幸せ四妖精   作:松雨

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お花畑ピクニック

 チルノと大ちゃんが色々と手伝ってくれたお陰で、お花畑でのピクニックの準備はそれなりに時間がかかったものの、無事に終わる。なお、時間がかかった要因の大半は、ピクニック用に皆が食べるおやつ作りにある。

 

 そして、今日ピクニックをするつもりで来たお花畑は、複数ある紅魔館のお花畑の中で1番小さいけど、綺麗さに関しては他のメイド妖精さんが太鼓判を押す程のところだ。しかも、そのお花畑を管理しているのはたった1人のメイド妖精さん。

 

「ふふんふ~ん……あっ! バスケット持ってるけど、どうしたのー?」

「メノちゃんやチルノちゃんと一緒に、ここでピクニックするつもりで来たの。大丈夫かな?」

「いいよー! あたしの自慢のお花たちを見て、楽しんでってねー!」

 

 レミリアやフランのそれとは違う、宝石のような明るい赤色の瞳かつ、色の濃淡が両側の目で微妙に違うのが特徴的な妖精さんだ。そして、髪の毛の色も白混じりの赤色と、これも他の妖精さんたちには見られない特徴でもある。

 

 名前に関しては、レミリア曰く()()()()とのこと。でも、近い内にフランが名付けてくれるみたいなので、その時になったら沢山呼んであげよう。

 

 性格は妖精らしく元気いっぱい、それでいて好奇心が旺盛。更に、興味が一定以上ある事柄……お花を育てたり、植物の手入れに関してはピカイチな妖精さんでもある。

 なので、仕事場所は彼女の趣味嗜好を最大限に考慮し、特徴を鑑みたレミリアの采配により、庭ないし中庭であることが殆んどだ。

 

 なお、紅魔館のメイド妖精である以上、僕はこの妖精さんと友達になっている。ちょっぴり強引な一面もあるけれど、それ以上に優しいところがあるから、一緒だと居心地が良い。

 

「あっ、そうそう! 大ちゃん、そのバスケットの中身ってなあに? お菓子?」

「うん、メノちゃんの手作りお菓子だよ。クッキーとかアップルパイ――」

「わぁっ! それ、あたしの好きなやつ! ねえねえ、あたしも1つずつ食べたいなぁ。メノウちゃんの手作りなら尚更!」

「メノちゃん、チルノちゃん。1つずつ、この子にあげてもいい?」

「僕はいいよ。えへへ、そんなに欲しがってくれるだなんて嬉しいな」

「沢山あるからいいぞ! 何なら、一緒にピクニックしない? そうすれば、1つと言わずに2つ3つ食べれるけど」

「うーん……本当にいいの……?」

「「「勿論!!」」」

 

 なんて考えていたら、話の流れでお花畑ピクニックにこの妖精さんも加えることになった。勿論、僕としては大歓迎であるし、チルノや大ちゃんも歓迎しているっぽいから尚更だ。

 

 ピクニック用に借りたシートを地面の上に広げ、履いていた靴を脱いでから皆でその上に座る。そうして、持ってきたバスケットを開けると、作りたてほやほやのお菓子が甘い香りを辺りに漂わせた。言わずもがな、人数分の紅茶とただの水も用意してある。

 

 自分が作ったクッキーにアップルパイだから、僕としては別に感動も何もないけれど、チルノたちは違う。こんな風に、いつも作れば嬉しそうにしてもらえるから、僕も自ずと気合いが入る。

 

 そして、紅魔館の食材を使わせて欲しいとお願いした時、二つ返事で了承してくれた咲夜や食堂担当のメイド妖精さんたちへの、心からの感謝も忘れない。

 

 結構沢山使っちゃったから、その分はメイド妖精としての働きで返さなきゃ。本当なら、人里とかに行って買ってこれたらなお良かったのだけど。

 

 勿論、チルノの肩に止まったり少し上を飛んだりを繰り返している、レミリアの蝙蝠さんについても説明する。

 

 僕たちとの様子が、レミリアや来客の妖怪さんたちに見られていると聞いたこの妖精さんはちょっとびっくりしていたけど、すぐに納得してくれたからありがたい。人里でされてる変な誤解が解けるといいねと、優しく笑ってくれたのは本当に嬉しかった。

 

 僕のためというよりは、レミリアたちの努力が無駄になることがないように、早く変な誤解が解けることを願うばかりである。

 

「んん~! やっぱり美味しい! あたしのお花の香り、メノウちゃんのお菓子、皆とのお話をしながらのピクニック最高!」

「いえーい! あっ、でもちょっと熱いから冷やして……うん、やっぱり美味しいな!」

「2人とも、楽しそうで何よりだね。メノちゃん」

「うん。大ちゃんは、今楽しい?」

「私? ふふっ、分かってるでしょ。ほら、これが証拠」

「わっ……えへへ、よかったぁ」

 

