虹ヶ咲のシンガーソン軍師   作:初見さん

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第34話 中途半端な話数なのに最終回?

「いよいよ今日は待ちに待ったライブだ!」

「ファン有志からいろんなメッセージも届いてます!」

 

 ついに始まったスクールアイドル同好会ファーストライブ。有志でみんなが差し入れやメッセージをくれたことに感動しながらもみんなと喜んでいた。

 そろそろ準備の時間だといわれ、早速出発する同好会のメンバー。

 

「トップバッターは私か、ってか誰だよ、俺の応援メッセージに軍師系スクールアイドル書いたやつ!?」

「勘助さんもやりますか? 楽しいですよ、スクールアイドル!」

「シンガーソングライターでいいです。幼馴染みたいに歌えるけど踊れません」

 

 せつ菜の言葉に勘助が冷静に返して笑いが起きる。

 さていよいよ本番。会場も広くオンラインの準備も出来た。

 

「……やはりなれないな、この緊張感」

「あら、だったらオオトリにしてもらう?」

「ご冗談を、最後はせめてスクールアイドルで終わりましょうよ」

「果林さん、あんまり勘助さんを虐めちゃダメ」

「あら、ごめんなさい璃奈ちゃん。ほら、彼女がこう言ってるんだから男の子らしく頑張りなさい」

 

 果林の言葉になにも返せない勘助。璃奈の頭をなでて、行ってくると伝えるが、璃奈に止められる。

 

「まだ円陣組んでない」

 

 璃奈のその言葉を聞き返した勘助だが、歩夢が円陣のやり方を教えてくれた。

 

「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会ファーストライブ、ここからが新しいスタートです」

 

 かすみが、部長として声を張り声掛けをする。そして指を人差し指一本を上に突き立てみんなで声を張る

 

 私たちの虹を咲かせに!! 

 

「よう、また会ったな山本勘助だ。もう言葉はいらねえよな?」

 

 勘助の言葉にみんなが大きく息を吸って構える。手ぶらの勘助も息を吸ってみんなに言う。

 

「今日は一緒に叫んでもらうぞ、3,2,1,」

 

 0の代わりに毎回恒例のあの叫びを会場全員でいい放つ

 

「ユニコォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

 全員でこのセリフを叫ぶのはどうなんだと思いながらも会場のみんなが一字一句しっかり合わせて叫んでくれたから別にいいか。と勘助は全力でワイヤーに繋がれたギターを受け取り、レフティーでかき鳴らすのだった。

 

 ☆

 

 その後も、ランジュやかすみなどが、歌い続ける中一つの問題を勘助が解決しようとしてた。

 

「璃奈ちゃんボード、直りそうにないなこれは。どうする璃奈順番変えてもらうか?」

「……ねぇ、勘助さんお願いがあるんだけどいい?」

 

 そんな璃奈のお願いを聞いて、勘助は眼を開き静かに目を閉じて笑った。

 

「いいじゃないか、やってみろよ。その代わり、ちょっとだけこれ借りるぞ」

 

 璃奈は大きく頷いた。

 

 ☆

 

 璃奈の出番になった時、客席はざわついた。璃奈ちゃんボードをつけずに素顔で歌っている璃奈がいたからだ。

 ボードがない分、表情はわかりずらい。それでも璃奈は一生懸命歌い続けただから、璃奈を応援する人たちが璃奈にエールを送り続ける。

 璃奈に見てほしいとみんなで作ったペンライトでの璃奈ちゃんボード。璃奈は初めてこの日素顔でみんなと心を繋げることが出来た。

 

「カンスケどう?」

「これで直るはずだ」

「はずって……」

「仕方ないだろ、璃奈から機械の直し方なんてそんなに教わっていない……」

 

 勘助は言葉を発する前にモニターの璃奈にくぎ付けになった。そうだ、自分は何をしている。璃奈と約束したんだ。

 

 自分は素顔で出るから、愛さんと一緒にこの璃奈ちゃんボードを治してほしいと。

 

「璃奈があんなに頑張ってるのに俺がやらないわけにはいかねぇんだ!」

「カンスケ! 繋がったよ! もう一度電源入れて!」

「OK命に代えてもぉぉぉ!!」

 

 そして璃奈ちゃんボードは再び笑顔を取り戻したのだった。

 

 ☆

 

「お前ら聞いてないぞ!? ユニット組んでるなんて!」

「言ってませんからね」

 

 勘助の知らないユニットR3BIRTH。栞子、ランジュ、ミアの三人で極秘で組んでいたようだ。

 

「ならばこちらも受けて立つまで! 侑! 行くぞ!」

「本気なんだよね?」

「当たり前だ!」

 

 そして勘助と侑もステージに上がる。

 

「皆さんさっきぶりです。今日は私の最高のパートナーを連れてきました! 今回スクールアイドル同好会のマネージャーで組んだデュオ、TOKIMEKI乙女です。私は今だけ乙女になります。聞いてください」

 

 名前を聞くだけで笑いそうな名前だと侑は心で笑うが、勘助は大まじめだった。

 侑のときめきと勘助の軍師系スクールアイドルという言葉をひねり、ねじり、加工しまくってこんな名前になった。侑の高音と勘助の低音は聞いている人を優雅にさせるハーモニーを演出して、観客の目をかっさらった。

