虹ヶ咲のシンガーソン軍師   作:初見さん

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第22話 Diver Dive

「うまく行ったようだな」

「うん、勘助君もね」

「私はまだまだ発展途上さ。これからだよ」

 

 音楽科の作曲試験はなんとかやり過ごした二人は一安心していた。ミアの曲を聞いて、少しだけヒントをつかんだ勘助だったが、いまだ完全ではない。

 それでも、勘助と侑は知らないが、ミアがかなり目をつけていたのをほかの生徒が見ていたらしい。

 

 ☆

 

「オンラインにユニット……やってみようか」

「さすが肯定マシーンですね」

「せつ菜誰が肯定マシーンだ」

「だって勘助さんどんなことも肯定するじゃないですか」

「否定よりましだろうが」

 

 せつ菜との会話に笑いが起きる、愛の提案でオンラインライブやユニットを組もうと模索しているところだった。

 

「果林ちゃんはユニット組まないの?」

「私は競い合うほうがいいのよ」

 

 そんな会話が勘助の耳に届いていたが、気にしなかった。

 

 ☆

 

川本美里(かわもとみさと)です。果林ちゃんって呼んでもいいかな?」

 

 愛と果林は愛の姉のような存在である川本美里と一緒に休日を満喫していた。

 

「愛、もうワンゲームよ!」

 

 時にボーリングをしたり、美里が病院で入退院を繰り返していた話をしながら、美里の退院祝いとしてビリヤードやゲーセンなどで遊びつくしていた。遊ぶというより勝負に近かったが、引き分けるほど白熱していたらしい。

 

「もうすっかり人気者なのね」

 

 愛がファン対応をしているときに美里が果林に言う。果林も自分にとっては負けられないライバルだと肯定した。

 その後、水上バスや愛のもんじゃ屋さんに行きながら、オンラインライブの話をする。

 オンラインライブは美里へのものだったと果林は知ったが、愛が人見知りの話も知って同時に驚いたのだった。

 

「今度は愛さんの番!」

「ありがとう愛ちゃん」

 

 ☆

 

「フェスと文化祭の実行委員ってすげぇな総括役じゃねぇか」

「ええ、ありがとうございます。生徒の皆さんのために頑張れるのならやらせていただきます」

 

 その頃、勘助は栞子とコミュニケーションしていた。どうやら栞子の頑張りがさらなる大役に繋がったらしく、偶々調子を聞いてきた勘助に伝えたのだ。

 栞子も勘助に調子を尋ねるが、ミアの弟子には程遠いと衝撃の発言を聞いて少し慌ててしまった。

 

「ミアさんの弟子ですか?」

「まぁ無理なもんはわかってるけど、私自身少しでも近づきたいんだ、世界最高の音楽一家の娘ミア・テイラーに。そして……」

 

 父親もろとも超えたいと勘助ははっきり口に出した。

 栞子はその真っすぐな目を見て少し笑う、そして勘助に提案をした。

 

「勘助さん、せっかくですし占いでもしませんか?」

「占い?」

「ええ、適性占いです」

 

 栞子は人を見るだけでその人の適性を瞬時に判断できる能力があった。今回は勘助が信じられるように占いと称したが。勘助も了承したので早速見ると……

 

「化け物ですか貴方は」

「え? なんで急に罵倒されたの?」

 

 栞子曰く、見た瞬間に適性がわんさか出てきたらしい。普通の人間ならば多くて3つ4つだが勘助は10を超えた。中にはボディビルとか、歯科衛生士とか関連性全くないのもあったが、一番の適性を見たときに栞子は大和撫子の見た目に似合わず大笑いをしてしまった。

 急に笑った栞子に困惑する勘助に栞子は真っすぐ眼を見て伝える。

 

「勘助さんはそのまま自分の目指す場所に行ってください」

「目指す場所? 何が見えたんだ?」

「大吉ですよ」

「適性診断は!?」

 

 栞子は軽く笑って用事があると去っていった。そして勘助に聞こえない声で栞子は言う。

 

「貴方の音楽への想いは本物ですね」

 

 ☆

 

 果林は愛と遊んだ翌日、美里と会っていた。

 果林は美里が無理に笑っていると会話のなかで指摘したが、美里は

 

「愛ちゃんに心配かけさせたくないの」

 

 と言った。

 その後、愛と果林が会った時その話になった。愛は果林の制止を振り切って美里と話をした。

 だが、美里は愛にしてほしいことはない。そう告げた。

 

「私の入院中は友達と話せなかったけど愛ちゃんが励ましてくれた」

「だけど、愛ちゃんがだんだん遠くに行ってる気がして、自分には何もないって思っちゃったの」

 そんな美里の言葉に何も言えなかった。

 

 ☆

 

「アタシにスクールアイドルなんて出来ないよ!」

「じゃあ私が出て、愛のファンさらっちゃうわね」

 

 再び果林と会った時愛は満身創痍であった。そんな愛に挑発的に果林が宣戦布告をしていた。愛はもうスクールアイドルやりたくないと言ったが、果林の挑発でつい本音が出てしまった。

 

「ファンやお姉ちゃんが取られるの嫌! もっとスクールアイドルやりたいよ!」

「それがあなたの答えよ。あなたには太陽のような笑顔があるでしょう」

 

 果林は素直じゃない。それでも、愛のことを思って言葉をかけていることは愛自身にも分かった。だからこそ愛は提案する一緒に組まないかと。

 最初は断った果林だがライバルとして組みたいという愛の言葉で果林の心にも火が付いた。

 その言葉がきっかけで、愛は果林とライバルとしてデュオを組むことになる。

 そのユニットの名前は……Diver Dive

 そのライブは自分がみじめに見えた美里の心を揺るがし、本人を会場まで呼び寄せるほどの笑顔と勇気、頑張る力を与える、そんな歌になったのだった。

 

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