魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得 作:くろしゅー
(まばゆちゃんが実装されたので)初投稿です。
DAY.32
というわけで、始まりましたVSワルプルギスの夜!
そのワルプルギスの夜ですが、体力が2割ほど減った状態でスタートです。
体力が減っている理由は、前回のイベント戦でほむらちゃんの時間停止攻撃が理由ですね。
原作でもやっていたようなほむらちゃんの現代兵器攻撃。これをしっかり準備することで、戦闘が始まると同時にイベント戦が挟まり、ワルプルギスの夜の体力を最大で3割ほど削ってくれます。
今回は2割くらいでしたか。うーん、最大火力を出せるようにはしたんですけどねー……。
まあええわ。(寛大)
さて、ここからは完全にこっちのプレイで削っていかなければいけません。
ですが、安心してください。もちろん、ワルプルギスの夜を倒す算段はついてます。
まずは、ワルプルギスの夜の体力を6~5割ほどまで削ります。
そうしないと、必殺の一撃で沈められませんからね。
ということで、ユリちゃんたちにはそこまで体力を削っていてもらいましょう。
さて。その間にワルプルギスの夜を倒す作戦を改めて説明しましょう。
以前説明したかもしれませんが、ワルプルギスの夜と正面から戦うなんてハッキリ言って無理ゲーです。
原作でも絶対倒せないように設定された魔女を倒そうというのですから、普通にやっていては勝てません。
ではどうするのか?
やり方はいくつかありますが、今回は一撃で体力を削る方法でいきます。
ワルプルギスの夜戦の厄介な点として、第二形態が用意されている点です。
ワルプルギスの夜の体力を一定以下まで削ると、ワルプルギスの夜も本気を出してきます。
そう。かの有名な上下逆転形態ですね。
原作では全く出てきませんでしたが、この手のゲームだと毎回出てくる、あの形態です。
通常形態でもかなり強いワルプルギスですが、この形態になると手が付けられません。特にこの人数では。
そうなるとこちらの負け確になってしまうので、この形態移行を防がなくてはいけません。
そこで使う手段が、形態変化させる前にワンパンで倒す、という至ってシンプルな手です。
色々な作戦はあると思いますが、これが一番確実だと思います。原作からして、まどかがワンパンしてるしね。
幸い、このゲームでは形態変化により体力を一定以下より削れない、なんてことは無いので、ワルプルギスの夜をワンパンは可能となっております。
その一撃で削れるのが大体5~6割なので、ユリちゃんたちにはそのラインまで体力を削ってほしいんです。
それで、その一撃というのは……。
簡単に言ってしまえば、マギレコ第1部ラストの奇跡を再現することです。
そうです。やちよさんの魔法を使った、
これはワルプルギスの夜などの災厄級の魔女戦のみで使える、いわゆる特殊イベント戦専用必殺技ですね。
やちよさんにこの究極必殺技を発動してもらうのが、今回の作戦の要となります。
そのためには、やちよさんが自分の魔法を正しく理解しないといけないのですが、こちらは問題はありません。既にこれまでの道のりでフラグは立ててきているので、恐らく選択肢として選べるはずです。
あとはワルプルギスの夜の体力ですが……。
すいまへぇ~ん。木下ですけどぉ。まーだ時間かかりそうですかね~?(せっかち)
うーん、今回はあんま良くない行動パターンを引いているのでしょうか。
中々ワルプルギスの体力が減りません。
こんなとこで運の収束しなくていいから。(懇願)
時間をかけるとこっちが不利になるだけなんですが……。
ん? ロードが入った?
DAY.32 Side MA
空に走る閃光。鳴り響く轟音。それらをさらうような暴風。
見滝原はまさに戦場でした。
「はあっ!!」
七海さんの一撃が再びワルプルギスの夜へと直撃します。
「今よ!」
「オッケー、ししょー! 凜、行くよ!」
「ラジャーです、師匠!」
その一言で、鶴乃さんと凜さんは互いを見ることなく、完璧に息の合った動きで宙に浮いた瓦礫の間を突き進み、両手を合わせてコネクトを発動。
「「双炎斬舞!!」」
そのまま流れるような動きで、合体技を決めました。
ワルプルギスの夜の高度が下がったところへ、上から追撃をかける影がひとつ。
「うおおおおおお! ズガーーーーーン!!」
その巨大なハンマーを、自由落下の速度も上乗せして振り下ろしたフェリシアさん。
ワルプルギスの夜は地面へと落ちていき……。
地面へとぶつかる、その直前で止まりました。
「っ!? うお、ヤベっ!?」
ワルプルギスの夜はフェリシアさんに狙いを定め、炎を吐こうとしていました。
「マズいわ! 土岐さん、コネクトを!」
「はい! お願いします、巴さん!」
しかし、そこは巴さん。それには気づいていたようで、すぐさま土岐さんとコネクト。
いつもより更に大きくなったティロ・フィナーレが炸裂しました。
『おっとと……。サンキューな、ドリルの姉ちゃん!』
「ド、ドリル……」
フェリシアさんが呼ぶ愛称に思うところはありそうでしたが……。
ともかく、私たちは確実にワルプルギスの夜を押していました。
そう、押しているはずなんです……。
「なんだか、手応えがないでありますな……!」
先ほどから私の横で、使い魔を次々と撃ち落とし前衛チームを援護している旭さんが呟きます。
どうやら、旭さんも私と同じ気持ちだったようです。
「ええ。こんなにも優勢なはずなのに……。なんだか、このままじゃ私たちのほうが先に息切れしてしまうような気がするんです」
「うーむ……。夕凪殿の懸念通りになりましたな……」
先日の作戦会議のとき。
凜さんが唱えた一つの懸念点。
それはワルプルギスの夜へのダメージが足りるかというものでした。
事前に皆さんに協力してもらって、今までは考えられないほどのグリーフシードを集めることができました。しかし、それでも魔力は無限ではありません。私たちの攻撃が決定打に欠ければ、先に力尽きるはこちら。
それを補うために、ワルプルギスの夜への攻撃は基本2人以上での同時攻撃としたのですが……。
(それでもあまり効いている気がしない……。皆さんにも疲労の色が見え始めています。なんとか、なんとかしないと……!)
