魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得   作:くろしゅー

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(まどドラのリリース日が待ちきれないので)初投稿です。

追記
3月27日に決まりましたね。バカな、早すぎる……。
なんてことだ、もう助からないゾ。



Record3 DAY.17

 

 

 

 リベンジマッチな実況、はーじまーるよー。

 

 

 前回はユリちゃんが大怪我して、まばゆちゃんが介抱してくれたところまでした。

 

 そしてその流れで、ようやくユリちゃんの魔法少女ストーリーをまばゆちゃんがクリアしてくれたことで、精神デバフも解除。

 

 これでようやく、マミさんと戦えるようになりました。

 いやー、長かった。チカレタ……。

 

 

 なんだか、実況するのがとても久しぶりな気がしますが、気のせいでしょう。

 

 

 それでは、イクゾー! デッデッデデデデ!(カーン)

 

 

 

 

 

 

 DAY.17

 

 

 

 さあ、画面は早速マミさんと対峙しているところから。

 

 ここまでに何があったかは、前回までの動画を見てください。

 

 単純に言えば、マミさんにボコられたユリちゃんがメンタルブレイクして、それを放っておけないまばゆちゃんによって、ユリちゃんのメンタルケアが終了しました。

 

 そして先ほど言った通り、ユリちゃんの魔法少女ストーリーも完了したので、精神デバフも解除。

 さらには魔法少女ストーリーをクリアしたことで、以前ちょこっとだけお話したクリア報酬も、ゲットだ!

 

 あ、ほら、画面端に称号『最高到達点』を獲得したことが表示されました。これこそ、そのクリア報酬をゲットした証拠です。

 

 

 では、早速クリア報酬のお披露目とイキましょうか。

 ドッペルの代わりの力、見たけりゃ見せてやるよ!

 

 

 

「お、おまえ、それ……」

「ゆ、夕凪さん? な、なんなの……? 何なの、その姿!?」

 

 

 

 ふふふ、杏子ちゃんもマミさんも驚いていますね。

 

 

 

 それもそうでしょう。

 なにせ、ユリちゃんの魔法少女衣装が変わったのですから。

 

 

 

 これこそ、自動浄化システムのない世界線でまほストをクリアした報酬、強化形態『ver. Final』です!

 

 

 これは、外伝作品『たると☆マギカ』などで見られた、魔法少女の姿が変化し強くなる形態を指します。

 

 ちなみにこれに該当する形態を用意されているのは、ネームドだとまどか(アルティメット)、いろは(∞)、タルト、織莉子などの外伝も含めた主人公たちだけです。

 中にはこのゲームで書き下ろされたキャラもいたりとか。

 

 と、そんな話などどうでもよく。大事なのは、ネームドの該当キャラだとこれだけ、ということです。

 そう、実はオリジナルキャラの場合、パワーバランスを考えてか、この強化フォームが全キャラに適応されます。

 

 この強化フォーム、実はスペックの上がり幅も凄まじいものとなっております。タルトと織莉子のフォームを見れば一目瞭然ですが、このパワーアップはワルプルギス戦には必須です。

 

 なので、オリジナルキャラで攻略する必要があったんですね。(メガトン構文)

 

 強化フォームは激アツ。古事記にも書かれてる。

 

 

 

 さらにこの強化に当たって、もう一つオマケが付いてきます。

 

 

 あ、今ちょうど『ver. Final』のチュートリアルが画面に表示されましたね。

 

 この強化では、魔法少女としての限界を破ったことで、今まで調整屋でしか獲得できなかったスキルも、一部自力習得が可能となります。

 

 では今まで溜めてきたポイントを使って、さっそくスキルを獲得していきましょう。

 まずは『クイックステップ』。これはマストです。それともう一つ。この『捌き』という近接武器専用のスキル。これが対マミさんで必須です。

 効果は、ガードしている間は飛び道具攻撃を自動防御してくれるというもの。ガー不可攻撃以外は弾いてくれますので、これで一々手入力で防御しなくても良くなりました。ガード中も移動速度は下がらないのも強いです。

 

 あとは、魔法の使用速度を最大強化したら、スキル振りは終了。

 

 

 

 それでは、ついにマミさんとの再戦です。

 

 

 

 見せてもらおうか。魔法少女の限界を超えた、性能とやらを。(赤い彗星並感)

 

 

 

 

 

 

 

 ということで戦闘開始です。

 

 前回の戦闘でもお話しましたが、マミさんは基本的に相手との距離を保ちつつマスケット銃で攻撃してくる遠距離タイプ。

 それに対し、ユリちゃんは双刃刀という近接タイプ。なので、永遠に引き撃ちを繰り返されたら、それだけで負けてしまいます。

 

 そのため、マミさん戦で最も重要になるのは、絶対にマミさんから距離を取らないことです。アニレコで杏子ちゃんも言ってましたが、離れたらデカいのが飛んできます。

 

 

 というわけで、まずは距離を詰めましょう。

 Finalバージョンになったことで上がったスピードで一気に距離を詰めます。銃撃は防げるので、真っ正面から。

 

 

 ホラホラホラホラ!

 

 

「っ!? 銃弾を……!」

 

 カスが効かねえんだよ!(無敵)

 

 よし、ここまでくれば!

 クイックステップで近づいて、強攻撃!

 

「がっ!?」

 

 

 Foo^~、気持ちぃ……。

 

 

 咄嗟に銃でガードしたみたいですが、それでもこの削りよう。というか、団地の建物の壁3枚くらいぶち抜いて吹っ飛んでいきましたね。

 はえー、すっごい(威力)……。

 

 ですが、この程度で手は止めません。

 すぐに追いかけましょう。

 

 

 

 っ!? おっぶえ!

 

 瓦礫ぶち抜いてティロ・フィナーレが飛んできました。あ、ちなみにあれはパリィ以外ガー不可なので注意。さすがに今のタイミングはパリィ難しかったです。

 

 え? そもそも砲弾のパリィなんてできるのかって? 仕様で出来るようになってんだから出来るんでしょ。(鼻ほじ)

 

 

 おっと、今の奇襲も防がれてマミさんは距離を取ろうとしていますが、逃がすわけないんだよなぁ。

 

 

 あっ! ビルの上にリボンで逃げやがったな!

 

 ならこっちも、武器をマミさんの着地地点に投げてやりましょう。

 

「くっ!」

 

 避けられました。

 ですが、問題ありません。屋上の外壁を崩せれば、追いつけます。

 

 

 落ちてきた瓦礫に乗って、ここで固有魔法発動!

