魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得   作:くろしゅー

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(チェンソーマン面白かったので)初投稿です。



DAY.88 境界線

 

 

 

 

 

 中学生探偵を目指す実況、はーじめーるよー。

 

 

 前回は、神浜にやって来て、みたまさんから情報を得たところまででしたね。

 

 どうやらユリちゃんが気になることがあったようで、目的地が設定されました。次の目的を果たす前に、先にそちらを片付けましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.88

 

 

 

 

 

 さて、ユリちゃんによって指定されたピンのところに着きました。

 

 場所は南凪区、鏡屋敷。

 

 

 

 

 って、ユリちゃんの行き先、果てなしのミラーズかい!

 

 (いきなり敵の本拠地殴り込みは)マズいですよ!

 

 

 お? ユリちゃん、みことちゃんに確認することでも?

 

 

「ねえ、みことちゃん。鏡の魔女の鏡って、今はどれくらいまで繋がれるの?」

「う~ん、正確なところまでは……。今はもうかなり広範囲に繋がれるけど……」

「それなら、聞き方を変えるね。並行世界……、いや、多次元宇宙に繋がれる?」

 

 

 並行世界? そりゃあまあ、果てなしのミラーズなら行けるでしょう。コラボイベントの常連だし、ミラーズランキングの開催地だし。

 

 ミララン、覇権キャラ、順位……。うっ、頭が……。(忌まわしき記憶)

 

 

 

 ともかく、なんでその質問?

 

「並行世界……。多分繋がれると思うけど、それが爆発と何か関係あるの?」

 

 そうだよ。(便乗)

 

「あくまで可能性の話だけど、サルベーション・ブルームを引き起こしてるエネルギー。多分、別の宇宙からエネルギーを持ってきているんじゃないかな」

 

 

 は?(猫ミーム)

 

 

「何かの本で読んだことあるんだけど……。宇宙ってのは一つじゃなくて無数に存在しているって考え。これをマルチバース論っていうんだけど。その考えの中に、別の宇宙には別の法則が存在しているって考え方があるんだ」

 

 あー、そーゆーことね。完全に理解した。(理解してない)

 

「てことはだよ? 私たちの宇宙に相容れない法則が入り込んできたら、宇宙が拒絶反応するんじゃないかなって思って。里見教授は、宇宙を一つの生命体に見立てて、それの生存に必要だから魔法少女は魔女化を望まれてるって説を提唱してるんだ。それなら、別の宇宙の法則という、型の合わない血液を注入すれば、宇宙は拒絶反応を起こしてそれを体外へ出そうとする」

「それが、あの爆発?」

「それを調べにいくんだよ」

 

 

 あっ、そっかぁ。(池沼)

 

 

 

 私はそんなこと、微塵も思い浮かばなかったゾ。

 んで、その証拠を見つけるために、果てなしのミラーズに潜るというわけですか。

 

 

 はえー、すっごい……。

 凜ちゃん頭良っ。

 

 

 

 

 つっても、証拠なんてどこにあるのよ?

 

 とりあえず使い魔蹴散らしつつ進んでますが、全然検討つかないんですけど。

 

 

 お? なんかピンが刺された場所がいくつかありますね。

 これが調査ポイントってことでしょうか。

 

 とりあえずユリちゃんの勘を信じて、片っ端から調べますか。

 

 

 

 まずはこの鏡。

 

 うげっ! 本当に魔女が集まってる。すごい数がひしめきあってるのが、ここから見えますね。

 やべぇよ、やべぇよ……。

 

 

 みたまさんの言うとおりですね、クォレハァ……。

 これに突っ込むのはさすがに止めときます。十中八九、ユリちゃんがマミってしまうので。

 

 

 あ、左上に情報取得ってメッセージが出ましたね。

 調査・推理パートではこのように、手がかりのある場所を調べて、調査対象に繋がる情報を得ていきます。これを繰り返し、推理で真実を探っていく形ですね。

 まあ、どの情報がどこで使えるかは私にも分かりませんが。サルベーション・ブルームなんて、私も初見の現象ですし。

 

