「じゃーん! 遥ちゃんでーす!」
「彼方さん説明になってないですよ」
同好会の日、近江彼方は自分の妹である
「すごい! あの東雲学院注目度№1の近江遥ちゃんに会えるなんてときめいちゃう!」
期待の新入生として話題になっているいわゆるホープ。それがこの東雲学院一年の近江遥である。
「急なお願いだったのにありがとうございます」
「気にしないでくれ、同好会のメンバーの家族で、ライバル校ならお互い胸を貸す気持ちでよろしく頼みたいからな」
「え? 男の人……」
遥は急な勘助の言葉に驚いた、まさか男でもスクールアイドル同好会に入っているとは。
そう思ったが勘助はそれを見透かしてマネージャーだよと優しく声をかける。
「ええっと、日本語でも大丈夫ですか?」
「え? 私は日本人だが……」
「え? でもその眼って……」
遥が指摘したのは勘助の左眼の青色だった。勘助は笑いながら納得した。
「母親がロシアのクォーターらしくてな、両親は日本語しか話せないんだが、遺伝で眼だけ色が違うんだよ。誰も突っ込まないから忘れてたわ」
「そうだったんですね」
「遥さんだよね、日本語でいいよ。そうしてくれないと困る」
勘助の言葉に遥も納得して了承もした、それに対してせつ菜が
「まぁ、璃奈さんみたいなピンクの髪とか果林さんのような青色の髪を見てたら、眼が左右色違くても違和感ないですからね」
「せやな」
まさしくその通りであった。
☆
遥は彼方の様子を見たいとのことで見学しに来た、かすみはライバル視をしていたが敵とも考えていた。
それと同時に羨ましがっていたが、愛のかすみが部長であることに突っ込んでたらおとなしくなった。
「近江遥です、よろしくお願いします」
遥の自己紹介にそれぞれ自ずから自己紹介を返して、活動を再開した。彼方の暴走が止まらない、妹パワーというべきか、走りでも柔軟でもいろんなところで自己ベストを更新していった。
遥の歓迎も力を入れていたが、そんな頑張りはいつまでも続かず、みんなでクッキーを食べているときに眠ってしまっていた。
「お姉ちゃん、膝枕されながら寝てるんですね……」
そんな彼方を見ている遥は浮かない顔をしていたのを勘助だけが見逃さなかった。
「遥ちゃんにお姉ちゃんの恥ずかしいところを見られてしまった!」
「無理してるからだよ」
遥は彼方のことを心配していた、今回同好会に見学に来たのも、彼方が無理をしていないかを見るためのものだったという。
「今のお姉ちゃんには同好会が大切な場所だって気づいたの」
「だから、私スクールアイドルやめる」
その遥の言葉にメンバー全員が驚きを隠せなかった。どうしてと彼方が遥に聞くが、遥は彼方が倒れると聞く耳を持たず、彼方のやりたいことを全力でやってほしいと言った。
それに対して彼方も大事な妹だからと譲らない。
「お姉ちゃんのわからずや!」
そう言って遥は出て言った、侑が追いかけようとするが勘助は止める。
「なんで止めるの!」
「侑さん、聞け。私に策がある」
こっそりと勘助は侑に耳打ちする。策とは何かと侑が聞いた時勘助は侑にこっそりとこれだけ言った。
「みんなは彼方さんのメンタルを支えてくれ、私は遥さんに望むなら力を与えてくる」
「え? ちょっと勘助君!?」
そして侑ではなく勘助が走っていった。
☆
「よう、遥さん」
「あ……勘助さん。さっきはすみません」
「本気なのか? スクールアイドルやめるの」
「もう決めたんです、お姉ちゃんが背負うものは今度は私が背負う番なんです」
遥の言葉にそうかと、一言言った勘助だがすぐに言葉を繋げた。
「その覚悟があるなら私が遥さんに力を貸そう、ただし、あなたが望むなら」
「えっと……力ですか?」
そして勘助は1枚のメモ用紙にあることを書いて遥に渡した。
「君が彼方さんを支える覚悟があるなら、この時間にここに来い。それじゃあな」
「……ここって」
遥が受け取った紙には時と場所が簡潔に書いていた。