それと私の知らない人が3人。

 

 でも、これはきっと……。

 

(昔の、みかづき荘のチーム……)

 

 凜さんや鶴乃さんから聞いた話を元に推測すると、七海さんの隣にいる白髪のおっとりした雰囲気の女性が梓みふゆさん、金髪をポニーテールに結んだ快活そうな人が十咎ももこさん。そして、凜さんと並んでピースしている緑髪の人が、安名メルさんなのでしょう。

 

 凜さんに謝りつつ、写真を取り出せてもらえば、裏には凜さんの直筆の文字が書かれていました。

 

 一つは日付。1年とちょっと前の日付が記されていました。

 そして、もう一つはメッセージ。

『みかづき荘のみんなと』と書かれていました。

 

 全員楽しそうに笑っているこの写真。

 それが写真立てに大事に入れられ、それでも伏せられていることに、私は凜さんの心に少し触れた気がしました。

 

(ん……?)

 

 写真立てが飾ってあった棚。そこに置いてある一つの本。

 少しだけ飛び出していたそれに、私は興味を引かれました。

 

 その本はアルバムのようでした。

 

 開くな、と私の脳が言いました。

 これは凜さんのデリケートな部分だと、なんとなく分かりました。

 

 それでも、私の手はその警告をあえて無視しました。

 もう躊躇っている段階じゃ、ありませんから。

 

 

 そうして開いたアルバムには、ある意味私の予想通りの写真が入っていました。

 

 入っていた写真は、どれもみかづき荘の皆さんの写真でした。

 

 色々な写真があり、そのどれにも日付と凜さんのメッセージが書いてありました。

 

 七海さんが髪を縛ってエプロンを着けている写真には、『やちよ先輩のエプロン姿。美人すぎ』。鶴乃さんと凜さんのツーショット写真には、『鶴乃先輩のお店、お手伝い記念』と。

 

 他にも、沢山の写真がありました。もちろん、凜さんのメッセージも。

 

『お昼寝してるみふゆ先輩。寝顔カワイイ』

 

『ももこ先輩とゲーセン。ぬいぐるみゲット!』

 

『メルとショッピングデート♡』

 

『やちよ先輩とももこ先輩、ドーナツをかけたジャンケン決戦』

 

『お出かけ中のやちよ先輩とみふゆ先輩。仲良しで羨ましい』

 

『ももこ先輩と一緒にアイドルライブ。チョー楽しかった!』

 

『鶴乃先輩とメルと一緒にスタンプラリー。バテたメルを負ぶっちゃった』

 

 

 

 

 

(凜さん……)

 

 写真の中の皆さんはどれも楽しそうでした。

 

 しかし、1年くらい前の日付の写真を最後に、アルバムに写真はありませんでした。

 

 

 

 1年前。

 そこに何があったかは、私も知っています。

 

 きっとこのアルバムは、凜さんの楽しかった日々の象徴。

 凜さんにとっての理想の日々は、この時だったのでしょう。

 

 その日々が終わりを告げて1年。ずっと凜さんは、このアルバムを(よすが)に生きてきたのでしょうか。

 

 そう思うと、胸が締め付けられる思いでした。

 

 

 そうして最後のページをめくると、そのページに一枚だけ写真が入っていました。

 

(えっ……)

 

 その写真に写っていたのは、私と暁美さん。

 背景と私がレコンパンスの制服を着ていることから、撮られたのは皆さんとレコンパンスに集まった日でしょう。

 

(いつの間に……)

 

 写真の中の私は、楽しそうに微笑んでいました。暁美さんも、分かりづらいですけど機嫌の良さそうな顔。

 

(私たち、こんな顔してたんですね……)

 

 裏を確認すれば、書かれていた日付は9日前。私の予想通りで間違いないでしょう。

 

 そして、書かれていたのは『まばゆとほむら。私の大切な友達』の一言。

 

 そしてもう一言。

 震える字で『今度こそ、守りきる』と、書かれていました。

 

 

 他の写真と違って、この写真は少しだけヨレていました。

 

 まるで、水でも垂れてしまったような、そんな跡がありました。

 

 

「ふぅ……! ううう……! あああ……!」

 

 せめて私は、この写真をこれ以上ヨレさせてしまわないよう、写真を顔から遠ざけました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから少しした時でした。

 

 ピンポーン、とインターホンが鳴りました。

 

「っ!?」

 

 私は思わず身構えます。

 ここを訪ねてくる人はそんなに多くないはず。

 

(まさか巴さんが……?)

