魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得   作:くろしゅー

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(新年一発目なので)初投稿です。

【追記】サブタイトルを少し変えました。



DAY.95-1 作戦開始

 

 

 

 

 

 神浜大決戦のゴングを鳴らす実況、はーじまーるよー。

 

 

 

 

 というわけで、前回はようやく全ての準備を終え、希望の未来へレディ、ゴー!する予定でした。

 

 

 

 し か し 。

 

 

 まさかまさかの、鏡の魔女がもう動き出すというイレギュラーが発生し、さっそくチャートの前提条件が粉砕されました。

 

 なんで?なんで?なんで?

 

 

 私も回数は多くないとはいえ、みことちゃんルートは何回か走ったことがあるのですが、その時はこんなイベントありませんでした。

 つまりこれも、scene0 editionで追加された新ルートの一種ということでしょう。

 

 あーめんどくせマジで。(怠慢)

 

 

 

 ユリちゃん曰く、みことちゃんの魔力量が減りすぎたからみたいです。

 あの魔女化防止イベント、ここで足引っ張ってくんのかよ……。 

 

 

 

 まあでも、起きてしまったからには仕方ありません。

 こうなったら全員と協力して、実績獲得を目指すだけです。

 

 (実況者の対応力)見たけりゃ見せてやるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.95

 

 

 

 

 さて、場面はユリちゃんたちが電車から飛び降りて、神浜市街へと降り立ったところからスタートです。

 

 

 

 まずは、ユリちゃんが言っていたように、みことちゃんの願いを叶えることを第一目標とします。

 

 そのためにも、先に行ったひめなちゃんたちと合流しなきゃいけないのですが……。

 

 

 

 はい。今、右上に目的が更新されましたね。

 ここにあるように、大東団地、という神浜の大東区の一角にある団地を目指します。

 

 当然、電車もタクシーも動いていませんので徒歩で向かいます。

 

 

 あと、マミさん、杏子ちゃんとはここでお別れです。

 前回ユリちゃんが言っていたように、彼女たちには現在の神浜の情報収集にあたってもらいます。

 みことちゃんの本来のプランと変わっている可能性は十分にありますし……。

 

 なにより、鏡の魔女はワルプルギスの夜以上にギミックボス要素が強いので、少しでも手がかりを集めないとこちらが不利になるだけですからね。

 人によってはワルプルギスより苦戦したという人もいるのではないでしょうか。

 

 あと、マミさんを自由に動かすことで、少しでもやちよさんとの遭遇率を下げるのも、裏の狙いだったりします。

 後で説明しますが、今回の敵で唯一ちゃんとした対策が取れないのがやちよさんなのです。そのため、マミさんには彼女を足止めしてもらいたいんですね。

 というか、ユリちゃんとマミさん以外じゃ勝負にもならないし、ユリちゃんがメインで動く以上、マミさんしか彼女に対処できません。

 

 ま、これでも確率が高まるだけで、絶対に出会わないようになるわけじゃないんだけどね。(ガバガバ)

 

 

 

 

 というわけで、ユリちゃんはまばゆちゃん、ほむらちゃんを引き連れて大東団地を目指します。

 

 移動しながらユリちゃんのスキルをちょっと弄りましょうか。

 

 ワルプル戦前にレベルを上げてから今回までで、またスキルポイントも大分溜まったので色々と獲得しましょう。

 

 今回はそうですね……。魔力量をカンストまで、それと必殺技の威力も上げましょう。すでに固有魔法の使用速度レベルはカンストしてますし、他の戦闘に使えるスキルもあらかた取っていますので、上げるとしたらここくらいですね。

 

 そして新スキルとして、『カウンター(動)』を取得しましょう。

 このスキルは、今までパリィでしか発動しなかったカウンターを、ジャスト回避時にも発動できるようになるスキルです。今回の戦闘は恐らく、どれもパリィより回避メインの戦い方になるので、このスキルは取っておきたかったんです。

 

 

 残ったポイントは体力増加に全ブッパです。

 

 

 

 よし。これでちょっとやそっとじゃ死なない、パーフェクトユリちゃんの完成です。

 

 

 

 では、大東団地に行くとするか……。(SR並感)

 

 

 

 

 

 

 魔法少女移動中……

 

 

 

 

 

 

 

 あ、そうだ。(唐突)

 

 

 ここのところ色々なイベントが重なり事態が混迷を極めてきたので、この移動中の時間で視聴者アニキたちのために一度、状況を整理してお伝えしておきます。

 

 

 

 

 まず、ユリちゃんたちが達成したい目標は大きく分けて2つ。

 

 1つは、みことちゃんを帆奈ちゃんに会わせること。もう1つは、鏡の魔女を討伐することです。

 

 

 そして先ほど言った通り、まずはみことちゃんを帆奈ちゃんに会わせるほうからやっていきます。

 

 鏡の魔女倒してからのほうがいいんじゃない?とお思いの視聴者アニキたちもいると思いますが、実はそれは無理なんです。

 というのも、鏡の魔女を倒してしまうと、ユリちゃんに取り憑いているみことちゃんの人格も一緒に消えてしまうんです。

 

 原作のマギレコ第二部では、鏡の魔女が倒されても独立して残っていたみことちゃん人格ですが、あれは∞いろはちゃんとマギアレコードの存在があってこそ。∞いろはちゃんの底なしともいえる強力な魔力でみことちゃんの依り代になっていただけで、ユリちゃんではとても真似できません。今のユリちゃんでやろうとすれば、20秒もあれば魔力が尽きて魔女化まっしぐらです。コワ~……。

 

 そんなわけで、みことちゃん人格の延命が叶わない以上、みことちゃんのほうを先に終わらせないと両方の目標達成はできません。

 ユリちゃんもみことちゃんの力になりたい気持ちが強い以上、みことちゃんの願いを叶えられずに消滅させると、最悪その場で魔女化しかねません。

 

 

 

 

 さて、そんなユリちゃんたちの行く手を阻むのは、チームななか率いる、臨時の神浜共同戦線の皆様。

 

 私も完全にメンバーを把握してませんが、予想はできます。というか、その予想でこの後の作戦をユリちゃんと立てたので、外れてもらっては困ります。

 

 

 まずは以前に動画で言ったように、チームななか、チームアザレア、チーム大東団地の三組は固定です。

 

 そして、今回は好感度を全く稼いでないので、東のリーダー、和泉十七夜さんも確定でいいでしょう。

 あとはチームみかづき荘もですね。やちよさんは心が強ェ魔法少女なので、ここはさすがにユリちゃんのやり方に反対するはず。というより、みたまさんの情報が確かなら、確実に敵対してます。残りは……、微妙なラインですね。鶴乃ちゃんくらい、ユリちゃん側についてくれないかなー……。

 

 

 そしてみたまさんから、キュゥべえがユリちゃんの悪い噂を事実に基づいて偏向報道を言いふらしまくってる、という情報を得られました。

 これは神浜で敵対が確定枠じゃない、ユリちゃんに対して好感度ニュートラルな子がほぼ全員敵対する、ということを示すフラグです。残念ながら、ユリちゃんに第二部いろはちゃんのような人望は無かったようです。カワイソウニ…カワイソウニ…。

 

 

 つまり敵の数は、みことちゃんイベントでのほぼ最大数となっております。ただでさえルナティックな難易度が更に上がり、もはやインフェルノレベルです。

 これもう死ゾ。

 

 

 

 ただまあ、ここからがこのゲームの上手いところ。

 

 神浜に味方はほぼいない状況ですが、神浜以外に目を向ければそうでもありません。

 

 

 こちらも、チーム見滝原、フォークロアは全員参戦してくれますし、ひめなちゃんたちもプラスです。

 神浜だって、ももこちゃんとみたまさんは協力してくれています。

 

 全員を倒すならともかく、討伐目標はあくまで鏡の魔女一体のみ。

 

 

 それなら、この戦力差を撥ね除けるのも不可能な話ではなくなってきます。

 

 

 

