【勘助の耐性】
「せつ菜さんって変態なの?」
「はい?」
勘助がいない同好会内で璃奈がせつ菜にこう切り出した。せつ菜が何のことか分からないと問うと、璃奈から勘助を通じて面白い話があったという。
それは、生徒会長時代にエロ同人誌を大量に所持していたことが栞子を通じてバレた話だった。
そこから逆算して、璃奈はせつ菜の事を変態だと言い放ったのだ。
「なるほど……いや、確かにそういう本は持ってますけど、変態じゃないですよ」
「どういうこと?」
「その類を持ってる理由って保健体育の克服ですから」
せつ菜曰く、昔は保健体育が羞恥心的な意味で苦手であった。念のため男子である幼馴染の勘助にその話をしたら勘助もせつ菜以上に苦手だったらしく鼻血出してぶっ倒れたのだとか。
それ以来勘助はあてにならないと思ったせつ菜は独学で耐性をつけたらしい。エロ同人はそのためのものだと言った。
「確かに勘助さんよく気絶する」
「私からしたらあの勘助さんが、璃奈さんと性的なことが出来てるのが信じられないんですけど」
「勘助さんが気絶しても私が続行してるからなんとか」
「まさかの睡眠姦!?」
「璃奈ちゃんボード『グヘへ』」
とてつもない話を聞いてせつ菜も驚いてしまった。
「まさかとは思いますけど……いつもそうしてるわけじゃないですよね?」
「大丈夫。気絶したら好きにしてって言ったの勘助さんだから。まさか毎回気絶するとは思わなかったけど」
「本当に耐性ないですね」
勘助の性的な事情が幼馴染とか抜きにしてかなり心配になったせつ菜だった。
【せつ菜の歌詞】
「なぁ、せつ菜」
「どうしました勘助さん」
「せつ菜のMELODYって曲さ、なんか意味を変えたらヤンデレみたいだよな」
「はい?」
唐突に自分の歌に対してよくわからない発言をされたせつ菜。そもそも勘助が曲とか作ってるんだからそんなこと言われてもとは思うが、一応どこがヤンデレに値するか聞いてみた。
「例えばここ」
走り抜けた 思いが
心を染めて まっかっか
「これさ、我慢できなくなった貴方への想いが、嫉妬や独占欲で心を染めて、貴方の身近な人を刺して服が血でまっかっかってことじゃん」
「そんな恐ろしい直訳があってたまるものですか。飛躍しすぎです」
「じゃあこれは?」
誰よりも味方でいてほしいあなたへ
心の奥まで届きますように
「誰よりも大好きな私だけのあなたへ、貴方の心が私色で染まりますようにってお話じゃないの?」
「いや、飛躍がひどすぎますよ!? これ全部スクールアイドルを反対してそうな私の母への想いだって勘助さんと打ち合わせして作りましたよね!?」
「こんなに愛しているのになんで私の事分かってくれないんだろうとか、歌詞にあったよな」
「ありませんよ!?」
読めば読むほどヤンデレ化してきそうなせつ菜の歌詞を見て勘助は少し面白くなってからかいだした。せつ菜もせつ菜で本気で言ってるわけではないと思っているので適当に話を返す。
「せつ菜はヤンデレ系スクールアイドルか」
「それは歩夢さんに渡します」
「そうか、ならいいんだけど」
「分かってくれるならこの話終わりにしましょうよ。勝手にスクールアイドルの系統変えられてびっくりしました」
「赤って血の色じゃん」
「貴方はいったいどんな人生送ってきたんですか?」
「せつ菜が一番知ってると思うけど」
「……そうでしたね」
まぁ、くだらない話だな。と勘助は言ってせつ菜と別れようとした。
「あ、勘助さん」
「なんだ?」
「昨日シャンプー切れてましたよ。買い出し行った方がいいのでは? 後、夜に璃奈さんの曲聞いて可愛い可愛いって悶えるのもほどほどにしてくださいね」
「あ、マジで。分かった買っておくわ……」
「全く、勘助さんは私がいないとダメなんですから」
そうして、勘助はせつ菜と別れる。そして数歩歩いた時、気が付いた。
「……あれ? 俺寮だよな? なんでせつ菜が寮の中の事情知ってるんだ?」
【スクールアイドル侑】
「なぁ璃奈、侑さんって可愛いよな」
「浮気?」
「いや、そうじゃなくて。璃奈から見ても侑さん可愛いだろ?」
「……確かに可愛い。努力家で優しいし、好き」
「そう、なのにスクールアイドルじゃないのはもったいなくないか?」
「それは分かる」
「そんなわけでだ、今ここに同好会のみんなに頼んで拉致して縛っておいた侑さんにスクールアイドルをやってもらう」
「んん!? むぅぅぅぅ!! んんんんんん!!」
唐突な誘拐事件が同好会内で発生したが、勘助は気にせず。璃奈も了承した。
とりあえず息がしやすいように口のガムテープだけ外すと侑から反論が飛んでくる。
「急に誘拐されたと思ったら何てこと考えてるの!?」
「ときめき系スクールアイドル。高咲侑」
「私はスクールアイドルやらないからね!」
「歩夢さんだけのスクールアイドルでいいだろ」
「うん。決して表に出さないけど、同好会の活動ないくらいはやってほしい」
「璃奈ちゃんまで……まぁ、表に出ないなら……よくないかも」
「というわけで、服飾同好会から衣装借りてきたから着ろ」
「無理やりじゃん!?」
そんなわけで勘助に勧められながら衣装に着替えて、同好会に顔を出した侑だが……
「侑ちゃん可愛い!」
「侑先輩似合うじゃないですか!」
「侑さんもとうとうスクールアイドルの心が覚醒したんですね!」
歩夢を筆頭にみんなが褒めたたえる。侑は緑色多めに、たまに白色のカラーが見えるスカートや服装で顔を真っ赤にしながらも、褒められてまんざらでもなかった。
「んじゃ、エマさん達にダンス教えてもらってくれ。曲はもう作ってる」
「その時点で確信犯じゃん」
「曲名は『とき☆めき☆ハーレム』」
「なんか悪意ない?」
「『ひとりだけなんて……』って曲名にしたかったけどバラードになりそうでなんか侑さんには似合わないかなって。キュートかパッションな曲にしたかった」
「本気で曲が作られてるんだけど」
「曲に妥協は許さん。ミアさんも分かるだろう」
「当たり前だね。ベイビーちゃんの曲を作るならlimit breakする勢いさ」
「そこまでしなくていいよ」
「見ろよ、天気も侑さんの可愛さに興奮して雷なってるぞ」
「違うよ」
「そういえば今日降水確率90%だったよね」
愛の降水確率の話に頷く勘助だが、それでもここで出来る。と言って侑に踊らせることにしたのだが……
「はぁ……はぁ……どう? 向いてないでしょ?」
「もうお前がスクールアイドルでいいよ」
「侑ちゃんだけでラブライブ優勝だね」
「璃奈ちゃんボード『可愛さMAX』」
「ええ!?」
なんかもう可愛すぎて同好会メンバーがメロメロになったのは言うまでもない。