おととい、僕はチルノと大ちゃんの大切なお友達、ルーミアにリグルにみすちーと、お友達になることができた。
3人ともとっても優しくて、僕の前世の話をレミリアから聞いていてなお、そんなのどうでもいいと言わんばかりに接してくれて、凄く幸せな気持ちを抱けたのだ。
それで、僕が楽しそうに3人と話したり遊んだりする様子を見てか、チルノと大ちゃんも嬉しそうにしながら帰っていったっけ。
色々と心配しながら連れてきたって、遊んでる途中で言ってたから、そういう意味でも本当に仲良くなれてよかったと思う。
(頑張らなきゃ。幻想郷で生きていく以上、紫さんとのお話は必要なことなんだから)
ああ、そうだ。昨日の朝にルナから聞いたけど、紫さんと僕の対話は紅魔館で半月後と決まったらしい。もう2日経ってるから、残り13日である。
この目で見たことのない人、それも幻想郷を作った賢者の1人である妖怪さんとのお話、僕だけだったら絶対に無理だった。間違いなく断ってしまっていただろう。
翡翠の妖精さんは勿論のこと、サニーたちやスカーレット姉妹、霊夢に魔理沙、アリスが当日その場に居てくれると言ってくれたからこそ、対話をすると判断したのだ。
何度でも言おう。お願いを聞いてくれた皆には、本当に感謝でしかないと。
「あっ、ゆゆさんに妖夢……えへへ、いらっしゃい! 甘めのクッキーを作ってたんだけど、残り食べる? 30個くらいだけど、足りないかな……? 一応、半分は別のバスケットに分けてあるんだけど、作りたてじゃなきゃ嫌?」
家の庭にある切り株に座って、自分で作ったおやつを食べながらそんなことを考えていると、僕の目と耳がゆゆさんと妖夢の来訪を捉える。
いつも来る度に僕の作るおやつや料理を求め、食べれば幸せそうな表情で褒めてくれるから、今日もそうなのかな。違っても別にいいけど。
「まさか、そんなことはないわ~。ねぇ、妖夢」
「そうですね。それよりも、自分のおやつなのにいいんですか? 私と幽々子様にあげてしまっても」
「大丈夫、だよ。ゆゆさんと妖夢が、僕の作ったおやつで喜んでるところを見てるとね、自分で食べるよりも幸せなの」
「そういうことなら、遠慮せずに頂こうかしら」
「いただきますね、メノウちゃん」
「うん、召し上がれ!」
そう思った僕は、取り敢えずバスケットの中にあった残りのクッキーを全て、訪ねて来てくれた2人にひとまずあげることにした。その後、作りたての料理かおやつを振る舞ってあげよう。
「ん~! 流石はメノウのおやつ、今日も今日とて最高の味ね」
「あっ、ちょっ……勢い余って私の分まで食べないでくださいよ、幽々子様」
「心配しなくても、半分は残してあるわよ。妖夢」
「えへへ、嬉しいなぁ。もっと欲しいなら、サニーに食材の使用許可もらってくるけど、どうする? それとも、他の料理とかがいい?」
あげたクッキーを美味しそうに食べる2人を見た感じ、どんな料理やおやつを出しても良さそうに見える。でも、妖夢はともかくゆゆさんはお腹を鳴らしてたから、食べごたえがあったり沢山あった方が嬉しいかな。
家の食材やお米の残り具合は確か、僕とサニーたちが1日3食におやつの時間を取る生活を、1週間くらいは続けられる量だったはず。
サニーかスター、ルナに許可をもらってからではあるものの、1日分の料理を出してあげたらゆゆさんもきっと満足してくれる。
後は、それだけの量を作る体力と集中力が持つのかという問題なんだけど、紅魔館でメイド妖精として働けてるから問題ない。
(やっぱり和食かな? それとも、洋食の方がいいのかな……?)
