魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得   作:くろしゅー

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(みかづき荘に知らない過去が生えてきたので)初投稿です。

それと、前々回の話で出した称号名『残照とモンタージュ』を『残照モンタージュ』へ変更しました。こっちのほうが語感が良かったので。
なので、今後はこちらで話を進めさせていただきます。申し訳ございません。



DAY.88 独走メランコリックラバー

 

 

 

 全てを彼女に捧げる実況、はーじまーるよー。

 

 

 

 前回は果てなしのミラーズの調査していたところ、十七夜さんと出会って助けてもらいました。

 けど、そこで一番会いたくなかったななかさんとも会うことになってしまい、なんとか切り抜けないといけなくなりました。

 

 

 今回は、そんな絶賛大ピンチな状況からです。

 

 

 

 

 

 

 DAY.88

 

 

 どうして今、ななかさんと接触しなくちゃいけないんですか?(正論)

 

 

 なんで?なんで?なんで?なんで?

 

 (ここで彼女と接触するのは)マズいですよ!

 

 

「久しぶりだね、常磐さん。もちろん覚えてるよ」

 

 とりあえずユリちゃんはポーカーフェイスで乗り切ってくれました。いかん、危ない危ない危ない……。

 

 ここで接触してきたということは、間違いなく鏡の魔女とみことちゃんについてでしょう。

 (探りが)もう始まってる!

 

 

 ひとまずここは、上手くウソをついて相手の追及を退けましょう。

 

『常磐ななか……。私たちの関係に気づいたのかな?』

『かもね。ここは上手く誤魔化そう』

『おねがい』

 

 そうだね。みことちゃんは極限まで影薄くしてて、どうぞ。

 

 

 

 さて、私も選択肢で援護するから、頼んだぞユリちゃん!

 

 

 

 

 

 DAY.88 Side RY

 

 

 

「それにしても、夕凪さんは何故果てなしのミラーズへ?」

「私が今住んでる見滝原市にも鏡の魔女の株分け個体が現れたんだ。今までそんなこと無かったから、ちょっと気になって調査に来たの」

 

 常磐さんの質問に、私は警戒しつつ慎重に言葉を考えて答える。

 もちろん、慎重になっていることを悟られないように。

 

「なるほど……。夕凪君が今住んでいるのは見滝原だったな。株分けがそこまで進出してるのか」

「それで果てなしのミラーズの調査を……。しかし、単独で調査は褒められたものではありませんね」

 

 常磐さんは呆れたように言った、直後だった。

 

「それとも、一人で調査しなければいけない理由でも?」

 

 瞬きするほどの一瞬。彼女の猜疑の目が私を刺す。

 私はそれを受け止め、冷静に言葉を返す。

 

「そうだね。果てなしのミラーズは何があるか分からないでしょ? 見滝原の皆に危ない目に遭わせたくないし、とりあえず一人で、と思ったんだ。けど、常磐さんの言うとおりだよ。さすがに一人は迂闊だった。十七夜さんも、迷惑かけてごめんなさい」

「気にするな。先ほども言ったとおり、迷惑になど感じていない」

 

 ただ、と十七夜さんは続ける。

 

「果てなしのミラーズを調査に来たのならちょうどいい。少し情報提供に協力してくれないか? こちらも今、ちょっとした異常事態が起こっていてな」

「サルベーション・ブルームのことですか?」

 

 私が尋ねると、十七夜さんは少し驚いた顔をする。

 

「もう知っていたのか」

「はい。ここに来る前、調整屋さんに寄ったんですけど。その時、みたまさんから」

「なるほど、八雲か。それなら、状況説明は割愛させてもらうぞ。夕凪君。君は見滝原にも株分けの魔女が現れたと言ったな。先日の見滝原で起きた爆発事故。あれはサルベーション・ブルームが原因か?」

 

 彼女の問いに私は頷く。

 とりあえず、この辺りの事情は隠す必要もない。下手に隠せば、逆に疑われてしまうだろうから。

 

「そうです。株分けの魔女が結界から持ち出した鏡から、ピンクの炎が溢れて爆発しました。私たち、ちょうどその株分けの魔女と戦っていた最中でしたから、間違いないです」

 

 そうか、と十七夜さんは呟くと、深く考え込むように黙ってしまった。

 十七夜さんと交代するように、今度は常磐さんが質問してくる。

 

「それ以外で気づいたことは?」

 

 常磐さんの質問に、私は首を横に振る。

 

「いや、私が見た限りだけだと、特別なことはこれくらいかな。みたまさんから聞いた話が今分かってる全てなら、私から提供できる新しい情報はないかも……」

「そうですか……。いえ、それだけでも十分です。ありがとうございます」

 

 では、と常磐さんは話題を切り替えるように言う。

 

「もう一つ、あなたに聞きたいことが。瀬奈みこと、という名前を覚えていますか?」

 

 きた、と思った。

 もしかしたら切り込んでくるかも、とは思っていたが、やっぱりに聞きにはきたか。

 

「覚えてるよ。たしか、更紗帆奈さんと活動していた子、だったよね?」

「ええ。その通りです」

「でも、どうして今さら? その子、行方不明なんじゃなかったっけ? もしかして、見つかったとか?」

 

 私の問いを、常磐さんは首を振って否定する。その後、ですが、と言葉を続けた。

 

「私の魔法に、その名前が反応したのです」

「魔法?」

 

 私は知らないふりをして問いかけると、常磐さんはあっさり言いました。

 

「私の魔法は簡単に言えば『敵を見極める力』。自身の敵となる相手が分かる魔法です。少し前のことですが、その魔法が私に告げたのです。瀬奈みことの名前を」

 

 話を聞きながら、やっぱりかと思う。

 彼女の魔法を聞いたときから、みことちゃんの生存は向こうにバレてるのでは?と考えていたが、推測は当たってしまっていたようだ。

 

「共に更紗帆奈を追った者同士です。何か情報を持っていませんか?」

 

 その問いに、私は眉を下げて残念そうな表情を作る。

 

「ごめんね。瀬奈みことさんの名前も、今日久しぶりに聞いたくらいなんだ。情報らしい情報は何も……」

「なんでもいいんです。何か知りませんか?」

 

 私としては、ここはシラを切るしかない。私たちの関係を、バレるわけにはいかない。

 

「そうは言われても……。もしかして、今回の事件と何か関係がある?」

 

 逆に質問を返すも、常磐さんも首を振るばかり。

 

「いえ、それはまだ何も……。タイミングを考えれば、無関係とは言い切れませんが……」

「といっても、鏡の魔女や結界に瀬奈みことさんの痕跡なんてなかったし……。本当にごめんね」

 

 私が体の前で手を合わせて謝ると、常磐さんも息を吐いて、私に謝罪する。

 

「いえ、こちらこそ色々聞いて申し訳ありませんでした」

「全然いいよ。ただ、この後待ち合わせがあるんだ。もう行っていいかな?」

 

 追撃が止んだタイミングで、私はそう切り出す。

 すると、常磐さんも十七夜さんも、それを快諾した。

 

「それはもちろん。お約束を優先してください」

「付き合わせて悪かったな、夕凪君。君も十分気をつけるんだぞ」

「ありがとうございます。それでは」

 

 私はそう言って、その場から踵を返す。

 

 

 

『バレなかったかな?』

 

 彼女たちから十分離れたところで、みことちゃんが話しかけてくる。

 

「そうだね。それが理想かな」

 

 私はそう返して、次の目的地に向かった。

 

 

 

 

 

 

 DAY.88 

 

 

 

 あっっっぶな!