私は必死に頭を巡らせます。
その時です。
一際強い風が、巻き起こりました。
「なにが……、っ!?」
私の視線の先。そこにはワルプルギスの夜が周囲を漂っているビルの残骸に、炎を纏わせていました
ワルプルギスの夜は笑い声とともに、火山弾のようになったビルの瓦礫を全方位に向けてばら撒きます。
「ウソォ!?」
「っ! 逃げるでありますよ!」
私が驚いている間に、旭さんは私を米俵のように担いでビルの屋上から飛び降ります。数秒後、炎の瓦礫がその屋上に直撃。ビルの最上階ごと、えぐり取っていきました。
「た、助かりました……」
「構わないでありますよ。それより、次の狙撃地点に移動でありますな。皆も無事であるといいでありますが……」
DAY.32 Side RY
ワルプルギスの夜の全方位攻撃の後、私は後衛チームのほうに合流していた。
腕から血を流すちはるちゃんを背負って。
「ちゃる!!」
「ごめん、すなおちゃん……。避けそこねちゃった……」
私はちはるちゃんをゆっくりと降ろし、すなおちゃんへと預ける。
「ごめん、すなおちゃん。私がついてたのに……」
「謝らないでください。むしろ、ちゃるを連れてきてくれてありがとうございます」
「そうだよぅ。私こそ、ごめんね」
「それこそ謝らなくていいよ。すなおちゃん、治療は任せていい?」
「もちろんです。凜さんは前衛の援護をお願いします」
「分かった。さなちゃん、2人の護衛は任せるよ」
「は、はい!」
さなちゃんは返事をすると、2人のすぐ側に立って、周りに盾を展開する。
それを確認し、私は再びワルプルギスの夜へと走りだす。
「凜!」
「ほむら! よかった、無事だったんだね」
「ええ。そっちも怪我がないようで良かった」
途中、ほむらに声をかけられた。
どうやらほむらも、先ほどの攻撃は凌ぎきったようだ。
「他の人たちも怪我をしている人はいなかったわ」
「ということは、怪我したのはちはるちゃんだけか。よかった……」
「とはいえ……」
「うん」
段々とジリ貧になってきている。
口に出さなくとも伝わった。
先ほどの攻撃だって、こちらの攻撃の手が緩んだからこそ、許してしまった面はある。
「やはり凜の言うとおり、何か別の手を打たないとワルプルギスの夜には勝てないわね」
「うん。けど、その方法が思いつかない……。何か、何か……」
そこで思考に集中したのがマズかった。
風の音が耳に入り、そちらを向けば……。
「凜!!」
ほむらの叫び声が右から聞こえる。
私の眼前には、瓦礫の砲弾が迫っていた。
(あっ……)
防御も間に合わない。
私は迫る瓦礫を見ているしかなかった。
「させる、かあーーーーー!!」
瓦礫が真っ二つに砕ける。
誰かが瓦礫を砕いたのだ。
私はこの声を知ってる。
「大丈夫か、凜!?」
「ももこ先輩!!」
私の前に立ったのは、神浜にいるはずのももこ先輩だった。
DAY.32
アイエエエエエ!? モモコ=サン! モモコ=サンナンデ!?
「悪い。来るなって言われてたのに……」
「本当よ。ももこ、どうして来たの?」
「やちよさん……」
やちよさんも知らない様子だし……。ホントになんで?
いや、正確に言うと、ももこちゃんが来るフラグ自体は存在するんです。
ももこちゃん自身の好感度が高かったり、あとはレナちゃん、かえでちゃんのどちらかの好感度が高く、かつイベントをこなすと、もももこちゃんが見滝原に来るイベントは発生します。
けど、今回はガチでももこちゃん触れてないし。イベントも時間が無かったからすっ飛ばしたのに、なぜ……?
「アタシも迷ったさ。神浜のことを考えたら行かないほうがいいに決まってる。けど、アタシとしてはただ待ってるのもそれはそれで嫌だったんだ」
「そしたらさ、皆に言われたよ。らしくない、って。レナとかえで。あと調整屋にも」
ん? 調整屋……?
