魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得   作:くろしゅー

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(ついにまどドラが始まったので)初投稿です。



Record3 DAY.17~DAY.21

 

 

 

 

 来たる決戦に向けて準備する実況、はーじまーるよー。

 

 

 

 さて、前回はようやくマミさんの暴走を止め、イベントを終わらせることが出来たところまででした。

 すっげぇ疲れたゾ……。

 

 

 

 しかし、ユリちゃんの強化フォームも手に入ったことですし、精神デバフも解除できました。

 

 

 ここからは、ワルプルギスの夜に向けての本格的な準備に取りかかります。

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.17

 

 

 

 さて、マミさんのイベントが終わったので、次に日を進めようと思ったのですが、ここで意外なイベントが。

 

 それは……。

 

 

「おーーーーい! りーーーーーん! 来ったよーーーー!!!」

 

 

 ファ!? 鶴乃ちゃん!?

 

 

 まさかの鶴乃ちゃんが登場しました。

 

 なになに……。

 

 まばゆちゃんが連絡したときに、こっちに来るって言ってて……。そこで見滝原に来たら、魔女二体に襲われていたまどかたちを見つけて……。それを助けるために魔女を倒してたら、見滝原に戻ってきたほむらちゃんたちと合流した……。

 

 

 

 

 はえー、すっごい……。(小並感)

 

 こんな豪運あるんすね。なんか芸術的……。

 

「そうね。彼女のおかげでまどかを魔法少女にせずに済んだわ。本当に感謝してもしきれない」

「もういいよー! たまたま助けたのがまどかちゃんたちだったってだけだよ」

 

 まあ、運の良さは鶴乃ちゃんの固有魔法な気もしますが。

 

 とにかく、ありがとナス!

 知らんうちにチャートが崩壊するところだったゾ。

 

「本当はもっと格好よく登場したかったんだけど、ちょっと遅かったみたいだし。もっと凜の師匠ってとこ見せたかったんだけどなー」

「そんなことありませんよ。鶴乃さんのおかげで何とかなりました。私の無茶まで聞いてもらって、本当にありがとうございます」

「まばゆちゃんまでー……。でも、受け取れる感謝は受け取っておくよ。それと、凜。ハイこれ」

 

 ん? グリーフシード?

 

「結構魔力使ったでしょ? さっき倒した魔女が落としたから、使ってよ」

 

 ありがとナス! 

 ユリちゃんとしては、鶴乃ちゃんを巻き込みたくなかったみたいですが、彼女も大事な戦力ですし。それに今のユリちゃんなら、鶴乃ちゃんにだって素直に頼ることが出来るでしょう。

 

 というわけで、鶴乃ちゃん! 力を貸してくれナス!

 

「うん、もちろん。あ、あと、今週末って時間ある? まばゆちゃんに送った音声で言ったけど、ししょーと私たちでもう一回話さない? ももこには連絡取ってあるし、もう一度チームみかづき荘でさ」

 

 ああ~、いいっすねぇ~。行きます行きます。

 

「ありがとう。それじゃあ、また週末にね」

 

 オッスお願いしまーす。

 

 

 さて、後は落ち着いたマミさんが謝ってきたり、時女一族と杏子ちゃんがとりあえず和解したりと色々ありますが、特にこっちが干渉することはないので倍速です。(無慈悲)

 

 

 

 では、ようやく次に進みましょう。

 

 

 

 

 

 

 DAY.18

 

 

 

 さやかちゃんのイベント忘れてました。(池沼)

 

 

 上条くんの腕治さなきゃ。(義務感)

 

 

 

「あ、凜センパーイ! こっちでーす!」

 

 さやかちゃん、オッスオッス。

 お、まどかちゃんもいるんだね。オッスオッス。

 

「凜さん、大丈夫ですか? すごい怪我したってほむらちゃんから聞いて心配だったんです……」

「そうですよ。凜センパイに無茶させたくないですし、あたしは今日じゃなくても……」

 

 心配してくれるのは嬉しいけど、約束は約束だからね。そこはキチンとやるよ。

 

 それにこの後のことを考えると、チャート的にここくらいしか時間がないからね。しょうがないね。

 

「まあ、凜センパイがいいならいいですけど……。あ、でも、無茶だけはしないでくださいよ!」

 

 かしこまり!

 

 

 さて、後は2周目と全く同じ流れなので、全カットです。

 

 

 いやー、ここ数日のオリチャーですっかり忘れてました。

 これやんないと、さやかちゃんが契約しちゃいますからね。むしろ、昨日ユリちゃんが行けなかったのに、よく契約を踏みとどまってくれましたね。

 

 え? まばゆちゃんが引き止めてくれた?

 

 はえ~、そうだったのかゾ。

 完全に私のオリチャーの尻ぬぐいをさせてしまいましたね。まばゆちゃん、有能スギィ!

 

 

 

 さて、それでは次に日付を進めて……。

 

 

 ん? ユリちゃんがまどかちゃんに何か言いたいことがあるみたいです。

 

 

 >この前はヒドいこと言ってごめんなさい。

 

 

 ああー、そういえばこの前のまどかとの会話でめっちゃキツいこと言ってましたね。

 ユリちゃんの精神が安定したことで謝る余裕ができ、選択肢として現れた感じですかね。

 

 謝罪は大事。まどマギ系のお話全てに書かれてる。

 

「い、いえ、謝らないでください! 私のほうこそ、軽率なこと言っちゃってごめんなさい……。きっと、証がほしかったんです、私。誰かの役に立ててるって証が。だから焦っちゃって……」

 

 まどかちゃん、ええ子……!

 

 まあでも、焦る必要はないゾ。まどかの優しさは、既にたくさんの人の役に立ってるから。

 

「え、それってどういう……」

 

 

 

 >あなたの優しさがほむらを救った。そのほむらが、まばゆに変わるきっかけを与えた。そして、二人が私を見つけてくれて手を差し伸べてくれたから、私は今ここにいる。

 

 >だから、私たちがワルプルギスの夜を倒せば、それはまどかちゃんのおかげでもあるんだよ。

 

 

「凜さん……」

 

 

 >それでも、まだ何かしたいなら、全てが終わった後にほむらのこと受け止めてあげて。あなたの言葉がきっと、彼女の救いになるから。

 

 

「……分かりました。私、信じます。皆さんのこと」

 

 分かればいいんだよ。

 

「凜さん、ほむらちゃんのこと、お願いします」

 

 任せとけって、安心しろよ~。

 

 何せこっちが背負っているのは、ハッピーエンドを見たい沢山の想いだからな。負けられないっての。(鶴乃並感)

 

 

 

 さて、まどかちゃんとの仲直りもできたことですし、今度はやちよさんの番です。彼女の気持ちも受け止めて、大団円へと向かいましょう。

 

 

 

 

 

 

 DAY.19

 

 

 

 さて、週末の土曜日になりました。

 

 先ほど鶴乃ちゃんにお願いされた、やちよさんとの和解イベントです。

 

 ちなみにカットしましたが、昨日鶴乃ちゃんからフェリシアちゃんとさなちゃんの様子は聞いておきました。二人とも想定通り、自分たちで持ち直したみたいです。

 

 うおっ、メンタル硬……。

 

 まあ原作でも、マギウスの洗脳効果が薄かったり(というかアニメだと洗脳すらされてない)、いろはちゃんたちと離されても自分たちで魔女化を受け入れてたので、心配はしていませんでしたが。心が強ェヤツなのか?

 

 

 

 さて、さっそく神浜にやって来たわけですが……。

 

 やって来て早々、フェリシアちゃんに謝られました。

 

「あん時は、悪かった……。凜だって辛いに決まってるのにな……」

 

 気にすんなって。

 むしろその年でそこまで受け入れて、謝れるんだからそれだけで偉いゾ。

 

 ユリちゃんも気にしてないっぽいし、もういいゾ。

 

「そっか。ありがとな」

 

 じゃあ俺、やちよさんと話して帰るから……。

 

「おう! お前も腹割って話してこい!」

 

 

 

 というわけで、ここからはやちよさんと鶴乃ちゃん、それにももこちゃんを加えてやちよさんのトラウマを受け止めてあげましょう。

 

 といっても、こちらは特にすることはありません。

 一応いくつか選択肢を選ぶ場面はありますが、ふざけた選択肢以外はさほど変わりませんし、まばゆちゃんが頑張ってくれたおかげで鶴乃ちゃんが率先して話をしてくれるので、(特に見せ場は)ないです。

 

 物語的には感動シーンですが、会話内容もマギレコ6章とそんなに変わらないので、1919倍速。

 

 

 この間にいくつか解説をば。

 

 まずは、この実況で久しぶりの登場の十咎ももこちゃんです。

 前チームみかづき荘で、唯一交流してこなかったキャラですね。

 

 彼女はいわゆる姉御肌で、とっても頼れる女の子です。時々お節介なんて言われたり、とにかくタイミングが悪かったりとする彼女ですが、基本的に面倒見がよく、初対面の人ともすぐに打ち解けられる明るい性格をしています。

 

 じゃあなぜ彼女に協力を要請しなかったのか?