 

 とりあえず、あの場で人狼として吊られることは免れましたね。

 

 

 

 ただ、あの場で話しかけてきた以上、疑われているのは確定です。

 遠くないうちに、証拠も揃えて仕掛けてくるかもしれません。

 

 

 みことちゃんの制限時間を考えると、タイムリミットはあと1週間ってところでしょうか。

 時間無さすぎぃ!

 

 

 

 まあとにかく、ななかちゃんたちの追及はとりあえず凌ぎましたし、これで時間稼ぎにはなったでしょう。

 最悪、1週間だけ時間稼ぎできれば十分です。

 

 時間も無いことですし、次へと向かいましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.88 Side NT

 

 

 

 

「どうだった?」

 

 隣から聞いてくる和泉さんに、私は彼女との会話を思い出しながら答える。

 

「限りなくクロに近いでしょうね」

「理由は?」

 

 驚く様子もなく聞いてくる彼女に、私は淡々と答える。

 

「最後の問答です。彼女は、鏡の魔女に瀬奈みことの痕跡はなかった、と言いました。けど、鏡の魔女が彼女の魔女化した姿のことを、私たちはまだ伝えていません」

 

 調整屋さんに聞いた一つの推測。

 魔法少女が魔女化する事実にも衝撃でしたが、鏡の魔女の正体の衝撃はそれ以上でした。

 

 なのに……。

 

「なのに、夕凪さんは瀬奈みことと鏡の魔女をイコールで繋げていました。さも当然のように」

「関連を疑ったからじゃないか? その前にそのような話をしていただろう。もしくは、八雲の推理を聞いていたとかも考えられる」

「ええ。ですが、もう一つ。私は瀬奈みことについて、彼女の名前しか出していません。それなのに彼女は、瀬奈みことの痕跡はない、と言った。名前以外知らない相手の痕跡なんて、本来判別のしようがないでしょう」

 

 なるほどな、と和泉さんは納得したように頷きます。

 

「それなら、自分が視たものが有益な証言になるな」

「視た?」

「ああ。先ほど夕凪君を抱えた時に『読心』の魔法を使った。全部が見えたわけではないが、君たちの知りたいことはいくつか分かったぞ。瀬奈みことの居場所も、な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.88 

 

 

 さて、次に向かう場所ですが、神浜市のお隣の街、宝崎市です。マギレコ主人公、環いろはちゃんの出身地でもあります。

 

 で、なぜ宝崎に向かうかというと、ユリちゃんがある人たちと会う約束をしていたからですね。

 チャートを組む際に分かったのですが、ユリちゃん、私がクリアした後も交友関係を広め続けていたようなのです。

 今回会う子たちは、その空白期間で作った友達も含まれます。

 

 いやー、こっちが操作しなくても彼女たちに連絡取ってくれるユリちゃん、マジで神。キミ、よく有能って言われない? 全然ガバらないとか、本当に攻略用のオリキャラか? 

 

 

 さて、目的地が見えてきました。

 すでに彼女たちは来てるみたいですね。では、話しかけましょう。

 

 

 フォークロアの皆、オッスオッス!

 

「ああ、夕凪さん」

「おはようなんよ!」

 

 ラビちゃん、うららちゃん、おはよう。この前ぶりだね。

 

「夕凪さん、お久しぶりです」

「元気でありましたか?」

 

 サーシャちゃんと旭ちゃんは久しぶり。

 

 皆、元気そうで何よりだゾ。

 

 

 あれ? この場にはもう一人呼んだんですけど……。見てませんか?

 

「いや、私たちしか来てな……」

 

「あー! ゆうりーーーん!!」

 

 ファッ!?

 

 ラビちゃんの言葉を遮って聞こえてきた、この声……。

 

 

 どうやら全員揃ったみたいですね。

 

「おひさー。最近ゆうりんと全然会えないから、私チャン悲しかったよ~。ぴえん」

「久しぶり、ひめなちゃん。私も会いたかったよ」

 

 再会を喜ぶように手を握り合う二人。

 

 あ^~、心が百合百合するんじゃ^~。

 

 と、ユリちゃんたちが盛り上がる中、フォークロアの面々はサーシャちゃん以外「誰?」という顔をしています。ま、君ら初対面だしね。

 

 視聴者ニキたちにも、この子が誰だか分かってない人もいるだろうし、簡単に紹介しましょうか。ユリちゃんが。(仕事放棄)

 

「紹介するね。この子は藍家ひめなちゃん。宝崎の魔法少女で、少し前に知り合ったんだ」

「藍家ひめなだよー。私チャン、前にゆうりんに助けられてさ。力を貸してほしいってことだから来たんだよねー。皆もゆうりんの知り合いなんでしょ? よろしくね、キャハッ☆」

 

 はい、ユリちゃん、ひめなちゃん、ありがとう。

 補足説明すると、このいかにもギャルな魔法少女、藍家ひめなちゃんは、マギレコ第二部から登場したキャラとなっています。原作ではネオマギウスという、特撮番組の後続悪の組織みたいな名前をした組織のトップです。

 この組織を率いて、魔法少女至上主義という中々に差別主義な思想を広めようとしました。コワ~……。

 

 これだけ聞いてると頭のネジの飛んだヤベー女に思えますが、彼女の行動には想い人との悲しい別れが根幹にあります。

 

 

 

 以降、ひめなちゃんの過去のネタバレです。自分で知りたい方はここで一旦ブラウザバックして、窓際行って、調べろ……。

 

 

 

 ひめなちゃんには、小さい頃からの幼なじみである「ヒコくん」という男の子がおり、二人は両想いとなり、結ばれることになりました。

 原作だと、ヒコくんに顔が分かるような専用グラフィックは無いですが、メモリアの一枚絵には彼とひめなちゃんのツーショットがあります。これを見ると、ヒコくんかなり童顔ですね。

 がわ゛い゛い゛な゛ぁ゛ヒコ゛ぐん゛。(野獣の眼光)

 

 

 しかし中学に上がると、あまりクラスには馴染めない、有り体に言ってしまえば陰キャだったヒコくんは、いじめられるようになってしまいます。

 ヒコくん自身がひめなちゃんに迷惑をかけたくないと隠したこともあり、ひめなちゃんが彼へのイジメに気づいたときには既に時遅し。

 

