編集中なのでどっか途切れたり、噛み合わなくなってるけど許してね。しばしお待ちを。
2024 7/12 編集完了しました。
半異形の女の子っていいよね
ー2xxx年某日ー
カチカチカチッ カチカチッ カチ
薄暗い部屋、青白い光が周囲を仄かに照らす以外、何の光もない空間。
青白い光を発するモニターには、千の剣にその身を貫かれた巨人と、背の丈以上の大剣を担ぎ、こちらに背を向ける男が映し出されている。
そのモニターの前ではコントローラーを操る少年が1人、その少年がスティックを動かせば、大剣の男が連動して動く。
何を隠そう、コントローラーを握る少年がプレイヤーで、大剣の男こそがこのゲームの主人公なのだ。
そして、モニターの中で主人公と相対する巨人こそがこのゲームにおけるラスボスなのである。
昨年、ようやく発売された超大型アクションゲーム。多彩なアクションはもちろん、濃厚なストーリーと緻密な描写。そして現実と見間違うほどのグラフィックを併せ持つ、今期の覇権を確定されたゲーム。
かねてより公開された予告編やプレイトレーラーから多くの話題を呼び、販売された今でもその評価は高いままで、その界隈なら誰もが知る神ゲーとしての地位を確立した。
そしてこのゲームはいくら神ゲーといえども容量の限界はあり、ストーリーにおいて最後を飾る締めの要素、所詮ラスボスというものも存在する。
そのラスボスこそが先程述べた巨人─忘れ去られし太古の咎人─なのである。
しかしそのラスボスももはや残り体力わずか。逸る心をどうにか落ち着かせながら、少年はコントローラーを握る。
巨人が動く。剣まみれの腕で大振りの薙ぎ払い、一瞬の間をおいて振り下ろし、流れるように2回目の薙ぎ払い、そして硬直───
「…勝っ……たぁ…………」
モニターには崩れ落ちる巨人と、操作を手離したことで動かなくなった主人公が映っている。
少年──
満足是な表情で微笑んだまま、熱に浮かされたように
「かっけかったよなぁ…あの巨人」
今まで通り、先ほど行ったゲームの一人感想会をやり始める。何にも変え難い、彼だけの大事な時間。
「山のような巨体、体格を生かした攻撃、突き刺さった剣をモノともしない精神性…」
印象に残った箇所を指折り数え、大切な宝物を綺麗に飾り並べるように、恍惚とした笑みを浮かべながら
「あの視点からは何が見えるんだ。あの巨体を動かす感覚はどんなもんなんだ。あの巨腕はどれくらい力を込めれるんだ」
彼は今日も
「オレも、あんな姿だったらなぁ」
“憧れ“を語るのだ。
かつて、まだ龍が幼き頃、彼はテレビに映る『光の巨人』と『悪の怪獣』の戦いを好んで見ていた。
巨大な生命体が星の存亡を賭けて戦うそれは、今もなお龍の瞳に強く焼き付いている。
もっとも、その作品で彼がとりわけ好んでいたのは光の巨人ではない。むしろその逆、『悪の怪獣』だった。
光の巨人が嫌いというわけではない。ただ単に、龍にとっては悪の怪獣がカッコよく見えただけの話だ。
──やがて月日は流れ、彼の好きなものも増えていった。
悪の怪獣から始まったそれは、恐竜、爬虫類、魚、昆虫、妖怪、悪魔、怪人、エトセトラetc…。
彼は人ではないもの、人には理解できない化け物
齢16。この年になっても、その気持ちが消える事は無かった。
龍は、怪物に憧れ、怪物と共に生きたいと願い、自身が怪物になることを望む、普通から少しズレた少年である。
──ただ、何事にも例外はある。おかしい話かもしれないが、幼き日から今もなお、龍が共にありたいと願う『善人』はいた。