沢山のメイド妖精さんが居て、毎日がとっても賑やかで楽しくはあるものの、その分やんちゃする妖精さんも多くなる。シャーネットやモリオンが、その最たる例だ。
ご飯やおやつ作り担当の時だって、一緒に作るメイド妖精さんも居るにせよ、単純に食べる人数が多いから忙しい。そのまま布団に潜れば、普通に寝れてしまいそうなくらいには。
「うーん、どちらも捨てがたいんだけど……今日は、ここに食事をしに来た訳じゃないのよね」
「そうなの? じゃあ、2人は今日何をしに来たの?」
なんて考えていた時、ゆゆさんがこんな風に話を切り出してきたため、思考が一旦中断されてしまう。いつも、何かを食べに来るついでに構ったり遊んでくれたりはするけれど、食べることを主目的にしないで来るなんてことは、初めてだったからだ。
単純に遊びに来ただけなのか、何かしら僕やサニーたちにお願いがあって来たのか、はたまたふらっと立ち寄っただけなのか、色々な可能性があってこれだという確信が持てない。
「お願い……いや、誘いに来たのよ。メノウ、白玉楼に遊びに来ない? 勿論、誘いたいのなら
そうしたら、ゆゆさんからお家に来ないかって誘われた。それも、僕が誘いたければサニーたちも一緒でいいって。
(死後の世界に、死んでない僕たちが入るって……何か凄いなぁ)
確か、死んでしまった罪のない人妖さんや動物たちの魂が、転生するまでのんびり過ごす冥界って場所にお家があるんだっけ。それだけ聞けば、凄く怖いところのように思えてくる。
しかし、実際はそうではないらしい。基本的にそこに存在する者は死んでいるという点を除けば、四季折々の様相を見せる凄く美しい世界だという。
幻想郷と冥界を隔てる、門の役割を果たす結界が壊れたまま放置されているらしく、割と自由に行き来できることから、春のお花見スポットとしてもかなり有名みたいだ。
例えるなら、誰でも入れる妖精大庭園みたいな世界ってことかな。快適さや景色の綺麗さはともかく、流石に広さ自体は冥界の方が上だろうけど。
「僕だけじゃなくて、サニーたちも誘っていいだなんて……えへへ! ありがとね、ゆゆさん! 妖夢!」
何はともあれ、当然ゆゆさんからのお誘いは受けるし、サニーたちだって言わずもがな一緒に行こうと誘うつもりである。嬉しさのままに、僕は一旦家の中に駆け込む。
「メノ? そんなに嬉しそうにして、幽々子と何を話してたの?」
「いつものやつかしら? 料理をご馳走したいなら、多めに作ってもいいわ!」
「まあでも、ずっと見てたけどクッキープレゼントしてたし……いや、幽々子はあの程度の量じゃ満足しないかー」
「えへへ。えっとね……」
当然、こんな様子の僕の見ればリビングでのんびりくつろいでたサニーたちも、何事かと視線を向けてくる訳なので、ゆゆさんに言われたことをそのまま喋り、誘うために全力でアピールし始める。
ゆゆさんや妖夢は僕の友達だから、サニーたちが行かないと言ってもお誘いに乗って、そのままお出かけするつもりではいる。
(一緒がいいなぁ……)
でも、やっぱりサニーたちも一緒の方が僕は嬉しいし、何より幸せになれる。
「へぇ……面白そうね。そのお誘い、乗ったわ!」
「ちょうど退屈してたしねー。冥界なんて、滅多に行くようなところじゃないから尚更」
「うん、私も乗る。コーヒーセット持ってくるから、ちょっと待ってて。ちなみに、先に終わったら幽々子のところで待ってる」
すると、僕の話が終わるや否や、サニーたちはニコッとして、お出かけの準備を始めに各々の自室に駆け込んでいってくれた。皆で一緒に、大切な友達のお家に行くことが決まって、実に幸せな心地だ。
無論、僕もお出かけの準備をするために急いで自室に駆け込む訳だけど、格好はこのままでも大丈夫そうだ。アリスに頼んで作ってもらった僕の私服、凄く丈夫でなおかつ可愛らしいものだし。
精々、サニーにもらったトートバッグを持って、霖さんのところで買ったネックレスと、スターやルナがくれたリボンをつけるくらいでいいかな。
(うーん……髪は癖っ毛だし、そもそもスターやくるくるヘアーができるルナみたいに、髪の毛長くないしなぁ……伸びてはきてるけど)
そう思っていたけど、おしゃれをした時に可愛いって褒めてくれたサニーたちの表情が思い浮かんだからか、やっぱり考えたくなった。髪型とか服装とか、その他色々と。
でも、あまり考え込み過ぎてしまえば、サニーたちだけじゃなくて
僕を誘ってくれたゆゆさんと妖夢も、いっそう待たせることになってしまう。
だから、可愛くなれて、なおかつ皆が喜んでくれるルナとのお揃いコーデで行くことにしよう。最近は、アリスが作ってくれた私服でお出かけしてばかりだったから、何ならこれが1番いいかも。
「あら……メノ、おしゃれしてたんだ。もうすっかり女の子だわー」
「ふふっ、今日はルナとのお揃いコーデで行くのね! こうして見ると、やっぱり可愛らしい姉妹みたい!」
「うんうん。髪も伸びてきてるし、もっと伸ばせば私みたいなくるくるヘアーができそう」
「でも、これ以上伸ばしたら伸ばしたで寝起きが大変そうじゃない? 主にその……メノの超がつく程の癖っ毛が」
「「あー……」」
結果、家を出た僕の姿を視認したサニーたちは、大分待たせてしまったにも関わらず、ニッコニコでルナとのお揃いコーデを褒めに駆け寄ってきてくれた。
いくつかのアクセサリーや小物類に明確な差異があるのに、お揃いコーデと称していいのかが少し疑問だったけれど、まあ細かいことは気にしないでおこう。
肝心の服とか靴とか帽子とかは一緒だし、何よりサニーとスター、ルナがそんなことを気にしていなかったようだから。
「ごめんね、ゆゆさん。妖夢も、沢山待たせちゃって」
「のんびりクッキーを味わう時間ができたもの、構わないわ~。それはそうと、ルナとお揃いの可愛らしい格好をしてきたのね」
「右に同じく。こうして2人揃うと、本当の姉妹みたいに見えますね。似合ってますよ、メノウちゃん」
「えへへ……ありがと」
そして、サニーたち以上に待たせてしまっていたゆゆさんと妖夢も、ルナとのお揃いコーデをした僕を見て、嬉しくて幸せになる言葉をかけてくれたのであった。
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