 ヒコくんはイジメに耐えかね、ひめなちゃんの前で自殺してしまいます。

 ひめなちゃんは何とか彼を助けようとしたところに、お馴染みの害獣営業マンが契約を持ちかけました。

 

 ひめなちゃんは契約を即決。「私チャンの中で、ヒコ君と一緒に居られるようにして」と願い、魔法少女となりました。

 願いの結果、ヒコくんは精神だけでひめなちゃんの中に入ることとなり、ヒコくんのことを認知できるのは、脳内で会話が出来るひめなちゃんだけとなります。

 当然、周りからは一人で話してるようにしか見えません。クラスメイトからは彼氏が死んでアタオカ扱いされますし、母親との仲も険悪に。

 

 

 誰にもヒコくんとの仲を認めてもらえないひめなちゃんは、徐々に絶望を募らせていき……。

 

 

 

 原作ではここで、フォークロアの活動で神浜に来たサーシャちゃんがひめなちゃんの相談に乗ってくれることで、彼女は魔女化を踏みとどまり、彼女と親友になるんです。

 

 ですが、今回神浜に自動浄化システムがなく、彼女とのフラグは折れていたのですが、代わりに凜ちゃんがその枠に収まっているみたいです。過去のログを見返してたら、そんなイベント起きてました。

 

 

 寝落ちしてて見てなかった……。(小声)

 

 

 ちなみに、サーシャちゃんとは別に、ユリちゃんを通して仲良くなってるみたいですね。

 やっぱこの二人は惹かれあうんやなぁ。

 

 

 

 

 とにかく、そんなわけでひめなちゃんからの好感度は既にバカ高い状態です。

 

 で、なんで彼女たちを呼んだかというと、それはもちろんユリちゃんの味方になってもらうためです。

 

 彼女、というか彼女たちはこのチャートにおいてかなり重要ですからね。

 

 

 まず、ひめなちゃんはその陽キャ全開オーラで誰とも仲良くなれますし、大切な誰かのために戦うという点で、非常に共感、協力してくれやすいです。ユリちゃんの置かれた現状を考えると、もしかしたら一番の理解者ではないでしょうか。

 しかも彼女、直感がとても鋭いので、ここぞって時にクリティカルな選択を選んでくれやすいです。これが新世代のニュータイプか……。(後方ノースリーブ大尉面)

 勉強こそ少しアレですが、頭の回転も速いほうです。強い、強くない……?

 

 そして、ヒコくんです。

 え、ヒコくんも?とお思いの視聴者アニキもいるでしょうが、実は彼、原作でもがっつり作戦参謀やってるときがあるくらいには、ひめなちゃんを援護してます。

 勉強は当然なこと、雑学も博識で、様々な知識と作戦でひめなちゃんを助けています。まばゆちゃんも作戦参謀名乗るなら、ヒコくんを見習ってホラホラホラ。

 

 彼の内面描写は皆無なため、推測にはなってしまいますが……。彼は基本、ひめなちゃんのやりたいことをやらせてあげる主義なようで、彼女が魔法少女至上主義を掲げると決めたときは、それを叶えるために頭脳を使っていました。

 ひめなちゃんの身が第一ではありますが、それを除けば例え倫理に反していようと、全力でひめなちゃんを応援するのが彼のスタンス、と私は解釈しています。

 実際に第2部でも、ヤバいことをやってるひめなちゃんを止めずに力を貸していた辺り、ひめなちゃんが死ななければ、危険な橋を渡ってもいい感じはしました。

 

 そのため、ひめなちゃん自身によっぽどの危険が及ばなければ、ユリちゃんがどれだけヤバいことしようとしてても、手伝ってくれるんですね。

 

 彼女たちこそ、私がこのチャートを始める前に言った、この状態からでも味方になってくれる数少ない人たちです。

 

 

 うーん。こうやって改めて見返すと、この二人、やっぱりお似合いのカップルな気がしますね。

 

 ヒコくんを助けたくて、自分たちの仲を認めてほしいのに、願う内容は自分の中にヒコくんの魂を閉じ込めるひめなちゃん。

 ひめなちゃんを諫めるようなフリをしながらも、ひめなちゃんに求められれば、どんな非人道的なことにも知恵を貸し、一緒に地獄まで行こうとするヒコくん。

 

 ひめなちゃんは原作でも散々描写されていましたが、よく考えてみるとヒコくんも中々……。

 この二人、原作でされている描写からのイメージとお互いへ向ける湿度のギャップが一番激しいカップルな気がします。

 なんかお互いへの湿度が高い、高くない? なんか、この解説部屋もビチャビチャしてきたな……。

 

 

 

 

 

 

 余談ですが、ひめなちゃんが原作で率いたネオマギウス、なぜか淫夢と関係が深いです。

 

 ひめなちゃんは「お一人様でやって、どうぞ」と言い逃れできない語録を使ってますし、メインストーリーでみふゆさんを誘拐するときに睡眠薬入りの紅茶(ティー)を飲ませて拉致監禁するなど、ホモビでの常套手段を使っています。

 ネオマギウスはホモガキ集団だった……?

 

つまり、ネオマギウスが天下を取っていれば、

 

 

ひめな「イキスギィ!イクイク!ンアッー! ネオマギウスの権力がデカすぎる!(迫真)」

 

いろは「やめて藍家さん! 淫夢ごっこは魔法少女の間では恥ずかしいことなんだよ!」

 

ひめな「おっ大丈夫か大丈夫か、一般魔法少女は黙ってよね!!(豹変) ここはバッチェ、ネオマギウスの拠点だよ! 淫夢ごっこはネオマギウスで流行ってるってはっきりわかんだね。正規のマギウスとはやり方(魔法少女解放)が違うっつーの!! キャハッ☆」

 

 

 となってた可能性が微レ存……?

 

 

 

 

 

 

 閑話休題。

 

 ともかく、ひめなちゃんを仲間にするのは、今回のチャート必須です。

 

 戦力的な意味でもそうですし、彼女の固有魔法無しではみことちゃんの願いは叶えられないからですね。

 

 

 ちょうどユリちゃんも、皆に向けて経緯と計画を説明し始めましたし、私もこのチャートの肝、帆奈ちゃんの召喚方法について説明を始めましょう。

 

 

 

 まず、今のユリちゃんの第一目標である、みことちゃんの願いを叶えること。これは、みことちゃんが言っていた通り、更紗帆奈ちゃんにもう一度会わせることです。彼女は既に故人ではありますが、今のユリちゃんには旭ちゃんがいます。帆奈ちゃんは魔女化もしていませんので、彼女の降霊術の魔法で魂を現世へと呼び戻すことは可能です。

 

 しかし、彼女の魂を呼ぶだけでは目的達成にはなりません。

 なぜなら、今のみことちゃんはユリちゃんの意識に宿っている状態で、ユリちゃん以外では認知できません。そのため、帆奈ちゃんの幽霊を呼び出しても、帆奈ちゃんに会えるのはユリちゃんとなり、みことちゃんが会った判定にはならないんです。まあ会話も出来ないんじゃ、この判定も残当。

 

 なので、目的達成にはもう一手間。ユリちゃんの意識の中に、帆奈ちゃんの魂を入れる必要があります。

 しかし、これがすごく難しいんです。これに関しては、帆奈ちゃんが既に故人だからか、みたまさんの調整技術を用いてもユリちゃんの精神世界に入れることは不可能です。

 

 

 そこで活躍するのが、ひめなちゃんの固有魔法である『合成』の魔法です。

 この魔法は二つの存在を合成することを可能とする魔法で、原作ではこの魔法を使って他者の魔法を自身に合成することで、ひめなちゃんはいくつもの魔法を使って戦っていました。強スギィ!

