鬼には笑顔がよく似合う   作:努舞我獲留

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今回は試しに隙間を減らしてみました。
前回までの感じの方が読みやすいとか、この感じで頼むとかあったら教えてね。

※編集中につき、矛盾点や前後でつながらない箇所がございますが、ご了承ください。

※編集完了しました(2024年10月23日)


可愛い笑みも似合うよね

 

 

 

 「アハハっ!おーいノロマァ!追いついてみろよ!」

 

 

 軽快な足音が森に響き、笑い声がこだまする。

 少し遅れて複数の重厚な足音が響き、獣の荒い息が音を立てる。

 

 

「(よしよし誘き寄せれてるぞ…この調子だな)」

 

 

 現在、ダンジョンに入ってからおおよそ一時間が経過した。

 オレは今、このダンジョンで出会ったモンスターを仕留めるために奴らの鼻先を走って誘導してるとこだ。時々あいつらを挑発しながら離れすぎないように調整もこなしつつ走って跳んで、──ようやく目的の場所が見えてきた。

 進む道は一本の獣道、横は木と草に覆われて低めの壁みたいになってやがる。…まぁオレからすれば十分高いんだけど…。…お、そんなこんなでもう着くな。少しずつ速度を緩めて……目的の場所──高い岩壁に囲まれた、円形の低地──へ、到着した。

 

 

「…あは、いつ見てもお(あつら)え向きな場所だぜ…──お前らもそう思うだろ?」

 

 

 そう言いながら後ろを振り返れば、まんまとひっかかった獲物の姿が見える。

 

 

「グルル……!!」

 

 

 3m以上はありそうな体高、灰色に輝く毛並み、鋭い牙、ギラつかせた眼光。

 全体的な印象としては、巨大な狼といったところだな。…差し詰め、巨灰狼(ジャイアント・グレー・ウルフ)とでも言ったところか。

 

 

「4匹…ちゃんと全員来たみてぇだなァ。

 …安心しろよ。オレァ優しいからな。

 

 

 ── 一匹残らず、皆殺しにしてやる」

 

 

 観察も程々、一気に巨灰狼たちの背後へ回り込む。回り込んだ先はさっき通ってきた道、ここへ繋がる唯一の道だ。

 …よし、大丈夫なはずだ。これで逃げ道は無ぇ…、()()こそは逃さねぇ…!

 

 …ここに来てからコイツらと会うのはこれで3回目。

 今までの2回は1匹,2匹倒したところで、他の奴らが散り散りになって逃げられた。

 だが今回こそは逃さねぇ……わざわざこの為に誘導までしたんだ。これで失敗したら、目も当てられなくなっちまうぜ!

 

 

「ガアッ!!」

 

 

 ダンッ 左右から一匹ずつ、口を開き、強靭な四肢を持って、バネのように飛びかかってくる。 

 巨体に見合わぬ俊敏さ、雷マークみたいに素早く左右へステップを刻んで、こっちに動きを悟らせねぇ様にしてるみてぇだ。

 

 

「お前らを初めて見た時は興奮したぜ?なまじゴブリンがオレより小柄だった分、いきなり倍以上の背丈を持つやつが現れてよ。そりゃワクワクもするさ。けどな、」

 

 

 ゆっくり両手を広げながら、ダンジョンに入って数分の頃、初めて出会い戦った感想を思い返しながら語る。

 そう、最初はこの速さも、爪牙の鋭さも、仲間同士の連携も、何もかもが新鮮で、脅威的だった。

 

 ダダンッ

 

 こちらを攻撃圏内に捉える直前、巨灰狼たちは小さなフェイントを入れ、示し合わせたように、体を回転させながら大口を開く。

 右の狼はオレの右腕を、左の狼はオレの左腕を。

 その大きく開かれた二匹の()()へ視線を向け──

 

 

「もう慣れちまったんだよォ!!それにはなァッ!!」

 

 

 ──両腕をぶち込むッッ!!!!!!

