サニーたちとお話ししながら、みすちーの屋台自慢の八ツ目鰻の蒲焼きにご飯、お茶という凄い美味しいものを味わえて、僕は大満足だった。
ご馳走してくれたみすちーも、一緒に蒲焼きを食べながら会話をしてたサニーたちも、時々こちらを見ていたチルノたちも全員、笑顔になれるという最高の結果で食事を終えることができて、万々歳である。
その分、少し眠たくなるという感じにはなったけれど、それもすぐに高ぶる気分に打ち消されることであろう。せっかく来てくれたルーミアたち3人組とも、まだ遊んだりお話したかったし。
「おぉ、こりゃ凄い。あれだけ泥だらけだったのに、全員綺麗さっぱりになったなー」
「もしかして、着替えの心配してなかったのってメノのお陰?」
「うん。でも、その分メノちゃんが疲れるんだよね。だから、あんまり無理強いはできないの」
「まあ、今回はあたいがお願いする前にやってくれた訳なんだけどな!」
ただし、僕やサニーたちが食べ終わる頃になると、雪合戦ならぬ泥合戦や弾幕ごっこで遊んでいたチルノたちは、それはもう悲惨なくらいに汚れていた。
僕たちの方に泥や弾幕が飛んでいかないよう、大ちゃんを含めて皆が気遣ってくれてたからか、余計に酷くなったのかもしれない。
何であれ、これから家の中で色々なことをして遊ぶつもりだった以上、このまま入られると流石の僕も困るというか嫌なので、いつも使っている併せ技で皆を綺麗にしたら、ルーミアとリグルが凄く喜んでくれた。
勿論、チルノや大ちゃんもニコってしてくれたので、やった甲斐があったというものである。相応に疲れはしたけれど。
「ふふっ、流石はメノ! それはそうと、身体の調子は大丈夫そう?」
「うん、ごめんね。大丈夫だよ、サニー。でも、はしゃいだ時くらいには疲れたかな」
「まあ、あれだけ汚れてたチルノたちを綺麗にしたんだもの。確かに、そのくらいは疲れるわね!」
サニーには何も言わないでこの併せ技を大規模に使ったので、凄く心配されてしまった。スターやルナも、概ねサニーと似た感じで僕の体調を気遣ってくれている。
幸い、3人から怒られることはなかったものの、次からはちゃんと言ってから使おう。余計な心配をさせてしまうのは、良くないことなのだから。
(えへへ……プレゼント、もらっちゃった)
ちなみにだけど、僕がよっぽどお茶をおかわりしてたのが気になったのか、食べ終わった後すぐみすちーから、特製の茶葉が入った缶をもらった。しかも、これも無料である。
これはもう、近い内にお客さんとしてみすちーの屋台に行って、ちゃんとお金を払って色々と食べなければならない。
後は、今度遊びに来てくれた時に料理を振る舞うだけでなく、他にもやって欲しいこととかがあれば、できる限りのことはしよう。
1人でお出かけすることと人里に一緒に遊びに行くことだけは、僕が頑張るつもりでも、サニーたちやレミリアから絶対に駄目だとか行くなって言われてるから、お願いされても絶対に無理なんだけど。
「そう言えば、サニーたちの家に来るのも久しぶりだよなー」
そして、綺麗になったチルノたちと一緒に家へと上がるや否や、ルーミアが何気ない一言を呟く。リグルやみすちーも、うんうんと頷いている。
言われてみれば、確かに今日まで僕はルーミアやリグル、みすちーの姿を見たこともなければ、その存在すらつい最近まで知らなかった。最低でも半年以上は、サニーたちと友達なのに家に来ていないことになる。
僕が居るから、サニーとスターとルナが気を遣ってくれたんだ。もしかしたら、チルノと大ちゃんも同じくらい気を遣ってくれてたのかも。
「確かに、結構経ってる。新しい家族のメノを迎えたのもあって、3人揃って外出する頻度ががくっと落ちたのが大きいかな」
「今でこそ、こうして落ち着いてくれたメノだけど、来た当初は本当にトラウマで辛そうだったからね!」
「まあ、今も今で別方向に突っ切っちゃってる気がするけど……こっちの方が皆幸せだから、むしろ好ましいわ」
でも、そのことに関してサニーたちは、全く気にしている様子を僕に見せてこない。その優しさと物凄い気遣いに、果たしてどうやって報いればいいのだろうか。