 固有魔法を複数使えるという厨二病の夢が詰まったような魔法ですが、永続性はなく、連続使用すると魔力を大きく持っていかれるという弱点もあります。

 

 ですが、今回のチャートで注目したいのは、固有魔法という実体のない『概念』も合成できること。

 これにより、人格移植の魔法を擬似的に再現し、帆奈ちゃんの魂とユリちゃんを『合成』してもらいます。

 もちろん、ひめなちゃん一人だと不安定なので、ラビちゃんに『概念強化』の魔法で合成魔法を強化してもらって、です。

 

 すると、あら不思議。ユリちゃんの魂の中にみことちゃんと帆奈ちゃんの魂の共存状態が完成し、無事に目的達成となる訳です。

 

 ただし、モロチンこの作戦にも弱点はあり、ユリちゃんの精神値、いわばSAN値がゴリゴリ削られる点です。

 ただでさえ、みことちゃんという別の人物が取り憑いているのに、そこに無理やりもう一人の魂を合成するわけですから。依り代になる彼女への精神負荷はとんでもないことになります。常人なら2分で精神崩壊、からの魔女化でバッドエンド直行です。

 

 

 しかし、そこはユリちゃん。キャラクリの時に『気丈』の性格に設定しておいたので、この程度の精神負荷で負けるような子でもありません。これまでの悲惨な曇らせに耐えてきたユリちゃんなら確実に耐えられます。

 だから、これでもかと曇らせる必要があったんですね。(思いつき)

 

 それに、ユリちゃんの回想やみことちゃんの発言を見る限り、みことちゃん、帆奈ちゃんからの好感度、ユリちゃんからの彼女たちへの好感度もかなり高いので、精神負荷にもマイナス補正が入って、ダメージは最小限に抑えられるはずです。

 

 

 なので、みことちゃんからの目的を達成するには、フォークロアとひめなちゃんさえ揃えられれば、解決というわけですね。

 

 

 お、ユリちゃんも説明が終わったみたいですね。

 

 各々の反応は……。

 

 

 あ、やっぱり。

 ひめなちゃんはやる気満々の顔。それに対し、フォークロアの皆は渋い顔。

 驚くほど予想通りの反応ですね。

 

「つまり、私チャンの魔法でその更紗帆奈ちゃん?の幽霊をゆうりんに合成すればいいんだよね? 私チャンとしては全然いいよー! ゆうりんには助けてもらったし、頭の中にしかいない子を助けるって、なんか他人事じゃないし……」

 

 ひめなちゃんはこう言ってくれますよね。

 彼女の状態は、今のユリちゃんの状態とよく似ていますからね。

 

 そのみことちゃんの願いが、「もう死んでしまった大切な人にもう一度会いたい」というのなら、ひめなちゃんとしては同情しない理由がありません。

 

 一方で……。

 

「夕凪さんの話は分かった。けど、素直に了承はできない」

「ラビの言うとおりであります。死人の魂を生きている者に合成するなど、どれだけの精神負荷が凜殿にかかるか……。あまりにも未知数であります」

 

 ですよねー。

 フォークロアは一回、似たようなことやって精神崩壊者たくさん生んじゃいましたからね。

 ユリちゃんに同じ目にあってほしくないのでしょう。(ユリちゃんはそれくらいお構いなしというガンギマリ具合ですが)

 

「それに、私にはまだ、その瀬奈みことが信用できない。彼女、鏡の魔女の活発化となにか関係があるんじゃないの?」

 

 なんのこったよ。(すっとぼけ)

 さすがラビちゃん、突かれたくないとこをグサグサ突いてきますね。

 

 これはさすがに誤魔化しきれないので、軽く伝えましょう。

 

「そうだよ。みことちゃんは鏡の魔女の元となった魔法少女。その点では、無関係とは言えないかも。けど……」

「けど?」

「活発化は偶然だよ。もしかしたら、みことちゃんの意識がしたことがトリガーの可能性は考えられるけど……。でも、みことちゃんが引き起こしている現象じゃない。それは断言できる」

「どうして? その証でもあるの?」

 

 ラビちゃんからの追及がありますが、ここは嘘で上手く躱しましょう。

 普通だと、偽証がバレた際の好感度低下のリスクがあるので私はやらないのですが、みことちゃんルートではそうも言っていられません。

 なんせ、全部本当の話をしたら、みことちゃんの神浜滅亡計画にたどり着いてしまうので。

 

 だから意図的に、ユリちゃんにはそこら辺を調べる選択肢は取らせてこなかったんです。まあ、ユリちゃんの頭の良さだとなんか勘づいてそうですが。

 

「さっき、果てなしのミラーズを調べてるときに襲撃に遭った。けど、追撃は途中で止んだんだ。みことちゃんが鏡の魔女と繋がってたら、その動きを邪魔しようとしてる私を逃がすわけないし。それに、見滝原で鏡の魔女と戦ったとき、私たちはあと一歩で爆発に巻き込まれるところだった。みことちゃんの意識が入った私を死なせたら、本末転倒なのに」

「なるほど……。でも、それなら追撃が止んだ理由は、凜殿の中にいる瀬奈殿を攻撃しないようにしただけでは?」

「いや、私の中にいるのが分かれば、最初から攻撃しないはず。逆に私を殺すつもりなら、果てなしのミラーズ調査の時点で、みことちゃんは本体と合流すればいいはず。みことちゃんが黒幕なら、明らかに鏡の魔女の行動が挙動不審すぎるんだよ」

 

 とりあえず、皆からの反論は無さそうですね。

 ここで畳みかけましょう。

 

「みんなが不安な気持ちは分かるよ。けど私は、みことちゃんの願いを叶えてあげたいの……! 私を頼ってくれた彼女の手を、私は振り払いたくない。彼女もいっぱい、悲しい思いをしてきたから……」

「それが理由?」

「うん。みことちゃんは、私の大切な友だちだから。笑ってほしい、幸せになってほしい。これが理由じゃ、ダメかな?」

 

 ここはもう精神論です。

 だって客観的に見たら、みことちゃんを信用してもらえる要素ないので……。

 今までユリちゃんが積み上げてきた好感度に頼りましょう。

 

「いいじゃん! 私チャンはゆうりんの気持ち、正しいと思うよ」

 

 ひめなちゃん、援護ありがとナス!