 ただ1つ注意なのは、先ほどの敵対確定枠の子たちとは必ずエンカするようになっています。そうじゃないとゲームが盛り上がらないからね、という制作陣のゲスい思いが透けていますね。

 そのため、チームななか、チームアザレア、チーム大東団地の3チームは誰かが戦闘を請け負わねばなりません。

 

 一番強いチームななかはユリちゃんが引き受けるとして……。

 団地組は十中八九、自分たちの家でもある大東団地で待ち構えているでしょう。なので、最初にたどり着いた人たちに対処してもらう手筈になっています。幸いにも、団地組がこの中だと一番弱いので、誰が当たっても全然勝機はある相手です。本当はマミさんに対処させたかったのですが、あいにく情報収集とやちよさん足止めの役割があるので、現状の戦力の誰かで対処しましょう。

 そして残りのチームアザレアですが、こちらは既に作戦会議で当てるメンバーを決めているので大丈夫。恐らくひめなちゃんが上手いことやってくれているでしょう。

 

 

 

 さて、状況整理も済んだところで、画面をユリちゃんたちに戻しましょう。

 

 

 とりあえずは大東団地を目指して、ひたすら進みます。

 

 

 

 

 

 

 む、これは……。

 

 

 ここで野生の魔女とエンカしました。

 どうやら鏡の魔女が街中に魔女を解き放ったせいで、エンカ率が超上がってますね。

 

 

 とはいえ、今のユリちゃんの敵ではありません。

 元々、鏡の魔女に飼われている魔女たちは体力が低く設定されているので倒しやすくなっています。それでいてグリーフシードはちゃんと落とすので、ここまでグリーフシード稼ぎが出来ていなかった身としては、むしろエンカ率が上がっているのは僥倖です。

 

 

 

 攻撃を避けて、さっそくカウンター(動)発動!

 

 Foo^~! 気持ちぃ~。

 

 

 しかも一発で体力3割くらい持っていきましたね。

 相手の体力が貧弱なのもそうですが、ユリちゃん自身がワルプル戦よりかなり強くなってますね。

 

 今思えば二木市で、加速の固有魔法持ってる初見のさくやさんに対応できてたんだから、強さの片鱗は見えてましたね。

 

 

 まばゆちゃん、ほむらちゃんの追撃を受け、すでに魔女は瀕死。後は強攻撃コンボを叩き込めば……。

 

 

 工事完了です……。

 

 

 

 もう無双ゲームかと思うぐらいサクッと倒せましたね。あっけない。

 

 グリーフシードも回収できましたし、先を急ぎましょう。

 

 

 

 

 ここから先、あまり魔法少女とエンカしたくはないのですが……。

 

 

 お? ちょうどいいところに地下鉄の入り口が!

 

 

 この地下鉄はですね、攻略班の調査によってバグ無しレギュのRTAでも使われるほど使い勝手の良い道と判明。今は地震の影響で電車も止まっているから、線路の上を走ることも可能です。

 ここは地下道を抜けて一気にショートカットじゃい!

 

 よーし、これで一気に……。

 

 

 

「っ!?」

「うわぁっ!?」

 

 

 ファッ!?

 

 なんか地面から黒い腕生えてきたゾ!?

 

 

「まばゆ! 凜! 避けなさい!!」

 

 

 おっぶえ!

 

 

 ふぅ、間一髪でした……。 

 

 てか、この腕、鏡の魔女のヤツじゃん! どうしてこんなとこに……。

 

 知らない方のために軽く解説すると、これは鏡の魔女の攻撃の一つです。鏡の魔女は成長すると、このように腕を生やしてプレイヤーを攻撃してきます。このゲームでは、使い魔やコピーたちに設置させた鏡の罠の近くを通ると発動するようになっています。

 原作では、この死角の一撃でういちゃんを殺し、一度は人類を滅亡させました。(クソデカネタバレ)

 

 

 さすがに今回はこちらを一点狙いしてきたというより、設置した鏡の攻撃範囲に入ったから攻撃してきた、という不特定多数狙いの地雷タイプみたいですが……。

 

 

 ああクソ!

 今の攻撃で天井を崩され、まばゆちゃんたちと分断されました。

 

 これ絶対、このショートカット対策としてアプデで設置された罠じゃないですかヤダー!

 

 

 

 すぐにまばゆちゃんたちと合流したいところですが、今の罠にかかったことで、コピーたちを呼び寄せてしまいましたね。

 

 

 仕方ありません。

 ここからは、まばゆちゃんたちとも別々に動きましょう。

 ちょうどまばゆちゃんたちは先に進める側に残ってくれたので、このままショートカットの道を通ってもらって団地組を任せる形にします。

 

「まばゆ! ほむら! ここは一旦分かれよう! ここに留まっても囲まれるだけな気がする! 指示は追ってトランシーバーで!」

「そんな!? 凜さん!」

「悔しいけど、選択肢はないわね……! いくわよ、まばゆ!」

 

 

 ほむらちゃんがすぐさま動いてくれましたね。

 

 それでは、こちらもコピーを排除しつつ地上へ出ましょう。イクゾー!(デッデッデデデ!カーン!)

 

 

 

 

 

 

 はい、地上です。

 コピーたちが雑魚で助かりました。

 

 

 にしても、ここまで仲間と分断されるとは……。

 

 さっきから何もチャート通り上手くいってないやん!

 (攻略)止めたくなりますよ~。

 

 

 

 

 さて、目的とは別の出口から出てしまいましたが……。

 

 

 

 ここは参京区のあたりですね。

 

 

 無駄な戦いは避けたいので、誰にも会わないことをお祈りで進みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちなさい!!」

 

 

 ん?

 

 

 

「見つけましたよ! 夕凪凜!」

 

 

 

 ふざけんな!(迫真)

 

 

 言った側からエンカしたんですケド!

 

 

 

「ちょ、ちょっと明日香! いきなりケンカ腰は……!」

「ですが! この神浜の状況! ななかさんたちから聞いた情報! やはりこの事態を起こしたのは……」

 

 というわけで、神浜の魔法少女(本物)とエンカしてしまいました。

 相手は、竜城明日香ちゃんと美凪ささらちゃんの二人ですね。

 

 この二人かぁ~……。

 

 

「いきなりごめんね! でも、私たちも状況が掴めてなくて……。なにか知ってることがあれば教えてほしいんだけど……」

 

 さすがにささらちゃんは冷静ですね。

 とはいえ、信じてもらえているわけではなさそうですし、何より隣の明日香ちゃんが今にも襲いかかってきそうです。

 

 二人の解説をしたいところですが、さすがにそんな時間もないのでカットです。

 詳しく知りたい方は、wikiでも行って、調べろ……。(人任せ)

 

 

 それに、ユリちゃんの回答はすでに決まってます。

 

「ごめん。私も詳しく事態を把握できてないの。情報なら私も知りたいくらいで……。だから、力にはなれないかな」

「シラを切るつもりですか?」

「ちょっと明日香……!」

「私たちは、あなたが瀬奈みことと動いているのは把握済みです。その瀬奈みことが、鏡の魔女と繋がっていることも! これでも、まだ無関係とでも言うのですか?」

「そうだね。鏡の魔女の行動に、私は何も関わってないよ」

 

 メッチャ疑われてるー。

 けど、何も情報ないのは本当ですし、彼女たちと話してる時間もないんですよ。

 

「……うん。私もあなたのこと、無闇に疑いたくない。けど、他はそういう人ばかりじゃないから。とりあえず、私たちと一緒に来てくれない? もちろん、なにかあったら私が守るからさ」

 

 ささらちゃんはこの状況でも、ユリちゃんに極力配慮した形で提案してくれますが、こっちにとってはその拘束時間が致命的なんです。

 それにどうせ、ななかさんたちは絶対に逃さないでしょうからね。

 

 

 なので……。

 

「悪いけど、それもできない」

「……どうして?」

「こっちも急いでいるから、ね!」

 

 

 クイックステップ発動!

 

 2人の間をすり抜ける!!

