幸せ四妖精   作:松雨

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白玉楼でのお庭遊び

 ゆゆさんのお願いで妖夢が振る舞ってくれた、凄く美味しかった手料理。量も僕のお腹の空き具合に合致していたから、完食した後も限界を突破しそうで辛いということはなかった。

 

 そこに、サニーたちやゆゆさんとの食事時の楽しく幸せなやり取りが加われば、もうそれで大満足だと言ってもいい。

 現状絶対にあり得ないけれど、対価として人里に1人でお使いに行ってこいと言われても、即座に納得できるくらいには大きな幸せだ。

 

(よかったのかな……?)

 

 ただ、唯一この食事会で気になっているのが、食事の用意から片付けまでをこなしていた妖夢が、僕たちの輪に入ったのが後半からという点である。

 

 一応、お手伝い幽霊さんにもサポートはしてもらったらしいし、妖夢自身も「気にしなくてもいいですよ、メノウちゃん」と言うくらいだから、大丈夫ではあるのだろう。

 

 それでも、どうしても気になるというのであれば、今日以降するお返しをその分だけ増やせばいい。掃除に洗濯に料理などの家事、お遊びのお誘いを受けるとか、妖夢が望んでいてかつ僕にできることであれば、何でもやる。

 

「あらあら~。メノウ、何を作ってるのかしら?」

「えっとね、砂とか泥遊びの定番のお城だよ。サニーは……あっ。それって、もしかして僕の像?」

「分かってくれたの? あはっ、嬉しいわ! 下手っぴでごめんね!」

「サニー、絵心ある訳じゃないもんねー。いやまあ、砂の像作るのに必要なのって絵心だけじゃないし、それを言ったら私も……ってわぁ。ルナ、つやつや泥団子そんなに作ってどうするの?」

「うーん、考えてなかった。皆と話ながら何か作ってるだけで楽しいし……泥合戦する?」

「いや、遠慮しとくわ。サニーとメノ、そんな気分じゃなさそうだもの」

「あー、うん。それは確かに」

 

 そして、楽しい食事の時間が終わった後に何をするかという話になった時、ゆゆさんが何気なく「あそこの砂場で砂遊びでもしてみる? 泥遊びでも付き合うわよ~」なんて言ってくれたから、今は皆で庭に出て()遊びを始めていた。

 

 どんな意味で作ったのかが分からない、所々大きな石が置かれている不思議な砂場。上空や縁側から庭を見た時に見映えが良かったので、多分そういう目的で作られたスペースなのかな。

 

 こういってはなんだけど、砂とか泥遊びって幼い子供や僕たちみたいな妖精さんがするような、小さな子供らしい遊びのイメージがあったから。

 

 とはいえ、ゆゆさんや妖夢がそういう系統(小さな子供)のお遊びが好きだったとしても、僕は全く気にしない。気にするべき理由が、1つもない。

 

 何だったら、趣味嗜好が合うってことでより一層一緒に楽しく遊べるから、大好きなサニーたちをこんなにも喜ばせてくれるから、僕としては歓迎する理由しかなかった。

 

「えへへっ、ゆゆさんと妖夢のお陰でサニーたちも楽しそう。ありがと、僕たちと砂遊び……泥遊び、かな? 付き合ってくれて」

「どういたしまして~」

「はい、私も楽しんではいますし……それはそうと、私の服はともかく幽々子様の着物だけで構いませんので、遊び終えたら綺麗にしてもらえますか? メノウちゃん」

「うん! 後、妖夢の服だってお願いしてくれれば綺麗にするよ? お友達だもの」

 

 なお、案の定というべきかゆゆさんの身に付けている着物は、妖夢が僕に能力を使って欲しいとお願いしてくる程には、お高いものだったらしい。一応、弾幕ごっこも想定した造りにはなっているみたいだけど。

 

 とはいえ、衣類である以上は普通に着ているだけでも洗濯なりクリーニングをする必要は、少なからず出てくる。放置してしまうと、嫌な匂いとか汚れがこびりついて落とせなくなるのみならず、傷む原因にもなるからだ。

 

 砂ないし泥汚れなんてつこうものなら、綺麗にするのに相当面倒なことになるのは明らかであろう。

 

 でも、ゆゆさんはそんなのお構い無しと言わんばかりに、僕やサニーたちとの砂遊びないし泥遊びを勧めるのみならず、妖夢と一緒に付き合ってくれている。

 

「いいんですか? あの能力、使うと結構疲れてしまうんでしたよね。サニーちゃんたちを含めた、メノウちゃんと親しい方々からそう聞いていますけど」

「勿論だよ、妖夢……あっ。でも、ゆゆさんに併せ技使って想像以上に疲れちゃったら、その、本当にごめんね」

「ふふ。大丈夫、そのくらいは分かっていますよ。自分の身体、サニーちゃんたちとのお約束の方が大切だと」

 