 

 瓦礫の時間が巻き戻ることで、瓦礫がエレベーターのようになって、屋上までユリちゃんを運んでくれます。

 

 

 よし、追いついた!

 

 マミさんが再びマスケット銃を展開。軽く30を超える数ですが、スキルを信じて突っ込みます。

 迷えば、敗れる……。(ASNISSN並感)

 

 

 よし、前回辛酸を嘗めさせられた銃弾の雨を捌ききり、この至近距離の銃撃を、フレーム回避!

 

 くらえ、魔法少女キック!

 

 

 

 ユリちゃんの魔法少女脚力で、面白いくらい吹っ飛んでいくマミさん。そして、それを弾丸のような速度で追うユリちゃん。

 もはや戦闘が別ゲー化してきました。

 

 しかもこれでも、マミさんのほうも普通に戦闘続行が可能なのだから恐ろしい。見滝原最強の名は伊達じゃない!

 

 

 

 さて、散々銃弾を弾いていると、マミさんの戦闘パターンも変化します。

 

 今までは引き撃ちで戦ってきましたが、ユリちゃんにそれが通用しないと分かると、今度は近接戦を仕掛けてきます。

 

 銃を使うマミさんが近接戦闘なんて、不利になるだけじゃない? とお思いの視聴者兄貴もいるかと思いますが、全くそんなことありません。

 

『叛逆の物語』を見てもらえれば分かりますが、マミさんは普通にガン=カタ出来ます。なんなら、同時にマスケット銃をファンネルのように周囲に展開して、それとの挟み撃ちで攻撃してきます。

 

 つまり、マミさんの本領はここからです。

 

 

 ここからが地獄だぞ!(HTHWY並感)

 

 

 

 

 さあ、こっちの読み通り、周囲に銃が浮いた状態でマミさんが突っ込んできました。

 

 

 まずは、牽制の銃撃を捌いて攻撃が届く範囲まで接近します。

 

 

 そしたら、あとは相手のモーションを見つつ、攻撃を挟むだけです。

 

 

 おっと、この攻撃は横からファンネル銃の援護が来るので、クイックステップで回避。この攻撃を捌きで受けて、これはパリィ。

 

 っと、危ない! せっかくのチャンスでしたが、先にマスケット銃を展開されたため、ここは回避優先。

 

 体勢を立て直したマミさんは、先ほどより手数を増やしてきます。が、無駄無駄無駄無駄ァ!!

 

 いくらやろうと、捌きがあるユリちゃんの防御など崩せん。前とは違うのだよ、前とは。

 

 

 アッ!(スタッカート)

 

 

 しまった! リボンで武器奪われた!

 

 

 

 って、そんなことで怯むと思うかぁー!

 

 もちろん俺ら(一人)は抵抗するで、拳で!

 

 

 オラァ!!

 

 

 

 ……わーお。

 拳の一撃で、コンクリの壁に蜘蛛の巣状のデカいヒビが……。

 

 なあにこれ?

 

 これじゃあ魔法少女じゃなくて、魔法ゴリラだよ……。

 

 

 

 という冗談はさておき。

 実はここからは拳で戦うのもアリとなります。

 

 

 というのも……。

 

「さすがね! でも、これでも捌ききれるかしら!?」

 

 と、マミさんが大量に銃を召喚してきました。

 

 

 

 普通ならガン逃げか防御のどちらかですが、ユリちゃんにはこれを撃墜してもらいます。

 

 

 墜ちろ!

 

「なっ!? 銃がリボンに……!」

 

 墜ちたな。(確信)

 

 そう。

 マミさんは銃を召喚しているわけではなく、魔法で生みだしたリボンを銃の形にしているだけ。

 そして、ユリちゃんの固有魔法は『巻き戻し』。

 

 後はもう、分かるね?

 

 

「くっ! また……!」

 

 

 ユリちゃんの固有魔法で、マミさんのマスケット銃をリボンに戻してやればいいのです。

 

 ユリちゃんの固有魔法の性能上、魔法を使っているときはこちらがリボンの操作の主導権を握れます。

 なので、ユリちゃんが拳で殴れば、銃も元のリボンに戻してバラバラにできるんですね。

 

 

 いくらマミさんでも、一々戻されたリボンを銃に戻してはいられません。一から作るのと再構築するのでは、割く時間も脳のリソースも違いますからね。

 

 

 あと、この戦法を応用すれば……。

 

 

「がふっ!?」

 

 お分かりいただけだろうか。(心霊番組ナレーター)

 

 マミさんは持っていた銃でユリちゃんの拳をガードしました。しかし、その銃をリボンに戻されてしまったため、ユリちゃんの拳はそのまま貫通。攻撃がヒットしたわけです。

 

 

 ただまあ、このガード貫通は何回もやると戻されたリボンでこちらの腕を拘束してくるので、多用はしないように。

 

 

 

 それでは、この調子でマミさんをボコっていきましょう。

 

 ある程度まで体力を削って膝を突かせられれば、この戦闘は終了です。

 

 

 

 この前はよくもボコってくれたな。もう許さねえからな?

 

 

 

 

 

 魔法少女圧倒中……

 

 

 

 

 

 というわけで、マミさんの体力さらに削ると、また新しい戦闘パターンを展開してきます。

 

 それは……。

 

 

 

 

 これでもくらえ!

 

 ユリちゃんの一撃で首がはね飛ぶマミさん。

 

 

 ファッ!? マミさんをマミらせてるやん! 何してんの?

 

 ……みたいな声が聞こえてきそうですが、実は違います。

 

 

 

 

 

 なんと、後ろからもう一人のマミさんが!

 

 

 アイエエエエ!? マミ=サン! マミ=サン、ナンデ!?