 とにかく、この調子でじゃんじゃん進めましょう。

 

 

 

 さて、次のポイント。

 ここにあるのは……、どこかに繋がる鏡でしょうか。6枚ありますね。

 

 近くで見てみると、神浜各地の様子が見て取れますね。

 新西区、北養区、参京区、中央区、工匠区、大東区の6箇所と繋がっているみたいですね。

 

 うーむ……。これがどういうことなのか、私にはさっぱり分かりません。

 強いて言えば、株分けの魔女の活動の活発化は事実だ、としか分かりませんね。神浜にこんな数の株分けの魔女いませんでしたし。

 

 なぁにこれぇ?(YUG並感)

 

 

 

 ……よく分からんけど、とにかく証拠集め、ヨシ!(現場猫)

 さあ次、次!

 

 

 

 

 今度のポイントは……。

 

 また別の場所に繋がってる鏡ですね。何枚かの鏡がズラッと並んでます。

 えーと、繋がってる場所は……。

 

 

 はへー。

 左から順に、あすなろ市、ホオズキ市、見滝原市、霧峰村、二木市、湯国市ですね。

 外伝を合わせた、まどマギシリーズのメインとなった舞台が見えていますね。

 

 

 ん? 二木市?

 

 

 ……ああ、そういうこと!

 ここ多分、先ほど見た魔女たちを集めるのに使ってた鏡ってことですね。

 

 先日、ユリちゃんが取材に訪れたときにさくやちゃんが「魔女がいきなり減った」って言ってましたけど……。それの原因が、鏡の魔女による魔女の収集だったってことですね。

 

 げ、あれも伏線だったのかよ……。(げんなり)

 

 

 

 

 とりあえず、ここの調査終了で……。

 

 なに、ユリちゃん。まだ調べるところがあるの?

 

 

 アイコンに表示されたのは……。えっ!? この繋がってる鏡の先、調べるの?

 

 あっ! しかも右上に【0/1】って表示されてる!

 これ、1回しか調べられないから、一発で正解引き当てないとダメなやつですね。

 クソが。(悪態糞土方)

 

 

 えーと、待て待て。

 今回の調査の目的はサルベーション・ブルームの原因を突き止めることで、ユリちゃんが仮説としたのが別宇宙のエネルギーなんだから……。

 要は、別の宇宙に繋がっている証拠を調べればいいわけですよね。

 

 と言っても、ここまでの鏡に別宇宙に繋がってそうな鏡は無かったし、ここの選択肢の鏡にも判別できるものは無い。

 そもそも別宇宙に繋がる鏡なんて、厳重に守られているはずです。だからこの鏡の行き先も、この宇宙の街に繋がっているだけでしょう。なので、ここの鏡を調べても証拠が手に入るとは思えないんですけど……。

 

 

 ん~? どういうことだ?

 恐らく先ほどの二木市のパターンからして、みことちゃんルートが始まったときからの出来事にヒントがあるはずですが……。

 

 

 別宇宙、別の街、外伝……。

 

 

 

 もしかして、これか……?

 メタ読み推理にはなってしまいますが、ヒントがあるとしたら、消去法でここしかないですね。

 

 

 ということで、選ぶ鏡は見滝原市の鏡にします。

 

 

 

 さて、鏡を抜けてみると、そこは見滝原市のコンビニ。

 ってことは、私の予想は正解っぽいですね。恐らくこの辺りに目的の人物が……。

 

 

 お、いたいた。

 さっそく話しかけましょう。

 

 

 って、早速小銭落としてる。

 

 すいまへぇ~ん、夕凪ですけどぉ。小銭、落としましたよ。

 

「えっ? あ、あれ? 本当だ……」

 

 大丈夫か?大丈夫か? (財布の中身が)バッチェ冷えてますよ~。

 

「あっ、はい……。えと、……どうも」

 