 確かに、僕には身体や服などの汚れを落として綺麗にする、便利な併せ技がある。そうでなくとも、着物の洗濯のプロとも呼べる幽霊さんだって居るらしいし、妖夢だって同じくらいの腕を誇っているのは間違いない。

 

 何だったら、弾幕ごっこも想定した造り故に汚れとか破損にも、ある程度の耐性があるようだった。それならば、僕やサニーたちのお遊びへの付き合いに躊躇しないのも納得はできた。

 

 だけど、それでも普通だったら大なり小なり大切な着物が汚れることに、抵抗感はあるものだ。好き好んで汚れたいなんて人妖さんも居ない訳ではないとは思うけど、居ても少数派だとは思う。

 

(ゆゆさん、お友達になってくれてありがと。僕も、ゆゆさんに喜んでもらえるように頑張るね)

 

 とどのつまり、ゆゆさんがとっても寛容で優しい亡霊さんであり、そんな彼女に僕やサニーたちが少なくとも、良く思われているということなのだ。嬉しい限りである。

 

「よっと……え、ぶべっ!」

「「「ルナっ!?」」」

 

 とまあ、そんなことを考えながら妖夢やスターと共同でお城を作り始めようとした刹那、目の前で立ち上がったそのちょうどぴったりなタイミングで何かがルナに激突、よろめいてそのまま前のめりに転ぶ。

 

 良く見たら、さっきまでルナが居た場所には妖気のような力を纏っている白い幽霊さんが、ふわふわ浮かんでいた。心なしか、イタズラ大成功と喜ぶ子供ないし妖精さんみたいに見えたけど、生きていた頃からそういう性格だったのだろうか。

 

 取り敢えず、パッと見ルナに治癒に時間のかかる怪我とかはなさそうだし、あまり痛そうにはしていないようで何よりだ。

 

(あわわわ……)

 

 で、当然ルナの前にはお月見団子のように積み重ねられた泥団子だけでなく、斜線上にサニーや僕の作った作品があった訳だけど、それも全て潰されてしまった。

 

 加えて、結構勢い良く転んでしまったせいで泥やら砂やらが飛び散り、僕やサニーたち、ゆゆさんと妖夢も派手に汚れてしまう。

 

 しかし、それは全くとは言いにくいものの、大した問題にはならない。砂の城とか泥団子とかは材料が沢山あるし、水も僕が魔法とか能力で出せるだけの余裕はまだある上、サニーたちもルナを気遣う様子が見られたから。

 

 身体や服の汚れに関しては、色々と酷く汚れてしまったルナは気持ち悪そうなので今すぐ、ゆゆさんと妖夢に関しては遊び終わった後でいいとのことだったので、その時に僕の併せ技を使って綺麗さっぱりにする。

 

 僕自身やサニー、スターに関しては遊び終えた後に普通の水魔法で軽く汚れを落としてから、ゆゆさんにお願いしてお風呂を使わせてもらえればいいし。

 

「大丈夫、じゃなさそう……えっと、綺麗になあれ!」

「ありがとう、メノ。皆の作ったやつ、ぐちゃぐちゃにしちゃった……」

「別に、こんなのまた作ればいいわ! そもそも、遊び終わったら壊す予定だったし!」

「だねー。にしても、幽霊にイタズラされるなんて。紅魔館とかならメイド妖精も居るから予想してたけど、ここでやられるとは予想外だわ」

「うん。あの幽霊、間違いなく相当なイタズラ好きに違いない。私たち四妖精で、仕返しをするべき」

「ふふっ、どうしてやろうかしら!」

 

 そして、派手にやられたルナは勿論のこと、サニーやスターは今すぐにでも仕返しをしてやろうと、砂や泥遊びを止めて相談を始めた。

 

 僕自身は別にそこまでではないけれど、サニーたちが乗り気かつ僕も誘う前提で話を進めているから、当然参加してどうしようかを考える。

 

 自分たちもイタズラが大好きで、霊夢とか魔理沙にも結構派手にやっているからか、サニーたちは例の幽霊さんにイタズラそのものを、これからもずっと止めさせようとはしていない。そもそも、大して怒ってもいなかった。

 

(何でだろ……? うーん……)

 

 というか、何でか知らないけどこんな話をしているにも関わらず、イタズラを完遂させた幽霊さんは未だに逃げる様子がない。

 

 ゆゆさんか妖夢が何かしたのかなと思って聞いてみても、首を横に振って否定してきたから、これは幽霊さん自身の意思なのだろう。

 

 とすると、この後僕たちの仕返しも込みで普通に楽しむつもりか、完遂の条件が仕返しを乗り切ることも含まれているかの2択なんだろうなぁ。

 

「そうだ。ルナが泥まみれにされたのなら、こっちも泥まみれにしてあげればいいんじゃない?」

 

 なお、盛り上がる話し合いの中でサニーが発した一言により、イタズラ幽霊さんへの仕返しは泥まみれにしてあげると決まったのだった。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。評価や感想をしてくださっている方々には、心より感謝いたします。
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