更新いたします。
シングレ読んではいるんですが、ベルノの口調とかに違和感あれば教えてください。
夜の帳が下り、街の光の中を人々が歩む時間。中央トレセン学園に向かう道を、2人のウマ娘が歩いていた。
「ふう…そろそろトレセン学園だな。」
「やっと帰ってきたね…」
荷物とお土産の袋を一杯持って、オグリキャップとベルノライトが街灯に照らされる道を歩いている。
2人は直近の連休で出身地である笠松に帰省しており、今日午後の電車で府中に戻ってきたところだ。
「久々にみんなと会ったが…みんな元気で変わらず、本当に良かった。」
「そうだね。笠松のみんなといっぱいおしゃべり出来たし、久々に家族とも過ごせたしね。」
「ああ。ただ…想定よりも帰りが遅くなってしまったな。」
「みんな名残惜しくて、ギリギリまで話してたもんね…。久しぶりの帰省だし、仕方ないんじゃないかな。」
「確かにな。」
そんな事を話しながら2人が学園への帰り道を歩いていると、いきなりオグリのお腹から『ぐう』という音がなる。
オグリは少し驚いた表情をしてから、ポツリと言葉をこぼす。
「む…一応帰りの新幹線で、弁当は食べてたんだが…。」
「もしかして足りなかった?うーん、でも、お店が多い駅前からは離れちゃってるし…。」
2人して立ち止まって、うーんと頭をひねらせる。すると、オグリはあることを思い出した。
「そうだ…。そういえば、ろっぺいが言っていた。学園の裏の空き地に、夜だけやってるラーメン屋があると。1人一杯、替え玉1玉の制限はあるが、その店は美味いと言ってた。」
「へえ、そんな店があったんだ。それじゃあ、そのお店に行ってみる?」
「そうだな。定休日を聞いてないからやってないかもしれないが、一応行ってみよう。」
オグリとベルノはお互いに頷くと、歩くルートを少し変えて学園の裏側に出るように歩き始めた。
────────────────
トレセン学園の裏手にある空き地に近付いたオグリとベルノは、そこに佇む赤い暖簾の屋台を見つけた。
「ろっぺいの言っていた店はあれか?」
「へえ、屋台のお店なんだ〜…。明かりがついてるってことは、今日は営業日みたいだね。」
2人が店の佇まいを見ていると、屋台の裏側から店主が偶然出てきた。
「おおっ!?2人共、お客さんかい?」
「ああ、ろっぺいから話を聞いてきた。」
「ああなるほど、六平さんの…ってすごい荷物だな。ちょっと待ってな。」
そう言うと店主は一度屋台の中に戻り、大きめのブルーシートを持って戻ってきた。
「持ってるお土産は、このビニールシートの上に置いてくれ。椅子やテーブルに置くのは衛生的に避けたいんだが、屋台の周りは土だから荷物が汚れちまうからな。」
「すみません、ありがとうございます!」
2人は地面に敷かれたブルーシートの上に荷物を置くと、屋台の暖簾をくぐって席に着いた。
「…屋台は初めて見たけど、かなり落ち着いた雰囲気だな。この感じは、落ち着く気がする。」
「うん、なんか懐かしいような感じ…初めて来るんだけど。」
「そう思ってもらえたなら、光栄だな。いらっしゃい、六平さんから話を聞いたって言ってたけど、この店のルールみたいなのも聞いてるか?」
「1人一杯替え玉1つは聞いたが、それ以外にもあるのか?」
「いや、それを知ってるなら大丈夫だ。トッピングとサイドメニューはそういう決まりはないから、好きに頼んでくれ。これがメニューだ。」
店主は、オグリにメニュー表を手渡す。オグリとベルノがメニュー表を覗き込むと、そこには色々な種類のトッピングやサイドメニュー、ラーメンが載っていた。
「わぁ〜、色々あるんだね、オグリちゃん!こうやって見ると、目移りしちゃうなぁ。何にしよっか?」
「そうだな…。私は一先ず、味玉とにんじんメンマ炒め、白髪ねぎとメンマのラー油和え、ネギチャーシューをたのもうか。ベルノは?」
「それじゃあ、私も味玉と、あとはにんじんメンマ炒めをいただけますか?」
「あいよ、ちょっと待ってな。」
店主は注文を受けた物の調理を開始する。
しっかりと火を通す必要があるにんじんメンマ炒めから調理を始め、炒め作業と同時に和え物の準備を始める。
