幸せ四妖精   作:松雨

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元気いっぱい妖精たち

 サニーたちと星見をして、それから家の中で霖さんのところで仕入れたボードゲームで遊んで、ちょっと早めの朝ごはんを僕が作って皆で食べる。

 

 改めて言うまでもなく、とっても楽しくて、とっても幸せな時間だったから、全部終わるころにはあっという間に朝の7時を過ぎていたことに気づく。

 

 とはいえ、外出するには友達も寝てる可能性がある時間帯だから、まだ早い。

 

 なので、今は何をするでもなくサニーたちとリビングで一緒に、のんびりぐうたらしているだけだけど、凄く幸せで楽しい気分だ。

 

 ただし、サニーたちは皆で一緒にのんびりぐうたら過ごすこと自体は幸せに思っていても、それはそれとして外に出て遊びたいと考えているように見える。

 

 僕が外にお散歩に行こうと誘ったら、喜んでくれるかな。

 

「えへっ……サニー、スター、ルナ、メノ! 春ですよー!!」

「「「わっ!?」」」

「んにゃ!?」

 

 しかし、それは唐突なタイミングでのリリーの登場により、僕の口からそんな言葉が出てくることはなくなった。

 

 仕草の1つ1つが大げさで、朝からとびきり元気いっぱいで笑顔、その身から放たれる妖力は春の陽気の如く暖かさで、チルノにも負けず劣らずの強さ。流石は春を告げる妖精と、幻想郷では有名なだけある。

 

 決して長く続く季節ではないけれど、リリーがニコニコで居てくれるのなら、少しくらいは長く続いてくれないかなと、僕はそう強く思う。

 

「リリー、おはよう! 相変わらず、春になると元気いっぱいね!」

「そりゃあ、私の季節がやって来たって感じだもの! ずっと楽しくて仕方ないわー! それと、メノは春の私を見たのは初めてだったねー。びっくりさせてごめんなさい!」

「大丈夫だよ、リリー。気にしないで」

 

 それに、こうして二言目には僕を気遣う言葉を投げ掛けてくれるから、リリーのことが大好きだ。僕と友達になってくれて、本当に感謝しかない。

 

(ふふっ)

 

 大好きな家族や友達が幸せだと僕も幸せだし、逆に大好きな家族や友達が不幸だったり苦しみを味わってたりすれば、僕も同じくらい不幸で悲しいことだし、苦しみだって味わう。

 

 もしも、大好きな家族や友達が皆居なくなったのなら、生きてる意味なんて微塵もないから、その時はきっと僕も居なくなるだろう。だからこそ、ちょっとばかり驚かされた程度、全然大したことなんてない。

 

 むしろ、僕がリリーにとって大切な友達だと言われてる気がして嬉しいと、もっとやってもいいとすら思っているのだから。

 

「そうだ、リリー! 私たち、これから妖精会議をしようって考えてるのだけど、参加してくれる?」

「良いよー! いつ行く?」

「もう少し経ったらよ! まだ時間も早いから、皆寝てるかもしれないし!」

「それなら、ここに来るまでラルバとチルノと大ちゃんに「春ですよー!」って声掛けてきたから、起きてると思うわー。ちなみに、クラピと魔理沙は博麗神社に居たよー」

「えぇ……でもまあ、そういうことなら早速お出かけね! 3人とも、準備は良いかしら?」

「勿論よ。いつでも良いわー」

「えっと、メノが淹れてくれたコーヒー飲みきるまで待って」

「えへへっ、リリーと一緒に遊べる! あっ、僕ならいつでも準備万端だよ、サニー」

 

 なお、サニーは今日妖精会議をするつもりでいたため、当たり前のようにやってきたリリーを誘い、乗ってくれたら凄い嬉しそうに笑った。スターもルナも、嬉しそうに羽がぴょこぴょこ動く。

 

 言わずもがな、僕もリリーが一緒に遊んでくれるのは嬉しくて、幸せなこと。それはもう、嬉しさのあまり衝動に駆られ、その場で飛び上がって喜ぶくらいには。

 

「ふぅ、ごちそうさま。皆お待たせ」

「りょーかい! さてと、早速出発よー!」

「「「おーっ!!」」」

 

 ルナがコーヒーを飲み終わり、皆のお出かけ準備が整ったということで、いつものように掛け声をあげてから家を出る。

 

 最初の目的地は、僕たちの家に程近い洞窟の奥にあるラルバの秘密基地なんだけど、よくよく考えたらサニーたちはともかく、僕は1度も行ったことがない。

 

 というか、チルノと大ちゃんが住んでる霧の湖にも行った覚えがなかった。博麗神社や魔理沙の家、香霖堂や紅魔館には行ったことがあるのに。

 

 これでは、仲間外れにしているのかとか嫌がってたのかと言われたり、思われたりしても致し方ないだろう。

 