その人物の名は───
──龍の興奮の熱が徐々に冷めていき、彼の耳が周囲の音を認識し始める。
ザアザアと地面を叩きつけるような激しい豪雨。轟く雷。窓をガタガタと揺らし続ける風。
「なぁんかうるさいと思ったら、ひっでぇ天気だな…」
龍はこの天気がいつまで続くのかと、スマホを取り出して調べ始めた。
「もう梅雨終わってるし…台風か?いやでも台風だとしても早くないか…?つか陸まで来る台風ならニュースか何かで見かけてるだろ」
龍はとりあえず大手ニュースサイトを開いてみる。するとそこには[超異常気象]の文字がデカデカと踊っていた。
「[全国同時多発超局所的ゲリラ豪雨]…?」
ニュースの見出しをタップし詳細を確認すると、綺麗な円状の雨雲が全国で合計『13ヶ所』出現しており、気象庁の雨雲レーダーにも直前まで晴れと予想されていたため、超常現象や、心霊現象。果ては世界崩壊という言葉まで飛び交っているようだ。
「いよいよ異常気象もここまで来たか…ふあ〜ぁ、ねみぃ…まぁ、そのうち
現在時刻は午前5時12分。前日からぶっ通しでプレイしていた龍の眠気は、限界近くまで達していた。
ぽすんっ
倒れるようにベットに横になると、すぐに意識が薄れていく。
「(…明日は、あのゲームの二週目でもしよう…)」
眠気に促されるまま瞳を閉じた時
──頭の中で声が響いた
『すまない、人の子らよ。我と共に邪神と戦ってもらう。これより、戦いの才をもつ者全てが十全に戦えるよう、最も魂の形に則した姿に変化させる。さあ、反撃の時間だ。』
身じろぎ
「…っ」
何か言葉を発するより早く、その体は、内側から溢れ出る光に覆われた。
─────
「……ぅ…ぁ…?」
………頭がポヤポヤする…。もう、起きる時間になったのか…?
しかし何か釈然としない。寝る前に何か起こった気がして…確か──
「…あッ!!そうだ!あの変な声の奴!!」
あの謎の声がなんか言った後、オレは光に包まれたんだ。
場所を把握するため一旦周囲を見渡す。……いつも通り、少し広くて、ゲーム機とフィギュア、お気に入りの漫画で埋め尽くされたオレの部屋だ。
「転移…とかじゃないな。とりあえず、今何時…………」
待て、待て待て何だこの声は。慌てて口を押さえ──目の前に赤い巨大な手のひらが現れる。
「なっ…なんだお前!!」
すると
なんだ…いや、もしかして…これ…
「オレの腕か…?」
うーむ…しげしげと眺めてみる。イカつい。グー、チョキ、パー…。カニ。
……ハッ、遊んでる場合じゃ無い。
いやでも……うん…色々言いたいことはあるけど…
「…怪物」
己の顔より大きなそれを見て真っ先に思い浮かんだ言葉はそれだった。
…いやほんとデカいな…てかオレの服、破れてるじゃん。まあいいか…とりあえず他の変化も見ときたい。
よっこらせ、と立ち上がると、ストン、とズボンが落ちる。──まずい、変な汗が出てきた。
…ま、まだそうと決まったわけじゃない。と、とりあえず玄関に行こう。確かあそこに大きめの姿鏡があったはずだ。
扉を開ける。…家族は、─一階のリビングの方にいるらしい。
階段を降りて、息を殺しながらリビングの扉の前を通り過ぎ、─目的の姿鏡まできた。
ああ…嫌な予想が当たったらしい。
どっからどう見ても女の子ですありがとうございました。
「いやなんでだよ」
腕が通らないが故にもはや真っ当に脱ぐ手段を失った服を破り捨て、裸のまま鏡の前に立てば
──美少女がいた
「いやほんとになんでだ…」
あの仮称:神は何と言ったか。
最も魂に即したとか何とか…これがそうなのか?