 今度は落とさないよう気をつけるんだゾ。

 

 

 

 

 さて、視聴者ニキたちは今ので気づきましたかね。

 今の暗~い感じたの黒髪の女の子。あれ、呉キリカちゃんですね。しかも、契約前の。

 

 今回のScene0エディション。話の整合性を考えてか、外伝は基本起きなかったことになってます。特に原作組が関わっているような外伝の話は。

 つまり、キリカちゃんも契約しておらず、契約前の暗い性格のままです。

 ユリちゃんやまばゆちゃんとも同学年なので、学校でも探そうと思えばすぐに見つかるとは思います。が、試走で調べた限り、こちらからかなり干渉しないと契約には至りません。

 

 

 とにかく、ここでは彼女が契約していないこと自体が鍵なんです。

 

 

 それに……。

 

 あ、あっちにも見知った顔が。あの長いプラチナブロンドの髪とサイドテール、それにボンキュッボンなスタイルは!

 ちょっと声かけてみましょう。

 

 オッスオッス!

 

「……? どちら様でしょうか?」

 

 スマン、人違いだったゾ。(大ウソ)

 

「は、はぁ。お知り合いに私と似た顔の人でも?」

 

 いやあ、顔というか声というか……。

 ともかく間違えてスマソ!

 

「……もうよろしいでしょうか? 私も忙しいので……」

 

 あ、行っちゃった……。

 

 

 はい、今の死んだような目をしてた彼女こそ、おりこ☆マギカシリーズ主人公、美国織莉子ちゃんですね。

 今の会話で手を確認しましたが、やはり魔法少女の指輪はありませんでした。つまり契約もしておらず、彼女は父親の自○に今も苦しめられたまま、ということですね。カワイソウニ、カワイソウニ……。

 

 ま、そんなことはどうでもいさ。(クズロット)

 

 

 先ほどのキリカちゃんと織莉子ちゃん。二人とも魔法少女に契約してないと、今までの事象と矛盾しますよね?

 

 そう。彼女たちが契約してないなら、先日まばゆちゃんたちとバトった織莉子ちゃんたちのコピーはどこで型を取られたのでしょう?

 

 

 

 

 つまり……。

 鏡の魔女の鏡が別宇宙に繋がっている証拠は、これだ!(パリーン!)

 

 

 この宇宙の織莉子ちゃんたちが契約してないなら、契約した織莉子ちゃんたちから型を取るしかありません。

 つまり、鏡の魔女はこの宇宙とは別の宇宙で、織莉子ちゃんたちの並行同位体から型を取ることで、コピーとしてまばゆちゃんの前に出現させたんですね。

 これは鏡の魔女が別宇宙にも干渉できる立派な証拠です。きっとあの結界のどこかに並行世界に繋がる鏡もあるのでしょう。

 

 

 となると、サルベーション・ブルームという爆発現象の正体も、ある程度予想がつきました。

 サルベーション・ブルームというクッッッソ意味深な名前から考えても、恐らくあのエネルギーは……。

 

 

 

 ともかく、一旦果てなしのミラーズに帰還ですね。

 考えを纏めるのはその後です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい、果てなしのミラーズに戻ってきました。

 

 そんなユリちゃんたちを待ち構えていたのは、たくさんのコピーたち。

 

 

 なにっ!?と思ったニキたちもいるでしょうが、このイベント自体は結構発生します。

 先ほどの調査回数制限。ミラーズであれが表示される場合、大体回数制限に達するとコピーたちが妨害してきて、調査はそこで終了となってしまいます。

 

 だから1回で正解を引く必要があったんですね。(メガトン構文)

 

 

 

 さて、今回の相手のコピーたちは……。

 

 

 

 うぉっ。かずみちゃんたちに、鈴音ちゃんたち。

 鏡の魔女の知る由もないことですが、外伝主人公組勢揃いです。今回調査した鏡が外伝組の街だったからですかね。

 

 

 数にして約12。2外伝のメインメンバーで固まってますね。

 

 

 こんな数に勝てるわけないだろ!