 

 

「ガブ!?」「ワフ!?」

 

「じゃぁな、犬っころっ!!」

 

 “巨大化“

 

 

 瞬間、ボコッと巨灰狼の頭が膨らみ、脳漿を散らして絶命した。

 即座に腕を元の大きさに戻し、いつでも動けるようにしながら残りの巨灰狼の動向を確認する。

 

 一匹は逃げ場がないことに気づいて立ち尽くしてるな。

 もう一匹は………いない?

 

 

 

 ダダダッ

 

 音がする…巨灰狼の足音だ。場所は──真横。

 グリンと、音のした方向へ顔を向ければ、仲間の死体を飛び越えて、オレを襲おうとする影が見えた。

 

 対処は…──間に合うなぁ?

 縮めた腕をもう一度巨大化しながら体ごと回り、そのままに半回転して巨灰狼を高速で薙ぎ払う。

 バキィ、と拳がめり込む音が聞こえ、伝わる衝撃のまま ドンッと周囲の巨樹へ叩きつける。

 

 これで後一匹。

 

 チラリと視線をよこせば、やぶれかぶれで飛びかかってくる巨灰狼、一度大きく飛び上がり──ズドンッ、と頭上からその巨体を拳で叩きつけた。

 

 

 ──トッ、と地面に降り立ちゆっくり息を吐く。

 …スッキリしたぁ…。…ようやく一息つけた気がする。一回逃げられただけなのに、我ながらよくここまで執着したもんだ。

 サクッと魔石を回収し、腹に収めながら踵を返す。

 

 ─さてさて、オレが楽しめるヤツは後どれくらいいるかなぁ…?

 

 ポキポキっと首を鳴らして走り始める。まだまだ未知の迷宮(ダンジョン)探索は始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ザコしかいねぇ」

 溢れ出る血飛沫の中で、オレはそう溢した。

 

 あれから数時間、このダンジョンを走りまわっては即見殺してたんだけどよ…。今んとこ小鬼、巨灰狼、巨蜘蛛、単眼鳥、羽兎、透明猫…etc etc…。

 何というか微妙にファンタジーじゃねぇっていうか、…確かに大きさはファンタジーなんだがよ、どうにもこの世界の生き物からそんなに乖離してねぇんだよな。

 おまけに強さもビミョいし…。はぁ、ワクワクする展開返してほしいぜ…。

 

 何だか萎えるなぁ…

 

 スゥーっと朝から続いたテンションが急激に落ちついていく感覚を覚える。

 辺りを見渡して先ほど殺したモンスターの死体以外何もいないことを確認して、グググッと一度大きな伸びを行い、ストンっと地面に座る。

 

「はぁー、疲れ…てはねぇな…。…いやまぁ気疲れはしたか。しっかし何が何だか…」

 

 朝から続く激動の時間、いや正確には激動の感情か…?意味わからねぇほどブチ上がったテンションに初めての殺し、その後理性消失までして気がついたら特殊能力(腕の巨大化)も備わってやがるときた。

 まったく……わけわからなすぎだろ…。

 オレあんなに好戦的だったか…?たしかに前からそういう想像をしたことはあるけどさ‥‥、いやあるからか?思想は言動に、言動は行動に変わる的なアレか??なら納得できるけどよ…。

 

「…なんか、オレがオレじゃなくなったみてぇだ…。それでもなぜか、拒絶しようとは思えねぇんだけどなぁ」

 

 

 視線を彷徨わせて倒れ伏したモンスターが目に入る。…魔石とらねぇとな。

 

 生き物を殺したことに何の関心も湧かず、淡々と魔石を抉りとろうとする自分自身に改めて驚く。…オレはここまで非情な人間だったのか。…いや、もうこれでいいのか、オレはもう怪物なんだから。

 

 

 またいつ熱が復活するか分からねぇ、頭が冷えてるうちに現状を整理しておくか。

 

 

「まずは俺のことだよな」

 

 改めて自分の姿を触って確認する。

 額の一本角は前よりデカくなってる気ぃするし、髪はやっぱ長い…それにちょっとザンバラか?これ結ったりした方がいいのか?切るか?まあいいか

 身長は…150…くらいか?前の体より頭一つ分くらい小さい気がするよな。

 そんで、腕…これはどのくらい大きくなるんだ?

