魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得   作:くろしゅー

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(たんプリ見てたので)初投稿です。


DAY.95ー5 包囲網突破作戦

 

 

 

 

 魔王城へと向かう実況、はーじまーるよー。

 

 

 

 前回はついに、みことちゃんと帆奈ちゃんを引き合わせることに成功しました。

 

 そして、みことちゃんは世界の復讐を捨てて、未来に希望を託してあの世へと向かいました。

 

 よって、これにてみことちゃんルート攻略完了です。と、同時に実績『残照モンタージュ』獲得できました。や っ た ぜ 。

 

 

 

 ユリちゃんとみことちゃんの別れのシーンは、夕日も合わさってとても感動的な場面で、涙無しでは見られませんでしたね……。

 

 

 

 よって、本動画の目標は1つ達成です。

 

 

 さて、後はユリちゃんルートのラスト、『暁天のポストクレジット』獲得を目指しましょう。

 

 

 

 

 

 DAY.95

 

 

 

 さて、涙も乾いたユリちゃん。まばゆちゃんと一緒に団地の屋上から降ります。

 

 

 ここからは、ついに鏡の魔女討伐戦へと移行します。

 

 

 

「……凜さん、大丈夫ですか?」

「……? 大丈夫だよ、心配しないで」

「それなら、いいんですけど……」

 

 大丈夫なわけないんだよなぁ。

 

 ななかさんたち強豪魔法少女を6人抜きして、尊敬していた先輩であるやちよさんと敵対した上にボコられ、ここまでですごく仲良くなったみことちゃんを見送り……。もうユリちゃんの心身はボドボドダ!

 

 ま、休んでる暇はないんですけどね。

 

 既に鏡の魔女が行動を始めている以上、みことちゃんルート攻略に時間を使ってしまった分を取り戻すために、もう一刻の猶予もありません。

 

 

 ということで、皆と合流したら改めて作戦会議です。

 

 

 と、ここで久しぶりの推理パートに突入です。

 

 突き止めるべきは鏡の魔女の計画。そして、それにどう対処するか。

 

 

 

 ここまで集めた情報を元に推理をしていきます。

 

 ……お、新しい情報・証言がかなり増えていますね。

 どうやら、みことちゃんが消滅前にユリちゃんに色々伝えていたみたいです。

 

「私からいい?」

 

 ラビちゃん? どうしたんだゾ?

 

「神浜に解き放たれた魔女についてだけど、どうも無差別にバラ撒かれたわけじゃなさそう」

 

 そうなの?

 

「うん。団地を目指す途中で、少しでも情報を集めようと何体か魔女と戦ったんだけど……。ミラーズのコピーたちが、魔女に列を組ませるように誘導していた」

「それは我も思ったであります。まるで隊列移動をさせるような……」

 

 隊列……。

 

「あ、はいはーい! 1つ質問!」

「なに、ひめなちゃん?」

「瀬奈っちって、元々どうやって神浜滅ぼすつもりだったの? 今の鏡の魔女の行動って、瀬奈っちが考えてた計画と違うんだよね?」

「そういえば、私たちもちゃんと聞いていませんでしたね」

 

 って、訳だけど、そのへんどうなのユリちゃん?

 

「そうだね。それについては、さっきみことちゃんが話してくれたよ」

 

 あ、この『瀬奈みことの証言 1』ってやつですね。これを選択して、ユリちゃんに教えてもらいましょう。

 

「まず、神浜を滅ぼすために使うのは、神浜を騒がせてた『サルベーション・ブルーム』。本来みことちゃんは、果てなしのミラーズに集めた魔女を鏡の魔女に喰べさせることで、鏡の魔女を強化してその力を使うつもりだったみたい」

「けど、鏡の魔女はその魔女を神浜に解き放っている、ということでありますな?」

「そう。ある程度は取り込んだみたいなんだけど、残りの魔女たちには別の運用方法があるのかもしれない」

「それが隊列を作っている理由にもなってそうね」

 

 そうだよ。(便乗)

 

 ほむらちゃんの言う通り、行動を変えた理由を考えないと、今後の行動も後手に回ってしまいます。

 

「あ、そういえば。そのサルベーション・ブルームの引き起こし方って分かってるんですか? 前に見滝原で戦ったときは突然のことで、全然分からなかったんですけど……」

「それもみことちゃんから聞き出したよ」

 

 お、これが『瀬奈みことの証言 2』ですね。ポチッとな。

 

「あれは、みことちゃん曰く『向こう側』のエネルギーなんだって。果てなしのミラーズの中で、その『向こう側』の宇宙に繋がった鏡から引き起こせる現象らしくてね。引き起こす条件ってのが……」

 

 条件ってのが?

 

「……」

「……凜さん? どうかしましたか?」

 

「っ!」

 

 

 ???<その時、夕凪に電流走る。

 

 

「そうか、だから魔女を……。ってことはもしかしたら……」

 

 なになに? 何が分かったの?

 

 

 ピリリリリ……。

 

 

 チッ、誰だよ。ユリちゃんが推理してるトキに電話かけてくるバカはよぉ~!

