虹ヶ咲のシンガーソン軍師   作:初見さん

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 虹ヶ咲学園校歌出ましたね。
 生徒会がロックバージョンで苦労すると思いましたが、ピアノバージョンもあったので苦労しなくて済みますね。


番外編11 日常編4

【虹ヶ咲学園校歌】

 

 三船栞子率いる生徒会メンバーは今日も書類整理などに追われている。後期の特に大きなイベントは卒業式くらいだが、そこまで量も多くない細かい作業には追われる羽目になる。

 

「勘助さんこの資料の確認お願いします」

「会長、かしこまです。終わったものはそっちに渡しますね」

「勘助さんこのデータの添削をお願いします」

「副会長、かしこまです。資料終わったら直ちにやります」

「勘助さんこの資料ってどう書けばいいでしょうか?」

「右月さん、そこは……まぁ、教師が納得するなら建前でもいいんで目的とか書けば問題ないのでは? 一回書いて出したら教師側から修正あるでしょうし」

「勘助様、この資料確認したので印鑑お願いしてもよろしいですか」

「かしこま……左月書記、生徒会室でその名前はちょっと……後、私の仕事多すぎません?」

「気のせいじゃないですか会長」

「そうですよ会長」

「この中で一番仕事早いので頑張ってください会長」

「俺は会長じゃねぇ!? 栞子……三船栞子生徒会長も何か言ってやってくださいよ」

「なるほど、庶務の席はパイプ椅子ですから少しお尻が痛いですね……早急に一人用ソファーを用意しなければ……」

「なんか庶務席に座っとる!?」

 

 生徒会では仕事をしなければならないが、ここではおふざけにも対応できるアットホームな職場であった。

 

「そう言えば、来週全校集会で珍しく校歌を斉唱するらしいです」

「校歌か……そう言えばほぼ全然聞いてなかったな。どんな歌かも忘れたわ」

 

 栞子の言葉に勘助が考え込む。

 校歌と言うものは学校を象徴する歌としてほぼ全ての学校に存在する歌だが、虹ヶ咲学園に関してはマンモス校や学科の多さなどから全校集会することはまれであった。

 それもあり、この学校の校歌を音楽科の勘助どころか生徒会長の栞子でさえあいまいだった。

 

「確か、虹ヶ咲って歌詞に入ってたよな?」

「そりゃ、どこの学校も大体の校歌に自分の学校名入れますから入っているのでは?」

 

 それもそうかと勘助は右月の言ったことに笑いながら肯定する。

 

「なんか一度、理事長が校歌の歌詞で一悶着あったとか聞きましたけど」

「よくあることだろ?」

 

 栞子の言葉に勘助は当然のように返事をした。

 歌と言うのは歌詞や曲が大事であることに変わりはないが、学校を象徴とするコンセプトであれば、長く、深く話し合って曲を作らなければいけない。念のためどんなふうに揉めたのか勘助は栞子に聞いた。

 

「私も噂でしか知らないのですが……確か歌詞で揉めたとか」

「歌詞か、まぁ校歌なら曲より歌詞になるよなぁ。きっといろんな意見が出たんだろう。虹とか、愛とか、希望とか、夢とか、友情とか、努力とか、勝利とか」

「最後の三つは勘助さんの呼んでるマンガじゃないですか……確か2候補まで絞って話し合ったらしいです」

「2候補か……どんな歌詞だ?」

()()()()()()()()()です」

「……ごめんもう一回聞いていい?」

「光を仰ぎと拳をしまえです」

「結果は?」

「光を仰ぎになったと」

「当然だよバカ野郎」

 

 拳をしまえなんて歌詞を入れられたら、生徒どころか教師が発狂すると勘助は考えたのだった。

 

「とにかく、確か歌詞は生徒手帳に書いてますので私含め歌詞が曖昧な方は覚えてきてください」

「分かった。一般生徒側も教師を通じて伝えるようにしておこうか」

「勘助庶務お供します。ついでに歩きながらせつ菜ちゃんの可愛さについて語りましょう」

「唐突に限界オタクとタッグ組まされた」

 

 こうして虹ヶ咲学園の全校集会では問題なく校歌斉唱が行われたのだが……

 

「……校歌にロックバージョンがあるなんて聞いてねぇぞ」

「まさか全校生徒の前でヘッドバンするとは思いませんでした」

「誰も思わねぇから安心しろ」

 

 この虹ヶ咲学園に一筋の不安が垣間見えたのは勘助だけではないかもしれない。

 

【勘助の誕生日】

 

「そう言えば勘助さんって誕生日いつ?」

 

 同好会の休憩中にかすみが持ってきた誕生日占いの雑誌から思い出したように璃奈が聞く。璃奈と勘助は付き合っているので璃奈の誕生日はわかっているが、璃奈は勘助の誕生日を知らなかった。