 

 

 幸いにもカメラ付きのインターホンだったので、私は映像で訪問者の姿を確認することにしました。

 

「え……?」

 

 そこに映っていたのは、まさかの佐倉さんでした。

 

 

 

 

「お、やっと出てきた」

「さ、佐倉さん? どうして……? いや、そもそもなんでここを知ってるんですか?」

 

 私の質問に、佐倉さんは当然のように答えました。

 

「なんでって……、ほむらに聞かされたんだよ。お前たちがここにいるって」

「暁美さんが……?」

「なんだ? 何も聞いてないのか?」

「ええ……」

 

 ったく、と佐倉さんは頭を掻きます。

 

(暁美さんが、どうして……)

 

 話が見えてこない私に、佐倉さんは面倒くさそうに説明を始めました。

 

「昨日、ほむらに頼まれたんだよ。今日だけ、マミの監視とアンタらの護衛を」

「巴さんの、監視? 暁美さん、巴さんと戦わなかったんですか?」

「戦う? そんな雰囲気なかったけどな。むしろ、説得したいんだとよ。アイツも随分、甘いよな」

「暁美さん……」

 

 どんな心境の変化があったかは分かりません。

 けど、佐倉さんへのお願い事は、少なくとも巴さんの始末を止めたと考えていいでしょう。

 

(良かった……)

 

 私は胸をなで下ろしました。

 そんな私の様子を見て、ある程度察したのでしょう。佐倉さんは言葉を続けます。

 

「まあ、アンタらに何があったかは知らないけど。とにかく、ほむらはどっか行くとこがあるんだとよ。それで見滝原を離れるから、その間にマミが動かないか見ていてくれってのと、もしもの時はアンタらを守ってくれってよ。グリーフシードとラーメンで手を打ったってわけ」

「どこかに? 暁美さん、どこに行ったんですか?」

「さあな。アタシにも言わなかった。けど、想像はつく」

「え、どこですか?」

「時女のヤツらのとこだろ」

 

 時女の人たちに? どうしてこのタイミングで……。

 

「なんで行ったかは知らないけどな。アタシに言わないってことは、アタシに聞かれると協力してもらえなくなると思ったから隠したってことだ。ってことは、今アタシが一番嫌ってるヤツらのとこに行くって想像はできる」

「な、なるほど……」

 

 と、そこまで聞いて、ふと疑問に思います。

 

「ん? じゃあ佐倉さん、分かってて協力したんですか?」

「まあな」

 

 どうして、と私が問いかける前に、佐倉さんは答えました。

 

「なんというか、ほっとけなかったんだよ、ほむらのこと。アイツは、まだ守るもんが残ってる。まだ諦めてない。アイツが足掻く姿見てたらな、力を貸すくらいならいいかと思ってな」

 

 佐倉さんは少し寂しそうな目で、そう言いました。

 

「アタシだって分かってるんだ。時女のヤツらが言ってることは、並大抵のヤツらが言えることじゃねえ。あんな夢みたいな理想を、本気で貫き通そうとしてる。アタシは、それを出来なかったからさ。アイツらが眩しいし、羨ましいんだ」

 

 

 佐倉さんは小さく息を吐くと、いつも通りの表情に戻る。

 

「悪い、感傷的になっちまったな」

「いえ……」

「とりあえず、この家には結界を張っとく」

 

 佐倉さんはそう言うと、ソウルジェムを掲げ、家を包み込むように赤い鎖で結界を張りました。

 

「これで仮にマミが攻めてきても、しばらくは持ちこたえられるはずだ。それに、コイツはアタシの魔力と連動してる。マミに動きがあれば、結界を振動させて合図を送る。あとは……、もしこの結界が消えたら、それはアタシがやられたと思ってくれ」