 

 

 といったように、『叛逆の物語』でやったような、リボンによる分身をマミさんが使ってくるようになります。

 

 

 ほい、フレーム回避。

 

「なんで避けられるのよ!?」

 

 

 練習したからに決まってるんだよなぁ。(15敗)

 

 

 ちなみにこの多重影分身を使いだしてからが、マジで強くなります。

 

 単純に攻め手が増えるだけではないんです。この分身体を撃破すると、最後にバラバラになったリボンがこちらを拘束しようとしてきます。これを避けられないと、大ダメージ確定です。(6敗)

 クソが。(悪態糞土方)

 

 

 しかも、分身はリボンで生み出せるので、倒しても倒してもマミさんの魔力の限り、無尽蔵に湧いてきます。

 

 ああ^~、気が狂う^~。

 

 

 なので、分身は極力無視でマミさん本体を狙いましょう。ただし、ちゃんと分身の動きも追えるように、分身も同じ画面には入れるようにしましょう。

 動きを追っていないと、マミさんを追い詰めることが出来ても、後ろからティロ・フィナーレを打ち込まれたりします。

 

 

 

 このように、MAV戦術(一人)で戦ってくるようになるマミさん。

 とはいえ、分身はユリちゃんが殴れば分解できるので、どうしても邪魔なら拳でしばき倒して進みましょう。

 

 

 オラ、食らえ!

 

「くっ! どうして!? どうしてそこまで戦えるの!?」

 

 チャートのためなんだから、当たり前だよなぁ?

 

 

 おっと、またマミさんが引き撃ちをしてきそうなので、こちらも新技で対抗させてもらいましょう。

 

 くらえ、月牙○衝!

 

 と、ユリちゃんの魔力も強化されたことにより、双刃刀から三日月形の魔力光波を飛ばせるようになりました。

 

 これである程度、遠距離相手にも戦えます。

 

 

 なお火力のほどは……、ナオキです。

 

 

 

 

 あと、先ほどからちょくちょく会話が挟まっていますが、これは自動で進みますので、今回は選択肢を選ぶ必要はありません。

 この戦闘に入った時点で、説得のほうは上手くいくルートですので、後は戦いに勝つだけです。

 

 これも全て、ユリちゃんが寝ている間に準備を済ませてくれたまばゆちゃんとほむらちゃんのおかげですね。

 

 彼女たちのおかげで、ユリちゃんが何かしなくてもマミさん説得イベントを起こせました。

 やっぱ、まばほむの起こす奇跡を、最高やな!

 

 

 ちなみに、この化け物じみたマミさん戦の難易度を下げてくれているのも、実はまばゆちゃんです。

 

 というのもこの戦闘、まばゆちゃんがいないと、先ほど紹介したものの他に、マミさんがこの団地跡地に張り巡らした罠がそこかしこにあります。

 

 それに引っかかってしまうと、拘束されたり、銃で攻撃されたりと、超ストレスの溜まる仕様となります。

 

 今、必死にまばゆちゃんがそのトラップを無効化してくれているので何とかなっていますが、まばゆちゃんいなかったら圧倒できません。

 

 これって、勲章ですよ……。

 

 

 

 というわけで、あとはこの本気モードのマミさんを倒せば、万事解決です。

 

 

 エンジン全開!

 

 

 

 

 

 魔法少女奮闘中……。

 

 

 

 

 

 よし! ここまで削れば、あとはマギアで……!

 

 

 苦し紛れに分身2体出してきましたが、もう遅い!

 

 

 まずはこの分身を、ユリちゃんのマギア『炎雷斬舞』で一気に倒す。

 

 

 Foo^~、気持ちぃ~。

 

 

 今までのユリちゃんの超マギアが普通のマギアになっているところに、パワーアップを感じますね。

 

 

 あとはガラ空きになったマミさん目掛けて、超マギア発動!

 

 

 くらえ! 『リベリオーネ・デスティーノ』!!!

 

 

 

 

 

 決まったああああああああ!!

 

 

 

 

「そ、んな……」

 

 

 マミさんが膝を突いたことで、ようやく戦闘、およびこのイベント終了です。

 

 

 

 

 ぬわああん疲れたもおおおおおおん!

 

 

 やっと終わった……。

 いやー、最終的に何とかなりましたが、マジでヒヤヒヤしました。

 

 

 急なチャート変更は、止めようね!(警鐘)

 

 

 

 ということで、戦闘画面からムービーに突入し、マミさん説得シーンが流れて、この日は終了となります。

 

 やっと、次に進めるよ……。何回分になってるんでしょうね、これ。

 

 

 というわけで、今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.17 Side MA

 

 

 

「じゃ、杏子ちゃんは下がってて」

 

 巴さんと向き合い、武器を構えた凜さんはそう言いました。

 

「は? 無茶だ、マミとサシでやるなんて! アタシも援護を……」

「その傷じゃ動くのも辛いでしょ? それに一対一のほうが、私もやりやすいし」

 

 佐倉さんはまだ納得しきれていないようでしたが……。

 

「分かったよ……。その代わり、どうなっても知らねえからな?」

「安心して。誰も死なないよ。杏子ちゃんが守ってくれた命だから」

「……ほっとけ」

 

 そう言って、佐倉さんは後ろに下がりました。

 

「ありがとう、杏子ちゃん。色々と」

「感謝すんな。これは貸しだ」

「結構。ラーメンでいい?」

「はっ! 上等」

 

 佐倉さんが下がったことを確認した凜さんは、巴さんに向き合います。

 

 

「さてと、待たせたね巴さん。それじゃあ、やろうか」

 

 

 

 

 

 

 

 そうして始まった凜さんと巴さんの戦いですが……。

 

 

「はあっ!」

 

 

 巴さんの銃撃を難なく捌いていく凜さん。

 凜さんは巴さんに距離を取られないよう、常に巴さんにピッタリと付いて、巴さんを圧倒していました。

 

 決して巴さんは接近戦が弱いわけではありません。私に稽古をつけてくれたときも、巴さんは銃を一切撃つことなく、私をあしらっていたのですから。

 

「おっと! 甘いよ!」

「きゃあ!」

 

 双刃刀の一撃で、巴さんを吹き飛ばす凜さん。

 

 ガードをしたにも拘らず、人をあそこまで吹き飛ばせるのは、凜さんの強さをこれでもかと表していました。

 

(凜さんのソウルジェム、以前と少し色が違う。前はもっと暗い色だった……)

 

 けれど、今は綺麗な桜色です。

 

(つまり、私たちと会った時点で、凜さんのソウルジェムはずっと濁った状態だった……?)