 勘助もそう言えば何もかも教えてなかったと言って、答えることにした。

 

「4月1日だ」

「勘助先輩それもう過ぎてません!?」

 

 勘助の言葉にかすみが驚きの声をあげるが、勘助は想定済みだった。勘助曰、4月1日はエイプリルフールもあり、誕生日であることを知らされても嘘だと思われるからだった。

 

「でも、それなら4月1日の午後とか、4月2日に行ってもよかったんじゃない?」

「新入学とかの生徒会の仕事に、部活動紹介PVづくり、後個人的に作詞作曲依頼とかこなしてたら言うタイミング逃した」

 

 勘助の言葉に理解しながらも、納得がいってないかすみや璃奈。

 

「まぁ、そんな顔すんなよ。確かに祝ってもらえなかったけどさ、おこがましいが来年は祝ってくれるんだろ? それで十分さ。後、せつ菜からは貰ったしな」

「聞いてない」

 

 勘助の発言に璃奈が目を濁しながら言った。その瞬間お疲れ様ですと、せつ菜が入ってきた。

 

「さて練習の続きを……り、璃奈さん? どうしてそんな親の仇のような眼で私を見るんです? 勘助さん、これはどういう……」

「璃奈がせつ菜を犯したいんだとさ。頑張れ」

「え?」

 

 その後せつ菜は璃奈に事情を聴かされながらわしわし胸部の刑に処された。勘助は気絶しないようにかすみを連れてダンスの練習を教えてもらって一緒に練習した。

 わしわししながらも璃奈は思いつめた顔をしていたと言う。

 

 ☆

 

「勘助さん、ゲームしよう」

「おう、いいぞ」

 

 ある日の休日、勘助は璃奈の家でのんびりとしていた。璃奈から苦手なテレビゲームを提案されたが、ゲームが得意な璃奈とはかなりやりこんでいることもあり気が付いていないが同好会で上位に行けるくらいのレベルになっていたのを勘助は知らない。

 またしても何も知らない山本勘助は今日も璃奈にボコボコにされながらも応戦し、時にはまぐれ勝ちをして楽しんだ。

 数種類のゲームを楽しんだ二人だが、璃奈が勘助の腕を引っ張り渡したいものがあると言って勘助に一つの箱を渡した。

 

「これは……?」

「一応誕生日プレゼント……せつ菜さんがあげたって聞いて嫉妬したから対抗して作った」

 

 勘助が許可をもらってその箱を開けた。そこには一つのリングがあり、勘助の名前がローマ字で掘られていた。

 

「璃奈……恥ずかしいんだけど」

「パワーストーン屋さんの石を溶かして溶接して一から作った。大事にして」

「俺の彼女天才すぎません?」

 

 とんでもない技術に驚かされた勘助だが、それを璃奈に渡す。璃奈は一瞬ためらったが、勘助は続けて言った。

 

「一から作ったのなら百までやってくれないか? ふつうは逆だが、俺の指に璃奈からこれをつけてほしい」

 

 そう言って勘助は利き手を璃奈に向ける。璃奈は容赦なく薬指にはめ込んだ。勘助はためらわない璃奈に少し笑ってしまったが、優しく頭を撫でて言った。

 

「ありがとう璃奈。大事にする」

「うん。そういえばせつ菜さんから何貰ったの?」

「これ」

 

 そう言って勘助は左腕のブレスレットを見せた。どうやら4月の誕生石らしく、勘助は普通に喜んだらしい。

 

「これから世界を目指すギタリストだからオシャレくらいはしろって言われてな。アクセサリー代わりにもらったんだ」

「被らなくてよかった。私も一瞬ブレスレット考えたから」

「被ろうが気持ちが込められてるなら貰うさ。二人が頑張って選んでくれた……まぁ、璃奈は作ったけど。そういうもんだろ」

「勘助さんは優しすぎる。だから侑さんや栞子ちゃんにもせつ菜さんにも襲われる。このプレゼントは牽制用。あともう一つは……」

「もうひと……」

 

 もう一つは何かと聞く前に勘助は璃奈に押し倒される。そして、かなり長くキスをされる。

 唇が離れた後、勘助は相変わらず真っ赤な顔をしていたが、璃奈は舌を舐めまわして一言。

 

「私をあげるっていう。勘助さんにとっては最高のプレゼントになるといいな」

「……また明日遅刻しそう」

 

 そして結局行為を終えた翌日は遅刻ギリギリに登校して、侑とミアにからかわれたという。

 




 勘助の誕生日は少し複雑ですが、山本勘助が無くなった年の【1561年】から時間と日付の計算でこうなりました。

 15:61→16:01→16月1日→4月1日という感じです。
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