炒め物の調理が終わるのとほぼ同じタイミングで和え物2つも調理が終わり、それぞれお皿によそう。最後に冷蔵庫から味玉を2つ出して半分に切り、それを更に盛り付けてからオグリとベルノに皿を差し出した。
「お待ち。辛さの調整はカウンターのラー油を使ってくれ。それ以外に必要なものがあれば、俺に言ってほしい。」
「はい、分かりました。」
「ああ、ありがとう。」
お礼を言いつつ、2人は店主から料理を受け取る。
「それじゃあ、いただきます。」
「いただきます!」
オグリとベルノは、まず味玉が乗った皿を手に取る。店主によって半分に切られた卵は、醤油ベースの液に漬けたことで茶色くなった部分と、元々の白身の色のバランスがちょうど良い感じになっている。
若干半熟気味に調整されているトロトロした黄身も相まって、見ているだけでも美味しそうだった。
二人は箸で味玉を一切れ取り、口に運ぶ。
「…美味しい。良く液が染み込んでいてしっかりとした味付けのところに、トロトロの黄身が濃厚さを醸し出しつつ液の尖った部分をまろやかにしている。」
「ちょうど良い塩味で食べやすいね。何かと一緒でも合うだろうし、これだけでもとても美味しい。」
「うん。これはご飯も進みそうな味玉だな。」
味玉で期待が上がった二人は、続けてにんじんメンマ炒めを口にする。
「…これも美味しいね、オグリちゃん。ちょっとピリ辛だけど、食べやすいくらいの辛さで箸が進んじゃう。」
「豆板醤だろうか。辛くても旨味を感じ取れる程度のレベルで、さらににんじんとメンマの食感の違いが面白い。」
オグリは、更に自分のみ頼んでいた品も口にしてみる。
「…このネギチャーシューのチャーシュー、脂身がないがよくあるチャーシューよりとてもしっとりしていて旨味が強い。時間をかけて、丁寧に仕込んだんだろう。ネギのシャキシャキ感、そしてネギとラー油の2種類の辛味とチャーシューの旨味が合わさって良いな。白髪ねぎとメンマの和え物も美味い。」
どのおつまみも美味しく、オグリはとても満足そうな笑みを浮かべる。
しばらく談笑しながら箸を進めていると、ベルノはいつの間にか21時近くになっていることに気付いた。
「あっ、もうこんな時間…。オグリちゃん、そろそろ寮に戻ったほうがいいかも。一応外出届で帰りが遅くなるのは伝えてるけど、寮長も心配するかもだし…」
「む…そうか。それじゃあ、最後に1杯ラーメンをいただいて帰ろう。店主、ラーメンを2杯頂いてもいいだろうか。」
「あいよ。中華そばで良いかい?」
「ああ。お願いする。」
オグリから注文を受けて、店主はすぐに2杯の中華そばを準備する。
盛り付けのときに麺がのびてしまわないように時間差を作って麺を茹でつつ、スープを器に注ぐ。茹で上がった麺は湯切りしてからパッとスープの入った器に移し、チャーシュー、味玉、海苔をトッピング。出来上がった中華そばを、コトっと二人の前に置いた。
「中華そばお待ち。」
「ああ、ありがとう。」
「わあ、とても美味しそう…!ありがとうございます!」
二人はまずレンゲを手に取り、スープをすくって一口啜る。
「…うん、優しい口当たりで味も香りも良く、それでいてどこか懐かしい感じのする味だ。」
「醤油ベースに魚介系の出汁が合ってて、なんかほんわかする味だね。」
スープの味で期待が高まった二人は、続けて麺をすする。
「わ、麺にスープがよく絡んで美味しい!」
「固さも丁度いい。これは、箸が止まらなくなるな…。店主、替え玉を。」
「あいよ。」
オグリとベルノは舌鼓を打ちつつ、黙々とラーメンを食べ進める。
替え玉も貰い、トッピングも全て食べ終えた所で、二人は会計を済ませて店を出た。
先程時間を見てから15分くらい経っており、気持ち早めのペースで二人は正門に向かって歩き始める。
「それにしても、あのラーメン屋さん美味しかったね、オグリちゃん!六平トレーナーがオススメするだけあるね。」
「ああ。ろっぺいから聞いてなかったら行くことは無かっただろう…これも巡り合わせか。今度はタマとイナリ、クリークや、笠松のみんなも連れていきたいな。」
今度あのお店に行った時は、何のラーメンを食べようか。
オグリはそんな事を考えながら、ベルノと一緒に、両手に荷物を持ちつつ帰宅路を駆けていった。