 他の皆もオナシャス!センセンシャル!

 みことちゃんを救いたいんだよ~、頼むよ~。

 

「……分かったであります。ですが、一つ条件が。1週間ほど、時間がほしいであります。我の魔法と藍家殿の魔法の波長を合わせる練習をさせてほしいであります。チャンスは一度きり。失敗は許されないでありますから」

 

 おお、旭ちゃん! 君なら分かってくれると思ったよ!

 1週間。ギリギリですが、これなら間に合います。

 

「ありがとう、旭さん。それじゃあ、作戦の決行日は1週間後で。他の皆は?」

「……分かった。私も、協力する」

 

 ラビちゃん!

 

「私たちも前に進むときだと思っていた。きっと、これがそのチャンスだと、私は思う」

「ラビちゃん……。それなら、私も賛成です。協力しますよ、凜ちゃん。ウフフ」

「ウチは特に反対しないんよ。皆が決めたなら、ウチも信じるのん!」

 

 み、皆……!

 

 こんなにユリちゃんが信頼されて、涙が、で、出ますよ……。

 

「ありがとう、皆……」

 

 

 ユリちゃんも嬉しそうですね。

 絶対後悔させないから、見とけよ見とけよ~。

 

 

 やっと終わった……。

 これにて神浜でのイベントは全て終了です。見滝原に帰りましょう。

 

 

 

 

 

「安心して。鏡の魔女の件は、私一人で終わらせる。皆に迷惑はかけないよ」

 

 

 

 

 

 ……大分暗い覚悟してますけど。大丈夫? 大丈夫そう?

 ま、ユリちゃんのほうの称号は、鏡の魔女さえ倒せれば問題ないですから。ユリちゃんがそれでいいなら、いいですけどね。

 

 

 

 

 

 DAY.88 Side MS

 

 

 

「良かったの? 鏡の魔女は一人で倒すって言っちゃって」

 

 見滝原へと帰るため、駅へ向かう道の途中。私は凜ちゃんに問いかける。

 それに対し、凜ちゃんは当然のように頷いた。

 

「うん。鏡の魔女が危険なことは事実だし、倒さなきゃいけない相手ではあるんだけど……。それより、みことちゃんのお願いを叶えることを優先してもらったから。その責任は取らないと。神浜の人たちを危険に晒すリスクを冒す以上、皆を関わらせるわけにはいかないよ。これは私一人でケリをつけるつもり」

 

 凜ちゃんの言葉に迷いはない。どこかほの暗い色を纏ったその言葉は、簡単に覆りそうもなかった。

 それでも、私は言う。

 

「……ねぇ。神浜の人たちって、そこまでして守る価値あるのかな? 凜ちゃんだって知ってるでしょ? 神浜には魔法少女が多い。それは、その分だけ奇跡を願うほど悲劇が転がっているってこと。凜ちゃんが命を張ってまで守らなくてもいいんじゃないかな?」

 

 凜ちゃん自身の傷だって、元を辿れば神浜の東西差別が原因だ。それなのに守るだなんて、やっぱりおかしい。

 

 しかし、凜ちゃんは首を横に振る。

 

「それでも、だよ。たしかに神浜は東西で差別じみた空気が残ってる。私のお父さんだって……」

 

 苦しそうに顔を歪める凜ちゃん。けれど、それでも凜ちゃんは言葉を紡ぐ。

 

「でも、全員がそうじゃない。神浜の未来を変えられるような人だって、きっとたくさんいる。私はその可能性を守りたいんだ」

「そのためなら、自分が犠牲になってもいいってこと?」

「犠牲だなんて。私は、私が救える人を救うだけだよ。例え相手がだれでも……。それでいいんだよ」

 

 その瞬間、私は凜ちゃんの前に回り込み、声を張り上げる。

 

「よくない!!」

「っ……」

 

 凜ちゃんは驚いて足を止める。

 

「そんなの、よくないよ……! 凜ちゃんはもっと、誰かに怒ったほうがいいよ……。なんでもかんでも自分のせいにして、自分が責任負えばいいような状況に持っていって……! 誰かを恨むことも、憎むこともしないで……!」

「そんな感情、私は持てないよ……」

「持てないって誰が決めたの!? そんな権利ないって、凜ちゃんが思ってるだけじゃん! 私、知ってるんだからね。凜ちゃんだって、苦しい気持ちをいっぱい持ってること……。怒って発散するはずの気持ちを、ずっと我慢して……! 自分に向けるばっかりじゃん! そんなの、苦しいに決まってる……!」

 

 凜ちゃんの心だって、恨み、憎しみに繋がる情動を感じてるのに。

 凜ちゃんは絶対に、誰かにその感情を向けない。その感情は自分に向けて、自分を傷つける。凜ちゃんが自分を好きになれないのは、そうやって自分を傷つけ続けてるから。

 

 だから、自分の命を軽く考えられる。

 それで余計傷ついてるくせに。

 

「お願い、凜ちゃん。私の手を取って。私なら、悲しみのない世界を作れる。凜ちゃんがもう誰の目も気にしないような世界にする……! そうしたら凜ちゃんだって、暗い感情も全部、吐き出せるから……!」

 

 私は凜ちゃんに手を差し伸べる。

 

 きっと、ここが分岐点だ。

 凜ちゃんが手を取ってくれれば、鏡の魔女の力で神浜を滅ぼす。もう誰にも、凜ちゃん傷つけさせない。凜ちゃんの悲しみも痛みも、全部燃やし尽くす。

 そうすれば、私も、凜ちゃんも、あの呪われた地から解放される。自由になれる。

 鬱陶しい親の存在も、仲間ごっこする魔法少女も。みんな、みんな消し去れる。

 

 全て滅ぼして無かったことにすれば、私たちはきっとたくさん笑える。全てから解き放たれて、キレイな世界を歩める。

 

 

 

 

 そう思って、手を差し出した。

 

 けど、凜ちゃんは私の手を取らなかった。

 

「ありがとう、みことちゃん。私のことを思ってくれて。助ける側なのに気遣われてちゃ、ダメだね」

「違うよ! 気遣いじゃなくて、私は本当に……!」

「うん。だから、みことちゃんの手は取れない。嬉しいけど、その方法は私が嫌なんだ。この世界にも、好きな人たちがいるから。生きて、幸せになってほしい人たちがいるから」

「それって、まばゆちゃんのこと? それともほむらちゃん? ねえ、どうして? あの子たちは、凜ちゃんの気持ちに気づきもしてないのに……!」

「それでいいんだよ。二人とも、もう自分で歩いていける。彼女たちを惑わす時の迷路は突破したんだから。私の役目は、もうおしまい。私が二人をこれ以上縛る権利なんて、どこにもないんだよ」

 