 

 

 

 

「っ!」

「行かせません!!」

 

 

 チッ! 明日香ちゃんに止められたか。

 

 

「それがあなたの答えなら仕方ありません。竜真流、竜城明日香! 参ります!」

「ああもう! ごめんね、少し手荒にいくよ!」

 

 

 仕方ない。竜城明日香ちゃん、美凪ささらちゃんとの戦闘開始です!

 

 

 

 

 

 ……の前に。

 ここでみことちゃんのカットインが入ります。

 

 

 

『凜ちゃん!』

「みことちゃん?」

『私も手伝うよ!』

「え、手伝うって……」

『現実に干渉はできないけど……。凜ちゃんの目になってあげることはできる』

 

 

 

 はい、みことちゃんのこの台詞と同時に、新スキルが解放されます。

 

 その名は『危機察知』。

 名前の通り、敵の死角からの攻撃や必殺技などが事前に分かるようになるパッシブスキルです。

 

 通常だと気配を探ったりする魔法でも持っていない限り解放されないスキルですが、みことちゃんと信頼関係を結ぶと、みことちゃんが死角をカバーしてくれるようになるため、このスキルを使えるようになります。

 

 なので、今までは画面外からの攻撃は避けようがありませんでしたが、このスキルを獲得すると攻撃がくる直前に操作キャラの上に『!』マークが表示されるようになります。また、相手がマギアなどの必殺技を撃とうとしていると、みことちゃんが警戒するように声をかけてくれるようにもなります。某モンスターなハンターでも導入されてる仕様ですね。

 

 

 これがマジで、対複数戦においては最強のスキルです。

 なんたって擬似的なニュータイプになれますからね。

 

 

「みことちゃん……」

『もう何も出来なくて大切な人を失うのは嫌なの……。私だって、守られるばかりは嫌!』

「……分かった。みことちゃんに、背中は預ける」

『任せて! これでもずっと帆奈ちゃんのサポートはしてきたから!』

 

 

 ありがとナス!

 

 ユリちゃんの戦闘能力、みことちゃんの探知、そして私のプレイスキルの三位一体なら、負けはしません!

 

 

 

 

 

 さあ、改めて戦闘開始!!

 

 

 

 さて、この二人との戦闘で最初に相手すべきは美凪ささらちゃんです。

 

 というのも、この戦闘画面を見てください。

 

 

「ふっ! はあっ!」

「くっ……! なにこれ、やりづらい!!」

 

 なにならユリちゃんが動きづらそうな言葉を漏らします。

 

 

 お分かりいただけたでしょうか。

 

 今、ユリちゃんはささらちゃんをロックオンして攻撃してますが、横から明日香ちゃんも攻撃してきてますよね。

 え? なんでずっとささらちゃんをロックオンしたままなのかって?

 

 それこそが、彼女の魔法だからです。

 彼女の魔法は『挑発』。といっても言葉的なヤツではなく、相手の注意を引きつける、的な意味合いですね。

 

 攻略だと大して使い勝手の良い魔法でもないのですが、戦闘で相手にすると圧倒的脅威と変貌します。

 

 なぜなら、この魔法を発動されるとささらちゃんへのロックオンが外れなくなるのです。

 そのため、ロックオンを外して周りを見渡したくても、カメラが勝手にささらちゃんのほうを向いてしまうのです。そんな状態で1対多数でもやれば、回避もガードもロクに出来ず、一瞬にしてボロ雑巾にされます。

 

 攻略で使うと大して便利じゃないくせに、敵として戦うと面倒くさいことこの上ないとか、マミさんみてーな魔法だな。(失礼)

 

 

 しかし、今のユリちゃんにはみことちゃんがいます。

 彼女がいれば、例えささらちゃんにロックオンを吸われても、画面外からの攻撃にも対処することができます。

 

 だから、みことちゃんとの合わせ技で『危機察知』を取得する必要があったんですね。(こじつけ)

 

 

 

 てなわけで、さらっとささらちゃんを(激寒ギャグ)落としましょう。多少の被弾はユリちゃんの魔法でゴリ押せるので、ここは攻め一択。

 

 

 もう許さねえからな?

 

「はあああっ!」

 

 デレ行動、ありがとナス!

 

 ジャスト回避して、カウンター!

 

「くっ! まだまだ!」

 

 はい、パリィ。そんなんじゃ虫も殺せねえぞお前ら。(煽り)

 

「ぐぅ……!」

 

「ささらさん! よくも!」

 

『凜ちゃん! くるよ!』

 

 

 おっと、ここで明日香ちゃんがマギア『竜真閃光爪牙(りゅうしんせんこうそうが)』を発動しましたね。

 

 水の竜を纏った薙刀で突っ込んでくる高火力の必殺技です。生生流転……?

 

 

 ですが、来るのが分かっていれば避けるのは簡単です。

 この薙刀を振る音がした後の1.8秒後。ここだ!

 

「なっ!?」

 

 はい、避けられました。

 

 お返しのマギア、じゃあぶちこんでやるぜ!

 

 

 ここは広範囲技の『炎雷斬舞』を選択して、二人同時に当てましょう。じゃあ○ね!!

 

 

「明日香!!」

 

 おっと、明日香ちゃんの分はささらちゃんが防いだようですが、自分のガードがほぼ疎かになったささらちゃんにはフルヒット。

 

 まずは美凪ささらちゃん、工事完了です……。

 

 

「くっ! ささらさんの仇ーー!!」

 

 続いては竜城明日香ちゃん。

 彼女は竜真流という薙刀術の道場生まれであり、彼女自身、師範代クラスの腕前を持っています。

 

 そのため、持っているスキルや技も優秀なものが多いのですが……。

 

 

 その分、攻略アニキたちに徹底的に研究されたので、実はそこまで脅威ではありません。

 正確にいうと、慣れるまではメチャクチャ強い魔法少女ではあります。けれど、ターン制を意識して攻撃すれば全然隙はありますし、モーションも慣れれば避けやすいものが多いですしね。変なディレイも無いしな!

 総じて、戦っていて楽しいキャラです。マミさんは見習って、どうぞ。

 

 

 これは、連続攻撃の3発目を弾き、その後に繋げてくる攻撃をパリィ。

 

 

「ま、まだまだ!」

 

 これはガー不可なので、ジャスト回避でカウンター。

 

「ううっ……!」

 

 この攻撃は右ロリをしてれば簡単に避けれます。っと、攻撃終わりに一撃。

 

 

「な、ならば!!」

 

『わ、なんか溜めてる! 気をつけて!」

 

 

 おっと、今度はマギア『竜真螺旋咆撃(りゅうしんらせんほうげき)』ですね。

 

 これは水の竜巻を生みだして、それと共に斬りつけてくる技です。

 

 さすがにこれはジャスト回避でのカウンターも無理なので、素直に回避専念です。

 

 

「せいやああああああ!!」

 

 

 雄叫びあげてるとこ悪いけど、こっちも時間ないんでね。

 

 技終わりにバックスタブ決めて、意識を刈り取らせてもらいましょう。

 

 

 卑怯とは言うまいな……。

 

 

 

「がっ……! む、ねん……」

 

 

 

 竜城明日香ちゃん、工事完了です……。

 

 

 

 

 

 いやー、みことちゃんのおかげで複数戦がやりやすい、やりやすい。

 

 

 では、気を取り直して、大東団地へ……。

 

 

 

 

 

 ドオン!!

 

 

 

 

 っ!?

