友也はIS学園に向かうモノレール内で、参考書を読み直していた。こうしないと周りからの視線が気になって、仕方ないのだ。
友也「えっと…この回路を組み込むと速度が通常の2倍~3倍に上がるか…しかし、他の関節部への負担が大きいなぁ」
そんな感じで読み直していると、モノレールは目的地のIS学園前にたどり着いた。
『間もなくIS学園前、IS学園前、終点です。お降りの際は忘れ物に気をつけてください』
友也「おっと、ここで降りるんだった」
そう言って、降りる準備をする。モノレールを降りるとそこには、近未来的な建物が海上に建っていた
IS学園内には訓練用アリーナをはじめ、2人1部屋の学生寮や食堂、大浴場などが設けられている。
各国から代表候補生やメカニックマン、更にIS操縦者を目指している人もごまんといる。そんな人達と寝食を共にすると思うと、友也は期待半分不安半分な気持ちだった。
友也「はぁ~」
セブン『どうした友也?気分でも悪いのか?』
友也「いや、これからここで暮らすと思うと、どうも気分が乗らないっていうか…」
セブン『確かに親元を離れて暮らすのだからな。多少なりとも寂しいはなるのだな』
友也「いや、そんなことじゃあないんだけどね」
セブン『?』
どうやら、セブンには友也の意図が伝わっていないようだ。今まで友也は小中と共学で暮らしていた。当然友達と馬鹿話や世間話をしていたが、ここIS学園は違う。
98%女学園状態で過ごすのだ。下手な話しがセクハラ行為やそれに準ずる行為になりかねない。問はいえ、織斑一夏と言うイレギュラーな人間がいるのだ。彼と馬が合えばいいのだが…
友也「まぁうじうじ言っても始まらないんだ。いっちょ頑張りますか!」
セブン『その調子だ友也』
セブンからの激励もあり、IS学園の門をくぐり抜けて向かうと、黒いタイトスーツを着て目は鷹の様に凛々しく、それでいてスタイルが抜群に例のあの人がいた。
千冬「来たか。諸星」
友也「ええ、よろしくお願いしますね。千冬さん」
千冬「すまない、織斑先生で頼む。ここではIS学園の生徒と先生なのでな…」
友也「分かりました。織斑先生」
千冬「うむ。それじゃあ、ついて来てくれ」
そう言って先に歩く千冬の後を友也は付いてく。途中で何名かの生徒達とすれ違ったが、皆々「あれって男だよね?」「1人目?2人目?」と言っていた。
千冬「全く、男性操縦者が出たと知ったらすぐこれだ…」
友也「仕方ないじゃないですか。世界に2人しかいない男性操縦者なのですから」
千冬「すまない。こんな事に巻き込んでしまって…」
友也「大丈夫です。それにISが出来てから、ウチの会社は飛躍的に向上したんです。これも、時代の流れと言う奴ですよ」
千冬「そう言ってもらえれば、少しは気がまぎれるよ。おっとここだ」
そう言って友也達が止まったのは、1-1と書かれたプレートがある教室だった。
千冬「少しここで、待っていろ。合図を出したら入って来るように」
友也「分かりました。」
そう言って千冬は教室に入っていった。
??「居心地が…悪い」
織斑一夏は今27人の女の子からの視線を目一杯浴びており、傍から見たら珍獣扱いである。
ひょんなことからISを起動してしまい、姉である織斑千冬がいるIS学園に入学した。そして、今は自己紹介の時である。
教卓には緑髪のショートカット。大人しい顔立ちに推定Hカップはあるかと思われる爆乳眼鏡っ娘が挨拶をしてた。
??「皆さん初めまして!私はこの1年1組の副担任の、
「……」
真耶「うう…では、出席番号順に自己紹介をお願いします」
どうやらこの人が1-1組の教師らしい。しかし、教師というよりは、同級生或いは先輩という印象を受ける。
