幸せ四妖精   作:松雨

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仲良し軍団のお遊び会

 わざわざ改まって言うことでもないけど、大ちゃんの勝利で終わったかくれんぼは、僕にとっては凄く楽しかった。1日中、同じ遊びをしても飽きることはないと思えるくらい。

 

 でも、僕が良くてもサニーたちや魔理沙、大切な友達である皆は良くないかもしれない。でも、僕がやりたいと言えば優しい皆のことだから、笑顔で聞き入れてくれるだろう。

 

 なので、かくれんぼの後にまたやりたいとは決して言わないで、他に何をして遊ぶのかを一緒に考えることにしていたのだ。

 

「ノーゼさま。チルノちゃんたちも、サニーちゃんたちも、魔理沙も相変わらず元気だね!」

「そうだねー。かくいうモリオンも、元気が有り余ってるって顔してる」

「うんっ! だって、皆と一緒だと楽しいもん!」

「それはそう。紅魔館の皆と一緒に居るのとはまた違う、別の種類楽しさってやつ。あたしだって、こう見えて凄く楽しんでるしさ」

 

 ただし、皆いつまで経ってもかくれんぼ以外の、気分的にしっくりくる外遊びが中々見つけられなかったようで、話し合いの末に最終的に、博麗神社の境内で全員がゆっくり過ごす感じとなった。

 

 その時に、僕が何か皆がしっくりくるような遊びを推測して決めて、それから提案すれば良いのではとも思ったけど、正直皆となら何をしても楽しくて幸せな心地になる。

 

 というか、仮に提案をしてみたとしても、超高確率で優しい皆が僕の意思を汲んで合わせてくれるから、尚更口に出したりはできない。

 

「メノウはどう? まあ、言うまでもないだろうけど」

「ふふっ……それは愚問だよ、ノーゼ。この場に居て、皆の元気な様子と笑顔が見れるだけでも幸せなのに、友達として一緒に遊んで話してくれるんだから」

「そりゃあ、一緒に遊んでて楽しい妖精なんだから、友達になって遊ぶのは当然だよー。ねっ、ラルバ」

「うんうん。ちょっとびっくりすることもあるけれど、それも含めてこれからもずっと友達で居ようね! メノ!」

「えへへぇ……むしろ、僕からお願いするくらいだよ。ラルバ」

 

 ちなみに、今の僕はノーゼにモリオンにリリーにラルバの4人に、博麗神社の主である霊夢やあうんの2人を加えた合計7人で神社の縁側に座り、境内ではしゃぐサニーたちやチルノ一行、彼女たちに付き合う魔理沙を見ながらお話をしている。

 

 勿論、お話の内容はいつもとあまり変わらない内容で、代わり映えのしない一時ではある。だけどこれは、どんな宝石や高価な宝物よりも、比べることすらおこがましいくらいに、僕にとっては価値のある宝物。

 

 こんな一時を過ごすことができるのであれば、僕は何だってしてみせる気概はある。

 

 1人で人里へのお出かけやお留守番みたいに、本当ならやりたくないようなことでもやるつもりだ。

 

 でも、直接間接を問わず、サニーたちや魔理沙やチルノ一行は言わずもがな、僕と友達になってくれてる優しい皆を傷つけかねないような行動は、決してしない。

 

「ねえ見て! ほら、四つ葉のクローバーを4つも見つけたわ!」

「わぁ……ふふっ、凄いね。サニー、とっても運がついてるみたい」

「えっへん! だから、メノにも幸運のお裾分けしてあげる!」

「良いの? 僕、苦労も何もしてないのに」

「当たり前でしょ! 私とスターとルナとメノ、光の四妖精の一員(家族)なんだから!」

「……ありがとう、サニー。スターもルナも、探してくれたんだよね」

「勿論よ。クローバー探し、私も存分に楽しめたけど……ルナが相変わらずドジっ娘属性発揮して、えらい目にあったわー」

「蔦に引っ掛かって転んで跳ねた泥で泥だらけ、スターの足に躓いて天然の落とし穴に仲良く3人でダイブ、よそ見してたら大木にぶつかって……まあでも、楽しかったからよし」

 

 大好きな家族であるサニーやスター、ルナの悲しみが込められた僕への言葉と拒絶の仕草。

 

 大切なチルノや大ちゃん、ピースにラルバの悲しみと怒り混じりの振る舞い。

 

 同じく大切な友達の霊夢やあうんから、あんたなんか知らないと冷たくあしらわれる光景。

 

 家族も同然な魔理沙から、僕を強く拒絶するために贈られる数々の言葉。

 

 1秒たりとも想像することすらしたくない、僕の存在意義すら容易に揺らぎ、消滅する地獄も生ぬるい事態に陥る可能性を生んでしまうのだから当然だろう。

 

 何より、そんなことをすれば僕にだけ当たりの強かった、前世の酷かった人たちと同じ穴の狢となってしまうのだから。

 