 

「もしもし?」

『あ、凜さん? やっと繋がった。心配したわ。みんな無事かしら?』

 

 あ、マミさんじゃん。

 そういやえば神浜の偵察に行かせてたの、すっかり忘れてたゾ。(池沼)

 

 どうやら、鏡の魔女が引き起こした災害で神浜が大混乱に陥ってるせいで、電話が繋がりにくいみたいですね。

 

 とりあえず、電話をスピーカーにしてっと……。

 

「マミちゃん! こっちは無事。そっちは? やちよ先輩と戦ったって聞いたけど……」

『私も無事よ。ごめんなさい、やっぱり行っちゃったのね……。彼女の狙いが凜さんだと分かって足止めしようとしたんだけど……。七海さんのほうが一枚上手だったわ』

「マミちゃんが無事なら、それで十分だよ。そういえば、他の魔法少女は? やちよ先輩、他の魔法少女たちに任せたって言ってたけど」

『ありがとう。それなら問題ないわ。全員、少し大人しくしてもらったから』

 

 ぅゎマミさんっょぃ。

 

 もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな……。 

 

『それで、報告したいことがいくつかあるの』

 

 情報提供、ありがとナス!

 さて、どんな情報でしょうか。

 

『まず一つ。鏡の魔女の株分け個体だけど、やっぱり複数体が点在してたわ。魔女を解き放ったのも、ソイツらみたい』

 

 ふむふむ……。

 

『それと、もう一つ。解き放たれた魔女たちは、コピーたちが隊列を組ませていたわ。理由までは分からないけど……」

 

 ここでも隊列ですか……。

 

「ううむ、巴殿の証言で確定でありますな。鏡の魔女は魔女たちの隊列を作って、何かをしようとしている」

「旭の言う通り。私たちも魔女の隊列に遭遇したとき、近くに株分けの魔力反応があった」

「え、そうだったんですか、ラビちゃん」

「全然気づかなかったんよ……」

「うん。多分、巴さんが見た光景と同じ状況だったと思う」

 

 お、ユリちゃんから質問のようです。

 

「ねえ、ラビさん。その隊列と株分けの魔力反応があったのって、どこら辺だったか覚えてる?」

「たしか……。ちょっと地図を見せてほしい。……多分、この辺。この地図だと、海のほうに向かって列が伸びてる途中だった」

 

 ラビちゃんが指したのは、工匠区の北側らへん。ちょうど、参京区と大東区を挟むような場所ですね。

 ラビちゃんたち、工匠区抜けて大東区入ったのね。

 

「ありがとう。それでマミちゃん。マミちゃんは、株分けの位置って覚えてる?」

『ええと……。1体目を見つけたのが新西区の端のほうよ。それで2体目は、たしか参京区よ。それを追っていたら七海さんと出会ったんだから」

 

 はえ~……。

 あれ、そういえばユリちゃんが魔女に遭遇したのも新西区入ってすぐだったような。あれ、隊列のはぐれ個体だったんでしょうか。

 

 

 ん? 今度はトランシーバーに応答が。

 

『もしもーし。アタシだよ』

 

 杏子ちゃん!

 

『待たせたね。テキトーに魔女狩ってたんだけどさ。気づいたことがあるから、アンタたちにも共有しとこうと思ってさ』

 

 情報共有、マジ助かる。

 オナシャス!

 

『アンタら、気づいた? 魔女があっちこっちでアリみたいに列作ってること』

「うん。マミちゃんやラビさんが見たって。それと、鏡の魔女の株分けも」

『そうそう。アタシも、北養区?ってとこに株分けと列がいたのを見たよ。せっかくだから狩りたかったんだけどね。株分け自体が強そうだったのと、それを守るようにコピーが何体も配置されてたからさ。ちょっと様子見にしたのさ』

「北養区……」

 

 なるほど。これで株分けがいる場所が、新西区、北養区、参京区、工匠区の4体は確定しましたね。

 

 

 ……ん? あれ、この配置、どこかで……。

 

 

 

 あ、もしかして。

 

 

 たしか、証拠・証言欄に……。あ、あった。

 

 以前の果てなしのミラーズ調査のときに、色々調査して回ったの、覚えていますでしょうか? あそこで得た情報、サルベーション・ブルームの推理に使ってからも証拠欄にずっと居座っていたのが気になっていたんですよね。

 

 これはもしかして……。

 

 とりあえず、この『鏡から見えた景色』の情報を選択しましょう。

 

「これで4体は確定ね。ただ、これで全てじゃない可能性もあるし……」

「そもそも、魔女の列の意図もまだ分かっていません」

「もうちょいマミりんに調べてもらう?」

 

「ちょっと待ってみんな。私、分かったかも」

 

 そうや、ユリちゃん! 推理、教えたって!

 

「多分、株分けの魔女は6体だと思う」

「根拠は?」

「前に果てなしのミラーズの調査をしたときに、さっきの4区に加えて大東区、中央区の景色が映っている鏡があったの。あれって、今回の騒動の準備じゃないかって思うの。それに……」

 

 お? ユリちゃんが地図に線を引き始めましたね。

 

「見て」

 

 あれれ~、おかしいぞ~。(平成のホームズ並感)

 

「あっ!」

「まばゆ、気づいた?」

「この株分けの配置。神浜市を外側から囲むようになってます……!」

「なるほど。これで神浜を外と遮断しつつ、神浜全体に魔女を行き渡らせるってこと?」

「いや、ラビ。魔女は列を成していたのでありますよ? 神浜全体に魔女を行き渡らせるなら、列なんか作る必要ないはずであります」

「それもそうか……。じゃあなんで……?」

 

 あ、ユリちゃんがニヤリと笑った。

 

 どうやらユリちゃんは真実にたどり着いているみたいですね。

 

「それこそ、さっき言おうとしたサルベーション・ブルームの起爆方法が関係してるんだよ」

「どういうことです、凜さん?」

 

 

「サルベーション・ブルームの起こし方。それはね、向こう側に繋がった鏡の鏡面に魔女が触れること」

 

 

「魔女が……」

「触れる?」

 

 

 でしょうね。 知 っ て た 。

 てか、あれどう見ても円○の理の……。(小声)