 

 

 

「『っ!?』」

 

 

 

「戦闘の音がしたから駆けつけたけど……。ちょっと遅かったみたいだね」

 

 

 

 

 

『あの子……! 気をつけて、凜ちゃん! あの子、常磐ななかの仲間だよ!』

「みたいだね……」

 

 

 

 志伸…あきら? どうして今ここに……。

 

 

 という冗談はさておき、今しがた某鬼狩り漫画の上弦の参の如く空から降ってきた彼女こそ、チームななかの一人、志伸あきらちゃんです。

 

 もうエンカウントするか……。もうちっと時間が欲しかったのじゃ。

 

 

 

 どういうことかというと、プレイヤーキャラがチームななかと戦う場合、一種の救済措置がありまして……。

 前哨戦として、チームななかの誰か一人との戦闘が発生します。そして一定時間経過で、残りメンバーが合流、という流れの戦闘になるんですね。この際、前哨戦で負わせたダメージは引き継ぎになりますので、上手くやれば残りメンバーが合流する前に一人脱落させることもできます。

 

 

 そして、今回はあきらちゃんが選ばれた形になりますね。

 

 あきらちゃんですが……、ハッキリ言ってななかさんの次にハズレ枠です。

 理由は簡単。普通に強いからです。

 彼女は武器を持たず徒手空拳で戦うのですが、彼女は空手の有段者なため、徒手空拳で使えるスキルを沢山持っています。そのため、他が合流する前に倒せる難易度が高いんです。体感、7割くらいは倒せずに合流されますね。

 

 かこちゃんだったらなぁ、瞬殺できるんだけどなぁ、俺もなぁ。

 本編の豪運を取り立てるかのようなクズ運。はーつっかえ。

 

 

 

「正直、ななかの話を聞いても少し迷っていたんだけど……。どうやら、もう迷う必要はないみたいだね」

 

 グッと拳を握って構えるあきらちゃん。

 

 仕方ありません。ユリちゃんには少々苦しい局面ですが、この連戦、乗り切ってもらいましょう。

 

 

 

「ボクたちにも守るものがあるんだ。君たちの事情も聞いてあげたいけど、まずは取り押さえさせてもらうよ!」

 

 

 

 

 さあ、空手少女解体ショーの始まりや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.95 Side RY

 

 

 

 

 

 

 

「まずは取り押さえさせてもらうよ!」

 

 

 志伸あきらさんは、そう発すると同時。地面を蹴り、私へと迫ってくる。

 

 それに対し、私も武器を構え、迎撃の体勢に入る。

 

(みたまさんの情報によれば、彼女の武器は空手で鍛えた自分の拳と脚。つまり徒手空拳での戦闘スタイル……!)

 

 

 凄まじい速度でありながら一切ブレの無い姿勢で踏み込んできた彼女の正拳突きを、私は双刃刀の柄で受ける。

 

 

「ぐっ!?」

 

 私は彼女の拳を受け流し、すぐさま距離を取る。

 

 

(ただの拳で、あの威力……。まともに食らったら、内蔵破裂してもおかしくなさそう)

 

 

 先の衝撃で痺れる手に力を込めながら、彼女との間合いをはかる。

 彼女も同じ考えのようで、お互い、ジリジリと円を描くように動きながら、少しずつ距離を詰めていく。

 

 

 そして。

 

 

「――っ!」

「ふっ!!」

 

 

 踏み込むタイミングはほぼ同時。

 

 私たちはお互いに相手へと迫り、攻撃を繰り出す。

 そうなれば必然、リーチの長い私の攻撃が先に届く。

 

「はっ!」

 

 それをあきらさんは、突き出した拳で器用に逸らす。

 

(逸らされた! けど、それは織り込み済み!)

 

 私の攻撃を逸らした手と反対の拳から繰り出される、カウンターを狙った一撃をすれ違いながら避け、私は振り向きの勢いも使って刃を振るう。

 

 しかし、そこには彼女はすでにいない。

 

 

『凜ちゃん、上!』

 

 

 みことちゃんの声とほぼ同時に、私はその場を飛び退く。

 

 次の瞬間には、巨大な鎚でも振り下ろされたような衝撃と轟音が響く。

 

 私が先ほどまで立っていた場所は、あきらさんの踵を中心に蜘蛛の巣状のヒビが半径3メートルに渡って作られていた。

 

 

「死角は取ったと思ったんだけど……。やるね」

「褒めてくれるなんて、わざわざどうも」

 

 言い終わるが早いか、私は突きを繰り出し、あきらさんもそれを迎撃する。

 

 

 

 私たちの攻撃の交錯は、更に速度を上げていく。

 

 

「ねえ! どうして瀬奈みことの味方なんかするの!?」

 

 

 その中で、ふとあきらさんは私に問いかけてくる。

 

 

「君のことは前から知ってた! 神浜でよく人助けをしてる子がいるって! 恥ずかしながらボクも、「参京院のトラブルシューター」なんて呼ばれちゃうくらいには、人助けする機会が多くてね。話したのは更紗帆奈の事件のときだけだったけど、噂はボクの耳にも届いてたよ」

 

 だからこそ、と彼女は拳を打ちながら続ける。

 

「なんでキミが瀬奈みこと側につくのかが分からないんだ! 彼女は、いや彼女たちは神浜を滅ぼそうと……!」

「ちがうね!」

 

 私は彼女の拳を避け、お返しの回し蹴りを放つ。

 

「みことちゃんはもう、神浜を滅ぼそうとなんてしてない!」

「じゃあ今のこの状況は?」

「鏡の魔女の暴走。みことちゃんの意思は関係ない」

「……さすがに信じられない、ね!」

 

 

 彼女の足払いをバク転で避け、間髪入れずに斬りかかる。

 

 

「説得する気があるなら、邪魔しないでほしいかな!」

「そうはいかないね。こっちも神浜に住む人たちの命がかかっているから! それに、ボクたちに害意がないっていうなら、先に鏡の魔女を倒すのに協力してくれないかな!」

「悪いけど!!」

 

 私の一撃が彼女を捉える。

 あきらさんは両の拳でガードするも、そのガードごと後ろへ吹き飛ばす。

 

 

「私の最優先はみことちゃんだから。良い子の夕凪凜は、今日だけお休み。私にとって、名も知らない神浜の人たちより、私の大切な友だちのほうが大事なの。みことちゃんの願いを叶えて、笑ってほしい。それが私が分けてあげられる、唯一の幸せだから」

『凜ちゃん……』

 

 みことちゃんの声を横に聞きながら、私はコンクリート塀に突っ込んだあきらさんを睨む。

 

 

「イテテ……。その、願いって?」

 

 コンクリート片を払い落としながら、あきらさんが立ち上がり、私に質問する。

 

 私は躊躇うことなく答えた。

 

 

「更紗帆奈さんに会わせること」

 

 

 

「……そう」

 

 

 あきらさんの声が少し低くなる。

 

 

「なら、仕方ない。ななかたちが来る前にケリをつけないと」

 

 あきらさんが拳を握り直す。

 

「じゃないと、ななかがキミを殺しちゃいそうだ」

 

 

 

 そう警告する彼女の声は、本気だった。

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.95 Side MS

 

 

 

 

 凜ちゃんと志伸あきらの戦いは、私から見てもかなりハイレベルな戦いだった。

 

 お互い、相手の攻撃を避けつつ攻撃を挟み込む。

 ある意味、息が合っているとも思えるその攻防は、けれど凜ちゃんに天秤が傾いていた。

 

「っ! そこっ!!」

「うっ!?」

 

 まただ。また凜ちゃんの一撃が志伸あきらに当たった。

 

 

 凜ちゃんの対応力は凄まじい。

 直接戦うことは初めてのハズなのに、既に志伸あきらの動きのクセと戦闘のリズムを掴み始めている。

 

 まるでゲームセンターにあるダンスゲームの達人のように、凜ちゃんは志伸あきらという曲を攻略しかけていた。

 

 

(すごい……。帆奈ちゃんとも違う、それでいて洗練された戦い方……)

 

 

 帆奈ちゃんはどちらかというと、自力の弱さを補うために暗示の魔法を使ったり、正面からのぶつかり合いを避けた立ち回りが多かった。

 それも十分凄いし、賢い帆奈ちゃんらしいやり方だ。

 

 

 けれど、凜ちゃんの強さは底が見えない。

 

 

(凜ちゃんなら、もしかしたら……)

 

 

 

 

 私の思考を止めるほどの轟音が響く。

 

 凜ちゃんの強力な一撃が志伸あきらに当たったようで、彼女が後方へ大きく吹き飛んでいた。

 

 

「もらった!」

 