 

 馬鹿野郎お前、オレは勝つぞお前!(手のひらスクリュー)

 

 

 

 

 

 ということで、ミラーズのコピー戦、スタートです。

 

 

 ミラーズのコピーですが、この前の株分けの結界でユリちゃんが織莉子ちゃんコピーを瞬殺したように、一体一体はそんなに強くありません。

 体力は低いですし、固有魔法も使えません。モーションこそ一緒ですが、動きも単調です。

 

 なので……。

 

 はい、パリィ。

 

 突っ込んできた牧カオルちゃんの蹴りをいなして、双刃刀をぶっ刺します。

 ほら、一撃で倒せました。

 

 一応、コピーの精度が上がればその分強くなりますが、そんな個体はポンポン生み出せません。

 なので、大半はここにいるような雑魚ばかりです。勝ったな、ガハハ。

 

 

 

 他のキャラも斬りかかってきますが、フレーム回避。

 

 

 この調子で進めましょうか。

 ということで、見所あるまで114514倍速。甥の木村、加速します。

 

 

 

 

 

 

 魔法少女奮戦中……。

 

 

 

 

 

 

 

 はい、あっという間に残り2人になりました。

 

 残るはかずみちゃんと鈴音ちゃんのコピーだけですね。

 外伝組の活躍? そんなもの、ウチ(このチャート)にはないよ……。

 

 

 というわけで、最後はマギアでフィニッシュです。

 

 じゃあ、ぶち込んでやるぜ!

 

 

 

 

「っ!?」

 

 ん? ユリちゃん、どうし……。

 

 

 

 

 ほあああああっ!!(CNVY司令官並感)

 

 

 

 

 

 いっっっっっっったっ!!!

 

 

 なになになに!?

 横からクソデカ光波食らったんですけど!?

 体力半分持っていかれたんですけど!?

 

 

 

 あ、ちょ、鈴音ちゃん待って!

 

 

 オォン!(被弾)

 

 

 

 痛いんだよぉ!(ブチギレ)

 このタイミングで追撃してきやがって……。もう許せるぞオイ!

 

 

 

 クッソ!

 さすがにこの体力で謎の光波が何なのか分からない以上、ここは撤退ですね。

 せっかくいい経験値稼ぎになると思ったのに。あーもう(作戦が)メチャクチャだよ。

 

 

 

 ヒィィィィ!!

 

 コピーの2人がまだ追ってくる!

 

 

 助けて! ライダー助けて!(届かぬ想い)

 

 

 

 

 

 

「ここは任せろ」

 

 ん!? あなたは!?

 

「久しいな、夕凪くん。だが、再会の挨拶は後にしよう」

 

 和泉十七夜さん! どうしてここに……。

 

 とにかく、助かった~!

 

「悪いが抱えさせてもらうぞ! 掴まれ!」

 

 きゃっ。十七夜さん、大胆……! さすが、みたまさんを堕とした女だ。面構えが違う。これがマギレコ屈指の夢女製造機の力か……。

 

 こら、ユリちゃん。地味に顔赤くしてんじゃないよ。

 ユリちゃんさぁ。ほむらちゃんといい、みことちゃんといい、顔の良い女にちょっと弱すぎない? おじさん心配だよ……。(謎目線)

 

 

 

 

 というわけで、十七夜さんの活躍もあり、何とか果てなしのミラーズから脱出できました。

 生きてる~!(感激)

 

 

 十七夜さん、ありがとナス!

 

「礼には及ばん。安名の大切な友人を、死なせたくはないからな」

 

 あ、そっか。ユリちゃん、メルちゃんと仲良かったですからね。メルちゃんを気にかけていた十七夜さんからの好感度も高めということですね。

 

「それに、自分もキミとは話したかったところでな」

 

 話したかった? ユリちゃんに何の用だゾ?

 

「その通りです」

 

 ん? このCV:M・A・Oネキの凜とした声……。ま、まさか……!