「佐倉さん……」

「んな顔すんなよ。やられるつもりはないっての。もしものときだって言ってるだろ」

「はい、すみません。ありがとうございます」

 

「んじゃ、アタシはマミの監視に戻るから。凜が起きたら、ほむらに連絡してやれ」

「ありがとうございます、佐倉さん」

「お、おう」

 

 少し恥ずかしそうにする佐倉さん。

 

 けれど、立ち去る前には真面目な顔になって、私に言いました。

 

「そうだ、まばゆ」

「あ、はい」

「凜のこと、大切か」

「……もちろんです」

「なら、絶対手、離すなよ」

「ええ、もちろんです」

 

 私の答えに満足したのか、佐倉さんは槍を取り出すと、近くの電柱に巻き付け、あっという間に住宅街の屋根の上に消えていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.17 Side HA

 

 

 

「お願い! もう一度、考え直してくれないかしら?」

「……」

 

 私は頭を下げる。

 

 私の前にいるのは、時女静香。それと、土岐すなおに広江ちはる。

 

「ワルプルギスの夜を越えるには、あなたたちの協力が必要なの」

 

 頭を下げたまま懇願する。

 

 すると、時女静香は困ったように言った。

 

「頭を上げてちょうだい、暁美さん。別に私はワルプルギスの夜と戦うことが不満じゃないの。ただ、あの子、佐倉杏子さん? 彼女と共闘するのが、どうしてもね……」

 

 時女静香は、姿勢を正して続ける。

 

「もちろん、彼女に何か事情があるのは察しているわ。あなたたちが信頼をしているということは、彼女も根が悪い人じゃないのでしょう? でもね、今の彼女は私たちと相容れない。あの場で、ちゃるも彼女から悪意を感じている。時女一族を背負う者として、彼女と肩を並べる訳にはいかないよ」

 

(くっ……)

 

 私は歯噛みする。

 時女一族の説得は、先ほどから上手くいっていなかった。

 

(こういうとき、凜ならもっと簡単に……。いや、今まで凜に任せきりだったんだもの。私も、少しは頑張らないと)

 

 とはいえ、人と話すのは得意じゃない。

 どうすれば、彼女たちは戻ってきてくれるのだろう。

 

 すると、今まで黙っていた広江ちはるが口を開いた。

 

「静香ちゃん……。ほむらちゃんもここまでお願いしてるわけだしさ、妥協するべきじゃない?」

「ちゃる……。けどね……」

 

 時女静香の言葉に、土岐すなおが続く。

 

「ちゃる。あなたはまだあまり実感がないかもしれませんが、一族の長というのはその一挙手一投足が、影響力を持つものなんです。少しくらい、という例外が、一族に不信と亀裂を生むことだってあります。気持ちは分かりますが、ここは慎重にならないと……」

 

 広江ちはるをなだめるように言うが、その彼女は納得してないようで。

 

「でも……。それじゃあ、いつまで経っても変わらないよ。私たち決めたじゃん。これから時女一族を変えていこうって。それなのに、困っている子を放っておくの? 私はそんな時女一族、やだよ」

「ちゃる……」

 

 私は必死に考える。

 どうすれば、どうすれば彼女たちは動いてくれる?

 

 そんな時、思い出したのはまどかの言葉だった。

 

(私が頑張っているから、皆助けたくなる……。それなら、遠回しな言い回しは止めて、本心でぶつかるべきかしら……)

 

 正直言って、言いたくはない。

 この思いは、死ぬまで抱えているつもりだった。

 

 けど、それでまどかを救えないのなら、そんなこと言ってられない。

 

(自分を信じる……、ね。今まで誰も私の言葉なんか、未来なんか信じないと思っていたけれど、今なら……)

 

 私は意を決して、口を開いた。

 

「お願い。私と一緒に戦って。あなたたちにも事情があるのは分かってる。けど、杏子も大事な戦力なの。これ以上、私はまどかを死なせたくない」

「まどかって、あなたが契約を決めたきっかけの子よね」

 

 時女静香の言葉に私は頷く。

 