 

 

 もしそうなら、今までの凜さんはロクに魔力も使えない状態で戦っていたということになります。それが無くなったのだとしたら……。

 

(この強さも納得ですね……。ソウルジェムが魂である以上、それに変化があったのだとしたら、姿とソウルジェムの変化に関連はあるはず。)

 

 濁っていた故に、今まで発揮されることのなかった凜さんの潜在能力が引き出されたのが、あの姿ということなのでしょう。

 

 大切な皆を守りたいと思って、特訓と調整を繰り返してきた凜さんの魂は、きっとマミさんにだって届くはず。

 

 

 

「くっ!」

 

 凜さんの猛攻に、巴さんはたまらずリボンで建物の上に逃げます。

 

 しかし、それを逃がす凜さんではなく。

 

「逃がさないよ!」

 

 巴さんが着地しようとしている屋上のへりに、武器を投げつけました。

 それに対し、巴さんは着地点を僅かにずらして回避します。

 

 避けられた、と私が思ったときには、凜さんはすでに次の行動に出ていました。

 

 

 武器が当たって崩れた屋上の瓦礫に飛び乗ると同時。凜さんは瓦礫に魔法を使いました。

 

 すると、瓦礫はまるで逆再生のように、屋上へと戻っていきます。

 

 凜さんはその瓦礫をエレベーター代わりに使って、一気に屋上へ到達。体勢を立て直したばかりの巴さんに僅か二歩で近づき、蹴りの一撃で巴さんをサッカーボールの如くぶっ飛ばしました。

 

「ええ……」

 

 凜さんは凜さんで、弾丸のような速度で飛んでいった巴さんを追いかけます。

 

 二人の戦いはまさに異次元。私がちょっと引いてしまうほどに。

 

 同じ魔法少女である私から見ても、二人が同じ魔法少女だとは信じられません。

 

 

 

 かくいう私は何をしているかというと、巴さんが設置した罠を破壊して回っています。

 

 凜さんの読み通り、巴さんは私たちが来る前にいくつものトラップを設置していました。

 

 ただ、私の武器はハサミなので、リボンで作られたトラップを簡単に破壊できます。姿を消すことができるのも、私が気づかれずに行動できている要因ではあります。

 

(ここまで見越していたんでしょうね。凜さんのことですから……)

 

 

 凜さんの動きには一切の迷いがありません。

 見ようによっては被弾も厭わないような攻めですが……。

 

(私のことを信じてくれているんですよね。私がこのトラップを破壊してくれているのを……)

 

 

 実際、仕掛けたトラップが発動せず、巴さんが隙を晒すような場面が何度かありました。

 

 恐らく、巴さんに私の存在は気づかれているとは思いますが、それでも透明な私を見つけるのは至難のはず。例え魔力探知で見つけようとしても、凜さんがその隙を与えるとは思えません。

 

(お願いです、凜さん……)

 

 

 私はまた1つのトラップを破壊しながら、心の中で祈りました。

 

(マミさんを、止めてください……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.17 Side TY

 

 

 

 

「ちゃあああああ!!」

 

 

 私は両手に持った扇子を同時に薙ぐ。

 

 それをモロに顔面に受けた、落書きのような姿の大きな魔女が転倒する。

 

 そこへ、後ろから古いパソコンのようなハコから鳥の翼でも生やしたような魔女が私に突撃してくる。

 

「危ない!」

 

 下にいる青髪の子が心配してくれるけど、問題ない。

 

「大丈夫! そんな奇襲、最強の私には通じない!」

 

 

 振り返る勢いを利用した回し蹴りで、魔女を結界の壁まで吹っ飛ばす。

 

 

 着地と同時に地面を蹴り、壁にめり込んだ魔女に追撃を仕掛ける。

 

「くらえーーー!」

 

 私の振り下ろした扇子は、しかし魔女に当たることはなく、寸前で壁から抜けられたことで避けられてしまう。

 

 だが、それごときでは動じない。

 

 凜にも教えた最強の戦い方、その3。

 

「一撃で終わりだと思ったら、大間違い!」

 

 私は扇子をブーメランのように魔女に投げつける。

 炎を纏ったそれは、まっすぐに魔女へと飛び、その翼に傷をつける。

 

 羽根に攻撃を受けた魔女は落下する。

 

 

 そこへ更に攻撃を仕掛けようとして、後ろからの殺気に気づく。

 

 私は咄嗟に横へと転がれば、次の瞬間、私が立っていた場所に拳が振り下ろされていた。

 

(さっきのヤツ! もう立ち上がったか……!)

 

 

 落書きの魔女が私を見下ろしていた。

 魔女は、今度は足を持ち上げ、私を踏み潰そうとその足裏を落としてくる。

 

「うわっ! あっぶなー……!」

 

 私は武器を生成し、走り出す。

 

 狙いは魔女の足。人のフォルムに近いこの魔女なら、体勢を崩すポイントも人と同じはず。

 

 

 そう考えた私は、素早く魔女の裏に回り込み、関節部分を狙って攻撃を繰り返す。

 

 すると、魔女は私の予想通り、バランスを崩し、再度転倒する。

 

(よし、このまま……!)

 

 

 魔女を二体相手しているのだ。どっちか片方を先に倒さないと、こちらがジリ貧になってしまう。

 

 そうして、魔女へと追撃をかけようとした私の耳に飛び込んできたのは、この結界に迷い込んでいた女の子たちの悲鳴だった。

 

「きゃあ!」

「うわああ! こっちくんなー!」

 

 そちらに視線を向ければ、使い魔に取り囲まれる彼女たち。

 

(しまった! さっき倒したやつらの他にもまだ!)

 

「二人とも伏せて!!」

 

 私はそう叫ぶと同時に、彼女たちに向かって走り出す。

 

 困惑しながらも指示に従ってくれた彼女たちに感謝しつつ、私は扇子に魔力を込める。

 

「炎扇……!」

 

 彼女たちの横に着くと同時に、足でブレーキをかけ、殺しきれない慣性を利用して回転をし、扇子を振り抜く。

 

「斬舞!」

 

 放たれた斬撃と炎は、周りの使い魔たちを塵に変える。

 

 

 間に合った事に、ふぅ、と安堵の息を吐いた時だった。

 目の端に、何か光るものが映った気がした。

 

 次の瞬間、飛んでくるレーザービーム。

 

 咄嗟に扇子でガードするも、衝撃までは防ぎきれず、私は壁に叩きつけられる。

 

「あうっ!」

 

「ああ!?」

「鶴乃さん!」

 

(イタタ……。今のは……)

 

 私がレーザーの飛んできた方向を見れば、そこにいたのはハコの魔女。

 

 どうやら、あのディスプレイのような顔から放ってきたらしい。

 

 再度、顔が光る。

 

「マズい!」

 

 

 私はすぐさま横に飛ぶ。

 

 すると、レーザーは壁に着弾。壁を見るも無惨なオブジェに変えた。

 

(直撃したらマズいな……。けど、使い魔のことも考えると……!)