 

 

 ポカンとしてるひめなちゃんとうららちゃん、可愛い。特にうららちゃん、全然話についてこれてなさそうな顔してる。

 

 

「うん。サルベーション・ブルームを引き起こしてるピンクの炎。あれ、なぜか分からないけど、魔女に強く引き寄せられる性質があるんだって。みことちゃんが実験したときは、株分けの魔女の気配に反応して、爆発が起きたって言ってた」

「じゃあ、見滝原でのあれも?」

「うん。株分けがその鏡を使おうとして、あの鏡に触れたことがあの自爆の真相だと思う。で、その知識を前提に、この株分けの配置と魔女は列、そしてその方向を見てみると……」

 

 あーなるほどね完全に理解したわ。(わかってない)

 

「……なるほど。あの魔女たちは導火線、というわけでありますな」

 

 

 ……そうだよ。(便乗)

 

「多分ね。これであの炎を一気に神浜全体に行き渡らせ、最大級のサルベーション・ブルームを起こすのが、魔女の狙いだと思う。それと……」

 

 

「この魔女の列、各区の株分けの魔女から伸びてるとして、どこに向かってると思う?」

 

 

「たしか、ラビちゃんが確認した株分けの魔女がここで……」

「その時に、うちらの見た魔女の列がこっちに伸びていたんよ……。で、この先にあるのは……」

「南凪区……!」

「そう。マミちゃんの話、杏子ちゃんの話と照らし合わせても、間違いなく魔女の隊列は南凪区に向かってる!」

 

 そうか! 南凪区には……。

 

「鏡屋敷。鏡の魔女の本体がいるんだったわよね?」

「ほむらの言う通りだよ。間違いなく、魔女の隊列は本体の鏡の魔女の結界を目指してる」

「でも待ってほしいであります。なぜ、本体の結界から魔女を解き放たなかったのでありますか? そっちのほうがいつでも起爆できるのでは?」

「ここからは推測だけど……。1つは複数の列を組むのが難しかったんじゃないかな。魔女を洗脳で操れない以上、予め別の地点から一ヶ所に誘導するより、一ヶ所から複数の目的地に誘導するほうが難易度は高いし。それと、本体の自爆を危惧したんじゃないかと思う」

「自爆、でありますか?」

「まばゆ。見滝原での株分けの魔女との戦い、覚えてる?」

「はい。最終的に株分けの魔女の自爆で……。まさか!」

「うん。あの炎は、もちろん鏡の魔女だって例外じゃない。爆発の規模が大きくなれば、自分にだって飛び火する。みことちゃんもそこをどうするかで悩んでたみたいなんだけど……」

 

「多分、本体と株分け、同時に魔女に着火する気なんだと思う。そうすれば、少ない炎でも魔女に連鎖的に火が付いていく。そして」

「ちょうど中間あたりで両方の火が合流して爆発を起こす。そういうわけね」

「うん」

 

 なるほどなるほど。

 

「となると、私たちの作戦は……」

「株分けと本体、両方倒して神浜……、いや宇宙の滅亡を阻止する」

「具体的にはどう動くつもりかしら?」

「そうだね……。私たちは株分けと本体だけに狙いを絞ろう」

「あの魔女の隊列はどうするんです?」

「無数にいる魔女の相手をしてたら、それこそ時間ないし……。そっちは神浜の魔法少女たちに任せるしかないかな。彼女たちが戦ってくれることに賭けよう」

 

 かしこまり!

 

 えーっと、今までの話を纏めると……。

 つまり、鏡の魔女が起こそうとしているゼ○ノヴァを防ぐために、複数エリアでのレイドバトルってことだな!

 

 

 こマ?

 戦力と時間、足りる?

 

「戦力の配分はどうするでありますか?」

「先に本体を叩く人選を決めたいんだけど……」

 

 おっと、ここで画面切り替え。

 あー、ここはプレイヤーが選ぶんですね。マジかよ……。(小声)

 

 んー、本体の強さを考えると、今いる全員連れて行きたいんですが……。それだと株分けの阻止が出来なくなるので、ある程度戦力は残さないといけないし……。しかも多分、この株分けの魔女、マギレコ第2部でキモチを纏ったいくみんと相打ちになったような強個体のほうですね。コイツは以前戦ったような株分け個体と違い、体力も攻撃力も格段に上がっているので、魔法少女一人での勝率は低めです。

 

 それを頭に入れつつ、配置を考えると……。

 

 

 

 

 魔法少女思案中……

 

 

 

 

 

 

 よし、これでいきましょう!

 

 

●本体組

 ・夕凪凜

 ・愛生まばゆ

 ・暁美ほむら

 ・藍家ひめな

 ・巴マミ

 

 

●株分け組

 チームA

 ・氷室ラビ

 ・三浦旭

 ・栗栖アレクサンドラ

 ・有愛うらら

 

 チームB

 ・神楽燦

 ・遊狩ミユリ

 ・黒江

 ・くろ

 

 チームC

 ・十咎ももこ

 ・水波レナ

 ・秋野かえで

 ・八雲みたま

 

 

 

 しれっとレナちゃんとかえでちゃんが仲間入りしててビックリしましたが、みたまさんからのチャットで仲間になったことが確認できました。やっぱ、ももこちゃんの人望を……、最高やな!

