「合宿行きましょう!」
「私は男なんでパスで」
「それでも! 勘助さんは同好会のメンバーですから連れていきます!」
「いや、せつ菜。男1人に女の子10人は流石に……」
「それでも! 今まで私たちのことを考えて行動してくれたのです。勘助さんを信用して連れていきます!」
「いや、しずくさん。万が一私が君たちに欲情したらどうするんだよ?」
「頬にキスしただけで真っ赤になる勘助さんにそんな度胸無い。璃奈ちゃんボード『それでも! 連れていく!』」
「ちょ、璃奈さん!? なんてこと言ってくれたの!?」
しかもハナージ・ユンケルの絵が上手いと突っ込んだところで、そんなの聞いてないとせつ菜、しずくから責められる。
「ひどいです勘助さん! 私のこと大好きって言ってくれたのに!」
「スクールアイドルとしてな」
「ひどいです勘助さん! しずくのことが好きだったんだよ! って言ってくれたのに!」
「それかすみさんな」
「私から勘助さんに告白したんですよ! 私の王子様でしょう!」
「はぁ!? 聞いてませんよ勘助さん!」
「助けて璃奈さん」
「勘助さん、好きだよ」
「……璃奈さん勘弁してくれ」
「勘助君モテモテだね」
「歩夢さん助けて」
「うんごめん無理」
まさかの三つ巴であった。そんな状況を楽しむものとアイドルに恋愛はと文句を言うもので別れたりしたが普通にみんな笑っていた。
☆
かすみが22点でにゃんにゃんしていた時、勘助は普通に100点取っていた。こう見えても彼方と同じ特待生。抜かりはなく、これから夏休みが始まるので合宿に行くことになった。
場所は虹ヶ咲の研修施設である。布団もあり、泊まることは可能だった。
今日は遅い時間なので夕食を作ることになったのだが……
「見せてもらおうか、調理室の新しい包丁の性能とやらを」
「勘助君切るの早いねぇ」
「一人暮らしですから。彼方さんも流石にお上手ですね」
勘助は彼方と料理を作っていた、その途中声を出して急いで勘助は璃奈のほうに向かう。
声をかけられた璃奈は内心喜びながら事の用件を聞くが、
「璃奈さん、せつ菜が料理するの止めて……あ、遅かった」
「……独創的な香り」
「お味見いかがですか?」
味見できる代物ではなかった。なぜか紫色のスープが出来上がっており沸騰の泡が地獄沼のような泡立ち方をしていたからである。勘助曰くせつ菜は料理が壊滅的らしい。念のため味見したが……
「!?」
「!?」
「驚くほどおいしいんですか!」
逆であった。二人して慌てているのはせつ菜も気が付いてなかった。そのあとこっそり彼方と勘助で味を調えて事なきを得る。それを口にした侑曰く
「見た目よりマイルドでおいしい!」
とのこと。死人はいなかった。その後は食後のスイーツを食べてみんなでスクールアイドルの案を考えててゆっくりと過ごす。勘助もみんなが食べきれなかったものを全部食べて片付けた挙句さらに料理を作って食べていた。大食漢である。
「ねぇ、そういえば、私はどこで寝るの?」
「え? この部屋ですけど」
勘助は頭を抱えた。途中璃奈としずく、せつ菜が勘助の横を奪い合ったが、障子の奥で勘助が一人で寝ると伝えると大人しくなった。
☆
走り出した! 思いは強くするよ
悩んだら 君の手を握ろう
「侑さんここにいたのか」
「あ、勘助君どうしたの?」
「歩夢さんたちが探してたぞ。明日も早いのにどこ行ったんだって」
「あはは、それはごめんね」
「ピアノ上手くなったな」
「ありがとう勘助君に言われたら自信になるよ」
「私ピアノ弾けないけどな」
勘助は侑が音楽室でピアノを弾いているのを見た。侑はこれから自分のしたいことを考えているらしい。その話を勘助が聞くと勘助は少し悩んで答える。
「私はな、音楽科に編入だか転入だかをしようと思ってるんだ」
「音楽科?」
勘助はみんなの曲を作りながら、果林との会話、みんなとの会話の中で、みんなに喜ばれるシンガーソングライターになりたいと思ったらしい。
父のように独りよがりではない、視野を広げてみんなのことを考えて、曲を作ってくれてよかったと、歌ってくれてよかったと思われるような、そんなシンガーソングライターを目指して、音楽科に行きたいと思ったそうだ。
「侑さんが何をしたいか。まだ時間があるから後からでも考えられるけど、侑さんがやりたいこと私は応援するぞ」
「……そう言って璃奈ちゃんやしずくちゃん、せつ菜ちゃんを誑し込めたんだ」
人聞きが悪いなと勘助は苦笑するが、現にはっきり璃奈としずくに攻められているので何とも言えなかった。せつ菜は……幼馴染だからだろう。
「……音楽室の使用許可は取ったんですか?」
「お、優木菜々さん」
「混ぜないでください……まぁ、冗談ですけど」
そう言って笑うせつ菜。侑が、ピアノの練習をして何度もやってうまくなりたいとそんな話をしていた。
そしてせつ菜は自分の大好きを受け止めてくれてありがとうと、勘助と侑にお礼を言った。
「私は為すべきと思ったことを為しただけだ」
と勘助が言ったが侑は
「せつ菜ちゃんが敬語じゃなかった!」
そう言って鼻血を出した。ときめきが溢れちゃったらしい。
閑話休題。
「私はせつ菜ちゃん達の歌を聞いたら感動してときめいちゃうの!」
侑の言葉にステージに立ってない人の見方を新鮮に感じながらせつ菜は約束する。いつか侑の大好きが見つかれば応援させてほしいと。勘助もそれに同意した。
☆
「しばらく二人きりにさせてあげよう」
勘助は侑とせつ菜を二人にさせて音楽室を出た。しばらく歩いていると邪悪な雰囲気が垣間見える。悲鳴を小さく上げて恐怖しながらも見てみるとそこにいたのは……
「ユウチャンハワタシノモノナノニ……」
呪文を唱える