山本勘助は璃奈の発明、強制睡眠装置で眠らされている。そこで見た夢は勘助のいる世界とは違い、高咲侑がいない世界。歩夢の幼馴染は勘助で、ピアノで作詞作曲しているのも勘助。そして同好会を潰そうとたくらんでいる鐘嵐珠とそこに加担したミア・テイラー。そして、より良い練習のために同好会ではなく部に移った愛と果林、幼馴染のために移動した栞子に立ち向かわなければいけない。
そんな中、勘助は少しばかりピンチを迎えていた。
「山本勘助さん、あなたはいったい何者ずら?」
勘助が会ったのは、あの伝説の静岡県沼津市の高校でラブライブ優勝を果たしたAqoursのメンバー、
勘助はこの世界線でAqoursやμ'sと言った伝説のスクールアイドルと会っていた。始めはせつ菜に言ったら卒倒するほど喜ぶなと思っていたが、途中花丸が勘助を呼んだことで面倒な話になる。そして人気のないところで今の言葉を言われたのだ。
花丸は寺生まれだからと言って、他者の何か違和感みたいなものが見えると言った。だからこそ勘助も隠さず言った。
「俺は山本勘助であって山本勘助ではない」
そしてすべてを彼女に話した。花丸は信じられないような顔をしていたが、何度か勘助と会っている中で、急に出てきた自身を「俺」と呼ぶ勘助に疑問を隠せず、尚且つやけにピアノではなくギターの知識も持っていたことから花丸は聞いてみたのだ。
あまりにも現実味のない話に驚いたが、勘助の今までの行動や口調などを推察するとありえない話ではなかった。
「君たちの知っている俺は今俺の中で寝てるよ。いつどう戻るかも分からないけど」
そう言って勘助は宣言する。同好会は潰させないと。その眼は真剣で花丸が何かを言うのをやめるくらいだった。
「……本当は悪霊とかなら払おうと思っていたずら、でもそこまで勘助さんが言うならみんなを、同好会を頼みたいずら」
「任せろ、あ、そうだ花丸さん一つお願いがあるんだけど……」
「何ずら?」
真剣に花丸が勘助の方を見るが勘助から帰ってきたのは意外な一言だった。
「みんなのサイン欲しいです。俺の世界みんながいないので」
「え? あ、はい。マルでよければ……」
「ついでに絢瀬絵里さんのもください。俺の母親がロシアのクォーターで、自分自身同好会以外の最推しで大好きなんで」
「あ、はい。聞いてみます」
勘助今日も平常運転だった。自由すぎるだろと花丸は思った。
☆
「マイクパス!」
「このっ、ちょこまかと!」
勘助の作戦はしっかりと成功した、オンラインでのライブで生徒会側もマイクパスをうまく切れずに東奔西走。こっちに流れがあった。ランジュが途中電波をハイジャックするが、勘助はそれを読んでいて璃奈に疾風のごとくハイジャックをさらにジャックした。そして勘助にはまだ秘策がある。それは……
「おら、止められるものならやってみろ。鐘嵐珠、伝えたはずだ。貴様の進軍もこれまでだと。後は、お前に託すぞ……しずくさん」
「勘助さん……ありがとうございます」
そして最後のパスはしずくに渡された。しずくはあの後勘助の策に乗ったのだ。その光景にランジュの陣営は大混乱。そしてそんなことは露知らず、瞬間勘助のギターが炸裂する。
「嘘、どうして勘助さんがギターを……」
最初はしずくもこのオンラインに繋げた同好会もそれを邪魔する生徒会や部のランジュもまるで気にしてなかったただギターを持った勘助。
だが、勘助がギターを弾いた瞬間流れが変わる。その音色はまさに風のように早いピッキング、林のように静かに、炎のように激しい緩急をつけた演奏。そして、山のように微動だにしない正確無比なピッキングにみんなはおろかこの場にいるしずくも一瞬見とれてしまった。
「やれしずく! 歌うんだろ!」
しずくは結局同好会に戻ってきた。練習が厳しいから抜けたわけではない、仲間と共に成長するにはこの同好会しかなかったと気がついたからである。謝りながら勘助のもとに来たが、勘助はすぐに許した。というかもとより怒ってないが。
「お前がしたいことをやれと俺は言うだけだ」
その言葉にしずくは救われるだからこそ、しずくは歌い続けた。その声は見ている人の心をしっかりとつかんでいたのだった。
☆
「……やってくれたわね……山本勘助」
「どうするのランジュ? 勘助なんかすごかったけど」
「ふんっ、少し人を動かしたところでランジュのパフォーマンスにはかなわない」
「こっちも宣戦布告よ」
そしてランジュは提案する、同好会と部のトーナメント戦を……
「……ねぇ、あの勘助何者なのかしら?」
「カンスケ? どういうこと?」
「そもそもおかしいのよ、勘助はピアノを弾いてるはず。なのに今日のギター、まるで素人どころかプロ並みだわ。それにあの圧、いつもの勘助が怒ってあそこまでになるかしら?」
果林の言葉に愛も確かにと反応する。誰も勘助が、この世界の勘助だとは知らない。それでも違和感だけは残る。
「……もしも勘助が本気になったらどうなるのかしらね」
「確かにあの時しずくのことで少し実力を抑えてた感じがしたよね」
そう二人で話すとき得体のしれない恐怖が再び襲ったのであった。
☆
「すみませんでした私は愚かな雌豚です、どうか殴るなり蹴ったりしてください」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
「ごめんゆうゆ、ごめんゆうゆ、ごめんゆうゆ……」
「歩夢助けて」
ランジュが中国語、栞子が日本語で謝り、ミアは2人と一緒に土下座しながら英語で謝っていた。そこにさらに愛と果林、しずくが増えている。侑はメンタルケアに追われながら歩夢に助けを求める。
「勘助さん夢の中とは言え、あの伝説のスクールアイドルからサイン貰うとか羨ましいです!」
「せつ菜さん、歩夢さん、いつ正座辞めていいって言った?」
「ひぃ!? 璃奈さんすみませんでした!!」
「侑ちゃんごめんね今助けたいんだけど……愛ちゃんからロープ取った瞬間、足がしびれて」
同好会もひと悶着あったそうだ。
本来はこのシーンでミアが歌う予定でしたが、勘助の策でしずくになりました。仕方ないね。