 

 それで、内訳の簡単な解説ですが。

 本体組は、後述する鏡の魔女を倒す秘策の発案者であるユリちゃんはマストです。それに、一番事故率が高い本体を私のほうでプレイできれば、リカバリー効きやすいですからね。そして、その作戦に必要不可欠の魔法を持ってるまばゆちゃんも必須枠。

 ほむらちゃんとひめなちゃんは、本人たちからの情報で、時間停止を一時的に再使用できるようになったことを聞いたので入れました。ひめなちゃん、マジ優秀。

 マミさんは火力枠です。このパーティー、ユリちゃん以外に火力を出せるキャラがいないので。

 

 次に株分け組です。

 チームA、B、Cとありますが、これはそれぞれのチームで別の株分けと戦ってもらうためのチーム分けです。さすがに6体もいる株分けを1体づつ処理していく訳にはいかないからね、しょうがないね。

 パーティーの組み合わせは、基本的に元から仲間同士で組み合わせしました。

 

 唯一の心配は、チームBですね。マギレコ世界線だとマギウスの翼の組み合わせなのですが、この世界線だとただ同じの市の魔法少女でしかないので、連携が取れるどうか……。しかも、黒江ちゃんとくろちゃんはお世辞にも強い魔法少女とは言えないので、うーむ心配……。教官がなんとかしてくれるのに賭けましょう。

 

 あとは、チームで2体づつ倒してくれれば、なんとかなる計算です。

 

 1チーム2体くらい倒せばいけるか……?(MRS並感)

 

 

 

 

 さあ、鏡の魔女解体ショーの始まりや!

 

 

 

 

 

 

 DAY.95 Side RY

 

 

 

 

 作戦とチーム分けを済ませた私たちは、さっそく出発の準備に取りかかる。

 

「じゃあ、マミちゃん。鏡屋敷で落ち合おう」

『ええ。お互い、無事にたどり着きましょうね』

 

「杏子ちゃん、さっき伝えた作戦通り、魔女の隊列の妨害をお願いね」

『ハイハイ。あの魔女の列が鏡屋敷についちまったら、起爆されてタイムリミット、ね。任しときな』

「ありがとう。後でちゃんとお礼するから」

『期待して待ってるよ。……だから、絶対死ぬんじゃねえぞ』

「……うん」

 

 私は杏子ちゃんとの通信を終え、皆に向き直る。

 

「みんな、今回は私のワガママに付き合わせて、本当にごめん。謝って済むことじゃないのは分かってるけど、謝らせて」

 

 私に頭を下げる。

 ここまで命をかける事態に、私のワガママのせいで巻き込んでしまったこと。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。でも、皆で明日を迎えるには、皆の力を借りるしかないのだ。

 

 すると、ラビさんが一歩前へと出る。

 

「顔を上げて、夕凪さん。ここにいる皆、それくらいは覚悟してきてる。それくらいのこと、あなたには貰ったから」

「私が……?」

「うん。湯国市でのことで前を向くことを諦めていた私たちに、もう一度希望を信じる勇気をくれた。魔法少女の希望を遂げる瞬間を、運命を変える瞬間を見せてくれた。だから、今度はあなたにも、それを感じてほしい」

 

 ラビさんが私の手を取る。

 

「前に二木市で私が言ったこと、覚えてる?」

「私の手は、誰かを救える手だってことですか?」

「うん。忘れないで。例えどれだけ取りこぼそうとも、あなたが掴んだ手は必ずある。そしてその手は、あなたの力になってくれる。あなたは一人じゃない」

 

 ね?、と優しく微笑むラビさん。

 

 私はその手の温かみをしっかりと感じる。

 

 みことちゃんが望んでくれた、私の未来。

 

 それを、私も信じてみよう。

 

 

「はい。ありがとうございます、ラビさん」

「どういたしまして」

 

 

「あ、あの!」

 

 そんな時、声をかけてきたのは、意外なことに黒江ちゃんだった。

 

「黒江ちゃん? どうしたの?」

 

 私が尋ねれば、黒江ちゃんはおずおずと、ポケットから何かを取り出した。

 

「その……、これ。良かったら、使って」

 

 そうして私に差し出されたのは、1個のグリーフシードだった。

 

「グリーフシード? でも、いいの?」

「うん。その、夕凪さんのほうが強い魔女と戦うんだし、私が持ってるより夕凪さんが持ってたほうがいいと思って……」

「無理しなくていいんだよ? 私は今の手持ちでも……」

 

 私はそこまで言って、言葉を止める。

 

(そういえば、黒江ちゃん言ってたっけ。自分が許せる自分になりたいって)

 

 これも、その一環なのかもしれない。

 だって黒江ちゃんの不安に揺れる瞳は、私と似ているから。

 

「……分かった。じゃあ、ありがたくもらうね」

「……! う、うん!」

「でも、黒江ちゃんも絶対に無理はしないこと。協力を頼んだ私が言えたことじゃないけど、危なくなったら自分の命を優先して。約束だよ」

「うん。夕凪さんも気をつけて」

「ありがとう」

 

 そう言って、私は黒江ちゃんからグリーフシードを受け取る。

 

 

 

 

 

 それをポケットへと仕舞い、よし、と私は心と顔を切り替える。

 

 白と金のケープを翻し、歩き出す。

 

 

 

 目指すは南凪区、鏡屋敷。

 

 

 

「それじゃあみんな、無事にまた会おう」

 

 

 

「作戦開始!!」

 

 

 

 私の声と共に、全員が走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.95 Side MY

 

 

 

 

 電話で凜ちゃんから作戦を聞いた私たちは、一番近いということで、大東区に陣を構えているという株分けの魔女のところにまで来ていた。

 

「しっかし、よく見つけてたなレナ。おかげですぐに見つけられた」

 

 ももこが感心したように、レナちゃんへと言う。

 それに対し、レナちゃんは得意げに胸を張る。

 