しかし、一夏はそれどころじゃない。周りからの視線はどうにかならないのかと、隣にいる幼馴染は視線が外を見ている。姉の話しだと、もう1人の男性操縦者がいるとのことだが今はいない。
そんなことを思っていると織斑一夏の番が回ってきた。
真耶「…くん、お…くん!織斑君!」
一夏「は、はい!!」
突然の事に驚いて一夏は大声をあげてしまった。これに対して真耶は、気を悪くしたと思い謝ってきたのだ。
真耶「ごめんね!「あ」から始まって「お」なんだけど…怒っている?」
一夏「謝らないでください。別に怒ってないですから」
そう言って一夏は自己紹介をするのであった。
一夏「織斑一夏です!」
しかし、名前を言っただけなのに、みんなが見ている。その眼には?「なんかもっと言って!」「もっと聞きたい!」と言っている様に見えた。そこで考えに考えた結果…
一夏「以上です!」
何も言わずに、逃げる事だった。
『ズガーーーーーーン』
そんなことを言った途端女子生徒達はズッコケた。一夏は何か悪い事をしたかと想い、
オロオロしていると後ろから、バッシンと殴られた。
咄嗟の事で驚いた一夏は後ろを振り向くと、そこには
千冬「お前はまともに挨拶もできないのか」
一夏「げ!関羽!」
名前を間違えられた上に、男の名前で呼ばれて千冬の怒りは沸点上昇中である。そして2度目の殴打である。
千冬「誰が三国志の英雄だ!」
一夏「痛いよ、
千冬「織斑先生だ!」
2度もぶたれた一夏は納得いかない表情だったが、千冬は教壇に行った。そこは、教師が立つ場所だ。
なぜ、そこに行くのか?疑問を持っていると他の生徒達は別の疑問を持ち始めた。
一夏「え?千冬姉ってまさか…」
女子生徒A「そう言えば彼の苗字って織斑だったわよね…まさか!」
真耶「お疲れ様です、織斑先生。もう会議は大丈夫ですか?」
千冬「ありがとう山田君。それにもう1人を待たせているからな」
もう1人と言う言葉に反応した一夏。確か、世界で2人目の男性操縦者が出たとニュースがあったなぁと考えていると、千冬は教壇に上がって話し始めた。
千冬「諸君!私が織斑千冬だ!君たち新人を一年で1人前になる操縦者に育てるのが仕事だ!私の言うことはよく聴き、よく理解しろ!出来ない場合は出来るまで教える!だから、私の言うことはちゃんと聞くこと!返事は「はい」か「Yes」のどちらかにしろ!いいな!」
「はい」も「Yes」も同じ意味だろうと思っていた一夏は耳を塞がなかったことを後悔した。
『キャーーーーーーーー』
一夏「うぉ!」
女子生徒達からのハウリング攻撃に、対処出来なかった一夏は頭がくらくらするのを必死に、堪えていた。その間にも女子生徒達は、必死になって愛しの千冬にアピールしているのであった。
女子生徒B「本物の千冬様よ!」
女子生徒C「私ファンです!」
女子生徒D「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!沖縄から!」
女子生徒E「お姉様のためなら死ねます!」
余りの出来事に頭を抱えたままげんなりする千冬。毎年恒例の様で、愛しのブリュンヒルデにこれでもかという位にアピールしている。
千冬「はぁ、全くこのクラスにバカだけ集められたもんだな…」
女子生徒達『あ~お姉様!もっと、もっと罵って!そしてキツく躾けて!』
流石に我慢の限界かと思った千冬は、友也を紹介する為に、廊下で待機していた友也を呼び出した。
千冬「静かにしろ!それと、もう1人紹介する奴がいる。入ってこい」
「…」
千冬「どうした?早く入ってこい!」
しかし、いくら呼んでも入って来る気配はない。業を煮やした千冬はドアを開けた。するとそこには…誰もいなかった。
千冬「え?どこに行った諸星?」
すると次の瞬間。
ドゴーン!!
