鬼には笑顔がよく似合う   作:努舞我獲留

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更新遅れてすまない。

※編集中につき、矛盾点や前後で繋がらない箇所がございますが、ご了承ください。

※編集完了いたしました(2024年10月31日)


鬼とダンジョン

 

 

 「ふぅ〜食った食った…もうお腹いっぱいだよ〜…ってか」

 

 ただいま肉を食い終わって一服中。そこそこ時間が経ったのに、まだこの辺じゃモンスターの影も形もねぇ。

 …にしてもほんとに美味かった。

 まさかまるまる食い切れるとは思わなかったわ。それにこの腹の消化速度早すぎるし。

 まあでも美味しいものと楽しいことはたくさんあって困ることはねぇからいっか。

 

 

 満足気に腹を撫でた後、この森?について考えながらこれまで通りまだ行ってないとこを目指して歩き始めた。

 

 「しっかし、ここにゴール的のはあんのかな?」

 

 アニメや漫画にあるダンジョンでは、たいてい次の階層に行くための階段があったりするものだ。

 この森は今の所、もともといた世界と変わらず日が昇って、沈んでいくっぽい感じがする。

 死体も残ってるし、たぶん自然のサイクルで腐敗していってる。

 

 背後で既にハエがたかっているモンスターの死体を見ながら、何となくそう思案する。

 

 であれば、あれ(ゲート)が飛ばしたのはダンジョンではなく、異世界なのでは?

 いや、それだとあの神っぽいのと矛盾する。

 あの超常の存在がこの程度のミスするか?いや邪神サイドに計られた可能性もある…。

 

 「……………うん、こりぁ答えが出んな。喉も乾いたし…とりあえずここがダンジョンだと仮定して、階段を探すことを目的にするか。ついでに水」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すでに歩き続けて4,5時間。

 カラカラに乾いた喉は早く水分をくれと切実に訴えてくる。

 巨木が乱雑に並び、背丈の高い草が生い茂げる森の中で闇雲に歩き続けるって化け物みたいなストレスだな。

 

 くそ…そもそもこの森水場あるのか…?

 いや、あんなでかい生物がいたんだ。あるに決まってる。

 くっそ、なんでオレがこんなめに…

 

 いよいよ意識が朦朧とし始めた時。

 視界の端でキラめくものが見えた。

 

 

 くそっまぶし…ん?待て

 あれはまさか……水かッ!

 日の反射具合、風に靡く水面…間違いない!!

 水だ!!

 ああ飲ませろ飲ませろ飲ませろォ!!!

 

 

 「イタダキマァァッス!!!」

 

 

 顔面から地面に突き刺さる勢いで水に口をつけようとした時、突然水が噴き上がる─いや、立ち(・・)上がった。

 こいつ意思を持った粘性の液体、粘水生物(スライム)だ!

 そう直感したはいいがこんなとこで止まれるわけもない。

 

 オレは完全に油断しきったところを突かれ、体を広げたスライムに飲み込まれしまう──

 

 

 ──なんてことなく、逆に鬼の巨腕は獲物を閉じ込めた。

 

 バチュンッ

 

 『!?!?ッッ』

 

 ゴクッゴクッゴクッ パキンッ

 

 「ぷっハァ〜!!生き返るぅ〜」

 

 

 龍は満足げに腹をさすると、よっこいしょと立ち上がり、探索を再開した。

 

 

 

 

 「(…人工物…?)」

 水を飲んでから約1時間。オレは遠目に集落のようなものを発見した。

 

 んん〜…ここら辺またゴブリン見かけるようになったから、あるだろうと思ってたけどよ、ようやくか。

 とは言っても外にいた奴らと遜色ない程度の強さしかないからなぁ…。楽しむのは諦めるか。…一匹マシなやついるっぽいけど。

 ま、とりあえずサクサクっと魔石だけ食べるか。

 …ふむふむ…皮の防具に、弓に石槍…。装備はけっこうやれそうじゃん。

 

 

 手のひらで死んでるゴブリンを集落に放り投げて歩き始めた。

 

 

 藁っぽい素材でできた家屋が並び、木でできたちっぽけな村長宅がひとつ…うん、やっぱいい感じのモンスターはいねぇかも…。実はちょっぴり期待してたんだけどな…残念だわ。

 …と、集まってきてるな。さすが集落。100匹どころか200匹はいるんじゃねぇか。さっさと殺そう。

 

「とーうっ!!」

 

 小鬼どもの真上まで高く飛び上がって、地面を俯瞰する。

 集落はひらけた地面の端を囲うように形成されている。中央広場と周囲の住宅街とでも言ったところか?

 ワラワラと集まってきたゴブリンたちが「あいつが敵だっ!」とでも言うように、皆それぞれこちらを指差し何か叫んでいる。

 

 ─ああ、いいな、この光景。これから起こることを想像しただけで、マジで心が躍る。

 

 さ、アレをやってみるか!