 ももこちゃんを知っている兄貴なら、多分この実況始まったときから疑問に思っていたことでしょう。

 

 実はそれには理由があるのですが、それはまた後ほど。

 一つだけ言えるとすれば、ももこちゃんは好感度を上げても、討伐メンバーに加えられないからです。

 より正確に言うと、鶴乃ちゃんかももこちゃん、このどちらかしか入れられない、という感じです。

 今回は、ユリちゃんとの関係が鶴乃ちゃんのほうが深かったことと、鶴乃ちゃんの固有魔法が強かったので鶴乃ちゃんを選びました。

 

 

 まあ、そんなことはさておき。

 ももこちゃんは今、水波レナちゃん、秋野かえでちゃんとチームを組んで魔女と戦っています。そして、やちよさんとは多分一番仲が悪い状態です。

 

 ももこちゃんは筋や道理を重んじるタイプなので、やちよさんが理由なくチームを解散したことに頭に来ちゃったんですね。この世界線だと、ユリちゃんを傷つけたことも加算されていそうです。

 

 そんなももこちゃんですが、この嫌いは好きの裏返し。尊敬する先輩だからこそ、裏切られた気分になってしまっただけです。

 なので、ここでやちよさんの胸の内を聞かせてあげれば、関係もすぐに修復します。

 ここでやちよさんとの関係が良くなれば、やちよさんのメンタルがより安定しますし、決戦前にグリーフシードをくれることもあります。

 

 

 

 

 さて、時間も余ったのでもう一つ解説をしましょうかね。

 

 もう一つは鶴乃ちゃんの固有魔法について。

 先ほど判断基準の一つで挙げた彼女の固有魔法ですが、彼女の魔法は『幸運』です。

 

 この魔法は、自分にとって幸運なことが起こる、というものです。

 幸運の内容は選べないものの、自身の状況についてプラスになることが必ず起こるという、かなり強い魔法です。

 実際、この魔法を自身の魔法を応用して藍家ひめなちゃんが使った際は、自身を攻撃しようとする相手が転んで攻撃が当たらないなどの現象が突然起こっていたので、効果のほどは間違いないでしょう。

 

 このゲームではそれに加え、プラスになるフラグが立ちやすかったり、良いイベントに遭遇しやすくなる、攻撃でクリティカルが出やすくなるなど、システム的な面でも様々な恩恵をもたらしてくれます。

 今回のユリちゃんのまほストイベントを起こせたのも、彼女の魔法による乱数調整が関わっていたかもしれませんね。

 

 

 ただ、魔力の消費は高めに設定されていますので、頼りすぎには注意ですが。

 

 それでも、彼女の魔法の効果が及ぼす範囲はとても広いので、今回はももこちゃんではなく鶴乃ちゃんでの攻略を決めました。

 

 ももこちゃんバッドタイミングな子だし……。(小声)

 

 

 

 と、話している間に、ようやく話のほうもまとまったみたいですね。

 

 これで正式にやちよさんと鶴乃ちゃんが仲間に加わってくれます。

 

 や っ た ぜ。

 

 

 

 で、この話が終わると、やちよさんがこんなことを言い出します。

 

「ももこ。あなたはこの神浜に残ってちょうだい」

「……え? な、なんで!?」

 

 そう。やちよさんが、ももこちゃんはワルプルギス戦には参加するなと言ってきます。

 これにはもちろん理由があり、それが……。

 

「ワルプルギスの夜との戦いはきっと苛烈なものになるわ。あまり考えたくないけど、誰か死ぬ可能性だってある」

「だろ!? なら……」

「だからこそ、よ。私が死んだら、西のリーダーが不在になってしまう。その時はももこ、あなたに西のリーダーを任せたいと思ってるわ」

 

 

 というわけです。

 やちよさんはさすがに大人で、この討伐戦が失敗したときのこともちゃんと考えています。

 特に神浜で東西のリーダーの不在は、情勢の不安定化に繋がってしまいますので。

 

 先ほど鶴乃ちゃんとももこちゃん、どちらかしか選べないと言ったのはこれが理由です。

 

 ここでユリちゃんとの好感度が高いほうが決戦メンバーとして選ばれます。今回は鶴乃ちゃんを徹底的に上げたので、ももこちゃんが残る形になりました。

 

 といっても、この前ステ画面で好感度確認したら、ももこちゃんもそこそこ高かったですけどね。少なくとも、普通のプレイで上げられるレベルには上がっていました。

 鶴乃ちゃんやまばゆちゃんたちが高すぎるって、それ一番言われてるから。これでヤンデレ化しないまばゆちゃんには涙が出、出ますよ……。

 愛ゆえにチャート破壊してきた他のキャラたちは見習って、どうぞ。

 

 

 話が逸れましたが、これによりももこちゃんは戦闘に不参加となります。

 

「それなら、なおさらアタシも加勢する。誰も死なせなければ、そんな必要も……!」

「ももこ」

「っ……!」

「気持ちは嬉しいけど、私たちはもっと広い視野で考えないと。私たちが全滅したら、西を取りまとめる魔法少女がいなくなってしまう。それは避けたいのよ」

「なんでアタシなんだ。適任は他にも……」

「ももこだからよ。あなたの面倒見の良さは、リーダーに向いている。今だって、レナとかえでの二人と組んでリーダーをやっているじゃない」

「それとは規模が違う!」

「分かってる。けど、私が安心して任せられるのは、ももこしかいないのよ」

 

 すごく苦い顔をするももこちゃん。

 まあ仕方ありません。せっかくやちよさんとも和解できて、また皆で戦えると思った矢先にお留守番を任されてしまったわけですから。

 

 ですが、ユリちゃんにもそれを止める選択肢はないため、ももこちゃんには受け入れてもらうしかありません。

 

「それに、フォローは十七夜にもお願いするつもりよ。ね、十七夜」

「気づいてたか。さすがだな、七海」

 

 

 と、入り口から入ってきた白髪のこの少女。

 この実況での登場は初めてな彼女こそ、この神浜で東のリーダーを務めている和泉十七夜さんです。名前の読みは『じゅうななや』じゃなくて、『かなぎ』と読むよ! 初見さんお断りの名前だね!

 

「魔力の反応があったからね。別に隠れていなくても良かったのに」

「隠れていたつもりはないんだ。七海たちの話を聞いていたら、入るタイミングを見失ってしまってな。こっそり息を潜めて入るタイミングを窺っていたんだ」

「それを隠れてるって言うのよ……」

 

 とまあ、こんな感じの面白お姉さんですが、周りを纏める力とカリスマはスゴく、東ではかなり慕われている魔法少女です。

 

 お堅い印象もありますが、バイト先にメイドカフェを選んだり、漫画家志望のとある少女を画伯と呼んだり、割と周りに合わせて話せる子でもあります。

 

 以前は西とも対立気味でしたが、やちよさんたちとも共闘したことで、個人間ではほとんど確執も無くなっています。

 

「夕凪くんも久しいな。壮健だったか?」

 

 お、そうだな。(グルグル目)

 

 今回の攻略では出番が無かったため無視していましたが、ユリちゃん、十七夜さんとも関わりあるんですよね。交友欄に名前ありましたね。

 メルちゃんのこととか、混沌事件辺りで交流があった感じですかね。

 

 彼女の説得もあって、ももこちゃんは神浜待機組となります。

 

 もちろん、彼女たちも戦力としては申し分ないんですが……。如何せんこの攻略は時間がないので、最小人数で最大効率を生み出さないとワルプルギスの夜には勝てません。

 そうすると、かもれトライアングルを引き込むより時女一族の三人のほうが、対ワルプルギス戦では活躍しますので、残念ながら、かもれトライアングルの出番はありません。すまんな。

 

 

「分かったよ……。ただし、これだけは約束してくれ」

「なにかしら?」

「全員生きて帰ってきてくれ。誰か一人でも死なせたら今度こそ許さないからな、やちよさん」

「……ええ、当然よ。そのつもりで戦うんだから」

「それと凜」

 

 はい。

 

「またさ、一緒に遊ぼうな、色々終わったら。アタシも話したいことがいっぱいあるんだ」

 

 かしこまり!

