ランジュの宣戦布告トーナメントの前。勘助はある人物と会っていた。それは
三船栞子。どうやら勘助に伝えたいことがあったらしい。
「トーナメントはくじ引きです。しかし、あのランジュの事ですからもしかしたらルール変更などの横暴があるかもしれません」
「なるほど、わざわざそれを伝えに来てくれるとは律儀だな」
「私は勘助さんと歩夢さんに救われました……ランジュも、こんなことしててあれですけど本当は優しい子なんです。暴走が過ぎて信じられないかもしれませんけど」
「孤独なんだろうな」
「え?」
栞子の言葉に勘助は向こうのランジュの話を聞いていたのでつい声を出してしまった。慌ててごまかす。
「い、いや。なんとなくな。自分が孤独だから、自分の実力しか興味ない。言い方悪いが、井の中の蛙状態だ。あいつの場合は大海を知らないのではなくて大会で負け知らずってとこだが」
「ふふっ、言いえて妙ですね」
「それでも、仲間との絆をあいつは知らない。そのためには同好会として誰かが絆の力を見せなければならない」
「栞子さんはそのまま鐘嵐珠さんのそばにいろ。大切な幼馴染なんだろ」
こんな歌があると勘助は言う。
髪飾り強く結びなおして 髪飾り強く結んで
髪飾りを強く結びなおして
髪飾り強く結んで 髪飾りは次の舞台へ
髪飾りを強く結んでゆけ
「それ私の曲じゃないですか!? しかも髪飾り結びすぎです!?」
「だからだよ。どれだけ解けても、髪飾りのように強く結びなおしていけば……要は何度失敗や後悔してもそれを反省して糧にしていけばいいさ」
そう勘助は笑う。栞子は自分の歌をとんでもない歌詞にされたことに驚きを隠せないが、勘助の話自体は共感できた。
「過ちはこの件が終わってから反省すればいいさ。今は鐘嵐珠さんを止める。ただそれだけだ」
「勘助さん……本当に申し訳ありません。何から何まで」
「可愛い後輩の頼みだ、やってやるさ」
可愛い後輩に少し照れた栞子だが、勘助に頭を下げて、頼み込むことしか出来なかった。
栞子が去ったあと、勘助は考える。どうやって奴の暴走を止めるべきかと。
「うん、当日にしかないな」
結局勘助でも妙案が浮かばず、その場限りでの緊急アドリブ策にしか頼ることが出来なかったという。トーナメント戦まで数日、とにかく同好会メンバーと話し合うことにするのだった。
☆
「ああ、勘助様。こんな私でも救ってくださるなんてとても慈悲深きお方……この三船栞子、勘助さんのためなら身体をも惜しまず使わせていただきご奉仕させていただきますにゃ」
「栞子ちゃんがもう取り返しのつかないところまで壊れちゃってる」
「栞子ちゃんだめ、身体でご奉仕するのは私以外認めない」
「璃奈ちゃんお願い。あなたまでそっち側に行かないで」
「勘助様、貴方様がお目覚めになられましたら貴方の付き人として、いえ、猫耳メイドしおにゃんとして精一杯ご奉仕をさせていただきます。ラートム」
そう言って侑に謝り倒した栞子は今度、眠っている勘助の下に行き手を合わせて危ない祈りをしだしたのだった。