 凜ちゃんは全て諦めたような顔で笑う。

 夕日に照らされた凜ちゃんは、今にも消えてしまいそうな儚さを纏っていた。 

 

「まばゆには……。いや、二人には、もう私のことを気にせず幸せになってくれれば、それでいいから」

「そんなの……!」

 

 私は思いのままに、凜ちゃんへ言葉をぶつけようとする。

 

 

 

 

 しかし、私の中で無視できない疑問が浮かび、それを止めた。

 

「……ちょっと待って。どうして凜ちゃん、全部諦めたような顔してるの?」

 

 凜ちゃんがその顔をするのはおかしい。

 凜ちゃんが自分の命を軽く見ているから、とか、凜ちゃんがそんな顔をする必要ない、とか、そういのじゃない。

 

 凜ちゃん視点で、自分の命を諦めなきゃいけないような要素は1個もなかったはず。私と一緒に過ごして、私のお願いを叶えるために奔走して。

 たしかに私は色んな人に恨みを買ってるけど、でも一緒にいることがバレたわけでも、なにか犯罪を犯したわけでもない。

 凜ちゃん視点で、誰かと一緒にいることを諦めなきゃいけない事態は、鏡の魔女以外に遭遇していないはずなんだ。

 

 

 いやそもそも。

 なんで凜ちゃんは鏡の魔女を一人で倒そうとしているの? 魔女を倒すのに協力してくれる魔法少女はたくさんいるのに。なんでケジメなんて言い方してるの?

 

 

「凜ちゃん、もしかして……」

 

 もしかして、と言ったけど、凜ちゃんの性格を考えたら、この可能性しか考えられない。

 けど、それなら……。それなら、今までの行動って……。

 

「私が鏡の魔女と繋がってること、気づいてる?」

 

 私はあえて確認するように質問した。

 もう、隠すのも無理な気がしたから。

 

 そして予想通り、凜ちゃんはあっさり頷いた。

 

「うん。確信したのは、さっきのミラーズ探索のときだけど」

「どうして……」

 

 私の呟きに、凜ちゃんは淡々と答える。

 

「分かったのって? 一番は鏡の魔女の行動だよ。ラビさんたちには、みことちゃんと鏡の魔女が繋がっていない証拠として提示したけど、本当は逆。もし本当に繋がってなかったら、あの場で私を殺すはず。私を横から奇襲してきたコピーを、鏡で別の層に逃がさずに、ね」

「見てたんだ……」

「その前にも、そうかなと思う機会はあったしね。見滝原の株分け個体を見たとき、みことちゃんは心底驚いていた顔してた。なのに、株分けの魔女がサルベーション・ブルームを引き起こしたときはそうじゃなかった。むしろ、誰よりも早く焦った顔をした。だから、私も咄嗟にまばゆを抱えて逃げられたんだ」

 

 凜ちゃんの人差し指をピン、と立てる。

 

「株分けの魔女の登場とサルベーション・ブルーム。両方の想定外に、片方は驚いて、片方には驚かなかった理由。それは、筋書きと違うことが起きたって考えるのが自然かなって」

 

 凜ちゃんの推理に、私は何も言えない。

 

「見滝原の件も、さっきのミラーズ探索の件も。みことちゃんが私に害意を加えるつもりは無さそうだったから、言わなくていいと思ったんだ」

「どうして……」

「え? いや、だから……」

「どうして!! どうして黙ってたの!? 私、凜ちゃんが好きだって言った世界を壊そうと準備してるんだよ!? すっごい悪いこと計画してるんだよ!? それなのに、どうして……」

 

「それが、みことちゃんから離れる理由にはならないから、だよ」

 

 私の問いかけに、凜ちゃんは真っ直ぐ答える。

 

「言ったじゃん。何があっても、みことちゃんの味方でいるって。そりゃ、神浜を滅ぼす計画なんて止めてほしいとは思うけど……。でも、その計画はみことちゃんがそれだけの怒りと恨みを感じたってことでもあるし……。みことちゃんが私に言ってくれたように、私もみことちゃんにその黒い感情を我慢して、なんて言いたくないんだ」

 

 凜ちゃんは触れられない私の手に、自分の手を重ねる。

 

「だから、私がみことちゃんに希望を見せて、その計画を止める。あと1週間で、みことちゃんが神浜の滅亡がどうでも良くなるくらいまで幸せにする。そう、決めたんだ」

 

 でも、と凜ちゃんは照れくさそうに笑う。

 

「もし、それがダメだったら……。その時は、私も一緒に神浜滅ぼすのに付き合うよ。そうなるってことは、みことちゃんに希望を見せられなかった私のせいだからね。そうなったら、改めて私を誘ってほしいな。神浜を滅ぼす主犯として、どこまでも一緒に行くから」

 

 

 

 ああ、私は勘違いしていたかもしれない。

 

「だから安心して、みことちゃん。絶対更紗さんに会わせてあげるし、後悔もさせない。あなただって世界に愛されてるって、私が証明してみせるから。どんな結末に辿り着いても、絶対に一人にしないから」

 

 凜ちゃんは何も知らずに私に付き合っていたわけじゃない。

 全部分かって、世界の敵になることも覚悟の上で、一緒にいたんだ。

 

 私の計画も。私と一緒にいれば常磐ななかたちと敵対することも。そうなれば、皆と一緒にいられなくなることも。皆を巻き込まないために、皆との日常を捨てることになることも。

 

 それら全てを理解しても、凜ちゃんは。

 

 

 

「だからさ、最期まで一緒にいようね」

 

 私の手を取ってくれたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.88

 

 

 

 なんか、ユリちゃんの精神ヤバくな~い?

 

 

 こういう攻略やRTAのチャートを破壊するでお馴染みのヤンデレ枠を、私のチャートでは出現させることなく完走できたと思ってたんですが……。

 もしかして君、その枠か……?

 

 

 ということで、ユリちゃんのガンギマリ覚悟を知れたところで、今回はここまで。

 ご視聴、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.88 Side YN

 

 

 

 

「それで、どうだったのかしら? 凜とは接触できたんでしょ?」

 

 とある喫茶店にて。

 私と鶴乃、十七夜、常磐さん、静海さんの五人は集まっていた。

 

 議題はもちろん、鏡の魔女と瀬奈みこと。そして凜についてだ。

 

「そうだな。結論から話そう。自分の読心で夕凪君の心を覗いてみたが、間違いなく瀬奈みことは彼女に取り憑いている。そして、夕凪君もそれを認識している」

「……そう」

 

 十七夜の表情と話し始めの言葉のテンションで薄々分かっていたが、あまり聞きたくない言葉だった。

 

「そして、皆が知りたがっている瀬奈みことと鏡の魔女についてだが……。瀬奈みことと鏡の魔女は密接に繋がっている。ある程度なら、瀬奈みことの意思で魔女も動かせるようだ」

「魔女を……!?」

 

 静海さんが静かに驚愕の表情を作る。

 常磐さんも、静海さんほどではないが、そのポーカーフェイスに動揺が走る。

 