 

 

 

 

 

 ということで、このイベントも終了です。

 

 次のイベントまで日付を進めましょう。

 

 

 

 

 

 DAY.20

 

 

 

 さて、今日はほむらちゃんにまばゆちゃん、そしてマミさんと、見滝原の魔法少女全員が揃っています。

 これから何をするのかというと、時女一族の人たちが新たなメンバーを連れて見滝原にやって来てくれます。

 

 

 

 そう。実は時女一族の参戦メンバーはあの三人だけではありません。

 時女一族に早めにコンタクトを取ることで、静香ちゃんたちが率先して分家の人たちに声をかけてくれます。

 

 それにより、一定の確率で追加メンバーが参加することがあります。

 

 

 とはいえ、今回はワルプルギスの夜が相手。連れてくるのがモブちゃんじゃ、肉壁にすらなれず消し炭にされます。それにワルプル戦の特性上、モブちゃんが増えるとワルプルギスを強化する要因にしかなりません。

 

 

 そのため、静香ちゃんが連れてくるのはある程度の実力者、つまりネームドキャラのみです。

 

 つまり、時女一族の残りネームドキャラ、南津涼子ちゃん、青葉ちかちゃん、三浦旭ちゃんの中から選ばれます。

 一人のときもあれば、三人全員来てくれるときもあります。(全員のパターンはほとんどありませんが)

 

 

 ここからに関しては完全に運ですが、体感としては涼子ちゃんが一番選ばれる可能性が高い気がします。彼女の性格的に、選ばれやすくなるようになっているんでしょうね。

 逆にちかちゃんは、一番選ばれにくいですね。やっぱり人間不信が影響しているのでしょう。

 旭ちゃんに関しては、本当にランダムです。来ないときは来ませんし、来るときは来ます。

 

 彼女たちの解説はここでは割愛させていただきます。今回参戦してくれた子は、後で解説を挟ませてもらいますので。

 

 

 

 

 さてさて、今回は誰が来てくれたかな?

 

 

 

「あ、夕凪さん。この前ぶりね」

 

 静香ちゃん、オッスオッス。すなおちゃんとちはるちゃんも、オッスオッス。

 

「こんにちは、凜さん」

「元気そうで良かったよぅ、凜ちゃん」

 

 それで、今回新しく参戦してくれる子って?

 

「そうね。といっても、一人しか集められなかったの。私たちも頑張ったんだけど……」

「私たちも分家の人たちについて調べ始めたばかりでしたので……」

「連絡先が分かる人たちがあまりいなかったんだよぅ」

 

 

 あ、ふーん。(察し)

 どうやら今回は下振れてしまったようです。今までが豪運すぎたから、ま、多少はね?

 

 一人でも来てくれればモーマンタイ。

 

 で、誰が来たのかな?

 

「ありがとう。それじゃあ、紹介するわ。湯国市から来た三浦旭よ」

「お初にお目にかかるであります。我は三浦旭。時女一族の分家として、助太刀させてもらうであります」

 

 

 ファッ!?

 

 まさかの旭ちゃん!

 ある意味三人揃うのに近いくらい珍しい子が来た!

 

 いやでも、これは僥倖です。

 彼女の好感度を上げれば、もっと戦力を呼び込めるかも……。

 

 これはひょっとすると、ひょっとするかもしれませんよ……?

 

 

 では、ユリちゃんとまばゆちゃん、ほむらちゃん、マミさんが旭ちゃんと交流している間に、彼女について少し解説させてもらいましょう。

 

 

 

 

 彼女は神浜市より更に遠い、温泉の有名な湯国市という街の出身です。

 

 可愛らしい見た目ですが、実家は狩猟を生業としており、本人も狩猟に精通しています。趣味もミリタリー系、いわゆるミリオタであり、その他スチームパンク系のものを好むなど、かなり個性的な子です。

 魔法少女服は昔の軍服で武器は銃剣。軍人っぽい口調もこのミリオタが影響しているのだとか。

 

 そんな彼女は魔法少女をしながらも、湯国市で普通の日々を過ごしていたのですが……。

 

 

 

 

 ここからはマギアレコードのイベント『灰色革命』のネタバレを含みます。

 

 

 旭ちゃんたち湯国市の魔法少女は、魔法少女が魔女になるという真実を知ってしまいます。

 魔法少女が絶望によって魔女になるのなら、ケアをしてくれる周りの人の協力が不可欠だと思った彼女たち。そこで、彼女たちは魔法少女の存在を周りの人に徐々に広めていきます。

 

 そんな中、魔女の起こした事故によって、旭ちゃんの友達が死んでしまいます。その子に想いを寄せていた旭ちゃんのもう一人の友達は、旭ちゃんに怒りました。なぜ、彼女を見捨てたのか、と。

 

 そして、魔法少女が魔女になるという真実が歪んで伝わってしまった結果、湯国市では魔法少女の迫害が始まってしまいます。

 迫害に絶望し、湯国市の魔法少女は次々と魔女化。それでも旭ちゃんとその仲間たちは、真実を知ってもらうために奮闘。ついに魔法少女撲滅派と和解できる場を用意することに成功します。

 

 しかし、まるで運命に意思があるように、魔法少女擁護派の人たちの乗ったバスが事故に遭い、擁護派の人たちは全滅。しかも、旭ちゃんたちの用意していた和解への準備にも悪影響を与える連鎖事故が発生。撲滅派にもかなり被害を与えています。

 

 これにより、名実ともに湯国市の敵となってしまった彼女たちは、魔法少女の迫害から逃れるために、湯国市を離れることになりました。

 

 

 

 

 

 スゥ、フゥーーーーー……。

 

 

 (過去が)重い……!!

 

 

 不幸なすれ違いが起こした悲しい事件。これの教訓を忘れないために、旭ちゃんとその仲間たちは、諦念を抱き魔法少女の末路を見守るためのグループ『午前0時のフォークロア』を結成します。

 

 そう。実は旭ちゃんは時女一族だけではなく、フォークロアという別のグループにも属しているんですね。

 

 彼女たちの信条は、希望を持たず、諦念に身を任せ、絶望に抗わないという、なんとも虚しいものです。

 

 Vanitas vanitatum……。(SOR姉貴感)

 

 

 そんな過去もあって、彼女がやって来る確率は低いと思っていたんですが、運命というのは面白いですね。

 

 

 それに彼女が来てくれたことは、こちらからしたらウマ味しかありません。

 まず彼女自身が強いですし、彼女を通じて他のフォークロアメンバーも参戦させられるかもしれないので。正直、一番来てほしかった子でもあります。

 

 

 とにかく、彼女が来てくれたこの状況を活用しない手はありません。ちょうど、あと数日で恒例の対ワルプルギス用ブートキャンプが始まりますからね。好感度を一気に稼ぎましょう。

 

 彼女は落ち着いた雰囲気ですが、とても情に厚い一面があります。仲良くなればきっとユリちゃんたちのために戦ってくれるはずです。

 名字が同じだけの迫真空手部の池沼とは大違いです。

 

 

 

 

 

 ん? 静香ちゃん、何か用かゾ?

 

「旭のことなんだけど、今日から見滝原に滞在してもいいかしら? 私たちは集落で準備があるんだけど、旭はもう荷物持ってきちゃったみたいだし」

 

 あ、いいすよ。

 

「ちょ、凜さん。あ、相変わらず即断ですね」

「ありがとうであります。ここから湯国市に戻ってだと、二度手間でありましたからなあ。それに、夕凪殿たちと親睦も深めたいところでありますから」

 

 これマジ? 大胆な告白は女の子の特権……。

 

 

 

 それじゃあ、ユリちゃんの家でいいかな? まあ、ほむらちゃんの家もまばゆちゃんの家も大丈夫だとは思うけど……。(好感度的に)来てほしいゾ。

 

「いいのでありますか?」

 

 いいよ、(ウチに)来いよ!

 

「感謝するであります。ではしばらくの間、お世話になるでありますよ」

 

 オッスお願いしまーす!

 

 

 

 あ、そうだ。(唐突)

 

 聞くの忘れてたけど、旭ちゃんの固有魔法って何だゾ?

 

「我の、固有魔法でありますか……?」

 

 そうだゾ。ワルプルギスの夜との戦いでの作戦を立てるのに教えてほしいゾ。もちろん無理にとは言わないけど……。

 

「……いや、構わないであります。隠すようなものでもないので」

 

 ありがとナス!

 

「我の固有魔法は『幽霊を呼ぶ』魔法。いわば降霊術のようなものであります」

 

「えっ……」

 

 ん? まばゆちゃん、どうかしたのかゾ?

 

「い、いえ、なんでもありません……」

 

 

 んん~?

 

 

 

 

 ああ。これ、もしかしてあれかな?

 まばゆちゃんの魔法少女ストーリーの続き始まったかな?