いやもうそれはいい、先に確認することがある。
龍は、自身の疑問は後回しにして目の前の鏡を見る。
赤い肌に黒目金眼、黄金の髪。その輝かんばかりの髪には紫のメッシュが左右に一房ずつ入っている。
そして特に目を引く箇所が2つ。
額から天を突くように生える一本角。
伸ばせば床に着いてしまいそうなほど肥大化した禍々しい両腕。
「鬼…か?容姿は、良いな。……にしても…チッ…どうするか… 」
ようやく『きっかけ』が巡って来たのだ。今のうちに何かしてみたいという欲求がフツフツと沸いてくる。
「(これから混乱は起こるだろうし、動くにしても情報が足りねぇ…)」
というかほんとカッケェなマイボディ…なかなか筋肉も搭載されてるし、違和感もあるけどそれ以上によく馴染む。
やっぱ鬼ってかっこいいよな。
…うん。そうだな。まずは今のうちにこの体でできることを確かめるか。
ついでに何かしらの指針を決めたいn…
『人の子らよ』
「ッ!!」
『これより邪神の使徒たちによる、世界侵略のための拠点が出現する。君らはこれを攻略し、邪神の侵攻を食い止めることが役目だ。さしずめ、ダンジョン攻略と言ったところだな』
「(へぇ…なるほど…だったらやるべきは)」
『では、励んでくれ』
「混乱や渋滞が起こる前に、ダンジョンに侵入する事だな」
おっシャア!!やってやるぜ!!速攻行ってやる!!
この体の確認なんざ、ぶっつけ本番でいけるだろ。
先ほどのそのまま勢いで外に出る。…さてさてまずは、どっか高いところでダンジョンとやらを探すとするか!
あっ服着てねぇじゃん…まいっか
──────────
「(さて、雨は上がってるな。そんで外はパッと見特に変化無しってか。さすが片田舎といったところだな)」
家の連中にバレないように扉を潜って、今は屋根の上にいる。…ギラギラ輝く太陽が鬱陶しい。
…にしてもまさか屋根まで一っ飛びとはなぁ。我ながら楽しい体になったもんだぜ。
ちなみに、あの後一応服着ようかと思ったけど、腕が通らなかった。だからしゃーなし諦めて全裸のままでいる。
「ふむ…視力だいぶいいな…それに嗅覚も馬鹿げてる…」
1kmほど先にある畑に撒かれてた肥料の匂いに顔を顰めながら、辺りを注意深く探ると、丁度そのあたりに嗅いだことのない匂いがした。
「ん?なんだ…この匂い…。…もしかして、ワンチャンあるんじゃねぇの…?」
そんな近場にあるなんて都合いいことあり得るのか?正直何時間かはかかると思ってたんだが…。運が良かったか?
いや、そういやあの雨もおかしかったな。もしかして関連してるんじゃねぇのか…?
──だとすれば
「ダンジョンか、変化した人間、もしくはその両方は、合計13になる…ってところか?」
そうだとすりゃあ近場にある理由もわかる。いや、何も確定してねぇけどよ…。
…まあいい。
あの辺は何回も通ったことがあるから匂いもよく覚えてる。
新しい肥料とかって線もあるがその割にはどうにも生き物臭い気がする。
つまりダンジョン、もしくはモンスターの可能性があるってことだ。
「…行くか。リスクは、未来のオレに取ってもらおう!!」
とんっ、と音ひとつなく飛び降りれば、あとはもう、この体の能力に任せて走り抜けばいい。
「あぁ…速ぇ速ぇッ!すげェ!!オレ速ェェェェェェ!!!」
周りの景色がバカみたいな速さで流れていく。これがアイツらの、怪物たちが見る、景色ッ!!
ああ、たまらねぇ。たまらねぇなぁ!!
ふと前方にガードレールが映る。
「(どうせ、こんな見た目ならお尋ね者だ。…なら、やっちまっていいよなァ!?)」
眼前に迫ったガードレールに向かって拳を振り抜く。
ズゴン、とひしゃげたガードレールが宙を舞う。くの字に曲がった白色が、青空の下陽光を受けて輝く。
…ああ…自由だ。
「フフフフフ…アハッ、アハハッアハハハ!!!」
目についた道路沿いの街頭樹、電灯。地面。全部気まぐれに壊す。壊せる。
ああクソ、ほっぺが痛い。口角が上がるのを止められねぇ!!
神の言うとおりなら、このままいけば、すぐに生き物を殺すことになる。
「嗚呼、チクショー…楽しみだ。オレ、殺せるのかなぁ?いや、殺す。アイツらは、笑いながら殺すんだ。オレは、オレも、アイツらみたいな、怪物に…!!」
獰猛な笑みを浮かべた鬼は、己の欲を満たすため、大地を駆け抜ける。
─────────『ああ、本当に、楽しみだよ』─────────
saf○ri飛ばしたらデータ消えてびびったよね。自動保存は神。はっきりわかんだね。