「私は願いはあの子を救うこと。けれど、今私たちは追い詰められているの。この前からチームはバラバラ。巴マミは絶望し、私たちに銃口を向けてきた。その凶弾に凜が倒れたわ。まだ目覚めてない。このままじゃ、絶望の未来がまた訪れる……。だから、頼れるのはあなたたちしかいないの」

 

 私は再び、頭を下げた。

 

「お願い、します……! 私たちを、助けてください……!」

「……」

 

 長い沈黙が続く。

 

 その沈黙を破ったのは、予想だにしなかった人物だった。

 

「力を貸してあげなさい、静香」

「母様……!?」

 

 私は、時女静香たちの後ろから歩いてきた女性に目を向ける。

 時女静香と同じ髪色をした彼女は、時女静香にこう言った。

 

「静香、あなたは本当に良い子に育った。それこそ良い子すぎるくらいに。けど、それと同時にあなたは人の闇を知らずに育ってしまった。もちろん、その責任はこの里から出さずに育ててしまった私にあるわ。だからこそ、言わせてもらうわ。静香、暁美さんたちと協力して、その悪鬼を討ち払いなさい」

「母様……。しかし、時女一族の長として……」

「そんなの、子どもが考えなくていいのよ。それよりも、あなたにしか出来ないことがあるでしょう」

「私にしか、できないこと……」

「他の分家との調整は私たちがやる。だからあなたは、心のまま、困っている人を助けなさい。日の本のために、その刃を振るいなさい」

 

 時女静香の母親は、彼女の頭を撫でながら語る。

 

「時女一族は古くから日の本に生きる人たちと共にあった。その中には、もちろん静香が悪と断じるような人も含まれていた。それでも時女の先祖は、この国を守ることを選んだのよ。人間の善悪も含めて、この国に生きる人たちを愛してきた。今回のことは、ちょうど良い機会。あなたも、他の街の巫と交流してきなさい。様々な価値観に触れてきなさい。そして、あなたの巫としての覚悟を見つめ直しなさい」

 

 静かに、しかし力強く、彼女は言った。

 

 時女静香はその言葉を反芻するように、目を閉じる。そして、こう言った。

 

「分かりました、母様。今だけは時女一族の長ではなく、一人の時女一族の巫として、動きたいと思います」

 

 彼女の言葉に、母親は満足そうに頷いた。

 

 すると、彼女は私のほうへと歩いてくる。

 

「あなたが、暁美さんね」

「え、ええ……」

 

 私の緊張が伝わってしまったのか、彼女は表情を柔らかくする。

 

「ごめんなさいね。あの子、良い子なんだけど、ちょっと潔癖なところがあって。だから、あなたには感謝しているわ」

「感謝、ですか……?」

「ええ。あの子が世界を知るきっかけを作ってくれたから。それに、時女一族としても感謝したい。今までいいように使われてきた時女一族が、あるべき姿に戻るための絶好の機会をあなたたちはくれた。この国に降りかかる悪鬼の災禍に立ち向かう機会をくれた。時女一族はこの国を悪鬼から守るための刃として生きてきた。今こそ、その力が必要とされるときだもの。私たちは協力を惜しまないわ」

 

 彼女は私の頭に手を置いて、優しく撫でる。

 

「私たちを頼ってくれてありがとう、暁美さん」

「いえ……、こちらこそ、ありがとうございます」

 

 私は俯きながら、そう言った。

 顔を上げると、気恥ずかしさと嬉しさで赤くなった顔を見られてしまいそうだったので、上げなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.17 Side MA

 

 

 

 

 それからしばらく時間が過ぎ、気づけば日が傾き始めていました。

 

「もうすぐ夕方ですね……」

 

 凜さんは相変わらず目覚めません。

 呼吸は一定ですし、顔色も良くなってきているので、快復に向かってはいると思うんですが……。むしろ、ちゃんとした医療施設での治療なしでもここまで回復するのですから、やはり魔法少女の肉体はスゴいと言わざるを得ません。

 

 

 

 

 すると、どこからか着信音が鳴りました。

 

(この音は、私のじゃない。ということは……)

 

 私が目を向けると、凜さんのスマホが震えていました。

 手に取ると、そこには美樹さんの表示が。

 

(美樹さん? 美樹さんがどうして凜さんに……。あっ!)