「ふん。私にかかればこのくらい朝飯前よ。ヤバい魔力反応を感じたら、確認ぐらいはするでしょ」

 

 分かりやすいぐらいドヤ顔をするレナちゃん。

 それに、横から口を挟んだのはかえでちゃんだった。

 

「ふゆぅ、ウソはダメだよレナちゃん。ももこちゃんのところに行くとき、道に迷っただけだよね。それで、たまたま魔力反応に気づいただけだったもん」

「かーえーでー!!」

 

 かえでちゃんの言葉に顔を真っ赤にしたレナちゃんは、かえでちゃんの頬を引っ張る。

 

「いひゃいよ、レナちゃん……!」

「ほらほら、喧嘩すんな」

 

 見かねたももこは、二人の間に仲裁に入る。

 

「と、とにかく! 結果的に見つかったんだから、結果オーライじゃない」

 

 レナちゃんは都合悪そうに、強制的に話を切り上げる。

 

「……あの3人は仲がいいのか悪いのか、分からんな」

 

 そうポツリと呟いたのは、私の隣にいる十七夜だった。

 

「十七夜は、本当に私たちについてきて良かったの?」

 

 私は十七夜に問いかける。

 

 

 

 

 数分前。

 凜ちゃんから神浜の現状と作戦を聞いて、動き出そうとした私たちに声をかけてきたのは、十七夜からだった。

 

「待ってくれ、八雲、十咎。その作戦、自分も協力させてくれ」

「……どういう風の吹き回し?」

 

 私の問いに、十七夜は目を逸らすことなく、はっきりと答えた。

 

「どうも何も、神浜を守るための判断だ。常磐君たちも負けたのだろう? それなら、自分もこれ以上抵抗する意味はない。ならば、鏡の魔女を倒すことに注力すべきだ」

「私たちにあなたを信じろって?」

「虫が良いのは百も承知だ。自分だって夕凪君を疑って、対立を選んだ身。だが、神浜を守りたい気持ちは同じだ。瀬奈みことが消滅した以上、戦う理由はない。違うか?」

 

 十七夜の問いかけに、私は黙る。

 

 そこへ、なにより、と十七夜は続ける。

 

「他でもない八雲が、戦うと決めたんだ。自分にもできることはさせてほしい」

 

 

「疑ってすまなかった。頼む」

 

 

 十七夜は頭を下げる。

 

 

 

 

「……かえでちゃん。十七夜の拘束を解いてあげて」

「え……。でも、いいんですか?」

「ええ」

 

 

 

 

 

 

 そうして、私たちのチームに十七夜を引き入れ、株分けの魔女の結界前まで来ていた。

 

 十七夜は私の問いに答える。

 

「愚問だな。先ほど答えた通り、自分は神浜が助かると思ったほうを選んだまでだ」

「前までのあなたなら、例え1人になっても戦いそうなものだったけど」

 

 私の言葉に、十七夜は少しの沈黙の後に呟く。

 

「……そうだな。もしかしたら自分も、心のどこかでは信じたかったのかもしれん」

 

 

 ――自分の後輩の親友をな。

 

 

 きっと十七夜の脳内に浮かんでいるのは、占い好きだった彼女のことだろう。

 

 

 

 すると、ももこから声がかかる。

 

「調整屋、十七夜さん。そろそろ突入する。準備はいいか?」

 

 

 その問いに、私は十七夜と共に頷いた。

 

「ええ。いつでも」

 

 

「分かった。じゃあ、いくぞ!」

 

 

 ももこの掛け声ともに、私たちはコピーたちの守る、株分けの魔女の入り口へと飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.95 Side K

 

 

 

 

 神楽さんたちとともにやってきた、工匠区の株分けの魔女の結界前。

 

 

 その結界から放たれる魔力は、間違いなく今まで私が戦ってきたどの魔女より強いものだった。

 

 

 自然と手が震え、それを抑えようと私は強くケープを握りしめる。

 

「黒江さん……」

 

 くろさんが心配そうに私を覗き込む。

 

「大丈夫だよ……。心配しないで」

 

 ウソだ。

 本当はすごく怖い。

 

 私だけで戦ったら、間違いなく殺されてしまうような相手。

 いや、この人数だって勝てるか分からない。

 

 

 でも……。

 

(夕凪さんに託されたんだから……)

 

 あの日、夕凪さんが助けてくれなかったら、私は生きていない。

 

 隣の彼女にも再会できず、グリーフシードを渡せなかったことを謝ることもできなかった。

 

 

 なにより……。

 

 

(私だって、夕凪さんみたいに……!)

 

 

 彼女のように、誰かを助けられる人になりたい。あの憧れに、少しでも近づきたい。

 

 

(夕凪さんだって、怖いんだ……。 私だけ逃げるわけにはいかないよ……!)

 

 

 

 

 数十分前。

 夕凪さんが瀬奈さんと大東団地の屋上で話している時、時間の余った私は近くにいた、夕凪さんの友達だという愛生まばゆさんと話した。

 

 人付き合いが苦手そうな彼女に勝手に親近感を持って私から話しかけたけど、意外に彼女も受け入れてくれたので、少しだけ話をした。

 

 

「夕凪さんってスゴいよね。なんであんなに恐れ知らずで戦えるんだろう」

 

 会話の中で、私はそう零した。

 

 臆病な私と違って、彼女は相手が誰であっても逃げ出したりしない。今回の件だって、神浜の魔法少女たちが敵に回ると知っても尚、瀬奈みことさんのためにその道を選んだのだから。私とはまるで違う。

 

 そう思っていたら、愛生さんは苦笑いで答えた。

 