「瀬奈みことは、その力である計画を進めているようだ」

「計画って?」

 

 私の問いに、十七夜は顔を顰める。

 

「神浜市滅亡計画、だ」

「なっ!?」

 

 今度こそ、全員に大きな動揺が走る。

 

「計画の詳しい内容までは見えなかったが、大方、最近神浜で頻発しているサルベーション・ブルームを使ったものだろう。瀬奈みことは鏡の魔女を使って、この神浜市を消し去るつもりだ」

「……確かに、サルベーション・ブルームの威力が上がれば可能ね。株分けの魔女であれだけの爆発を引き起こせるのなら、本体が起こせる爆発はその比ではないでしょうし」

「私も七海さんと同意見です。今まで株分けの魔女が起こしたサルベーション・ブルームがその計画の実証実験だとしたら、魔女たちの行動にもある程度説明がつきます」

 

 私の意見に、常磐さんも言葉を加えながら賛同する。

 

 そこで、今まで黙っていた鶴乃が手を挙げる。

 

「ちょ、ちょっと待って! そんな計画が進んでるって、凜は知ってるの!? 瀬奈みことの良い隠れ蓑にされてるなら、なんとか助けないと……!」

「いや……」

 

 鶴乃の言葉を遮ったのは、十七夜の低い声だった。

 

「夕凪君は、恐らく気づいているだろう。自分が読心をしたとき、彼女の心からは、瀬奈みことの味方でいようとする気持ちと、彼女のために何かしらの計画を立てていることが読めた。計画の詳細までは読めなかったが、瀬奈みことの計画と無関係ということはあるまい。何より彼女の心情が物語っている」

「そ、それだって、十七夜の読み間違いとかさ! 全部読心できたわけじゃないんでしょ? 見落としがあったとかさ……」

「由比君。そう思いたい気持ちは分かるが、全て真実だ。自分の魔法は、相手の想いが強ければ強いほどすぐに読み取れる。最初に読み取れた心が『瀬奈みことの味方でいる』の時点で、彼女と瀬奈みことが協力関係なのは揺らぎようのない真実だ」

 

 それでも鶴乃は諦めきれないように食い下がる。

 

「で、でもさ! 凜がそんな計画知ったら止めないわけないよ! そんな危ない存在を、放っておく子じゃない! だから、きっと知らないんだよ。凜だって真相が分かれば、瀬奈みことを倒すのに協力を……」

「鶴乃」

 

 見ていられなくて、私は鶴乃を呼び止める。

 

「信じたくない気持ちは分かるわ。けど、現時点で凜の身の潔白を証明するものは何もないわ。やましいことがないなら、十七夜と会ったときに瀬奈みことのことを話しているはずでしょう。けど実際は、十七夜と常磐さんに問われても、知らないと嘘をついた。それは、瀬奈みこととの関係を知られたくなかったから。そうとしか考えられないわ」

「で、でも……。凜は真っ直ぐで、悪いことなんかしない良い子だよ……! 多くの人を傷つける計画に力を貸すわけ、ないよ……!」

 

 鶴乃の悲痛な声で呟く。

 静海さんは同情的な目を向ける。

 凜が鶴乃の弟子なのは、ここにいる全員の知るところだ。静海さんは鶴乃の姿を見て、彼女たちと共に暮す三栗さんのことでも思い出しているのだろうか。

 

 

 それでも、私は鶴乃を否定しないといけない。

 今の凜は、私たちの後輩である前に、この神浜を危機に陥れようとする最重要容疑者なのだから。

 

「そう。真っ直ぐだからこそ、凜の正義は危ういのよ」

「えっ……」

 

 鶴乃は、何のことか分からない、という目を私に向ける。

 距離が近すぎたからこそ、鶴乃は気づかなかったのかもしれない。

 

「凜は確かに善良よ。人を傷つけることを良しとしないし、困っている人が助けようとする優しさと強さもある」

「そ、そうだよ! だから……!」

「けど、比重が私たちとは違うのよ」

「……どういうこと?」

「凜にとって絶対の正義は、目の前で困っている人、泣いている人に手を差し伸べること。そして、その人に寄り添うことよ。例え相手が、どれだけの極悪人でも。その人が深く傷ついているなら、彼女は絶対に味方でいようとする。そのためには、社会的正義も倫理も無視してしまえるのよ」

 

 

 

 以前、凜が凶悪な殺人事件のニュースを見ていたことがあった。

 私は凜が事件に悲しんでいるのか、被害者に同情でもしているのかのと思ったが、凜の呟きで違うと分かった。

 

「どうして、こんなこと……」

 

 凜の意識は加害者に向いていた。

 その事件の犯人は、凜とあまり年の変わらない子だった。虐待やイジメを受け、その報復が動機だったらしい。

 

 

 その時はあまり気に留めなかったのだが、意識するようになったのは更紗帆奈の一件のときだ。

 

 

 後からみたまを問い詰めて分かったことだが、凜は私たちとは別に彼女を追っていたらしい。

 彼女の死後、しばらく落ち込んでいたのを鶴乃から聞いた後、私は一つの仮説を立てた。

 

 凜が更紗帆奈を調べていたのは、捕まえるためではなく、協力するために接触しようとしていたのではないか、と。

 

 

 そもそも、人を殺すことを一切躊躇わなかった更紗帆奈に一人で接触し、動けないよう暗示までかけられたのに、彼女は殺されていない。私の知る更紗帆奈なら、私たちの憎悪を煽るために、あの場で凜を殺すこともできたはずだ。

 それをしなかったということは、私たちの知らないあの空間で、更紗帆奈に殺害を躊躇わせる何かが凜にはあったということ。

 

(それがもし、凜を味方につけることだとしたら……)

 

 

 そのときから、凜は瀬奈みことのことを託されていたのかもしれない。

 だから、凜は見逃された。無理やりでなく、彼女自身が協力したいと言ったから。

 

 悪い想像は、いくらでも沸いてきてしまう。

 

「とにかく。鶴乃が思っているほど、凜の正義は秩序寄りじゃないわ。凜にとって、目の前で泣いている人がいることが何よりも間違っていることなの。下手したら、世界を敵に回すことだって厭わないほどにね」

 

 私はあえて断言する。

 今の鶴乃に他の可能性を見せたら、そちらにずっと縋ってしまいそうだったから。

 

 鶴乃は頭を垂れて、黙ってしまう。

 

 

 

 そこで、重くなった空気を切り替えるように、常磐さんが口を開いた。

 

「では、これからどう動くかについて検討しましょう。和泉さん。夕凪さん、もしくは瀬奈みことの計画で他に分かったことはありますか?」

「うむ。それについてだが、夕凪君の計画は1週間後、来週の土曜日を決行日と考えているようだった。無論、彼女自身確定させていたようではないし、決行日がズレる可能性もあるが……」

「私たちの行動にとっての目安にはなるわね」

 

 静海さんの言葉に、私も頷く。

 