「サニーたちの見つけてくれた四つ葉のクローバー……えへへ、もう幸運がやってきた! 嬉しい!」

「本当、メノは何をやってもらっても喜ぶのね。そりゃ、あの3人も色々とやってあげたくなる訳だわ」

「極論、僕ってサニーたちが元気な姿を見てるだけで嬉しいからね。だって、この世で1番大好きな僕の家族なんだから……でも、霊夢」

「ん?」

「僕ね、霊夢とあうんのことだって、好きだよ。他の(友達)みたいに、優しくしてくれるもの」

「そう。ありがとう」

「ふふっ。私もですよ、メノウちゃん!」

 

 そして、サニーが僕にくれた四つ葉のクローバーは、その瞬間からとても素晴らしい幸運をもたらしてくれた。

 

 僕の心を暖かくしてくれたのは勿論のこと、縁側に腰かける霊夢たちを笑顔にして、この場をより一層楽しい世界へと変えてくれるという、最上級のものを。

 

「にしても、随分派手に遊んできたのね。まさかとは思うけど、そのまま家に上がらないでよ?」

「うん。こういう時のために着替え持ってきたから、霊夢。ちょっとお湯浴びしてくるから、私たちに浴室貸して」

「掃除したばかりなんだけど……まあ良いわ。ただし、汚れた場所はきっちり自分たちで綺麗にすること。約束できる? ルナ」

「分かった。約束する」

 

 こうして何かをもらうたびに、僕が皆に返すべき恩はどんどん増えていくばかり。何をどうやって返そうか、いつ返そうかと考える時間も増えてきたから、ちょっと大変に思う時も増えている。

 

 いや、なんやかんやで似たり寄ったりな恩返しにはなっているけど、僕が皆に何をされても嬉しくて幸せなのと同じ感じで、いつも凄く喜んでもらえてはいた。

 

 案外、恩返しの際に感謝の心さえしっかり込めていれば、あまり深く考えなくても良いのかもしれない。

 

「とぉーっ! 呼ばれてないけど、わたしたちが参上!」

「えっ? スフェと……咲夜? レミリアさまも一緒に……」

「ふふっ。本当は仕事の日だったけど、あまりにも行きたそうにしてるものだから、私に付き合わされたって体で連れてきたのよ」

「なるほど……スフェ、レミリアさまに感謝しなきゃだねー」

「うんっ! ありがとうございます、レミリアさま!」

「ええ、どういたしまして」

 

 泥だらけになったサニーたちがお風呂へ向かうのを尻目に、チルノたちと休憩しにきた魔理沙に髪を梳かしてもらいながらいると、無音でいきなりスフェが境内に現れる。

 

(……ふふっ、良かったね。スフェ)

 

 今日はメイドのお仕事だと聞いていたから誘わなかったけれど、妖精会議のことを知ってからも、スフェはよっぽど遊びたいのを我慢していたらしい。

 

 レミリアに気遣われたようで、博麗神社へ連れてこられた彼女の顔といったら、それはもうご機嫌な時のサニーみたいに輝く笑顔だ。

 

 ちなみに、この流れでシャーネットは来たがらなかったのかと咲夜に聞いたら、あの子はあの子でフランやフランのお友達に付き合い、お茶会やら何やらを楽しんでいたから来なかったとのこと。

 

 ただ、次の妖精会議の時は絶対に休みを取るから、必ず呼んでよと伝えて欲しいと、僕たちへの伝言を頼まれたという。勿論、拒否する理由なんて微塵もないので、そのお願いはすぐに皆に了承されることとなった。

 

「ねえねえ、メノウちゃん! 妖精会議なんだけどさ、レミリアさまと咲夜も一緒に遊びたいって言ったら……嫌じゃない?」

「ううん、全く嫌じゃないよ」

「やったぁ! ありがとうね、メノウちゃん!」

 

 なお、いつにも増してテンション高めのスフェのお願いにより、この妖精会議に付き添いで来たレミリアと咲夜も、飛び入りで参加することが決定する。

 

 2人は妖精でも何でもなく、魔理沙のように例外枠という訳でもなかったけど、僕としては皆が良いなら良いとのスタンスは、基本的に崩すつもりはない。

 

 そもそも、どうしても妖精にこだわりたければ、霊夢やあうんと一緒に遊んだりしない……いや、博麗神社に寄ろうとすら微塵も考えない。もしくは、反対意見が誰かから出たりする。

 

 何だかんだ言って、参加している全員が楽しくて幸せなのであれば、妖精会議が実質仲良しグループのお遊び会に変化しても何ら問題はないと、皆が内心そう思っているのだから。

 

「ふぃぃ、スッキリしたぁ……わっ! レミリアと咲夜に、スフェ? もしかして、3人も参加することになったのー?」

「ええ、よろしくね。サニー」

「サニーちゃん、よろしくねー!」

「りょーかい! それじゃあ、妖精会議改め仲良しお遊び会を楽しむとしましょ!」

 

 お風呂でのお湯浴びを終え、戻ってきたと同時にメンバーが3人増えていたことに驚きつつも、更に輝く笑顔となったサニーたち。

 

 予想していないタイミングで、レミリアと咲夜とスフェが来てくれたことに感謝しながら、僕もより一層この場を楽しもう。

 

(そうなのかな……?)

 

 もしかしたらだけど、これも四つ葉のクローバーがもたらしてくれた、数ある幸運の1つなのかもしれない。




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