僕の妖精友達ほぼ全員に家族同然の魔理沙も加えた、とっても楽しい
何をするのかは全然決めていなかったけれども、その後のルナの一声により、最初は博麗神社の境内とその裏側にある森の一部を会場にした、妖精かくれんぼと決まる。
やる事は普通のかくれんぼとほぼ変わらず、最初の5分間で決められた範囲内に僕たち妖精が隠れ、その後に探す役の魔理沙が制限時間の1時間を使い、範囲内を探し回るというもの。
ただし、僕たちは上空や地中へ隠れたり、能力や魔法などを使ったりして隠れようとはしてはいけない。5分過ぎた後に、隠れ場所を変えてもダメ。
当然のことながら、探し役の魔理沙も能力や魔法を使ったりしたら、公平でなくなるからダメである。
もし、能力や魔法を含めてありの何でもかくれんぼなんて始めようものなら、勝負が混沌としたものになってしまうから、当然の決まりだと言えよう。
「ドキドキするわね、メノ。最後まで見つからないように、2人で一緒に頑張りましょ」
「うん、そうだね。足を引っ張らないように頑張るよ、サニー」
ちなみに、スターやルナを含めた他の皆は散り散りとなって隠れ場所を探しに行ったけど、サニーは僕と一緒に行動してくれていた。人数が増える分、見つかりやすくなるはずなのに。
始める前、範囲が博麗神社と近辺にある森の更に一部なら、かくれんぼの時くらい1人でも頑張れるよとは伝えたけど、初めてやる遊びだからメノ1人だとどうしても心配で仕方ないと言われれば、僕としても断るなんて選択肢はない。
実際、初めての1人お出かけの時の体たらくを考えれば、博麗神社の境内のみであればまだしも、その近辺とはいえ森の中に1人きりは確かに、少し不安ではあった。
だから、そんなに気にする必要はないと分かってはいるものの、やっぱり気にしてしまう。お遊びとはいえ、やるからには勝ちたいと思っていそうな感じだったから。
「メノが不安にならないように、範囲を絞ることを提案すれば良かったわ。ごめんなさい」
「ううん。大丈夫だよ、サニー。博麗神社の境内だけでかくれんぼをするには、あの人数だと狭いしすぐ終わっちゃうもんね。それに、少しずつ僕ができることを増やしていったら、サニーもスターもルナも、チルノたちも皆喜んでくれるだろうから……えへへ。想像したら、心が暖かくなってきたなぁ」
「ふふっ、そうね!」
でも、サニーがこうして気を遣い、かくれんぼの時でも側に寄り添って小さな声でお話をしてくれるのは、凄く嬉しいし幸せなこと。
それに、スターとルナだってかくれんぼを始める前の話し合いで、「私が一緒についてってあげるわー」とか「言い出しっぺは私。だから、ついていくよ」って、僕に対して言ってくれていた。
なお、僕について来てくれるのが最終的にサニーになったのは、誰がついていくかを決めるじゃんけんで、サニーが2人を負かしたからである。
3人がついてきてもよかったというか、僕的にはむしろ嬉しいんだけど、人数が集まれば集まるほど発する音や気配とかがどうしても大きくなってしまい、魔理沙に見つかりやすくなってしまうのだから当然だ。
それだけならまだしも、やっぱりかくれんぼやるのは止めた方がいいかなと、特にルナには思わせたくない。
本来なら、ドキドキワクワクしながら楽しめるはずのかくれんぼが、僕への気遣いのせいで楽しめなくなるなんて可哀想だし、何より心が痛くなるのだから。
「……しーっ。サニー、魔理沙の足音がしたよ」
「足音? 分かったわ」
すると、僕とサニーが隠れている大樹があるエリアに、魔理沙の足音が響いたのを耳で捉えた。
皆を見つけるために、些細な音や気配でも見逃さないように気をつけているのは確実だろうし、ここからはできる限り音を立てず、気配を周りに溶け込ませなければ。
サニーの装いもそれなりだけど、僕の容姿と装いは森の中という環境下ではサニー以上に目立つ。気分によって光の色と強さが変わる背中の羽があるから、尚更だ。
とっても凄い魔理沙のことだから、少しでも油断したらすぐに見つけられてしまいそうなくらい。
