このスキルで魔王を倒せと?無理に決まってるでしょ 作:ハープ
二度目の人生で、全てを変えようとした。文字通り生まれ変わったのだから前の自分は捨て、新しい自分として勇者の息子として期待を背負い生きようとした。なのに……。
神様は。いや、神は俺の味方じゃないらしい。そりゃあそうか。七歳になったら神殿でスキルが神様から授けられると言われ、それを聞いた俺はそこで転生特典的な物を貰えるんじゃないかと期待した。
神殿に行き、神様に祈りを捧げると何処かへ飛ばされた。目の前には巨大なガチャガチャと神様っぽい人が立っていた。
『お?セカンドライフキャンペーン対象内の人ですね。どうぞお引き下さい〜』
セカンドライフキャンペーンって何だ?
『簡単に言うと、二度目の人生の方にはガチャを一回分無料でサービスさせて貰ってるんです。普通の人は適当なスキルをポイっと渡してるんですけど、このガチャには色々なスキルが入ってます。中にはチートと言われるスキルも……。まぁ結局運次第なのでサッと引いちゃってください』
巨大なガチャのレバーを思いっきり回す。頼む!良いスキル出ろっ!
『おっ!これは……』
「まさか良い奴⁉︎」
期待しながら、転がって来るカプセルを待つ。やがて落ちたカプセルは勝手に開いてそこから文字が出て来た。俺のスキルは……。
『"R"《スキル名》
『あちゃーハズレですね。ダブれば"SR"の
そんな、神様からも良くない評価らしい。参ったな、これでどうやって魔王と戦えって言うんだろう。数日前、魔王が復活しそのせいで魔物も増加。人々は危機に侵されている。だから、勇者の息子の俺が何とかしなきゃいけないのに……。
『どうします?もう一回ガチャ引きます?ま、今度は有料ですが』
「いくらかかるんだ?」
『そーですね、寿命十年分で一回。百年で十連ですかね』
「無理だ、そんなの。そもそも十年生きてるかどうかも分からないし」
こんなスキルでも勇者として、戦わなきゃいけない。命を晒す以上十年は長すぎる時間だ。いや、だったら先に使ってしまった方が良いか。
『あー、駄目だ。貴方は後九年で死にます。おっしい……』
残念でしたとばかりに軽い口調でそんな事を言われた。
「九年……」
俺は後九年で死ぬのか。長い方なのか、短い方なのか。それほど驚いてない自分がいた。
『それでは、そろそろ良いですかね。では良いセカンドライフを』
あれから五年が経った。俺のスキルの事はすぐに広まり、負け犬の勇者と周りからは馬鹿にされた。嘲笑、陰口。全てが嫌になり、故郷から抜け出し。人里離れた小さな町を転々として用心棒として生計を立てていた。元々は周りの期待を背負って必死に身体を鍛えていたので、ある程度の魔物を倒す事は苦じゃなかったしこうすれば町人の人達は喜んで褒めてくれる。その時だけが俺の幸せな時間だった。
こんな日々がずっと続けば良いなと思いながら、新しい町へ着いた。そこで俺はある忘れられない体験をする事になる。