「そうでもないですよ。凜さんの場合、勇気というより、死ぬことに頓着してないって感じで。今でこそマシになりましたが、出会ったときは本当に、自分の命を犠牲にすることが当たり前って感じで」

 

 でも、と愛生さんは続ける。

 

「本当は凜さんだって怖いんです。怖いから、命に頓着しないようにしないと耐えられないんだと思います」

「でも、誰かのために戦うことを止めないんだね」

「ええ。それはきっと凜さんにとって、助けられる相手を助けられないのが何よりも耐えられないからだと思います。だから、怖くても必死に手を伸ばす」

 

 愛生さんは微笑む。

 

「そんな凜さんの怖さを少しでも和らげたいから、私は彼女に付いてきたんです。一人じゃないって、私たちもいるって伝えてあげたくて」

 

 

 

 

 

 

 夕凪さんも怖いんだ。

 

 そんな彼女に、私ができることは。

 

(もう、逃げない。大丈夫、私だって戦える)

 

 

「2人とも、準備はいい?」

 

 神楽さんに呼びかけられる。

 

「は、はい……!」

 

 緊張と恐怖で震えながらも、声を上げる。

 

 

「じゃ、いくわよ」

 

 神楽さんがガトリングガンを構える。

 狙うは、護衛のコピーたち。

 

 

「夕凪さん……。私、戦うよ。怖くても、これがあなたの恐怖を和らげられるなら……!」

 

 私は武器を構え、神楽さんの発砲を合図に、遊狩さんと同時に茂みから飛び出した。

 

 

 

 

 

 

DAY.95 Side KS

 

 

 

「いやぁ~、こりゃ壮観だね」

 

 アタシはビルの上から、前方に見える景色を見て零す。

 

 

 眼前に広がるのは、数十体の魔女が列を成し、一点を目指して進む、見ようによってはなんともおぞましい光景だった。

 

「さらに、それを守るようにコピーたちが数十体、と」

 

 魔女たちが列を崩すのを防ぐように、鏡の魔女が生みだした魔法少女のコピーが、列のあちこちで忙しなく動いている。

 

 

(アイツらが目指しているのが、この後ろにあるっている鏡屋敷。それにたどり着かれたら、その時点でゲームセット、ね……)

 

 

 アタシの数キロ後ろにある鏡屋敷。それがコイツらの親玉が結界を構えている場所らしい。

 

 

 

(なにやってんだかな、アタシも)

 

 ここで狩った魔女のグリーフシードはいくらでも自分のものにしてもいい。その代わりに、自分たちの作戦にも協力してほしい。

 

 凜にそう言われてここまで付いてきたが、損得だけで考えれば提案に乗る必要などなかった。

 

 

 例えグリーフシードを沢山手に入れられるとしても、それで自分が危険な目に遭うのなら本末転倒だ。

 

 けど、アタシはついてきちまった。

 

 

 世界を敵に回した1人の少女の味方をしようとする凜を、どうしても放っておけなかった。

 

(アタシもヤキが回っちまったかね……)

 

 アイツらと出会ってから、どうも調子が狂いっぱなしだ。

 

 特に、ワルプルギスの夜を倒すための集まりで出会った時女一族。

 

 アイツらの、誰がために生き、影から人々を守るなんて理想は、昔のアタシを見ているようだった。

 

 

 何にも知らないで、バカみたない理想を抱いていたアタシの過去だった。

 

 だから、教えてやったつもりだった。それがどれだけ脆く、すぐに崩れる信念かって。

 

 でも、時女一族はその生き方を貫くことを決めた。

 魔女化の運命を知っても、アタシみたいな自分のことしか考えていない魔法少女がいることを知っても。

 アイツらは、その理想を捨てることをしなかった。

 

 それらもひっくるめて、この世界を守るのだと、凜の隣に立っていた。

 

 

 

 

 そうだ。

 

 

 アタシは悔しかったんだ。

 

 

 アタシが諦めた理想を、アイツらは捨てずに進んでいる。

 

 

 それが、なんだかアタシだけ逃げ出したみたいで、納得できなかった。

 

 マミの理想についていけなかったアタシと、マミの憧れの先に立っているアイツら。

 

 

 だから、凜に手を貸したのは、きっとアタシの意地だ。

 

 

 アタシだって、誰かのために動けるんだって、自分に証明したかったんだ。

 

 

 どんな辛い目に行く手を塞がれようと、それでも誰かの安息になろうとするアイツの、力になってやりたかった。

 

 

(さて……。いこっかな)

 

 

 アタシは槍を分離し、多節棍の状態にする。

 

 

 そしてビルから飛び降り、頭上から魔女どもの列に襲いかかる。

 

 

 突然の襲撃に、魔女の列はすぐに崩れる。

 元々、コピーたちが誘導しなきゃ好き勝手動き回る連中だ。ちょっと突けば、すぐに崩れるのは分かっていた。

 

 

 そして当然、そんなことをすれば、護衛のコピーたちが襲いかかってくることも。

 

 

「来なよ。アタシが相手になってやる」

 

 

 編み込み結界で道を塞ぎ、アタシは飛びかかってくるコピーたちを多節棍で迎え撃った。

 

 

 

 

 

 

 

 DAY.95 Side RY

 

 

 

 私たちは鏡屋敷を目指し、ただひたすらに走る。

 

 

 電車もタクシーも止まっているこの状況では、魔法少女な以上、走ったほうが速い。

 

 

 とはいえ、私は内心焦りだしていた。その理由は……。

 

「くっ! どきなさい!」

「邪魔!」

 

 ほむらが銃を放つのと同時に飛び出し、立ち塞がってきたコピーたちを退ける。

 