 

 

 えー、どういうことか解説しますと、実はまばゆちゃんの魔法少女ストーリーはまだ終わってないんですね。

 

 まばゆちゃんの記憶を取り戻すためにユリちゃんがストーリーに介入した影響で、まばゆちゃんのまほストは、マギレコのまほストでいうところの2話の辺りで終わっているんです。

 

 そして、最終話である3話目は、まばゆちゃんが死んだお母さんと向き合い、自身の生まれてきた理由を見いだすものなのですが……。

 

 

 どうやら旭ちゃんと話したことで、そのフラグが立ったようです。

 

 

 

 

 ……ちょうどいい機会です。攻略には全く必要ありませんが、前回こちらのチャートをフォローして立て直してくれたお礼に、まばゆちゃんのまほストを進めてあげましょう。

 

 RTAなら無視一択ですが、これは普通の攻略ですし。

 

 それにこのパターンなら、旭ちゃんの好感度を上げるのにも繋がってくるので、次回はまばゆちゃんのまほストをクリアをやっていきましょうか。

 

 

 

 

 

 というわけで、今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 DAY.19 Side RY

 

 

 

 

 今日、調整屋には私、鶴乃先輩、ももこ先輩、やちよ先輩の四人が集まっていた。

 

 みたまさんに無理をいって、しばらく貸切にしてもらった。

 

 

 このメンバーが集まった理由は、やちよ先輩の本心を聞くため。

 

 1年前のあの日。やちよ先輩がチームを解散した理由を鶴乃先輩から聞かされたとき、私は驚いた。

 やちよ先輩が自身の魔法に悩んでいたなんて、私は気づけなかった。

 

 

 

 鶴乃先輩が正しかった。理由があるはずだ、といつも言っていた通りだった。

 

 私は、やちよ先輩を信じ切れなかった。

 事情があるんだと、ずっと言い聞かせてきた。けど、どこかで私に見切りをつけたんだと、不安が拭えなかった。

 

 そんな自分が嫌いになるけど、もう前に進むときなんだ。

 

 

 鶴乃先輩に誘われて、改めてやちよ先輩の口から直接聞くことにした。私たちを突き放した理由。それと、やちよ先輩の本当の気持ちを。

 

 

 

 

 

 

 やちよ先輩の話が終わった時、鶴乃先輩とももこ先輩は同時に口を開いた。

 

 

「「ほんっと、やちよさん(ししょー)ってバカだよな(ね)」」

「なっ!?」

 

 

 開口一番、飛び出したのはそんな罵声。

 さすがにやちよ先輩も面食らったようで、目を丸くしていた。

 

「やちよさんの考えと不安は分かった。けど、それならアタシたちに相談してくれれば……」

「だから! そうしたら、あなたたちは私から離れていかないじゃない!」

「当たり前だろ! 仲間なんだから!」

「それがあなたたちを殺してしまうのよ!」

 

 やちよ先輩は少し怒ったように言うが、ももこ先輩は怯まない。どころか、鼻で笑うような感じで答えた。

 

「はっ! それくらいでアタシらが怯むと思ってるのか?」

「知ってるわよ。だから私は……」

 

 目を伏せるやちよ先輩の肩を、ももこ先輩は力強く掴んだ。

 

「やちよさん、あんた勘違いしてるよ」

「え」

「確かにやちよさんを守れるなら命は惜しくない。けど、それはどうしようもない状況だけだ。アタシだって普通に死にたくない気持ちはある。鶴乃だって。凜は……、あん時はちょっと怪しかったけど……」

「うっ!」

 

 ももこ先輩の言い淀みに、罪悪感を覚える。

 たしかにあの時の私がこの話を聞いていたら、むしろやちよ先輩のために死ねると思って、ずっとやちよ先輩と一緒にいようとしたと思う。少なくとも、生きたいと思って行動はしてなかったと思う。

 

 それが全員に伝わっていたと思うと、本当に心配をかけていたんだと反省する。

 

 ただ、その反省は一旦置いておき、今はやちよ先輩に集中する。

 

 きっとももこ先輩が言いたいことは、私と鶴乃先輩とも一緒なはずだ。

 

「やちよさん。犠牲になってもいい覚悟と、進んで犠牲になるのは違うんだよ。やちよさんには悪いけど、アタシは犠牲になりたくない。死にたくない」

「私も。やちよのために出来ることはしてあげたいけど、死にたくはないかな。私は、もっと皆といたいし」

 

 ももこ先輩と鶴乃先輩がそう言う。

 

 

 

 死にたくない。

 

 そう思うことがどれだけ当たり前のことか、私は今まで知らなかった。

 それは私が望んじゃいけないものだと思っていた。

 

 けど、まばゆに生きていてほしいって言われて、その気持ちを認めてもらえて、私もやっと分かった。

 

「私も、死にたくはありません。一緒にいたい人たちができたから……」

「凜……」

 

 

 私はずっと求めてた。

 お父さんに殺されそうになった時も。メルが死んで、自分で命を絶とうとしたときも。ほむらとまばゆのために、この命を燃やし尽くすと決めたときも。

 

 私は、生きたいって思ってた。誰かに止めてほしかった。

 

 

 その気持ちがここまで私を連れてきたのなら……。

 

「やちよ先輩。みんな、生きたいと思っていますよ。私も、鶴乃先輩も、ももこ先輩も、死ななくて済むなら死にたくありません。メルだって、そうだったはずです」

「っ……!」

 

 やちよ先輩が顔を歪める。

 やちよ先輩はずっと責任を感じ続けてきたんだろう。私と同じように、メルを死なせた責任を。

 

「そんな顔しないでください。私はメルが死んだことを責めたいんじゃありません。けど……」

「けど……?」

「怒ってはいます。メルの行動を、魔法のせいにしないでください」

 

 私は初めてやちよ先輩に怒った。

 

「メルがあの日、やちよ先輩を守ったのは彼女自身の気持ちからです。決してやちよ先輩の魔法で歪められたものじゃない」

 

 メルはそんな子じゃない。

 明るくて、占いが大好きで、それを誰かの役に立てようとした真っ直ぐで優しい子。

 

 私の大切な友達の想いを、勝手に決めつけないで。

 

「あの子がどれだけやちよ先輩を尊敬していたか知っていますか? あの日、メルの占いの結果はラッキーデイでした。きっとそれは、憧れの先輩を守れるから。たとえ自分が死ぬことになっても、それを上回るくらい嬉しいことだから」

 

「なのに、それを魔法のせいだなんて。それじゃあ、あまりにもメルが可哀想です。メルの気持ちをちゃんと汲んであげてください、やちよ先輩……!」

 

「凜……」

 

 

 いけない。落ち着いて聞くはずだったのに、つい感情的になってしまった。

 

 今、不安定なのはやちよ先輩だ。鶴乃先輩と同じ、誰にも苦しみを言えなかったんだから。私がしっかりしないと……。

 

 

 

 そう思っていると、私はやちよ先輩に抱きしめられた。

 

「え……」

「ごめん、ごめんなさい……!」

 

 やちよ先輩は震える声で謝る。

 

「やちよ先輩……」

「凜、あなたの言う通りよ……。私は臆病だった……! 私の勝手で、あなたたちのこと信じられなかった……! あなたたちから嫌われるくらいなら、私のほうから嫌われようと、ヒドいことを言ってしまった……! 本当に、本当にごめんなさい……!」

 

 私がみかづき荘に迎え入れてもらえたときと逆に、やちよ先輩が泣いていた。

 

「ごめんね、寂しかったでしょう……! みかづき荘をあなたの居場所に出来たらって、思ってたのに……。本当に、ごめんなさい……!」

 

 だから、今度は私がやちよ先輩の頭を撫でた。

 

「いいんです、やちよ先輩。謝らないでください。むしろ、感謝したいくらいですから」

 

 私は優しい声でやちよ先輩に言う。

 

「たしかにあの時は悲しかったけど、みかづき荘を出たから鶴乃先輩ともっと仲良くなれました。ほむらとまばゆに会えました」

 

 みかづき荘から出なければ、きっとこの出会いはなかった。

 

「鶴乃先輩と一緒に強くなれました。その力で、ほむらとまばゆのために戦えます」

 

 この強さを身につけなければ、大切な人のために戦えなかった。

 

 

「だから、私は恨んでなんかいません」

 

 

「またこうして一緒にいられて私は幸せです、やちよ先輩」

 

 

 私の言葉に、やちよ先輩はより泣いてしまった。

 

 笑ってほしかったのに、困ったな。

 

 そうだ。

 

「大丈夫ですよ、やちよ先輩。私は死にません。生きて、一緒にいてあげたい人がたくさんできましたから」

 

 やちよ先輩の不安は、私たちが自分のせいで死ぬことだ。

 なら、その不安を私たちで取り除くだけだ。

 

 そんな心配、無駄だって思わせてあげないと。

 

「皆が死ぬって言ったけど、それはやちよ先輩がリーダーのときだけなんですよね。それなら絶対大丈夫です。今回の戦いのリーダーはほむらです。なにより……」

 

 私はやちよ先輩と目を合わせて言った。

 

「誰かを悲しませないためなら、私はどこまでも強くなれますから。やちよ先輩が死なないでって思ってくれるのなら、私もそれに応えます」

「凜……」

「だからやちよ先輩。また仲良くしましょう。私だけじゃなく、鶴乃先輩やももこ先輩とも。昔みたいに、とはいかないけど。それでも、私たちなら乗り越えていけます」

 

 1年前とは状況は大分変わってしまった。

 

 メルもみふゆ先輩もいない。ももこ先輩は新たにチームを作った。私に至っては、見滝原に引っ越してしまった。

 

 それでも、私たちはやり直していける。

 時間の経過と変化は、悪いことばかりじゃない。この1年は私たちを前より強くしたと思う。

 そんな私たちなら、また絆を結べるはずだから。

 

 

「凜の言うとおりだ、やちよさん。またさ、一緒に戦おう。アタシだって、あれから強くなったんだ」

「私もまたみかづき荘に通いたい! フェリシアやさなちゃんとも仲良くしたいし!」

 