『きゃぁぁぁぁ!』
一夏「な、何だ!?」
身体が揺れる程の衝撃が、IS学園を襲った。突然の事でパニック状態なっていた。
千冬「どうした!」
真耶「わ、私は大丈夫ですが…!お、織斑先生あれは何ですか!?」
真耶の一言で外を見てみるとそこには…
千冬「な、何だあれは!?」
そこには、頭から足回りまで、まるでロボットの様な物がいた。全長は、人の大きさを優に超え、数十mはありそうな感じだ。
そんな物がIS学園前の海上に突如として出現したのだ。
???「●×▽◇!」
訳の分からない言語で、叫び出したそいつは、運悪くIS学園へ向かって行った。当然教室中はパニックになる。
女子生徒B「きゃ~!怖いよ~!」
女子生徒D「早く逃げなきゃ!」
女子生徒A「逃げるたって何処に逃げればいいのよ~!」
これ以上パニックが広がれば、多くの被害者が出るかもしれない。そんな事を想った矢先に新たな巨大生物が現れた。
その生物は、全身が赤く首周りから肩にかけては銀色のプロテクターがあり、頭部は西洋の甲冑を思わせる形で、眼は六角形。その頭部には薄っすらと緑色に輝く物があった。
一夏「な、何だあれは…」
千冬「あ、あれは…アイツは!」
『デリャ!』
その生物は、ロボットとIS学園の間に対峙する様な格好で、立ち上がった。そして、ロボットに立ち向かって行った。
話氏は少しだけ遡る。友也は教室の外で待っている様に千冬に言われていた。その間にも、株式市場をチェックしていた。これも、両親からの助言で「今後世界を相手取る為には、情報が全てだ」と、散々言われていた。
友也「う~ん。やっぱり北米や中南米の株が著しく伸びているなぁ」
セブン『うん?この気配は…』
何やらセブンが感じ取った次の瞬間。外から爆発音と共にロボットが現れた。
友也「何だあれば!?」
セブン『あれは、ロボット怪獣のキングジョーじゃないか!』
友也「ロボット怪獣って…怪獣なの?」
セブン『ああ、ペダン星人が開発したスーパーロボットだ。まさか、奴がここに現れるとは…』
友也「マジか…」
セブン『急ぎ倒さないと、ここが大変なことになる。行くぞ友也』
友也「分かった!行こうセブン」
そう言って、書き置きを残して、玄関までダッシュしていった。そして、誰もいない事を確認して、【ウルトラアイ】を装着した。
友也「行くぞ!…『デュワ!』」
すると、徐々にウルトラセブンへと変身していき、ロボット怪獣と同等の大きさまで、大きくなった。
一方で教室内では、生徒達が固唾を飲んで見守っていた。そんな中千冬は他の教師陣に号令を出していた。
千冬「はい。はい。…あの巨人と謎の生物には手を出さないでください。お願いします」
一夏「どうすればいいんだ。千冬姉?」
千冬「織斑先生と言え。今、IS学園の教師陣が出撃しようとしたが、私が待ったをかけた。だから、今は黙っておくしかないのだ…」
一夏「わ、わかったよ」
そんな中セブンとキングジョーは対峙していた。互いにじりじりと睨み合っている中先に仕掛けたのはセブンだった。
セブン『デリャ』
セブンはチョップを食らわすが、キングジョーに対してダメージは入っていない。そこで距離をとりエメリウム光線を放つ。
セブン『デリャ!』
キングジョーの身体に向かって行くエメリウム光線。しかし、全くの効果がなかった。それに対して動揺してしまうセブン。
セブン『!』
そんな中キングジョーは勢いよく飛び掛かり、セブンに対して馬乗りになった。そして、ゼロ距離から殴り始めたのだ。
キングジョー「●×▽◇!」
セブン『デリャ、グワァ!』
キングジョーが殴り続ける中友也とセブンはどうすれば勝てるのかを考えていた。
友也(大丈夫かセブン!)
セブン『ああ…だが、これ以上は時間がない』
友也(時間がない?それってどういうこと?)
友也がそんな風に思っていると、セブンの頭にある緑色のビームランプが点滅し始めた。どうやらセブンが言っていた「時間がない」とはこのことらしい。
ピコン、ピコン、ピコン
友也(この音は?)
セブン『我々は5分間しか戦えないんだ。ビームランプが点滅し消えたら、我々は戦えなくなってしまう』
友也(そんな!それじゃあ早めに倒さないと…)
セブン『しかし、何処に弱点があるのかわからないんだ』
その間にもビームランプが点滅し、残り時間がなくなってきた。そんな中友也はある事に気が付いた。
それは、このキングジョーがロボットであることだ。人型ロボットなら関節部の脆い部分もあるのだ。そこをなんとかして攻撃すれば、勝機があるかもしれない。
友也は必死に弱点になりそうな場所をさがした。すると、腕の関節部が目に入った。たまらず友也はセブンにそこを攻撃するように言った。
友也(なぁセブン。キングジョーの腕の関節部に攻撃とかできないか?)
セブン『出来るが、どうすればいいんだ?』
友也(そこを攻撃すれば、奴の動きを止める事ができるかもしれない!)