「そうね。一番警戒すべき日が分かるだけでも、作戦は随分立てやすくなるわ」

「……そのことなんだけど。こちらから夕凪凜を捕まえに動くのではダメなの?」

 

 静海さんの問いに、常磐さんは首を振って否定する。

 

「いえ、それは得策ではありません。確かに彼女は最重要容疑者ですが、物的証拠は何一つありません。私と和泉さんの魔法と、状況から推察したに過ぎません。そんな状態でこちらから仕掛ければ、見滝原市の縄張りを襲ったとして、こちらの立場が不利になります。夕凪さんは見滝原の魔法少女に慕われているようですし、不要な争いは避けたいのです」

「そうなのね……。たしかに、仕掛けるには証拠が足りないか……。下手に動けば、街同士の縄張り争いになる可能性もある以上、リスクは負えないわね。もどかしい……」

 

 歯噛みする静海さんに、常磐さんは提案する。

 

「ですから、私が提案するのは『迎撃』です。瀬奈みことがどのような計画を立てているか不明ですが、どのみち本体と合流するには神浜に来なければいけないはず。もし彼女たちが本当に神浜を滅ぼすつもりなら、何か不審な動きはするでしょう。タイミングはシビアになりますが、これなら私たちのホームで準備できますし、現行犯で仕掛けられます」

「自分も常磐君の意見に賛成だな。瀬奈みことが神浜にもう一度神浜に来る可能性は高いだろう。彼女たちの心を読んだとき、瀬奈みことには人格移植の行えるほどの魔力が既に残されていないことは分かった。その状態で鏡の魔女を正確に操ろうとすれば、本体と合流する必要があるはずだ。そうなれば、彼女たちは必ず神浜に戻ってくる」

 

 そう、と常磐さんは十七夜の言葉に続く。

 

「瀬奈みことは人格移植の魔法をもう使えない。それなら、私たちの勝利条件はシンプルです。夕凪さんという依り代を失えば、瀬奈みことは自身の人格を誰かに移植できなくなる。そうなれば、彼女は消滅せざるを得ないでしょう。つまり、『その時』が来たとき、私たちは夕凪さんを()()()瀬奈みことの討伐を完了できる、というわけです」

 

 常磐さんのその言葉に、鶴乃はハッと顔を上げる。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ! さっきは捕まえるって……」

「ええ。ですが、それは彼女たちが何も害がないという確証を得られた場合のみ。もし少しでも神浜に害を与える疑いがあれば、その場で殺害します」

「そんな!? 無罪かもしれない段階でも殺すの!? そんなの無茶苦茶だよ! もしかしたらこっちの勘違いかもしれないのに……」

「かもしれない、で多くの犠牲を出すつもりですか?」

 

 常磐さんの冷たい視線に、鶴乃は言葉を詰まらせる。

 

「神浜市滅亡計画。それが実行されれば、神浜市に住む何十、何百万の人が犠牲になります。ここまで疑惑がある人物の命と、何の罪もない神浜市民全員。比べるまでもない選択肢だと思いませんか?」

「で、でも……」

「ご安心ください。彼女を殺す罪は、私が背負います。命を奪う行為が軽くないことは、私も重々承知です。ですがそれ以上に、私には守るべきものがこの神浜にあります。罪を背負ってでも守りたいものが」

 

 鶴乃は反論できなかった。

 頭の良い彼女なら、高いリスクを見逃して出る犠牲だって容易に想像つくだろう。それに、常磐さんの覚悟が生半可なものでもないというのが伝わったのも理由かもしれない。

 それでも、反論の糸口を探ろうとするのは、弟子への愛情か。

 

「由比鶴乃。悪いことは言わないから、あなたはこの作戦から降りなさい。この作戦、あなたには荷が重すぎる」

 

 心配するように、静海さんが静かに鶴乃に言う。

 

 しかし、私は静海さんの言葉に口を挟んだ。

 

「いいえ。鶴乃、あなたは絶対、この作戦に参加しなさい」

「ちょっと七海やちよ。それは……」

 

 止めようとする静海さんを一睨みで黙らせる。

 たしかに、この作戦は鶴乃には辛いものだ。普通だったら、私も鶴乃を参加させようとはしない。内通のリスクだってある。

 

 けれど、私はこの作戦から鶴乃を外す気は、さらさらなかった。

 

「凜はあなたの弟子でしょう。師匠なら、弟子の暴走は責任を持って止めなさい」

「っ……」

「弟子が間違った道を進むのなら、全力で、それこそ殺してでも止めなさい。それが、道を示し、力を与えた師匠としての責任よ。悪いけど、そんな覚悟も無しに弟子を取ったとは言わせないわ」

 

 私だってそうなのだから、と付け加える。

 

 鶴乃を弟子にしたときから、万が一があれば殺してでも止める覚悟はしてきた。

 鶴乃が道を踏み外したとき、魔女になったとき、誰かに洗脳されて救う手立てがなかったとき。

 

 いくつものパターンを考え、もしものときは全力でぶつかることは覚悟した。例え、殺すことになったとしても。

 

 

 だから、彼女の師匠として、鶴乃をこの作戦から逃げるのを許可するわけにはいかない。

 

「鶴乃。これまで凜と向き合ってきたんでしょ。ここで逃げることは、師匠として許さないわ。きちんと、彼女を受け止めなさい」

 

 私の言葉に、鶴乃はゆっくりと顔を俯かせる。

 彼女のスカートに落ちた、小さないくつかのシミは見なかったことにした。

 

 私は一度息を吐くと、気を取り直して話す。

 

「とりあえず、大まかな動きは決まったわね。細部も詰めていきましょう」

 

 私の言葉に、黙っていた他の人たちも口を開きだす。

 

 

 ヒドいことを言ったのは分かっている。

 

 けど、鶴乃には理解してほしかった。向き合うことの大切さを。

 私が一度諦めてしまったからこそ、彼女には後悔してほしくはなかった。

 

 

 話せなくなってしまってからでは、遅いのだから。

 

 

 

 

 

 




 皆さん、Magia Day 2025見ましたか?

 盛りだくさんの内容でしたが、1番びっくりしたのは、まさかの完全新規ストーリー『Crescent Memoria』実装!
 しかも時系列はマギレコが始まる前日譚ということで、すごい期待しています。それに、新しい魔法少女が二人も発表されてましたね。二人とも可愛かった。
 ただ、ストーリー次第では本作と齟齬が出そうで、二次創作者としては少しヒヤヒヤもしてます。
 でも、メルちゃん死んだ後がメインっぽいし、大丈夫か……?

 ちなみに私はすみれちゃんが刺さりました。発表されてた性格がすでに癖にぶっ刺さってます。
 あのビジュでこの性格は狂う狂う狂う狂う狂う狂う。

 というか、ストーリーの展開によっては凜にも心の傷が増えそうですね。
 凜ちゃん、またいっぱい傷つこうね。(暗黒微笑)
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