何だかんだレミリアに見守られながら、パチュリーやこあや担当のメイド妖精さんたちと一緒に協力して、お昼の休憩時間まで一生懸命仕事を頑張った僕。
深緑と紫髪の妖精さんも誘いに乗ってくれたし、さてスターを連れてサニーたちのところに意気揚々と乗り込もうとしていたら、逆に待ってましたと言わんばかりにスターを連れた状態で、図書館へ乗り込まれた。なお、美鈴以外の格好は全員水着である。
で、そのままの勢いでレミリアから美鈴の付き添いなどを条件に速攻で許可を取り付けると、あれよあれよと僕が誘った妖精さんのお出かけ準備を一緒にやって、合計7人で妖精大庭園の湖まで来ていた。
「ええ! どう? メノには初めて見せる水着姿だけど、可愛いかしら?」
「ちなみに、私とサニーはメノの私服と同じでアリスのオーダーメイド。あっ、でもスターとピースは違うんだっけ」
「そうよ。私のは、ここのメイド妖精の1人が初めてのプレゼントってことで、時間をかけて作ってくれたやつ」
「そうなんだ……うん。サニーも、他の3人も、とっても可愛い水着だと僕は思ってるよ」
スターの着てる水着は、白と青系統の生地に黄色の様々な種類の星模様と満点の星空をイメージしてるからか、満月の刺繍が1つだけされてるやつ。
お風呂ではないので、胸元や大事なところは見えちゃわないようにしっかり隠されてるし、お腹周りまでちゃんと覆われている。
本人としては、お腹に水着が張り付く感覚があまり好きではないみたいだけど、メイド妖精さんのプレゼントな上に出来も柄も凄い好みだったこと、サニーやルナが本心から似合ってると言ってくれたことの方が嬉しかったらしく、嬉々として身に付けてる。
僕も前世はどうだったかなって考えてみたけれど、男の子だったから水着は短パンだけでお腹周りどころか上半身は普通に出てたし、全然参考にはならないや。
「ふふっ、ありがとう! 今年からは、メノも夏の水遊び一緒に楽しめると思うとワクワクするわ!」
「確かにね。私たちが見つけた水遊びの穴場とかも、教えてあげなきゃだわー」
「わぁ……えへへ、楽しみだなぁ。美鈴も翡翠の妖精さんも、たまにでいいから一緒に行こうね」
「はい。メノウちゃんがお休みの日にでも」
「無論です。その程度のお願いを聞き入れずして、何が守護者でしょうか」
それで、サニーの方は私服と同じ白と
スターと同じく、
話の合間に理由を尋ねてみたところ、何十年も昔の夏にスターやルナから元気っ娘筆頭なサニーらしくて似合ってると言われ、嬉しくなったかららしい。ああ、それは確かに納得のいく理由だなぁ。
「あのさ。ルナたちって、霧の湖で水遊びってしたことある?」
「霧の湖? 1回好奇心で泳いでみたことあるけど、猛烈に冷たいわ寒いわで15分くらいで断念した。その後、運悪く私とスターががっつり風邪引いたっけ。今考えれば、何馬鹿なことしたんだろうって思うわ」
「そうそう。あの時風邪引いたの久しぶりだったから、普通に辛かったわー」
「ちなみに、チルノは凄く元気になってた! 流石は最強の氷精ね!」
「ふふっ。確かに、チルノなら元気になってそう」
で、ルナの水着は白やお月様の色合いの生地に、新月から満月までの月の満ち欠けを表現した刺繍、後は白いお花の刺繍も3箇所にある。言わずもがな、これもイメージ通り。
胸元から大事なところまでしっかり隠れてるのは言わずもがな、スターのようにお腹周りも隠されているのを着てるのは、単純に気分の問題だと同じく話の合間に教えてくれた。
何でも、家に似た刺繍入りの水着がもう1着あって、そっちの方はサニーみたくお腹周りも出てるやつとのこと。ある程度可愛くて、川や湖で泳ぐのに適したやつをお願いってアリスに言ったら、何か出来上がった水着らしい。
ピースに関しては、全体的には普段着とほぼ同じ感じの星条旗柄で、ヘカーティアさんのTシャツと同じ『地獄にようこそ』って言葉が英語で書いてある。愛する家族の着ている服と、一部でもお揃いにしたかったのかな。
なお、お腹や腕、脚周りの露出具合はサニーの水着が1番近い。サニーやスター、ルナのように何かしら理由があってこういう感じにしたのかなと思って聞いたら、凄くニコニコしてこう教えてもらった。
昔、水着を作ってもらう時に自分の好みだけでなく、偶々一緒に同行してくれたルナやチルノのアドバイスを参考にしてもらった結果、ようやく形付いたやつだからだと。
実質、2人からのプレゼントになったやつなんだぜと、ピースが嬉しそうにするだけのことはある。
「ちなみに、メノの水着も用意してあるよ。勝手にだけど」
「えっ。わぁ、これが僕の水着……用意されてたんだ」
「そりゃ、1人だけ仲間外れって訳にはいかないだろうからな! あたいがもしサニーたちの立場だったら、間違いなくメノの分は用意してたぜ!」