 街には既にコピーや使い魔達があちこちにいて、どこに行っても私たちを妨害しようと襲いかかってくる。

 それに対処するために、自然と走る速度も落ちてしまっていた。

 

 

 

「次から次へと……! きりがないですよ、もう!」

 

 まばゆの文句も、当然のものと言えるだろう。

 

 

 少しでも急ぐため、極力足を止めずに進んでいるが、このままじゃ体力が減る一方だ。

 

「ハァ、ハァ……。あっ……!」

 

 足の力が一瞬抜け、私はバランスを崩す。

 

 何とか転ぶ前に踏みとどまるも、ついに足が止まってしまう。

 

「凜さん!!」

「ゆーりん!」

 

 まばゆとひめなちゃんが駆け寄ってくる。

 

「凜さん、やっぱりまだ体力が……!」

 

 私は思わず歯噛みする。

 

「ごめん……」

「謝罪なんていいから! ちょっと休も?」

 

 ひめなちゃんがそう言ってくれるも、私は首を横に振る。

 

「それは、ダメ。もう時間がないの。今だって皆にお願いして、魔女たちの足止めをしてもらってるのに。ここで私が立ち止まるわけには……」

 

 休みたい気持ちはある。

 けど、もうそんな選択肢が許される段階ではないのだ。

 

「あの、凜さん……」

 

 まばゆに声をかけられる。

 

「本体を倒す作戦、本当にあれでいくんですか?」

 

 心配そうな顔で私を見てくるまばゆに、私は努めて笑顔を作る。

 

「うん。鏡の魔女を倒せる可能性は、あれが一番高いと思うから」

「でも、同時に危険です」

「そりゃね。なんせ、向こうのサルベーション・ブルームを使ってのカウンター作戦だから」

「しかも、さっき聞いた通りなら、サルベーション・ブルームを引き起こすには魔女に鏡面を触れさせる必要がある。失敗したら、死ぬわよ」

 

 ほむらからも厳しい視線を向けられる。

 

 

 今回、私が鏡の魔女撃破のために立てた作戦は、至ってシンプル。

 

 相手が利用しようとしているサルベーション・ブルームを逆手に取って、鏡の魔女を倒すのに使う作戦だ。

 

 あれが魔女に反応し、その身体を焼き尽くす炎ならば、それは鏡の魔女だって例外ではないはず。

 ならば、向こうが用意したサルベーション・ブルームのエネルギーで、鏡の魔女を倒してしまおう、というのが今回の作戦だ。

 

 

 事前準備も人手も足りない状況で、正面から戦えば勝ち目はゼロ。となれば、相手の力を利用するしかない。

 そう考え、立てた作戦だったけど。当然、問題もいくつかある。

 

 1つ。

 

「たしかに、起爆に失敗したらあの世行きだね」

 

 鏡の魔女に向こう側に繋がった鏡の鏡面を触れさせなければいけないため、鏡の奪取に失敗、あるいは炎を外せば、対抗手段がなくなり、負けが確定すること。

 

「それに、もしそれで倒せなかったら……」

 

 1つ。

 まばゆの懸念通り、本体が用意した鏡からの炎だけで倒しきれるか未知数なこと。

 

「そもそも、そこまで接近できるかも、私としては不安なのだけれど」

 

 1つ。

 魔女と私たちの実力差が、鏡を奪取できるレベルの差であるか分からないこと。

 私の想定を上回る強さなら、そもそも鏡に到達する前にやられてしまう可能性だってある。

 

「もー! ほむりんもまばゆんも暗いことばっかり言わないでよー!!」

 

 ひめなちゃんが怒るが、そのひめなちゃんの目も不安に揺れている。

 

 

 

 そして、きっとまばゆの心配はもう一つ。

 

 

(最悪、私の命1つで何とかって考えてるの、バレたかな)

 

 

 多分、もしもの時は私が犠牲になるのではないか、って不安があるのだろう。

 

 事実、まばゆの不安は当たっている。

 どの問題も、誰かの犠牲で血路を切り開ける可能性があるからだ。そうなったら、その役割は私だと決めている。

 

 まばゆの未来視は、この作戦の要だ。

 鏡を見つけるのにも、鏡を相手に接触させるにも使える。

 

(そもそも、私のせいでこうなったんだし……。いざとなったら、私が……!)

 

 

 それでも、死ぬこと前提で動いていない。

 

 私だって、みんなと見滝原に帰りたい。

 生きて帰って、皆とあの日常に過ごすんだから。

 

 

 

 

 

 

 そんな感傷に浸っていたからだろうか。

 

 近づく敵意に、全く気づかなかった。

 

 

 

「あっ、いた!!」

「見つけたでございます!!」

 

 

 そんな声が、私たちの間を通り抜ける。

 

 声のしたほうを見れば、笛を持った二人の魔法少女がいた。顔がそっくりだから、双子かもしれない。

 

 

「十七夜さんに言われてた、瀬奈みことの協力者!!」

「悪行は、ここで阻止させてもらうでございます!」

 

 違う、と私が否定の声を上げるより早く、2人は笛に口をつける。

 

 そして。

 

 

 

「「笛花共鳴!!!」」

 

 

 彼女たちの叫び声と共に奏でられた音が、私を捕える。

 

 

「ぅあっ……!」

 

 その瞬間、突如、頭を揺さぶられるような音が頭に響く。

 まるで笛の音に脳が共振するように震え、視界が歪む。

 

 立っていられなくなり、私は膝をつく。

 

「凜さん!!」

 

 まばゆが駆け寄ってくる。

 その様子を見るに、まばゆは音の影響を受けていないようだった。

 