 凜ちゃんはそう呟きながら駆け出し、志伸あきらに迫る。

 もはや私の声による援護すら必要ないほど、志伸あきらを完封できるようになった凜ちゃんは双刃刀を振り上げ……。

 

 

「っ!?」

 

 

 横から飛んできた斬撃を、バク転で回避した。

 

 

 私も驚き、斬撃の飛んできた方向へ視線を向ける。

 

 

 そこには……。

 

 

「ギリギリ、間に合ったようですね」

 

 

 

 忘れもしないアイツ……。

 

 常磐ななかがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.95 Side RY

 

 

 

 

『常磐、ななか……!』

 

 

 私の隣でみことちゃんは、顔を酷く歪ませ、拳をキツく握りしめる。

 

 なんとなくではあるが、みことちゃんの憎しみを感じた。これも、一緒にいる時間が長いからだろうか。

 

 

 

「あきら、無事で良かったネ」

「まあ、ギリギリだけどね……」

「比較的近くでラッキーでした……!」

 

 常磐さんの横には二人の魔法少女。青髪の子が純美雨さん、緑髪の子が夏目かこちゃんだったはず。

 

 

(全員に集まられたか……)

 

 

 あきらさんの余裕はこれだったのだろう。

 私に挑む前に、位置を皆に共有していたのだろう。

 

 

 全員で行動していなかった以上、最初は別々に動いていたのだろうし。

 

 

 

「さて、夕凪凜さん」

 

 

 常磐さんが鋭い視線を私に向ける。

 

 

「このような再会になってしまい、とても残念に思っています」

「よく言うよ。最初から疑っていたくせに」

「否定はしません。が、あなたなら、と期待していたのも事実です」

 

 

 常磐さんは本当に残念そうな顔をする。

 

 

「私は基本、協力関係を結ぶ相手は慎重に選びます。当然、あなたのことも調べていました。その上で、あなたなら瀬奈みことに力を貸すことはしないと思っていたのですが……」

 

 彼女はため息をつく。

 

「神浜でこれだけのことをやられては、もはや選択肢はありません」

「だから……。これはみことちゃんのせいじゃない。既に鏡の魔女はみことちゃんの制御を離れてる」

「それを、信じろと?」

 

 常磐さんの声はどこまでも冷たい。

 

「更紗帆奈と共に行動をしていたものを信じられるほうが理解できません。それに、仮にあなたの話が本当でも、ここまで鏡の魔女を育て、呪いの温床にしたことは事実でしょう」

 

 常磐さんは私を見て、言い放つ。

 

「瀬奈みことの身勝手に付き合うつもりも、神浜を巻き込ませる気もありません」

 

 

 その言葉に、みことちゃんが目を見開く。

 

『それはっ!! あなたたちが帆奈ちゃんを殺したからでしょう!? 私の希望を奪ったくせに、勝手なこと言うな!!』

 

 

 

 

 

「みことちゃん」

『っ!』

 

 

 私はみことちゃんを手で制する。

 

 そして、一言だけ告げた。

 

「任せて」

 

 

 

 我慢して、とは言えなかった。

 それは彼女には酷だし、みことちゃんの怒りは分かるつもりだから。

 

 

(……?)

 

 

 私は自分の思考に違和感を感じるも、ななかさんを真っ直ぐ見据える。

 

 

「そう。なら、もう話はおしまいだね。私たちは用があるから、そこどいてもらえる?」

「その用というのが、今から鏡の魔女を討伐してくれるのなら考えますが」

「悪いけど、それは後。今はそれよりやるべきことがある」

「更紗帆奈と瀬奈みことを再会させること、ですか?」

 

 私はへぇ、と感嘆の声を漏らす。

 

「知ってたんだ」

「和泉十七夜さんの魔法で、あなたの計画は断片的に知っていますから」

 

(なるほど納得。ここまで警戒されたのはそれがバレてたからか)

 

 

 私は理解すると同時に、心が波立つのを感じる。

 

「なら、邪魔しないで」

「それはこちらの台詞です。彼女たちの再会が何を意味するか、分かっているのですか?」

 

 当然、と私は答える。

 

「温かい、希望だよ」

 

「いいえ。この神浜を、世界を終わらせる絶望の始まりです」

 

 

 常磐さんが私を睨む。

 

「今の鏡の魔女の力なら、更紗帆奈が引き起こした以前の事件より、被害は格段に広がります。それだけは阻止しなければ」

「更紗さんはそんなことしないよ」

「随分自信があるのですね。もはや盲信を疑うレベルです」

 

 私もななかさんを睨む。

 

「そっちこそ、復讐心で思考がロックされてるんじゃない? そんなに復讐が大事?」

「私個人の感情は関係ありません。これは神浜全体の問題です」

「その問題の被害者がみことちゃんだよ」

 

 会話の間に、私は軽く周りを確認する。

 

 既に常磐さんの仲間の3人は、私を取り囲むように移動している。

 

 

 私が動けば、向こうもすぐに動くつもりだろう。

 

 

「あなたに何と言われようと、私はみことちゃんを守りきる。この子に手出しはさせない」

「……本当に理解できません。なぜ、彼女を庇うのです」

「彼女が、泣きそうだったから。すごい、辛そうだった。それだけだよ」

「その不幸を、彼女たちはたくさん生んだのです。多くの人が、彼女たちによって人生を狂わされた。その報いだと、私は思いますが」

 

 常磐さんは私に問いかける。

 

「あなたはその被害者たちを無視して、瀬奈みことが可哀想だと言うのですか? 普通に生きていて、理不尽にそれを奪われた彼らのほうが、よほど可哀想だと思わないのですか?」

 

 そう言う常磐さんは、何かを堪えるような顔だった。

 

 実際、常磐さんの言っていることは正論だ。

 経緯はどうあれ、更紗さんとみことちゃんは多くの人を傷つけた。

 

 常磐さんたちだって、大切なものを傷つけられたから復讐を選んだに過ぎない。

 

 

 みことちゃんたちの不幸は自業自得だ。常磐さんはそう言いたいのだろう。少なくとも、更紗さんが死んだことに関しては。

 

 

 

(けど、それは私が納得できないんだよ)

 

 

「たしかにね。みことちゃんたちが不幸をバラ撒いたのは事実だよ。それで傷ついた人がたくさんいるのも知ってる。でも、私はそれを知った上で、みことちゃんたちの味方をするよ」

「なぜ……?」

 

 本気で理解できないといった顔で、常磐さんは私を見る。

 

 

 でも、申し訳ないけど、理由なんて単純なもんだ。

 

 

「友だちだからだよ。例え世界が彼女たちを許さないとしても、私が彼女たちを許す。彼女たちの味方でいる。誰も側にいてくれないなんて、そんなの寂しすぎるよ……」

 

 

 

 そう。

 ずっと私は、この気持ちに動かされていた。

 

 

 彼女たちは罪を犯した。それを無罪放免とする気はないけど、せめて隣にはいてあげたい。

 彼女たちだって、たくさん苦しんできたのだから。それが少しは報われてほしい。世界が認めないというなら、その世界を変えてやる。

 

 

 彼女たちが学校に書いた黒板の落書き。必死に自分たちの存在を訴える彼女たちを、私は放っておけなかったんだ。

 

 みことちゃんの命がもう尽きるなら、最後の希望は叶えてあげたい。

 

(大好きな人に再会するくらい、許されたっていいじゃん。せめて最期くらい、幸せな夢を見させてあげたっていいじゃん……!)