「ふぅ……後はメノとサニー、大ちゃんか。果たして、3人も5分以内に見つけられるか……?」
「「……!」」
それで、足音がだんだんと近づいてきて、囁く程度の独り言でも聞こえるようになってきたのだけど、そこからもう僕たち2人と大ちゃんだけが残っているとの事実を知る。
(……そっかぁ、上手く隠れられてるんだね)
今日の大ちゃんのは偶然か必然か、緑豊かな場所に溶け込みやすい装いをしていた。その容姿も相まって、今日のかくれんぼには有利に働いているのだろう。
勿論、サニー曰く本人が能力とか魔法なしでも凄く隠れるのが上手で、かくれんぼに強いらしいというのも、決して無視することは不可能。むしろ、理由としてはこっちの方が大きいのかもしれない。
「ん? 何か動いたような……確認してみるか」
そんなことを考えていた時、魔理沙が僕たちの隠れている大樹の方に近寄ってくる足音が聞こえる。発言からして、サニーの肩に乗ってきた可愛い鳩さんの羽ばたきが、一瞬だけ視認できたのだろう。
鳩さんだとはっきり分かれば来なかったかもしれないけど、何かが動いたとしか確認できないほどに短かったなら、僕やサニーは勿論のこと、大ちゃんが居る可能性を魔理沙はきっと考える。制限時間がもう残り少ないのであれば、尚更確認しない手はないはず。
これはもう、見つかってしまったも同然だ。でも、かくれんぼなのだから、声をかけられるまで妙に懐いてきた鳩さんと戯れていよう。
「よう! サニーにメノ、やっと見つけたぜ!」
「あーあ、見つかっちゃった。どうせなら、最後まで隠れていたかったわね!」
「ふふっ……結構頑張ったけど、魔理沙の方が一枚上手だったみたい。でも、今度やる時は僕もサニーも最後まで隠れるよ。あっ、次ついてきてくれるのは、スターかルナのどっちか2人かもだけど」
「おう! じゃあ、私は大ちゃん探しに行くから、また後でな!」
で、案の定大樹の裏に隠れていた僕とサニーは見つかる訳だけども、あれこれ会話を交わす時間がなかった魔理沙は、すぐにこの場を立ち去っていく。
時計を見たら後4分、恐らく森のどこかに隠れている大ちゃんを探し当てるのは、能力や魔法が使えないかくれんぼだと、きっと魔理沙にとっても至難の業。
僕が見つける側だったら多分、この視力と聴力が大きな武器にはなるとは思うけど、その辺の対策は間違いなくされるだろうから、やっぱり相当な難易度になりそうだ。
でも、皆に誇れて褒めてもらえるくらいの優れた能力が、僕よりも相当優れている何かが大ちゃんにあることそのものは、僕にとっても嬉しいことだと断言できる。
そうすれば、その嬉しさに比例する表情や仕草を、僕や皆に見せてくれるだろうから。
「あら、2人も見つかったの? 後もう少しだったのに、惜しかったねー」
「その割には、サニーはともかくメノが全然悔しそうじゃないけど……まあ、メノだしね。どう? かくれんぼ、楽しかった?」
「えへへ……うんっ!」
そうして、魔理沙が去った後僕とサニーはすぐに空を飛んで、博麗神社の縁側で楽しそうにかくれんぼが終わるまで待っている、スターやルナの側に降り立って、お話に参加しながら同じく待つ。
トランプやボードゲーム、鬼ごっこみたいなワイワイ騒ぐお遊びとは違い、かくれんぼは見つかるか見つからないかのワクワクドキドキ感を味わいながら、静かに遊ぶもの。
更に、長く遊びたいのであれば広い場所でやる必要があるけど、あまり広すぎるのも考えものだろう。
だけど、今日くらいの時間と隠れ場所の広さと制限ルールであれば、十分楽しかったと言える。そもそも、皆と一緒なら基本的に何をしてても楽しいし、笑みが溢れるくらいには幸せだけども。
「チルノちゃん! 私、1時間隠れきれたよ!」
「おぉ……流石は大ちゃん! あたいは信じてたぞ!」
ちなみにあの後、魔理沙は大ちゃんを制限時間内に見つけることはできなかったらしい。1時間が過ぎたその刹那、大ちゃんが瞬間移動でチルノの目の前に現れたことが、確たる証拠であった。