「それ言われたら、なんだか悩むのも馬鹿らしくなってな。アタシのやりたいようにやるって、決めたんだ」
「やりたいようにって……。分かってるの? もし、ここであなたまで……」
「分かってるさ。それでも、アタシには見て見ぬ振りはできない。それに、アタシらの気持ちを無視してチームを解散したやちよさんには言われたくないな」
「うっ……」
「それに、調整屋に頼まれたんだ。凜を助けてやってくれって」
あ、そっかぁ。(池沼)
「それと、レナからも。前に一緒に戦ったときにヒドいこと言って謝れてないから、きちんと謝りたいんだと」
「だからさ、レナたちのためにも戦わせてもらうよ。苦戦、してんたんだろ?」
みたまさんのほうでフラグが立ってたかぁ……。(ついでにレナちゃんも)
けど、これは嬉しい誤算です。
ももこちゃんの実力はかなり高いので、せっかくですしこのまま力を貸してもらいましょう。
よろしくナス!
「ああ!」
さて、ももこちゃんが加わってくれたことでこちらの士気も上がりましたね。
さらに、ももこちゃんの固有魔法は『激励』。味方の全ステータスを上げてくれる非常に優秀なバッファーです。
これで攻撃力を上げて、ワルプルギスの夜の体力を減らしましょう。
では、ワルプルギスの体力を削っている間に、もう少しやちよさんの魔法について説明を。
マギレコ原作では、おガキ様たちとういちゃんの力によって魔法少女の希望を集められましたが、その3人はここにはいません。
ではどうすればいいのか?
答えは簡単。
全員で同時にコネクトするんです。
このゲームのシステム上、複数人で同時コネクトを発動することはできません。
しかし、やちよさんがいると話が変わってきます。
やちよさんの固有魔法『仲間の希望を引き継ぐ』の性質上、やちよさんだけは複数人同時コネクトが可能となっております。
そのためアニレコ最終話のように、ここにいる魔法少女全員でコネクトし、やちよさんに魔力を譲渡。やちよさんに全ての力を託します。
やちよさんは魔法によってこの膨大な魔力も制御が可能となっているため、魔力が散逸してしまう心配もありません。
あとはその魔力で究極必殺技『アブソリュート・バレード』を発動すれば、ワルプルギスを第2形態に移行させることなく、ワンパンで倒すことができます。
え? ワルプルギスの夜が律儀に待ってくれるわけないだろ、いいかげんにしろ! ですって?
そうだよ。(肯定)
なので、ワルプルギスの夜を足止めしないといけないのですが、作戦はちゃーんと考えてあります。
ワルプルギスの夜も他の魔女同様、体勢を崩します。一応、最強の魔女なので一回では完全に体勢を崩しません。が、他の魔女でいう3回目の体勢崩しのとき、他のダウンとは違う、大ダウンをします。
この大ダウンは、他のダウンより時間が長いため大きな隙となるんですね。その巨体ゆえに、すぐに起き上がることないので、ここが絶好のチャンスです。
現在、イベント戦のときに1回ダウンしています。なので、あと2回ダウンさせればいいのですが……。
1回は他の子たちに頑張ってもらいましょう。もう1回は、ユリちゃんが取ります。
ええ、そのための『限界突破』です。
ああ仰らないで。
そもそもどうやってやちよさんに真の固有魔法を気づかせるか? ですよね。
そこも問題はありません。
なにせこっちには、フラグを無視してイベントを起こせるチート使いがいますから。
DAY.32 Side MA
颯爽と現れた新たな助っ人、十咎ももこさん。
彼女の登場と、彼女の魔法によって士気は回復。私たちは再び、ワルプルギスの夜に対し優勢となります。
ですが、未だ一番重要な問題は解決していません。
「まばゆ」
「暁美さん、無事でしたか。凜さんも」
「うん。前線はももこ先輩に代わってもらった。それより……」
凜さんの言いたいことは、私たちにも伝わりました。
「ええ。ワルプルギスの夜へ決定打よね?」
暁美さんの確認に、凜さんは頷きます。
「ももこ先輩が来てくれたとはいえ、ジリ貧なのは変わらない。何か手は考えないと」
「とは言っても、そんな簡単には出ませんよ。ワルプルギスの夜に弱点とかあるんでしょうか?」
私の何気ない発言に、暁美さんが私のほうを見る。
「……」
「え、暁美さん? 私、何か言っちゃいました……?」
「まばゆ! でかしたわ!」
「うええ?」
私が混乱していると、暁美さんは珍しく興奮したように話しだします。
「確証はないけど、弱点かもしれない場所なら心当たりはあるわ」
「マジ!? どこ!?」
凜さんも興奮したように暁美さんに聞きます。
「アイツの歯車よ。前の戦いで、あそこに大きな攻撃を食らったときだけアイツは大きく体勢を崩したし、そこを攻撃されることを何となく嫌がっているようだった」
「そ、そうだったんですか……?」
「まばゆは覚えてなくても仕方ないわ。一回目は凜の自爆で、二回目は七海さんの攻撃だったし……」