 歪む視界で周りを見れば、私と同じく膝をついている魔法少女が1人。ほむらだ。

 

「ちょ、ほむりん! 大丈夫!? しっかり!」

「うぅ……」

 

 それを見た双子の魔法少女は、ハイタッチをする。

 

「やったでございます、月咲ちゃん! 成功でございます!」

「やったよ、月夜ちゃん! 合体技、上手くいったね!」

 

 完全に油断していた。

 みことちゃんはいなくなったけど、それを知っているのは私たちだけ。

 

 事情を知らない魔法少女からしたら、まだ私と行動を共にしていると思うだろうし、捕えようとしてくるだろう。

 

 

 月咲と呼ばれた子が、私たちのほうを見る。

 

「厄介な夕凪凜と暁美ほむらの動きは止めたから、後は……」

「愛生まばゆと、そちらの天女のような子のみでございます!」

 

 月咲さんに続くように、月夜さんが言うと同時。

 

 彼女たちは息を合わせ、まばゆたちに向かってくる。

 

『まばゆ、ひめなちゃん、逃げて……!』

 

 割れそうな痛みが頭を襲う中、私はテレパシーを絞りだして2人に伝える。

 

 しかし。

 

「逃げないに……」

「決まってるっしょ!」

 

 まばゆは月咲さんに、ひめなちゃんは月夜さんに立ち向かう。

 

 

 

 戦いだした2人の背を見るしかできない私。

 

 

 しかし、魔法少女としての実力は双子魔法少女のほうが上なのだろう。

 

 まばゆは月咲さんとの近接戦闘で完全に押し負けてるし、ひめなちゃんは音を武器に戦う月夜さんが羽衣の射程外にいるせいで、一方的に攻撃される展開になっている。

 

「いける!」

「このまま押し切るでございます!」

 

 相変わらず私とほむらは、彼女らの魔力を乗せた音で拘束されて動けない。

 

 

(こんなところで……!)

 

 

 

 先に限界が来たのは、まばゆだった。

 

 後ろへ下がる際にバランスを崩し、そのまま尻もちをついてしまう。

 

「しまっ……!」

 

 それを逃す相手ではない。

 月咲さんは魔力を笛に纏わせ、それを振り上げて。

 

 

 

 

 

 

 

「待て」

 

 

 

 

 突如、割って入ってきた声に、その動きを止めた。

 

 

 

 声の主は私の横を通り過ぎ、まばゆを庇うように月咲さんの前に立つ。

 

 

「そこまでだ、月咲くん」

 

 

 彼女を見た月咲さんは目を見開く。

 

 

「か、かか、十七夜さん!?」

 

 

 そう。私たちの前に現れたのは、東のリーダー、和泉十七夜さんだった。

 

 

「月夜くんも、武器を降ろせ。もう彼女たちと戦う理由はない」

「ど、どういうことでございますか!?」

「瀬奈みことは消滅した。彼女が何かをすることはなかったし、今起きている事態も彼女らとは無関係だ」

「どうして分かるんですか?」

「さっき彼女たちの心を覗いたからな。さあ、彼女たちの拘束を解け。それとも、自分と戦うか?」

 

 十七夜さんの言葉に、2人はヒィッと言うと、魔法を解除する。

 

 

 すると、先ほどまでの頭痛がスッと消えた。

 

 

「今は魔法少女同士でいがみ合っている場合ではない。君たちも、街に蔓延る魔女の殲滅を優先するんだ。早く行け」

「「は、はいっ!!」」

 

 

 十七夜さんに命令され、2人は蜘蛛の子を散らすように去っていった。

 

 

 そのタイミングで、私は彼女に声をかける。

 

「あなた……、誰ですか?」

 

 私は彼女に問いかける。

 

 だっておかしいのだ。みたまさんからの報告通りなら、彼女は大東でみたまさん達と一緒に株分けの魔女と戦っているはず。

 

 

 彼女がここに来れるはずがない。

 

 

 すると、彼女はフッと微笑む。

 

「さすがですね。物真似には自信があったのですが、こんなに早く看破されるなんて」

 

 およそ十七夜さんとは思えない口調になった彼女に、私は警戒心を露わにする。

 

「そうです。私は和泉十七夜さんではありません。本物の彼女は、鏡の魔女の株分け個体と戦っています。でも、警戒しないでください。あなたたちを助けるのにこの姿がちょうど良かったので、少々お姿をお借りさせてもらったんです」

「助ける?」

「ええ」

 

 すると、十七夜さんの姿は霧のように消え、そこから見知らぬ魔法少女が姿を現す。

 

「私の魔法は『メタモルフォセス』。なりたい相手の姿に変化し、その辻褄合わせまでしてくれる。自分で言うのもなんですが、とっても便利な魔法なんですよ」

 

 その少女は、黒と白の、ともすれば喪服をイメージさせるようなドレスを身に纏い、栗毛色の編み込まれた髪が風で揺れる。

 

「申し遅れました。私、とある方の遣いとして、あなたたちを手助けにやって参りました……」

 

 彼女はスカートの裾を小さくつまんで、少しだけ持ち上げる。

 

 

「アマリュリス、と申します。以後、お見知りおきを」

 

 

 とても綺麗な所作でお辞儀する彼女はそう名乗ると、可憐な花のような笑顔で笑いかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 




ようやくここまで来ました。
この長かったお話もようやく終わりが見えてきて、一安心しています。
あと、映画前に完結させられそうです。

それはそうと……。
すいまへぇ~ん、(映画の公開日発表は)まーだ時間かかりそうですかねぇ~?
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