「デザインとか諸々は、私たち三妖精で頑張って考えたわー。まあ、大半は絶対に可愛くしてあげるわって張り切ってたサニーだけど」
「勿論、嫌だったら遠慮なく言ってね! 2種類用意してあるから!」
なお、僕の着る水着は初めて会った時にルナの服を着せてもらったように、ルナの予備でも着るのかなって思ってたら、まさかの自分の分がいつの間にか用意されてて驚きを禁じ得ない。
そりゃまあ、優しいサニーたちが僕の分だけ用意しないなんてあり得ないとは考えてたけど、こうなるなんて予想外の展開だったもの。
「えへへ……うん。大丈夫、嫌じゃないよ。えっと、向こうで着替えてくるから待ってて」
「ええ、急がなくていいわ! ゆっくりとね!」
「きゃはは! サニー、凄く嬉しそうだな!」
「当然でしょ! メノに着てもらえるのよ!」
ちなみにだけど、渡された僕の水着はサニーと同じでお腹周りががっつり出てるタイプで、腕や肩、脚周りの露出具合はサニー以外の他3人と変わらずって感じ。
色は淡い水色に白色が所々に混じってて、刺繍はデフォルメされた地球がスターのように沢山配置されてる。よく見たら、鳩さんの刺繍が1つだけあって可愛い。
アリスが縫ったり色々としてくれたのか、霖さんがやってくれたの、メイド妖精さんの誰かがやってくれたのかな。
ああでも、霖さんは半妖さんとはいえ大人の男の人。霊夢の巫女服は魔道具の側面もあるから別問題として、妖精とはいえ小さな女の子の普通の水着作りは技術があっても、頼まれたとしても色々な意味でやらないか。
じゃあ、サニーたちのアイデアを形にしてくれたのは、アリスかメイド妖精さんのどっちかだね。
(サニー、羽をぴょこぴょこさせて凄く喜んでたなぁ……うふふ)
後はもし、僕が自ら水着を買いに行ったりしていたなら、刺繍はともかくルナみたいなタイプを選んでいただろう。多少なりとも、恥ずかしいって気持ちはあるから。
だがしかし、あんなにも嬉しそうにしてくれてたサニーの前では、この程度の羞恥心などそよ風で飛ぶ枯れ葉……いや、たんぽぽの綿毛の如く消えていった。
そもそもだ。妖精大庭園を僕のお家、湖は中にある超巨大な室内プールだと置き換えてみよう。
住まわせるのは
「サニー、お待たせ……ぶっ!」
そんなことを考えながら大樹の玄関先で急いで着替え、美鈴と翡翠の妖精さんにおかしいところがないか見てもらってから、水面から顔を出してたサニーにしゃがんで声をかけた瞬間、手を掴まれて水中に引きずり込まれてしまう。
(あー、びっくりしたぁ……ふふっ)
軽くとはいえ、みぞおちとかお腹の部分から水面に打ち付けられてたお陰か、一瞬だけちょっぴり痛かった。しかし、強化形態で気分が高揚しているからか、その痛みはすぐに消える。
言わずもがな、一連の流れに対する怒りや不満はない。微塵もない。悪戯好きな日の光って二つ名に違わず、単純にイタズラをしたくなっただけって分かっているから。
うん。やっぱり、サニーはこうでなくちゃ。
「ぶはぁ! もうっ、いきなりびっくりするでしょ。サニー」
「あはは、ごめんごめん! それはそうと、私の目はやはり間違ってなかったわ。だって、こんなにも似合ってて可愛いんだもの!」
「……えへへぇ。サニーたちが、僕のために色々考えてくれたからだよ。ありがと」
「どういたしまして!」
しかしまあ、よっぽど僕が
妖精大庭園の天気が快晴で、サニーにとっては元気いっぱいになれる環境なのも、その手助けをしているに違いない。
そう思った刹那、魂の奥底から噴水の如く更に沸き上がる幸せという名の熱量が、あっという間に心の箱を埋めて満杯にしていく。ひんやり冷たい綺麗な水の中に居るのに、身体がぽかぽか暖かい感じがしてしまう程の早さで。
「ふふ、自分にもっと自信を持って大丈夫よメノ。チルノたちとか魔理沙に見せたって、きっと同じこと言うわー」
「うんうん、私も保証してあげてもいい。それはそうと、今度は妖精友達全員と魔理沙も誘って水遊びしない?」
「あ、それいいわね! お誕生日会の前だと忙しいから、後にしましょ! ルナ!」
しかし、それでもなおスターやルナに加え、ピースに美鈴、翡翠の妖精さんにメイド妖精さん2人から温かい言葉をかけられるなど、幸せの元手となる精神的材料の供給は止まらない。
結果、箱から溢れ濁流と化した幸せが頭の中を駆け巡り、サニーたちとわいわい水遊びで盛り上がりたいって気持ち以外、他の思考を全てを洗い流さんとしてきてしまう。
けど、全部洗い流してしまえば今が仕事の休憩中なのを忘れるというか無視し、余裕で休憩時間以上にサニーたちとはしゃぎ倒してしまうだろう。もしかしたら、他の妖精さんたちも一緒に水遊びの輪に加えて、2時間3時間と増えてしまう可能性すらある。