セブン『そうか!よしやってみよう!』
そして、キングジョーの一瞬の隙をついて何とか抜け出す事に、成功したセブンはアイスラッガーを腕の関節部目掛けて放った。
セブン『デリャ!』
キングジョー「●×▽◇!」
見事に関節部にアイスラッガーが突き刺さり、関節部から煙が出てきた。すると、キングジョーの動きが鈍くなって来たのだ。
これ幸いにとセブンはすぐさま、アイスラッガーを突き立てた所めがけて、最大限のスペシウム光線を放った。
セブン『スペシウム光線!』
すると、そこからショートしたキングジョーは大爆発を起こし、木端微塵に吹き飛んだのだ。
ドガァーーーン!!
キングジョーが爆発したのを見た一夏は、まるで自分が倒したかのように喜んでいた。一方の千冬は、何処か緊張したおもむちで見ていた。
一夏「いやった~!」
千冬「…」
キングジョーの破壊を確認した、セブンはIS学園へと帰って行くのであった。
「シュワッチ!」
キングジョーの襲撃事件から数分後。IS学園に戻ってきた友也は急いで、1年1組教室に向かって行った。
友也(急がないと怪しまれちゃう)
セブン『すまない友也。私は先程の戦闘でだいぶ力を消耗してしまった。今一度眠るとする』
友也(わかったよセブン。ゆっくり休んでくれ)
すると、セブンの声は聞こえなくなった。どうやらセブンは休んだらしい。そして、1年1組の教室前に着くと、千冬からはいる様に言われた。
千冬「む?来たな。では、入ってくれ」
友也「はい!」
千冬がそう言うと、教室のドアが開いた。そこに居たのは世界で2人目の男性操縦者だった。
友也は皆からの視線を受けながら、教壇の前に立って自己紹介をし始めた。
千冬「では、自己紹介を頼む」
友也「はい!諸星友也と言います。都内の中学校からこのIS学園に入学して来ました。中学時代は柔道をしてました。両親はISを使って運送業をする『IS Transport』の技術主任で、自分も偶にメンテナンス作業をしているので、機械いじりは得意です」
女子生徒A「え!あの、運送会社『IS Transport』なの?」
女子生徒B「知っているの?」
女子生徒A「うん。私の家よく利用しているんだ。早くて時間に正確だし、荷物の破損もないんだって」
友也「おー!ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますね」
千冬「やめんか。諸星の席は後ろだ」
千冬に注意されて、友也は後ろで空いている席に着いた。そして、他の子の自己紹介が始まるのであった。
真耶「そ、それじゃあ、自己紹介を行いますね。先ずは相川清香さん」
清香「はい!ハンドボール部所属の相川清香です!趣味は身体を動かす事です!宜しくお願い致します!」
そう言って、自己紹介を終わると友也に向かって手を振った。何のことかわからない友也はとりあえず手を振り返すのであった。
そして、全員が自己紹介を終わるとHRが終わった。友也は鞄から教本とタブレット端末を取り出して、次の勉強の準備をする。
そんな中友也の席に近づいて来る影があった。袖丈がやたらと長い制服を着て、垂れ目の女子生徒だ。
??「ねぇ~何か食べ物とか持っている?」
友也「えっ?あ~ちょっと待ってくれ。確かここに…あった!はい。メロン味の飴玉でよければあげるよ」
??「わーい!ありがとう~私は布仏本音って言うよ。よろしくね!ともりん♪」
友也「友也だから、ともりんか…なかなか面白いあだ名をありがとう」
本音「えへへ~それじゃあまたね」
そう言って、本音は離れて見ていた友達の所に帰っていた。もう大丈夫だと思い、友也は引き続き授業の準備をするのであった。
2時間目はISの基礎的な用語説明であった。友也はここに来るまでに勉強・実践していた為ある程度はついていけた。
しかし、全くついていけていない人がいた。教室の中央で頭を抱えているのは、織斑一夏だった。
そんな一夏に優しく問いかけたのは、副担任の真耶だった。だが、真耶の優しさも虚しく、一夏はとんでもない事を言い出した。
真耶「織斑君?どこか分からないところとかありますか?何時でも聞いてくださいね!何せ私は先生ですから!」
一夏「先生…」
真耶「はい!」
一夏「…ほとんど、全部わかりません!」
ズゴゴゴ!