 

 

 

「お久しぶりですね、夕凪凜さん。私は常磐ななか。覚えていますでしょうか?」

 

 

 

 ああああああ、ああああああああ!!

 

 やっぱりななかさんだーーー!!

 

 

 テメー(十七夜さん)! 何してんだぁ!

 

 

 

 

 

 ということで、今回はここまで。

 ご視聴、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.87 Side MA

 

 

 

「はぁ……。凜さんと話せないなぁ……」

 

 

 お店の後片付けをしながら、私は独り言を呟きます。

 

 

 

 

 先日、鹿目さんに相談されてから、私は凜さんにそれとなく聞いていました。

 悩みはないか、相談があるなら乗る、と。

 

 しかし、凜さんはいつもの笑顔で「大丈夫だよ」と言うばかり。

 

 しかも、ここ最近の凜さんはどこか私たちを避けているようで。

 

 

 

(結局、話せないままダラダラと過ごしちゃいましたね……)

 

 はぁ、と再びため息が漏れてしまいます。

 

(なんか、前に戻っちゃった感じ……)

 

 

 ワルプルギスの夜を倒す前の、心を閉ざしていた凜さん。今の凜さんは、その雰囲気が戻ってきているようでした。

 

(多分、私たちが嫌われたわけではない、はず……。凜さんが誰かを遠ざけるときは、決まって自分が周りを不幸にすると思ってるとき。つまり、自分の問題に巻き込みたくないとき)

 

 凜さんはそういう人です。優しすぎて、逆に周りを心配させる。そんな不器用な人。

 

 となると、凜さんは私たちに危険が及ぶことが考えられるほど、危険な事態に巻き込まれてる可能性があります。

 もちろん、私としてはそんなこと見過ごせません。絶対に力になってあげたいと思っています。

 

 けど、そうなると……。

 

(凜さんが何に巻き込まれてるか、何が助けになるかを知らないといけないんですよねー……。ああ、結局最初の問題に戻ってきてしまいました……)

 

 そう。やっぱり凜さんから事情を聞かないと、どうしようもないのです。

 せめて、何か凜さんが巻き込まれることの手がかりでもあればいいのですが……。

 

 

 

 家に帰り、布団へと潜り込むまで考え続けましたが、良い案は浮かびませんでした。

 

(ほむらさんに……。いやいや、それもダメですね。私が言えたことじゃないですが、ほむらさんも大概人とコミュニケーション取るのが苦手ですし……。マミさんも、凜さんの心の壁を乗り越えるようなイメージは湧きません)

 

「うあーー!」

 

 段々頭が痛くなってきた私は、頭をガシガシと掻くと、そのまま布団にくるまりました。

 

(明日は凜さん、神浜に行くようですし。その間に何か考えますか……)

 

 半ば思考放棄のように、私は眠りにつくことにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目を開けると、そこは学校への通学路でした。

 

「えっ……」

 

 前方には小さく、学校の校門が見えます。横には川が流れており、とても見慣れた光景でした。

 

 

 

 空が暗い緑色で、川の水が紫色なことを除けば、ですが。

 

 

 

 

 ふと、私は足下で何か動いたのが目の端に入り、私は目線を下へと向けます。

 

 足下にいたのは、黒いトカゲでした。自分の存在を気づかせるように、私の足をペチペチと叩いていました。

 

「トカゲ……?」

 

 私が声を発したことで、トカゲも私が見ていることに気づいたのでしょう。

 トカゲは私から離れると、私の後ろへと走っていきました。

 

 私もトカゲにつられ、視線を後ろへと移します。

 

 

 そして、目を見開きました。

 

 

 

 私の後ろには、お茶会でもするようなパラソル付きのテーブルがあり、そのすぐ側にある椅子に腰掛けた一人の少女が、私を見ながら妖艶に微笑んでいました。

 

 

