「ごめんなさいカンスケ」
翌日勘助は璃奈の作った薬の効果で暴走した愛に謝られた。おもちゃと言えども勘助に包丁を投げたのは事実。薬の影響と言えども謝る愛がそこにいた。
「愛さんが璃奈のこと大好きなのが分かったよ」
「うん、恥ずかしいけどりなりーの薬を飲んだ瞬間、独占欲っていうのかな、止まらなくなって……りなりーもごめんね」
「ううん、愛さんが私の事大切に思ってくれたってことだから」
「でも、ごめんなさい。私は勘助さんが好きなの。愛さんの気持ちには答えられない」
「私も、璃奈が好きなんだ。愛さんが認めてくれるまで何度でもいうさ」
「カンスケ、りなりー……本当にごめん」
「謝るならやってほしいことがある」
勘助の言葉に疑問に思った愛だが、勘助が刺した指の方向を見て納得した。そこにいたのは……
「すみませんでした」
顔を真っ赤にして勘助に土下座していた侑、ミア、栞子だった。
「私は勘助さんになんという破廉恥なことを……しかも思いっきりあの黒歴史ノートを見せるとかもう生きていきません。勘助さんに責任取っていただかないと」
「ううぅ……確かに勘助君の事は好きだけど……でも、ここまで好きなんて思わなかったよぉ!!」
顔を真っ赤にしながら勘助を見ている侑と栞子。そして英語で何話しているか分からないミアがいた。
「ミアちゃんなんて言ってるの?」
「うーん、多分どうして僕があんなことをって、言ってる気がする」
「深層心理も出る薬だから、ミアちゃんが言ってたことは本心」
「ゴフッ……」
璃奈の言葉にミアがとどめを刺される。勘助も少し苦笑いしながら、少なくとも愛されてるなら、嫌われてないならそれでいい。と言った。愛に対しても、嫉妬は誰にでもあることだからと言って、愛の頭を撫でながら安心させた。
「愛さんは、今からこれを止めてほしい」
「えぇ……とんでもない罰じゃん。しかも大半はゆうゆ達の自爆じゃん」
「だからさ。俺が何言っても恥ずかしがるだけだろ。愛さんも少し協力してくれ」
愛は少し悩んだが、勘助にしたことを考えると断れないので説得することにした。
後は頼むと勘助は廊下に出て行こうとする。
「勘助さんどこ行くの?」
「少しメンタルケアが必要な奴のもとにな」
「え? 愛さん一人?」
「璃奈にも任せよう。薬の元凶だし」
「うん。ごめんなさい」
璃奈の謝罪に勘助は頷きそのまま部室を出た。
しばらく歩いていると、椅子に座った二人の少女がそこにいた。
「よう、歩夢さん薬飲んだらしいが、調子はどうだ?」
「勘助君、私は大丈夫だよ」
「人ならざるものになってるのにかよ」
「勘助さん……すみません」
「謝るな。敬語じゃない菜々も可愛かったぞ」
勘助の言葉に肯定する歩夢と恥ずかしがる菜々。勘助は隣に座って歩夢に声をかける。
「歩夢さん、私と菜々は幼馴染だ。私が璃奈と付き合っても菜々と私は幼馴染として大切な仲間であり親友なんだ」
「うん……」
「だから、その……私が言うのもあれだが、侑さんを許してやってくれ」
「え? 嫌だよ? だってあれ事実じゃん」
「そこを何とかお願いします。俺も心持たないから」
歩夢の即答に頭を下げてお願いする勘助だが、歩夢は少し笑って言った。
「冗談だよ……ほんとはね、勘助君の事、私も好きなんだ」
「侑ちゃんと仲を持たせてくれた時も、同好会の事を考えて行動してくれた時も、勘助君が魅力的に見えたの。侑ちゃんがいるから恋まではいかないけど、もしも侑ちゃんがいなかったら、きっと私は勘助君に愛を向けてたかもしれない」
「そうか」
「歩夢さん、勘助さんは優しいですからすぐ虜にされちゃいますよ」
「君は私をタラシか何かと勘違いしてないか?」
「5~6人くらいは勘助さんに惚れていたので間違ってないのでは?」
菜々の言葉に不意を突かれた勘助に歩夢も笑う。
こうして幼馴染がいる者同士、会話をして、薬の件は思い出話にしようかなんて言い合って笑いあったのだった。
「そう言えば璃奈の薬って本音を話すとか深層心理が出るとか言ってたけど、なんで歩夢さんは特級呪物になったんだ?」
「私たまに思うんだ、この髪が動いたらペットみたいで楽しそうだなって。多分それが出たんじゃないかな」
「侑さんへの想いよりそっちが先に来るとか何なの?」
「確か、複数ある人はランダムらしいですよ」
「てことは俺たまに猫になりたいとか思ってるとこあるから猫になんのかな」
「上手く行けば。飲みますか?」
「いらないっす」
翌日勘助が薬をこっそり飲まされた時、同好会のメンバーみんなに
「俺は一人だけなんて選べない! みんな大好きで何が悪いんだ! 箱推しだぁぁぁぁ!!」
「そうだよね勘助君! ヒトリダケナンテエラベナイヨ!!」
「その通りだ侑!! 愛してるぜぇ!!」
「勘助さんは勘助さんだった」
叫んだ勘助と納得した璃奈がいたそこにはいた。まさかの同好会メンバー全員クリーンヒットである。全員顔を真っ赤にしていたらしい。