「みんな……」

 

 鶴乃先輩とももこ先輩は互いに視線を合わせると、私たち二人を抱きしめる。

 

「えい! 二人だけズルい! 私も!」

「普段は鶴乃の役割なんだけどな。今回ばっかりはアタシも!」

 

 ちょっと苦しかったけど、二人の体温を感じられるから全く嫌じゃなかった。

 

 

「ありがとう、みんな……!」

 

 やちよ先輩から聞こえた、絞りだすような声に、私たちは声を揃えて答えた。

 

「「「どういたしまして!!」」」

 

 

 

 

 この後、西のリーダーの件で、またももこ先輩と一悶着あったのは、また別の話。

 

 

 

 

 

 DAY.20 Side MA

 

 

 

 

「……と、そんな感じで無事、七海さんとも和解できたみたいですよ、凜さん」

「そう……。よかったわ」

「ですね」

 

 駅近くの喫茶店でコーヒーを啜りながら、私は凜さんから聞いた話を暁美さんに話していました。

 

「にしても、仲間を犠牲にする魔法、ね……」

「どうかしました? あ、もしかして、この後の戦いへの影響を考えて……?」

 

 暁美さんが釈然としない顔をしたので、私は尋ねます。もしかしたら、七海さんの魔法がワルプルギスの夜との戦いで悪さをすることを懸念したのか、と。

 しかし、暁美さんが引っかかったのはそこではないようで……。

 

「いえ、魔法のことは心配していないわ。七海さんの強さはワルプルギスの夜と戦うのに必須よ。精神的な支柱としても、巴マミ以上にベテランな彼女の存在は大きい。彼女を外すことは考えていないわ」

「じゃあ、何が気になるんです?」

「……あまり上手く言えないのだけど、違和感があるのよ。彼女の魔法、本当に仲間を犠牲にする魔法なのかしら? なんだか違う気がして……」

「う~ん……。たしかに外れていてほしいですけど、本人が言っていますし……」

 

 私も、七海さんの魔法が仲間を犠牲にする魔法なんてものでなければ、とは思います。けど、七海さんの話を聞くかぎり状況証拠は揃っているようですし、七海さんの仮説を否定する証拠もまた、存在しません。

 

 というより……。

 

「私自身、この前の周では七海さんを庇って死んじゃいましたし……」

「それは、そうだけど……」

 

 暁美さんは未だに納得しきれていないようでした。

 

 まあそれも仕方ないのかもしれません。

 暁美さんにとって七海さんは、数少ない頼れる年上の存在ですから。

 

 一応、私も暁美さんより年上なのですが、どう考えても年上としては扱われていませんし。

 

(まあ、私にそんな威厳や頼りがいが無いのがいけないんですけどね……)

 

 凜さんも同じく年上の存在って感じじゃありません。というより、凜さんは自身がかなり距離が近い人なので、そんな感じではないですし。

 

 なので、暁美さんとっては頼れる年上の存在というだけで、七海さんは信頼のおける人なのでしょう。

 実際、七海さんが頼れるお姉さんなのは間違いありません。なんというか、安心感が凄まじいですよ、あの人。

 

 そんな人が周りの人を犠牲にしてしまうなんて、どんな冗談でしょう。否定したくもなりますよ、こんな仮説。

 

 

 とはいえ、これ以上私たちが話し合っても仕方ないことです。私たちで証明のしようもありませんし、凜さんたちの間で話はついたのですから。

 

 それより、この後のことについて話したほうがいいはずです。

 話が暗くなる前に、私は話題を変えました。

 

「そういえば、時女さんたちが来るまであと少しですね。凜さんたち、間に合うかな」

「そういえば、凜はどうしたの? 巴マミの姿も見えないし」

「二人は一緒に来るそうですよ。あんな事があった後で巴さんが気まずそうだからって、凜さんが」

「切り替えが早いというか……。どんな禍根も引きずらないのは、凜の美点かもね」

「そうですね」

 

 巴さんを迎えに行くと言い出したのは凜さん本人です。

 この後の連携に支障をきたさないように、わだかまりを解消するのは早いほうがいい、と凜さんは言っていました。

 

 けど、自分を殺そうとして、実際殺されかけた相手にあそこまで優しくあれるのは、凜さんの長所と言えるでしょう。

 彼女の優しさは、これまでにいくつもの運命を変えてきた筋金入りですから。

 

「時女さんたちも分家の人たちにも声をかけてくれていますし、きっと私たちの力になってくれる人がたくさん……」

「そうだといいのだけれど……」

 

 私の期待に、暁美さんはあくまで冷静でした。

 

「ワルプルギスの夜を相手にする以上、中途半端な実力だと命を落としかねないわ。だから、そのことを考慮するよう伝えたでしょう。例え分家の人が多くいても、ワルプルギスの夜と戦える実力者がいるかは別問題よ」

「そ、それはそうですけど……。でも、私だってそんな強くないですけど、戦いには参加しますし……」

「あなたは……、その、特別よ」

 

(え、可愛い)

 

 視線を逸らし気味に答える暁美さんに、私は思わずそんな感想が浮かびます。

 

 前までだったら暁美さんからの好意なんて、私が受け取っていいものじゃないなんて考えていましたけど、今は違います。

 凜さんと出会って、その考え方は変わりました。というより、ちゃんと見直せたというほうが正しいでしょうか。

 

 暁美さんにとって、大事なのはいつでも鹿目さん。これは何があっても変わりません。

 

 けど、人は一人でいるのに耐えられる生き物じゃありません。誰だって寂しい気持ちを抱えているんです。あんなに明るかった凜さんだってそう。

 

 だから、私はその寂しさを埋める存在であれば、それでいいんです。私なんて、どう足掻いたって鹿目さんの代わりにはなれません。

 けど、鹿目さんとは別の繋がりにはなってあげられます。

 

 そこで向けられる好意に、怯える必要なんてなかったんです。

 私の存在は、暁美さんにとって鹿目さんとの関係を邪魔するものではありません。凜さんだって同じ。私たちは、誰の代わりでもない、暁美さんの友達なのですから。

 

「ふふ、友達にそう言ってもらえると、なんだか嬉しいですね」

「……あなた、なんだか凜に似てきたわね」

「そうですか?」

 

 はあ、とため息をついた後、暁美さんは私を見ました。

 

「そう言うなら、私も一つ言わせてもらうけど……」

「なんです、暁美さん?」

「それよ」

 

 暁美さんの言う、それ、が分からず、私は首をかしげます。

 

「それ?」

「今までイレギュラーなことが多くてすっかり忘れていたのだけど……。あなた、私のことをもう名前で呼んでくれないの?」

「え゛!?」

「私の記憶を切り取る寸前、呼んでくれたじゃない」

「き、記憶違いじゃ……」

「いいえ。調整屋で最後に思い出したのがあの日の記憶だもの。忘れるわけないわ」

「え、えーと……」

 

(まさか暁美さんが覚えているとは……)

 

 いや、実は私だって覚えていましたよ? けど、今思い出すと、すごい恥ずかしいことしたなって感情が湧いてきてしまい……。

 

(結局、記憶が戻った後は呼び方を戻したんですよね……)

 

 色々あったこともあって、そのまま忘れられるかと思っていたんですが……。

 

「い、いやー、その、なんというか……。い、言うタイミングがなくて……」

「はあ……。相変わらずね、あなた」

「すみません……」

 

 暁美さんは二度目のため息をついた後、こう言いました。

 

「それなら、ほら」

「へ?」

「……だから! そ、その、タイミングよ……」

 

 私は暁美さんの言葉に数瞬戸惑った後、その意味を理解しました。

 途端に顔が熱を持ち始めます。

 

「えっ。え、えええ!?」

「ほら……! 私の気が変わるのは早いわよ」

「え、えっと、ええと……」

 

 ただ名前を呼ぶだけなのに、なぜ私はこんなに緊張しているのでしょう。

 

「ほ、ほ……!」

 

 叶わない夢と仕舞い込んだ幻想が、実体を伴っているからでしょうか。

 それとも……。

 

「ご、ごめんなさい!」

「え……」

「その、名前で呼ぶのは、もう少し待っていただければと……」

 

 結局、私の口から彼女の名前は出てきませんでした。

 もちろん、私も名前を呼びたいです。

 

(けど、名前を呼ぶのは……)

 

 

 

 私に言葉に、暁美さんは怒るでもなく、ただ悲しそうな顔をしました。

 

「そう……。いえ、こちらこそごめんなさい……。強要するものでは、なかったわね……」

「あ、ち、違うんです! 別に嫌とかじゃなくて……!」

 

 なんだか勘違いされてるみたいで、私は咄嗟に否定します。

 

「じゃあなんなの?」

 

 少し不満げな暁美さんに、私はしどろもどろになりながら答えます。

 

「えと……、暁美さんは悪くないんです。これは私の気持ちの問題なんです」

「気持ち?」

「はい。暁美さんとのこの関係は、私の一方的な気持ちから始まりました。私が勝手に暁美さんについて調べて、勝手に口出しして……。暁美さんは最終的には受け入れてくれましたけど……」