 

 

 二人から離れるのはあまりしたくない。けど、離れないと決め手に欠けてしまう。

 

 

(こうなったら……!)

 

 

 私は覚悟を決め、二人に声をかける。

 

「二人とも! 絶対にそこを動かないって約束できる!?」

 

 私の問いに、二人は不安そうにしながらも頷いてくれる。

 

「ありがとう!」

「あの! 何するつもりですか……?」

 

 ピンク髪の子が聞いてくる。

 まあ確かに不安だろう。魔女を二体相手して、今も情けない姿を見せてしまったところだ。

 

 でも。

 

「大丈夫! 私を信じて!」

 

 私はその子に笑顔で答える。

 

 私は魔法で火を起こし、彼女たちの周りを取り囲ませる。

 

「うわわっ」

「ちょっと熱いけど、少しだけ我慢してね。それなら、使い魔程度は入ってこれないから」

 

 これで多少の時間は稼げる。

 作戦は至ってシンプル。これで二人を守っている間に一気に勝負を決めるだけだ。出たとこ勝負にはなるが、私の場合は大抵何とかなる。

 

 

 だって、私は運が良いから。

 

 

 やちよや皆と出会えて、チームで一緒に戦って。

 

 凜という可愛い後輩に会えて。私のことを師匠って慕ってくれる子と知り合えたんだもの。

 

 今回だって、何とかなる。何とかする。

 

 だって……!

 

「全員生きて、ここを出るよ!」

 

 私はししょーに教わった構えをしながら、そう宣言する。

 

 

 

 それがあの子の願いだもの!

 

 

 

 私は勢いよく地面を蹴って、魔女二体へ突っ込む。

 

 

 ハコの魔女はレーザーを、落書きの魔女はクレヨンやらの小物を私に向かって放ってくる。

 

 

 それを直感だけで避けていく。

 

 こういうときは頭で考えたほうが、動きが悪くなる。凜にも教えた、私なりの最強の戦い方。

 

 

 そうして、魔女二体の弾幕をすり抜け、魔女のすぐそばまで接近する。

 

 

「ちゃらあああああああ!!」

 

 体当たりしてくるハコの魔女を扇子で殴りつけ、地面に転がす。

 

 その隙に、落書きの魔女は拳を振り下ろしてくる。

 

 それをギリギリで避け、逆にその腕を踏み台にして、大きく跳躍する。

 

 扇子をキツく握りしめ、ありったけの力と魔力を込める。

 

「これが私の……、全身全霊だぁーーーーーー!!!」

 

 

 そうして放った幾太刀もの斬撃は、落書きの魔女にいくつもの太刀筋を残す。

 

 落書きの魔女は、その太刀筋から生まれた炎に包まれ、その形を崩していった。

 

 

 

 

 

 私は地面に着地すると、すぐにハコの魔女のほうに向き直る。

 

 

 が、ハコの魔女がいない。

 

「あれ!?」

 

 

 周りを見れば、ハコの魔女は一目散に逃げていた。

 

 

「待てー! 逃がさないよー!」

 

 

 とはいえ、それなりに距離を離されてしまった。

 

(くっ! 届くか!?)

 

 

 私がもう一撃を放つため、扇子を構えた時だった。

 

 

 

「旋風鎌鼬!」

 

 

 

 その声と共にやって来た一撃が、ハコの魔女を屠ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.17 Side MA

 

 

 

 巴さんと凜さんの戦いは、凜さんが優勢で進んでいました。

 

 接近戦で戦っていた巴さんですが……。

 

「なっ!? 銃がリボンに……」

「へへっ。魔法の使い方を極めたのは、巴さんだけじゃない!」

 

 

 巴さんの生み出す銃を、凜さんは魔法で元のリボンに戻していました。

 

 自身の魔法を使いこなすその姿からは、努力の跡が感じ取れました。決して、才能だけではありません。

 

 

 その後も、巴さんはリボンで自身の分身を作るといった戦法で、凜さんと互角に戦っていました。

 

(すごい……。あんな戦い方、私でも見たことない……)

 

 

 しかし、凜さんもそれに惑わされることなく、着実に巴さんを追い詰めていきます。

 

 

「はあっ!」

 

(あー! 分身マミさんの首が飛んだ! 分身と分かっていても、なんだか気分が良いものじゃありませんね……)

 

 

 

 お互いに一歩も引かない戦い。

 

 その熱はどんどん高まっていき……。

 

 

 ついに巴さんが口を開きました。

 

「どうして!? どうしてそこまで戦えるの!?」

「え!?」

「魔法少女は魔女になることを知っていたのでしょう!? それなら、誰かを助けたところで無駄じゃない! いずれ絶望を振りまく魔女になってしまうのなら、私たちは……!」

 

 巴さんの攻撃を避けた凜さんは、反撃しながら言います。

 

「死んだほうがいいって?」

「そうよ! どう抗ってもソウルジェムが魔女を生むなら、皆死ぬしかないじゃない! あなたも、私も!」

 

 その言葉と同時に放たれた二発の砲弾。それを凜さんは、双刃刀で軌道をずらして防ぎきります。

 

「そんなことない! 魔法少女が死ぬ必要も、それを巴さんがやる必要もない!」

 

 凜さんの反論に、巴さんは声を荒げます。

 

「違う! 私はやらなければいけないの! 私は、何人もの子を、魔法少女にしてしまった……! 寂しいという私の自分勝手な思いで、絶望の道へと引きずり込んでしまった! その責任を、私は取らないと……!」

 

 巴さんの悲痛な声に呼応するかのように、生み出された多量の銃が火を吹きます。

 

 

 凜さんは双刃刀をプロペラのように回転させ、銃弾を防ぎます。

 

 それを目眩ましにした巴さんが横から攻撃を仕掛けますが、凜さんはそれをギリギリで避けて掌底をお腹に叩き込みます。

 

「いいや、違うね!」

 

 凜さんはそのまま、巴さんを10メートルほど飛ばすと、武器を構えなおしながら続けます。

 

「寂しいって気持ちは、自分勝手なんかじゃないよ。それは誰もが持ってるもの。まばゆも、ほむらも、やちよ先輩も、私だって。孤独を感じたくないのは、誰だって同じ」

 

 凜さんは一歩一歩、巴さんに近づいていきます。

 

「魔法少女の道へと誘ってしまった罪悪感は分かるよ。でも、それを巴さんだけが抱え込む必要があるの?」

 