 

 そこまで考えて、私は思い出しました。

 

 昨日、凜さんが美樹さんを魔法少女にしないために説得に行っていたこと。そして、どう説得するのかの内容も。

 

(そうだ……! 凜さん、美樹さんを説得するために上条さんの腕を治してました。たしか、前周では美樹さんを説得した翌日から治療を始めていたはず……! ということは……)

 

 私は画面をスライドし、美樹さんの着信に応答します。

 

「も、もしもし」

『あ、繋がった。……って、まばゆセンパイ? あれ、私番号間違えたかな。これ、凜センパイの番号じゃありませんでしたっけ?』

「い、いえ、合ってます。凜さんの携帯です、これ」

『あ、ですよね。ん? それじゃあ、なんでまばゆセンパイが出たんです? 今、凜センパイが手を放せないとかですか?』

「うっ。え、ええと、それは~……」

 

 美樹さんからの至極真っ当な質問に、私は言葉を詰まらせます。

 

(どう返すのが正解でしょう。素直に話すべきでしょうか。いやでも、それで美樹さんが、上条さんの腕が治らないと分かって契約を早まる可能性も……)

 

 私は必死に考えますが、時間は無常にも過ぎていきます。こういうときに限って、時間停止も起きません。

 私の長い沈黙を不審に思ったのか、美樹さんが尋ねてきます。

 

『あの、まばゆセンパーイ? もしかして、凜センパイに、何かありました?』

「ふえっ!? あ、えっと……」

『あったんですね?』

 

 私の返答で確信したのでしょう。

 美樹さんはやや強めに聞いてきます。

 

(さすがに凜さんのこと、全部誤魔化すのは無理ですね……)

 

 私は諦めて話すことにしました。もちろん、美樹さんを不安にさせないように、巴さんのところは誤魔化しつつ。

 

「美樹さんの言うとおりです。実は昨日、凜さんが大怪我してしまって……」

『ええっ!? 私と会ったときは大丈夫そうでしたけど』

「そうなんです。美樹さんと別れた後、魔女に遭遇してしまって……。重傷を負ってしまったんです。それで今も目覚めてなくて……」

 

 美樹さんには申し訳ないですが、襲撃犯は魔女にさせてもらいます。

 

『そんな……! 凜センパイ、スゴく強そうなのに……』

 

(やっぱそう思いますよねー……)

 

 凜さんの強さを考えれば、魔女にやられた、なんて考えづらいです。

 さっそく嘘がばれてしまうかと私が考えたときでした。

 

『あーでも、やっぱり凜センパイ、調子良くなかったんじゃん……。相談してって言ったのに……』

「え? それってどういう……」

『あ、ああー……! えっとですね、昨日凜センパイと会ったとき、なんか調子悪そうっていうか、落ち込んでるっていうか、凜センパイの様子がいつもと違うなって思ったんです。だから、もし悩み事があるなら相談に乗りますよって言ったんですけど……』

「そうだったんですか……」

 

(凜さん、そんなに……)

 

 しかし、私が感傷に浸る前に、美樹さんは私が恐れていた話題を出しました。

 

『あれ、ということは、今日凜センパイと約束してた恭介の腕を治すのって、出来ないってことですよね……?』

「あ、えっと、それは……!」

 

 私は美樹さんが早まらないように、必死に言葉を紡ぎます。

 

「た、たしかに凜さんは今、動けません。でも、きっとすぐに起きるはずです。私もついていますから、きっと大丈夫です! ですから、まだ契約しないでください! 上条さんの腕を早く治したい気持ちはあると思いますが、もう少し待ってください! 私たちがすぐに何とかしますから……!」

「え、ちょ、ちょっと待ってください、まばゆセンパイ!」

 

 早口で喋ってしまったせいか、美樹さんに止められてしまいます。

 

『一旦落ち着いてください、まばゆセンパイ。多分、まばゆセンパイのほうが大丈夫そうじゃないですよ』

「ご、ごめんなさい……」

『それに勘違いされてるみたいですけど、私契約するつもりないですよ?』

「え?」

 