「それは語弊があるわ。最初に巻き込んだのは私よ。私の魔法が、あなたを巻き込んだ」

「それでも、関わることを選んだのは、私の意思です」

 

 私は両手を握りしめながら、言葉を紡いでいきます。

 

「友達だって言ってくれて嬉しかったです。でも、今のままじゃ、私たちは前に進めない気がして。私たちは友達以前に、平等じゃないところから始まっていますから」

 

 以前暁美さんに言われた。やり方が心底不愉快だ、と。

 

 全くもってその通りです。私は一方的に暁美さんを知って、暁美さんを助けてあげようという、上からの立場にいます。

 私が暁美さんを助けようとする限り、私は援助者、暁美さんは非援助者である関係は覆りません。

 

 だから。

 

「あの夜を越えた後に、呼ばせてくれませんか。全てに決着がついた後、私たちが並び立てる場所に立てたときに」

 

 

 我ながら身勝手なお願いだと思います。

 けど、私の心にケジメをつけるには、これしかないんです。

 

 

「……わかったわ」

 

 

 私が暁美さんの言葉を待っていると、暁美さんは一言、そう告げました。

 

「それがあなたにとってもケジメになるなら、待ってあげる。けど、これだけは約束しなさい」

「な、なんですか?」

「今の言葉、絶対に守りなさい。私に魔法を使わせるなんて、許さないから」

 

 暁美さんはそう言いました。

 

(なんだ、そんなことですか……)

 

 私は少し安心して、暁美さんに言いました。

 

「大丈夫ですよ。暁美さんを一人になんて、させませんから」

「あなたの言うところの死亡フラグにしか聞こえないのだけど?」

「うっ! だ、大丈夫です! これはフラグなんかじゃありません。宣誓です。私が約束を守るための。だから……」

 

 凜さんとも話しましたから。全てが終わっても、暁美さんの手は離さないって。もし、暁美さんがどこかに消えようとするなら、絶対に引き止めるって。

 

「だから、それまで待っていてください、暁美さん」

「……ええ。待ってるわ、まばゆ」

 

 

 暁美さんの口角が少し上がります。

 微かな変化ですが、暁美さんの表情変化を見てきた私には分かります。これはとっても嬉しい時だって。

 

(よかった……。怒ってはないみたいですね……)

 

 

 

 

 

「えーっと……、話は終わった?」

「ああはい……。ん? えええええ!? 凜さんいつの間に!?」

 

 私の後ろから顔を出したのは、なんと凜さんだった。後ろでは巴さんが困ったように笑っている。

 

「ごめんなさい、愛生さん。盗み聞くつもりはなかったんだけど……」

「声かけようと思ったんだけど、なんかすごい真面目な雰囲気だったし……。近づいたら、すごい良い雰囲気になっちゃったし、まばゆと同じで『タイミング』見失っちゃって」

「ああそこから聞いてたんですね! 分かりましたよチクショウ!」

 

 私はもう恥ずかしさを誤魔化すためにヤケクソで叫びます。

 

「まばゆー、大きい声は周りに迷惑だよー」

 

 ニヤニヤと笑いながら、凜さん暁美さんの顔を覗き込みます。

 

「というか、ほむらも顔赤いよ? 大丈夫?」

「……ほっときなさい」

「まああんな逢瀬を見られて照れる気持ちも分かるけどさ~」

「黙りなさい。さもないと首を締めるわよ」

「グエッ、締めてる締めてる、もう締めてるってほむら……!」

 

 暁美さんにヘッドロックをかけられた凜さんは、暁美さんの手を叩いてギブアップを宣言しました。

 

「ちょ、ちょっと暁美さん。夕凪さんも! からかいすぎはダメよ」

 

 慌ててその場を収めようとする巴さん。

 

 なんだか、その光景に心が温かくなって。

 私は微笑みながら、巴さんと一緒に仲裁に入りました。

 

 

 

 

 

 

 そうして私たちは時女さんたちを迎えたのですが……。

 

 

「といっても、一人しか集められなかったの。私たちも頑張ったんだけど……」

 

「お初にお目にかかるであります。我は三浦旭。時女一族の分家として、助太刀させてもらうであります」

 

 

 

 時女さんが連れてきたのは、三浦旭さんという人でした。

 

 時女さんは申し訳ないと言ってましたが、私たちとしては一人でも連れてくれてありがたいかぎりでした。

 

「我の武器はこの銃でありますな。単発式なので連射は難しいでありますが、銃剣なので敵に近づかれても迷惑はかけないでありますよ」

 

 三浦さんは私たちに自身の武器を見せてくれました。

 その銃を構える姿勢はとても様になっていて、魔法少女服や喋り方もあり、映画で観たような世界大戦中の軍人のようでした。

 

(はあー、カッコイイ……!)

 

 

 私はそんなことを考えてました。

 映画の登場人物に憧れ、こんなファッションに挑戦しようと思ったこともあったのですが、ちんちくりん過ぎて全然似合わなかったので、羨ましい限りです。

 

 

 

 すると、凜さんが尋ねました。

 

「そうだ。よかったらでいいんだけど、旭さんの固有魔法って教えてもらえる?」

「我の、固有魔法でありますか……?」

「うん。魔法を知ってたら、この後の戦いで作戦も立てやすいし。もちろん、嫌じゃなければ、だけど……」

「……いや、構わないであります。隠すようなものでもないので」

「ありがとう」

「我の固有魔法は『幽霊を呼ぶ』魔法。いわば降霊術のようなものであります」

 

 

「えっ……」

 

 

 

 それは。

 

 

 

 この後の会話はあまり覚えていません。

 

 

 

 私は、三浦さんの固有魔法のことだけが頭に残ってました。

 

 

 

 だって。

 

 

 だってその魔法は。

 

 

 

(お母さんに、もう一度……)

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.21 Side MA

 

 

 

「はあ……」

 

 学校の屋上でお弁当を食べながら、私はため息をつきます。

 

 

 頭の中をぐるぐると巡っているのは、昨日の三浦さんの言葉。

 

(お母さん……)

 

 

 もう一度お母さんに会えるなら、私はまた会いたい。

 

 もう一度、声を聞きたい。話をしたい。

 

 

 

 けど、同時に怖いんです。

 お母さんの心を無理やりねじ曲げた私を、お母さんがどう思っているか。お母さんが死んだ後、お母さんとの思い出を心の隅に追いやって自分を守っていた私を、お母さんがどう思っているか。

 

 他の誰でもない、お母さんから聞くことになるかもしれないという可能性が、私にはたまらなく怖いものでした。

 

 もし、お母さんに私を否定されたら、私は……。

 

(ああ、やっぱり凜さんは強いですね。私は、お母さんに否定されるかもしれないと考えただけで、怖くてたまりません)

 

 

 もし、それで傷つくくらいなら、この想いは仕舞っておいたほうがいいのかもしれません。

 

 そんな勇気、私には……。

 

 

 

「……ばゆ。おーい、まばゆ」

「うわぁ!? あ、ああ、凜さんでしたか……」

 

 突然の声に肩を跳ねさせ振り向くと、後ろに凜さんが立っていました。

 

「ごめん、驚かせちゃったか。何回か声はかけたんだけど……」

「そ、そうだったんですね。気づかなくてごめんなさい……。それで、凜さんはどうしてここに?」

「まばゆと一緒にお昼食べようと思ったんだよ。けど、教室にいなかったから屋上かなって見に来たんだ」

 

 凜さんは私の横に座ると、私に問いかけます。

 

「何かあった? ここに一人でいるってことは、何か一人になりたいような悩みでもできた?」

「……」

 

 凜さんは私の心を覗いたように、私の行動を正確に推理しています。

 

「昨日の様子から考えると、旭さんの固有魔法に関して、かな。亡くなった誰かに会いたい、とか」

 

 もうほとんど言い当てられてしまったので、私はその言葉を頷いて肯定します。

 

「凜さんには敵いませんね……。その通りです。三浦さんの魔法を使えば、死んだお母さんにもう一度会えるんじゃないかって思ったんです。でも……」

「でも?」

 

 私は言い淀みます。

 これを言っても、凜さんを困らせるだけかもしれない。今までと違い、これは完全に私の私情によるものです。ワルプルギスの夜との戦いには全く関係ありません。それなのに……。

 

 すると、凜さんは私の手に自身の手を重ねてきました。

 

「まばゆ、言いたくないなら言わなくてもいい。けど、言わない理由が私に遠慮してのものなら、そんな遠慮いらない。私はそっちのほうが嬉しい」

「凜さん……」

「まばゆが私を受け止めてくれたように、私だってまばゆを受け止めたい。一緒に悩みたい。それで、一緒に笑いたい。例え過ごしてきた時間が違くても、私はまばゆの友達でいたいから」

 

 凜さんは私を見つめます。

 

(ズルいですよ、それは。そんなに風に言われたら、言いたくなっちゃいます……)

 

 

 私は心の中で、私の事情に巻き込んでしまうことを謝りつつ、全部話すことにしました。

 

 

 

 

 

 

 

「……それで、悩んでいるんです。というより、勇気が出ないんです。お母さんと会うのに。それに、なんだか三浦さんの願いにタダ乗りしている気もしますし……。完全に私の私情ですから……」

「そっか……」

 

 私の話を黙って聞いていた凜さんは、ポツリと呟きました。

 

 

 少しの間、凜さんは何かを考える素振りをした後、両手を叩きました。

 

「うん。まばゆの悩みは分かったよ。そして、多分私なら力になれると思う」

「ほ、本当ですか……?」

「うん。まずはまばゆに勇気を与えるほうからだね。といっても、勇気も何もって感じだけど……」

「それってどういう……」

 

 凜さんの要領の得ない表現に首を傾げると、凜さんはこう言いました。

 

「それは……。ああー、いや。これは直接視てもらったほうがいいかな」

「見る?何を、ですか?」

「物理的なものじゃないよ。私の記憶を、まばゆに『視て』ほしいの」

 

(記憶を?)