一夏の回答に教室の女子生徒達は、余りの酷さにこけてしまった。あれだけ「必読」と書かれていた本を読んでいなかったのか…
一夏の事をよそに授業はどんどん進んで行く。
真耶「ええ!全部ですか?他にわからない人はいませんか?諸星君は大丈夫ですか?」
友也「ええ、時間がたっぷりとあったので大丈夫ですよ」
一夏から「裏切り者!」と言われる位の目で見られたが、そよ風と流していった。そんな事を話しているうちに織斑先生が一夏の目の前までやって来た。
千冬「織斑、事前に渡していた教科書はどうした?」
一夏「あの厚い本ですか?」
千冬「そうだ、『必読』と書いてあったはずだぞ」
一夏「古い電話帳だと思って捨ててしまいました。」
スパーン!と本日何度目かの出席簿アタックが炸裂した。
千冬「再発行するから、1週間で覚えろ!」
一夏「けど、あの量は「いいな!」…はい、わかりました」
千冬「では、授業を再開する」
そんな感じで、授業が進んでいった。その授業後に一夏が話しかけてきた。友也はタブレット端末で各国の株価指数や、自社株の動きを見ていた。
一夏「全く、あの出席簿に参ったよ」
友也「…」
一夏「そう言えばお互い自己紹介がまだだったな。俺は織斑一夏。気軽に一夏って呼んでくれ」
そう言って、一夏は、手を差し伸べて来たが、友也はタブレット端末から目を離さなかった。一夏がどうしたらいいのか迷っていると、ポニーテールの女の子がツカツカと歩いてきた。
???「おい!一夏が挨拶しているんだ!何か言ったらどうだ!」
一夏「ちょっと待ってくれよ箒。俺は大丈夫だから」
箒「しかし、一夏…」
友也「よし、株価も順調だ。これなら、来年度の予算も確保出来そうだ…あ!ごめん、ごめん。ちょっと仕事をしていて気が付かなかったよ」
一夏「そうだったのか…俺は織斑一夏。一夏って呼んでくれ!」
友也「僕は諸星友也。よろしくね織斑君」
一夏「気軽に一夏って呼んでくれよ。俺たちは友達だろ?」
友也「…気持ちは嬉しいけど、君を友達認定した覚えはないんだけど?」
一夏「そうか?まぁいいじゃねぇか!よろしくな友也!」
友也「…こちらこそよろしく」
そう言って、友也は自分の席に座って再度授業の準備をするのであった。一夏は満足したのか、ルンルン気分で自分の席に戻って行った。
あそこまでずかずかと遠慮なく、自分のテリトリーに入って来る人を見て友也は、思った。絶対に一夏とは馬が合わないと…
3時間目の始まる前に千冬からある提案があった。それは、クラス代表を決めるという事だった。
千冬「そう言えば今度、ウチの『クラス代表』を決める。クラス代表とは、そのままの意味で生徒会の会議や委員会への出席やその他諸々を決定する時に必要な奴だ。決まれば一年は変更なしだからな。自薦、他薦は問わない。誰かいないか?」
千冬からの問いにその時1人の女の子が手を挙げた。
女子生徒D「はい!織斑君を推薦します!」
それを皮切りにほとんどの女の子達が手を挙げて、一夏を推薦し始めた。
女子生徒E「わたしも~!」
女子生徒F「賛成!」
一夏「ええ!俺かよ!」
選ばれた当の本人は、焦っているように見えた。流石にこれで決まりかなと思っていたら、一夏はあまり乗り気ではなく、他にやりそうな人を探していた。そんな中運悪く目が合ってしまった。
何とかとてつもなく嫌な予感がする…
千冬「他にいないか?なら織斑で決定になるぞ?」
一夏「ちょっと待ってよ!俺はやりたくないぞ!」
千冬「諦めろ、自薦、他薦は問わないと言いたはずだ」
一夏「まじかよ!なら俺は友也を指名する!」
友也「…その拒否権とかは「推薦されたんだ。諦めろ」ですよね」
一夏からのキラーパスで嫌な予感が当たってしまった。ただでさえ忙しい身なのに、これ以上目立つ存在になりたくない。だから、クラス代表にならないために、何とか拒否しようと思った。
千冬「なら、諸星と織斑のクラス投票になるがいいか?」
しかし、その結果に待ったをかける人物がいた。
???「お待ちになってください!!」
金髪縦ロングにサファイアブルーを思わせる大きな瞳。堂々とした振る舞い。それに、誰もが羨む抜群のプロポーションの持ち主。確か名前は…
セシリア「納得が行きませんわ!1組の代表はこの入試主席でイギリス代表候補生の