 私がハテナマークを浮かべたのが伝わったのか、美樹さんは説明してくれます。

 

『昨日凜センパイに言われましたから。私を信じるって。それなら、その信頼には応えないと。それと……』

「それと?」

『凜センパイに言われて思ったんです。あたし、最近恭介と音楽でしか関わってなかったなって。あいつの音楽以外の側面、見れてなかったかもと思ったんです。だからまあ、これも良い機会ってことで! あたし、もう一回恭介と向き合ってみたいと思うんです。音楽に頼らず、バイオリンだけじゃない恭介を見てあげたいなって……』

 

 恥ずかしー!と電話の向こうで叫んでいる美樹さんでしたが、私は呆気に取られていました。

 

 今まで美樹さんは、色々と手を回しても契約をしていました。だから私は美樹さんの記憶を切り取るという形で契約を阻止していたのですが……。

 

『心配しなくてもあたしは契約しません。それに、凜センパイにまどかが契約しないよう見ていてほしいって頼まれたんですよ。そういう()()、しましたから』

 

 だから、と美樹さんは続けます。

 

『あたし、待ちます。凜センパイが起きるまで』

 

 美樹さんの声に、嘘や無理の雰囲気はありません。

 本心で、こう言っているのでしょう。

 

(凜さん……、すごいですね。美樹さんを説得できるなんて……)

 

 すると、美樹さんが言います。

 

『あ、まばゆセンパイ。もし何か困ったことあったら言ってくださいね。凜センパイは全然頼ってくんなかったんで。その代わりに、まばゆセンパイに言っときますね。買い出しのパシリくらいしますよ~』

「あ、あはは……。でも、ありがとうございます」

『まばゆセンパイ」

「なんでしょう?」

『無茶、しすぎないでくださいね。二人とも倒れたとかなったら、あたしもまどかも悲しいですから』

「……ありがとうございます」

 

 美樹さんの言葉に、心が温まる気がしました。

 

 

 

 

 美樹さんとの電話を終え、私は顔を上げます。

 

 凜さんが繋いだもの。この状況を諦めるなんて、私には無理です。

 

 

 よし、と気合を入れた瞬間、再びスマホが鳴りました。

 

「うひゃああ!! あ、鶴乃さんか」

 

 掛かってこないと思っていたので驚いちゃいましたが、鶴乃さんからの電話でした。

 

「はい、もしもし」

『あ、まばゆちゃーん! もしもしー! 鶴乃ちゃんでーす!』

「げ、元気ですね……」

『そりゃあそうだよ! まばゆちゃんに頼まれていたこと、上手くいったからね!』

「え、本当ですか!?」

『うん! ちゃんと音声も録ったからね。この後送るよ』

「ありがとうございます! 助かりました! これで何とかなるかもしれません!」

『良かった~。あ、まばゆちゃんごめん! 電車来ちゃったから、そろそろ切るね!』

「え、電車って……。どこか行くんですか?」

『どこって、見滝原だよ?』

「ふーん……。ん? え、こっち来るんですか!?」

『そうだよ! 凜の状態聞いて、じっとなんてしてられないよ! 巴マミって子のことも気になるし……。とにかく、そっち行くからヨロシクね!」

「うえええ!?」

「安心してね、まばゆちゃん。あなたたちには、この最強魔法少女がついてるから!」

「……ありがとうございます」

 

 じゃあまたねー!と言って、鶴乃さんは電話を切りました。

 彼女の明るさは、とても眩しいものでした。

 

 

 

 

 鶴乃さんとの電話を切って、私は息をつきます。

 

(相変わらず、明るい方ですねー……。まさに、友情、努力、勝利を体現するような人ですよ。マンガですか? 少年マンガのキャラですか?)