 

 ますます分からなくなり、私は次の言葉を紡げなくなります。

 

「この前、まばゆに記憶を視られたとき、私もあの頃の記憶を思い出したんだ。辛いことの記憶ばかりで埋もれてた記憶を。メルが残してくれた温かい記憶。きっとそこに、まばゆが求めてるものはあると思う。だから……」

「いいんですか……?」

「うん。まばゆになら視られてもいいから」

 

 そう言って、凜さんは私のほうに体ごと向け、私と向き合う姿勢になります。

 

(凜さんに記憶に私の求めてるもの? どういうことなんでしょう……。でも、凜さんの言うことなら……)

 

 たとえなんであっても、信じられる。そんな気がします。

 

 

「じゃあ、失礼します……!」

「うん、いいよ」

 

 

 そうして、私は凜さんの瞳の奥、そこに眠る記憶を視ました。

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.?? Side RY

 

 

 

 

「凜!凜! これ、見てください!」

「メル? どうしたの?」

 

 とある日の昼下がり。

 今日は休みの日にしては珍しく、みかづき荘全員が外出しており、私は一人で本を読みながら留守番をしていた。

 

 そして最初に帰ってきたのがメルだったのだが、そのメルがやけにハイテンションだったのだ。

 

 見てくれ、というのでメルのほうに視線を向けると、メルの両手に握られていたのは一つの雑誌。

 

「雑誌?」

「そうです! 占いについての月刊誌なのですが、ようやく目当ての号を見つけたですよ!」

「そんなにすごいのが書いてあるの?」

 

 メルが興奮気味に言うから、私も興味が出てきて自然と体を前に乗り出す。

 

 私の反応にメルも機嫌を良くしたようで、ふふん、と鼻を鳴らす。

 

「それはもちろん! なにせこの号はボクのバイブルの1つと言っても過言ではないですからね」

「そんなに?」

「そうです。でも、しばらく前の古紙回収のときにお母さんが間違って捨てちゃって……。数年前のものもあって、ネットじゃ売ってなかったんですよ。だから、色々な古本屋を巡って、ようやく見つけたですよ!」

「そうだったんだ。よかったね、メル」

「はい!」

 

 メルはページをパラパラとめくり、とある特集記事のところで手を止める。

 

「前に凜が、ボクの占いに興味があるって言ってくれたから、せっかくだから見せたかったんです。あの時は七海先輩がいたから占いできなかったけど、今日は夕方まで帰ってきませんし……。ちょうど良い機会です。凜にもボクの占いを披露するですよ」

「ホントに!?」

 

 声が少し高くなる。

 お父さんたちが捕まって、みかづき荘で暮らすようになって少し経ったけど、久しぶりにワクワクという感情が私の中に生まれた。

 こんな感情、いらないと思ってたのにな。

 

 私の声に期待の色が混じっているのに気づいたのか、メルは優しく笑いながら開いていた雑誌のページを指差す。

 

「その前に、まずはボクの占いをする理由について話したいと思うです。ちょっとの間、付き合ってくれるですか?」

「うん、いいよ。私もメルの話、聞きたい」

「そんな期待されても困るですが……」

 

 メルは恥ずかしそうにしながら、語り出した。

 

 曰く、メルが占いの興味を持ったのは、テレビで見た占いに助けられたからだとか。

 

 それ以来、メルは占いにハマり、本を沢山買って、独学で占いの勉強をしたのだとか。

 

 周りのクラスメイトには理解されないこともあったみたいだけど、占いを好きって気持ちは変わらなかったらしい。

 

「ボクには夢があるです」

「夢?」

「ボクの夢は、占いで誰かを助けられるようになること。ボクの占いで良いことがあったとか、嫌なことを回避できたとか、とにかくボクの占いを頼ってきた人が笑顔で幸せになってもらえるようになってくれること。これがボクの夢です」

 

 そう語るメルの瞳はキラキラと輝いていて、私には眩しいくらいだった。

 未来へ目を向けることを諦めて、誰かの役にも立てない私にその光は痛いくらいで。

 

 私はメルから少し目を背けてしまった。

 

「……それで? この雑誌がバイブルっていうのは?」

 

 その光に耐えられなかった私は、話題を雑誌に逸らす。それに、メルは特に気にした様子もなく、嬉しそうに語る。

 

「ああ、そうでした。この雑誌のこのページに載ってる記事は、ボクが占い師を目指す上で目標にしている人の一人の記事が載っているですよ」

 

 私は雑誌に目を向ける。

 そこには、『特集! 今をときめく占い師、Akiさんに迫る!』と書かれていた。

 

「このAkiさんって人?」

「そうです。見滝原で活動している占い師さんなんですよ。今はちょっと病気で休業中なのですが……」

 

 メルは雑誌の裏表紙を私に見せる。

 

「これは数年前、Akiさんの人気が広まったころに組まれた特集記事なんです。あの頃のAkiさんの人気といったらそれはもうスゴくて……! Akiさんの占い目当てで、遠くの街からお客さんが来るほどだったんですよ」

「占いでそんなに!? スゴいんだね、この人……」

 

 メルは自慢そうに胸を張ったあと、話が逸れだしたことに気づいたのか、コホンと咳払いをする。

 

「とにかく! すごい占い師の方なのですが、ボクが一番感動したのは、Akiさんの占いへの向き合いかたです」

 

 メルは記事の文を指でなぞりながら語る。

 

「Akiさんは未来を視ることができることでも有名で、未来予知をすることもできるです」

「そんなすごいことまで?」

「ええ。まあ、魔法少女がアリなら納得できる気もするですが……。でも、Akiさん自身、未来を視る力は誇れるものじゃないと語ってるです」

「え、そうなの? すごい能力な気がするけど……」

 

 未来を知ることができれば、どんな問題にだって対処できる。それなのに……。

 

「実はAkiさん、旦那さんを亡くしているんです。しかも、お子さんの生まれる直前に」

「え……」

「彼女自身、その未来を回避しようとしたらしいです。でも、未来は変わらなかった。いや、既に決まっていた、とAkiさんは言ってましたかね」

「そんな……」

 

 その未来視は、ただ未来を視るものではない。自身が未来を視た結果の未来を視るもの。つまり、それ以上変えようのない未来。

 やってくる絶望を避けることも、愛しい人の命も救えない。

 それは、きっと私では想像できない地獄だろう。

 

「……それでも、占いを止めなかったんだね」

 

 私の言葉に、メルは静かに頷くと、記事のあるページを指しました。

 

「Akiさんは旦那さんを失ったとき、絶望に沈んだそうです。それこそ、生きることを諦めてしまうほど。そんな彼女を救ったのは、彼女のお子さんだったそうです」

「子ども……」

「はい。その子を抱いたとき、彼女が生きる未来をAkiさんは視たと言います。自身の腕で笑うその子が、彼女にとって希望の光そのものだったと」

 

 記事に載っているAkiさんの写真。笑顔の彼女は、絶望の影は見えなかった。そのきっかけは、彼女に生まれた子ども。

 

(いくつの子なんだろ……。私と同じくらいかな……?)