 後ろから巴さんの分身が凜さんに襲いかかりますが、凜さんは後ろ回し蹴りの一撃で、分身を分解。

 巴さんも同時に仕掛けますが、凜さんはまるで後ろも見えているように、巴さんの持っている銃を掴み、リボンへと『巻き戻し』ます。

 

「巴さん。辛い気持ちは分かるよ。その孤独も、罪悪感も……」

「分かったようなこと言わないで!」

 

 巴さんは凜さんから飛び退いて、自身の周りに銃を再度生み出します。

 

「あなたに何が分かるの!? いつも人に囲まれていたあなたに!」

 

 巴さんの瞳には、涙が浮かんでいました。

 

「そうだよ。私に巴さんの心を正確に理解するなんて、できない」

 

 それに対し、凜さんはあっさりと返しました。

 

「だって私、神浜から来て1ヶ月も経ってない、巴さんにとっては部外者だし」

 

 凜さんは淡々と続けます。

 

「巴さんが私に心を許してないのは分かってたよ。それでも、協力してくれるならいいかって、巴さんに理解してもらうことも、巴さんを理解することもしなかった。私も、もうどうでも良かったから」

 

 

 でも、と凜さんは、巴さんの銃撃を避けて続けます。

 

「今は違う!」

 

 

 巴さんとの至近距離での攻防を繰り広げながら、凜さんは叫びました。

 

「私はもう一度生きてみたい! 希望はあるって証明したい! 誰かが辛い役割をしなくちゃいけないなんて、否定したい! もう誰も、私の前で悲しい思いをしてほしくない! だから、私はあなたを助けたい! そっちが自分勝手な行いの清算をするって言うなら、こっちは自分勝手なままであなたを止めてみせる!」

 

 そう言うと同時、凜さんは双刃刀を振り回し、周りに浮いていた銃を一気に破壊します。

 

「くっ! 助けるなんて軽々しく言わないで! 私のこと、何もわかっていないくせに!」

 

 巴さんの言葉に、凜さんは一切動じることなく、巴さんの攻め手を次々と潰していきます。

 

「そうだよ! 分からない! だってそれは巴さんだけのものだから! その苦しみも悲しみも、巴さんだけのもの! 一つとして同じもののない、巴さんだけの大切な感情!」

 

 巴さんが最後に持っていた銃も蹴りで分解し、凜さんは巴さんの懐に飛び込んでいきます。

 

「それを否定したりしないし、誰かに踏みつけもさせない! それが誰かを傷つけるなら私が受け止める! だから巴さん……」

 

 その言葉を聞いた巴さんの瞳が揺れたのを、私ははっきりと見ました。

 

 その隙を見て、凜さんは巴さんに一直線に進みます。

 

 巴さんは生み出した二体の分身を、凜さんに向かわせます。

 

 けれど、凜さんは巴さんだけを見つめたまま、双刃刀を構えると……。

 

「炎雷、斬舞!」

 

 

 凜さんの目にも留まらぬ瞬撃は、分身たちを一瞬で消し飛ばし、次の瞬間には、凜さんは巴さん自身に迫っていました。

 

「私たちの希望に、付き合ってもらうよ!!」

 

 凜さんの魔力を纏った一撃は巴さんを捉えました。

 

 

 

「そ、んな……」

 

 その言葉とともに、巴さんは膝を突き、凜さんの勝利で勝負は決しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 膝を突き、動けなくなった巴さんを見て、凜さんは武器をしまいました。

 

「はあ、はあ……」

「どう、巴さん? 少し落ち着いた?」

 

 凜さんは、巴さんにそう問いかけました。

 

「……なさい」

「え?」

「殺しなさい……。私のソウルジェムを砕けば、全て終わるわ……」

 

 凜さんの問いに、巴さんはそう答えました。

 凜さんは頭を掻いて、巴さんを見ました。

 

「だから、それをしないために私は戦ったんだよ」

 

 凜さんの言葉に、巴さんは目を見開いて反論します。

 

「なんで!? 私にこれ以上、生きろというの!?」

「逆に聞くけど、巴さんはこれ以上生きたくないの?」

「生きていたいに決まっているじゃない! けど、魔女になる恐怖が、誰かを傷つける存在になってしまう恐怖が、ずっと頭から離れないの! それなら、私はケジメをつけて死んだほうが、ずっとマシよ……」

 

 巴さんの言葉は震えていました。

 

 その震えは、巴さんの震える心をそのまま体現しているようでした。

 

 それでも、凜さんの答えは変わりませんでした。

 

「そっか。なら、余計死なせられない。生きたい気持ちを自覚できているなら、私はその気持ちを大切にしてあげたい」

「……本当に殺す気はないの?」

「もちろん」

 

 

 凜さんは迷いなく答えました。

 

 そう、と巴さんが呟いた瞬間でした。

 

「っ!?」

「それなら、私が殺すだけよ」

 

 凜さんの足下にめり込んでいた銃弾がリボンへと変化し、凜さんを拘束。それと同時に、巴さんは銃を生成し凜さんへと向け、引き金に指をかけました。

 

 

「凜さん!!」

 

 私は咄嗟に飛び出しますが、その瞬間、銃口が私に向きました。

 

(しまった! これは私をおびき出すための……)

 

 私がそれに気づいたときには、既に手遅れでした。

 

 

「さよなら」

 

 

 巴さんはそう呟くと同時に引き金を引き……。

 

 

 

 

 

 

 

「時女一心流! 旋風鎌鼬!」

 

 

 

 

 次の瞬間、銃身が真っ二つに切断されました。

 

「なっ!?」

 

 驚く巴さんに畳みかけるよう、もう一つの影が素早く近づきました。

 

「ちはる捕物帳! 神速の巻!」

 

 その掛け声とともに、十手とそれに繋がっている縄が巴さんを拘束しました。

 

 

「時女さんに……、広江さん……」

 

 巴さんは自身を拘束した人たちに目を向け、そう呟きました。

 

「ごめんなさい、巴さん。でも、これ以上あなたを放ってはおけないわ」

「その十手は私が操ってるから。抜け出そうとは思わないでね」

 

 時女さんと広江さんはそう言って、拘束した巴さんの前に立ちました。

 

 

 それでも、巴さんは諦めず近くのリボンを操作し、銃を作ろうとします。

 

 ですが。

 

「悪いけど、それもさせるわけにはいかないわ」

 