 

 

 

 

「あなたの考えは分かりました」

 

 

 常磐さんがポツリと呟いた。

 

 

「どうやら、本当に命を奪うしか、方法は無いようですね……」

 

 

 常磐さんは私にスマホの画面を見せる。

 

 

「既に皆さんにはここの位置は共有済みです。もう間もなく、全員集まるでしょう」

 

 

 常磐さんは語気を強めて、私に言い放つ。

 

 

「最終警告です。大人しく投降しなさい。そうすれば、命だけは助けます」

 

 

 

 それに対し、私も真正面から言い返す。

 

 

「みことちゃんの願いを叶える気は?」

「ありません」

 

 

 

 

「なら、お断り」

 

 

 

 

 

 

 私の返答に、常磐さんは残念そうな顔をする。

 

 

「どうやら、私の買い被りだったようですね」

 

 どこかこちらを見下しているような、そんな雰囲気を出す彼女に、私は指摘してあげる。

 

 

「それで? お仲間の魔法少女はいつ来るのかな? さっきから魔力反応が全然ないけど」

 

 

 これだけの魔法少女がいて、全員が完璧に魔力探知に引っかからないほど魔力を隠せるわけがない。

 

 

「……? なぜです? これだけ時間を稼いで、なぜ皆さん、一向に集まる気配が……」

 

 

 どうやら向こうも気づいたようだ。

 

 さっきまでの話し合いは、全部警告を兼ねた時間稼ぎ。そんなの最初から分かってた。

 

 だって、私が()()()彼女たちと戦えるよう作戦を調整したのは、私自身なのだから。

 

 

「どうやら、最初の作戦は私が上回ったみたいだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.95 Side KS

 

 

 

 

 

「っ! きた!」

 

 私の声に、隣で待機していた葉月とあやめが素早く反応する。

 

「このは、場所は?」

 

 葉月の質問に、私は常磐ななかから送られてきた情報を見せる。

 

 

「参京区の、この開発中止になったビルのとこ」

「よーし! あちしたちでさっさとボス倒して、神浜の平和を取り戻そう!」

 

 

 そう言って、息巻くあやめ。

 普段なら冷静に、と言うところだけど、今回ばかりは私も同じ気持ちだ。

 

(瀬奈みこと……! 今度こそ、思い通りにはさせない!)

 

 

 私たちはすぐに目標のいる場所まで駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 が……。

 

 

 

 

 

「っ!? 葉月、あやめ、避けて!!」

 

 

 遠くから響いた破裂音に嫌な予感がし、私は急ブレーキをかける。

 後ろから来ていた彼女たちもギリギリで止まると、私たちの一歩前には弾痕の線が引かれていた。

 

 

「あら。どうやら勘だけは良さそうね」

 

 その言葉とともに、二人の魔法少女が物陰から姿を現す。

 

「静海このは、遊佐葉月、三栗あやめ。あなたたちがそうね?」

 

「あなたたち見ない顔だけど、どこの魔法少女!? どうして攻撃してくるの!?」

 

 私の問いかけに、背の高いほうの、ガトリングガンを装備した魔法少女が答える。

 

「答える必要はないわね。ただ、何も分からないのも可哀想だし、目的くらいは教えてあげるわ」

 

 ガトリングの魔法少女は私たちを一瞥すると、上から目線で語る。

 

「私たちは訳あって夕凪凜に協力することになったの。彼女の作戦で、あなたたちが常磐ななかに合流しないよう無力化するのが、私の役割よ」

「ですです! なので申し訳ないですが……、皆さん、大人しくやられてください」

 

 ガトリングの魔法少女の隣にいた、ローラスケートを履いたそばかすの魔法少女も続く。

 気が弱そうに見えて、割と言葉に容赦が無い。

 

「ふざけんな! やられてたまるか! というか、お前たち瀬奈みことの仲間か!」

 

 激昂するあやめを、ガトリングの魔法少女は鼻で笑う。

 

「仲間じゃないわ。あくまで利があるから協力してるだけよ」

「ですです! 燦様はもっと高尚な目的があるんです!」

 

 すると、ガトリングの魔法少女が焦ったようにそばかすの魔法少女に言う。

 

「ちょっと! 名前は出さないって約束でしょう!」

「あっ! すみません燦様! ……あっ!」

「……ハァ。もういいわ、ミユ」

 

 訂正を諦めたのか、少女は額に手をつく。

 

「不本意だけど、ここまで言われてしまったし、もう一つだけ教えてあげる。あなたたちを叩き潰す者の名は、神楽燦。やがて神になる女よ」

「ゆ、遊狩ミユリ! 燦様の悲願成就のためにも、あなたたちはここで制圧させてもらいます!」

 

 

 二人の魔法少女はそう名乗った。

 

 

「か、神? あの子、もしかしてヤバい子?」

 

 葉月が少し引いたように呟く。

 

 私は後ろの二人に声をかける。

 

「なんにせよ、私たちを邪魔するつもりなら、倒して進むだけよ」

「おっしゃー! 任せろー!」

「しょうがないか。争いはあんな好きじゃないんだけど……」

 

 そんな私たちに対し、向こうのそばかすの魔法少女、遊狩ミユリはどこか怯えているように言う。

 

 

「う、うう……。勢いで啖呵切っちゃいましたけど、よく考えたら相手三人ですし……。燦様燦様、もしかして私たち、ヤバいのでは……!?」

「バカね。私がいて負けるわけないでしょう」

「で、でもでも! あの三人のプレッシャーで、ミユは、ミユは……!」

 

 

 すると、その言葉に神楽燦はニヤリと笑う。

 

 

「いいわよ、ミユ。トンじゃいなさい」

 

 

 彼女のその言葉の直後、遊狩ミユリの意識が落ちるように、カクリと頭を垂れる。

 

 数秒後、頭を持ち上げた彼女の目に、光は宿っていなかった。

 

 

(なに……? いきなり、雰囲気が……)

 

 

 私が彼女を観察していると、神楽燦は、彼女に声をかける。

 

 

「やりなさい、ミユ」

「はい……」

 

 遊狩ミユリが小さく呟いた、次の瞬間だった。

 

 

 雷光の如きスピードで消えたかと思うと、彼女のローラスケートの底が私の眼前に迫っていた。

 

 

「っ!?」

 

 

 咄嗟にガードするも、突然のことで踏ん張りが効かず、大きく後ろへ吹き飛ばされる。

 

 

「「このは!!」」

 

 

 二人の心配する声が響く。

 

 

(これは……。思っていた以上に、キツい相手になりそうね……!)

 

 

 私は武器を杖に立ち上がる。

 

 

「さてと……」

 

 

 すると、神楽燦は両腕をガトリングガンに変え、砲身を私たちに向ける。

 

 

「祭りは派手にやるものよ。そのお手本、見せてあげるわ」

 

 

 その言葉の直後、二門のガトリングガンが火を吹いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.95 Side MA

 

 

 

 凜さんと分断されてからしばらくして、私たちは大東団地にたどり着いていました。

 

 

 地震の影響で地下鉄がとまっていたおかげで、大幅なショートカットができたのは僥倖だったと言えるでしょう。

 

 

(しかし……。凜さんは無事でしょうか? 神浜で今一番狙われているのは彼女なのに……)

 

 

 

 地下道で分断された後、凜さんは私たちに言いました。

 

 

「まばゆたちはそのまま進んで! ここからなら、一気に大東区まで抜けられる!」

「そんな、凜さん!」

「私は大丈夫! 私なら神浜の地理には詳しいし、何とかするから!」

 

 

 

 

 

(実際その通りなんでしょうけど……。凜さん、また私たちを遠ざけようとしているような気がするのは、さすがに疑いすぎでしょうか?)

 

 

 なぜだか凜さんが、何かをするために私たちから離れたがっているように思えたんですよね……。

 

 

 

 私がそんなことを考えながら歩いていると、前を歩いていたほむらさんが足を止めます。

 私は気づかずにほむらさんの背中に鼻先をぶつけます。

 

「わぷっ……! ほ、ほむらさん?」

「まばゆ、静かに」

 

 ほむらさんの言葉の意味が分からずに首を傾げると、ほむらさんは無言である場所を指さします。

 

 

(ん~?)