 トカゲは少女の方へと駆けていき、テーブルの上に乗ります。すると、少女はトカゲに手を差し出します。トカゲはその手を伝って少女の肩に登り、その姿をイヤーカフへと変え、少女の耳にぶら下がりました。

 

 すると、少女が言葉を発します。

 

「久しぶりね、愛生まばゆ」

 

 私は彼女を知っています。いや、正確に言うと、たった今思い出しました。

 私の知ってる少女と瓜二つで、けれど何かが違う少女。

 ワルプルギスの夜との戦いの後、私の前に姿を現した少女。

 

 

「ほむらさんの……、そっくりさん!」

 

 私の声に、彼女はピクリと眉を動かします。

 

「……もう少し、呼び方はなんとかならなかったのかしら」

「えっ? あ、いや、ほむらさんって呼ぶと、私の知ってるほむらさんと一緒になっちゃいますし、かといって、それ以外の呼び方も……」

 

 私を見つめる少女の目に呆れの色が混じります。

 

「はぁ……。あなたはそういうところあるわよね」

 

 少女は手元に置かれたティーカップを手に取り、得体の知れない飲み物を口にすると、私に言いました。

 

「呼び方に困るなら、私のことは悪魔、とでも呼んでくれればいいわ」

 

 少女、いえ、悪魔さんはそう言いました。

 

(呼び方を指定してくれるのは助かりますけど……。正直、厨二びょ……。いやいや、失礼ですよ、愛生まばゆ! 本人の自認がそうなんですから、私が気にすることではないです。……それにしても『あくま』って。『あけみ』さんの文字を一個ずつ上にずらしただけじゃ……)

 

「あなた、失礼なこと考えてない?」

「い、いえいえ! そんな、とんでもない!」

 

 なんだか思考を読まれてる気がしたので、私はそれ以上考えないようにしました。

 

 

「ところで、悪魔さんは私に何の用です? 前に会ったときは、もう二度と会わないみたいな雰囲気でしたけど……」

「状況が変わったのよ。あなたに会った理由は、警鐘を鳴らすためよ」

 

 先ほどまでとは打って変わって、真剣な雰囲気を纏う悪魔さん。

 それに影響されて、私も自然と背筋が伸びます。

 

「あなたたち、鏡の魔女と戦ったでしょう?」

「え? ええ。戦いましたけど……。それが?」

「なら、話は早いわ。すぐに鏡の魔女を倒しなさい」

 

 悪魔さんの言葉に、私は理解が追いつかず、聞き返します。

 

「ちょ、ちょっと待ってください。な、なんでいきなり? ……もしかして、あの爆発と関係が?」

 

 咄嗟に思い至った私の質問に、悪魔さんは静かに頷きます。

 

「その通りよ。あれを放置すれば世界が……。いえ、この宇宙そのものが破局を迎えるわ」

「は、破局って……。あれ、一体なんなんです!?」

 

 悪魔さんから飛び出た荒唐無稽な言葉に、私の語気は思わず強くなります。

 

 一方、私の態度とは対照的に、悪魔さんは凪いだ雰囲気を崩しませんでした。

 

 

 悪魔さんは少し説明しあぐねるように遠くを見つめていましたが、やがてゆっくりと口を開きます。

 

「そうね……。あの爆発を引き起こしているのは、こことは別の宇宙にあるエネルギーよ」

 

 悪魔さんは私に問いかけます。

 

「あなた、並行世界とかは理解できる?」

「え? ああ、それはもちろん……。映画とかでもよく出てくる設定ですし……」

 

 悪魔さんは「なら、その辺の説明は不要ね」と言葉を続けます。

 

「あれは、こことは別の宇宙で生まれた、とある理の力よ。世界中から魔女を消し去りたいと願った、ある少女が生みだしたね」

「それって……」

 

 私はその物語を知っていました。

 だってそれは、ほむらさんと別れるキッカケとなった未来視で、私が視た未来。私が辿るはずだった結末で起きた出来事なのですから。

 

 

「だから、並行世界……」

 