で、挙げ句の果てに保護者役の美鈴に迷惑をかけ、レミリアに苦笑いされながらお説教される運命が見えた。
僕だけがそうなるならまだしも、スターや誘ったメイド妖精さん2人を巻き込むのは本意じゃないから、理性をしっかり働かせなきゃね。
「おーい。話をしたいのは分かるけど、今は水遊びの時間だぞ! あたいも耐える限界あるし、何よりメノとスターの休憩時間がなくなる!」
「あ、それもそうね! えいっ、水かけ攻撃よ!」
「わははは、あたしもついげきだー! くらえー!」
「わたしも便乗して攻撃するよー! えいやっ!」
「わぁ、やったな~! 僕もお返しに水……ぶふっ。ひゃ、誰か僕の足の裏くすぐった……スター!?」
「メノって、強化形態になってもくすぐり攻撃には弱いのねー。ルナ、ピース!」
「あいあいさー。という訳で……よっと」
「ルナ? ちょっ、いつもとやってること変わ……っ!!」
だけど、サニーや誘った妖精さんと泳ぎながら水をかけ合ったり、隙を突いてきたスターやルナと、僕が一方的にやられるだけの水上・水中版くすぐりバトルを繰り広げたりしてる。
で、その後はいきなりお願いをしてきたピースと協力して、ルナの羽の根元やお腹をくすぐるイタズラを水中でしたり、かと思えば方針転換して湖の周りをどれだけ早く泳げるかの競争を行ったりと、目まぐるしく考え付く遊びを楽しんだりした。
他にも、挙げようと思えばいくらでも挙げられるくらいにサニーやスター、ルナやピース、誘ったメイド妖精さん2人と水中、もしくは湖岸で殆んど水を使った遊びをし続けたりしてる。
周りの人妖さんたちから見た場合、あなたは疲れ知らずなのかと間違いなく言いたくなるレベルで息抜きをしてないんだから、僕の理性はきっとお休みしちゃってるよね。
(美鈴……後で、お詫びに何かしてあげなきゃ)
ほら、翡翠の妖精さんは僕の方を見て嬉しそうにしてるけど、美鈴は苦笑いしてる。強化形態ではあれど、流石に座ってゆっくりしなくていいのかなって思ってそう。
「ピース、身体の冷えは大丈夫? ごめんね、もっと早く気遣ってあげるべきだったのに」
「サニーが日光を集めて暖めてくれたから、あたいは全然大丈夫だぜ! そもそも、ずっと動き回ってたお陰で大して冷えてなかったけどな!」
「私とかメノみたいに、ピースも沢山楽しんでるものね! 後はそう、メイドの仕事があるスター辺りはそろそろ座って……あっ、メノ。あなたの元気を、スターたちに分けてあげられる?」
「うん、あげられるよ……えいっ!」
「わぉ、完全回復。何なら、いつもの2割増しくらいに元気になった気がするわ!」
でも、この一時があまりにも楽しくて幸せだ。合計で1時間半程度じゃ、全然遊び足りないって気持ちが強過ぎる。身体的にはともかくとして、精神的には倍の3時間どころか更にその倍は普通に行ける気がしてならない。
しかし、現実はそうはいかない。身体に有り余る元気を分けてあげる場合でも、僕自身に加えてスターとメイド妖精さん2人は、濡れた身体を乾かしたり着替えをする時間など諸々を考慮に入れて、ギリギリまで遊ぶとしても後15分が限界ってところかな。
「でも、時間が足りないのよねー。そうでしょ? 美鈴」
「まあ、余裕はありませんね。そろそろ帰る準備を始めた方がいいでしょう」
「そっか……うん。もっと沢山サニーたちと遊びたかったけど、しょうがないよね」
「メノ、まだまだ元気そうねー。強化形態だから当然かしら」
それに、水着を着て楽しく水遊びをするのが数ヵ月~数年単位でできなくなるとかならまだしも、実際は決してそうではない。サニーたちの気分と体調さえ良くて、かつ何の予定も立ててないのであれば、いつでもできるのだ。
うん。非常に名残惜しいけれど、美鈴もああ言ってるからそろそろ戻る準備を始めよう。
「私もよ! だから、今度のお休みに皆でまた来ましょ!」
「そうしたら、チルノとラルバ、大ちゃんとリリーも誘おう。あっ、チルノと大ちゃんはしばらく無理なんだった」
「理由が理由、メノが誘えばいけそうな気がするけど……まあ、無理強いは良くないな!」
「じゃあ、お誕生日会後でもいいわね! ラルバとリリーだけでもいいかなって思ったけど、それは仲間外れみたいで嫌だし!」
「でも、一応相談くらいはしてみてもいいんじゃない? 断られることを前提にねー」
もう既に、次の水遊びの日に向けて楽しそうに相談し始めたサニーたちをチラチラ見ながら、僕もその日が来たら全力で疲れきるまで楽しもうと、強い思いを馳せるのであった。
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