 時女はそう言うと、巴さんに手をかざしました。

 

 すると、巴さんは透明な壁のようなものに包まれました。それと同時に、巴さんが操っていたリボンも力なく地面に落下します。

 

「一体何を……」

「私の魔法よ。私の魔法は『阻止』の力。これであなたの動きを『阻止』させてもらったわ。リボンや罠の操作もできないはずよ」

 

 

 混乱する巴さんに、時女さんは説明します。

 その説明で、抗う術が無くなったと悟ったのか、巴さんは壁の中で力なく座り込みました。

 

 

 

 ようやく巴さんが止まったことで、私は胸を撫で下ろします。

 

(よかった……。そうだ、凜さん)

 

 私が凜さんの拘束を解こうとすると、既に凜さんのリボンは土岐さんによってほどかれていました。

 

「皆さん、ご無事でしたか?」

 

 土岐さんの問いかけに、凜さんは笑顔で頷く。

 

「助かったよ、皆。タイミングバッチリだったね」

「よかった~。ほむらちゃんに話を聞いて、急いで来たんだよぅ」

「はい。間に合ったようで何よりです」

 

 すると、時女さんが凜さんに近づいて、頭を下げました。

 

「ごめんなさい、夕凪さん。この前は勝手に出て行ってしまって」

「え、い、いいよ! 私、気にしてるわけじゃないし! こうしてまた来てくれただけで、嬉しいよ」

「そう。ありがとう」

 

 時女さんは少し安心したように笑いました。

 

 

「さて、それじゃあ巴さん。どうしてこんなことをしたか教えてくれる? 同じ魔法少女を襲うなんて……。この前会ったときからは考えられないわ」

 

 先ほどの雰囲気から変わり、真剣な表情で時女さんは尋ねます。

 

 

 対して巴さんは、俯きながらポツリと呟きました。

 

「魔法少女が、魔女になるからよ……」

「だから、魔女になる前に殺そうとした?」

 

 時女さんの「殺す」という単語に、巴さんは肩を震わせます。しかし、ゆっくりと頷きました。

 

「私は何人もの子を魔法少女の道に誘ってしまった……。その子たちも魔女になって、人々を襲っているなら……。私に取れる責任の方法はもう、これしか……」

「……そう」

 

 時女さんは壁越しに巴さんに近づくと、しゃがんで巴さんと目線を合わせました。

 

「巴さん。私はね、あなたに感謝してるのよ」

「感謝……?」

 

 困惑する巴さんに、時女さんは頷きます。

 

「ええ。集落以外の世界を知らない私にとって、外の巫、つまり魔法少女がどんな風に活動しているのかも知らなかった。もしかしたら、誰かのために戦っているは私たちだけなんじゃないかって思ったこともあったわ」

 

 でも、と、時女さんは微笑みました。

 

「巴さんと会って、話してみて。集落以外でも誰かのために戦っている魔法少女はいるんだって、とても安心したのを覚えているわ。私たちと同じ思いの人たちもいるって、心強く思ったの」

 

 

 

「ねえ巴さん。どうしてあなたは誰かのために戦おうと思ったの? どうして人々を守ろうと思ったの?」

 

 時女さんの質問に、巴さんは頭をより下げます。

 

「……魔法少女になりたての頃、救えなかった男の子がいたの。もう二度と、あんな犠牲を出したくなくて……」

 

 巴さんの告白。それは、巴さんの罪悪感の原点。

 

 私も知らない、巴さんの心の悲鳴でした。

 

「それで、たくさん特訓したわ。少しでも私の理想に近づきたくて。誰も死なせない、皆を助けられるような、そんな存在になりたくて。でも、それも無駄だった……。こんな結末なら、私は……」

「それは違うわ」

 

 時女さんは強い口調で、巴さんの言葉を遮ります。

 

「あなたの気持ちは間違っていない。誰かを助けたいという気持ちが間違っているはずない」

「けど、私もいずれは……」

「ええ。でも大丈夫」

「どうしてそう言えるの……?」

「私たちがいるからよ」

 

 え、と巴さんは顔を上げました。

 

「私はずっと考えていたのよ。これからの時女一族は、どう進んでいけばいいのか。私は外を知らない。だから、今回のことは良い機会だと思ったわ。外の魔法少女たちと交流すれば、答えが見つかる気がして」

 

 実際良い経験になったわ、と時女さんは言いました。

 

「そして、私は思ったのよ。過去の巫たちは魔女に対して、どんな思いで戦っていたのかって。魔女もかつては魔法少女だった。そんな彼女たちに対して、私たちのご先祖様はどう思っていたのかって」

 

 でも、と、時女さんは巴さんを見つめました。

 

「巴さんのおかげで、答えは見つかったわ。時女一族が魔女と戦い続けてきた理由は、日の本の人々を守るためだけじゃない。いつか希望を祈り、絶望に沈んだ魔法少女たちの魂を救うためでもあったと」

 

「魔女となった者が、それ以上大切なものを壊さなくてもいいように止めてあげるのが、時女の役割なんじゃないかって、私は思うわ。日の本に生きる魔法少女の最後の希望になってあげられるのが、時女の巫なんじゃないかって」

 

 そう語る時女さんの目は真っ直ぐで、とても強い目でした。

 嘘やハッタリじゃない、希望を掲げる時女さんの、覚悟の証明でした。

 

「だから巴さん、怖がらなくていいのよ。あなたには私たちがついている。不安なことがあったら、いつでも頼って」

 

 そう言って時女さんは、自身と巴さんを隔てていた壁を消しました。

 ですが、巴さんは誰かを攻撃しようとはせず、ただそこに座り込んだままでした。

 

「誰かのために戦ってきた巴さんの頑張りは、きっとたくさんの命を繋いできた。それなら、時女一族は巴さんの力になりたい。あなた一人で抱え込まなくてもいいように。誰かを傷つける可能性が怖いなら、それこそ時女一族の出番よ。あなたが守ろうとしたこの世界を、あなた自身に傷つけさせやしない。絶対に止めてみせる」

 

 時女さんはそっと近づくと、巴さんのソウルジェムにグリーフシードを当て、その穢れを浄化しました。

 

「だから、一人で先走らないで。あなたのやってきたことは無駄じゃない。無駄になんてさせない。時女一族の代表として、一人の魔法少女として、そしてあなたの友達として、約束させてくれないかしら?」

 

 時女さんがゆっくりと巴さんの手を握ります。

 