 私が納得した様子を見て、悪魔さんは続きを話します。

 

「理解が早くて助かるわ。だから、本来その宇宙の事情はこの宇宙には関係のないことだった。しばらく前までは」

 

「けれど、鏡の魔女の力が増し、並行世界へとアクセスできるようになってしまったことで、鏡の魔女はその宇宙を見つけてしまった」

 

 私は悪魔さんに、浮かんだ疑問を尋ねます。

 

「けど、どうしてそれが爆発に繋がるんです? 並行世界だからといって、普通そんなことには……」

 

 すると、悪魔さんは説明を始めます。

 

「それこそ、さっき話した理の力が関係するのよ。少女が生みだした理の性質は、魔女を生まれる前に消し去ること。つまり、魔女が生まれないような宇宙に作り替えるものなの。けれど、この宇宙には当然その理がないから、普通に魔女も存在している。そんな状態で、魔女を消す理の力が流れ込んでみなさい」

 

 悪魔さんの説明を聞き、私は彼女が伝えようとしていることの輪郭が、徐々にはっきりとしてきました。

 

「この宇宙は魔女が存在するようになっている。対して、あちらの宇宙では魔女が生まれないようになっている。そんな相反するルールを持つ宇宙同士が接触すれば、当然この宇宙に拒絶反応が起きる。理の力はこの宇宙を改変しようとし、この宇宙はそれに抗おうとする。そうして反発しあう法則同士で生じたエネルギーが、物理的な力に変換されたのがあの爆発というわけよ」

 

 さらに悪魔さんは続ける。

 

「まばゆは、冷えたガラス製のグラスに熱湯を注ぐとどうなるか知ってる?」

「……砕けちゃいます」

「そうね。それこそ、この宇宙が置かれている状況よ。鏡の魔女によって流し込まれた理の力によって、この宇宙は砕けて消滅しようとしている。そして、それを止める方法はたった一つ」

 

 悪魔さんは指を1本立てて、結論を言いました。

 

「元凶である鏡の魔女を倒すことよ。あの結界さえ消滅すれば、この宇宙は独立性を取り戻し、崩壊の危機も去るわ」

 

 

 話を締めくくった悪魔さんはカップに口をつけます。

 

 

 

 悪魔さんの言いたいことは分かりました。

 しかし……。

 

「どうやって、鏡の魔女を倒せば? 凜さんから聞きました。鏡の魔女は何度も討伐を試みられてきたものの、その結界の複雑さ故、今日まで誰も本体にすらたどり着けていないって。そんなヤツをどうやって……」

「瀬奈みこと」

 

 私の疑問に対し、悪魔さんが発したのは私の知らない人物の名前でした。

 

「せな、みこと……?」

「魔女の元となった少女の名よ。魔女化の直前に意識を他人に移植できるようになった彼女は、今もまだ精神だけで生きている。そして彼女は理の力を……、神浜の魔法少女はサルベーション・ブルームと呼んでいたかしら。その爆発現象を利用して、神浜を丸ごと消し飛ばす気よ」

「え? はっ!?」

 

 理解が一瞬遅れ、私は大声を上げる。

 

「ど、どうしてそんなこと……」

「さぁ? それだけあの街に恨みがあるということでしょう? ともかく、問題はそこじゃないわ。神浜を消し飛ばすほどの力がこの宇宙に流れ込めば、この宇宙の修復作用を上回ってしまう。そうなれば、神浜市の消滅は連鎖的にこの宇宙の崩壊にも繋がるわ」

 

 とはいえ、と悪魔さんは私に言います。

 

「瀬奈みことの動きはチャンスでもあるわ。元が同じ存在だからか、彼女は鏡の魔女とも通じている。神浜の消滅計画を先導しているのも彼女。裏を返せば、瀬奈みことを討ち取れば、鏡の魔女の指揮系統にも混乱が生まれ、魔女を倒すチャンスも生まれる、ということよ」