 

 

 ほむらさんの指さす方向を目で追うと……。

 

「あっ……」

 

 

 大東団地の入り口付近。そこにいたのは、三人の少女たち。

 

 

 直接顔を確認したわけではありませんが、髪色、魔法少女服、そして三人組という特徴。

 

 

『ほむらさん、あの子たちって……』

 

 私がテレパシーで話しかければ、ほむらさんは頷きます。

 

『ええ。凜が大東団地で待ち構えてる可能性が最も高いと言っていた、桑水せいか、伊吹れいら、相野みと、の三人でしょうね』

 

 

 凜さんから事前に聞いていた特徴、そして大東団地にいる魔法少女三人組からして、間違いないでしょう。

 

 

 その場合……。

 

 

『大東団地に敵対する魔法少女が待機していた場合、一番最初にたどり着いた人が排除する、でしたよね……』

 

 

 他の人たちが着いている様子はありません。

 

 この時のためにも氷室さんたちを先行させたのですが、未だ着いていないことから、この神浜の状況に思うように進めていないのかもしれません。

 

 

 となれば、戦えるのは私たちしかいません。

 

 

『うぅ……』

 

 気乗りしない私の呻きに、ほむらさんは言います。

 

『私たちしかいない以上、やるしかないでしょう。それに、作戦は道中で考えてきたはずよ』

『……私が透明化して、ほむらさんのスタンガンで気絶させるってヤツですよね。覚悟はしたつもりでしたけど、やっぱ抵抗あるなぁ~……』

 

 

 さすがに本気の対人戦をするのは、私は初めて。

 しかも、こちらから仕掛けるのは中々に気が重く感じます。

 

 

 人を傷つける感覚には、どうしても慣れません。

 

 

 

『殺すわけじゃないわ。覚悟を決めて』

『……分かってます。凜さんのためにも』

 

 

 ほむらさんが盾から取り出したスタンガンを受け取り、私は魔法で透明化します。

 

 

 

(そーっと、そーっと近づいて……)

 

 

 彼女たちの後ろに回り込み、忍び足で近づきます。

 

 

 すると、顔に冷たいものが当たる感触に気づきました。

 

 

(雨……)

 

 

 先ほどから神浜を覆っていた黒い雲から、雨粒が降ってきていました。

 

(空といい、ワルプルギスの夜を思い出すから止めてほしいんですけど……。あと単純に濡れて気持ち悪いですし……)

 

 

 そんな現実逃避的な考えをしつつ、私は彼女たちの後ろに立ちます。

 

(後は、これを当てるだけ……!)

 

 私はスタンガンを握りしめ、スイッチを押そうとした時でした。

 

 

「っ!? 誰!?」

 

 

 真ん中にいた、相野みとさんが突如叫んで、バッとその場から距離を取ります。

 

「えっ? みと?」

「ど、どうしたの!?」

 

 横にいた伊吹れいらさん、桑水せいかさんも困惑しつつ、警戒モードに入ります。

 

 すると、二人の言葉を受け、相野さんは真っ直ぐ指をさしました。

 

 

 私に向かって。

 

 

「そこ! 誰かいる!!」

 

 

(へ? うえええええ!!?)

 

 

 いきなり場所を言い当てられたことに、私は思わず叫びそうになります。

 

 

「そこ? 誰もいないように見えるけど……」

 

 伊吹さんはよく分からないといった風に言いますが、せいかさんは違いました。

 

 

「っ!? 雨粒が、何かに当たって消えてる!」

 

 

(……しまった、雨!)

 

 

 私の透明化は光の屈折による透明化。二葉さんのように魔法そのもので消えているわけではないので、その精度はどうしても限界があります。

 特に、雨のような細かく、光の屈折率に影響するような障害物がある場合は。

 

 

「姿を現しなさい! もう無駄よ!」

 

 

「そのようね」

 

 

 桑水さんの叫びの直後、彼女の後ろに現れたほむらさんが、ゴルフクラブを彼女の頭目がけてフルスイングで振るいます。

 

 

「せいか!」

 

 

 そのゴルフクラブを受け止める伊吹さん。

 

 そして襲撃者の姿を確認し、目を見開きました。

 

「あなたっ! そっか、あなたたちが瀬奈みことの仲間たちだね!」

「答える必要、ないわね!」

 

 ほむらさんは飛び退き、ゴルフクラブを構えます。

 

「まばゆ、透明化はもういいわ。こうなった以上、正面突破よ!」

 

「くっそー! またこのパターンですかー!!」

 

 

 私は透明化を解き、ハサミとスタンガンを構えます。

 

 

 

 

 と、そこへ……。

 

 

 

 

「ちょいちょい、ちょい待ちーー!!」

 

 

 と、甲高い声が聞こえてきました。

 

 

「そっちが三人なら、こっちだって三人っしょ!」

 

 

 その言葉とともに、私たちの前に紫の着物が着地します。

 

 

「まばゆん、ほむりん、お待たせ~☆ 私チャン、ただいま参上!」

「あ、藍家さん!」

 

 私は内心ガッツポーズをします。

 彼女が来たと言うことは……。

 

「良かった。氷室さんたちも……!」

「あー、そのことなんだけど……」

 

 私の言葉に、藍家さんは言いづらそうにして……。

 

「私チャンたち、途中で魔女とコピーたちの襲撃に遭ってさ。ラビりんたちが先に行けって、私チャンだけ行かせたんだよね。だから、ラビりんたちはまだ来てないの……。ごめんね?」

「そ、そんな……!」

 

 

(これで戦わなくて済むと思ったのに~……)

 

 

「でも任せて! こっちにはヒコ君もいるから! 4vs3なら、負けはしないっしょ!」

「そうね。やるわよ、まばゆ」

 

 ほむらさんにもそう言われ、私は半ばヤケで構えます。

 

 

「くぅー! やってやろうじゃありませんか! こんちくしょー!」

 

 

 

 

 

 

 DAY.95 Side MY

 

 

 

 

「これは……、どういうつもりだ?」

 

 

 目の前にいる白髪の少女、和泉十七夜は、彼女に立ち塞がるように立っている私たち二人に問いかける。

 

 

「自分たちが何をしているのか、分かっているのか? 八雲、十咎」

 

 十七夜は怒るわけでもなく、静かに尋ねる。

 

 

 それに対し、ももこは毅然と答える。

 

 

「ああ、承知の上さ。凜に頼まれてるんだ。もしもの時は、十七夜さんを足止めしてほしいって」

「……そうか。夕凪君も無策で来たわけではないのだな」

 

 十七夜は一度頷いた後、私たちに再度問いかける。

 

「しかし、それでも分からんな。十咎のほうは、彼女が後輩だから分からなくもない。だが、八雲。なぜお前まで協力する? 分かっているのか? お前が今やっている行為は……」

「ええ、調整屋の中立を破る行為よ。そんなこと、理解してないわけないでしょう?」

「なら何故……」

 

 初めて十七夜の顔に困惑の色が浮かぶ。

 

「やはり八雲、お前にとってこの神浜はそこまで憎むべき相手なのか? 滅ぼすに値する場所なのか?」

 

「いいえ」

 

 私は十七夜の言葉を、首を振って否定する。

 

「逆よ。たしかに、あの時の憎しみは今も消えてない。時々、何かにぶつけたくなる。でもね、その憎しみと呪いすら、凜ちゃんは引き受けると言ってくれたのよ。私の願いを受けて強くなった鏡の魔女を、あの子は倒すと言ったのよ。瀬奈みことを救うことによって」

「それは……」

「自分で撒いた種の始末すら誰かに任せきりなんて、嫌なのよ。もういい加減、傍観者でいたくないのよ。だから、全てを背負ってくれている凜ちゃんのために、私もできることはさせてもらうわ」

 

 私は魔法で生みだした布を取り出す。

 魔女相手では無力でも、魔法少女が相手ならやりようはある。調整の技術を応用して、戦えるはずだ。

 

「アタシもだ、十七夜さん。凜がやろうとしてること、正直言ってかなり厳しいのは分かってる! けど、あいつならできるって信じてる! 頼む、凜を信じてくれないか?」

 

 ももこは十七夜に頼み込む。

 

 

 それに、十七夜は大きく息をつくと。

 

 

「それはできない相談だな。自分も東のリーダーとしての責任がある。この街が危機に晒されている以上、不確かな方法に賭けるわけにはいかない。それに……」

 

 十七夜は私を見る。

 

