虹ヶ咲のシンガーソン軍師   作:初見さん

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 RTAはっじまるよー


第5話 可能性のギター

「普通科二年中川菜々さん、優木せつ菜ちゃん、至急屋上まで来てください!」

 

 生徒会の終わりに流れる放送が中川菜々と優木せつ菜を呼んだ。そして向かっている途中に勘助は……

 

「出陣だな」

「待って勘助君そのアンプ何!?」

 

 エレキギターのアンプを持っていた。勘助曰くこれが無いと始まらないらしい。

 

「これで私は優木せつ菜を連れ戻す。侑さんは侑さんの方法で、私は私の方法でだ」

「なんかすごいことしそうだね」

「みんなにはドア越しで待機してもらうから少し緊張するな」

 

 そんな話をしていると菜々が来た。菜々は侑と勘助の名を呼びながらも動揺を隠せない。

 

「よう菜々、ちょっと久しぶりだな」

「山本……勘助さん、貴方まさか」

「せつ菜ちゃん大丈夫、勘助君は正体がバレてから教えてくれたから」

 

 菜々は勘助が自分の正体をばらしたと思ったが、侑の言葉でその線をなくした。

 

「約束は守る男だとお前が一番知っているだろ菜々」

「なるほど……エマさんたちに聞いてたんですね。それで、どういうつもりですか?」

「ちょっと無神経すぎたかなって」

 

 え? と勘助と菜々の言葉が合わさる。どうやら侑は勘助たちがいない間菜々とスクールアイドルについて話していたようだ。

それに対して気にしていないという菜々。同時に正体を隠してたことを謝る菜々。

 

「私はね、スクールアイドルとして菜々ちゃんに戻ってきてほしいんだ!」

「もうわかっているんでしょう? 私がいたらみんなのためにならないんです!」

 

 侑の言葉に感情を爆発させる菜々、同時に自分がいたらラブライブに出られないと悲痛にも叫ぶ菜々だが……

 

「ラブライブなんて出なくていい」

「出なくていいよな、そんなもん」

「え?」

「私たちはせつ菜の歌が聞きたいんだよ」

 

 勘助の言葉に続いて侑も声を上げる。スクールアイドルがいて、ファンがいるそれでいいんだと。それでも渋る菜々に対して勘助が……

 

「つべこべ言うんじゃねぇよ! バカ菜々!」

「な!? バカって……」

「バカだろ! 勝手にスクールアイドルやりたいって言って俺を振り回してせっかく曲まで作った挙句に、ただ一回ギスギスしたからやめますだと!? 新入社員かテメェは!」

「部活も仕事もクラスもな、何度もいい争いは起きるんだよ。ぶつかり合って、感情論で戦って、それで筋通して、最後は完結すんだ!」

「そんなに渋るなら思い出させてやるよ。優木せつ菜!」

 

 そして勘助はエレキギターを肩にかけるアンプにつなぎそして、()()()()()()()()()()

 侑は勘助の左手のピックに驚いた。侑は一瞬だけ見たが、確か勘助はアコースティックギターを右手で弾いてたはずだと指摘する、だが勘助は少し笑ってこう言った。

 

「安心しろ、俺はレフティーだ」

「それは……2年前に壊れたはずじゃ!?」

「叔父が直した、2年かけてな。いくぞ、中川菜々、いや、優木せつ菜あんただけは堕とす!」

 

 勘助はピックを左手ではじき宙に浮かせた。曰く、

 

 一枚のピックは時にギターを演奏する道具になり、

 時に人の心を打ちぬく弾丸となる

 

「ユニコォォォォォォォォォォォォォン!!!!!」

 

 宙に舞ったピックを掴み全力でかき鳴らした、ギターの腕は10秒もいらない。

わずか5秒ほどで勘助は強者(つわもの)じみたギターのテクでかき鳴らしながらCHASE! を歌う。

 侑やせつ菜、そしてそれを端で見ていた同好会の人もゾクッと背筋が震える。

 あの男は何なんだと、勘助はここまでギターが上手いのかとみんなが思っていた。

 

「すごい……すごいよ勘助君!」

「相変わらず……腕は衰えてないのですね」

 

 そう言ったせつ菜だが口角は上がっていた。そして1番の演奏のみが終わり次第せつ菜は再び侑と勘助と対峙する。

「ふぅ、やり切ったぜ」

「あの……お二人は、本当にいいんですか? 私の大好きを貫いて、いいんですか?」

 

 そのせつ菜の言葉にやはりこの二人の答えは変わらなかった。

 

 勿論。

 

 そして沈黙を破るかのように太陽のように笑顔で答えた侑と勘助にせつ菜は言った。

 

「わかっているんですか?」

「貴方たちは今自分の思っている以上にすごいことを言ったんですからね!」

「どうなっても知りませんよ!!」

「当たり前だ! お前の曲もう作っているからな! さっさと戻ってこい!」

「え!? いつ作ったの?」

 

 侑の疑問に勘助が答える勘助はこの作戦が立てられる前にせつ菜のために曲を一曲作っておいたのだ。

 そのUSBをせつ菜の胸元に投げる。せつ菜は片手で悠々とキャッチしてそれを勘助も褒める。

 

「くれてやるよ、これがもう一つの俺の曲、せつ菜の復活を祝う歌だ!」

「そしてそのタイトルは……」

 

 もう一度、スクールアイドルの世界にDIVE! それは優木せつ菜の復活ライブにふさわしい出来だったという。

 

 ☆

 

「貴方何者? そのギターの腕アマチュアってわけではなさそうだけど」

 

 みんなが集まって、侑とせつ菜が抱き合ってゆるゆりしている間、片付けて屋上から出た勘助に果林が声をかける。

 

「ただのシンガーソングライターみたいなものですよ。山本勘助、ユニコーンギターいきます! ってね」

「そう……あくまで正体は教えてくれないのね」

「正体も何も菜々の幼馴染ですよ。それだけです」

 

 そして勘助は果林から去っていった。

 

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