「時女さん……。私、私……!」

 

 巴さんの目から、一粒の涙が零れます。

 それを見た時女さんは、そっと巴さんの頭を撫でました。

 

「ええ。一人でよく頑張ったわ、巴さん。辛いときもあったでしょう。それでも、誰かのために動き続けてくれたこと、嬉しく思うわ。だから、これからは一緒に乗り越えていきましょう。私たちは、あなたと共にいるわ」

 

 時女さんの言葉に、巴さんは決壊したように泣き出しました。

 その涙を受け止めるように、時女さんは優しく彼女を抱きしめました。

 

 

 

 

 

「お疲れさま、まばゆ」

 

 時女さんと巴さんのやり取りを見ていた私の元に、そっと凜さんがやってきました。

 

「凜さん……。いえ、私はそんな役には……」

「十分だったよ。おかげで何度も巴さんの隙が作れた」

 

 頼ってよかった、と、凜さんは笑ってくれました。

 

「あの……!」

「うん?」

 

 私は、どうしても確認したくて、凜さんに尋ねました。

 

「巴さんの説得、最初からこうなることを予想して、時女さんたちに?」

「まあ、確証はなかったけどね。私は巴さんからの信頼を得られてなかった。なら、私がいくら話そうと思っても、きっと差し違えになってたと思う。だから、説得は時女さんたちに任せることにしたんだ。私が全員を寄り添えるわけじゃないって、気づかされたし。誰かに頼ってみるってことも」

 

 凜さんは微笑みました。

 安心したようなその顔に、私も自然と笑顔になります。

 

 

「まばゆ、凜」

 

 すると、後ろから声をかけられます。

 聞きなじみのある声に、私は振り返ります。

 

「暁美さん……」

「二人とも、よくやってくれたわ。巴マミを止められるなんて、私だけじゃできなかった」

 

 暁美さんのその言葉に、凜さんは首を横に振ります。

 

「ほむらが静香ちゃんたちを連れてきてくれたからだよ。だから、巴さんも止まれた。静香ちゃんたちを説得するのも簡単じゃなかっただろうに、ありがとう」

 

 凜さんの言葉にそっぽを向く暁美さん。

 褒められ慣れていない暁美さんらしいリアクションを微笑ましく思っていると、暁美さんは私を見て言いました。

 

「……それと、まばゆ。昨日は、その、ごめんなさい。やりすぎたわ」

 

 そう言って、謝罪する暁美さん。

 

「え? あ、いやいや! 暁美さんのおかげで何とかなったようなものですし、全然気にしてませんよ」

 

 すっかりケンカしたことを忘れていた私は、暁美さんの謝罪に焦ってしまいます。

 

 ですが、謝りたいのは私も同じ。

 

「私のほうこそ、ごめんなさい。昨日は言い過ぎました……」

「それこそ、謝ることじゃないわ。あなたの言ったことは間違ってなかった。私の視野が狭まってただけよ」

「いやでも……」

 

 二人して、自分が悪いと言う状況がなんだか可笑しくて、私たちはほとんど同時に吹き出しました。

 

「ふひひ……。それじゃあ、お互い様ということで……」

「ふふっ。そうね。そうしましょう」

 

 すると、それを見ていた凜さんが、横から入ってきました。

 

「それじゃあ私も、二人に謝ろうかな」

「謝る?」

 

 暁美さんの疑問に、凜さんは頷きます。

 

「うん。二人にも相談せず、色々と突っ走ってごめんね。そのせいで、今回はとっても迷惑かけちゃったと思うし」

 

 すると、暁美さんは、そんなことか、とでも言いたげな顔をして答えました。

 

「気にする必要はないわ。むしろ、今までが凜に頼りすぎだったのよ。力を貸してくれることは感謝するけど、追い詰めたいわけじゃないから。こっちこそ、ごめんなさい」

 

 それと、と暁美さんは続けます。

 

「謝った後に言うのもなんだけど……。これからも力を貸してくれないかしら? ワルプルギスの夜を越えるには、あなたの存在が不可欠なの」

 

 暁美さんは手を差し出しました。

 

 それを、凜さんはすぐに握ります。

 

「もちろん。これからもよろしくね、ほむら、まばゆ」

 

 そして、凜さんは私と暁美さんをまとめて抱きしめます。

 

「り、凜さん?」

「ちょ、ちょっと」

 

 私たちが驚いていると、凜さんは私たちの間で呟きました。

 

「私、上手くやれたよね……?」

「え……」

「怖かったけど、頑張ったよ? 誰も死なせなかった。私、二人の力になれたよね……?」

 

 顔は見えませんでしたが、その震える声で彼女の不安は手に取るように分かりました。

 

 だから私は、優しい声で、凜さんの求める言葉を口にしました。

 

「はい。とっても助かりました。ありがとうございます。とっても頑張りましたね」

「うん……!」

 

 嗚咽の混じる声で頷く凜さん。

 

 きっと我慢してたのでしょう。一歩間違えれば誰かが死にかねない状況で、誰も死なせないために気を張って。

 

 いや、ずっと前から我慢していたんです。

 それを口にすることがなかっただけ。

 

 

 だから、今は凜さんを褒めてあげましょう。頑張ったねって。

 

 

 

 きっとそれが、凜さんがずっと欲しかった言葉のはずですから。

 

 

 暁美さんにも、なんとなく伝わったのでしょう。

 

 私たちは凜さんが落ち着くまで、ずっと側にいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、この事態すら犠牲を出さずに乗り越えるとはね。さすがのボクも予想外だった」

 

「仕方ない。やはり彼女に協力してもらうしかなさそうだ」

 

 

 

「暁美ほむら。愛生まばゆ。夕凪凜。キミたちイレギュラーがどれほどのものか、見させてもらおうじゃないか」

 

 

 

 

 

 




・夕凪 凜(ver.Final)
凜が己と向き合い、他者を信じる強さと頼る弱さを受け入れたことにより変化した姿。今までソウルジェムを濁らせていた穢れが消えたことで、調整で育てられていた彼女の潜在能力が完全に解放された。そのため、あらゆる能力が格段に上昇しており、魔力量はやちよに迫るレベル。彼女の魔法少女としての最高到達点。

【挿絵表示】



これにて、この騒動もようやく一区切りです。
やっと終わりました……。こんなに長くなるとは思っていませんでした。

ちなみに凜のイラストは、前回と同じ友人に頼んで描いてもらいました。ありがとナス!
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