「自分が夕凪君の心を覗いたときに見た、瀬奈みことの恨みはとても根深い感情だった。それでも、夕凪君なら救えると信じる気か?」

 

「ええ」

 

 私は躊躇いなく答える。

 

 私の心すら動かした彼女なら、きっと瀬奈みことの心だって変えられる。

 

 

 そんな確信が、私の中にはあった。

 

 

 

 私の返答に、十七夜は「そうか」と小さく呟くと、自身の武器である鞭を取り出す。

 

「……仕方ない。少々、手荒にいくぞ」

 

 

「こっちこそ! いくぞ、調整屋!」

「……ええ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.95 Side RY

 

 

 

 

「なるほど……。私たちがあなたを包囲しようとしていたのは、予測されていましたか」

 

 

 私の言葉から想像したのだろう。常磐さんはそう呟く。

 

「情報をあなたに流した人に関しては後で考えるとして……。最後に一つ、聞きたいことができました」

 

 

 常磐さんのその言葉に、私は疑問符を浮かべる。

 

「……なにかな?」

「私たちの作戦がそこまで予測できていたのなら、こうやってあなたが直接戦わないようにする方法だってもっとあったはずです。なのに何故、前線に出てきたのですか? 私たちに狙われることは想定できたでしょう」

「それは、皆にだけ戦わせるのも……」

「ウソですね。それなら、全員が戦わないようにすればいいだけ。私の目から見れば、あなた自身が私たちと戦いたいがために、この状況を作ったように見えてきたのですが」

 

 

 常磐さんの言葉に、私は声を詰まらせる。

 

(私が彼女たちと戦いたがっている?)

 

 否定したいけれど、その言葉が出てこない。

 私自身、自覚してしまったから。

 

 

 今回の作戦、常磐さんたちが私に付け入る隙ができている。

 鏡の魔女による分断は予想外だったけど、例えあれがなくても、私はまばゆたちと別れて、常磐さんたちとぶつかっただろうと想像ができた。

 

 

『凜ちゃん……?』

 

 黙ってしまった私を心配してか、みことちゃんが眉を下げて私の顔を覗き込んでくる。

 

 そんな彼女と目が合って。

 

 

(あ、そっか……)

 

 

 私は、心のさざ波を形容する答えを見つけた。

 

 

 

「……そうか。そうだね。常磐さんの言う通りだ」

「……?」

 

『凜ちゃん、どういうこと……?』

 

 

 常磐さん、みことちゃんが怪訝な顔をする。

 

 

「私、常磐さんに怒ってるんだよ。嫌でムカムカした気持ちを感じたんだ」

 

 

 思えば、今まで私は誰かに本気で怒りを感じたことがなかった。

 親に反抗したことも、友だちと喧嘩したこともなかった。

 

 

 だから気づかなかったんだ。

 けど、みことちゃんの怒る様子を見て、みことちゃんの怒りを身近に感じて。

 

 

 この不快で荒れ狂う感情の感覚を、ようやく定義することができた。

 

 

「私、あの時から……。更紗さんの遺体の隣に常磐さんが立っていたときから、あなたにこの感情を感じてた。あの後、あなたに会うことがなかったことと、私にも色々あったから、この感情の存在自体を忘れてた……」

 

 

 そうだ。そうだよ。

 

 あの瞬間、私は常磐さんに怒りを感じたんだ。

 

 

「よくも更紗さんを追い詰めて、殺してくれたね。せっかく友だちになって、彼女がやり直せるチャンスを作ろうとしたのに。あなたのせいで全部台無しになった!」

「誤解です。私は殺すつもりはありませんでしたし、彼女の死は彼女自身の選択です」

「だとしても! あなたが彼女を追い詰めなければ、追いかけなければ! 私の、友だちになってくれたかもしれないのに……!」

 

 

 私はキッと常磐さんを睨む。

 

 

「更紗さんの罪なんて関係ない! 私は、私の友だちを殺されたことにすごく怒ってる! あなたをぶっ飛ばさないと、気が済まない!!」

 

 

「……呆れて言葉も出ません。癇癪を起こした幼子と同レベルですね」

 

 

『凜ちゃんの怒りを馬鹿にするな!!』

 

 

 常磐さんの言葉に反論したのは、みことちゃんだった。

 

 

『凜ちゃんがどれだけ私たちのために駆け回ってくれてたか、知らないくせに! どんな思いで私たちに手を伸ばしてくれたか知らないくせに!』

 

 顔を赤くして叫ぶみことちゃん。

 

『恵まれた環境で育ったあなたたちが、凜ちゃんを否定するな!!』 

 

 みことちゃんは私の前に出て、常磐さんへ吠える。

 

(みことちゃん……)

 

 彼女も、私も。

 私たちは、ようやく誰かのために怒ることができた。

 

 私もみことちゃんに合わせるようにして、常磐さんへ叫ぶ。

 

「更紗さんの想いも知らないくせに! 彼女は、彼女自身の死も覚悟していた! 自分という悪が死ねば、残されるみことちゃんに、復讐や憎しみに任せた行動は必ず止められるって、この世界はこんな悪意に負けない世界なんだって証明するためにやったんだ!」

 

「だから許せと!? あれだけの人を巻き込んでおいて、都合の良いこと言わないでください!」

 

「都合良くしてるのはそっちでしょ!? 自分の復讐心を、悪を止めるための正しい行いだと正当化してるだけじゃん!!」

 

「私は復讐の愚かさも弁えているつもりです! その上で選んだ道です! あなたたちと一緒にしないでください!」

 

「いや、あなたは復讐が第一だよ! みことちゃん討伐のために、キュゥべえが煽動する対象をあなたに選んだ時点で、アイツらにも分かるほど、あなたは私たちを殺しに動く可能性が高いと思われてたってことだよ!」

 

 

 

 私と常磐さんはお互い、肩で息をする。

 

 

 いつの間にか、空からは雨が降っていた。

 まるで私たちの衝突する熱をさますように。

 

 

 それでも、この程度で冷めるような熱ではなかった。

 

 こんなに叫んだのはいつぶりだろう。もしかしたら、生まれて初めてかもしれない。

 それくらい、感情が大きく、強く、動いている。

 

 

 

 でも、後には引けない。退きたくない。

 

『凜ちゃん……!』

 

 みことちゃんの声に、私は頷く。

 

 

「それに、私は託されたんだ、更紗さんに。みことちゃんと、この世界の希望を……!」

『私は決めたんだ。凜ちゃんと希望を掴むって!』

 

 彼女の想いを遂げるには、この道は避けては通れない。

 

 

「彼女が証明したがった、復讐と憎しみの道が否定される世界。そのためにも私は……。常磐さん、あなたたちをぶっ飛ばして、あなたたちの復讐計画も叩き潰して! 私のこの気持ちにもケリをつけて!! 私は、私たちは先に進む!! あなたたちの復讐も、スッキリ終わらせてなんかやんない!!」

 

 

 私は双刃刀を強く握りしめ、荒々しく構える。

 

 

「愚かな……」

 

 

 そう吐き捨て、常磐さんも刀の柄に手をかける。

 

 合わせるように、私を取り囲む他の魔法少女も構える。

 

 

「好都合です。おかげで吹っ切れました。あなたには、一切容赦はいたしません。お覚悟を」

 

 

 常磐さんの言葉に、私とみことちゃんは口角をつり上げる。

 

 

 

 

『「やってみろ、バーカ!!!」』

 

 

 

 

 

 その言葉と同時に、私と常磐さんは地面を蹴る。

 

 

 

 お互い真正面から突っ込み、魔力を纏わせた刃がぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

 爆発的な魔力のぶつかり合いは衝撃波を生み、半径50メートルの雨粒を吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

 それが、決戦の合図だった。

 

 

 

 

 

 




皆様、お待たせいたしました。

本日より連載を再開します。
物語もようやく佳境に入りましたので、そろそろ話を畳めたらと……。

とはいえ、全然書き溜められなかったんですけどね。
廻天公開までは終わりそうにないゾ……。
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