セシリアは女尊男卑の理想に縛られた子のようだ。けど、何とか理由があるようだ。だから、黙って見ていようと思ったが、どうやら一夏が食ってかかっていた。
一夏「イギリスだって日本から見れば極東だろうが、それに世界一メシマズ選手権で何年の覇者だよ」
セシリア「な!あなた私の祖国を侮辱しましたね!」
一夏「そっちもな!」
セシリア「だいたい、貴方がどのような経緯でIS学園に入学したのかは分かりませんが「そこまでにしてくれないか?」はい?」
流石に我慢が出来なかった。これ以上一夏のせいで日本人の男性像が崩れていくのだけは避けたかった。
友也「大きな声を出してしまって失礼した。僕は諸星友也。君が今馬鹿にしかけた織斑君と同じ世界で2番目の男性操縦者だ」
セシリア「あら、貴方は『IS Transport』の…」
友也「覚え頂いて光栄だよ」
セシリア「そんな貴方がなぜ、彼を擁護する様な形を?」
友也「そんなの簡単だよ。君の立場をこれ以上危ぶみたくないと思ったからだ」
セシリア「…どういうことですの?」
友也「薄々気付いているんじゃないか?君はどんな立場なのか?」
セシリア「…っは!」
友也「はぁ~やっと気付いたか」
そう言って、セシリアは周りを見てみた。そこには、不満げな目でセシリアを見ているクラスメイト達がいた。それもそのはず、彼女は日本を「極東の地」と侮辱する発言をしてしまったのだ。
事の重大さに気づいたセシリア。だが、時すでに遅しだった。
セシリア「わ、私は…」
友也「それに、オルコット嬢はイギリスの代表候補生ですよね。先程の言葉はイギリス国民の総意と捉えかねないのですよ」
セシリア「……」
それ以降彼女は黙ってしまった。俯きはしなかったが、先程の行為を反省しているのであろう。
同時に友也は一夏に向き直った。一夏にも間違った知識を覚えられては困るからだ。
友也「織斑君、君は好きな食べ物とかあるか?」
一夏「え?何だよ急に…」
友也「いいから、答えろ」
一夏「えっと…ローストビーフとか?」
友也「ローストビーフはイギリスの伝統的な料理だ」
一夏「ウソだ!」
友也「噓じゃない。発祥はイングランドだが、イギリスに根強く残っている。更に肉料理だとミートパイ、カレー、スコッチエッグ。魚料理はフィッシュ・アンド・チップス、スターゲイジー・パイ。デザートだと、アップルパイやジンジャーナッツ、クリスマスプディングといった料理もある」
一夏「い、色々知っているんだなぁ」
友也「これでも、代表候補生がいる国の事情はだいたい把握している」
そんなことを言われて、黙ったままの一夏。また面倒な事が起こってしまったと思う千冬と友也であった。
そんなことを察したのか、千冬ははぁ~とため息をついて、事態の収拾にすることにした。
千冬「織斑、オルコット。諸星の言う通りだ。お前たちの発言はイギリスと日本両国の国際問題に発展しかねない事だったんだぞ」
一夏「でも…「でもじゃない」…はい」
何だか後味が悪いと思った友也。仕方なく潜在意識にあるセブンに相談するのであった。
友也(セブン、今大丈夫かな?)
セブン『どうした友也。何か問題でもあったか?』
友也(問題と言えば問題かな?)
セブン『先程のやり取りなら大丈夫だ。【ウルトラアイ】を通じて見ていたからな。それにしても地球人とはこんなにも愚かな者だったのか…』
友也(…彼らはまだ若い。これかいっぱい経験して行けばいいさぁ…)
セブン『そうだな。友也も若いんだからこれか経験して行けばいい』
友也(ありがとうセブン)
そう言って、セブンとの会話をやめるのであった。そして、友也は打開策として関係者でクラス代表決定戦をする事を提案するのであった。
友也「織斑先生。こんな事をした自分にも非がありますので、ここは3人でクラス代表を決定すれいいのでは?」
千冬「諸星。何もお前が関わらなくてもいいんだぞ。元々はこいつらが始めた事なんだ。お前が気負う必要はない」
友也「そうは言っても、僕が止めなければあのままヒートアップしていましたので」
千冬「そうか…分かった。それでは勝負は1週間後の月曜日。第三アリーナで行う。織斑と諸星、オルコットは準備をするように」
そして、3人によるクラス代表戦が始まるのであった。