 

 

「なぁゴブリンども、知ってるか?人間の大人たちは仕事で印鑑ってのを使うんだ。赤い色をつけた印を書類に上からトントンって押し当てるんだよ。知らなかっただろ?

 …で、だ。今の状況、それによく似てねぇか…? 

 

 …アハ♪ 教えてやるぜ。オレは印鑑、そんでテメェらは、朱肉ってとこだなァ!」

 

 自由落下に身を任せ、頭を下に置きながら限界まで拳を引き絞る。

 

「イイ色つけろよッ!!

 

怪腕鬼の拳骨落とし(レッド・スタンプ)》ゥゥウ!!!

 

 

 

ダンッ!!!

 

 

 大きな衝撃音と共に、龍の比較的近場にいたゴブリンたちが真上から降って来た赤い拳に押しつぶされた。

 その真横に立っていたゴブリンは、気がついたら仲間の血を浴びていたという急な出来事についていけず、理解を拒んだまま、ただ呆然と立ち尽くしてしまう。

 ──だが、その間にも鬼は動いている。

 

「まっ、今のオレの拳じゃあ全部一気に捉えられねぇからな…。続けていくぜ!オラァッ!!」

 

 ダンッ、と再び同じ音が森に響き、またゴブリンたちの命が散った。

 ここにきてようやく頭が回ったのか、それとも単に生存本能が引きずり出されたか。ゴブリンたちの中に一目散に逃げようとする者が現れた。

 だがそれによって、ゴブリンは立ち向かうものと逃げ惑うものの2グループに分かたれ、お互いにお互いを阻害してしまう状況が誕生した。

 ──もっとも、鬼の拳にはそんなこと関係ないのだが。

 

「アハっ♪ 逃すわけねぇじゃん。オラ、オラ、オラオラ、オラオラオラオラ!!」

 

 ダッダッダッダッダダダダッ!

 

 鬼の掛け声と共に加速した拳の雨は、広場の外周付近から順に降り注いでいった。

 この場から逃げ出そうとしたゴブリンたちは、3歩と踏み出さないうちに雨に見舞われ地面のシミとなる。 

 ─そして、最後に残された中央付近のゴブリンたち、彼らを視界に収めた鬼は、さらに拳を引き絞って。

 

「ブッ潰れろォオ!!!」 

 

 

ダァンッ!!!

 

 膨大な質量に押し出されるように、周囲に赤い鮮血を撒きながら、この広場に集まったゴブリンたちは全滅した。

 トタンッ、と地面に着地した龍は、徐に片手を目線の高さまで持ち上げ、ジッと手の甲についた赤く輝く血糊に目をやり─

 

「イイ赤だったぜ、ゴブリンども」

 

 シッ、と手を振り血糊を払い飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 あの後、わざと残しておいた村長宅には案の定、他のゴブリンよりマシなやつがいたが、所詮マシ程度だったからサクッと魔石だけ抜き取ってあの集落を去った。

 そんで今は、あそこから少し行ったところにある、見るからに怪しい模様付きの洞窟に来ている。

 

 

 森の中の洞窟とか怪しさ満点じゃんか。

 しかも今のところ敵もいないし…でも不思議と不安より安心感があるんだよな。

 …まぁそれはたぶん…この景色のせいだろうな…

 

 チラリと目線を周囲に向ければ、青色に輝く石の光が洞窟内に乱反射して、息を呑むほど幻想的な風景を作り出している。

 

 …ほんとにすごい……ってあれは!!

 

 この道の行き止まり、その壁に当たる部分に見覚えがある。夜空のような模様が絶えず動いて、星々に照らされるような独特の神々しさがある…。

 間違いねぇ。ここにきた時と同じ、ダンジョンゲートと同質のもんだ!

 

 「…ようやくこっから第2層って感じかぁ…?へっ、腕がなるぜ!」

 

 

 そういうと龍は、意気揚々とゲートへ向かった。

 そのさきで龍が見たのは

 

 

 

 

 赤い肌にはち切れそうな分厚い筋肉。

 あのホブゴブリンより遥かに巨大な背丈。

 そして…天に(そび)え立つ三本の黒角。

 その威容、まさに──

 

 

 

 

 

 

 「っ!オーガ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 グウゥォォォオオオオオオオ!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 轟く咆哮

 

 

 

 

 

 

 相対する鬼の口は吊り上がり、目元は目玉が落ちそうなほど開かれ、凶悪となった相貌は今か今かと開戦の時を待っている。

 笑う鬼。それを見た大鬼(オーガ)もまた、笑みを深くする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さあ、闘いの時間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 




バイトがんばる。

【挿絵表示】

作者の龍ちゃんイメージ
(雑ですまない。色も塗ってない。許せ)
毎回笑みで終わると言ったな。
アレは嘘だ。

ウマ娘楽しい。
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