ああ、そういえば私、前周は七海さんを庇って死んでしまったので、その後暁美さんたちがどうやって戦ったか知らないんでした。
「なるほど。それなら、ワルプルギスの夜の歯車に攻撃を集中すれば……」
「ダメージレースにも勝機は見えてくる。お手柄だよ、ほむら!」
「もう一つ!」
私たちの会話を遮るように、暁美さんは声を上げました。
「今の会話で気づいたことがあるわ」
「気づいたこと?」
私の問いに、暁美さんは答えます。
「七海さんの固有魔法よ。前に私、何か違和感があるって言ったわよね?」
「ええ。でも、それが……?」
「その違和感の正体が分かったのよ。前回のワルプルギスの夜との戦いで七海さんは、腕が挟まって時間遡行出来なくなった私を庇ってくれたわ。それこそ、身を挺して。彼女の犠牲で私は過去に戻れた」
「そうだったんですね……」
この時間軸で初めてあったとき、暁美さんが悲しそうにしてたのはそれが原因でしたか。でも、七海さんの固有魔法とどう関係が……。
「あっ」
「気づいたかしら。もし七海さんの魔法が『仲間を犠牲にして生き残る魔法』なら、最後に私と七海さんが残った時点で、私は死ぬことになるはずよ。それなのに、実際は逆だった」
「魔法が発動しなかった可能性は?」
凜さんの問いに、暁美さんは首を振ります。
「それはあり得ないわ。七海さんはあの時点でも魔法をコントロール出来ているようには見えなかった。となれば、そもそもの魔法の効果が違う可能性のほうが考えられるわ」
怪しいのはそれだけじゃない、と暁美さんは続けます。
「戦闘を始めたときと私を守ってくれたときで、明らかに魔力の出力が違ってた。特に最後に放った、歯車への一撃は凄まじいものだったわ。今、こうやって七海さんの戦闘を見ているからこそ言える。あの時の威力は、ハッキリ言って異常よ」
「なるほど……。それが再現できれば、勝機はあるってことか……」
凜さんは顎に手を当てて思考を巡らせているようだった。
が、私は1つ疑問があって、2人に尋ねる。
「けど、七海さんは自分の魔法を知らないんでしたよね。私もそうでしたが、自分の魔法が分からないと制御も何も出来ないのでは?」
「そうなのよ……。さすがに考えられる可能性を片っ端から試すわけにもいかないし……。どうしたら……」
私と暁美さんが苦い顔をしていると、凜さんは何でもないように言う。
「いや、それは大丈夫。やちよ先輩の魔法の特定なら目処が立ってる」
「え?」
私と暁美さんは凜さんを見る。
「でも、手がかりもなにも……」
暁美さんの言葉に、凜さんは笑って答えます。
「問題ないよ。だって、過程をすっ飛ばして答えを得られる、最高の
そう言って、凜さんは私にウインクしました。
「……へ? 私?」
私が自分を指差すと、凜さんが笑顔で頷きました。
「そうだよ。まばゆの魔法なら、例え知る術のない答えだって見つけられる」
「あっ……」
そうだ。
私の未来視は、未来視を使用した結果の未来を知る魔法。
だから、今の私たちでは想像できないことだって、この魔法なら知ることができる。
「あ、でも。凜さん、未来視は基本禁止だって、この前言ってませんでした?」
「それは、まばゆの魔法は未来の可能性を1つに集約してしまうから。まばゆの視る最適解が後の最適解とは限らないから、使用は控えるってことだよ」
「な、なるほど……」
それは考えてもみなかった視点でした。
私の未来視は常に最適解が視える魔法だと考えていました。しかし、それは未来視を使った目的を達成するのに最適解なだけの未来。その後の出来事も含めると、決して最適解な行動だけではありませんでした。
(そうじゃなきゃ、私が記憶を消す必要はないはずですから)
そう考えれば、未来視を使うことは未来の可能性を狭めてしまうと言えるでしょう。
凜さんはその危険性に、ずっと前から気づいていたのでしょう。最初に私に未来視を使わないように言ったのは、前の時間軸の凜さんですから。
「だから、まばゆに視てほしいのはやちよ先輩の魔法だけ。それ以上は視ないように。できる?」
「やってみせます。みたまさんに調整してもらって、私も魔法の制御が効くようになってきましたから」
「分かった。じゃあお願い」
そうして私と凜さんは向かい合います。
「それでは、失礼します!」
私は凜さんの瞳を覗き込み、その奥にある未来を視ました。
(……これは)
(なんだ……。七海さん、あなたは……)
「どう?」
顔を離したタイミングで、凜さんが私に問いかけます。
「ええ、視えましたよ」
だから、私はこう答えました。
「やっぱり七海さんは、仲間を殺すような人じゃないです。誰よりも仲間を愛してる、優しい人ですよ」
私の言葉に、凜さんは少しだけ目を見開いたあと、微笑みました。
「……うん、知ってる」
「……話はまとまったかしら?」
暁美さんの問いかけに、私は頷きます。
「はい。七海さんの魔法も、私たちが打てる手も」
「その結果は?」
「そこまでは、残念ながら……」
まだ未来が不安定ということなのでしょうか?