 そうして、ピクニックが始まるや否や妖精さんがクッキーに手を伸ばし、チルノもそんな妖精さんに感化され、アップルパイを手にとって口に入れ、見るからに喜んでくれた。

 

 大ちゃんも大ちゃんで、わざわざ優しく抱き締めてくれてまで今が楽しいと言ってくれたし、僕としては文句なしに幸せで楽しい一時となる。

 

 まあ、例えお花畑ピクニックなどしなくとも、一緒に遊んでくれるだけで僕は幸せで楽しい気分になれるし、極論何もしなくたって一緒に居ればそれだけで幸せになれるけども。

 

(スター、今何してるかな)

 

 そこまで考えた時、ふいにメイド服姿のスターの顔が頭に浮かぶ。今更だけど、スターのことも誘ってあげれば良かったかもと思い始めたのだ。

 

 でもまあ、このお花畑ピクニックだって元を正せば、チルノと大ちゃんが誘ってくれたから始まったもの。この妖精さんのように2人が誘うのならともかく、僕の一存で判断するのは憚られる。

 

 それに、スターだってお仕事が忙しいかもしれないし、休み時間だったとしてもノーゼとかスフェ、モリオンにシャーネットと一緒に居るかもしれない。

 

「メノー! 一緒に休憩しましょ……あっ」

「「「あっ……」」」

「先客が居たのね。ならしょうがないわー」

 

 こんなことを考えていたら、お花畑の入り口の方から僕のことを呼ぶスターの声が聞こえてきた。どうやら、一緒に僕と休憩したかったらしい。

 

 でも、チルノたちと楽しくピクニックをしていた僕を見て、ほんの一瞬だけ残念そうな表情を見せると、すぐにこの場を立ち去ろうとしてしまう。遠慮なんかしなくたって、私も入れてと一声かけてもらえれば二つ返事で了承するのに。

 

 だって、声をかけてきたのは僕の大好きな家族である、スターなんだから。果たして、それ以外に理由など要るのだろうか。

 ああ、でもチルノや大ちゃん、お花畑の妖精さんがどう思うかは分からない。まあ、スターだったら普通に仲間に入れてくれそうだけど、念のためってやつかな。

 

「スター! ううん、気にしないで。まだおやつも残ってるから、一緒にピクニックしよ! 僕的には、私も参加するわーとか言って何も聞かないで、グイグイ来てもらっても嬉しいから!」

「わぉ、随分と食い気味だねー……うん。そんな風に言ってもらえて嬉しいけれど、チルノたちはどうなの?」

「勿論、あたいも大歓迎だぞ! この輪に誰も加わっては駄目なんてルール、ないんだからな!」

「私もいいよ、スターちゃん。それに、こんなにもニコニコで誘うメノちゃん見てたら、尚更一緒の方がいいと思うの」

「確かに! メノウちゃん、スターちゃんを誘う時の声が大きかったもん。羽も光ってるし、多分無意識にパタパタしてるから余計にね!」

 

 そんなことを考えてはいたけど、結局僕は衝動の赴くままに立ち上がってスターの手をぎゅっと握って、何の遠慮もなく自分の気持ちを全部伝えた結果、満場一致でピクニックに誘えることになった。

 

 僕が手をぎゅっと握った時、僕の勢いも相まって面食らったような感じだったスター。でも、すぐに表情には笑みが浮かび、その心内を表すように羽まで可愛らしくはためき始めたから、言葉通りに嬉しかったのだと分かる。

 

(えへへ……)

 

 今でも時々、こうやって自分の心に素直になり過ぎたら、サニーやスターやルナに嫌がられ、避けられてしまうのでないかと発作的に思う時はある。

 

 でも、現に今までに何回もこうやってきているけれど、サニーもスターもルナも、僕に対する態度は全く変わらない。

 毎日よしよししてくれるし、お願いしてもしなくても抱っこしてくれるし、誘った時に予定とかがなければ一緒に楽しく遊んでくれる。

 

 そして、それに対する見返りを僕に求めることはない。いやまあ、周りから見ればそうだろうというのはあるものの、どれもこれも実質僕へのご褒美みたいな感じだから、やっぱり見返りは求められてないと言っても過言ではないかな。

 

 加えてこれは、僕ととっても仲良しな家族同然の魔理沙や霊夢、他の友達に対しても大体が当てはまる。本当に、なんて幸せな妖精なんだろう。

 

「それなら、私も存分に楽しまないとだわ!」

 

 さっきよりも更に、嬉しそうに笑いながら僕にそう言うスターを見つつ、改めてそう強く思ったのだった。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。評価や感想をしてくださっている方々には、心より感謝いたします。
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