 ちなみに舞台裏ではユニット名に大爆笑してる愛がいたが、結局愛含めて全員勘助の歌声だけでなく、侑の音楽科で培ってきた歌声に魅了されたらしい。

 

「侑さんってあんなに歌うまかったんですね」

「勘助もしっかり合わせてるから侑も歌いやすいんじゃないかしら?」

 

 せつ菜と果林が2人のデュオを見て、負けられないと思っていたのは2人は知らなかった。

 

 ☆

 

「みんなすげぇな」

「勘助君もたいがいだよ」

「侑さんだって歌ってみて楽しかっただろ」

「まぁね……歩夢! 愛してるよ!!」

「やっぱり歩夢ファンは違うな」

「こうしないと手錠付けられるから」

 

 本当にぶれないなと笑っていたが、侑がその後歩夢たちに呼ばれた。侑はその時侑宛てに応援メッセージを貰って侑もスクールアイドル扱いされていたのだが、勘助は女子控室に入れないので知らない。

 手持無沙汰なので、菜々の母親に軽く挨拶する。菜々の母親に娘を頼むと言われたが、勘助はそれに対して、

 

「恋人がいるんでそっち方面では無理ですけど、幼馴染としてなら。後、終わったら褒めてやってください。貴方の中川菜々と優木せつ菜を」

 

 そう言って彼は自分の身内のもとに向かった。

 

「来てくれたんだね信繫さん」

「当たり前だ。いい演奏だった」

「ありがと」

 

 信繫は勘助に真っすぐ言葉をむける。しばらく勘助を見るとフッと笑った。

 

「ギターの腕は父親で、言葉の言い回しと顔は母親に似ている」

「信玄さんはな、お母さんがなくなる前は真剣にお前を愛していた。お母さんが亡くなってから少し道を踏み間違えただけなんだ。俺が言うのもあれだが、許してほしい」

「ギターを教えてくれなかったのは許さない。だからこそ、超えるんだ」

「過去は変えられないけど、未来を変えるさ」

 

 勘助のその言葉にそうか。と言って、続けた。

 

「お前がどう思ってもだ、お前の親は本当にお前を愛していたよ。それだけは覚えとけ」

「ああ」

 

 そう言った瞬間、勘助を呼ぶ声が聞こえる。呼んでるぞと信繫は言ってこの場を去ろうとしたが、勘助はそれを止めた。彼が振り返ると……

 

「信繁さん。今までありがとうございました。俺はまた成長して必ずあなたのもとへ帰ってきます」

「俺の親でいてくれて、本当にありがとうございました」

「……今度、璃奈ちゃんとやらを連れてこい。一緒に飯でも食おう。達者でな」

 

 そう言って山本家の会談は終わりを告げたのだった。

 

 ☆

 

「よう江戸のトキメキ系スクールアイドル」

「お疲れ江戸の軍師系スクールアイドル。名前ダサいね」

「お互いにな」

 

 それぞれの役目を終えて、侑と勘助はこんな会話をそっとして、少し笑いながらステージで挨拶をする。

 最後の曲を侑と勘助は特等席で見る。

 基本勘助は大体生演奏だが、今回は機材での音源がほとんどだったので、二人で少し演奏しながら聞く。

 感動した。それに尽きた。

 

「勘助君泣いてるの?」

「分かってるよ、男が泣くなんてみっともないっていうんだろ?」

「ううん、みんなのために泣く涙は素晴らしいと思うよ」

 

 私も少しと言って侑も涙を流していた。スクールアイドル同好会のライブは大成功で幕を閉じた。

 

 ☆

 

「会長、頼まれた仕事終わったから追加ください」

「早すぎて頼める仕事がないのでミアさんを追い出してください」

「ミアさんここは作曲場じゃねぇぞ」

「固いこと言うなよ生徒会庶務」

 

 その後、生徒会長になった栞子は勘助と生徒会の仕事をしていた。

 凧あげ同好会の申請書を承認しながら、勘助はミアの作曲を手伝うことにした。

 せつ菜と璃奈は新しいアニメを語り、しずくと果林は演劇をモデル以外の仕事に生かしたいという話をしてランジュと愛は猫のはんぺんを愛でていた。かすみはエマと謎の椅子の話をして、歩夢はロンドンに行った。

 

「勘助さん新しい仕事が……」

「あ、お疲れ様です勘助です……え!? 今からでも入れる保険のCM の作曲仕事? やりますねぇ! やりますやります!」

「栞子さんごめん。仕事は入ったんだけど、その書類どれくらいある?」

「10枚くらいですけど……」

「5分で終わらすから今日帰っていい?」

「はぁ……大丈夫で……」

「終わった。はいこれ、じゃあ行ってきます!」

「え? 早くないですか!?」

 

 栞子の制止を振り切り勘助は出ていく。副会長たちも勘助が入ったおかげで仕事量が圧倒的に減り、することもないので勘助をわざと追い出して自分たちの仕事を貰おうとする姿勢であったため、みんなは何も言わなかった。

 

「大変だね、生徒会長」

「ミアさんはいつまでいるんですか」

 

 彼らの物語は始まったばかりだ。次は誰が夢を叶えるのだろうか、次はきっとこれを見ている貴方の番かもしれない。

 

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