これから行う作戦が上手くいくのか、それは未来視でも分かりませんでした。
「いいんじゃない?」
それに対し、凜さんはあっけらかんと言いました。
「未来なんて分からないほうが、希望がある。今ある可能性を信じよう」
凜さんの言葉に、暁美さんも頷きました。
「そうね。私たちが勝つ可能性を信じましょうか」
「ですね。それじゃあ、私が視た未来をお伝えします」
2人に情報共有した後、私たちは七海さんと合流しました。
理由は簡単。
今回の作戦、カギは七海さんの魔法になるからです。
「『希望を受け継ぐ魔法』……?」
「はい。未来視で確認したので間違いないと思います」
そう。七海さんの本当の魔法は、『仲間の希望を受け継ぐ魔法』。
過去に斃れた仲間の希望も未来へと連れて行く、七海さんの心がよく表れた優しい魔法です。
「七海さん。魔力が衰えるどころか増してきたって経験、心当たりあるんじゃないですか?」
「なんでそれを……。まさか、それも?」
「はい。きっと、メルさんたちの希望が七海さんに受け継がれたんですよ」
魔法少女というのは、基本的に年齢を重ねるほど弱くなっていくらしい。
キュゥべえが言うように、魔法少女に適した年齢があります。それを過ぎると、弱くなっていく一方なようです。
恐らく、キュゥべえが私たちの感情エネルギーを求めているなら、落ち着いて精神が大人になると感情エネルギー、それによる魔力が弱まっていくということなのでしょう。
それでも、七海さんは19歳にも拘らず、全盛期の強さを維持しています。
その理由こそ、メルさんたち仲間の希望を魔力として受け継いだからなのでしょう。
「そう、だったのね。かなえ、メル、みふゆ……」
七海さんは一粒だけ涙を流すと、目元を拭った。
その顔は、すでに弱さの見えない、とても強い人の顔だった。
「ごめんなさい。それで、私は何をすればいいの? ただ私に本当の魔法を伝えに来たわけじゃないでしょう?」
七海さんの理解の速さに感謝しつつ、私は作戦を伝える。
「はい。正直、このままではジリ貧です。だから、一気に決着を着けるために七海さんの魔法が必要なんです」
「短期決戦には賛成だけど……。そんな、ワルプルギスの夜を一撃で沈める技なんて、私にも無理よ?」
「分かっています。だから、コネクトを使うんです」
「コネクトを?」
首を傾げる七海さん。
「ここにいる全員でコネクトをします。そうすれば、今までとは比べ物にならないほど、凄い威力の一撃を撃てます」
「でも、どうやって……。まさか、それに私の魔法を?」
「その通りです。魔法少女の魔力は≒希望です。七海さんなら全員同時コネクトだって、きっとできます」
「私だって、魔法の制御はやってこなかったのよ。できるって確証は?」
「その未来を、私は視ました」
その言葉に、七海さんはため息をつくと、覚悟を決めた顔をしました。
「分かったわ、あなたを信じる。けど、もう一つ問題がある。全員同時ってことは、ワルプルギスの夜に対応できる人がいなくなる。ワルプルギスの夜だって、私たちが準備するのをただ待ってくれるとは思えないわ」
「それは私たちでなんとかします」
七海さんの疑問に答えたのは、凜さんと暁美さんだった。
「まず、私がワルプルギスの夜を相手取って、なんとか隙を作ります。そしたら、私が皆と合流したと同時に……」
「私が時間停止の魔法を使う。コネクトで全員触れていれば、私たちの時間は止まらない。そこで全員の魔力の波長を合わせ、ヤツに食らわせる一撃を作り上げるわ」
「あとは時間停止を解除して、隙のできたワルプルギスの夜に当てるだけ。時間はシビアだけど、七海先輩たちとならきっとやれます」
話を聞いていた七海さんは、ここで待ったをかけました。
「ちょっと待って。私たちが集まっている間、あなた一人で戦う気? 危険すぎる」
「大丈夫ですよ」
「何が大丈夫なの!」
「奥の手がありますから」
凜さんは自信満々に言いました。
ハッタリでもなんでもない。本気で出来ると確信している目。
その目を見て諦めたのか、七海さんは頷きました。
「……分かった。けど、危険だと思ったらすぐに逃げなさい。いいわね?」
「はい」
そうして、私たちは全員に作戦を共有しました。
「それでは、私の合図と同時に、皆さん集合地点まで集まってください」
トランシーバーで指示を出し、私は凜さんのほうを見る。
凜さんは、瞑想でもするように目を閉じて集中していた。
私は凜さんの集中を邪魔しないように、そっと声をかける。
「……凜さん、いけますか?」
「……うん!」
凜さんはゆっくりと目を開き、力強く答えました。
私は、凜さんの手を握ります。
「どうか、ご無事で……!」
「任せて」
凜さんは私の頭を一撫でし、笑いました。
凜さんは私から少し離れると、両手を祈るように組みます。
すると、ソウルジェムが強い輝きを放ち、凜さんを包み込みます。
そして、光の中から姿を見せた凜さんは、凄まじい魔力を纏っていました。
姿も少しだけ変化しており、両手にはガントレットが装着されており、髪も一部編み込まれていました。
「さあ、行こうか!」
DAY.32 Side RY
「さあ、行こうか!」
その言葉と共に、私は地面を蹴り、ワルプルギスの夜へと走りだす。
後ろでまばゆが皆へと合図したのを聞きながら、私は半壊したビル群を駆ける。
(身体が軽い……! 私の思い通りに身体が動く! これなら……!)
ワルプルギスの夜が放った炎を、双刃刀で受け止める。
私振るった刃は一切押し負けることなく、炎を真っ二つにする。
(すごい……! これならいける! ありがとう、みたまさん!)
ワルプルギスの夜はビルを次々と飛ばしてくるが、私はそれを足場として逆に利用し、ワルプルギスの夜に最短距離で到達。
「うらああああ!!」
炎と雷を纏わせた双刃刀の一撃は、ワルプルギスの夜を地面まで叩き落とす。
「まだまだぁ!!」
空中で魔法陣を蹴り、地面でバウンドしたワルプルギスの夜にもう一撃を与える。
ワルプルギスの夜は横へと吹っ飛んでいき、ビルへと突き刺さる。
本体を援護しようと、使い魔たちが集まってくるが、この程度敵じゃない。
「遅い!」
前方にいた6体を一閃で倒すと、ワルプルギスの夜へと追撃を仕掛ける。
(あと2分15秒! いけるか……!?)