 

 

 葉に覆われた天に向かって腕を巨大化させる。

 

「でっか…重っ…!!」

 

 倒れそうになり、慌てて小さくする。

 

 

 だいたい15…いや、17mはあるか…?質量保存どこいったんだこれ?

 まあいい…そんで他の部位には…?できない、か。

 ふーん…けっこう好みの性能だ。いや、オレの魂に合わせたとか言ってたか?なら、当然だな。

 

 そんで体が鬼の姿を模ったってことは、鬼の伝承とかイメージに沿ったなんかがあんのか…?酒とか飲めばまた何か変化とかあるのかも知れねぇな。

 …まぁそれは今後に期待だな。

 体はこんなものでいいだろう、この程度の変化なら許容範囲内だ。

 

 

 問題は、精神だ。

 ここに来る前のゴブリン戦、明らかに理性がトんでた。

 確かに、戦闘への興奮はあったし、それに加えて初めての体験だった事もあって、精神が高まっていたのは認める。

 でも、あれは異常だ。たぶん…この体になったことが原因で、普段出てこない暴力性が出てきたのかもな。

 いや、オレが普段抑えて生活していただけなのか‥?ってことは俺が取れる選択肢は──

 

 

 理性で抑えるか否か

 

 

 

 まあ、狂気持ちのキャラクターがよくやる葛藤だよな。

 そんで、これのメリット、デメリットを考えれば答えは自ずと出てくる。

 すなわち─

 

 

 

 

 

 ──理性で抑える

 

 

 「だが、それじゃあ面白くなイ」

 

 

 この力はオレのもんだ。オレの魂の形に合わせられたものだ。メリットデメリットじゃねぇ。

 この凶暴性も含めてオレだ。一つの個性だ。これが無ければオレはオレ足り得ない。

 「あァ、そウダ、モットたたカおウ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グゥゥゥゥゥ

 

 

 そこまで考えて唐突に腹がなった。

 

「………」

 

 先程まで滾っていた闘争心がすっかり萎えちまった。 

 

 

「………なんか食うか」

 

 

 あたりを見渡して、屍を晒している狼が目についた。

 

 

 …あれは食えるのか?…いや、オレは鬼だ。人間じゃねぇ。…あれくらい食える、食えなきゃ困る。

 恐る恐る近づいて、巨大な狼の死骸に牙を突き立てた。

 

 ガブリ

 

 じゅわっと血が溢れ、遅れてほのかに肉汁の風味がある。独特の臭みと芳醇な血の香りに思わず喉がなる。

 これが生肉、これが野生の味か。…たまらねぇな。

 クチャクチャと口の中でよく噛んで嚥下(えんげ)すれば、細かくなって粘り気を出す肉の風味が体全体に広がる感じがした。

 

 

 この肉、美味い!

 

 

 

 

 その後も、龍は死体に体を突っ込みながら4匹全部の肉を食らい続けた。

 一体どこに入っているのか、その小柄な体格は幻術か何かなのかと信じられない程の暴食っぷりは、なるほどこれが鬼かと納得いくものであった。

 

 ──自身の何十倍もの肉を平らげた終えたその時の鬼の表情は、大変朗らかな笑みであった。

 

 

 

 




腕ってもっとでかい方がいいのだろうか。
てかそろそろ他の人出したい。でもまだまだいい感じの場面じゃない。
困った。まあ気楽にがんばろ。
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