まあ、色々と考えてたってしょうがないし、だったら僕が今できることをやるしかない。ルーミアたちと遊びながら、そのへんもじっくり考えていこう。
(サニー、スター、ルナ……ごめんね。ありがとう)
それにしても、ルーミアを家に招くことができたことで盛り上がっているサニーたち、とても嬉しそう。今まで、かなり仲良しだったんだのがよく分かる一幕だ。
「ふふっ……メノ、私はとっても嬉しいわ! 初対面の妖怪と、こんなにも早く仲良くなれるくらいに、心が治ってきてくれたんだもの!」
「サニーたちのお陰だよ、ありがとう。大好き」
なんて思ってたら、どうもそれだけではないらしい。何を思ったのかパッと振り向いて僕を抱きしめ、こんな風に暖かい言葉をかけてくれたサニーの振る舞いでそう分かった。
というか、こっちの理由の方が割合としては大きいのではないかと、そう思ってしまうくらいには嬉しそうにしてくれてる。何せ、羽がパタパタ無意識に動いてるんだもの。
でも、それを言ったら僕だってそうだろうなぁ。何だったら、羽の光も結構強めの桜色になっているに違いない。
「2人とも。実に微笑ましい光景だけど、皆置いてけぼり食らってるから……後にしよう」
「「あっ」」
とまあ、サニーの暖かな体温で心もぽかぽかしてきた頃に、ルナからこう声をかけられる。体感では、そんなに長くこうしていたつもりはなかったけど、実際はそうではなかったということだろうか。
(うん。せっかく遊びに来てくれたのに、2人だけで楽しんでちゃ駄目だよね)
皆がじっと、僕やサニーの方に視線を向けてきている。ちょっぴり恥ずかしくもあり、時間を長く使ったことに申し訳なさも感じた。
「あはは、ごめんなさい! それで、家の中に入ったはいいものの……何して遊ぶ? トランプとかかるた、オセロに将棋に……この間、香霖のとこで買ってきたチェスのセットもあるけど」
「うーん……ていうか、サニーたちってチェスできるの? いやまあ、私もやったことないんだけどさー」
「ないわ! そもそも、ルールすらほぼ知らないし!」
「私も、やった覚えはないわねー」
「ルールなら付属の本を見たから知ってる。ただ、やったことはない」
「僕もないよ。前世を含めてもね」
「えぇ……サニーちゃん、何のために買ったの……?」
「衝動買いってやつよ!」
ということで、名残惜しくもサニーから離れてから何をして遊ぼうか、皆で相談を始めたのだけど、チェスの話が始まってから結局どんどん脱線していってしまう。
ただまあ、こっちに関しては何だかんだで皆が会話についていけて、楽しめてるから問題はない。何ならもう、家の中でする遊びはこれでいいのではないかとすら思えてきた。
(うーん……この際、皆で手取り足取りチェスのルールを調べながらやっていくのもありかも……?)
ちなみに、サニーが衝動買いしたというチェスのセットは、トランプやオセロのセットが置いてあるところに一緒に置いてある。
使っていないとはいえちゃんと綺麗にはしてあるから、やろうと思えばすぐにでもできる。
勿論、ご丁寧にルールブックみたいなのもついてるから、わざわざまた外出する必要はない。
個人的には、チルノたちの全身を綺麗にしたあの併せ技のせいで疲れてるから、ルールブックの存在は地味にありがたかった。
とはいえ仮に、ここに居る皆がどうしても教えてもらうために、香霖堂なり紅魔館に行きたいというのであれば、一緒に外出するのもやぶさかではない。
確かに疲れてはいるけど、そのくらいの体力だったらまだ全然残っているから。
「もう、いっそのことチェスやらない? 付属の本ってやつがあるんでしょ?」
なお、一向に何をするか決まらないこの状況に業を煮やしたチルノが、ルールブックで調べながらでもいいからチェスをやろうと提案したことにより、僕の思考はここで途切れることとなる。
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