腕に付けたタイマーをチラリと見る。
これがゼロになる前に決着をつけなければ。
ワルプルギスの夜は炎で瓦礫を包み、それらを艦砲射撃と見間違う密度で飛ばしてくる。
「くっ! この程度……!」
私は最低限の回避行動で、突っ走る。
ソウルジェムが活性化し感覚も研ぎ澄まされているのか、いつもより気配が分かる。
「ふっ!」
後方、斜め上から飛んできた瓦礫を避け、ワルプルギスの夜へと飛び込む。
しかし、私の攻撃は前方にせり出してきたビルを盾にされ、防がれる。
「って、これで止まるかってーの!!」
私は刃に魔力を込め、光波として魔力を撃ち出す。
光波はビルを貫き、ワルプルギスの夜へと命中する。
(あと2分!)
このままでは猛追を受けると思ったのだろう。
ワルプルギスの夜は風を起こし、上空へと逃げる。
「逃がすかぁ!」
私は空中に浮いた瓦礫を足場に、ワルプルギスの夜を追いかける。
ワルプルギスの夜が放つ火球を掻い潜り、また一撃。
が、攻撃した瞬間にワルプルギスの夜から鞭のような触手が飛び出し、私をはね飛ばす。
「ぁうっ!」
私は瓦礫を3つほど突き破り、ビルの屋上へ叩きつけられる。
(くっ! 私を捉えられないからって、カウンターで……!)
私は怪我したところを魔法で治す。
活性化のおかげで、魔法の効果も凄くなっている。怪我も一瞬で治せた。
(こんなことろで……!)
「負けて、たまるかぁーーー!!」
私は再び、ワルプルギスの夜へと突っ込む。
ワルプルギスの夜も次々と攻撃を繰り出し、私を迎え撃つ。
お互いの攻撃がぶつかり合い、お互いを削っていく。
ワルプルギスの夜の攻撃は苛烈。けど、ここで一歩も引くわけにはいかない。
(私にだって、守りたい人たちはいる! 最後まで、守り通してみせる!)
「おりゃああああああ!!!」
ワルプルギスの夜の隙をついて、一撃。
(あと1分25秒!)
炎を正面から相殺し、一撃。
(1分13秒!)
使い魔を巻き込んで三連撃。
(あと1分!)
時間が無いことを示すように、ソウルジェムの光が明滅を始める。
「これで……」
ワルプルギスの夜がビルにぶつかり止まったのを見逃さず、私はそこへ突っ込む。
「終わりーーーー!!!」
突っ込んだ勢いそのままに、全身全霊の一撃を叩き込む。
「いけええええ!!」
私の一撃は、ワルプルギスの夜をビルごと後ろへ押していき、その後ろにあったビルにぶつかる。
轟音とともにビル2つが崩れ、その雪崩にワルプルギスの夜が飲まれていく。
(あと32秒!)
着地と同時に、私は集合地点まで走りだす。
瓦礫と炎を超え、皆の待つ場所へ。
「凜! こっちよ!!」
ほむらの声が聞こえた。
私は地面を蹴り、声のした場所へと飛び込む。
「ほむらー!」
ほむらが手を広げているど真ん中へと飛び込む。
ほむらは少し後ろに下がりながらも、私をしっかりと受け止めてくれた。
私は強化変身を解き、ほむらと顔を合わせる。
「ナイスキャッチ、ほむら!」
「残り13秒……。全く、無茶するわね……」
と言いつつも、口元が少しだけ笑っているのを私は見逃さなかった。
からかってみたいところだけど、生憎今は時間がない。
「じゃあほむら、お願い!」
「ええ! 皆も、頼むわよ!」
その言葉に、全員が手を繋ぎ、1つの円を作る。
それを確認したほむらは、盾を回して時間停止。
全員が魔力の波長を合わせていく。
(盾の砂がもうほとんどない……。多分、これが最初で最後のチャンス。お願い、上手くいって……!)