 

 まさに私の正反対。

 咲笑さんに励ましてもらいましたが、やっぱり人に影響を与え、安心感を与えるのはああいう人なような気がします。

 

(そもそも、前に私の好きな言葉は『戦略、チート、不戦勝』などとのたまった気がしますが、改めて思い返すとヒドいですね、これ。凜さんと向き合うって決めた人間が吐く言葉じゃないですね。こんなの何の役にも……)

 

 そこまで考えて、何かが引っかかりました。

 

 何か大事なものを見落としたような、何かと何かが繋がりそうな、そんな感覚。

 

 私はその違和感の輪郭を必死に探ります。

 

(私にできること……。戦略、チート、不戦勝……。みたまさんの言葉……)

 

 

 

――私も未来視に記憶の切除、暁美さんの時間に介入できるなど、ハッキリ言ってチート染みた魔法を持って……。

 

――もし私と凜ちゃんの仲が良さそうに見えたのなら、それは私が調整屋だからよ。私が調整屋だから、彼女は心を開いた。

 

――凜ちゃんの周りで同じ状況を作れるのは、まばゆちゃん、あなただけよ。

 

――まばゆちゃんがやることはまばゆちゃんにしか出来ないんだから。

 

 

 

「っ!」

 

 私の中で、点と点が一つの線で結ばれます。

 

(そうか……。そういうことだったんですね……。みたまさんが私に伝えたかったこと、そして、凜さんに心を開いてもらう方法……。それは……)

 

 

 そこで鶴乃さんから音声データが送られてきました。

 

 私はその中身を確認します。

 

(これは……。やっぱりそういうことだったんですね。これなら、暁美さんから聞いた話とも辻褄が合います)

 

 これを凜さんに伝えられれば、凜さんも……。

 

 

 

 

 その時でした。

 今まで眠っていた凜さんの体が、わずかに動きました。

 

「ん……」

「凜さん……?」

 

 私が駆け寄ると、凜さんはうっすらと目を開けます。

 

「んん……? あれ……? ま、ばゆ……」

 

 少し掠れた声で、私の名前を呼ぶ凜さん。

 私は自分の存在を主張するように、凜さんの手を握ります。

 

「凜さん……! はい、私です……! います、いますよ……! ここに……!」

 

 私は凜さんが目を覚ましてくれたことが嬉しくて、また泣きそうになってしまいます。

 

 凜さんは未だボンヤリとしていましたが、私の手を握り返してくれました。

 

「あー……っと、私、どれくらい寝てた?」

「約一日です。巴さんに襲われたのが、昨日の今頃なので……」

「そっか……」

 

 凜さんは少しの間天井を見つめた後、口を開いた。

 

「まばゆ、1個お願いしていい……?」

「はい! 何でしょう!」

「水、持ってきてもらえる? ノド、乾いちゃった……」

「すぐに!」

 

 私はすぐにコップに水を注ぎ、凜さんのところに戻ります。

 

「ありがとう……」

「いえ。目が覚めてくれて良かったです、本当に」

 

 受け取っていた水を飲んでいた凜さんの顔が、少し曇ります。

 

「そう? 私は……」

 

 凜さんは何かを言おうとして、口を噤みました。

 

 そして()()()()()に戻ると、私に言いました。

 

「えっと、心配かけてごめんね! 迷惑かけたから、これから挽回するね! さあ、さっそく巴さんを落ち着かせないと!」

 

 凜さんはそう言うと、あろうことかベッドから立ち上がろうとします。

 

「え、ちょっと待ってください! 今目覚めたばっかりで……」

 

 私の制止も聞かずに立ち上がった凜さんでしたが、1、2歩歩いた程度で、足下がおぼつかなくなっていました。

 

「無理ですよ、凜さん!」

「大丈夫だから!」

 

 それでも行こうとする凜さんの手を必死に引っ張って、ほぼ投げるような形でベッドに戻します。

 

「何するのまばゆ!」

「それはこっちのセリフです!」

 

 私の大声に驚いたようで、凜さんは抵抗を止めます。

 

「凜さん……。どうして私たちには喋ってくれないんですか? 辛いこと、苦しいことがあるなら話してください」

「そんなものない」

「ないわけないでしょう。美樹さんから聞きました。昨日の凜さん、どこか無茶しているみたいだって。私だって見てきましたよ、そんな凜さんの表情。昨日、巴さんとの戦いで負けたのも、それが関係しているんじゃないですか?」

 

 凜さんの瞳がわずかに揺れる。

 

