「よう、せつ菜、調子はどうだ」
「勘助さん。大丈夫です。負けるわけにはいきません」
「そうだな、今回はせつ菜が同好会のエースとしてやっていかねばならない」
「はい!」
勘助は練習をしているせつ菜と会う。
勘助の呼び捨てにせつ菜もやはり違和感があったが、それでも同い年というのもあり、何も言わなかった。勘助も勘助で幼馴染のいつもの癖から抜けず、呼び捨てにした自覚がある。
しかし本人が止めないので、そのまま呼ばせてもらった。
「鐘嵐珠は正直強い。パフォーマンスはせつ菜と同等、もしかすればそれ以上の可能性がある。孤高のお嬢様だ気をつけろ」
「はい、しかしよくそこまでランジュさんの事調べましたね」
別の世界でランジュの性格やパフォーマンスは熟知しているとは言えなかったので、まぁ調べた。とあいまいに答えた。しばらくしてせつ菜は勘助に言った。
「……勘助さんはもしかしてですけど二重人格だったりします?」
「どうしてそんなことを……?」
せつ菜の言葉に少しうろたえた。正確には二重人格ではないが、この世界線の勘助とは大きく性格が離れていた。
せつ菜がこう言う二重人格の類を指摘することや、誰かにその類を突っ込まれるのとか覚悟はしていたが、まさか最初がせつ菜だったとは思わなかった。
「勘助さんは最近の勘助さんは違いすぎます。私のことをちゃん付けで呼んでたのにさんになったり、今も呼び捨てになったり。何ならこの間のオンラインでのギター、あれは私たちの知っている勘助ではない演奏です」
「勘助さん、貴方はいったい……」
せつ菜の疑問に答えられない勘助。ええと、とか、まぁ、とかそんな言葉しか出てこない。しかし、せつ菜は少し笑って答える。
「……伝えたくなければいいです。勘助さんにも何か事情があるんでしょうし、それに、勘助さんがどうであれ同好会メンバーの事を思って行動してくれてるのには変わりないですから。今日の質問はその心構えでチャラにしてあげます」
「そうしてくれると助かる……」
少しほっとした勘助だが、ここまで隠し事をすると胸が痛くなる。
それでも言うわけにはいかない。言ってしまうと、この問題を解決する前に動揺を与えてしまうからだ。
動揺はミスを誘う。本番でミスは今回許されない。せつ菜にはしっかりとパフォーマンスをしてほしかった。だからこそ、勘助は言う。
「そうだな、今は言えないが……この問題が解決した時話すことを約束しよう」
少し面倒なことになりそうだが、何かあればもう一人の自分に任せようと心で思いせつ菜に告げた。せつ菜も約束だと言って最後に……
「勘助さん。私絶対負けませんから」
「おう、行ってこい!」
そう告げたのだった。
☆
「ふっ、やはり別の世界でも私の幼馴染ムーブは健在ですね。勘助さんのことをわかっているからこそあえて聞かず答えを待つと。よくやってくれましたもう一人の私」
「負けヒロインだけどね」
「な!? 璃奈さんもう一度! 聞き捨てなりません! 今こそ決着をつけるときです!」
「いや、せつ菜ちゃん、勘助君はもう璃奈ちゃんと付き合ってるから正妻戦争には負けてるよぉ」
「かはっ!?」
せつ菜は璃奈に決闘を申し込むが、彼方の言葉に大ダメージを追ってこの試合は無効試合になった。
「せつ菜さん、貴方は私の最大の
「死んでません!」