皆の魔力の波長が、徐々に合っていき、そして……。
「きた! 皆!」
私の声に、皆が頷く。
「「「「「コネクト!!!」」」」」
全員の声が揃う。
「お願いします、やちよ先輩!」
私たち全員の魔力と希望は、やちよ先輩へと託された。
DAY.32 Side YN
全員が揃い、世界の時間が止まる。
皆の魔力の波長が合っていくのが、手に取るように分かる。
生まれも価値観も、ここまでの人生も、全てがバラバラだった皆の力が、1つになろうとしていた。
そして……。
「「「「「コネクト!!!」」」」」
全員の魔力が同調し、私へとなだれ込んでくる。
皆が私を信じて、託してくれた希望。
私は、それを全身で抱き止める。
今の私には、それができる。
(かなえ、メル、みふゆ……。ずっと見守ってくれていたのね……)
愛生さんに自分の本当の魔法を教えてもらってから、私は自分のソウルジェムを探っていた。
今までは気づけなかったけど、自分の魔法を自覚できた今なら分かる。
彼女たちの希望は、ずっと私と共にいてくれたのだ。
どんな時も、ずっと。
いや、彼女たちだけじゃない。
鶴乃も、凜も、ももこも。皆、私に寄り添おうとしてくれていたんだ。
どれほど残酷な運命が待ち受けようと、私と一緒にいたいと、そう言ってくれていたんだ。
(もう恐れない。皆が信じて、託してくれたんだもの。それに、私は応えたい)
ふと、声が聞こえた気がした。
かなえの静かで見守ってくれているような声。メルのうるさいくらい元気な声。みふゆのおっとりとした安心する声。
彼女たちの声に、背中を押してもらった気がした。
「やちよ先輩! お願いします!」
凜の声が響く。
私たちの、可愛い大切な後輩の声。
私はそれに応えるべく、毅然とした態度で答えた。
「ええ、託されたわ!!」
暁美さんの時間停止の魔法が解ける。どうやら、盾の砂が落ちきったようだ。
だが、問題ない。
私は皆から託された希望を、私の魔力と合わせ、巨大な槍を生成する。
ワルプルギスの夜は瓦礫を吹き飛ばし、上空へ戻ろうと動き出す。
私は槍を上空へ移動させ、自分も武器を足場に空へと駆け上がる。
(狙うは上部の歯車!)
私は槍を掴み、ワルプルギスの夜を狙う。
魔力の稲妻が走り、スパークを繰り返す。
ワルプルギスの夜も、その絶大な魔力に気づいたようで、私のほうを向く。
マズいと思ったのだろう。
ワルプルギスの夜は私に向けて炎を放つ。
けど、そんなもので私たちの希望を砕けると思わないでほしい。
「これで……、終わり!!!」
私は力の限りを込めて、槍を投げる。
私たちの希望の槍は、大気を貫き、ワルプルギスの夜の炎も物ともせず、ワルプルギスの夜へと直進。
そして、ついにワルプルギスの夜の歯車へと突き刺さった。
いくつもの光芒が生まれ、虹のような魔力の粒子が拡散。
その直後、この地域全てを包みような明かりとともに、大爆発を起こした。
DAY.32 Side MA
その光景は、私の網膜に強く焼き付いていました。
爆発による轟音も気にならないくらい、私は目の前の光景が信じられませんでした。
七海さんの放った槍は確実にワルプルギスの夜を捉え、その一撃を叩き込みました。
爆炎の中に沈むワルプルギスの夜。
全員の魔力を合わせた一撃は、あの絶望の魔女にさえ届いたのです。
「勝った……?」
誰かがそう言いました。
いや、もしかしたら私自身だったかもしれません。
それくらい、今の現実が信じられませんでした。
でも、そうです。
勝ったんです、私たちは。
絶対に超えられないんじゃないかとさえ思った時もあった、絶望の夜を皆で越えられたんです。
なんだか力が抜けて、私は地面に座り込みます。
「まばゆ」
「あ、暁美さん……」
こういうとき、最初になんて話せばいいんでしょう。
やったね、と一緒に喜ぶべき? それとも、おめでとう、と祝う? それとも、お疲れさま、と労ってあげる?
コミュ障の私には正解が分かりません。
(ああ、そう言えば名前で呼ぶことを約束してましたね)
それなら最初はそれがいいかもですね。
「ほ……」
「避けて!!」
私の言葉を遮ったのは、凜さんの叫び声。
直後、光と衝撃が私を襲い、私の視界は洗濯機に放り込まれたかのようにグルングルンと回ります。
吹き飛ばされたのだと理解し、なんとか受け身をとります。
そうして顔を上げた私が見たのは……。
「うそ、ですよね……?」
未だ健在の、ワルプルギスの夜でした。
DAY.32
えええええええええええええええええ!? なんでえええええええ!?
ワルプルギスの夜、死んでないやん!
どうしてくれんの、これ?
こんなのボクのデータにないぞ!(無能データキャラ並感)
というか、ここで倒しきれなかったってことは……。
……やっぱり第二形態だあああああああああ!!
あああああああああ! ああああああああああ!!
テメーーーー!! なぁにしてんだあ!!!
(第二形態戦は)マズいですよ!
ヤベえよ、ヤベえよ……!
さすがにこれは想定外すぎる! 外すならともかく、当たってたやん!
ああっ! (第二形態戦が)もう始まってる!
あかん、このままじゃ皆死ぬぅ!!
とはいえ、もうこれ以上プランはないし……!
もうダメだ、おしまいだぁ……。(ヘタレ王子)
再走は嫌だ、再走は嫌だ……!
