ハッカ(オリ主)
カロス地方セキタイタウン出身の女性。仮面の男事件をきっかけにジョウト地方へとやってくる。手紙の中でしか心をひらけない。
シャム
仮面の男の元側近。仮面の男のもとで英才教育を受けて育った女性。冷静沈着で、いまでも仮面の男に強い忠誠心を持っている。カーツとともにセキエイリーグ会場の乗っ取り計画を企てた。
カーツ
シャムと二人一組で仮面の男に育てられた元側近。ポケモンのちからを利用してエンジュシティを地盤沈下に陥れるなどの悪事をはたらいた。多少熱くなりやすいところがある。
ヤナギ/仮面の男
ジョウト地方チョウジタウンのジムリーダーを務める裏で、ロケット団の新首領として暗躍していた。「自分の手持ち以外は道具」と断言する程、目的の為なら手段を選ばない冷酷な人物であったとされる。自分の目的を達成するため、
全国からバトルの腕のいい子供達を攫い、自分の手足として教育した。現在は行方不明であり、その真の思惑は謎のままである。
バルコニーから三人で海原を眺めていました。
海を割ってできているひとすじの道。そのはるか向こうから歩いてくる巨人。伸びっぱなしの白い長髪。ボロボロの衣服。そのとき、フラエッテがわたしたちのもとを抜け出してかけだしていき、そして……手のひらの中に抱きしめられました。
ずっと待っていたのでしょう、このときを。
祝福するように花びらが舞っています。その中をゆっくりと歩いて、彼はやっとわたしたちの目の前に辿り着きました。彼とバルコニーに立つわたしたちの視点がぴたりと合います。
「ありがとう。おかげでワタシとフラエッテは三千年ぶりに会うことができた。やっと自分を取り戻すことができたような気がする……」
「わたしたちも同じです」と言うと彼はおどろいたような顔をして、わたしたち三人を順番に見つめていきました。
「なるほど。いい目をしている」彼はわたしたち三人を見つめて確信するように言った。
「きけ。こころゆたかな青年たちよ。歩みを止めなければ望みは叶う。ワタシとフラエッテのように。……生き先に幸あらんことを」
彼の言葉と定時を告げるラジオの時報が重なって聞こえていました。
いま、わたしははっきりと、こう言い伝えることができます。
[ これは、うそのようなほんとうのお話。
ジョウト地方の、ちいさな家の、ちいさな部屋の、三人の“自分”たち。
それぞれが、ただそこに息づいただけの一輪のつぼみと向き合った。
たったそれだけの記録。
ですが、たしかに歩み出した大きな一歩の物語です。 ]
* * *
仮面の男。世間は彼をそう呼ぶ。
われわれは彼を[[rb: マスク・オブ・アイス > あのおかた]]と呼んだ。
救いがある。
われわれは歓喜した。
留置所の地下室と違い、この部屋には電波が入る。
ポケギアから、ごご九時〇分を伝える時報が鳴った。
ラジオ放送が、はじまった。
「——コガネ放送局より定時のニュースをお届けします。まずは行方不明となっている仮面の男について、ポケモン協会と警察による捜索が現在も続いています。しかしながら、仮面の男ことチョウジタウンジムリーダー、ヤナギの行方は依然としてわかっていません。ウバメの森での目撃証言が入っていますが、詳細な情報はまだありません。ウバメの森はまたの名を天然の迷路といわれ、昼でも夜のように暗いことで知られています。そんな場所での捜索ですから、やはり至難の業なのでしょうか。
あっ! いま新たな情報が入りました。きのう森の最奥にあるほこら近くから発見されていた謎の金属片ですが、ヤナギの乗っていた電動車椅子の一部とみて矛盾しないとのことです。専門家によると、既に回収された車体本体はかなり損傷が激しく、生存の線は絶望的である…としています。
この時間のニュースは以上です。この件については、詳細な情報が入り次第速報にてお伝えします——」
部屋は、ふたたび静まりかえった。
ラジオが聞こえること。それは、暗く寒い夜に窓から差しこむ、ひとすじの月光のようだった。あのおかたの行方を知る唯一の手段であり、最後の希望であった。
光が、たったいま、絶たれた。