「魔法少女の魔力は精神と直結しています。凜さんが辛いものを抱えた状態だと、万全の状態で戦えないんですよ?」

「それは……、ごめん。けど、まばゆに話すことなんて……」

「話してください。私に関係なくても、聞かせてください。凜さんの辛さも苦しさも、私が一緒に背負います」

「だからダメなんだよ……」

「え?」

 

 ボソリと凜さんが呟いた言葉。

 それを私が問いただす前に、凜さんはそっぽを向いてしまいます。

 

「まばゆが心配してくれてるのは分かったから。とりあえず、今は一人にしてくれないかな?」

 

 そう言う凜さん。私は、一言問いかけました。

 

「本当に喋ってくれないんですか?」

「うん」

「ならこっちから話します。ある程度、予想はついていますから。恐らく、前のみかづき荘のことでしょう?」

 

 凜さんはこちらを向いてはくれません。

 

「メルさんが亡くなったこと。チームが解散したこと。鶴乃さんと、別れたこと」

「っ!?」

 

 凜さんがこちらを向きます。

 

「どうしてそのこと……!?」

「鶴乃さんから直接聞きました。ついでに、時間遡行一日目の答えも」

 

 凜さんが私たちに出した質問、『私が師匠と交わした一番大事な約束は?』の答え。それは……。

 

「『絶対に自分を粗末に扱わないこと。辛かったら、苦しかったら、誰かを頼ること』ですよね?」

 

 凜さんはバツが悪そうに顔を背けて、言いました。

 

「……正解」

 

 私は凜さんに問いかけます。

 

「大事な約束だって、自分で言ってるじゃないですか。それなのに、破るんですか?」

「……」

「鶴乃さんとの約束は、所詮その程度の軽いモノだったんですか?」

 

 その私の問いかけに、凜さんは目を見開いて、こちらに掴みかかる勢いで怒鳴ります。

 

「そんな訳ないでしょ!! 鶴乃先輩への想いがそんな軽いわけない! 私にとって……、あの日々は……!」

「それを待ってたんです」

 

 その瞬間、私は凜さんの両肩を掴みました。

 

「っ!? まばゆ、何をっ……!」

「ごめんなさい……」

 

 私は凜さんの瞳を覗き込みます。

 

 

 

 

 

 私はみたまさんの言っていたことが、ようやく分かりました。

 

 凜さんは優しい人です。それこそ、優しすぎる。

 優しすぎるから、誰かに自分の苦しみを背負わせない。他人を不安にさせる要素を見せない。

 

 だから、正面から向き合っても、ケンカにしかならないんです。

 

 

 じゃあ、どうすればいいか。

 

 

 私にはこれがずっと分かりませんでした。

 いや、正確にいえば最初に選択肢から外していたんです。

 

 だってその方法は、人と向き合うことを避けて不戦勝を得る、卑怯なやり方(チート)ですから。

 

 

 けど、凜さんにはそれが最適解だったんです。

 

 

 みたまさんが調整屋だから、心を開いてくれたというのは……。

 

 

 調整の際に、半ば強制的に凜さんの過去を、凜さんの記憶を覗き見てしまうことで、凜さんが自身の心を隠す必要が無くなるから。

 

 

 そして、みたまさん以外で魔法をそのように使えるのは……。

 

 

「失礼します……!」

 

 

 

 私だけです。

 

 

 

 

 

 私は凜さんと瞳を合わせ、魔法を発動。

 

 

 

 

 彼女の記憶(フィルム)に、触れました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、新年明けましておめでとうございます。

本年も作品共々、よろしくお願いいたします。


私事ではありますが、
当初、この小説がここまで長期連載になるとは思っていませんでした。
ですが、書きたいものを詰めていったらこんな長さになってしまいました。

それでも、多くの人がこの小説を読んでくださり、連載を追ってくださいました。
沢山のお気に入り登録、高評価、ありがとうございます。

物語もようやく佳境に差しかかりました。
なので、気の向いた方はもうしばらくお付き合いいただければ幸いです。

なんとか、なんとかまどドラの配信までには一区切りつけたい、なあ……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。