DAY.32 Side HA
活動を再開したワルプルギスの夜によって、私たちの状況は混迷に陥っていた。
最初の一撃で、全員を庇おうとしたさなと凜が負傷。
間髪入れずに使い魔たちが殺到したことで、私たちは各個対処するしかなくなった。
さらに、ワルプルギスの夜は今まですら本気でなかったとでも言うように、さらに凄まじい魔力を漲らせ、強力な攻撃を連発してきたのだった。
私たちの連携と戦線は完全に崩壊。
防戦で何とか被害を出さないようにするので精一杯だった。
見滝原の街が、崩れ去っていく。
思い出の場所も、全て嵐に飲まれていく。
襲いかかってくる使い魔に風穴を空け、なんとか近くの使い魔は殲滅した。
背中を任せていた、まばゆと旭も使い魔を倒しきったようだった。
「なんとか、最初の波は乗り切ったでありますな。しかし……」
旭はそれ以上言わなかった。
言われなくても分かった。この状況が最悪だということは。
皆、先ほどの一撃で決まると思っていた。というより、あの一撃で決めるしかなかった。
あれだけかき集めたグリーフシードも底をつきかけている。人によっては、すでに配った手持ちが無くなった子も出てきているかもしれない。
そもそも、皆が今無事なのかも分からない。私たちのトランシーバーはワルプルギスの夜の一撃で壊れてしまった。
テレパシーで常に呼びかけているが、遠くに離れてしまっていてはテレパシーだって届かない。
誰が無事で、誰が怪我をしているのか。もしかしたら、もう誰か……。
嫌な想像を頭を振って振り払う。
(大丈夫、まだ立て直せる。まどかと約束したんだもの。ここで引くわけには……!)
私は改めてワルプルギスの夜を見て。
背筋が凍った。
私たちの反撃が弱くなったことを確認したワルプルギスの夜は移動を開始。
その先にあるのは……、避難所だ。
「暁美さん!? 待って!!」
まばゆの制止を振り切り、私は駆け出していた。
他の皆の状況が分からない今、頼れる人はいない。
(それなら、私だけでも……!)
もう時間停止も使えない。それでも、ここで食い止めなければ全てが終わりだ。
(これ以上進まれたら、避難所を襲われる!)
行く手を阻む使い魔たちを、両手に持ったサブマシンガン二丁で蹴散らしてワルプルギスの夜へ迫る。
弾切れしたサブマシンガンを捨て、盾から軽機関銃を取り出す。
「うああああああ!!」
絶叫を上げながらトリガーを引き、ワルプルギスの夜へと突っ込む。
少しでも私に注意を向けさせるため、私は叫び続ける。
「うああああああああああ!!!」
もしかしたら、叫んでいないと耐えられなかったのかもしれない。
ここまでやっても負けてしまうかもしれない、という現実に。
そんな私を嘲笑うが如く、ワルプルギスの夜はゆっくりとこちらを向き、ビルの残骸を飛ばしてくる。
私はそれをギリギリで避け、反撃に移ろうとしたところで。
ビルの残骸の後ろに隠されていた火球に直撃した。
(どうして……?)
私の身体が宙を舞う。
(何度やっても、アイツに勝てない……)
まばゆの声が遠くに聞こえる。
けど、なんて言ってるか分からない。
(いいえ、まだよ……。今回は惜しかった。次こそは……!)
私は盾に手をかけたところで、その手を止めた。
(ここで繰り返しても、アイツに勝てるの? こんなにたくさんの人が協力してくれた、奇跡のような状況でも勝てないのに……?)
身体に一瞬の無重力を感じた後、私の身体は引力に引かれ落下を始める。
(繰り返せば繰り返すほど、まどかの犠牲が積み上がっていく……。いや、まどかだけじゃない……。私に協力してくれた全員の屍を、私は積み上げてしまう……)
身体だけじゃなく、心も落下していくような感覚だ。
深く、深く、暗く冷たいところへ。
(私はあとどれだけ、大切な人たちを犠牲にすればいいの……?)
それは、これまで考えないようにしていたこと。
まどかを救うことだけに集中し、思考の外に追い出していたことを突きつけられる。
私の支えになってくれたまばゆ。私たちを助けるために奔走してくれた凜。
皆、私が関わらなければきっと、もっと幸せな人生を歩めていたかもしれない。少なくとも、今より命がけの戦いに身を投ずることはなかっただろう。
(私は、私の願いのせいで……。私がバカな希望を願ったから……)
まどかの力になりたくて、彼女みたいに誰かを救える人間になりたくて。彼女の太陽のような在り方に憧れてここまで進んできて、その結果がこれか。
まどかどころか、こんな私と仲良くしてくれて、協力してくれた人たちすら満足に守れない。
(ああ、結局……。私には誰かを守るなんて……)
過ぎた夢だったんだ。
不意に、背中に誰かの手が触れた。
直後、身体の落下が止まり、慣性が内臓にのしかかる。
「っ……?」
背中の温かい感触に、誰かに抱き止められたのだと徐々に理解する。
閉じていた目をゆっくりと開ければ、最初に目に映ったのは黄緑色の髪。
「ハァ~~……」
続いて、頭の上から降ってきたため息。
「せっかくワルプルギスの夜が来るっていうから、神浜からやって来たのに……」
私は目線を上に上げ、ため息をついた人物の顔を見る。
「こんなんじゃ興醒めもいいところだヨネ」
黄色のメッシュを入れたその人の、深い緑色の瞳と目が合う。
「あなた……」
私を抱きかかえていた、その人は……。
「アリナ的に、超バッドなんですケド」
「……誰!?」
全然、知らない人だった。
ウィイイイイイッス! どうも〜投稿者で〜す。
えー今日は、まばゆちゃんガチャを引いてきたんですけども。
ほんでまー100連くらい回したんですけども……。
まばゆちゃんは、誰1人……、来ませんでした……。
どうしてだよおおおおおお!!(藤原○也並感)
ちなみにれんぱすと鶴乃ちゃんはお迎えできました。
違う、そうじゃない。
でも、可愛いからOKです!(ヤケクソ)
ガチャの爆死には気をつけよう!(チーン)