 しかし、実際は全くそんなことはない。言い訳をさせてもらえるなら、僕は基本的に受け身なんだけど、それが過ぎたせいで行く機会に恵まれなかったからである。

 

 お出かけだって、サニーたちやチルノ一行にお願いされるか誘われたりしなければ、基本しない。家で平和な日常を過ごしているだけでも、満ち足りるタイプだからだ。

 

「ラルバの秘密基地……そう言えば、僕行ったことなかったなぁ」

「凄く綺麗なところよ! 洞窟の奥深くの広いスペースがあるんだけど、そこにラルバが上手いことログハウスを建てたんだって!」

「初めて行った時、洞窟の中にあんな場所があるなんてビックリしたよー。ねっ、スター」

「だねー。何度でも行きたくなる、神秘的な洞窟って感じ」

「へぇ……ちなみにだけど、ログハウスの中ってどうなの?」

「私たちの家よりは狭いけど、快適なお家。夏に活発になる妖精だから、室内は少し暑め」

「そっか。今日はラルバを誘うだけだけど、明日以降しっかり時間を確保して、遊びたいな」

「りょーかい! ついでにその辺の相談もしちゃいましょ!」

「えへへ、ありがと。サニー」

 

 そもそも、ラルバやチルノや大ちゃん自身が僕と遊びたいと思ったら、直接家に来てそのままボードゲームをしたり、単に談笑しながら過ごしたり、料理やお菓子を振る舞って盛り上がったりするタイプの妖精さんなのだ。

 

 自分たちの家や住みかに僕が行ってなくても、行こうと言わなくても、良い意味で気にしていないと言ってもいい。

 

「わっ、サニーたちかぁ。もしかして、リリーに「春ですよー!」って起こされた感じ?」

「朝7時に大声でそうは言われたけど、元々起きてはいたわ! ところで、ラルバはこんなところで何してるの?」

「気分転換。寝ようと思っても目覚めちゃって寝れないし、のんびりしてたんだよ」

「あはは……まあ、納得はできるわ」

「ごめんねー、ラルバ」

「大丈夫だよ、リリー。だって、春真っ盛りだもんね。思う存分動ける季節だしさ」

 

 道中にある3方向の分かれ道を真っ直ぐではなく右に曲がり、変な巨大キノコの群生地を抜け、切り立った崖にある洞窟に入ってからすぐ、座るのにちょうど良い石に腰かけていたラルバを見つけたのでサニーが声をかける。

 

 特に変わったことするのでもなく、足と羽をパタパタさせて鼻歌を歌いながらのんびりするラルバは、何だか幸せそうに見えた。聞いたことのない歌だったから、思い付きで歌ってたのかもしれない。

 

(すっごく綺麗……入口付近でこれなら、ラルバの秘密基地がある場所はもっと凄いんだろうなぁ)

 

 それにしても、まだ洞窟の入口から大して奥に行っていないのに、神秘の片鱗が見えていて綺麗な場所だ。謎に光る植物や蛍みたいな虫や蝶のお陰で、視界も洞窟の中の割には確保できているから、転ばずに安全に歩ける。

 

 自他共に認めるドジっ娘なルナも、スターが手を繋いでいてくれたから、足を滑らせても転ばずに済んだから良かった。

 

「それで、サニーたちは私に何か用事でもあるの? 遊びに誘いに来たとか?」

「ええ、妖精会議しようと思ってね! どうかしら?」

「妖精会議かぁ。良いよ! どのみち暇だったしついてくわ!」

「やった! えへへ、ありがと。ラルバ」

「そんなに私が居ると嬉しいんだ、メノ。何というかまあ……ふふっ、私もだよ」

 

 ちなみに、ラルバはサニーのお誘いに迷うことなく乗ってくれたので、僕の気分は更に向上していった。ここから更にチルノと大ちゃん、ピースに魔理沙がメンバーに加わると思うと、凄く楽しみでしょうがない。

 

 とはいえ、妖精会議のメンバーを揃えたところで、そこから何をするのかという問題が立ちはだかる。皆が退屈しちゃうから、ただ単に話したりするだけとはいかないだろう。

 

 勿論、何かやることがあるならそっちの方が良いのは僕も一緒だけど、仮に話したりするだけでも僕は楽しいし、幸せに思える。極論、皆の楽しそうで幸せそうな表情を見ているだけでも同じなのだから。

 

「さてと、ラルバ! これから他の皆も誘いに行くんだけど、出かける準備とかはしなくて大丈夫?」

「うん! メノ居るし、人里とか行くって訳じゃないでしょ?」

「そうだねー。霧の湖に行って、博麗神社に行った後はまだ決めてないけど」

「なら大丈夫。このまま行くよー」

 

 こうして、ラルバも今日の妖精会議のメンバーに入れた後は、次にチルノと大ちゃんを誘うため、霧の湖へと向かっていった。

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