「そ、そうは言っても……。第一、その瀬奈みことさん。今どこに、いや誰の中にいるんですか?」

 

 私の発した当然の疑問に、悪魔さんは少し躊躇うような顔をした後、私を真っ直ぐに見つめました。

 

 

 

 

「夕凪、凜よ」

 

 

 

 

「え……」

 

 

 

 

 私は今度こそ、思考が止まってしまいました。

 

 

「瀬奈みことは今、夕凪凜と共に活動をしているわ。彼女を殺せば、瀬奈みことも倒せる」

 

 

 悪魔さんの言葉を、頭が理解を拒みます。

 

 だってそうでしょう? 私の大切な友だちが、世界を滅亡させる存在と一緒にいる?

 

 そんなの、そんなの……。

 

 

(悪い、冗談ですよ……)

 

 私は笑う。そうだ、こんなの冗談だ。ただの夢なんだから。

 

 

 そんな私の逃避を許さないとばかりに、悪魔さんは冷たく告げます。

 

「嘘ではないわ。凜は瀬奈みことと一緒にいるし、瀬奈みことの味方として動いている。もちろん彼女に悪意はないのだろうけど……。私から言わせれば、その善意を瀬奈みことに利用されているだけよ」

 

 私は縋るように悪魔さんに問いかけます。

 

「……凜さんと瀬奈さんを引き剥がす方法は?」

「ないわ。そもそも、瀬奈みこと自身、他の誰かに移植できる魔力をもう持っていない。だから、凜を殺すのよ。彼女を殺せば、瀬奈みことは依り代となる器を失い、消滅するしかない。鏡の魔女を討つには、今しかチャンスがないのよ」

 

 だから、と悪魔さんは続けようとしますが、私は耳を塞いで叫びました。

 

「聞きたくないです!!」

「……」

「凜さんが宇宙を滅ぼす存在と一緒にいる? その存在を倒すには、凜さんを殺すしかない? 冗談は止めてください! 凜さんは、凜さんは優しくて、いつでも誰かのために一生懸命で、どれだけの不幸と絶望の中でも、誰かに寄り添うことを諦めなかった人です! そんな人を、ころ、殺すなんて……。そんなの……」

 

 

「あんまりです……!」

 

 

 

 絞りだすように呟いた私の言葉に、しかし悪魔さんは冷たい視線を向けます。

 

「だとしても、選ばなきゃいけないわ。それに、このまま行けば鹿目まどかも、暁美ほむらも、あなたの家族も全員死ぬのよ。それでもいいなら、夕凪凜を放っておいても構わないわ」

 

 悪魔さんは冷たく言い放つと、席を立ちます。

 

「伝えるべき事は伝えたし、私はもう行くわ。あとは、あなたが決めることよ。愛生まばゆ」

 

 

 私の横を通り過ぎ、彼女は振り返らずに言いました。

 

 

「悔いのない判断をすることね。大事な人を失う後悔なんて、決して取り戻せないなんだから」

 

 

 次の瞬間、手を叩く音がして、私の視界は暗転しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.88 Side MA

 

 

 

「っ……!」

 

 

 意識が覚醒し、私は弾かれるように起き上がりました。

 

 

 

「はぁ、はぁ……」

 

 

 先ほどまで見ていた夢は、目を覚ましても明確に覚えています。とても悪夢だなんて言って片付けられないほど、嫌な実感を持って。

 

 

 

(凜さんが世界を滅ぼす……? 止められなきゃ、咲笑さんも、ほむらさんも、鹿目さんも、全員……! でも、止めるには凜さんを……)

 

 

 私はうずくまるように、両腕で自分の身体を抱きかかえます。

 

 

 

「そんなの……、選べるわけないじゃないですか……!」

 

 

 

 

 

 決断できない私にできることは、静かに涙を零すことだけでした。

 

 

 

 

 

 

 




今回のお話は今まで以上に独自解釈を含みます。

大丈夫だよ、と言う方は引き続きよろしくお願いいたします。
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