 

 こんなに愛されている子を羨ましく思いながら、私はメルの話に耳を傾ける。

 

「だからAkiさんはもう一度占いをしようと思ったそうです。お子さんが自身に希望を見せてくれたように、自分も誰かの未来を照らす手助けがしたいと。そのために占いを続けていきたいと」

 

 メルはページをめくり、最後のページを指差す。

 

「Akiさんは占いについてこう語っています。占いという仕事は、お客さんの話す内容から欠けた部分を補って、その人が本当に語りたかった物語を探す仕事だと。人はお話という鏡を通して自分を見ている。だから、そのお話の続きを補って、伝えてあげるのが占いという仕事なのだと」

 

 メルの口調はいつもより優しく、私はなぜか泣きそうになった。

 涙をこらえながら、私はメルに尋ねる。

 

「……もしさ、嫌な未来が視えちゃったら、どうするの?」

「胸の内にそっと仕舞っておくそうです。伝えるのは良いことだけ」

「どうして? 悪い未来を見過ごすのは辛くないの?」

「辛いと思うです。けど、Akiさんはそれに責任を持って仕事しているそうですよ。希望があれば、人は何度だって立ち上がれる。どんな絶望が襲いかかろうと、その光を目指して羽ばたける。だから、Akiさんが伝えるのは希望だけ。絶望はその影に仕舞っておくんです」

 

 私はもう一度Akiさんの写真を見る。

 

 その笑顔の裏に、どれだけの人の絶望を視たのだろう。不幸な未来を視たのだろう。

 

 それでも諦めず、希望を信じ、希望を運ぶ彼女は、私にはとても強い人に思えた。

 

「これを読んだとき、ボクは感動したです。占いという仕事は、人の未来を預かるとても重たくて、責任のある仕事で。それでも、自分を頼ってきた人に希望と笑顔を与えるために、強く、優しくあるこの人に、ボクは憧れたです。いつかこの人のように、ボクの占いで誰かを笑顔にしたい。どんな絶望でも乗り越えていけるような希望で照らしてあげたいんです」

 

 だから、と、メルはタロットカードを取り出しました。

 

「その第一号は、凜になってもらうです!」

「……えっ、私?」

 

 突然出てきた私の名前に、私は自分を指差す。

 すると、メルは当然と言わんばかりに頷く。

 

「凜はボクの友達です。この占いに興味を示してくれた大切な。だから、まずは凜を占い

 たいんです。凜の未来を祝福したい」

 

 ダメ、ですか?と上目遣いに聞くメルに、私は自然と涙をこぼしていた。

 

「あ、凜……」

「……ううん、ダメじゃない。メルに占ってほしい。メルなら安心して、私の未来を託せるから」

「……その未来、預かったです」

 

 メルはそう答えると、タロットカードを広げて占いを始めた。

 

 

 

 占いをするメルの顔は真剣で、その顔が私の未来に向けられていると思うと、私はとても嬉しかった。

 

 どんな結果でも、メルの占いなら、メルが示した未来なら受け入れられる気がして。

 

 

 

 

 

 そして……。

 

 

 

「ムムム……。これは……」

 

「どう? 占いの結果は出た?」

 

「ええ! 出たですよ、凜の未来が!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.21 Side MA

 

 

 

 

 記憶(フィルム)が終わり、意識が現実に戻ってきます。

 

「これは……」

 

 

 凜さんの記憶にあった雑誌。

 

 私の見間違いじゃなければ、あの雑誌に写っていた写真の人は……。

 

「私さ、まばゆと初めて会ったとき、誰かに似てるって思ったんだ。結局、その時は思い出せずじまいだったんだけど……。この前、まばゆに抱きしめてもらったときに思い出したよ。この人、まばゆのお母さんだよね? そして、この記事に書かれていた子どもっていうのが、まばゆ、あなただったんだね」

 

 凜さんは私の頭を撫でます。

 

「まばゆ。きっと大丈夫だよ。だって、あなたはこんなにも望まれて生まれてきたんだから。あなたの名前は、きっとお母さんが感じた希望の光の意味が込められてる」

 

 まるで幼子をあやすような優しい声で、凜さんは私に語りかけます。

 

「お母さんがあなたを拒絶したのは、自らの死で希望を失ってしまうから。まばゆに辛い思いをさせてしまうことを知ってしまったから。あなたに会うと、その罪悪感と絶望を感じちゃうから、だったんじゃないかな? あなたが大好きだからこそ、辛くあたってしまった」

「……それなら、私がいなければ、お母さんはそんな思いもせずに済んだかも……」

「記事に書いてあったじゃない。あなたがお母さんの生きる希望だったんだよ。それに、あなたが生まれてなければ、メルもあなたのお母さんを知らずに占いを止めてたかもしれない。まばゆがいなければ、私は絶望に沈んだままだったよ」

 

 凜さんは私を抱きしめて言いました。

 

「生まれてきてくれてありがとう、まばゆ。私とメルを救ってくれて、ありがとう。あなたのおかげで、私は生きてて良かったって思えてる。だから、生まれてこなければ、なんて絶対間違ってる……! そんな悲しいこと、言わないで……!」

 

 

 凜さんは泣いていました。

 

 私のために、私がいることに、泣いてくれていました。

 

 

 そう理解すると、私も自然と涙を流していました。

 

 

「凜さん……! 私、会いたいです……。お母さんに、会いたい……! もう一度だけ、話したいです……!」

「うん……! うん……!」

 

 私は凜さんに縋り付いて泣いていました。

 

 凜さんもギュッと私を抱きしめながら、泣いていて。

 

 私たちは二人で抱き合って、泣きました。

 

 

 

 

 

 

「ぐすっ……。すみません、お見苦しいところを見せてしまって……」

 

 しばらくして気持ちが落ち着くと、私は段々恥ずかしくなってきて、それを紛らわせるために謝ります。

 思えば、この前の時間軸でも凜さんに泣きついてしまっていました。凜さんには情けない姿ばかり見せてしまっていますね。

 

 しかし、当の凜さんは嬉しそうな顔で言いました。

 

「謝らないでよ。まばゆがそういう面見せてくれて嬉しかったよ? 私も頼りない姿見せちゃったけど、それでも私に弱さを見せてくれるんだって安心した」

 

 凜さんの声は、相変わらず子どもをあやすような優しいもので、私の恥ずかしさも全て抱きしめてくれたような気がしました。

 

 

 さて、と凜さんは私から少し体を離します。

 

「旭さんに協力してほしいところだけど、まばゆの言ってた奇跡のタダ乗りってのも理解できる。旭さんが魔法を使いたがらない可能性もあるし。だから……」

 

 凜さんはウィンクをして、こう言いました。

 

「今日は旭さんの歓迎会やろう! 何事も、まずは相手と仲良くなることからだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.21 Side RY

 

 

 

 歓迎会について皆に伝えた後、私は学校の屋上で空を眺めながら、メルを失った日のことを思い出していた。

 

 

 

「ねえ、メル。私、思い出したんだ。あの日、魔女退治に行く前にさ。メル、占いの結果を見てたよね?」

 

 あの日、みかづき荘から最後に出てきたのはメルだった。

 

 私たちが外に出た後に何かしていたのは見たんだけど、何をしていたかまでは分からなかった。

 

 帰ってきてからは、それどころじゃなかったし。

 

 

 

 でも、よくよく思い出してみれば、テーブルにはやりっ放しのタロットカードが散らばっていた。

 そして、私たちのいないところでやることとすれば、そういうことだろう。

 

「未来を視てたのに、言わなかったんだね。自分が死んじゃう未来を知っていたのに、それでも進むことを選んだんだね」

 

 メルの魔法は、占いの内容に未来を誘導すること。理屈は違うけど、変えられない未来という点では、Akiさんの視る未来と同じだ。

 

 

 

 ――凜、ありがとうです!

 

 

 あの言葉も、自分の未来を知っていたから。

 

「伝えるのは希望だけ。絶望は胸の内にそっと仕舞っておく。メルは守ったんだね、占い師として。ラッキーデイ、か。ふふ、メルらしい」

 

 

 未来を知って、皆が怯えなくていいように。誰かが責任を感じなくてもいいように。あれは、メルのラッキーが起こした奇跡だって希望を残せるように。

 

 メルは最期まで、占いの力を信じてたんだ。良い面も悪い面も含めて占いの力を信じて、希望を残すことを選んだんだ。

 

 

「メルの占いね、当たってたよ? 私は今、すごい良い友達に囲まれてる。私の手を引いてくれる子に会えたよ? メルが希望で照らしてくれたから、ここまで進んでこれたよ……!」

 

 私の声が湿る。

 

 

「だからっ……! ありがとう、メル……! 私、生きるよ……! メルが照らしてくれた未来を皆と生きてくよ……!」

 

 

 ああ、さっきも泣いたのに、また涙が出てきた。

 

 手の底で涙を拭う。それでも、次の瞬間には新しい涙が頬を濡らした。

 

 なんだか、昔より涙もろくなった気がする。

 

 なのに、悲しい気持ちばかりじゃないのは、きっと皆のおかげだろうな。

 

 

 

 だから、もう一度言わせて。

 

 

 

 

 ありがとう、メル。

 

 私はあなたが導いてくれた未来で生きてくよ。

 

 

 

 

 




投稿遅くなってすみませんでした!

中々納得のいく話に出来なかったのと、仕事が忙しくて全然書けてませんでした。
誤字脱字多いのは多めに見てください。

この後も、まどドラをやるので投稿遅れると思います。(投稿者のクズ)

すいません許してください何でもしますから(何でもするとは言ってない)


それと私事ですが、この小説を投稿し始めてほぼ丸一年経ちました。
まさか一年経っても完結しないとは思っていませんでした。まどドラも始まってしまいましたし。
なんとか廻天までには終わらしたいと思いますので、あと少しお付き合いくださいませ。



まばゆちゃん、まどドラのOP格好よかったよ!
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