「はい、モストマスキュラーのお時間です」
「練習の時間です」
勘助が歩夢に会った昨日、何かあったのかと聞いてみたが、我に返った歩夢が
「何でもないよ! 本当に何でもないったら! ……あのハンカチについてた血、侑ちゃんのだったんだ。ちょっともったいないことしたなぁ」
と言ったので、勘助も気にせず眠ることにした。
途中かすみたちのお化け屋敷とか、せつ菜が寝ながらかすみに枕を直撃させる荒業を見せたが、勘助はその現場を見ていない。
現在その翌日の朝。走り込みをしているが、かすみがつまらないと言って愛が案を出したので、ランニングが鬼ごっこになった。
「鬼ごっこも走るのは一緒だしな」
「カンスケ覚悟!!」
「愛さん残念だな」
愛が勘助を捕まえようと手を伸ばした瞬間、勘助は目の前から消えた。それに驚きながら後ろを見ると前にいた勘助がいつの間にか愛の後ろにいた。
「カンスケが消えた!?」
「これが全ギタリストの最高峰の技、無想転生。だれも俺を捕まえることは……」
勘助の言葉が全部言い終わる前に腰を掴まれる感触を覚えた。嫌な予感がして後ろを振り返ると……
「ふっふっふ、幼馴染同士お互い無想転生を覚えたからには互角なのですよ、勘助さん」
「お、おのれせつ菜ぁ!!」
「……愛さんもしかしてやばい人相手にした?」
愛だけに相手が悪かった。だが、勘助の腰に手を当てて捕まえた鬼役、せつ菜の勝利である。
☆
「……刺激が強い」
勘助は耳を赤くして深呼吸していた。現在いるのは学園プールである。合宿と言えばということでプールに来たのだが、女の子10人。スクールアイドル達の美少女の水着(スクールアイドルじゃない侑も可愛いYO!)となると男である勘助もやはり耐えられない。
「勘助さん、私の水着どうですか!」
「私の水着も見てください!」
「勘助さん、見ないと抱き着く」
「助けてください」
こういう刺激には耐性が無いとせつ菜から聞いていたので、みんなからかい半分本気半分で勘助に感想を求めた。
勘助も覚悟を決めて、事細かに色や材質などの点からこういうところが似合うと包み隠さず言ってみたが、褒めるほうも褒められるほうも顔が赤くなったのは言うまでもない。
「勘助先輩もなんていうか結構筋肉質ですよね」
「ありがとうかすみさん、私のオリバーポーズ見るか?」
「わけわかんないポーズしないでください」
立派なオリバーポーズだった。
ちなみにギターはもちろん持ってきてないが、勘助は違うものを持ってきた。
ギターを背負ってない勘助が珍しいという声もあったが、勘助がウクレレで演奏するといつもの勘助だと呆れられた。
勘助は弦楽器なら大体弾けるらしい。
「はい、1,2,3,4!」
ババンバ バン バン バン
ババンバ バン バン バン
ババンバ バン バン バン
ババンバ バン バン バン
「いい湯だな!」
「いい湯だな!」
「いやここプールだけどね」
勘助の声にしずく、エマ、彼方がプールに浸かりながら体を揺らして歌っていた。それに果林がちゃちゃを入れるが、勘助がエマたちと果林をプールに安全に引きずり込ませて歌わせた。
そして、どこからか花火の音がして見てみると花火大会がやっていた。それを見ながら侑が言う。
「ダイバーフェス以上のときめきを見たい! スクールアイドルのお祭りみたいなライブがしたい!」
「そりゃすげぇな。新しい大好きが生まれそうだ」
「スクールアイドルとファンの垣根を超えるってのもいいですね!」
「大変そうですけどね」
「アイドルじゃない私だからこそやってみたい!」
「よし、侑さん俺も協力するぜ! 俺は俺の心に従う! 侑さんも侑さんの心に従えばいい!」
「ユニコォォォォォォォォォォォォォン!!」
「いやどっから出したんですかそのエレキギター!?」
「知らん、叫んだら勝手に飛んできた」
「怖いよ」
突っ込んだかすみと侑を無視して勘助の叫びと共に侑を鼓舞する演奏が始まった。
そしてここから、スクールアイドルの大掛かりなイベントが始まろうとしていたのだった。
その名も……
スクールアイドルフェスティバル!